四半期報告書-第110期第2四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)

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2019/11/13 10:10
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(1) 経営成績の概況
(金融経済環境)
当第2四半期連結累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年9月30日)の世界経済は、米中貿易摩擦や中東における地政学リスクの高まりなど先行き不透明な状況となりましたが、わが国経済は企業収益や雇用・所得環境の改善を通じて緩やかな回復基調が続きました。
株式市場についてみますと、期初21,509円で始まった日経平均株価は、中国経済指標の改善などが買い材料となり、4月25日には当期間の最高値となる22,307円まで上昇しました。5月以降は米中通商協議の先行き不透明感の高まりなどを受けて軟調となり、6月初旬には20,400円台まで下落したものの、概ね21,000円台を中心に推移しました。8月に入ると通商を巡る米中対立の激化や米国における逆イールドの発生などを背景とした投資家心理の悪化により再び下落し、8月26日には当期間の最安値となる20,261円をつけましたが、その後はFRBによる追加利下げなどが好感されて反発しました。9月中旬から下旬にかけては22,000円台を回復する場面も見られましたが、9月末は21,755円で取引を終えました。
この期間における東京市場の制度信用取引買い残高をみますと、期初から7月末にかけては1兆5,300億円台から1兆7,200億円台で推移した後、8月の株価下落局面においては個人投資家の押し目買いから増加し、中旬には当期間のピークとなる1兆7,700億円台を付けましたが、8月末以降の株価回復局面では利益確定売りが見られたことから、9月末は1兆4,800億円台となりました。一方、4月下旬に6,900億円台まで増加した同売り残高は、その後5,600億円台から6,600億円台での増減を繰り返した後、株価下落局面での買い戻しにより8月中旬には当期間のボトムとなる5,500億円台まで減少しましたが、8月末以降は株価が回復するなかで新規売りが見られ、9月中旬には当期間のピークとなる7,500億円台まで増加し、9月末は7,100億円台となりました。
(2020年3月期第2四半期決算)
このような環境の下、当第2四半期連結累計期間における当社グループの貸付金総残高(期中平均)は7,882億円と前年同期比454億円の減少となりました。
当第2四半期連結累計期間の連結営業収益は、貸借取引業務における有価証券貸付料および有価証券貸付業務における現先取引収益などが増収となったことなどから、14,393百万円(前年同期比19.4%増)となりました。一方、同営業費用は貸借取引業務における有価証券借入料および有価証券貸付業務における現先取引費用などが増加したことから7,923百万円(同37.8%増)となり、一般管理費は4,102百万円(同0.6%増)となりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の連結営業利益は2,368百万円(同6.4%増)、同経常利益は2,758百万円(同2.4%増)となりました。なお、一部投資株式の保有区分変更に伴い、当該株式にかかる受取配当金の計上が営業外収益から営業収益となった影響(225百万円)が含まれております。親会社株主に帰属する四半期純利益は2,070百万円(同6.4%増)となりました。
次に当第2四半期連結累計期間における各セグメントの営業概況は以下のとおりです。
○証券金融業
貸借取引業務における営業収益は6,280百万円(前年同期比33.4%増)となりました。貸借取引貸付金が期中平均で2,023億円と前年同期比1,237億円減少し、貸付金利息が減収となったものの、貸借取引貸付有価証券は期中平均で3,416億円と前年同期比799億円増加した結果、貸株料および貸株超過銘柄にかかる品貸料が増収となりました。
一般貸付業務における営業収益は575百万円(同12.6%減)となりました。金融商品取引業者向けでは一部取引先の資金需要を取り込んだものの全体としては前年同期を下回ったほか、個人・一般事業法人向けも弱含みで推移した結果、当業務の貸付金の期中平均は889億円と前年同期比51億円の減少となりました。なお、現金担保付株券等貸借取引の利用は増加しました。
有価証券貸付業務における営業収益は3,173百万円(同3.3%減)となりました。債券営業部門は現先取引の残高増加が寄与して増収となったものの、一般貸株部門における有価証券貸付料の減収分を補うまでには至りませんでした。
その他の収益は2,189百万円(同37.0%増)となりました。保有国債の利息収入および売却益が減少したものの、保有投資信託の分配金等の収入が増加しました。
○信託銀行業
信託銀行業務における営業収益は1,724百万円(同26.4%増)となりました。貸付金利の低下に伴い貸付金利息が減収となったものの、信託報酬および保有国債等の売却益等が増加しました。
○不動産賃貸業
不動産賃貸業務における営業収益は450百万円(同2.0%増)となりました。
(2) 財政状態に関する分析
≪当社グループの資産、負債、キャッシュ・フローの特徴≫
資産は、日々変動する貸借取引貸付(営業貸付金)と機動的な資金調達のための有価証券が太宗を占めます。
負債は、変動する資産に合わせてコールマネーやコマーシャル・ペーパーといった日々調整が可能な市場性調達が中心となります。
キャッシュ・フローは、主に上記の資産・負債の変動によるもののほか、配当金の支払および自己株式取得・処分等により発生するものが中心となります。
なお、資産における現金および預金は、負債における日証金信託銀行株式会社の信託勘定における待機資金の状況やグループ全体の資金繰りの状況等により大きく増減することがあります。
また、現時点では重要な資本的支出の予定はありません。
①資産、負債および純資産の状況
当第2四半期連結会計期間末(2019年9月30日)の資産合計額は、7兆2,522億円と前連結会計年度末に比べ1兆9,608億円、負債合計額は7兆1,124億円と前連結会計年度末に比べ1兆9,618億円それぞれ増加し、純資産合計額は1,398億円と前連結会計年度末に比べて9億円減少しました。
この主な要因は以下のとおりです。
○資産
現金および預金…機動的な資金調達による日銀当座預金への預け金の増加等に伴い、前連結会計年度末に比べて732億円増加しました。
営業貸付金…一部金融商品取引業者向け貸付および日証金信託銀行株式会社における貸付金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて1,037億円増加しました。
買現先勘定…現先取引残高の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて1兆1,123億円増加しました。
借入有価証券代り金…貸借取引および現金担保付債券貸借取引(債券レポ取引)にかかる差入担保金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて4,520億円増加しました。
○負債
コールマネーおよびコマーシャル・ペーパー…機動的な資金調達を行った結果、前連結会計年度末に比べてそれぞれ2,148億円の増加、850億円の減少となりました。
売現先勘定…現先取引残高の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて8,558億円増加しました。
貸付有価証券代り金…貸借取引および現金担保付債券貸借取引(債券レポ取引)にかかる受入担保金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて7,964億円増加しました。
信託勘定借…日証金信託銀行株式会社の信託勘定における待機資金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べて1,488億円増加しました。
○純資産
株主資本…配当金の支払いおよび自己株式取得を行ったものの、四半期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等に伴い、前連結会計年度末に比べて9億円増加しました。
その他の包括利益累計額…その他有価証券評価差額金が増加したものの、保有する有価証券等の価格変動に伴い、繰延ヘッジ損益が減少したことから、前連結会計年度末に比べて19億円減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は1兆574億円(前連結会計年度末比722億円増)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、753億円の流入超(前年同期間2,734億円の流入超)となりました。これは、現先取引の増加、有価証券及び投資有価証券(資金調達の際に利用する国債等)の取得などによる支出があった一方で、貸借取引貸株および現金担保付債券貸借取引(債券レポ取引)の増加、コールマネー等の増加などによる収入によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、19億円の流出超(前年同期間75億円の流出超)となりました。これは、投資有価証券の売却及び償還による収入等があった一方で、投資有価証券の取得および無形固定資産の取得による支出等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、11億円の流出超(前年同期間18億円の流出超)となりました。これは、配当金の支払および自己株式の取得による支出等によるものです。
(3) 当社グループ業務別営業収益の状況
前年同期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度(通期)
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)金額(百万円)構成比(%)
証券金融業10,24785.012,21984.920,96986.3
貸借取引業務4,70739.16,28043.69,66139.7
貸借取引貸付金利息1,0318.66534.51,7997.4
借入有価証券代り金利息3312.85994.27082.9
有価証券貸付料3,17526.44,88934.06,81928.0
一般貸付業務6595.55754.01,2425.1
有価証券貸付業務3,28127.23,17322.16,48026.7
株券9077.54543.21,5176.2
債券2,37419.72,71818.94,96220.4
その他1,59813.22,18915.23,58614.8
信託銀行業1,36411.31,72412.02,46710.1
貸付金利息330.3210.1580.2
信託報酬3713.13832.77463.1
その他9588.01,3199.21,6626.8
不動産賃貸業4413.74503.18843.6
合計12,052100.014,393100.024,321100.0

