有価証券報告書-第82期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。
2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営方針(2024-2026)の最終年度である2027年3月期の業績目標として、売上収益4,400億円、調整後営業利益率11.0%を掲げており、ROEは17.0%以上、連結配当性向は40.0%以上としております。
これに対し2年目である当期は、売上収益4,270億円、調整後営業利益率10.0%の計画※に対し、実績は売上収益4,337億円、調整後営業利益率10.0%となりました。また、ROEは17.9%、連結配当性向は40.5%となりました。
※ 2026年2月4日発表の2026年3月期第3四半期決算短信にて、連結業績予想等を修正しており、修正後の業績予想数値を記載しております。
b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心に企業の強い投資意欲が継続しております。日銀短観の3月調査では、2026年度のソフトウェア投資額も前年度比増加が見込まれています。
一方で、中東情勢の影響を注視する必要があるほか、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などにも十分な注意が必要です。
このような環境の下、当社グループが目指す「Vision2030」の実現に向けて「経営方針(2024-2026)」注1に基づく取り組みを推進しています。基本方針である「持続性のある事業ポートフォリオ確立による企業価値の向上」「経営資源配分の最適化」「グループ経営基盤の強化」を図りながら、現在の収益源である「コア事業」と新たな収益の柱とする「成長事業」の両輪で事業拡大を進めています。
コア事業では、優良な顧客基盤と業務知見を活かせる「ファイナンシャル」「リテール」「エネルギー」「モビリティ」「OTインフラ」注2の5つを注力領域として定めています。
「ファイナンシャル」では、オープン環境/パブリッククラウドでのフルバンキングシステム「BankVisionⓇ」の売上収益が、新規ユーザーの獲得もあり増加しています。外国送金受付ワークフローサービス「SurFINⓇ」を始めとしたフロント系サービスの採用も拡大しています。
「リテール」では、大規模マーチャンダイジング基幹系システム導入や統合ECサービス稼働開始に加え、AI自動発注システム等の店舗DX需要が堅調に推移しています。また、2026年1月には日本最大級のリテールメディアネットワーク「AOUMITM」を展開するカタリナマーケティングジャパン株式会社(以下、CMJ)を完全子会社化しました。BIPROGYとCMJが目指すのは、生活者や地域のニーズを起点に流通業界全体の付加価値を高めるプラットフォームの確立です。生活者の購買データや行動データを高度に活用し、小売の販売現場からサプライチェーンまでデータをデジタルで結びつけ「生活者・地域起点の流通デマンドチェーン」の実現を目指します。
「エネルギー」では、電力会社向けネットワーク案件が好調です。また、カーボンニュートラル関連事業拡大への取り組みを強化しており、長年にわたるエネルギー業界向けのシステム構築で培った知見やIT・AI技術を活かし、系統用蓄電池を活用したアグリゲーション事業注3に取り組んでまいります。
「モビリティ」では、物流の領域にて物流品質の向上や将来的な作業員不足に対応するため、製薬会社に自律型協働ロボットを活用したピッキング自動化ソリューションを導入しました。今後フィジカルAIを駆使してさらなる課題解決に取り組んでまいります。
「OTインフラ」では、製造業を中心にサプライチェーンリスク対策を推進しており、その中でもセキュリティ投資需要の高まりを背景とした案件獲得が進んでいます。また、設備工事まで含めたトータルソリューションの提供による差別化や、パートナー各社との連携を図りながらビジネス領域の拡大に取り組んでいます。
成長事業では、新たな収益基盤の確立と価値の提供を目指して「市場開発」「事業開発」「グローバル」の3つの領域を定めています。
「市場開発」では、データとAIを活用し事業改善サイクルを加速するDX支援事業「Data&AI Innovation LabⓇ」の知見をもとに、「Data&AI Solutions」で利用者に価値の高いAIサービスの提供を目指します。また、マネージドサービスにおいても新たなブランド「GASSAIⓇ」を立ち上げ、Security、Multi/Hybrid Cloud、Digital Workplaceのサービス提供を開始し、順調に拡大しています。
「事業開発」では、地域創生領域において、デジタルマーケティングソリューションを提供するMattrz株式会社を連結子会社化し、中堅・中小企業の生産性向上に資するDX化支援事業を進めています。また、ヘルスケア領域においては、大阪・関西万博のレガシーを事業化し、「DotHealthⓇ カラダ測定サービス」として提供開始しています。社会全体の健康増進につながる社会インフラを提供し、日常の中にヘルスケアが溶け込んだ社会を実現していきます。
「グローバル」では、ASEAN主要国でのICT/DXビジネスが順調に拡大しています。また、CVCファンドを通じて北米スタートアップ企業への投資を進めています。
「経営方針(2024-2026)」では、事業戦略と連動した人財戦略、技術戦略、投資戦略、財務戦略を推進し、市場競争力を高めるため、強みのある領域や新たな価値提供に向けて経営資源を積極的に投入しています。
人財戦略については、「BIPROGYグループ人財戦略レポート2025」注4を発刊しています。経営方針(2024-2026)で掲げた事業戦略をリードする4つの人財モデルの確保・育成が順調に進んでいます。また、技術戦略では、AI活用を加速しています。幅広い分野で培ってきた業務ノウハウとAI技術を融合し「サービスの差別化」を図ると共に、「AI駆動開発」による高品質と短納期の両立を実現し、お客様への提供価値を向上させます。
今後も内外の環境変化に対応し顧客への提供価値を向上させるために、グループバリューチェーンを進化させてまいります。
(注)
1.Vision2030および経営方針(2024-2026)については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
2.OTはOperational Technologyの略称で、主に工場やプラントなどの設計・製造プロセスを支える情報システム基盤のこと。
