訂正有価証券報告書-第64期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は1,560億円で、前期末比553億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金384億円、売掛金52億円、商品及び製品21億円、退職給付に係る資産39億円です。
負債の部は911億円で前期末比467億円増加しました。主な増加項目は支払手形及び買掛金8億円、未払法人税等44億円、契約負債6億円、転換社債型新株予約権付社債310億円、繰延税金負債53億円です。
純資産の部は648億円で前期末比86億円増加しました。主な増加項目は、利益剰余金34億円、その他有価証券評価差額金10億円、為替換算調整勘定30億円、退職給付に係る調整累計額7億円です。
自己資本比率は41.4%で前期末比14.2ポイント減少しました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により経済活動が正常化するとともに、外国人観光客が増加するなど景気の回復基調が継続いたしました。一方で、原材料価格の高騰や世界的な金融引き締めによる景気への影響に加え、欧州における紛争の長期化や中東情勢の緊迫化など依然として先行きが不透明な状況が継続しております。
このような状況のなか当社グループは、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の最終年度として、「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を着実に推し進めてまいりました。また、人気キャラクター『ハローキティ』の50周年アニバーサリーイヤー(2023年11月~2024年12月)を開催しており、限定商品や様々なイベントが幅広い世代からご支持をいただいております。
国内の店舗・テーマパークは、『ハローキティ』50周年などの施策に加え、新型コロナウイルス感染症の分類移行により国内客及び外国人観光客が大幅に増加し、売上高を押し上げました。また、国内外のライセンス事業は、複数キャラクター戦略の好調継続により、既存ライセンシーの商品展開が増加するなど売上高の伸長に寄与いたしました。
なお、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は2024年3月末現在で約187万人となっております。
連結営業損益に関しては、増収及び構造改革による収益性向上により、大幅増益となりました。
以上の結果、売上高は999億円(前期比37.7%増)と大幅に伸長いたしました。営業利益は269億円(同103.5%増)と2014年3月期以来、10期ぶりに過去最高益を更新いたしました。また、経常利益は282億円(同106.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は175億円(同115.5%増)と伸長いたしました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当連結会計年度の対象期間は、2023年1月~12月であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
ⅰ 日本:売上高689億円(前期比31.8%増)、営業利益197億円(同87.5%増)
1.国内営業本部(物販事業・ライセンス事業)
物販事業は、新型コロナウイルス感染症の分類移行後の社会経済活動の正常化に加え、『ハローキティ』50周年などの様々な施策が奏功し、店舗の客数が大幅に増加いたしました。また、引き続き外国人観光客が増加しており、都心や観光地を中心に店舗の売上高を大きく押し上げました。キャラクター別に見ると、国内客だけでなく外国人観光客からも人気の高い『シナモロール』や『クロミ』に加え、今年50周年の『ハローキティ』が売上高を牽引いたしました。
ライセンス事業は、複数キャラクター戦略が奏功し売上高が伸長いたしました。50周年の『ハローキティ』だけでなく『クロミ』や『シナモロール』など複数のキャラクターが注目を集めており、それにより顧客課題の解決につなげるソリューション営業に磨きがかかり、既存ライセンシーのリピート率向上や商品展開増へとつながっております。商品化ライセンスは、すべてのカテゴリーで前年実績を上回り、特に複数キャラクター展開の大手アパレル、人気継続のカプセルトイやプライズ、インバウンド需要の高まりによりお土産品が好調に推移いたしました。
営業損益については、売上の大幅増に加え、販管費のコントロールが奏功し、大幅増益となりました。
2.テーマパーク
サンリオピューロランド(東京都多摩市)は、新型コロナウイルス感染症の分類移行後にキャラクターとの握手やハグなどの触れ合い、同施設最大の人気エンターテイメント「Miracle Gift Parade」を3年ぶりに再開したことで国内外の客数が大幅に増加いたしました。また、同エンターテイメントの再開により有料席や関連商品が好調に推移し売上高を押し上げました。当社が昨年3月から販売している英語教材「Sanrio English Master」と連動したピューロランド初の英語発話型の新アトラクション「BUDDYEDDY WONDERFUL CLUB」(2023年10月オープン)は、子供から大人までの幅広い層にお楽しみいただくなど話題を集めました。シーズンイベント「春のピューロランド学園祭」(2024年1月12日~4月9日)は、学園祭をテーマにした限定商品や初企画のメイドカフェが人気を博し、新規顧客の開拓に貢献するとともに客単価増にもつながり売上高を伸長いたしました。
