有価証券報告書-第111期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策の効果、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移したものの、足元では新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済活動が抑制されるなど、厳しい状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは医薬品や日用品を扱う事業者として、事業の継続を求められております。いつ、いかなるときも安定的に商品の供給を行うことを使命として、人々の生命と暮らしを支えるべく、全力を挙げて取り組んでおります。
当社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新しい卸の形をめざし、社会環境の変化を見据え
5月15日に発表いたしました。既存事業のさらなる革新を進めるとともに、新規事業は「創造」から「拡大」へとステップアップいたしました。同時に、様々な分野の企業とのパートナーシップを通じて社会と顧客に貢献する新たな枠組みを構築し、収益基盤のさらなる拡大と持続的な成長を目指しております。
この取組みの一環として、2019年8月、医薬品流通に関する最新かつ最適なプラットフォームの構築を目的に、三菱倉庫株式会社(東京都中央区)と業務提携契約を締結するとともに、同社の医薬品専門運送子会社であるDPネットワーク株式会社(埼玉県八潮市)へ出資いたしました。同年11月、Promethera Biosciences S.A.(ベルギー王国 モン・サン・ギベール市、以下、プロメセラ)と業務提携契約を締結いたしました。当社グループの持つ超低温下での細胞医薬品の流通に関する機能とノウハウを活用し、プロメセラの革新的な開発製品の治験段階から上市後の供給に至るまでの安定的な流通体制の構築を目指しております。また、2020年3月、心筋再生医療の早期事業化に取り組むHeartseed株式会社(東京都新宿区、以下、Heartseed)と資本業務提携を行いました。本提携に伴い、当社と当社の連結子会社であるSPLine株式会社(東京都中央区)とHeartseedは治験流通に関する共同研究を開始いたしました。
当連結会計年度における経営成績は、売上高3兆2,530億79百万円(前期比2.2%増)、営業利益531億9百万円(前期比6.6%増)、経常利益680億20百万円(前期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益379億68百万円(前期比10.5%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等の販売は、2019年10月に実施された消費税率の引き上げに伴う薬価改定の影響があったものの、抗がん剤をはじめとする新薬が伸長したことにより、堅調に推移いたしました。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、お得意様と従業員の安全を確保しながら、全国物流センターの相互連携によるバックアップ体制の構築や商品在庫の充実などを通じ、医薬品等の安定供給を継続しております。また、従業員の感染予防、車両、設備の洗浄及び消毒の徹底など、防疫の専門家等の指導のもとさまざまな対策を講じております。
本事業では、国民にとって安全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限に発揮するためのさまざまな取組みを行ってまいりました。
物流基盤の強化については、高品質・高機能かつ災害対策を施したALC・FLC※の全国展開を進めており、当社の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)の「関東ALC」(埼玉県加須市)は2019年6月より順調に稼働しております。また、厳格な温度管理が必要な再生医療等製品などを安全・安心・効率的にお届けする目的で、超低温を含む全温度帯に対応できる物流プラットフォームを構築しております。
営業面の強化については、約2,400名のMR認定試験合格者をARとして任命し、高い専門知識とスキルを活かした情報提供活動に取り組んでおります。
デジタルヘルスケア分野での新たな取組みについては、メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)と、その子会社である株式会社Doctorbook(東京都千代田区)との協業により、医療情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」を展開し、30,000人を超える医療従事者へ最先端の医療情報を提供しております。
厚生労働省が策定した「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」に基づき、個々の製品特性と価値に見合った価格交渉を行っております。
さらに、2019年4月に信頼性統括部を設置し、医薬品の適正使用を推進するとともに、厳格な温度管理が必要な医薬品などの流通管理の実現に努めております。
これらの結果、医療用医薬品等卸売事業における売上高は2兆1,418億28百万円(前期比1.8%増)、営業利益は260億54百万円(前期比16.0%増)となりました。
[用語解説]
※ FLC(Front Logistics Center)とは、ALCと連携して、顧客に近い場所で商品の安定供給を支える営業兼物流拠点であります。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業では、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、社会的な使命を果たすべく、「顧客満足の最大化と流通コストの最小化」をコーポレートスローガンに、人々の生活に密着した「美と健康」に関する商品をフルラインで提供する中間流通業として、サプライチェーン全体の最適化・効率化をめざした取組みを行っております。また、小売業の効果的な品揃えや販売活動を支援する営業体制の強化、及び安心・安全で高品質・ローコスト物流機能の強化を図り、平時はもとより有事の際にも「安定供給」できる体制により、小売業ひいては消費者の皆さまへローコストかつ安定的に商品をお届けする取組みを行っております。