3.アグリゲーション事業は系統用蓄電池などの分散電源を対象に、卸電力市場および需給調整市場における市場取引および需給調整を行う事業のこと。
4.「BIPROGYグループ人財戦略レポート2025」については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/pdf/sustainability/human_resources_strategy_report2025.pdf
5.記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
当連結会計年度の売上収益は、お客様からのIT投資に対する需要継続を背景に、サービス、製品販売を中心に伸長したことから、前期に比べ296億76百万円増収の4,336億86百万円(前期比7.3%増)となりました。
利益面につきましては、人件費の上昇や将来のビジネス拡大に向けた投資強化、M&A関連費用の計上等により販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収による売上総利益の増益分でカバーし、営業利益は、前期に比べ35億37百万円増加の426億4百万円(前期比9.1%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に比べ42億43百万円増加の312億9百万円(前期比15.7%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前期に比べ51億46百万円増加の435億67百万円(前期比13.4%増)となりました。
※ 調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当連結会計年度末の総資産の状況につきましては、のれんの増加等により、前連結会計年度末比497億93百万円増加の3,806億69百万円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務や借入金の増加等により、前連結会計年度末比400億31百万円増加の1,996億10百万円となりました。
資本につきましては、1,810億59百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は47.0%と前連結会計年度末比4.1ポイント下降しました。
c.資本の財源及び資金の流動性について
財務政策
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また、投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2024-2026)において、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用やイノベーションの持続的な創出、注力領域を中心とした国内外でのM&A等の戦略投資を実施しています。
必要資金については、持続的な営業キャッシュ・フローによる自己資金を原資とすることを基本方針としています。また、大規模なM&A等の戦略投資が発生した場合には、資本効率や財務の健全性を考慮しつつ、借入金等の外部資金の調達を機動的に組み合わせて対応してまいります。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については、業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2024-2026)においては連結配当性向40%以上とすることに加え、株価水準を考慮した機動的な自己株式取得を掲げております。この方針に沿って当連結会計年度において、配当は1株当たり130円(連結配当性向40.5%)とし、100億円の自己株式の取得を実施しました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比177億58百万円減少の470億43百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前利益438億45百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費178億98百万円、営業債務及びその他の債務の増加56億95百万円等の収入加算要素および、契約資産の増加11億83百万円等の収入減算要素により、575億66百万円の収入(前期比126億49百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出39億36百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出134億62百万円、子会社の取得による支出516億9百万円等により、739億78百万円の支出(前期比650億51百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、短期借入金の純増加額296億62百万円、自己株式の取得による支出100億円、配当金の支払額117億45百万円等により、15億12百万円の支出(前期比291億1百万円支出減)となりました。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は1,408億45百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は511億27百万円(前期比14.3%増)となりました。金融機関や小売業、電力事業者向けを中心とした開発案件が順調に拡大したことにより増収増益となりました。AI活用などによる生産性向上などに取り組むことにより、更なる売上収益の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は599億42百万円(前期比2.7%増)、セグメント利益は189億53百万円(前期比2.3%減)となりました。製品販売の増加に伴い付随サービスであるサポートサービスも増収となった一方で、リベート収入の減少等の影響により減益となりました。引き続き売上収益の拡大等を目指すことで、収益性の向上にも努めてまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は972億45百万円(前期比7.4%増)、セグメント利益は213億53百万円(前期比17.1%増)となりました。