ハーモニーランド(大分県速見郡日出町)は、シーズンイベントの「Iceful Parade(アイスフルパレード)」や「とっておきのRainy Day」、「HAPPY CHRISTMAS」に加え、ニューアトラクション「ウォーターショット」(2023年7月14日オープン)が客数増に貢献いたしました。また、これらの新規イベントと連動したオリジナル商品や入園チケットの価格の見直しが客単価を押し上げ、売上高の増加に寄与いたしました。なお、夏季限定のプール「スプラッシュアイランド」のキッズエリア拡張やレストランのリニューアルなどホスピタリティの向上策にも努めております。
営業損益は、両施設の売上高が大幅に増加したことに加えコストコントロールが奏功し、大幅増益となりました。
ⅱ 欧州:売上高24億円(前期比32.9%増)、営業利益2億円(前期は1億円の損失)
ライセンス事業は、有名ブランドや大手ライセンシーとのコラボレーション継続が奏功し、ブランド価値及び認知度が向上いたしました。カテゴリー別の動向については、大手ライセンシーとの取り組みが注目を集めたアパレルカテゴリーやドイツの有名ブランドとグローバル展開したフットウエアカテゴリーにおいて、複数のキャラクターが採用されるなど好調に推移いたしました。食品カテゴリーは、50周年の『ハローキティ』の菓子が好評を博しました。
営業損益は、売上高の大幅増により8期ぶりに黒字へと転換いたしました。
ⅲ 北米:売上高124億円(前期比92.2%増)、営業利益28億円(同290.5%増)
ライセンス事業は、引き続き好調に推移いたしました。アパレルカテゴリーは、既存ライセンシーとの取り組みが引き続き好調に推移するとともに、有名アニメキャラクターとのコラボレーションが認知度向上に寄与いたしました。玩具カテゴリーは、『ハローキティ』はもちろん『シナモロール』などの様々なキャラクターのぬいぐるみが好調に推移いたしました。ヘルス&ビューティーカテゴリーは、有名アーティストのキャラクターIPとコラボレーションしたコスメが人気を博しました。デジタルカテゴリーは、ゲームコンテンツ(2023年7月配信)が注目を集め、売上高の増加に寄与いたしました。なお、YouTubeでのオリジナルアニメーションの配信やメジャーリーグベースボール(MLB)とのオフラインイベントなど、顧客との接点強化にも努めております。
物販事業(自社EC)は、引き続き好調に推移いたしました。特にカメラやバッグ、有名アニメキャラクターとのコラボレーション商品が人気を博しました。また、有名アーティストによるサンリオキャラクターの露出が注目を集めました。
営業損益については、売上高の大幅伸長により、大幅増益となりました。
ⅳ 南米:売上高10億円(前期比103.5%増)、営業利益2億円(同783.5%増)
南米全体は、ヘルス&ビューティー、アパレル、バッグ、企業特販カテゴリーのライセンス事業が好調に推移いたしました。メキシコは、ハローキティカフェの人気が継続している企業特販カテゴリー、子供服が好調のアパレルカテゴリー、香水や衛生商品が好調のヘルス&ビューティーカテゴリーが売上増に貢献いたしました。また、メキシコ第二の都市モンテレイにバーガーショップがオープン(2023年12月)するなどタッチポイントを増しております。ブラジルは、家庭用品や企業特販カテゴリーなどが好調に推移いたしました。ペルーは、通学バッグの需要が増加したバッグカテゴリーが売上高を牽引いたしました。
営業損益については、売上高の大幅伸長により大きく改善いたしました。
ⅴ アジア:売上高151億円(前期比31.5%増)、営業利益60億円(同47.9%増)
中国は、2023年1月からマスターライセンス契約先をアリババグループのアリフィッシュへと変更いたしました。新型コロナウイルス感染症の拡大により2023年初頭はビジネス活動が鈍化したものの、ヘルス&ビューティー、企業特販、トイ&ホビーカテゴリーが伸長いたしました。また、『ハローキティ』に加え、複数キャラクター展開が奏功しており、『シナモロール』『クロミ』に加え『ポチャッコ』なども注目を集め、売上高が伸長いたしました。
韓国は、前期に実施した韓国の大手芸能事務所に所属するアイドルグループとのコラボレーションをきっかけにZ世代への認知度及びブランド価値が向上しており、新規ライセンシーの獲得に加え、既存ライセンシーの商品展開が拡大いたしました。特にライセンス事業において、ぬいぐるみなどの複数キャラクター展開が奏功したトイ&ホビーカテゴリーが伸長いたしました。
香港・マカオ地区は、ライセンス事業において、金融機関との継続的なプロモーションにより、企業特販カテゴリーが売上高を牽引いたしました。
