有価証券報告書-第112期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、依然として厳しい状況が続いております。このような環境の中、当社グループは医薬品や日用品などを扱う事業者として、事業の継続を求められており、必要な商品を安定的に供給するという変わらぬ使命のもと、人々の生命と暮らしを支えるべく、総力を挙げて取り組んでおります。当社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新しい卸の形をめざし、
に沿った取組みを展開しております。既存事業のさらなる革新を進めるとともに、新規事業は「創造」から「拡大」へとステップアップいたしました。同時に、様々な分野の企業とのパートナーシップを通じて社会と顧客に貢献する新たな枠組みを構築し、収益基盤のさらなる拡大と持続的な成長をめざしております。
ア. パートナーシップの構築
2020年6月、H.U.グループホールディングス株式会社(旧みらかホールディングス株式会社、東京都新宿区)と戦略的な業務提携に関する合意書を締結いたしました。
2020年8月、超低温物流を含む優れたサプライチェーン・ソリューションをグローバルに提供しているCryoport,Inc.(米国テネシー州)と、日本における再生医療のサプライチェーン構築に関する戦略的提携に合意いたしました。
月経困難症の女性のための服薬支援プロジェクト「Shift P(シフトピー) 」を株式会社エムティーアイ(東京都新宿区)と共に立ち上げ、2020年11月に特設サイト(https://shiftp.lnln.jp/)を開設いたしました。2021年3月、当社グループとエムティーアイグループとのヘルスケア事業における協業の取組みをさらに進展させることを目的に、当社とエムティーアイの合弁会社である株式会社カラダメディカ(東京都新宿区)が、両社を割当先とする株主割当増資を実施し、クラウド電子薬歴事業を営む株式会社ソラミチシステム(東京都新宿区)を子会社化いたしました。
2021年3月、当社とSBIホールディングス株式会社(東京都港区)の完全子会社であるSBIインベストメント株式会社(東京都港区)は、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド「MEDIPAL Innovation Fund」(以下、本ファンドという)を共同で設立いたしました。本ファンドの設立により、国内外のベンチャー企業への投資及び成長支援を行ってまいります。
イ. 新規事業の拡大
2020年10月、PMS事業※を新たな収益事業に発展させることをめざし、株式会社ファルフィールド(東京都江東区)を設立し、2021年1月に医療用医薬品等卸売事業会社の3社が行っている同事業を集約いたしました。
ウ. 経営基盤強化とESG
今後の持続的な成長に向けた構造改革の一環として、当社連結対象の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)、株式会社エバルス(広島市南区)、株式会社アトル(福岡市東区)を対象とした2021年2月末日を退職日とする希望退職者の募集を実施し(応募者数560名)、人員の適正化に取り組んでおります。
さらに、政策保有株式の保有については、その目的と経済合理性を鑑みて政策保有株式7銘柄の売却を行いました。今後も資本生産性の向上に向けて保有の可否について検討してまいります。
当連結会計年度における経営成績は、売上高3兆2,111億25百万円(前期比1.3%減)、営業利益385億76百万円(前期比27.4%減)、経常利益529億68百万円(前期比22.1%減)、特別利益に投資有価証券売却益を計上するとともに、特別損失に希望退職の実施に伴う特別退職金等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益239億26百万円(前期比37.0%減)となりました。
[用語解説]
※ PMS(Post Marketing Surveillance)事業では、主にGPSP省令(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実
施の基準に関する省令)に基づき、製品の品質、有効性、安全性を確認するために、医療用医薬品を発売した企
業に対して法的に義務付けられた調査を受託しております。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等の販売は、2020年4月1日に実施された薬価引き下げの影響や、新型コロナウイルス感染症の流行による受診抑制や手術件数の減少により厳しい状況で推移いたしました。
このような状況の中、本事業では、人々の安全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限発揮するための様々な取組みを行ってまいりました。
物流基盤の強化については、高品質・高機能かつ災害対策を施したALC※1・FLC※2 の全国展開を進めており、株式会社エバルスの「広島ALC」(広島市安佐南区)は2020年5月より、株式会社メディセオの「札幌ALC」(札幌市白石区)は同年7月より順調に稼働しております。また、厳格な温度管理が必要な再生医療等製品などを安全・安心にお届けするために、超低温を含む全温度帯に対応できる物流プラットフォームを構築しております。さらに、顧客向けに、検品時間を大幅に短縮できる「個口スキャン検品※3」の導入を進めることで、医療従事者の業務効率化と接触機会の減少に伴う新型コロナウイルス感染リスクの軽減に貢献しております。
営業面の強化については、MR認定試験合格者をAR※4として任命し、高い専門知識とスキルを活かした情報提供活動に取り組んでおります。また、コロナ禍で訪問規制がある中、医療従事者とオンラインによる面談及び勉強会を実施し、適正な医薬品の情報提供及び収集に努めました。