今期は、首都圏での出荷能力増強とAI・ロボット等を活用した新物流モデルの展開による飛躍的な生産性向上を目的とした「RDC※1埼玉」(埼玉県北葛飾郡杉戸町)を2019年11月に稼働させたほか、2020年3月には、首都圏における最適出荷体制の構築と経営資源の有効活用による資産の効率化を図るため「RDC東京」(千葉県浦安市)を売却いたしました。
また、2019年10月に営業組織を改革・強化いたしました。企業間の相互協力による取組みを強化し、サプライチェーン全体の生産性向上を視野に「コストの利益化」を推進するためのSCM※2本部の設置、及び消費者に商品がわたる店頭を重視した取組み強化と、店頭における情報を活用・フィードバックすることによる商談の品質向上を担う店舗支援本部を設置いたしました。
これらの結果、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上高は1兆464億12百万円(前期比3.1%増)、営業利益は246億81百万円(前期比2.7%減)となりました。
[用語解説]
※1 RDC(Regional Distribution Center)とは、化粧品・日用品、一般用医薬品などを扱う大型物流センターで、小売業に商品を供給しております。
※2 SCM(Supply Chain Management)とは、生産された商品が消費者にわたるまでの流通過程全体を視野に、商品や情報等の流れを最適化・効率化するための手法のことをいいます。
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業
動物用医薬品の販売は、畜産向け市場においてワクチンや飼料添加物の積極的な取組みを行ったこと、また、コンパニオンアニマル向け市場における独自の動物病院向けWEB発注情報システム「MP+(エムピープラス)」の利用拡大や、自社企画品の取組みなどにより、堅調に推移いたしました。
食品加工原材料の販売は、提案営業の推進により新規取引が拡大し、堅調に推移いたしました。
これらの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業における売上高は684億5百万円(前期比3.3%増)、営業利益は19億79百万円(前期比23.1%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(新型コロナウイルス感染拡大の影響について)
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関への受診抑制や海外からの旅行客の減少に伴うインバウンド需要の減少、生活様式の変化が見込まれるものの、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。このため、企業価値向上に向けた中長期的な戦略の変更は要しないものと考えており、引き続き人々の安全・安心な暮らしを支える社会インフラとして、事業基盤の拡充に努めてまいります。なお、現時点で業績への影響を合理的に見積もることは困難であります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1兆6,442億79百万円となり、前連結会計年度末より263億68百万円増加いたしました。
流動資産は1兆1,461億79百万円となり、前連結会計年度末より107億77百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の減少54億80百万円、商品及び製品の増加53億3百万円、未収法人税等(その他の流動資産)の増加85億77百万円によるものであります。
固定資産は4,981億円となり、前連結会計年度末より155億91百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の増加113億94百万円、投資その他の資産の増加72億46百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1兆368億54百万円となり、前連結会計年度末より117億91百万円増加いたしました。
流動負債は9,456億円となり、前連結会計年度より129億82百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加139億76百万円によるものであります。
固定負債は912億54百万円となり、前連結会計年度末より11億90百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少35億58百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は6,074億24百万円となり、前連結会計年度末より145億76百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加293億19百万円、自己株式の取得による減少281億40百万円、その他有価証券評価差額金の増加28億52百万円、非支配株主持分の増加111億37百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より54億70百万円減少し、当連結会計年度末には2,245億41百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、各事業の堅調な業績と医療用医薬品等卸事業を中心とした経費削減効果などにより569億17百万円(前期比67億98百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が755億36百万円、減価償却費142億32百万円、売上債権の増加27億2百万円、たな卸資産の増加52億52百万円、仕入債務の増加139億76百万円、法人税等の支払299億19百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、133億19百万円(前期比101億93百万円の減少)となりました。これは主に、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業などにおける有形固定資産の取得による支出242億99百万円、有形固定資産の売却による収入140億30百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、490億67百万円(前期比183億12百万円の増加)となりました。これは主に、借入金の減少84億50百万円、配当金の支払108億35百万円、自己株式の取得による支出282億50百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高を含んでおります。