台湾は、ライセンス事業において、企業特販やヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移し、売上高の増加に貢献いたしました。また、デジタルカテゴリーは、モバイルゲームとのコラボレーションをグローバルに展開したことで認知度向上に寄与いたしました。
東南アジアは、タイが売上高を牽引いたしました。特に同国最大のコンビニエンスストアとのコラボレーションや、アパレルライセンシーとの取り組みが売上高の増加に寄与いたしました。
営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より357億円増の679億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、221億円の収入(前期比106億円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が286億円(前期比153億円増)、減価償却費が18億円(前期比微増)、その他の負債の増加額が30億円(前期比10億円の収入増)であった一方、売上債権の増加額が47億円(前期比28億円の収入減)、棚卸資産の増加額が18億円(前期比9億円の収入減)、法人税等の支払額が47億円(前期比9億円の支出増)であったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、34億円の支出(前期比13億円の支出増)となりました。これは、関係会社の清算による収入が9億円(前期比9億円の収入増)であった一方、定期預金預入払戻の差である11億円の支出(前期比17億円の支出減)、有形固定資産の取得売却の差額16億円の支出(前期比10億円の支出増)、投資活動その他の収支による16億円の支出(前期は11百万円の収入)であったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは157億円の収入(前期は27億円の支出)となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が311億円(前期比311億円の収入増)であった一方、自己株式の取得による支出が108億円(前期比108億円の支出増)、配当金の支払額34億円(前期比15億円の支出増)、財務活動その他の収支による7億円の支出(前期比11百万円の支出減)などによるものです。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ273億円増加し、999億円(前期比37.7%増)となりました。売上高に占める報告セグメント別の割合は、日本が69.0%(前期末比3.1ポイント減)、欧州が2.4%(同0.1ポイント減)、北米が12.4%(同3.5ポイント増)、南米が1.0%(同0.3%増)、アジアは15.1%(同0.7ポイント減)となりました。なお、報告セグメント別の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、269億円(前期比103.5%増)となりました。主な増加要因としましては、全てのセグメントにおける売上高の増加によるものと、原価率の低減等によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取利息11億円、投資事業組合運用益2億円等を計上したことにより、19億円(同52.7%増)となりました。営業外費用は、支払利息1憶円、為替差損2億円等を計上したことにより、6億円(同20.6%減)となりました。
以上の結果、経常利益は、282億円(同106.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、関係会社清算益5億円等を計上したことにより、5億円(同17.1%増)となりました。特別損失は、事業構造改善費用1億円等を計上したことにより、2億円(同77.3%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、175億円(同115.5%増)となりました。
なお、当社グループが中期経営計画「未来への創造と挑戦」において掲げた目標に対する進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①中期経営計画の取り組み」をご参照ください。
財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財務状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び戦略投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債、転換社債型新株予約権付社債を含む有利子負債の残高は506億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は679億円となっております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は1,560億円で、前期末比553億円増加しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金384億円、売掛金52億円、商品及び製品21億円、退職給付に係る資産39億円です。
