有価証券報告書-第61期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/25 10:10
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は850億円で、前期末比44億円減少しました。資産の部の主な増加項目は投資有価証券25億円です。主な減少項目は現金及び預金31億円、受取手形及び売掛金9億円、繰延税金資産25億円です。
負債の部は477億円で前期末比46億円増加しました。主な増加項目は有利子負債76億円です。主な減少項目は退職給付に係る負債27億円です。純資産の部は372億円で前期末比91億円減少しました。主な増加項目は、その他有価証券評価差額金11億円、退職給付に係る調整累計額24億円です。また、親会社株主に帰属する当期純損失39億円を計上し、配当金16億円を支払ったことにより利益剰余金が56億円減少したことに加え、2020年11月5日公表の適時開示のとおり、自己株式59億円を取得したことによるものです。その結果、自己資本比率は43.7%で前期末比7.8ポイント減少しました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停滞やインバウンド需要の消失などにより、景気は大きく後退しました。国内の経済活動が徐々に再開され、第3四半期以降には緩やかな回復の兆しがみられたものの、足元の感染症拡大に伴う、消費の弱含みにより、いまだ先行きが見通せない状況が続いております。当社では、引き続きお客様及び従業員の健康を守り、感染症拡大の防止策を講じつつ、安心できる店舗や施設の運営を行っております。
国内では、このコロナ禍において、EC部門の伸長や、マスク・消毒スプレー等の衛生関連商品、「エンジョイアイドルシリーズ」等の学生や大人向け商品を伸ばすことができましたが、イベント・販売促進活動の自粛や、インバウンド需要、また消費マインドの低下によるギフト商戦の落ち込みをカバーできるまでには至りませんでした。テーマパーク事業では、再開後も入園制限による大幅な入園者数減により、厳しい状況が続いておりますが、ECやオンライン事業を新規で立ち上げる等の取り組みにも力を入れております。
海外では、国内同様新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、商品プロモーションやイベント等は稼働できない状況が続いております。また、北米のEC事業は二桁で伸びているものの、欧州をはじめとする各国でのロックダウンにより休校が相次ぎ、学童関連をはじめとしたライセンシーの落ち込みが響きました。
これらの結果として、売上高は410億円(前期比25.7%減)、営業損失は32億円(前期は21億円の利益)、営業外収益に受取利息、投資事業組合運用益等を計上し、経常損失は17億円(前期は32億円の利益)でした。特別利益として雇用調整助成金等で10億円、特別損失として新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う店舗の臨時休業やテーマパークの臨時休園による損失等19億円の計上に対し、法人税等12億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は39億円(前期は1億円の利益)となりました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当連結会計年度の対象期間は、2020年1月~12月であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
ⅰ.日本:売上高315億円(前期比26.7%減)、営業損失29億円(前期は17億円の利益)
物販事業のリテール部門は、年末年始・初売りの機会に、各商業施設が実施した感染症拡大防止対策により、集客が減少し、売上に大きく影響しました。その後も集客が不安定となる社会環境となり苦戦が続きました。
一方、EC事業は引き続き堅調に推移し、第4四半期における客数も毎月1万人以上増加(3月末の総会員数は前年比162.9%)、売上は前年同期比147.0%と大幅に伸長しました。
卸部門においては、キッズアイテムの納品は苦戦しましたが、前髪クリップや、「エンジョイアイドルシリーズ」等の学生や大人向け商品が販路を広げた事や、季節商品の返品減などの理由により、第4四半期売上は前年同期比108.4%と好調に推移しました。
商品では、『こぎみゅん』『マイメロディ』『はぴだんぶい』のキャラクタープロモーションや、当りくじ、マスク等の衛生用品が人気を集めました。
『ポムポムプリン』が25周年を迎え、そのアニバーサリー記念として、2月に新宿高島屋にて感染症拡大の防止策を講じつつ、ポップアップショップを開催しました。
ライセンス事業の商品化権ライセンスでは、第4四半期も引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、銘菓やインバウンド向け菓子、観光地向け雑貨などが苦戦しましたが、「ユニクロ」や「ハニーズ」などの衣料系チェーンで春物衣料の導入が促進されたことで売上が大きく伸長しました。また、巣ごもり需要も旺盛で、クッション等インテリア雑貨も堅調に推移しました。