「BankVision」の新規採用や稼働金融機関の増加、運用サービスの拡大に加え、第4四半期よりCMJの業績を計上したこと等により増収増益となりました。引き続き運用効率の改善や収益性の高いサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、売上収益の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は474億44百万円(前期比5.2%増)、セグメント利益は75億42百万円(前期比17.7%減)となりました。官公庁やサービス業、製造業向けの大型案件の計上により増収となりましたが、前期第4四半期に高採算案件の計上があった影響により減益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は752億64百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は136億38百万円(前期比19.9%増)となりました。官公庁や研究機関向けの大型案件の計上により増収増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービス、設備工事及び教育訓練事業等を含み、売上高は129億44百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は33億93百万円(前期比16.8%増)となりました。
(注)セグメント利益は、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計1,160億9百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額724億41百万円を差し引いた435億67百万円(前期比13.4%増)が調整後営業利益となります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前期比(%) |
| システムサービス(百万円) | 141,836 | 8.8 |
| ソフトウェア(百万円) | 18,018 | 29.6 |
| 合計(百万円) | 159,855 | 10.8 |
(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。
2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| システムサービス | 145,110 | 10.3 | 42,389 | 11.2 |
| サポートサービス | 66,155 | 0.6 | 61,700 | 11.2 |
| アウトソーシング | 102,020 | 25.3 | 168,339 | 2.9 |
| ソフトウェア | 46,968 | 8.5 | 6,863 | △6.5 |
| ハードウェア | 72,444 | 3.7 | 16,247 | △14.8 |
| その他 | 13,062 | 7.6 | 6,371 | 1.9 |
| 合計 | 445,762 | 10.3 | 301,912 | 4.2 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日) | 前期比(%) |
| システムサービス(百万円) | 140,845 | 8.0 |
| サポートサービス(百万円) | 59,942 | 2.7 |
| アウトソーシング(百万円) | 97,245 | 7.4 |
| ソフトウェア(百万円) | 47,444 | 5.2 |
| ハードウェア(百万円) | 75,264 | 11.7 |
| その他(百万円) | 12,944 | 6.5 |
| 合計(百万円) | 433,686 | 7.3 |
(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りです。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、経営方針(2024-2026)の最終年度である2027年3月期の業績目標として、売上収益4,400億円、調整後営業利益率11.0%を掲げており、ROEは17.0%以上、連結配当性向は40.0%以上としております。
これに対し2年目である当期は、売上収益4,270億円、調整後営業利益率10.0%の計画※に対し、実績は売上収益4,337億円、調整後営業利益率10.0%となりました。また、ROEは17.9%、連結配当性向は40.5%となりました。
※ 2026年2月4日発表の2026年3月期第3四半期決算短信にて、連結業績予想等を修正しており、修正後の業績予想数値を記載しております。
b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で緩やかな回復基調が続きました。
情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域を中心に企業の強い投資意欲が継続しております。日銀短観の3月調査では、2026年度のソフトウェア投資額も前年度比増加が見込まれています。
一方で、中東情勢の影響を注視する必要があるほか、金融資本市場の変動の影響や米国の通商政策をめぐる動向などにも十分な注意が必要です。
このような環境の下、当社グループが目指す「Vision2030」の実現に向けて「経営方針(2024-2026)」注1に基づく取り組みを推進しています。基本方針である「持続性のある事業ポートフォリオ確立による企業価値の向上」「経営資源配分の最適化」「グループ経営基盤の強化」を図りながら、現在の収益源である「コア事業」と新たな収益の柱とする「成長事業」の両輪で事業拡大を進めています。
コア事業では、優良な顧客基盤と業務知見を活かせる「ファイナンシャル」「リテール」「エネルギー」「モビリティ」「OTインフラ」注2の5つを注力領域として定めています。
「ファイナンシャル」では、オープン環境/パブリッククラウドでのフルバンキングシステム「BankVisionⓇ」の売上収益が、新規ユーザーの獲得もあり増加しています。外国送金受付ワークフローサービス「SurFINⓇ」を始めとしたフロント系サービスの採用も拡大しています。