デジタルヘルスケア分野では、メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)と、その子会社である株式会社Doctorbook(東京都千代田区)との協業により、医薬情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」を展開しております。医療従事者の会員の方々に、臨床に関する知見など最新の医療情報を提供し、医療現場のサポートを続けております。また、当社グループは、公益社団法人日本医師会等が推進する「COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発プロジェクト」に参画し、COPDの認知度を高め、患者さんの早期診断・治療につなげており、当ポータルサイトの活用を通じて新型コロナウイルスとCOPDとの関係についても会員の方々へ情報提供しております。
なお、新型コロナウイルス感染症対策として、顧客と従業員の安全を確保するために、医療機関等とのオンラインによる面談の活用や、車両・設備の洗浄及び消毒を徹底するなど、防疫の専門家の指導のもと様々な対策を講じながら医薬品等の安定供給を継続しております。
これらの結果、医療用医薬品等卸売事業における売上高は2兆1,124億55百万円(前期比1.4%減)、営業利益は105億22百万円(前期比59.6%減)となりました。
[用語解説]
※1 ALC(Area Logistics Center)とは、医療用医薬品や医療材料などを扱う高機能物流センターで、主に調剤薬局、病院、診療所に商品を供給しております。
※2 FLC(Front Logistics Center)とは、ALCと連携して、顧客に近い場所で商品の安定供給を支える営業兼物流拠点であります。
※3 個口スキャン検品とは、従来の伝票読み上げ方式から、納品箱単位でのバーコードスキャン方式に変更することで、検品時間を短縮する方法です。
※4 AR(Assist Representatives)とは、MR認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や薬剤師などに付与した社内呼称であります。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品の販売は、衛生面に対する意識の向上に伴う、マスクや手洗石鹸、消毒液など、衛生関連品の需要は増加したものの、レジャーに伴う外出などの人出が抑制される中で、メイクアップや整髪料などの化粧品の需要が減少している状況にあります。また、外国人観光客の往来再開には依然として目処がたっておらず、外国人観光客に人気が高かったフェイスマスクなどの、いわゆるインバウンド商材の需要についても、大きく減少した状況が継続しております。
このような状況の中、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、従業員の安全を守ることが事業継続の要であるとの考えに立ち、労働環境の整備や衛生管理の徹底に努め、社会的役割である生活必需品の安定的な供給を継続しております。
また、労働人口減少による中長期的な人手不足や感染症拡大に伴い、流通全体の生産性向上に対する社会的ニーズがさらに上昇する中、サプライチェーン全体の最適化・効率化をめざした取組みに注力してまいりました。
当期は、新モデルの物流センターにおいて、効率的に運用するノウハウの蓄積に努め、年度の後半においては安定して人員生産性2倍を達成しました。また、企業間の相互協力による「コストの利益化」や、生活者に商品がわたる現場(店頭)を重視し、商談内容の実現率を向上させるとともに、店頭における情報を活用・フィードバックすることで商談の品質向上を図る「売れる仕組みづくり」について、前期に設置した専門部署を中心に着実に成功事例を積み上げるなど、中長期の成長を見据えた営業体制の整備に努めてまいりました。
また、流通におけるECビジネスの拡大に合わせ、2021年1月にEC事業部を立ち上げ、ECビジネス特有のソリューション強化を図っております。
これらの結果、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上高は1兆332億75百万円(前期比1.3%減)、営業利益は254億74百万円(前期比3.2%増)となりました。
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業
動物用医薬品の販売は、畜産向け市場では広域にわたる鳥インフルエンザ感染の影響もありましたが、コンパニオンアニマル向け市場における独自の動物病院向けWEB発注情報システム「MP+(エムピープラス)」の利用拡大により、堅調に推移いたしました。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、衛生管理の徹底や在宅勤務など、事業継続に必要な対策を講じ、安定供給に努めております。
食品加工原材料の販売は、新規取引の拡大があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による外食・観光産業の低迷により既存取引の一部が減少し、厳しい状況で推移いたしました。
これらの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業における売上高は691億46百万円(前期比1.1%増)、営業利益は23億9百万円(前期比16.7%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1兆6,799億34百万円となり、前連結会計年度末より356億55百万円増加いたしました。
流動資産は1兆1,741億13百万円となり、前連結会計年度末より279億34百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加152億2百万円、受取手形及び売掛金の増加130億43百万円、商品及び製品の増加44億70百万円、未収法人税等(その他の流動資産)の減少54億49百万円によるものであります。
固定資産は5,058億20百万円となり、前連結会計年度末より77億20百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の減少39億87百万円、投資その他の資産の増加125億67百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1兆410億円となり、前連結会計年度末より41億46百万円増加いたしました。