対企業企画では外務省や栃木県警察などの官庁や山梨県、東京都、岡山県総社市といった自治体など、公的機関との成約が順調だったことに加え、西濃運輸株式会社や株式会社ハウスメイトパートナーズなどとの新規広告宣伝契約も多大なる貢献をしました。
エンターテイメント事業本部における第4四半期の実績は、予算比及び前期比で二桁の伸びとなりました。商品化権ライセンスは、任天堂株式会社のNintendo Switch向け「どうぶつの森 amiiboカード」へのサンリオキャラクター供与をはじめとし、株式会社セガ、フリュー株式会社、株式会社バンダイ、株式会社タカラトミーアーツなど、各企業との契約によるプライズやカプセルトイの商品化など、エンターテイメント関連の商品化が大変好調に推移しました。
また、デジタルビジネスにつきましては、「LINE」や「ココネ」などのゲームやデジタルコンテンツへの継続的なライセンス供与に加え、新規取引先の積極的な開拓により、株式会社coly、BIGO TECHNOLOGY PTE. LTD.など現在成長著しいデジタル企業との新規取引を獲得しました。
アニメ関連ビジネスにおいては、「アイドルマスター」などとの様々なコラボレーション案件が売上に貢献しました。また、他社IPのデザインプロデュース商材がアパレル量販中心に拡大しました。引き続き有力なデジタル企業とのグローバル展開を推進すると共に、『こぎみゅん』や『Beatcats』などの新規キャラクターの育成・強化に注力してまいります。
テーマパーク事業では、東京都多摩市のサンリオピューロランドは、東京都の2回目の緊急事態宣言発令の影響を受け、第4四半期の入園者数は、171千人(前年同期比22千人減、11.6%減)、通期では453千人(前期比871千人減、65.8%減)という状況でした。12月7日より開業30年目を迎え「30th Anniversary Parade「Hello, New World ~虹を、つなごう」」は、好評を博し、売上にも貢献しました。また6月からは自社及び他社コンテンツのデジタル配信やオリジナル商品の通信販売等の施策を行うと共に、販促費や広告宣伝費等を削減しましたが、大幅な営業損失となりました。
大分県のハーモニーランドは、11月には入園者数が前年同月比87%まで回復する状況となりましたが、近隣県の緊急事態宣言発令の影響もあり、第4四半期の入園者数は48千人(前年同期比10千人減、17.2%減)、通期では176千人(前期比252千人減、58.8%減)となりました。2021年4月に開園30周年を迎えますので、感染防止に留意しながら集客の回復に努めます。
※サンリオピューロランドは2020年2月22日~7月12日、ハーモニーランドは2020年2月22日~6月7日まで臨時休園でした。
ⅱ.欧州:売上高12億円(前期比17.6%減)、営業損失3億円(同2億円損失減)
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるロックダウンで休校が相次ぎ、学童用品をはじめとしたライセンシーの落ち込みが大きく響きました。一方、スペインの大手アパレルメーカーとのグローバル規模のコラボレーションやフランスのラグジュアリーブランドとのコラボレーションが貢献し、前期に対する下げ幅は比較的小さくすることができました。
『ミスターメン リトルミス』は重要カテゴリーである出版ライセンスが堅調に推移した他、香港でも常設店舗をオープンし、スマートフォンケースやイヤリングなどを販売しています。
ⅲ.北米:売上高21億円(前期比18.1%減)、営業損失11億円(同41百万円損失増)
ライセンス事業は、大手消費財メーカーとの契約未更新が響き、前期に行った『ハローキティ』45周年関連の大型コラボレーションをカバーするには至りませんでした。
物販事業では、新型コロナウイルス感染症拡大による店舗閉鎖の影響で苦戦しておりますが、EC事業については成長を続けております。11月には大手EC事業者と提携し、取扱商品数の増加にも取り組んでおります。
ⅳ.南米:売上高3億円(前期比39.4%減)、営業利益7百万円(同62.2%減)
南米地域では、生理用品をメインで扱う事業者との取り組みが好調な半面、新型コロナウイルス感染症の爆発的な流行により、多くの取引先において苦戦が強いられました。小売店閉鎖による在庫の増加が影響し、全体的に売上が減少傾向にあります。また、2020年2月以降進んでいるレアル安による為替差損の影響も出ております。
ⅴ.アジア:売上高58億円(前期比23.4%減)、営業利益19億円(同31.9%減)
香港・マカオでは、モール装飾などが苦戦しました。生活必需品関連の売上は増加傾向にありますが、主要取引先の時短運営や閉鎖による売上不振が大きく響いています。また、東南アジアにおいても、最大のパートナーであるタイの百貨店が一時休業になるなど、厳しい状況が続いています。
台湾では、新型コロナウイルス感染症の抑え込みに成功しており、コンビニや百貨店とのプロモーション案件を獲得することができました。一方、中国で製造を行っている大手取引先の開発が一時停止する等、商品化については苦戦を強いられました。