負債の部は911億円で前期末比467億円増加しました。主な増加項目は支払手形及び買掛金8億円、未払法人税等44億円、契約負債6億円、転換社債型新株予約権付社債310億円、繰延税金負債53億円です。
純資産の部は648億円で前期末比86億円増加しました。主な増加項目は、利益剰余金34億円、その他有価証券評価差額金10億円、為替換算調整勘定30億円、退職給付に係る調整累計額7億円です。
自己資本比率は41.4%で前期末比14.2ポイント減少しました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により経済活動が正常化するとともに、外国人観光客が増加するなど景気の回復基調が継続いたしました。一方で、原材料価格の高騰や世界的な金融引き締めによる景気への影響に加え、欧州における紛争の長期化や中東情勢の緊迫化など依然として先行きが不透明な状況が継続しております。
このような状況のなか当社グループは、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」の最終年度として、「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」を3本柱とする各種施策を着実に推し進めてまいりました。また、人気キャラクター『ハローキティ』の50周年アニバーサリーイヤー(2023年11月~2024年12月)を開催しており、限定商品や様々なイベントが幅広い世代からご支持をいただいております。
国内の店舗・テーマパークは、『ハローキティ』50周年などの施策に加え、新型コロナウイルス感染症の分類移行により国内客及び外国人観光客が大幅に増加し、売上高を押し上げました。また、国内外のライセンス事業は、複数キャラクター戦略の好調継続により、既存ライセンシーの商品展開が増加するなど売上高の伸長に寄与いたしました。
なお、サンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は2024年3月末現在で約187万人となっております。
連結営業損益に関しては、増収及び構造改革による収益性向上により、大幅増益となりました。
以上の結果、売上高は999億円(前期比37.7%増)と大幅に伸長いたしました。営業利益は269億円(同103.5%増)と2014年3月期以来、10期ぶりに過去最高益を更新いたしました。また、経常利益は282億円(同106.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は175億円(同115.5%増)と伸長いたしました。
なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当連結会計年度の対象期間は、2023年1月~12月であります。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
ⅰ 日本:売上高689億円(前期比31.8%増)、営業利益197億円(同87.5%増)
1.国内営業本部(物販事業・ライセンス事業)
物販事業は、新型コロナウイルス感染症の分類移行後の社会経済活動の正常化に加え、『ハローキティ』50周年などの様々な施策が奏功し、店舗の客数が大幅に増加いたしました。また、引き続き外国人観光客が増加しており、都心や観光地を中心に店舗の売上高を大きく押し上げました。キャラクター別に見ると、国内客だけでなく外国人観光客からも人気の高い『シナモロール』や『クロミ』に加え、今年50周年の『ハローキティ』が売上高を牽引いたしました。
ライセンス事業は、複数キャラクター戦略が奏功し売上高が伸長いたしました。50周年の『ハローキティ』だけでなく『クロミ』や『シナモロール』など複数のキャラクターが注目を集めており、それにより顧客課題の解決につなげるソリューション営業に磨きがかかり、既存ライセンシーのリピート率向上や商品展開増へとつながっております。商品化ライセンスは、すべてのカテゴリーで前年実績を上回り、特に複数キャラクター展開の大手アパレル、人気継続のカプセルトイやプライズ、インバウンド需要の高まりによりお土産品が好調に推移いたしました。
営業損益については、売上の大幅増に加え、販管費のコントロールが奏功し、大幅増益となりました。
2.テーマパーク
サンリオピューロランド(東京都多摩市)は、新型コロナウイルス感染症の分類移行後にキャラクターとの握手やハグなどの触れ合い、同施設最大の人気エンターテイメント「Miracle Gift Parade」を3年ぶりに再開したことで国内外の客数が大幅に増加いたしました。また、同エンターテイメントの再開により有料席や関連商品が好調に推移し売上高を押し上げました。当社が昨年3月から販売している英語教材「Sanrio English Master」と連動したピューロランド初の英語発話型の新アトラクション「BUDDYEDDY WONDERFUL CLUB」(2023年10月オープン)は、子供から大人までの幅広い層にお楽しみいただくなど話題を集めました。シーズンイベント「春のピューロランド学園祭」(2024年1月12日~4月9日)は、学園祭をテーマにした限定商品や初企画のメイドカフェが人気を博し、新規顧客の開拓に貢献するとともに客単価増にもつながり売上高を伸長いたしました。
