四半期報告書-第61期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)

【提出】
2020/08/27 10:57
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第1四半期連結会計期間末の総資産は985億円で前連結会計年度末比90億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金90億円、投資有価証券9億円です。主な減少項目は受取手形及び売掛金14億円です。
負債の部は551億円で前連結会計年度末比120億円増加しました。主な増加項目は有利子負債(1年内償還予定社債を含む)137億円です。主な減少項目は支払手形及び買掛金9億円です。純資産の部につきましては、433億円と前連結会計年度末比で30億円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失8億円を計上し、配当金16億円を支払ったことにより利益剰余金が25億円減少したこと等によるものです。自己資本比率は43.7%で前連結会計年度末比7.8ポイント減少しました。
②経営成績
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景気の急速な悪化が続いており、当第1四半期連結累計期間の経営成績は極めて厳しい状況となりました。国内においては、お客様及び従業員の健康を守り、感染拡大の防止策を講じつつ安心できる店舗や施設の運営を行い、社会活動のレベルを段階的に引き上げていくことが求められています。そのため、店舗の臨時休業やテーマパークの休園、イベント中止等により営業機会が大幅に縮小しました。テーマパークにつきましては、大分県のハーモニーランドは6月8日に営業を再開しましたが、東京都多摩市のサンリオピューロランドは、7月13日の再開となり、第1四半期の営業はできませんでした。
物販部門では、ECの受注は伸長し、また6月には全店舗営業が再開でき、ヒット商品の発売もありましたが、5月までの臨時休業やインバウンドの減少をカバーできず、売上は前年同期を大幅に下回りました。国内ライセンスでは、ゲームなどのデジタルビジネスが伸長しましたが、衣料品やお土産関連が厳しい結果となりました。
海外では、『マイメロディ』45周年イベントや取引先との商品キャンペーン等を計画しておりましたが、2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響による各国のロックダウン等により、イベントの中止や営業活動ができない状況が続きました。
これらの結果として、売上高は72億円(前年同期比45.5%減)、営業損失は11億円(前年同期は6億円の利益)、営業外収益に受取利息、受取配当金等を計上し、経常損失は9億円(前年同期は9億円の利益)でした。特別損失として新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う店舗の臨時休業やテーマパークの臨時休園による損失12億円の計上に対し、法人税等還付税額8億円、法人税等調整額△3億円等の計上の結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は8億円(前年同期比5億円損失増)となりました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当第1四半期連結累計期間の対象期間は、2020年1月~3月であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
ⅰ.日本:売上高53億円(前年同期比48.7%減)、営業損失6億円(前年同期は営業利益7億円)
物販事業のリテール部門では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、前期3月下旬より路面店にて週末を休業とし、今期に入ってからは緊急事態宣言の発出を受け、一時全ての店舗を休業としました。最大7週間を超える休業となる店舗もありましたが、6月にはほぼ全店舗の営業を再開しました。再開後の傾向としましては、通勤・通学客の減少やインバウンドを見込めないことから、都心・観光地にある店舗は苦戦を強いられる一方で、営業再開の反動によりサンリオキャラクター大賞関連商品や、学童商品の需要が高まり、主に住宅地周辺の郊外店や地方店への来客が大幅に回復しました。6月末に発売した「エンジョイアイドルシリーズ第3弾」は、第1弾、第2弾に続き、アイドルファンからの人気を博し、売上を底上げしました。しかしながら、全体としての売上高を伸ばすことはできず、既存店売上(直営店及び百貨店の当社直営ショップベース)は44.1%と前年同期を下回りました。なお、臨時休業中の固定費3億円を特別損失として計上しました。その他、オンラインショップは、会員数が増加し、売上高は前年同期比132.6%と伸長しました。また6月5日に「SANRIO CAFE 池袋店」をサンシャインシティにオープンし順調に営業しております。
卸部門では、ドン・キホーテなど一部取引先で前年同期水準の取引を維持できましたが、多くの取引先は取り扱い店舗の休業、消費減により苦戦しました。
ライセンス事業は、4月より主に商品化権ライセンスを担当していた部署と、主に対企業向けの企画・ライセンスを担当していた部署を統合し、取引先に一気通貫したご提案を行うライセンス営業本部を設立するとともに、アニメ・トイホビー・デジタル関連など、エンターテイメント分野におけるサンリオキャラクターライセンス事業の領域を更に拡大すべく、独立した部門として新たにエンターテイメント事業本部を設立しました。