「リテール」では、大規模マーチャンダイジング基幹系システム導入や統合ECサービス稼働開始に加え、AI自動発注システム等の店舗DX需要が堅調に推移しています。また、2026年1月には日本最大級のリテールメディアネットワーク「AOUMITM」を展開するカタリナマーケティングジャパン株式会社(以下、CMJ)を完全子会社化しました。BIPROGYとCMJが目指すのは、生活者や地域のニーズを起点に流通業界全体の付加価値を高めるプラットフォームの確立です。生活者の購買データや行動データを高度に活用し、小売の販売現場からサプライチェーンまでデータをデジタルで結びつけ「生活者・地域起点の流通デマンドチェーン」の実現を目指します。
「エネルギー」では、電力会社向けネットワーク案件が好調です。また、カーボンニュートラル関連事業拡大への取り組みを強化しており、長年にわたるエネルギー業界向けのシステム構築で培った知見やIT・AI技術を活かし、系統用蓄電池を活用したアグリゲーション事業注3に取り組んでまいります。
「モビリティ」では、物流の領域にて物流品質の向上や将来的な作業員不足に対応するため、製薬会社に自律型協働ロボットを活用したピッキング自動化ソリューションを導入しました。今後フィジカルAIを駆使してさらなる課題解決に取り組んでまいります。
「OTインフラ」では、製造業を中心にサプライチェーンリスク対策を推進しており、その中でもセキュリティ投資需要の高まりを背景とした案件獲得が進んでいます。また、設備工事まで含めたトータルソリューションの提供による差別化や、パートナー各社との連携を図りながらビジネス領域の拡大に取り組んでいます。
成長事業では、新たな収益基盤の確立と価値の提供を目指して「市場開発」「事業開発」「グローバル」の3つの領域を定めています。
「市場開発」では、データとAIを活用し事業改善サイクルを加速するDX支援事業「Data&AI Innovation LabⓇ」の知見をもとに、「Data&AI Solutions」で利用者に価値の高いAIサービスの提供を目指します。また、マネージドサービスにおいても新たなブランド「GASSAIⓇ」を立ち上げ、Security、Multi/Hybrid Cloud、Digital Workplaceのサービス提供を開始し、順調に拡大しています。
「事業開発」では、地域創生領域において、デジタルマーケティングソリューションを提供するMattrz株式会社を連結子会社化し、中堅・中小企業の生産性向上に資するDX化支援事業を進めています。また、ヘルスケア領域においては、大阪・関西万博のレガシーを事業化し、「DotHealthⓇ カラダ測定サービス」として提供開始しています。社会全体の健康増進につながる社会インフラを提供し、日常の中にヘルスケアが溶け込んだ社会を実現していきます。
「グローバル」では、ASEAN主要国でのICT/DXビジネスが順調に拡大しています。また、CVCファンドを通じて北米スタートアップ企業への投資を進めています。
「経営方針(2024-2026)」では、事業戦略と連動した人財戦略、技術戦略、投資戦略、財務戦略を推進し、市場競争力を高めるため、強みのある領域や新たな価値提供に向けて経営資源を積極的に投入しています。
人財戦略については、「BIPROGYグループ人財戦略レポート2025」注4を発刊しています。経営方針(2024-2026)で掲げた事業戦略をリードする4つの人財モデルの確保・育成が順調に進んでいます。また、技術戦略では、AI活用を加速しています。幅広い分野で培ってきた業務ノウハウとAI技術を融合し「サービスの差別化」を図ると共に、「AI駆動開発」による高品質と短納期の両立を実現し、お客様への提供価値を向上させます。
今後も内外の環境変化に対応し顧客への提供価値を向上させるために、グループバリューチェーンを進化させてまいります。
(注)
1.Vision2030および経営方針(2024-2026)については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/com/management_policy.html
2.OTはOperational Technologyの略称で、主に工場やプラントなどの設計・製造プロセスを支える情報システム基盤のこと。
3.アグリゲーション事業は系統用蓄電池などの分散電源を対象に、卸電力市場および需給調整市場における市場取引および需給調整を行う事業のこと。
4.「BIPROGYグループ人財戦略レポート2025」については、当社グループウェブページの以下ご参照。
https://www.biprogy.com/pdf/sustainability/human_resources_strategy_report2025.pdf
5.記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。
当連結会計年度の売上収益は、お客様からのIT投資に対する需要継続を背景に、サービス、製品販売を中心に伸長したことから、前期に比べ296億76百万円増収の4,336億86百万円(前期比7.3%増)となりました。
利益面につきましては、人件費の上昇や将来のビジネス拡大に向けた投資強化、M&A関連費用の計上等により販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収による売上総利益の増益分でカバーし、営業利益は、前期に比べ35億37百万円増加の426億4百万円(前期比9.1%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に比べ42億43百万円増加の312億9百万円(前期比15.7%増)となりました。
なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益※につきましては、前期に比べ51億46百万円増加の435億67百万円(前期比13.4%増)となりました。
※ 調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
財政状態
当連結会計年度末の総資産の状況につきましては、のれんの増加等により、前連結会計年度末比497億93百万円増加の3,806億69百万円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務や借入金の増加等により、前連結会計年度末比400億31百万円増加の1,996億10百万円となりました。
資本につきましては、1,810億59百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は47.0%と前連結会計年度末比4.1ポイント下降しました。
