有価証券報告書-第33期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:35
【資料】
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【項目】
102項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用環境・所得環境が改善を続ける中で、企業収益も高い水準を維持し、緩やかな景気回復基調にありましたが、10月に実施された消費増税の影響に加えて、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の拡大により景気の押し下げ懸念が強まり、予断を許さない厳しい状況となりました。
医療機器業界においては、新型コロナの拡大により医療現場がひっ迫した状況を迎える中で、医療体制を維持し、医療従事者を支える産業としての社会的責務を果たすために、各社がそれぞれの立場において負うべき役割が問い直されております。
このような経営環境の中で当社は、主力製品である採血管準備装置について、より安全で正確な採血業務を実現する高機能モデルの普及に努めながら、中小規模の医療施設に向けた小型製品「BC・ROBO 7」の販売拡大や、消耗品等の安定供給にも積極的に取り組んでまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は9,810,534千円(前期比5.1%増加)となりました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比2.7ポイント減少し8.7%となりました。
利益面に関しては、売上高の増加により売上総利益が4,498,483千円(前期比3.3%増加)となったものの、販売費及び一般管理費については、人員増による人件費の増加などにより3,240,729千円(前期比14.2%増加)となり、営業利益は1,257,753千円(前期比17.1%減少)、経常利益は1,269,747千円(前期比17.3%減少)、当期純利益は1,000,452千円(前期比8.9%減少)となりました。
なお、当社は医療機器及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる事業とする単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため品目別に業績を記載いたします。
<採血管準備装置>当事業年度における採血管準備装置の売上高は4,233,448千円(前期比11.3%増加)となりました。
国内市場の売上高は、大規模の医療施設における更新案件が今年度に集中したことにより、3,822,095千円(前期比18.7%増加)となりましたが、海外市場においては、前年度に中国向けの販売案件が集中した反動や、新型コロナの影響により中国向けの案件に遅延が生じたことなどから、売上高は411,353千円(前期比29.3%減少)となりました。
<検体検査装置>当事業年度における検体検査装置の売上高は570,813千円(前期比8.0%減少)となりました。
主力製品である血液ガス分析装置について、販売が伸長した昨年度に比べて、国内市場・海外市場ともに足踏みが見られた結果、国内市場での売上高は462,991千円(前期比4.9%減少)、海外市場での売上高は107,822千円(前期比19.3%減少)となりました。
<消耗品等>当事業年度における消耗品等の売上高は5,006,272千円(前期比2.0%増加)となりました。
国内市場での売上高は、装置の累計販売台数の増加に伴って4,673,664千円(前期比2.6%増加)となった一方、海外市場での売上高は、前期比で減少となる332,607千円(前期比5.8%減少)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、7,313,630千円(前期比113,218千円増加)となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は1,269,281千円(前期比565,025千円増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,339,010千円であった一方、たな卸資産の減少額が236,451千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により支出した資金は553,145千円(前期比305,949千円増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出423,114千円があったことと、定期預金の預入による支出130,196千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は602,917千円(前期比217,032千円増加)となりました。これは、配当金の支払額402,903千円があったほか、自己株式の取得による支出200,013千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
採血管準備装置(千円)3,617,982△17.8
検体検査装置(千円)714,38032.1
消耗品等(千円)5,074,591△0.9
合計(千円)9,406,954△6.5

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前期比(%)
採血管準備装置(千円)4,233,44811.3
検体検査装置(千円)570,813△8.0
消耗品等(千円)5,006,2722.0
合計(千円)9,810,5345.1

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は16,569,923千円となり、前事業年度末比414,732千円増加しました。これは主に、商品及び製品が337,112千円減少した一方、現金及び預金が243,414千円増加、本社近隣の賃借物件内に物流センターを新設したこと等により建物が186,589千円増加、消耗品製造設備を新設したこと等により機械装置が141,401千円増加したほか、仕掛品が91,693千円増加したこと、債権回収方法の変更により電子記録債権が90,022千円増加したこと等によるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は2,420,629千円となり、前事業年度末比7,278千円増加しました。これは主に、未払金が96,519千円増加、未払消費税等が93,786千円増加した一方、未払法人税等が162,828千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は14,149,293千円となり、前事業年度末比407,453千円増加しました。これは、利益剰余金が597,572千円増加したことと、自己株式の増加190,332千円があったこと等によるものであります。なお、自己資本比率は85.4%となり、前事業年度末比0.3ポイント増加しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高9,810,534千円(前期比5.1%増加)、営業利益1,257,753千円(前期比17.1%減少)、経常利益1,269,747千円(前期比17.3%減少)、当期純利益1,000,452千円(前期比8.9%減少)となりました。
売上高につきましては、採血管準備装置(前期比11.3%増加)、消耗品等(前期比2.0%増加)の2品目で前期比にて売上増となった一方、検体検査装置は前期を下回る結果となりました(前期比8.0%減少)。
国内市場における売上高は8,958,751千円(前期比8.4%増加)となり、海外市場における売上高は851,783千円(前期比20.3%減少)となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上総利益は4,498,483千円(前期比3.3%増加)となり、販売費及び一般管理費は3,240,729千円(前期比14.2%増加)となった結果、営業利益は1,257,753千円(前期比17.1%減少)となりました。販売費及び一般管理費の主な増加要因は、人件費や研究開発費の増加によるものであります。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の経営成績は、国内市場における採血管準備装置および消耗品等の売上伸長により売上高が前期比を上回った一方、海外市場では売上の伸びに足踏みが見られ、グローバル展開のための製品力強化と販路拡大が必要不可欠となっております。利益面においては、販管費の増加等により前期比で減少となり、今後も同様の傾向が続くことが想定される中で、必要な投資を果断に実行しつつも、研究開発体制の合理化等にも注力し、より安定的で無駄のない経営基盤を構築することが求められております。
当社の経営成績に影響を与える大きな要因としては、新型コロナによる医療施設の運営方針等への影響や、政府の医療政策運営のあり方、当社の属する医療業界の市場動向等が挙げられます。
少子高齢化の進行が著しいわが国では、社会保障費の削減が強く求められており、医療費の抑制を企図した医療政策運営の中で、医療施設の経営は一層の合理化・効率化を求められて来ました。このような状況下で、新型コロナの感染拡大に伴う通院の減少や入院の制限等の影響により、医療施設の経営環境は更に厳しさを増しております。
病院をはじめとする医療施設の経営が大きな変革を迫られる中で、当社の属する医療機器業界においても、価格競争をはじめとする競争の激化は不可避であるものと考えられますが、このような状況にあっても、医療現場におけるニーズを的確に見出し、新たな価値を生み出すための企業活動を着実におこなってまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
2018年3月期2019年3月期2020年3月期
自己資本比率(%)84.0285.0685.39
時価ベースの自己資本比率(%)119.87114.03111.18
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)---
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)15,804.949,909.75-

(注)1. 各指標の算式は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4. 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。