有価証券報告書-第33期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の向上や雇用情勢の改善を背景に回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦を背景とした不確実な政治情勢などの影響により、先行き不透明な状況が続きました。また欧米経済
は、イギリスのEU離脱問題などを抱えつつも堅調な内需が景気を牽引しました。
当社グループに関係するデジタル家電業界は、パソコン市場において基本ソフトのサポート保守終了需要により
法人向けが伸長し、薄型テレビ市場は低価格化を背景に4K及び有機ELテレビへの買い替えが加速し拡大しました。
しかしスマートフォン市場は一巡感が見られ、タブレット市場は法人向けが好調だったものの個人向けが低迷しま
した。一方生めん業界は、期前半は家庭用市場及び業務用市場ともに猛暑などの寄与により冷し関係商品が牽引
し、堅調に推移しました。期後半については家庭用市場において高気温の影響などにより秋冬商品の売上が伸び悩
んだものの、業務用市場は引き続き調理オペレーションの簡素化が可能な簡便性機能商品が伸長し拡大しました。
利益面では原材料価格やエネルギーコストなどの上昇が影響しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ22,657百万円増加し、88,675百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ14,387百万円増加し、33,907百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8,270百万円増加し、54,767百万円となりました。
b.経営成績
当社グループは、外的環境の変化に耐えうる強固な事業ポートフォリオの構築を目指し経営を推し進めました。IT関連事業においては、縮小する個人向け周辺機器市場に対応するため高付加価値商品の販売強化を図りながら、サービス分野の売上拡大及び文教案件の獲得に努めました。一方食品事業においては、健康・簡便・個食志向に対応した商品の販売強化を図り、成長が見込める業務用冷凍麺市場での売上拡大に努めました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,089億93百万円(前年同期比50.7%増)、営業利益59億59百万円(同12.0%増)、経常利益65億20百万円(同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益38億2百万円(同26.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は71億17百万円となりました。キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は55億77百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益57億41百万円、減価償却費26億89百万円、たな卸資産の増加による資金減少12億54百万円、利息及び配当金の受取10億30百万円、法人税等の支払い28億18百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は20億83百万円となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の取得による支出349億46百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入330億11百万円、有形・無形固定資産の取得による支出47億94百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入46億83百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は7億10百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額50億円、長期借入れによる収入20億円、長期借入金の返済による支出15億25百万円、自己株式の取得による支出46億96百万円、配当金の支払15億8百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | ||
IT関連 | 63,685 | 101.7 | |
食 品 | 24,625 | - |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当連結会計年度より、新たに麺類及び関連食料品の製造・販売を行うシマダヤ株式会社がグループに加わったことから、報告セグメントに食品事業を追加しておりますが、前連結会計年度は食品事業の実績がなかったことから、前年同期比は記載しておりません。さらに現状に即した事業名称とするため、セグメント名を周辺機器事業からIT関連事業に変更しております(含まれる事業内容に変更はありません)。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
b.受注状況
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | ||
IT関連 | 70,783 | 100.8 | |
食 品 | 35,900 | - | |
金 融 | 2,306 | 109.4 | |
その他 | 3 | 325.1 | |
合計 | 108,993 | 150.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、新たに麺類及び関連食料品の製造・販売を行うシマダヤ株式会社がグループに加わったことから、報告セグメントに食品事業を追加しておりますが、前連結会計年度は食品事業の実績がなかったことから、前年同期比は記載しておりません。さらに現状に即した事業名称とするため、セグメント名を周辺機器事業からIT関連事業に変更しております(含まれる事業内容に変更はありません)。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
ダイワボウ情報システム 株式会社 | 12,837 | 17.8 | 13,259 | 12.2 |
Amazon.com Int'l Sales, Inc. | 11,389 | 15.7 | 11,670 | 10.7 |