ハーモニーランド(大分県速見郡日出町)は、シーズンイベントの「Iceful Parade(アイスフルパレード)」や「とっておきのRainy Day」、「HAPPY CHRISTMAS」に加え、ニューアトラクション「ウォーターショット」(2023年7月14日オープン)が客数増に貢献いたしました。また、これらの新規イベントと連動したオリジナル商品や入園チケットの価格の見直しが客単価を押し上げ、売上高の増加に寄与いたしました。なお、夏季限定のプール「スプラッシュアイランド」のキッズエリア拡張やレストランのリニューアルなどホスピタリティの向上策にも努めております。
営業損益は、両施設の売上高が大幅に増加したことに加えコストコントロールが奏功し、大幅増益となりました。
ⅱ 欧州:売上高24億円(前期比32.9%増)、営業利益2億円(前期は1億円の損失)
ライセンス事業は、有名ブランドや大手ライセンシーとのコラボレーション継続が奏功し、ブランド価値及び認知度が向上いたしました。カテゴリー別の動向については、大手ライセンシーとの取り組みが注目を集めたアパレルカテゴリーやドイツの有名ブランドとグローバル展開したフットウエアカテゴリーにおいて、複数のキャラクターが採用されるなど好調に推移いたしました。食品カテゴリーは、50周年の『ハローキティ』の菓子が好評を博しました。
営業損益は、売上高の大幅増により8期ぶりに黒字へと転換いたしました。
ⅲ 北米:売上高124億円(前期比92.2%増)、営業利益28億円(同290.5%増)
ライセンス事業は、引き続き好調に推移いたしました。アパレルカテゴリーは、既存ライセンシーとの取り組みが引き続き好調に推移するとともに、有名アニメキャラクターとのコラボレーションが認知度向上に寄与いたしました。玩具カテゴリーは、『ハローキティ』はもちろん『シナモロール』などの様々なキャラクターのぬいぐるみが好調に推移いたしました。ヘルス&ビューティーカテゴリーは、有名アーティストのキャラクターIPとコラボレーションしたコスメが人気を博しました。デジタルカテゴリーは、ゲームコンテンツ(2023年7月配信)が注目を集め、売上高の増加に寄与いたしました。なお、YouTubeでのオリジナルアニメーションの配信やメジャーリーグベースボール(MLB)とのオフラインイベントなど、顧客との接点強化にも努めております。
物販事業(自社EC)は、引き続き好調に推移いたしました。特にカメラやバッグ、有名アニメキャラクターとのコラボレーション商品が人気を博しました。また、有名アーティストによるサンリオキャラクターの露出が注目を集めました。
営業損益については、売上高の大幅伸長により、大幅増益となりました。
ⅳ 南米:売上高10億円(前期比103.5%増)、営業利益2億円(同783.5%増)
南米全体は、ヘルス&ビューティー、アパレル、バッグ、企業特販カテゴリーのライセンス事業が好調に推移いたしました。メキシコは、ハローキティカフェの人気が継続している企業特販カテゴリー、子供服が好調のアパレルカテゴリー、香水や衛生商品が好調のヘルス&ビューティーカテゴリーが売上増に貢献いたしました。また、メキシコ第二の都市モンテレイにバーガーショップがオープン(2023年12月)するなどタッチポイントを増しております。ブラジルは、家庭用品や企業特販カテゴリーなどが好調に推移いたしました。ペルーは、通学バッグの需要が増加したバッグカテゴリーが売上高を牽引いたしました。
営業損益については、売上高の大幅伸長により大きく改善いたしました。
ⅴ アジア:売上高151億円(前期比31.5%増)、営業利益60億円(同47.9%増)
中国は、2023年1月からマスターライセンス契約先をアリババグループのアリフィッシュへと変更いたしました。新型コロナウイルス感染症の拡大により2023年初頭はビジネス活動が鈍化したものの、ヘルス&ビューティー、企業特販、トイ&ホビーカテゴリーが伸長いたしました。また、『ハローキティ』に加え、複数キャラクター展開が奏功しており、『シナモロール』『クロミ』に加え『ポチャッコ』なども注目を集め、売上高が伸長いたしました。
韓国は、前期に実施した韓国の大手芸能事務所に所属するアイドルグループとのコラボレーションをきっかけにZ世代への認知度及びブランド価値が向上しており、新規ライセンシーの獲得に加え、既存ライセンシーの商品展開が拡大いたしました。特にライセンス事業において、ぬいぐるみなどの複数キャラクター展開が奏功したトイ&ホビーカテゴリーが伸長いたしました。
香港・マカオ地区は、ライセンス事業において、金融機関との継続的なプロモーションにより、企業特販カテゴリーが売上高を牽引いたしました。
台湾は、ライセンス事業において、企業特販やヘルス&ビューティーカテゴリーが好調に推移し、売上高の増加に貢献いたしました。また、デジタルカテゴリーは、モバイルゲームとのコラボレーションをグローバルに展開したことで認知度向上に寄与いたしました。
