有価証券報告書-第156期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで(以下、当期という。))における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
<経営成績>当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に下押しされ、厳しい状況に転じました。
このような状況のもと、当社グループでは2年目に入った中期経営計画に基づき、2030年に向けて新たな魅力や価値を創造し、持続的に成長していく企業グループとなるため、各事業部門において積極的な営業活動に努めました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が、交通事業、レジャー・サービス事業、流通事業を中心に、各セグメントで発生した結果、営業収益は622,916百万円(前期比0.1%増)、営業利益は47,363百万円(前期比4.2%減)となりました。経常利益は、営業減益に加え営業外損益が悪化し49,288百万円(前期比4.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、整理損失引当金戻入額が増加したことなどにより特別損益が改善したものの、経常減益により28,879百万円(前期比5.2%減)となりました。
セグメント別の主な取組み及び経営成績は、次のとおりであります。
(交通事業)
[主な取組み]
鉄軌道事業では、当社は、都市計画事業の一環として、知立駅付近などで高架化工事を進めたほか、新那加駅や小牧口駅でバリアフリー化を実施するなど、引続き安全面の強化やお客さまサービスの向上に取組みました。また、当社として初となる車内防犯カメラを設置した新型通勤車両9500系を導入したほか、特別車両券(ミューチケット)をインターネットで予約購入できる「名鉄ネット予約サービス」を開始しました。
バス事業では、名鉄バス㈱は、中部国際空港の第2ターミナル開業に合わせ、中部国際空港アクセスバス「セントレアリムジン」の乗入れを開始し、空港利用旅客の獲得に努めました。また、高齢者向けの新たなサービスとして、一般路線全線が定額で乗り放題となる高齢者フリーパス「シルバーパス65」、「ゴールドパス70」の発売を開始し、新たな需要の喚起に努めました。
タクシー事業では、名古屋市内を拠点とする各社は、今後も増加が見込まれるアプリによる配車需要を取込むため、東京都内最大級のネットワークを有するタクシー配車アプリ「S.RIDE」による配車サービスを新たに導入しました。
[経営成績]
交通事業の営業収益は、新型コロナウイルス感染症の影響により163,544百万円(前期比2.5%減)となり、営業利益は、人件費や燃料費は減少したものの、減収により21,577百万円(前期比11.5%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(提出会社の運輸営業成績表)
鉄軌道事業
2 鉄道と軌道との乗車人員は重複しておりません。
(運送事業)
[主な取組み]
トラック事業では、名鉄運輸㈱は、輸送コストに応じた運賃改定交渉に継続して取組み、収益性の向上に努めました。また、奈良大和支店の新規開設などによるグループネットワークの強化を進め、積極的に新たな顧客需要の取込みを図りました。
[経営成績]
運送事業の営業収益は、トラック事業における運賃単価の上昇を主因に138,220百万円(前期比1.0%増)となりました。一方、営業利益は、人件費や減価償却費の増加により5,342百万円(前期比10.5%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(不動産事業)
[主な取組み]
不動産賃貸業では、当社は、清水駅~尼ケ坂駅間の高架下において、「SAKUMACHI商店街」のⅡ期エリアを開業するなど、魅力ある沿線・地域づくりを推進したほか、名古屋都心部における不動産マネジメント事業の強化として、名古屋市交通局の地下鉄伏見駅「駅ナカ」事業に参画し、商業施設「ヨリマチFUSHIMI」を開業しました。
また、不動産分譲業では、名鉄不動産㈱は、「エムズシティ神宮前」の販売を行うなど、沿線における分譲マンション開発に取組んだほか、首都圏などにおいても、積極的な営業活動に努めました。
[経営成績]
不動産事業の営業収益は、不動産分譲業におけるマンション販売の引渡戸数の増加に加え、不動産賃貸業におけるテナントビル運営会社の連結子会社化や駐車場数の増加などにより100,869百万円(前期比9.6%増)となり、営業利益は、不動産分譲業の増収により14,309百万円(前期比25.5%増)となりました。
(業種別営業成績表)
(レジャー・サービス事業)
[主な取組み]
ホテル業では、当社は、犬山地区において、昨年8月に営業を終了した「名鉄犬山ホテル」跡地に開業予定の「ホテルインディゴ犬山有楽苑」と、犬山駅前での新規ホテルについて、それぞれ建設計画を進めました。また、㈱名鉄トヨタホテルは、ラグビーワールドカップの開催に合わせ、客室の全面リニューアルを実施するなど、サービスの向上に努めました。
観光施設事業では、㈱名鉄インプレスは、「日本モンキーパーク」において、14年ぶりとなる新エリアとして、屋外実体験型ロールプレイングゲーム「わんだ村クエスト」をオープンするなど、施設の魅力向上を図りました。また、当社は、新規事業として、豊橋市に温浴施設「ゆのゆ TOYOHASHI」を開業し、地域の活性化に取組みました。
[経営成績]
レジャー・サービス事業の営業収益は、名鉄犬山ホテルの営業終了に伴う収入の剥落に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により50,137百万円(前期比6.1%減)となり、営業利益は減収により611百万円(前期比66.0%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(流通事業)
[経営成績]
流通事業の営業収益は、百貨店業における新型コロナウイルス感染症の影響により、全体では140,538百万円(前期比1.2%減)となり、営業利益は、百貨店業の減収により330百万円(前期比72.1%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(航空関連サービス事業)
[経営成績]
航空関連サービス事業の営業収益は、航空整備事業や機内食事業での受注減少により27,251百万円(前期比1.2%減)となり、営業利益は2,616百万円(前期比6.7%減)となりました。
(業種別営業成績表)
(その他の事業)
[主な取組み]
名鉄協商㈱は、名古屋都心部において、同社が運営するパーキング等を活用し、シェアサイクルサービス「カリテコバイク」を開始したほか、カーシェアリングサービス「カリテコ」を東京都にも進出させるなど、シェアリングエコノミーへの取組みを積極的に推進しました。