流動負債は9,528億35百万円となり、前連結会計年度末より72億35百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加163億90百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少32億8百万円、未払法人税等の減少54億66百万円によるものであります。
固定負債は881億65百万円となり、前連結会計年度末より30億88百万円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債の減少27億72百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は6,389億33百万円となり、前連結会計年度末より315億8百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加147億28百万円、その他有価証券評価差額金の増加56億45百万円、非支配株主持分の増加88億13百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より155億6百万円増加し、当連結会計年度末には2,400億47百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、344億48百万円(前期比224億69百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が492億37百万円、減価償却費144億68百万円、売上債権の増加126億82百万円、たな卸資産の増加42億84百万円、仕入債務の増加163億90百万円、特別退職金の支払105億93百万円、法人税等の支払151億45百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、29億39百万円(前期比103億80百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出128億42百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入146億60百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、160億3百万円(前期比330億64百万円の減少)となりました。これは主に、借入金の減少35億58百万円、配当金の支払110億68百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高を含んでおります。
b.仕入実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①経営成績の状況、 ②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、2019年5月15日に発表した「2022メディパル中期ビジョン」に基づき、持続的成長を目指し、設備投資を含めて3年間で1,000億円規模の投資を予定しております。その財源につきましては、安定的に推移している営業キャッシュ・フローを充当することを基本としますが、投資額の規模、投資回収期間の長短、及び資金調達環境の状況等を勘案し、さらに、自己資本比率30%の財務安全性を確保しつつ、外部調達することも視野に入れております。
また、株主還元策としては、配当性向30%を目安に安定配当を行う予定であります。
純現金(現預金(有価証券含む)残高から借入金・社債残高を控除したもの)は2,109億円あり、突発的な資金需要に対しては、金融機関からの当座貸越枠を1,930億円設定しており、流動性リスクに備えております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。
なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
d.納入価格の見積り設定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2021年3月期における医療用医薬品の売上高2.1兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.9%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2018年3月期:99.9%、2019年3月期:96.6%、2020年3月期:99.7%)
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、依然として厳しい状況が続いております。このような環境の中、当社グループは医薬品や日用品などを扱う事業者として、事業の継続を求められており、必要な商品を安定的に供給するという変わらぬ使命のもと、人々の生命と暮らしを支えるべく、総力を挙げて取り組んでおります。当社グループでは「医療と健康、美」の流通で社会に貢献する新しい卸の形をめざし、
| 社会環境の変化を見据えたビジョン | ![]() |
に沿った取組みを展開しております。既存事業のさらなる革新を進めるとともに、新規事業は「創造」から「拡大」へとステップアップいたしました。同時に、様々な分野の企業とのパートナーシップを通じて社会と顧客に貢献する新たな枠組みを構築し、収益基盤のさらなる拡大と持続的な成長をめざしております。
ア. パートナーシップの構築
2020年6月、H.U.グループホールディングス株式会社(旧みらかホールディングス株式会社、東京都新宿区)と戦略的な業務提携に関する合意書を締結いたしました。
2020年8月、超低温物流を含む優れたサプライチェーン・ソリューションをグローバルに提供しているCryoport,Inc.(米国テネシー州)と、日本における再生医療のサプライチェーン構築に関する戦略的提携に合意いたしました。
