訂正有価証券報告書-第79期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/07/01 10:39
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152項目
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
その他、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の分析については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度の比較・分析を行っております。
(1) 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、米国が堅調さを維持し続けている中、中国は貿易摩擦などの影響で成長に鈍化が見られ、欧州でも景気は減速傾向となっています。今後の世界景気は、牽引してきた米国経済が税制改革効果の減退や雇用増加ペースの鈍化などにより減速に向かうとの見方も出ており、さらには本格化すると見られる米中貿易摩擦の影響により、世界的な景況感が悪化する可能性もあるなど先行き不透明感は強まってきています。
国内経済においては、好調であった企業収益を背景に、設備投資の増加や雇用の改善により、緩やかな回復基調にありましたが、年度後半より輸出が頭打ちの様相を示すなど、今後は、内需依存の傾向を強めると予想されます。
当社グループの取引に関する業界は、設備関連が一部減速となったものの全体的には堅調な動きを見せ、省エネルギー関連では引き続き好調を維持し、自動車関連でも国内・欧州向けが堅調に推移しました。
このような状況下、当社グループは、事業環境の変化に適応した「グローバル・ソリューション・プロバイダー」として事業強化を進める中、顧客に徹底的に寄り添い、顧客ニーズを基点とした価値を創造し、顧客や市場における当社グループの存在価値を高め、収益性の向上を図るため、営業利益率4%を目標とした取組みを加速させてまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,403億12百万円(前期比1.6%増)、営業利益56億24百万円(前期比10.8%増)、経常利益56億48百万円(前期比11.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37億31百万円(前期比4.0%増)となりました。
なお、急激な円高や自国第一主義の広がり、さらには地政学リスクなど事業環境が大きく変化する中で海外事業展開が思いのほか振るわず、加えて収益性向上が見込まれるソリューション事業拡大の遅れなどにより、営業利益率は4%の目標値に対し2.3%と大きく未達となりました。
セグメントごとの業績の概要及び分析は、次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、全社に係る新規事業開発費用を事業セグメントに配賦しない方法に変更しております。当該変更は、社内の損益管理方法の変更に合わせるために行ったものであります。また、当連結会計年度より、組織変更を契機に報告セグメント名称の見直しを行い、従来の「IT施設システム」を「ICT施設システム」へ変更しております。そのため、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を当該変更後の数値で比較しております。
①FAシステム
[当連結会計年度連結売上高465億94百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益20億0百万円(前年同期比0.7%増)]
半導体・液晶関連製造装置向けは低調に推移、また、機器販売店向けは軟調に推移しましたが、工作機械・実装機向けが好調に推移し、増収となりました。また営業利益は、前期並みとなりました。
②冷熱システム
[当連結会計年度連結売上高274億14百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益11億39百万円(前年同期比94.5%増)]
大都市を中心とした大手設備業者向け案件並びに冷蔵・冷凍の低温分野は軟調でしたが、機器卸店向けが好調に推移し、増収となりました。また営業利益は、増収及び売上総利益率の向上により、大幅な増益となりました。
③ICT施設システム
[当連結会計年度連結売上高88億63百万円(前年同期比40.3%増)、営業利益1億63百万円(前年同期比5.9%増)]
情報通信分野及びメディカル分野におけるICTネットワーク関連機器が好調に推移しました。また、ビルシステム分野では大都市を中心とした好況な建設市場の影響でビル設備関連機器が好調に推移、並びに、スマートアグリ分野での大型植物工場案件の計上により、大幅な増収となりました。また営業利益は、メディカル分野とスマートアグリ分野での販売費及び一般管理費の増加を、好調なICTネットワーク関連機器及びビル設備関連の売上総利益が吸収したことにより、増益となりました。
④エレクトロニクス
[当連結会計年度連結売上高1,574億40百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益24億64百万円(前年同期比4.7%減)]
国内では、自動車関連の国内・欧州向け生産、またADAS(先進運転支援システム)関連ビジネスが堅調に推移しました。白物家電のエアコンなど空調機器関連市場は好調でしたが、産業機器関連は、中国向け工作機械、半導体製造装置などのFA関連ビジネスが後半減速し、前年比横ばいとなりました。海外子会社では、中国地域において産業機器関連及びエアコン関連向け販売が前半好調に推移しましたが、年後半に減速し、加えて北米地域における自動車関連製品の販売が低調となり減収となりました。また営業利益は、販売費及び一般管理費の削減を図るものの、売上総利益率の低下による売上総利益の減少分を吸収できず、減益となりました。
(2)生産、受注及び販売の状況
①仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
FAシステム41,018101.3
冷熱システム25,867105.2
ICT施設システム7,443139.4
エレクトロニクス149,41694.0
合計223,74597.6