(4) 当社グループ貸付金の状況(平均残高)
前年同期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度(通期)
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(億円)構成比(%)金額(億円)構成比(%)金額(億円)構成比(%)
貸借取引貸付金3,26039.12,02325.72,84235.7
一般貸付金94011.388911.381110.2
(うち一般信用ファイナンス)(118)(1.4)(99)(1.3)(106)(1.3)
信託銀行貸付金4,13549.64,96963.04,31254.1
その他----
合計8,337100.07,882100.07,966100.0
(参考)
貸借取引貸付有価証券
2,616-3,416-2,616

(5) 当社グループ貸付金の状況(期末残高)
前年同期間
(自 2018年4月1日
至 2018年9月30日)
当第2四半期連結累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年9月30日)
前連結会計年度(通期)
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(億円)構成比(%)金額(億円)構成比(%)金額(億円)構成比(%)
貸借取引貸付金3,05334.62,20028.52,49337.3
一般貸付金7648.75096.65468.2
(うち一般信用ファイナンス)(113)(1.3)(145)(1.9)(82)(1.2)
信託銀行貸付金5,00156.75,01664.93,64954.6
その他----
合計8,819100.07,726100.06,688100.0
(参考)
貸借取引貸付有価証券
4,159-5,225-4,330

(6) 貸借取引金利・貸株料の推移
年月日(約定日)貸借取引融資金利貸株等代り金金利貸株料
2001年5月1日0.60%0.00%
2002年5月7日0.60%0.00%0.40%
2006年7月27日0.74%(+0.14%)0.00%0.40%
2006年9月22日0.86%(+0.12%)0.00%0.40%
2007年3月15日1.02%(+0.16%)0.00%0.40%
2007年4月5日1.11%(+0.09%)0.00%0.40%
2009年1月29日0.97%(△0.14%)0.00%0.40%
2010年11月22日0.77%(△0.20%)0.00%0.40%
2014年8月6日0.64%(△0.13%)0.00%0.40%
2016年3月9日0.60%(△0.04%)0.00%0.40%
2019年9月30日現在0.60%0.00%0.40%

(7) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(8) 対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、対処すべき課題について重要な変更はありません。
(9) 研究開発活動
該当事項はありません。