四半期報告書-第61期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 16:10
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は904億円で前連結会計年度末比9億円増加しました。資産の部の主な増加項目は投資有価証券21億円です。主な減少項目は現金及び預金11億円です。
負債の部は540億円で前連結会計年度末比109億円増加しました。主な増加項目は有利子負債(1年内償還予定社債を含む)105億円です。純資産の部につきましては、363億円で前連結会計年度末比100億円減少しました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失23億円を計上し、配当金16億円を支払ったことにより利益剰余金が40億円減少したことに加え、2020年11月5日公表の適時開示のとおり、自己株式59億円を取得したことによるものです。自己資本比率は40.0%で前連結会計年度末比11.5ポイント減少しました。
②経営成績
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停滞やインバウンド需要の消失などにより、景気は大きく後退しました。国内の経済活動が徐々に再開され、政府による各種施策効果もあり緩やかな回復の兆しがみられたものの、冬場になり欧米に続き日本でも感染症再拡大が起きており、先行きを見通せない状況が続いております。引き続きお客様及び従業員の健康を守り、感染症拡大の防止策を講じつつ安心できる店舗や施設の運営を行っております。
国内では、このコロナ禍において、EC部門の伸長や、マスク・消毒スプレー等の衛生関連商品を伸ばすことができましたが、引き続きイベント・販売促進活動の自粛や、インバウンド需要の消失、また消費マインド低下による年末ギフト商戦のマイナスをカバーできるまでには至りませんでした。テーマパーク事業では、再開後も入園制限による大幅な入園者数減により、厳しい状況が続いておりますが、オンライン事業を立ち上げる等新たな取り組みにも力を入れております。
海外では、国内同様新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく、商品プロモーションやイベント関連は稼働できない状況が続いております。また北米のEC事業は二桁で伸びているものの、学校閉鎖の地域では、学童関連のリオーダーの大幅減により苦戦が強いられています。
これらの結果として、売上高は、294億円(前年同期比30.1%減)、営業損失は25億円(前年同期は24億円の利益)、営業外収益に受取利息、投資事業組合運用益等を計上し、経常損失は17億円(前年同期は33億円の利益)でした。特別利益として雇用調整助成金等で11億円、特別損失として新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う店舗の臨時休業やテーマパークの臨時休園による損失等14億円の計上に対し、法人税等合計2億円を計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は23億円(前年同期は15億円の利益)となりました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当第3四半期連結累計期間の対象期間は、2020年1月~9月であります。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
i. 日本:売上高230億円(前年同期比32.0%減)、営業損失25億円(前年同期は営業利益20億円)
物販事業のリテール部門では、コロナ禍において10、11月には、マスク、消毒スプレー等の衛生関連商品や、『クロミ』、『ハローキティ』等のプロモーション、ワイドキャラクターの企画商品、当りくじの販売が好調で、郊外店、地方店中心に回復基調となり、国内については前年並みの客数、売上を確保する事が出来ました。また12月には大阪難波に「Sanrio Gift Gate なんば戎橋店」がオープンしました。しかしながら12月のギフトシーズンでは、児童のクリスマス会等の商機が失われたり、感染症拡大を受け外出自粛要請による来客数の激減で、全般的に奮いませんでした。その中でも、ECは、毎月会員数が1万人以上増加(12月末の総会員数は前年同期比165%)しており、売上は前年同期比135.6%と大幅に伸長しています。
卸部門も同様にキッズアイテムを中心に品ぞろえするチェーンストアが苦戦しましたが、卸先の店舗数や展開面の拡大、通販卸の増大でその補完をいたしました。
ライセンス事業の商品化権ライセンスでは、第3四半期も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったものの、主力ライセンシーの納品先である小売りチェーンの内、衣料系の「ユニクロ」はじめ、「しまむら」や「アベイル」などですごもり需要のルームウエア、パジャマ、手作り需要の生地、ワッペンなどが大きく貢献しました。また、感染症関連商品としてマスクの商品化がさらに進んだことと、サラヤ株式会社のハンドジェル、常盤薬品工業株式会社の「南天のど飴」なども堅調で全体の底上げにつながりました。
対企業企画では新規の成約が大きく貢献し、「ドトール」、「ロッテリア」などの外食産業の利用促進キャンペーン、スーパーの「カスミ」のハロウィーンキャンペーンや北九州市との年間契約などを獲得しました。また、グローバル企業であるユニリーバ・ジャパン株式会社との「LUX」ブランドや紅茶の「リプトン」との協業が大型企画として多大なる貢献をしました。