b.仕入実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①経営成績の状況、 ②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、2019年5月15日に発表した「2022メディパル中期ビジョン」に基づき、持続的成長を目指し、設備投資を含めて3年間で1,000億円規模の投資を予定しております。その財源につきましては、安定的に推移している営業キャッシュ・フローを充当することを基本としますが、投資額の規模、投資回収期間の長短、及び資金調達環境の状況等を勘案し、さらに、自己資本比率30%の財務安全性を確保しつつ、外部調達することも視野に入れております。
また、株主還元策としては、配当性向30%を目安に安定配当を行う予定であります。
純現金(現預金(有価証券含む)残高から借入金・社債残高を控除したもの)は1,920億円あり、突発的な資金需要に対しては、金融機関からの当座貸越枠を1,930億円設定しており、流動性リスクに備えております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。
なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
d.納入価格の見積り設定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年3月期における医療用医薬品の売上高1.9兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.7%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2017年3月期:99.3%、2018年3月期:99.9%、2019年3月期:96.6%)
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済政策の効果、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移したものの、足元では新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済活動が抑制されるなど、厳しい状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは医薬品や日用品を扱う事業者として、事業の継続を求められております。いつ、いかなるときも安定的に商品の供給を行うことを使命として、人々の生命と暮らしを支えるべく、全力を挙げて取り組んでおります。
当社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新しい卸の形をめざし、社会環境の変化を見据え
| たビジョン | ![]() | を新たに策定し、2019年 |
5月15日に発表いたしました。既存事業のさらなる革新を進めるとともに、新規事業は「創造」から「拡大」へとステップアップいたしました。同時に、様々な分野の企業とのパートナーシップを通じて社会と顧客に貢献する新たな枠組みを構築し、収益基盤のさらなる拡大と持続的な成長を目指しております。
この取組みの一環として、2019年8月、医薬品流通に関する最新かつ最適なプラットフォームの構築を目的に、三菱倉庫株式会社(東京都中央区)と業務提携契約を締結するとともに、同社の医薬品専門運送子会社であるDPネットワーク株式会社(埼玉県八潮市)へ出資いたしました。同年11月、Promethera Biosciences S.A.(ベルギー王国 モン・サン・ギベール市、以下、プロメセラ)と業務提携契約を締結いたしました。当社グループの持つ超低温下での細胞医薬品の流通に関する機能とノウハウを活用し、プロメセラの革新的な開発製品の治験段階から上市後の供給に至るまでの安定的な流通体制の構築を目指しております。また、2020年3月、心筋再生医療の早期事業化に取り組むHeartseed株式会社(東京都新宿区、以下、Heartseed)と資本業務提携を行いました。本提携に伴い、当社と当社の連結子会社であるSPLine株式会社(東京都中央区)とHeartseedは治験流通に関する共同研究を開始いたしました。
当連結会計年度における経営成績は、売上高3兆2,530億79百万円(前期比2.2%増)、営業利益531億9百万円(前期比6.6%増)、経常利益680億20百万円(前期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益379億68百万円(前期比10.5%増)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等の販売は、2019年10月に実施された消費税率の引き上げに伴う薬価改定の影響があったものの、抗がん剤をはじめとする新薬が伸長したことにより、堅調に推移いたしました。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、お得意様と従業員の安全を確保しながら、全国物流センターの相互連携によるバックアップ体制の構築や商品在庫の充実などを通じ、医薬品等の安定供給を継続しております。また、従業員の感染予防、車両、設備の洗浄及び消毒の徹底など、防疫の専門家等の指導のもとさまざまな対策を講じております。
