有価証券報告書-第36期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/28 13:50
【資料】
PDFをみる
【項目】
108項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による社会経済活動の制限が徐々に緩和される中、緩やかな景気の持ち直しが継続しました。
一方で、原材料やエネルギー価格の高騰、急速な金融引き締めによる世界経済の減速懸念などにより、先行きに予断を許さない状況が続いております。
医療業界においては、新型コロナによる医療提供体制への影響は軽減しつつあるものの、2022年4月に行われた診療報酬の改定では、本体部分のプラスが0.43%にとどまり、薬価の改定を含めた診療報酬全体としては、前回に続いてマイナス改定となるなど、業界を取り巻く環境は依然として厳しく、一層の効率化、合理化に向けた取り組みが急務となっております。
このような経営環境の中で当社は、医療施設の運営の効率化に寄与する採血管準備装置および関連システムについて、医療現場の要望に応じて、提供可能なソリューションの幅を広げながら販売活動に注力するとともに、検体検査装置の新規導入提案、消耗品等の安定供給についても、引き続き努めてまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は9,367,586千円(前期比3.4%減少)となりました。主力製品である採血管準備装置の大型案件が前期に比べて少なかったことに加えて、消耗品である採血管の供給事業を終了したこと等により、前期の売上を下回る結果となりました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比1ポイント増加し11.7%となりました。
利益面に関しては、売上高の減少に伴い売上総利益が4,630,294千円(前期比3.9%減少)となりました。販売費及び一般管理費は、諸経費の削減を継続したことにより2,980,841千円(前期比0.9%増加)となりました。この結果、営業利益は1,649,453千円(前期比11.4%減少)、経常利益は1,668,300千円(前期比9.9%減少)、当期純利益は1,150,733千円(前期比10.2%減少)となりました。
<採血管準備装置・システム>当事業年度における採血管準備装置・システムの売上高は3,573,728千円(前期比5.8%減少)となりました。
国内市場における売上高は、前期に比べて大型案件が減少したことや、次年度以降に販売が延期となる案件が生じたこと等により3,292,328千円(前期比6.5%減少)となりました。一方、海外市場における売上高は、大規模施設向けの機種の販売が伸長したこと等により281,399千円(前期比3.5%増加)となりました。
<検体検査装置>当事業年度における検体検査装置の売上高は591,011千円(前期比5.3%増加)となりました。
国内市場における売上高は、ハンディ型の血液ガス分析装置のモデルチェンジや、材料不足で電解質分析装置の仕入れが不安定化したこと等があった結果、346,781千円(前期比1.3%減少)となりました。一方、海外市場における売上高は、新型コロナ対応によりハンディ型の血液ガス分析装置の販売が増加したことなどから244,229千円(前期比16.1%増加)となりました。
<消耗品等>当事業年度における消耗品等の売上高は5,202,846千円(前期比2.7%減少)となりました。
2022年4月をもって、消耗品である採血管の供給事業を終了したこと等により、国内市場における売上高は4,629,279千円(前期比3.4%減少)となりました。一方、海外市場での売上高は、稼働装置数の増加に伴い573,567千円(前期比3.7%増加)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、11,750,289千円(前期比226,782千円増加)となりました。なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は887,240千円(前期比1,175,737千円減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益が1,665,773千円、仕入債務の増加額が217,013千円であった一方、棚卸資産の増加額が636,220千円、法人税等の支払額が644,289千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により支出した資金は155,370千円(前期は2,489,140千円の収入)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が133,181千円、差入保証金の差入による支出が26,379千円であった一方、差入保証金の回収による収入9,748千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は505,088千円(前期比93,550千円減少)となりました。これは、配当金の支払額505,088千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比増減率(%)
採血管準備装置・システム(千円)4,692,83167.3
検体検査装置(千円)686,108△2.4
消耗品等(千円)5,180,235△3.8
合計(千円)10,559,17618.7

(注)1. 金額は販売価格によっております。
2. 当事業年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは主に、採血管準備装置・システムにおける半導体不足等の欠品リスクに備え棚卸資産を増やしたことによるものであります。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比増減率(%)
採血管準備装置・システム(千円)3,573,728△5.8
検体検査装置(千円)591,0115.3
消耗品等(千円)5,202,846△2.7
合計(千円)9,367,586△3.4

⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は19,443,171千円となり、前事業年度末比934,926千円増加しました。これは主に、商品及び製品が543,205千円増加、現金及び預金が226,782千円増加、未収消費税等が83,757千円増加した一方、電子記録債権が99,917千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は3,056,316千円となり、前事業年度末比198,156千円増加しました。これは主に、前受金が217,797千円増加、買掛金が217,013千円増加した一方、未払法人税等が121,840千円減少、未払消費税等が148,050千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は16,386,854千円となり、前事業年度末比736,769千円増加しました。これは、配当金の支払いが505,214千円であった一方、自己株式の処分106,797千円があったほか、当期純利益が1,150,733千円であったこと等によるものであります。なお、自己資本比率は84.3%となり、前事業年度末比0.3ポイント減少しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高9,367,586千円(前期比3.4%減少)、営業利益1,649,453千円(前期比11.4%減少)、経常利益1,668,300千円(前期比9.9%減少)、当期純利益1,150,733千円(前期比10.2%減少)となりました。採血管準備装置の大型案件が前期に比べて少なかったことや、採血管の供給事業を終了したこと等により、売上、利益ともに前期を下回りました。
売上高に関しては、採血管準備装置・システム関連では、国内市場における大型更新需要が前期より少なく、前期比5.8%の減少となりました。検体検査装置関連では、海外市場におけるコロナ対応のための血液ガス分析装置の需要増により、前期比5.3%の増加となりました。消耗品等では、採血管の供給事業の終了により、前期比2.7%の減少となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上高の減少に伴い、売上総利益は4,630,294千円(前期比3.9%減少)となり、販売費及び一般管理費は2,980,841千円(前期比0.9%増加)となった結果、営業利益は1,649,453千円(前期比11.4%減少)となりました。
②財政状態および経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度における我が国経済は、新型コロナの影響が軽減しつつあるものの、景気の先行きは依然として予断を許さない状況が続きました。医療機器業界においては、徐々に従来の診療体制を取り戻しつつあるものの、再度の感染拡大等に対する警戒を怠ることが出来ない状況が続いております。
このような経営環境の中で当社は引き続き、お客様および従業員の健康と安全の確保を最優先に、新型コロナの感染拡大防止に取り組みつつ、医療機器メーカーとしての可能な限りのサービス提供、消耗品の安定供給の維持に努めてまいりました。
また当社は、2023年度(2024年3月期)からの新3ヶ年中期経営計画を新たに策定いたしました。本中期経営計画は、①財務戦略・投資計画・資本政策 ②人材戦略 ③営業戦略 ④生産技術戦略 ⑤研究開発戦略 の各戦略を着実に実行することにより、当社の事業構造の転換を図ると共に、持続的成長を目指し「2030長期ビジョン」へとつなげていくことを目指しています。
経営指標2024年3月期2025年3月期2026年3月期3ヶ年合計
売上高(千円)9,800,00010,000,00011,000,00030,800,000
営業利益(千円)1,300,0001,400,0001,800,0004,500,000
売上高営業利益率(%)13.314.016.414.6

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
2021年3月期2022年3月期2023年3月期
自己資本比率(%)85.2284.5684.28
時価ベースの自己資本比率(%)82.5471.0282.59
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)---
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)---

(注)1. 各指標の算式は以下の算式を使用しております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
4. 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。
④重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。