東南アジアは、タイが売上高を牽引いたしました。特に同国最大のコンビニエンスストアとのコラボレーションや、アパレルライセンシーとの取り組みが売上高の増加に寄与いたしました。
営業損益については、アジア各国における全体的な売上高の伸びが寄与し、増益となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より357億円増の679億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、221億円の収入(前期比106億円の収入増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が286億円(前期比153億円増)、減価償却費が18億円(前期比微増)、その他の負債の増加額が30億円(前期比10億円の収入増)であった一方、売上債権の増加額が47億円(前期比28億円の収入減)、棚卸資産の増加額が18億円(前期比9億円の収入減)、法人税等の支払額が47億円(前期比9億円の支出増)であったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、34億円の支出(前期比13億円の支出増)となりました。これは、関係会社の清算による収入が9億円(前期比9億円の収入増)であった一方、定期預金預入払戻の差である11億円の支出(前期比17億円の支出減)、有形固定資産の取得売却の差額16億円の支出(前期比10億円の支出増)、投資活動その他の収支による16億円の支出(前期は11百万円の収入)であったことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは157億円の収入(前期は27億円の支出)となりました。これは、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が311億円(前期比311億円の収入増)であった一方、自己株式の取得による支出が108億円(前期比108億円の支出増)、配当金の支払額34億円(前期比15億円の支出増)、財務活動その他の収支による7億円の支出(前期比11百万円の支出減)などによるものです。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
日本 | 68,951 | +31.8 |
欧州 | 2,423 | +32.9 |
北米 | 12,439 | +92.2 |
南米 | 1,025 | +103.5 |
アジア | 15,140 | +31.5 |
合計 | 99,981 | +37.7 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ273億円増加し、999億円(前期比37.7%増)となりました。売上高に占める報告セグメント別の割合は、日本が69.0%(前期末比3.1ポイント減)、欧州が2.4%(同0.1ポイント減)、北米が12.4%(同3.5ポイント増)、南米が1.0%(同0.3%増)、アジアは15.1%(同0.7ポイント減)となりました。なお、報告セグメント別の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、269億円(前期比103.5%増)となりました。主な増加要因としましては、全てのセグメントにおける売上高の増加によるものと、原価率の低減等によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、受取利息11億円、投資事業組合運用益2億円等を計上したことにより、19億円(同52.7%増)となりました。営業外費用は、支払利息1憶円、為替差損2億円等を計上したことにより、6億円(同20.6%減)となりました。
以上の結果、経常利益は、282億円(同106.0%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、関係会社清算益5億円等を計上したことにより、5億円(同17.1%増)となりました。特別損失は、事業構造改善費用1億円等を計上したことにより、2億円(同77.3%減)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、175億円(同115.5%増)となりました。
なお、当社グループが中期経営計画「未来への創造と挑戦」において掲げた目標に対する進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①中期経営計画の取り組み」をご参照ください。
財政状態の分析
当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財務状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及び戦略投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及び社債、転換社債型新株予約権付社債を含む有利子負債の残高は506億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は679億円となっております。