月経困難症の女性のための服薬支援プロジェクト「Shift P(シフトピー) 」を株式会社エムティーアイ(東京都新宿区)と共に立ち上げ、2020年11月に特設サイト(https://shiftp.lnln.jp/)を開設いたしました。2021年3月、当社グループとエムティーアイグループとのヘルスケア事業における協業の取組みをさらに進展させることを目的に、当社とエムティーアイの合弁会社である株式会社カラダメディカ(東京都新宿区)が、両社を割当先とする株主割当増資を実施し、クラウド電子薬歴事業を営む株式会社ソラミチシステム(東京都新宿区)を子会社化いたしました。
2021年3月、当社とSBIホールディングス株式会社(東京都港区)の完全子会社であるSBIインベストメント株式会社(東京都港区)は、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド「MEDIPAL Innovation Fund」(以下、本ファンドという)を共同で設立いたしました。本ファンドの設立により、国内外のベンチャー企業への投資及び成長支援を行ってまいります。
イ. 新規事業の拡大
2020年10月、PMS事業※を新たな収益事業に発展させることをめざし、株式会社ファルフィールド(東京都江東区)を設立し、2021年1月に医療用医薬品等卸売事業会社の3社が行っている同事業を集約いたしました。
ウ. 経営基盤強化とESG
今後の持続的な成長に向けた構造改革の一環として、当社連結対象の完全子会社である株式会社メディセオ(東京都中央区)、株式会社エバルス(広島市南区)、株式会社アトル(福岡市東区)を対象とした2021年2月末日を退職日とする希望退職者の募集を実施し(応募者数560名)、人員の適正化に取り組んでおります。
さらに、政策保有株式の保有については、その目的と経済合理性を鑑みて政策保有株式7銘柄の売却を行いました。今後も資本生産性の向上に向けて保有の可否について検討してまいります。
| なお、2021年3月、当社および株式会社メディセオは健康経営に関する各種の取組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定されました。メディパルグループは今後も健康経営に取り組み、従業員の心身の健康増進と働きやすい職場環境づくりを進め、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。 | ![]() |
当連結会計年度における経営成績は、売上高3兆2,111億25百万円(前期比1.3%減)、営業利益385億76百万円(前期比27.4%減)、経常利益529億68百万円(前期比22.1%減)、特別利益に投資有価証券売却益を計上するとともに、特別損失に希望退職の実施に伴う特別退職金等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益239億26百万円(前期比37.0%減)となりました。
[用語解説]
※ PMS(Post Marketing Surveillance)事業では、主にGPSP省令(医薬品の製造販売後の調査及び試験の実
施の基準に関する省令)に基づき、製品の品質、有効性、安全性を確認するために、医療用医薬品を発売した企
業に対して法的に義務付けられた調査を受託しております。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
医療用医薬品等卸売事業
医療用医薬品等の販売は、2020年4月1日に実施された薬価引き下げの影響や、新型コロナウイルス感染症の流行による受診抑制や手術件数の減少により厳しい状況で推移いたしました。
このような状況の中、本事業では、人々の安全・安心な医療を支える社会インフラとして、製薬企業から患者さんに至るまでのサプライチェーン全体の最適化・効率化を図るべく、卸機能を最大限発揮するための様々な取組みを行ってまいりました。
物流基盤の強化については、高品質・高機能かつ災害対策を施したALC※1・FLC※2 の全国展開を進めており、株式会社エバルスの「広島ALC」(広島市安佐南区)は2020年5月より、株式会社メディセオの「札幌ALC」(札幌市白石区)は同年7月より順調に稼働しております。また、厳格な温度管理が必要な再生医療等製品などを安全・安心にお届けするために、超低温を含む全温度帯に対応できる物流プラットフォームを構築しております。さらに、顧客向けに、検品時間を大幅に短縮できる「個口スキャン検品※3」の導入を進めることで、医療従事者の業務効率化と接触機会の減少に伴う新型コロナウイルス感染リスクの軽減に貢献しております。
営業面の強化については、MR認定試験合格者をAR※4として任命し、高い専門知識とスキルを活かした情報提供活動に取り組んでおります。また、コロナ禍で訪問規制がある中、医療従事者とオンラインによる面談及び勉強会を実施し、適正な医薬品の情報提供及び収集に努めました。
デジタルヘルスケア分野では、メディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区)と、その子会社である株式会社Doctorbook(東京都千代田区)との協業により、医薬情報ポータルサイト「Clinical Cloud by MEDIPAL」を展開しております。医療従事者の会員の方々に、臨床に関する知見など最新の医療情報を提供し、医療現場のサポートを続けております。また、当社グループは、公益社団法人日本医師会等が推進する「COPD(慢性閉塞性肺疾患)啓発プロジェクト」に参画し、COPDの認知度を高め、患者さんの早期診断・治療につなげており、当ポータルサイトの活用を通じて新型コロナウイルスとCOPDとの関係についても会員の方々へ情報提供しております。
なお、新型コロナウイルス感染症対策として、顧客と従業員の安全を確保するために、医療機関等とのオンラインによる面談の活用や、車両・設備の洗浄及び消毒を徹底するなど、防疫の専門家の指導のもと様々な対策を講じながら医薬品等の安定供給を継続しております。
これらの結果、医療用医薬品等卸売事業における売上高は2兆1,124億55百万円(前期比1.4%減)、営業利益は105億22百万円(前期比59.6%減)となりました。
[用語解説]
※1 ALC(Area Logistics Center)とは、医療用医薬品や医療材料などを扱う高機能物流センターで、主に調剤薬局、病院、診療所に商品を供給しております。
