有価証券報告書-第31期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 14:31
【資料】
PDFをみる
【項目】
72項目
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、雇用情勢や企業収益の改善を背景に、緩やかな景気回復基調で推移しました。海外経済についても、米国経済が好調を維持したほか、中国をはじめとする新興国経済にも持ち直しの動きが見られるなど、全体として景気の回復基調を維持しました。
医療機器業界では、平成30年4月に行なわれた診療報酬と介護報酬のいわゆる「ダブル改定」において、手術や検査などに係る本体部分の改定率は0.55%のプラス改定となったものの、薬価や材料価格のマイナス改定により、診療報酬全体としては1.19%の引き下げとなるなど、政府の掲げる「経済・財政再生計画」のもとで、社会保障費の抑制に向けた取り組みは一段と進んでおり、医療施設においては一層の経営効率化が求められております。
このような経営環境の中で、当社では、より円滑で効率的な採血業務をサポートするための機能を強化した「BC・ROBO-8001RFID」の販売を開始いたしました。また、検体検査装置分野においては、メンテナンス機能の充実や運用コストの低減を実現した、血液ガス分析装置の最新モデル「GASTAT-700Modelシリーズ」の販売活動を強化するなど、医療施設の経営効率化に寄与する製品ラインナップを取り揃え、医療の現場に新しい価値を提案するための製品づくりや販売活動に引き続き注力してまいりました。
この結果、当事業年度の売上高は8,654,247千円(前期比2.3%増加)となりました。なお、総売上高に対する海外売上高の占める割合は、前期比0.8ポイント減少し9.8%となりました。
利益面に関しては、仕入原価の増加や旧型製品の在庫の評価減があったこと等により、売上総利益は4,002,722千円(前期比2.8%減少)となり、販売費及び一般管理費については、前期には採血管準備装置の最新モデルの開発等があったことから研究開発費が前期比で減少し、2,511,080千円(前期比7.0%減少)となり、営業利益は1,491,641千円(前期比5.1%増加)、経常利益は1,490,631千円(前期比6.8%増加)、当期純利益は、前期には決算修正に係る特別損失があったことから、1,308,516千円(前期比185.6%増加)となりました。
なお、当社は医療機器及び、これら装置で使用する消耗品の製造、販売を主たる事業とする単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため品目別に業績を記載いたします。
<採血管準備装置>当事業年度における採血管準備装置の売上高は3,523,176千円(前期比2.7%減少)となりました。
期中に最新モデルを市場投入して販売の拡大を図ってまいりましたが、更新需要の谷間の時期に差し掛かって販売台数が伸び悩み、国内市場での売上高は3,106,832千円(前期比2.8%減少)、海外市場での売上高は416,343千円(前期比2.2%減少)となりました。
<検体検査装置>当事業年度における検体検査装置の売上高は517,704千円(前期比3.2%減少)となりました。
主力製品である血液ガス分析装置について、競争力の高い海外メーカーとの競合の中でシェア拡大に努めてまいりましたが、国内市場における売上高は406,961千円(前期比0.1%減少)、海外市場での売上高は110,742千円(前期比13.2%減少)となりました。
<消耗品等>当事業年度における消耗品等の売上高は4,613,367千円(前期比7.3%増加)となりました。
国内市場においては、装置の累計販売台数の増加に伴って安定的に売上を伸ばし、売上高は4,294,199千円(前期比8.4%増加)となりました。海外市場においても堅調な販売を維持しましたが、受注および売上計上のタイミングにより、売上高は前期比において減少となる319,167千円(前期比5.9%減少)となりました。
②キャッシュ・フロー
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、7,129,237千円(前期比978,559千円増加)となりました。
なお、当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、営業活動により得られた資金は1,517,084千円(前期比821,622千円増加)となりました。
これは主に、税引前当期純利益が1,670,791千円、仕入債務の増加額が528,206千円であった一方、売上債権の増加額が507,077千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、投資活動により支出した資金は168,635千円(前期比2,665千円増加)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出53,320千円があったほか、定期預金の預入による支出110,176千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において、財務活動により支出した資金は369,890千円(前期比484千円減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額369,890千円があったことによるものであります。
③生産実績
当事業年度の生産実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
採血管準備装置(千円)3,267,94726.8
検体検査装置(千円)312,054△53.3
消耗品等(千円)4,678,3797.5
合計(千円)8,258,3818.7

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
④受注実績
見込生産をおこなっておりますので、該当事項はありません。
⑤販売実績
当事業年度の販売実績を単一セグメント内の品目別に示すと、次のとおりであります。
単一セグメント内品目別当事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
採血管準備装置(千円)3,523,176△2.7
検体検査装置(千円)517,704△3.2
消耗品等(千円)4,613,3677.3
合計(千円)8,654,2472.3

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥財政状態
(資産の部)
当事業年度末の総資産の残高は15,493,152千円となり、前事業年度末比1,377,424千円増加しました。
これは主に、売上と利益の増加により現金及び預金が1,088,735千円増加、最終四半期における採血管準備装置の販売が前年同期を大きく上回ったことなどから、売掛金が671,482千円増加した一方、債権の回収方法の変更等により受取手形の額が223,663千円減少、商品及び製品が182,698千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当事業年度末の負債の残高は2,475,432千円となり、前事業年度末比528,503千円増加しました。
これは主に、最終四半期における売上増に伴う仕入の増加などにより買掛金が528,206千円増加、未払消費税が76,053千円増加した一方、研究開発費の減少等により未払金が140,709千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末の純資産の残高は13,017,720千円となり、前事業年度末比848,920千円増加しました。
これは主に、利益剰余金が933,636千円増加したこと、自己株式の増加84,716千円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は84.0%となり、前事業年度末比2.2ポイント減少しました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。
①経営成績等
当事業年度の経営成績は、売上高8,654,247千円(前期比2.3%増加)、営業利益1,491,641千円(前期比5.1%増加)、経常利益1,490,631千円(前期比6.8%増加)、当期純利益1,308,516千円(前期比185.6%増加)となりました。
売上高につきましては、消耗品等(前期比7.3%増加)が前期比において売上増となった一方、採血管準備装置(前期比2.7%減少)、検体検査装置(前期比3.2%減少)は前期比にて売上減となりました。
国内市場における売上高は7,807,993千円(前期比3.2%増加)となり、海外市場における売上高は846,254千円(前期比5.2%減少)となりました。
売上総利益及び営業利益につきましては、売上総利益は4,002,722千円(前期比2.8%減少)となり、販売費及び一般管理費は前期比189,934千円減少し、営業利益は1,491,641千円(前期比5.1%増加)となりました。販売費及び一般管理費の主な減少要因は、研究開発費が前期比211,107千円減の446,150千円となったことによるものであります。
キャッシュ・フローにつきましては、(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローに記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、政府の医療政策運営のあり方や、当社の属する医療業界の市場動向等が挙げられます。
少子高齢化の進行が著しいわが国では、社会保障費の削減が強く求められており、医療費の抑制を企図した医療政策運営の中で、医療施設の経営は一層の合理化・効率化を進めてゆくことが予想されます。
病院をはじめとする医療施設の経営が大きな変革を迫られる中で、当社の属する医療機器業界においても、価格競争をはじめとする競争の激化は不可避であるものと考えられますが、このような状況にあっても、医療現場におけるニーズを的確に見出し、新たな価値を生み出すための企業活動を着実におこなってまいります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の主な資金需要は、研究開発型企業として発展し続けるための研究開発資金や、生産活動に必要な運転資金、生産設備や研究設備を増設するための設備投資資金等であり、これらは主に自己資金によって賄っております。