有価証券報告書-第81期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/24 15:06
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当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、感染拡大に歯止めがかからず、人・物の動きや経済活動が世界的に制限されたことで、第二次世界大戦後で最悪の景気後退と言われるほどのダメージを受けました。
国境を越えるサプライチェーンが途絶し、対面するサービス業に制約がかかるなど供給面に影響が生じたことに加え、外出制限や渡航制限に伴い、飲食や宿泊、運輸などで前例の無い規模で需要が縮小し、さらに耐久財についても需要が急減するなど全世界で異次元の経済危機に発展しました。
国内経済においては、緊急事態宣言が出され、GDPが年率換算で戦後最悪の下落となった4~6月期以降、感染拡大第2波、第3波の影響による先行き不透明感から、民間消費や設備投資といった内需が弱い状況が続き、業種間の成長格差も広がりました。
当社グループの取引に関する業界は、次世代通信規格「5G」やデータセンター向けが好調に推移した一方、国内の産業・工作機械の設備投資は抑制されました。また国内の自動車生産は復調傾向にあったものの、車載半導体不足が世界中で深刻化し、2月以降は多くのメーカーが減産や生産調整を迫られることとなりました。
このような状況下、当社グループは、5年間の新たな成長戦略として中期経営計画「ICHIGAN 2024」を2020年4月からスタートし、「環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献する」をテーマに掲げ、代理店、商社の枠を超えた事業創出会社として新たな価値を創造していくことを目指し、事業活動を進めてまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高1,968億41百万円(前期比14.4%減)、営業利益34億15百万円(前期比38.6%減)、経常利益36億53百万円(前期比36.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23億43百万円(前期比39.3%減)となりました。

セグメントごとの業績の概要及び分析は、次のとおりです。
当連結会計年度より、報告セグメントの区分及び名称を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値及び名称を当該変更後の数値及び名称で比較しております。詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

半導体製造装置関連及び工作機械向けは年度後半から中国市場を中心に好転しましたが、自動車関連を始めとした製造業向けが年間を通じて低調に推移し減収となり、営業利益も減益となりました。

年度後半における冷熱システム分野の換気需要及び冷蔵・冷凍分野の好調が下支えしたものの、前年度活況を呈していた建設市場の反動減及び新規案件の延期・中止等が影響し減収となり、営業利益も減益となりました。

スマートアグリ分野では、年度前半に大型植物工場案件の計上がありましたが、後半は生産事業へのビジネスモデル転換の準備期間と重なったことにより低調に推移しました。ネットワークシステム分野では、テレワーク用製品の引き合いが強くコンポーネントビジネスが堅調に推移しましたが、モニタリングなどの工場管理システムの新規受注が低調に推移しました。ヘルスケア分野では、サプライビジネスが増加基調となりましたが、病院内IT設備関連ビジネスは低調に推移しました。
その結果、ICTシステム全体では減収となり、営業利益も減益となりました。

国内では、自動車関連向けが後半回復傾向となり、産業機器関連向けについても下期後半より中国向けを中心に回復してきましたが、前半の低迷をカバーするには至らず、減収となりました。
海外子会社では、自動車関連向けが後半回復基調となりましたが、前半低調に推移したことに加え、中国地域におけるエアコンなどの空調機器関連向けが天候不順等の影響を受け、減収となりました。
その結果、エレクトロニクス全体では減収となり、営業利益も減益となりました。
通期の業績の見通しとして公表した経営目標値とその達成状況は次のとおりです。
経営目標値
(百万円)
当連結会計年度実績
(百万円)
達成率
(%)
売上高204,000196,84196.5
営業利益4,0003,41585.4
経常利益4,0003,65391.3
親会社株主に帰属する
当期純利益
3,0002,34378.1

(2)生産、受注及び販売の状況
①仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム30,74784.8
冷熱ビルシステム25,36982.9
ICTシステム6,06277.9
エレクトロニクス117,52287.2
合計179,70285.8

(注) 1 金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
2 数量は単位、呼称が多岐にわたるため、省略しております。
②販売実績
ア 販売方法
当社グループは、メーカー製造に係る商品をユーザー又は販売店に、また、材料・半製品をメーカー又はユーザーに販売しています。
イ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
FAシステム35,71386.1
冷熱ビルシステム27,27882.2
ICTシステム7,60581.9
エレクトロニクス126,24386.4
合計196,84185.6

(注) 1 販売実績は、受入手数料を含めて計上しています。
2 上記金額には消費税等は含まれていません。
3 数量は単位、呼称が多岐にわたるため省略しています。
4 主な販売先への販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
パナソニック(株)30,46613.225,65013.0

(3)財政状態
資産の部は、現金及び預金が9億55百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が49億78百万円、商品及び製品が15億72百万円減少したこと等により、資産合計は前連結会計年度末比27億74百万円減少し、1,255億29百万円となりました。
負債の部は、支払手形及び買掛金が53億58百万円、未払法人税等が9億15百万円減少したこと等により、負債合計は前連結会計年度末比51億36百万円減少し、556億9百万円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益を23億43百万円、配当金を12億17百万円計上したこと等により、純資産合計は前連結会計年度末比23億62百万円増加し、699億19百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末比3.0ポイント増加し、55.6%となりました。
(4)キャッシュ・フロー
当社グループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、資金需要に応じた一定の手許流動性を維持することを目的に、健全かつ効率的な財務活動を行っております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末比9億55百万円増加し、211億20百万円の残高となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、19億39百万円(前年同期比39億98百万円支出増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益35億99百万円の計上と、売上債権・たな卸資産・仕入債務の減少によるネット資金の増加3億74百万円、法人税等の支払18億91百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により得られた資金は、1億83百万円(前年同期比7億1百万円収入増)となりました。これは主に、長期貸付けによる支出3億50百万円、投資有価証券の売買によるネット収入3億2百万円、定期預金の払戻による収入3億円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、10億52百万円(前年同期比12億29百万円収入増)となりました。これは主に、配当金の支払12億16百万円、短期借入金の増加1億65百万円によるものです。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、資金需要に応じた一定の手許流動性を維持することを目的に、健全かつ効率的な財務活動を行っております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売活動のための商品及び部材等購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、営業費用の主なものは人件費及び運賃諸掛であります。
中期経営計画「ICHIGAN 2024」においては、事業創出会社として既存の枠を超えた新たな付加価値を創造することを目指し、「成長事業のビジネスモデル確立と次世代新規ビジネスの創出」、「基幹中核事業の生産性向上」及び「事業推進基盤の強化」による収益力の強化に向けた成長投資を行ってまいります。
株主還元については、中長期的な安定配当を維持継続することを基本として、各事業年度の連結業績及び中長期的なグループ戦略等を勘案のうえ利益還元を実施してまいります。
これら資金需要に必要な資金は、営業活動から創出されるキャッシュ・フロー及び手許資金を充当することを基本としております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。