(注) 1 金額は仕入価格によっており、消費税等は含まれておりません。
2 数量は単位、呼称が多岐にわたるため、省略しております。
②販売実績
ア 販売方法
当社グループは、メーカー製造に係る商品をユーザー又は販売店に、また、材料・半製品をメーカー又はユーザーに販売しております。
イ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
FAシステム46,594101.6
冷熱システム27,414106.7
ICT施設システム8,863140.3
エレクトロニクス157,44099.2
合計240,312101.6

(注) 1 販売実績は、受入手数料を含めて計上しております。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
3 数量は単位、呼称が多岐にわたるため省略しております。
4 主な販売先への販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
パナソニック(株)33,43214.135,14614.6

(3)財政状態
資産の部は、現金及び預金が29億89百万円、電子記録債権が7億69百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が8億85百万円、商品及び製品が15億51百万円減少したこと等により、資産合計は前連結会計年度末比9億80百万円減少し、1,327億29百万円となりました。
負債の部は、支払手形及び買掛金が13億68百万円、電子記録債務が16億21百万円減少したこと等により、負債合計は前連結会計年度末比26億39百万円減少し、670億13百万円となりました。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益を37億31百万円、配当金を11億71百万円計上したこと等により、純資産合計は前連結会計年度末比16億58百万円増加し、657億16百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は前期末比1.6ポイント増加し、49.4%となりました。
(4)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、29億95百万円増加し、171億7百万円の残高となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において営業活動により得られた資金は、44億79百万円(前年同期比93億13百万円収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益55億91百万円の計上と、売上債権・たな卸資産・仕入債務の減少によるネット資金の減少12億99百万円、法人税等の支払20億65百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、6億86百万円(前年同期比13億61百万円支出増)となりました。これは主に、投資有価証券の売買によるネット支出4億91百万円、有形固定資産の取得による支出1億57百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動に使用した資金は、5億63百万円(前年同期比3億79百万円収入増)となりました。これは主に、配当金の支払11億71百万円、短期借入金の増加6億9百万円によるものです。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、建設関連分野・デジタル家電分野・自動車電装品関連分野をはじめ液晶・半導体・工作機械関連等の幅広い分野で事業展開をしております。当社グループの取り扱う部材・商品はその価格及び品質において競争力を有していると確信しておりますが、各々の分野における事業環境は非常に競争が激しく、為替レートの変動や価格競争並びに製造業者・商社との競合は、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
また、経営成績に特に重要な影響を与えると考えられる見積りは以下のとおりです。
①貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、その回収不能見込額について貸倒引当金を計上しておりますので、顧客の財政状況が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
②たな卸資産
当社グループは、たな卸資産について、推定される将来需要及び市場状況に基づく見積額と取得原価との差額に相当する陳腐化の見積額について評価減を計上しておりますので、実際の将来需要あるいは市場状況が見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しており、これらの投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、投資の減損を計上することとしておりますので、将来の市場悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
④繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の計上にあたって、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部について将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を将来実現できると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を収益として計上いたします。
⑤退職給付費用及び退職給付債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び退職給付債務を、数理計算上設定される前提条件に基づいて算出しております。従って、実際の結果が前提条件と異なる場合があり、計上される退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼします。
(6)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、経営成績の向上と財政状態の安定を図り、資金需要に応じた一定の手許流動性を維持することを目的に、健全かつ効率的な財務活動を行っております。
また当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売活動のための商品及び部材等購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、営業費用の主なものは人件費及び運賃諸掛であります。