韓国では、テレビショッピングをメインの販路としている主要取引先が好調な一方、その他の取引先の新型コロナウイルス感染症による影響をカバーすることができませんでした。ゲームアプリとのコラボレーションに関しては相変わらず好調で、継続的に取り組みを行っております。また、メッセージアプリでのスタンプ売上も伸長しています。
中国では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、アクセサリーカテゴリーや学童用品、玩具が苦戦しました。一方で、大手スポーツ用品メーカーとの大型コラボレーションを行った他、ヘルス&ビューティカテゴリーの売上も堅調に推移し、前期に対する下げ幅は比較的小さく抑えることができました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より37億円増の247億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、22億円の支出(前期は8億円の収入)となりました。これは、減価償却費が17億円(前期比3億円減)、売上債権の減少額が10億円(前期比2億円の収入増)であった一方、税金等調整前当期純損失が26億円(前期は12億円の利益)、仕入債務の減少額が7億円(前期比2億円の支出増)、法人税等の支払額が10億円(前期比3億円の支出減)であったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、70億円の収入(前期は36億円の支出)となりました。これは、定期預金預入払戻の差である65億円の収入(前期は38億円の支出)、投資事業組合からの分配による収入10億円(前期比7億円増)に対し、有形固定資産の取得売却の差額7億円の支出(前期比3億円増)などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは8億円の支出(前期比41億円の支出減)となりました。これは、長・短借入金の借入返済の差額92億円の収入(前期比80億円増)に対し、自己株式の取得による支出60億円(前期比40億円増)、配当金の支払額16億円(前期比8億円減)などによるものです。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本31,582△26.7
欧州1,203△17.6
北米2,136△18.1
南米305△39.4
アジア5,825△23.4
合計41,053△25.7

(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い各国政府・自治体からの自粛要請や規制により店舗等の営業時間の短縮や休業等を余儀なくされるなど厳しい状態が生じました。その後、各国政府・自治体による自粛要請や規制の緩和により店舗等の営業は順次再開しておりますが、各国での新型コロナウイルス感染症の再拡大及び国内での緊急事態宣言の再発令に伴い、国内外での消費低迷やライセンス需要の減少等が売上高に大きく影響しました。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ142億円減少し、410億円(前期比25.7%減)となりました。売上高に占める報告セグメント別の割合は、日本が76.9%(前期末比1.1ポイント減)、欧州が2.9%(同0.3ポイント減)、北米が5.2%(同0.5ポイント増)、南米が0.8%(同0.1ポイント減)、アジアは14.2%(同0.4ポイント増)となりました。なお、報告セグメント別の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。
(営業損失)
当連結会計年度における営業損失は、32億円(前期は21億円の利益)となりしました。主な減少要因としましては、売上高の減少によるものであります。
(経常損失)
当連結会計年度における営業外収益は、投資有価証券評価益2億円、投資事業組合運用益9億円等を計上したことにより、23億円(同60.9%増)となりました。営業外費用は、為替差損3億円、和解金1億円等を計上したことにより、8億円(同167.4%増)となりました。
以上の結果、経常損失は、17億円(前期は32億円の利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益5億円、雇用調整助成金4億円を計上したことにより、10億円(同95.3%増)となりました。特別損失は、減損損失4億円、臨時休園等による損失13億円等を計上したことにより、19億円(同22.5%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、39億円(前期は1億円の利益)となりました。
財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財務状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は278億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は247億円となっております。