(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社経営陣は決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、ならびに報告期間における収入・費用に影響を与える見積りを行っております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
[流動資産]
当連結会計年度末の流動資産の残高は、672億29百万円となり、106億32百万円増加しました。これは主に、現金及び預金の増加27億72百万円、受取手形及び売掛金の増加42億53百万円、商品及び製品の増加19億91百万円によるものです。
[固定資産]
当連結会計年度末の固定資産の残高は、214億46百万円となり、120億24百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加133億35百万円、投資その他の資産の減少15億17百万円によるものです。
[流動負債]
当連結会計年度末の流動負債の残高は、285億10百万円となり、100億8百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金の増加14億80百万円、短期借入金の増加50億円、1年内返済予定の長期借入金の増加10億74百万円、未払費用の増加13億21百万円によるものです。
[固定負債]
当連結会計年度末における固定負債の残高は、53億97百万円となり、43億78百万円増加しました。これは主に、長期借入金の増加27億59百万円、退職給付に係る負債の増加17億38百万円によるものです。
[純資産]
当連結会計年度末における純資産の残高は、547億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ82億70百万円増加しました。これは主に、資本剰余金の増加35億8百万円、利益剰余金の増加22億94百万円、自己株式の減少28億17百万円によるものです。
2)経営成績
当連結会計年度より、新たに麺類及び関連食料品の製造・販売を行うシマダヤ株式会社がグループに加わったことから、報告セグメントに食品事業を追加しておりますが、前連結会計年度は食品事業の実績がなかったことから、前年同期比は記載しておりません。さらに現状に即した事業名称とするため、セグメント名を周辺機器事業からIT関連事業に変更しております(含まれる事業内容に変更はありません)。
IT関連事業
個人向け市場においては、家中どこでも快適につながる独自メッシュ機能を搭載したWi-Fi※ルーターや故障前に録画番組の引越しを行うサービスを付加した外付けハードディスクなど高付加価値商品の拡販に努めました。また法人向け市場においては引き続き、学校での利用を想定して開発された無線LAN機器の導入数拡大を図るため、PR活動や文教関連に強いパートナー様との関係強化に努めました。サービス分野においては、「バッファロー正規データ復旧サービス」で受付件数が累計1万4千件を超えるなど多くの反響をいただきました。また賃貸集合住宅向けWi-Fiインターネットサービス「アパートWi-Fi」は、累計導入戸数が6万戸を超えたものの、サービス体制強化による人員増の影響などによりコストが先行しました。
その結果、売上高707億83百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益38億22百万円(同11.4%減)となりました。
食品事業
期前半は、さっと水でほぐすだけでゆでずに簡単に食べられる「流水麺」などの冷し関係商品では猛暑などを背景
に売上が増加しました。期後半では、家庭用市場においては、年越しそばなどの期間限定商品の販売が好調だった
ものの、気温が高い日が続いた影響などにより「鍋焼」などの季節商品が伸び悩みました。その一方で、発売30周
年を迎えた「流水麺」や食塩ゼロ・糖質40%オフの「本うどん」など健康商品の販売強化に努めました。また業務
用市場においては、高齢者の食べやすさと健康に配慮し、麺を細かくカットした食塩ゼロの「きざみうどん」や外
食業界の人手不足問題に対応した簡便商品などの量的拡大を図りました。しかし利益面では、原材料価格やエネル
ギーコストなどの大幅な上昇が影響し伸び悩みました。
その結果、売上高359億円、セグメント利益11億46百万円となりました。
金融事業
期後半で世界同時株安など厳しい市況が続く状況下でも堅調に推移し、売上高23億6百万円(前年同期比9.4%
増)、セグメント利益13億34百万円(同22.3%増)となりました。
※:Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
主な経営指標
2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | ||
流動比率 | (%) | 322.0 | 273.6 | 305.9 | 235.8 |
固定比率 | (%) | 11.2 | 20.2 | 20.3 | 39.2 |
自己資本比率 | (%) | 69.2 | 66.3 | 70.4 | 61.7 |
売上高営業利益率 | (%) | 5.4 | 7.5 | 7.4 | 5.5 |
売上高経常利益率 | (%) | 6.6 | 8.7 | 8.8 | 6.0 |
売上高当期純利益率 | (%) | 4.7 | 5.9 | 7.1 | 3.5 |
自己資本当期純利益率 (ROE) | (%) | 8.3 | 9.8 | 11.1 | 6.9 |
総資本経常利益率 (ROA) | (%) | 8.1 | 9.7 | 9.6 | 7.4 |
従業員1人当たり売上高 | (百万円) | 108 | 96 | 84 | 59 |
従業員1人当たり当期純利益 | (百万円) | 5 | 5 | 6 | 2 |
(注)1.「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」を使用しております。
2.2019年3月期より、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2018年2月16日改正)を適用しております。当該会計方針の変更は遡及適用され、2018年3月期以前の流動比率、固定比率、自己資本比率、自己資本当期利益率及び総資本経常利益率は、遡及修正後の数値を記載しております。