本事業では、国民にとって安全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限に発揮するためのさまざまな取組みを行ってまいりました。
物流基盤の強化については、高品質・高機能かつ災害対策を施したALC・FLC※の全国展開を進めており、当社の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)の「関東ALC」(埼玉県加須市)は2019年6月より順調に稼働しております。また、厳格な温度管理が必要な再生医療等製品などを安全・安心・効率的にお届けする目的で、超低温を含む全温度帯に対応できる物流プラットフォームを構築しております。
営業面の強化については、約2,400名のMR認定試験合格者をARとして任命し、高い専門知識とスキルを活かした情報提供活動に取り組んでおります。
デジタルヘルスケア分野での新たな取組みについては、メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)と、その子会社である株式会社Doctorbook(東京都千代田区)との協業により、医療情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」を展開し、30,000人を超える医療従事者へ最先端の医療情報を提供しております。
厚生労働省が策定した「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」に基づき、個々の製品特性と価値に見合った価格交渉を行っております。
さらに、2019年4月に信頼性統括部を設置し、医薬品の適正使用を推進するとともに、厳格な温度管理が必要な医薬品などの流通管理の実現に努めております。
これらの結果、医療用医薬品等卸売事業における売上高は2兆1,418億28百万円(前期比1.8%増)、営業利益は260億54百万円(前期比16.0%増)となりました。
[用語解説]
※ FLC(Front Logistics Center)とは、ALCと連携して、顧客に近い場所で商品の安定供給を支える営業兼物流拠点であります。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業では、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、社会的な使命を果たすべく、「顧客満足の最大化と流通コストの最小化」をコーポレートスローガンに、人々の生活に密着した「美と健康」に関する商品をフルラインで提供する中間流通業として、サプライチェーン全体の最適化・効率化をめざした取組みを行っております。また、小売業の効果的な品揃えや販売活動を支援する営業体制の強化、及び安心・安全で高品質・ローコスト物流機能の強化を図り、平時はもとより有事の際にも「安定供給」できる体制により、小売業ひいては消費者の皆さまへローコストかつ安定的に商品をお届けする取組みを行っております。
今期は、首都圏での出荷能力増強とAI・ロボット等を活用した新物流モデルの展開による飛躍的な生産性向上を目的とした「RDC※1埼玉」(埼玉県北葛飾郡杉戸町)を2019年11月に稼働させたほか、2020年3月には、首都圏における最適出荷体制の構築と経営資源の有効活用による資産の効率化を図るため「RDC東京」(千葉県浦安市)を売却いたしました。
また、2019年10月に営業組織を改革・強化いたしました。企業間の相互協力による取組みを強化し、サプライチェーン全体の生産性向上を視野に「コストの利益化」を推進するためのSCM※2本部の設置、及び消費者に商品がわたる店頭を重視した取組み強化と、店頭における情報を活用・フィードバックすることによる商談の品質向上を担う店舗支援本部を設置いたしました。
これらの結果、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上高は1兆464億12百万円(前期比3.1%増)、営業利益は246億81百万円(前期比2.7%減)となりました。
[用語解説]
※1 RDC(Regional Distribution Center)とは、化粧品・日用品、一般用医薬品などを扱う大型物流センターで、小売業に商品を供給しております。
※2 SCM(Supply Chain Management)とは、生産された商品が消費者にわたるまでの流通過程全体を視野に、商品や情報等の流れを最適化・効率化するための手法のことをいいます。
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業
動物用医薬品の販売は、畜産向け市場においてワクチンや飼料添加物の積極的な取組みを行ったこと、また、コンパニオンアニマル向け市場における独自の動物病院向けWEB発注情報システム「MP+(エムピープラス)」の利用拡大や、自社企画品の取組みなどにより、堅調に推移いたしました。
食品加工原材料の販売は、提案営業の推進により新規取引が拡大し、堅調に推移いたしました。
これらの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業における売上高は684億5百万円(前期比3.3%増)、営業利益は19億79百万円(前期比23.1%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(新型コロナウイルス感染拡大の影響について)
新型コロナウイルスの感染拡大により、医療機関への受診抑制や海外からの旅行客の減少に伴うインバウンド需要の減少、生活様式の変化が見込まれるものの、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。このため、企業価値向上に向けた中長期的な戦略の変更は要しないものと考えており、引き続き人々の安全・安心な暮らしを支える社会インフラとして、事業基盤の拡充に努めてまいります。なお、現時点で業績への影響を合理的に見積もることは困難であります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1兆6,442億79百万円となり、前連結会計年度末より263億68百万円増加いたしました。