※2 FLC(Front Logistics Center)とは、ALCと連携して、顧客に近い場所で商品の安定供給を支える営業兼物流拠点であります。
※3 個口スキャン検品とは、従来の伝票読み上げ方式から、納品箱単位でのバーコードスキャン方式に変更することで、検品時間を短縮する方法です。
※4 AR(Assist Representatives)とは、MR認定試験に合格したMS(医薬品卸売業の営業担当者)や薬剤師などに付与した社内呼称であります。
化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業
化粧品・日用品、一般用医薬品の販売は、衛生面に対する意識の向上に伴う、マスクや手洗石鹸、消毒液など、衛生関連品の需要は増加したものの、レジャーに伴う外出などの人出が抑制される中で、メイクアップや整髪料などの化粧品の需要が減少している状況にあります。また、外国人観光客の往来再開には依然として目処がたっておらず、外国人観光客に人気が高かったフェイスマスクなどの、いわゆるインバウンド商材の需要についても、大きく減少した状況が継続しております。
このような状況の中、当社の連結子会社である株式会社PALTAC(大阪市中央区)は、従業員の安全を守ることが事業継続の要であるとの考えに立ち、労働環境の整備や衛生管理の徹底に努め、社会的役割である生活必需品の安定的な供給を継続しております。
また、労働人口減少による中長期的な人手不足や感染症拡大に伴い、流通全体の生産性向上に対する社会的ニーズがさらに上昇する中、サプライチェーン全体の最適化・効率化をめざした取組みに注力してまいりました。
当期は、新モデルの物流センターにおいて、効率的に運用するノウハウの蓄積に努め、年度の後半においては安定して人員生産性2倍を達成しました。また、企業間の相互協力による「コストの利益化」や、生活者に商品がわたる現場(店頭)を重視し、商談内容の実現率を向上させるとともに、店頭における情報を活用・フィードバックすることで商談の品質向上を図る「売れる仕組みづくり」について、前期に設置した専門部署を中心に着実に成功事例を積み上げるなど、中長期の成長を見据えた営業体制の整備に努めてまいりました。
また、流通におけるECビジネスの拡大に合わせ、2021年1月にEC事業部を立ち上げ、ECビジネス特有のソリューション強化を図っております。
これらの結果、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業における売上高は1兆332億75百万円(前期比1.3%減)、営業利益は254億74百万円(前期比3.2%増)となりました。
動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業
動物用医薬品の販売は、畜産向け市場では広域にわたる鳥インフルエンザ感染の影響もありましたが、コンパニオンアニマル向け市場における独自の動物病院向けWEB発注情報システム「MP+(エムピープラス)」の利用拡大により、堅調に推移いたしました。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、衛生管理の徹底や在宅勤務など、事業継続に必要な対策を講じ、安定供給に努めております。
食品加工原材料の販売は、新規取引の拡大があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響による外食・観光産業の低迷により既存取引の一部が減少し、厳しい状況で推移いたしました。
これらの結果、動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業における売上高は691億46百万円(前期比1.1%増)、営業利益は23億9百万円(前期比16.7%増)となりました。
(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は1兆6,799億34百万円となり、前連結会計年度末より356億55百万円増加いたしました。
流動資産は1兆1,741億13百万円となり、前連結会計年度末より279億34百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加152億2百万円、受取手形及び売掛金の増加130億43百万円、商品及び製品の増加44億70百万円、未収法人税等(その他の流動資産)の減少54億49百万円によるものであります。
固定資産は5,058億20百万円となり、前連結会計年度末より77億20百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産の減少39億87百万円、投資その他の資産の増加125億67百万円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は1兆410億円となり、前連結会計年度末より41億46百万円増加いたしました。
流動負債は9,528億35百万円となり、前連結会計年度末より72億35百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加163億90百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少32億8百万円、未払法人税等の減少54億66百万円によるものであります。