ライセンス営業本部における商品化権ライセンスでは、新型コロナウイルス感染症の影響で、衣料・服飾、雑貨について、主力ライセンシーの納品先である小売りチェーンが低迷した他、菓子・生活雑貨などインバウンド・観光に関連する事業分野で苦戦を強いられました。一方、ティッシュ・消毒液・マスク等ウイルス対策関連分野のライセンシーは堅調に推移しました。対企業企画では、金融、企業特販、小松市・北九州市などの自治体との取組みは新型コロナウイルス感染症の影響が比較的少なく、売上の下支えとなりました。また、CVSは各店舗が営業を継続しているため、比較的順調に推移した他、マクドナルド、すかいらーくなどの外食分野のキャンペーン、ユニリーバ・ジャパン株式会社の「LUX」ブランドキャンペーン、エースコック株式会社のカップ麺キャンペーンなど大手生活用品・食品メーカーとの取組みも比較的堅調でした。また、「今、キャラクターだからこそ応援出来ること」として開発した「3密を避ける」ための注意喚起ピクトグラムデザインを取引先に提供、ご利用いただき、終息後への準備を進めてまいりました。今後、延期・中止になったキャンペーンや商品のリカバリーを急ぐとともに、エンドユーザー・取引先にみられるニーズの変化を「商機」と捉えて、需要にマッチした商品・キャンペーンの営業強化を行います。
エンターテイメント事業本部における商品化権ライセンスは、新型コロナウイルス感染症の影響により、トイホビーの大手流通やアミューズメント施設の営業自粛を受け苦戦しましたが、ゲームを含むデジタル領域のライセンス事業は在宅需要や新規案件効果により大きく伸長しました。LINEスタンプなどデジタルコンテンツは安定的に推移し、ゲーム大手の株式会社スクウェア・エニックスよりリリースされた「SHOW BY ROCK!!」や、その他新作ゲームが収益に貢献しました。引き続き、カフェやライブイベントに対する新企画の準備、特設売場やECに向けた商品開発の促進、アニメキャラクターである「こぎみゅん」など新規IPの強化と開発に力を入れてまいります。
テーマパーク事業では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、両テーマパークともに2月22日より臨時休園としました。東京都多摩市のサンリオピューロランドは、7月13日より営業を再開することとなりましたが、当第1四半期中には通常の営業を行う事ができませんでした。そこで、6月からは、新たにキャラクターショーや、キャラクターグリーティングのネット配信への取組を開始しました。当第1四半期の主な売上は、スポンサー収入や『ファンファンキティ!』などの映像制作によるものです。なお、休園期間中の固定費7億円を特別損失として計上しました。
大分県のハーモニーランドは、6月8日より営業を再開しました。一部のアトラクションとパレードを中止、ショーやキャラクターグリーティングの内容変更を行い、密集緩和のための空席を確保する対応をするなど、お客様及び従業員の安全を第一とした運営を行っております。営業再開後も6月12日に梅雨入りし、雨天の影響を受けた上、遊戯施設への入園は、未だ出控え傾向も強く、入園者数は5千人(前年同期比95.3%減)と前年から102千人減少しました。なお、休園期間中の固定費1億円を特別損失として計上しました。夏季に向けては、感染予防対策を講じた運営を図りながら、ショーやキャラクターの演出に注力し、集客の回復に努めます。
ⅱ.欧州:売上高2億円(前年同期比37.7%減)、営業損失2億円(同1億円損失増)
欧州では、新型コロナウイルス感染症が全地域に影響し売上が大幅に減少、更にミニマムギャランティ未達分の請求・回収が後ろ倒しにもなり、減収減益となりました。『ミスターメン リトルミス』につきましては、イギリスマクドナルド社のハッピーミールの展開が大きく貢献し、前年同期に対して増収となりました。
ⅲ.北米:売上高3億円(前年同期比44.2%減)、営業損失3億円(同1億円損失増)
ライセンス事業では、大手消費財メーカーとの契約未更新や、コスメブランドとのコラボ商品展開の落ち着き、前期取引の大きかった『ハローキティ』45周年関連コラボレーションの減少を、Pumaとのコラボレーションや、Targetに卸すライセンシーへの売上増加ではカバーできず減収となりました。2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による小売業の大幅な落ち込みが見られ、第2四半期以降にも影響が及ぶことが見込まれます。物販事業では、中南米向け輸出の落ち込みの他、米国内向けEコマースと物販で、物流システムの改修が遅れ、苦戦を強いられました。営業利益は販促関連費用と法務費用が増加した上、物流委託関連コストの影響もあり販売費及び一般管理費の削減を行う事ができず、赤字幅を増加させました。
ⅳ.南米:売上高1億円(前年同期比49.7%減)、営業利益4百万円(同88.6%減)
南米地域は、ブラジルは昨年の政情不安に加え、中国と経済関係が深く2月以降レアル安が大きく進みました。2大市場の1つであるメキシコが現地通貨ベースで増収でしたが、ブラジルほかほとんどの地域で減収でした。ブラジルでは、新型コロナウイルス感染症の感染者数が急激に増大していることもあり、ECサイトを持つライセンシーの更なる支援を行う予定です。また、メキシコのEC関連会社とも商談を進めております。
ⅴ.アジア:売上高12億円(前年同期比28.8%減)、営業利益4億円(同33.0%減)
香港・マカオ市場では、デモの長期化と新型コロナウイルス感染症による小売市場の落ち込みにより苦戦しました。一方、東南アジアでは、NTUC(総合保険組合)との『マイメロディ』のキャンペーンによりシンガポールが好調で、タイにおけるセブン-イレブンとの取組みと共に売上に貢献しました。
台湾では、新型コロナウイルス感染症により、中国工場に頼る小売業、航空業、交通関連産業などの停滞が、ライセンスビジネスにも影響しました。食品、ヘルス&ビューティ、文具などで好調でしたが、企業キャンペーン案件を含め多くのカテゴリーで苦戦しました。
韓国では、2月以降新型コロナウイルス感染症が流行し、家電、食品、ゲームソフトウェアの売上が伸長したものの、その他カテゴリーで苦戦を強いられました。
中国では、雑貨関連の大手取引先、生理用品などを扱う企業での売上が伸長し、取引先数も増加しましたが、アクセサリー・アパレル関連の大手取引先の落ち込みを、カバーするには至りませんでした。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
該当事項はありません。