エンターテイメント事業本部における商品化権ライセンスは、イベントやカフェ、玩具流通市場が未だ回復しない中、第3四半期にはアミューズメント商材は前年の実績を超え、また他社IPのデザインプロデュースや人気アニメやYouTuberなどとのコラボレーション案件も好調でした。中でも人気ゲーム実況グループ「ナポリの男たち」とのコラボレーション商品は、ライセンス先のサイトや販路共に盛況で、売上に貢献しました。
デジタルコンテンツ事業も順調に推移し、新規取引先の株式会社アニプレックス「きららファンタジア」へのサンリオキャラクターライセンスがプラスに寄与しました。引き続きデジタル市場に向けた商材開発、時流に合った販売方法の開拓、また『こぎみゅん』や『BEATCATS』などの新規キャラクターの育成・強化に注力してまいります。
テーマパーク事業では、東京都多摩市のサンリオピューロランドは、営業再開後から入園制限をしており、コロナ禍の終息が見えない中での第3四半期の入園者数は、178千人(前年同期比175千人減、49.6%減)、第3四半期累計では281千人(同849千人減、75.1%減)という状況でした。12月7日より開業30年目を迎え「30th Anniversary Parade「Hello, New World ~虹を、つなごう」」の上演を、観覧人数を制限して開始しました。また新たな取り組みとしては、6月からキャラクターのショーやグリーティングなどのデジタル配信やオリジナル商品の通信販売等を積極的に行い、また販促費等を削減しましたが、大幅な営業損失となりました。
大分県のハーモニーランドは、10月以降も引き続き、大型のイベントや夜間営業等は縮小しておりますが、パレードの再開や政府による各種施策効果もあり、11月には前年同月比87%まで回復する状況となりましたが、第3四半期の入園者数は、75千人(前年同期比46千人減、37.8%減)、第3四半期累計では128千人(前年同期比242千人減、65.4%減)となりました。
ⅱ. 欧州:売上高8億円(前年同期比12.1%減)、営業損失1億円(同3億円損失減)
新型コロナウイルス感染症の影響により、学校や商業施設が閉鎖された中近東では、学童用品関連の主要取引先のリオーダーが大幅減少し、苦戦しました。欧州エリアでは、ファストファッションや家庭用品カテゴリーの減収が続くものの、玩具大手取引先との取引活性化やフランスのラグジュアリーブランドとのコラボレーションが貢献し、前年同期に対する下げ幅は比較的小さくすることができました。
『ミスターメン リトルミス』は、重要カテゴリーである出版ライセンスや、中国をメインとしたアジア展開が堅調に推移しました。
ⅲ. 北米:売上高12億円(前年同期比32.5%減)、営業損失8億円(同1億円損失増)
ライセンス事業は、ライセンシー入替の効果もあり、マスリテーラーのWalmart、Targetにおける当社商品流通規模が拡大したものの、大手消費財メーカーとの契約未更新やコスメブランドとのコラボレーション商品展開の落ち着きによるヘルス&ビューティ関連のライセンス売上が大幅に減少し、『ハローキティ』45周年関連で開拓した前期のコラボレーション案件をカバーするには至りませんでした。
物販事業では、新型コロナウイルス感染症による自社店舗や大手リテーラーの閉鎖影響もあり、リテール・卸売事業は苦戦したものの、EC事業につきましては、第2四半期に続き、二桁増での成長を続けております。
ⅳ. 南米:売上高2億円(前年同期比37.9%減)、営業損失1百万円(前年同期は営業利益0.7百万円)
南米地域では、ヘルス&ビューティカテゴリーが比較的堅調に推移した一方、新型コロナウイルス感染症により主要市場であるメキシコ、ブラジルをはじめ、新規取引先が貢献したペルーを除く全地域で苦戦を強いられました。また、2月以降進んでいるブラジルレアル安もあり、為替差損の影響が大きく出ました。
ⅴ. アジア:売上高40億円(前年同期比20.0%減)、営業利益14億円(同26.6%減)
東南アジアをカバーする香港子会社では、新型コロナウイルス感染症の環境下、特に売上構成の大きい香港・マカオ市場において、得意とする商品プロモーションやイベント関連のライセンスが稼働せず、非常に苦戦しました。東南アジアにおいても、タイやフィリピンなどの主要ショッピングモールのロックダウンに伴い、ベトナムを除く全管轄地域において、商品化権ライセンスや、同地域におけるイベントライセンスも厳しい状況が続いています。
台湾では、新型コロナウイルス感染症による取引先の中国工場の製造・物流機能の停滞で、家電やアパレルといった商品化権ライセンスが伸び悩みましたが、流通企業や食品メーカーとの継続的な関係性に基づき、プロモーション案件を確保できたため、他市場に比べると比較的下げ幅を抑えることに成功しました。
韓国では、ゲームアプリのコラボレーションが好調でデジタルライセンスが前年同期に対し二桁増を記録した一方で、主要販路が実店舗である既存取引先も多く、ヘルス&ビューティ、食品、玩具などの商品化権ライセンスの落ち込みをカバーできませんでした。
中国では、歯ブラシメーカーとの新規契約獲得や主要取引先の堅調な推移により、ヘルス&ビューティのライセンスが拡大、また、「Adidas Neo」との新規契約によりアパレル関連の底上げに成功しましたが、上期の新型コロナウイルス感染症の影響もあり、学童品や玩具、アクセサリーといった他のカテゴリーの落ち込みをカバーできませんでした。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
該当事項はありません。