固定負債は881億65百万円となり、前連結会計年度末より30億88百万円減少いたしました。これは主に退職給付に係る負債の減少27億72百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は6,389億33百万円となり、前連結会計年度末より315億8百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加147億28百万円、その他有価証券評価差額金の増加56億45百万円、非支配株主持分の増加88億13百万円によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より155億6百万円増加し、当連結会計年度末には2,400億47百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、344億48百万円(前期比224億69百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が492億37百万円、減価償却費144億68百万円、売上債権の増加126億82百万円、たな卸資産の増加42億84百万円、仕入債務の増加163億90百万円、特別退職金の支払105億93百万円、法人税等の支払151億45百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、29億39百万円(前期比103億80百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出128億42百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入146億60百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、160億3百万円(前期比330億64百万円の減少)となりました。これは主に、借入金の減少35億58百万円、配当金の支払110億68百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 医療用医薬品等卸売事業 | 2,112,455 | 98.6 | |
| 化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業 | 1,033,275 | 98.7 | |
| 動物用医薬品・食品加工原材料等卸売事業 | 69,146 | 101.1 | |
| 計 | 3,214,876 | 98.7 | |
| 調整額(セグメント間消去) | △3,751 | - | |
| 合計 | 3,211,125 | 98.7 | |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の内部売上高を含んでおります。
b.仕入実績
仕入実績と販売実績の差額は僅少であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況等に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①経営成績の状況、 ②財政状態の状況、③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、2019年5月15日に発表した「2022メディパル中期ビジョン」に基づき、持続的成長を目指し、設備投資を含めて3年間で1,000億円規模の投資を予定しております。その財源につきましては、安定的に推移している営業キャッシュ・フローを充当することを基本としますが、投資額の規模、投資回収期間の長短、及び資金調達環境の状況等を勘案し、さらに、自己資本比率30%の財務安全性を確保しつつ、外部調達することも視野に入れております。
また、株主還元策としては、配当性向30%を目安に安定配当を行う予定であります。
純現金(現預金(有価証券含む)残高から借入金・社債残高を控除したもの)は2,109億円あり、突発的な資金需要に対しては、金融機関からの当座貸越枠を1,930億円設定しており、流動性リスクに備えております。なお、当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表、偶発債務に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目事象は以下のとおりです。
なお、当社グループの取り扱う商品は、医薬品や食品、日用品など人々が生活をしていくうえで必要不可欠なものであることから,その需要が大きく減少することは想定しづらいと考えております。従いまして、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定において、新型コロナウイルスの影響は軽微であります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能性の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b.退職給付債務及び退職給付費用
退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算しています。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い国債利回りなどを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在及び将来期待される長期の収益率などを考慮して設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各社ごとに資産のグルーピングをセグメント別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額について、正味売却価額により測定しておりますが、売却予定の資産については売却予定価額を基に算定しておりますので、前提条件に変更があった場合、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
d.納入価格の見積り設定について
当社グループの主要取扱商品である医療用医薬品は、納入停滞が許されない生命関連商品であることから、取引価格が未決定のまま医療機関等に納入し、納入後に価格交渉を行うという取引慣行が存在しております。取引価格が決定するまでは、過去の実績等を勘案し、合理的に判断した見積価格で売上計上を行っておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際に決定した取引価格との差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2021年3月期における医療用医薬品の売上高2.1兆円のうち、取引価格の決定比率(金額ベース)は99.9%となっており、期末には取引価格がほぼ確定する傾向となっております。
(過去3年間の取引価格の決定比率 2018年3月期:99.9%、2019年3月期:96.6%、2020年3月期:99.7%)