流動資産は1兆1,461億79百万円となり、前連結会計年度末より107億77百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の減少54億80百万円、商品及び製品の増加53億3百万円、未収法人税等(その他の流動資産)の増加85億77百万円によるものであります。
固定資産は4,981億円となり、前連結会計年度末より155億91百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の増加113億94百万円、投資その他の資産の増加72億46百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1兆368億54百万円となり、前連結会計年度末より117億91百万円増加いたしました。
流動負債は9,456億円となり、前連結会計年度より129億82百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加139億76百万円によるものであります。
固定負債は912億54百万円となり、前連結会計年度末より11億90百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少35億58百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は6,074億24百万円となり、前連結会計年度末より145億76百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加293億19百万円、自己株式の取得による減少281億40百万円、その他有価証券評価差額金の増加28億52百万円、非支配株主持分の増加111億37百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より54億70百万円減少し、当連結会計年度末には2,245億41百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、各事業の堅調な業績と医療用医薬品等卸事業を中心とした経費削減効果などにより569億17百万円(前期比67億98百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が755億36百万円、減価償却費142億32百万円、売上債権の増加27億2百万円、たな卸資産の増加52億52百万円、仕入債務の増加139億76百万円、法人税等の支払299億19百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、133億19百万円(前期比101億93百万円の減少)となりました。これは主に、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業などにおける有形固定資産の取得による支出242億99百万円、有形固定資産の売却による収入140億30百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、490億67百万円(前期比183億12百万円の増加)となりました。これは主に、借入金の減少84億50百万円、配当金の支払108億35百万円、自己株式の取得による支出282億50百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 医療用医薬品等卸売事業 | 2,141,828 | 101.8 | |
| 化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業 | 1,046,412 | 103.1 | |
| 動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業 | 68,405 | 103.3 | |
| 計 | 3,256,646 | 102.2 | |
| 調整額(セグメント間消去) | △3,566 | - | |
| 合計 | 3,253,079 | 102.2 | |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高を含んでおります。
b.仕入実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①経営成績の状況、 ②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、2019年5月15日に発表した「2022メディパル中期ビジョン」に基づき、持続的成長を目指し、設備投資を含めて3年間で1,000億円規模の投資を予定しております。その財源につきましては、安定的に推移している営業キャッシュ・フローを充当することを基本としますが、投資額の規模、投資回収期間の長短、及び資金調達環境の状況等を勘案し、さらに、自己資本比率30%の財務安全性を確保しつつ、外部調達することも視野に入れております。
また、株主還元策としては、配当性向30%を目安に安定配当を行う予定であります。
純現金(現預金(有価証券含む)残高から借入金・社債残高を控除したもの)は1,920億円あり、突発的な資金需要に対しては、金融機関からの当座貸越枠を1,930億円設定しており、流動性リスクに備えております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。
なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
d.納入価格の見積り設定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年3月期における医療用医薬品の売上高1.9兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.7%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2017年3月期:99.3%、2018年3月期:99.9%、2019年3月期:96.6%)