c.資本の財源及び資金の流動性について
財務政策
当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また、投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2024-2026)において、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用やイノベーションの持続的な創出、注力領域を中心とした国内外でのM&A等の戦略投資を実施しています。
必要資金については、持続的な営業キャッシュ・フローによる自己資金を原資とすることを基本方針としています。また、大規模なM&A等の戦略投資が発生した場合には、資本効率や財務の健全性を考慮しつつ、借入金等の外部資金の調達を機動的に組み合わせて対応してまいります。
また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結会計年度において当該契約に基づく借入実行はありません。
株主還元については、業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2024-2026)においては連結配当性向40%以上とすることに加え、株価水準を考慮した機動的な自己株式取得を掲げております。この方針に沿って当連結会計年度において、配当は1株当たり130円(連結配当性向40.5%)とし、100億円の自己株式の取得を実施しました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比177億58百万円減少の470億43百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金につきましては、税引前利益438億45百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費178億98百万円、営業債務及びその他の債務の増加56億95百万円等の収入加算要素および、契約資産の増加11億83百万円等の収入減算要素により、575億66百万円の収入(前期比126億49百万円収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出39億36百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出134億62百万円、子会社の取得による支出516億9百万円等により、739億78百万円の支出(前期比650億51百万円支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金につきましては、短期借入金の純増加額296億62百万円、自己株式の取得による支出100億円、配当金の支払額117億45百万円等により、15億12百万円の支出(前期比291億1百万円支出減)となりました。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
システムサービス
システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は1,408億45百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は511億27百万円(前期比14.3%増)となりました。金融機関や小売業、電力事業者向けを中心とした開発案件が順調に拡大したことにより増収増益となりました。AI活用などによる生産性向上などに取り組むことにより、更なる売上収益の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
サポートサービス
サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は599億42百万円(前期比2.7%増)、セグメント利益は189億53百万円(前期比2.3%減)となりました。製品販売の増加に伴い付随サービスであるサポートサービスも増収となった一方で、リベート収入の減少等の影響により減益となりました。引き続き売上収益の拡大等を目指すことで、収益性の向上にも努めてまいります。
アウトソーシング
アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は972億45百万円(前期比7.4%増)、セグメント利益は213億53百万円(前期比17.1%増)となりました。「BankVision」の新規採用や稼働金融機関の増加、運用サービスの拡大に加え、第4四半期よりCMJの業績を計上したこと等により増収増益となりました。引き続き運用効率の改善や収益性の高いサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、売上収益の拡大と収益性の向上を図ってまいります。
ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は474億44百万円(前期比5.2%増)、セグメント利益は75億42百万円(前期比17.7%減)となりました。官公庁やサービス業、製造業向けの大型案件の計上により増収となりましたが、前期第4四半期に高採算案件の計上があった影響により減益となりました。
ハードウェア
ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は752億64百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は136億38百万円(前期比19.9%増)となりました。官公庁や研究機関向けの大型案件の計上により増収増益となりました。
その他
その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービス、設備工事及び教育訓練事業等を含み、売上高は129億44百万円(前期比6.5%増)、セグメント利益は33億93百万円(前期比16.8%増)となりました。
(注)セグメント利益は、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計1,160億9百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額724億41百万円を差し引いた435億67百万円(前期比13.4%増)が調整後営業利益となります。