[経営成績]
その他の事業の営業収益は、設備工事やシステム関連の受注増加などにより52,123百万円(前期比8.6%増)となり、営業利益は増収により2,854百万円(前期比75.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
<新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響>当期における新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、定期外旅客が減少した交通事業、利用客が減少したホテルや観光施設が休業したレジャー・サービス事業、店舗の営業縮小や外出自粛により来店客数が減少した流通事業を中心に大きな影響を及ぼしたと考えており、当社グループ全体で、営業収益は約130億円の減収、営業利益は約75億円の減益であったと試算しております。
<財政状態>当期末における総資産は、設備投資等による有形固定資産の増加や、分譲マンション建設等による分譲土地建物の増加などにより、前期末に比べ23,569百万円増加し1,164,979百万円となりました。
負債は、社債の新規発行による固定負債の増加などにより、前期末に比べ10,195百万円増加し726,577百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前期末に比べ13,373百万円増加し438,401百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ6,819百万円増加し、32,011百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増減額の減少などにより、前期に比べ2,843百万円増加し70,247百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の増加などにより、14,240百万円減少し△62,527百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出の減少などにより、23,905百万円増加し△898百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、交通事業のほか運送事業、不動産事業、流通事業等の広範囲かつ多種多様なサービス業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどでありますので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
(退職給付債務及び費用の計算)
当社グループは、従業員退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき行っております。従って、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(経営成績の分析)
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(キャッシュ・フローの分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金については、社債及び長期借入金での調達を基本としております。また、当社グループにおいて、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、新型コロナウイルス感染症によるグループ資金繰りへの影響を考慮するとともに、資金調達基盤の安定化を図りつつ、安全に関する投資については優先的に実施をし、また中長期的な収益確保のための投資に関しても可能な限り実施してまいります。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2018年度からの3か年計画、グループ中期経営計画「BUILD UP 2020」の中で、最終年度である2020年度の連結経営数値目標として、「営業利益」及び「EBITDA」を設定し、取組んでおります。また、参考指標として、「ROE(純利益/自己資本)」、「ROA(営業利益/総資産)」、「純有利子負債/EBITDA倍率」及び「株主資本比率」も設定しております。当連結会計年度における各指標は、以下のとおりであります。
(注)※EBITDA:営業利益+減価償却費
純有利子負債:有利子負債-現預金・短期有価証券
同計画の2年目である当連結会計年度においては、鉄軌道事業で引続き安全面の強化やお客さまサービスの向上に取組んだほか、不動産事業では魅力ある沿線・地域づくりを推進し、沿線における賃貸マンション、商業施設の開業や、分譲マンション販売も進めました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が、交通事業、レジャー・サービス事業、流通事業を中心に、各セグメントで発生した結果、営業減益となりました。
また、新型コロナウイルス感染症がグループ全体の業績悪化へ及ぼす影響は非常に甚大であり、先行きも不透明であることから、2020年度の業績予想については現在見通しがつかない状況であります。影響の大きさを踏まえますと、目標の達成は非常に困難であることが予想されますが、少しでも利益を確保できるよう努力してまいりたいと考えております。
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで(以下、当期という。))における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
<経営成績>当期におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に下押しされ、厳しい状況に転じました。
このような状況のもと、当社グループでは2年目に入った中期経営計画に基づき、2030年に向けて新たな魅力や価値を創造し、持続的に成長していく企業グループとなるため、各事業部門において積極的な営業活動に努めました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響が、交通事業、レジャー・サービス事業、流通事業を中心に、各セグメントで発生した結果、営業収益は622,916百万円(前期比0.1%増)、営業利益は47,363百万円(前期比4.2%減)となりました。経常利益は、営業減益に加え営業外損益が悪化し49,288百万円(前期比4.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、整理損失引当金戻入額が増加したことなどにより特別損益が改善したものの、経常減益により28,879百万円(前期比5.2%減)となりました。
セグメント別の主な取組み及び経営成績は、次のとおりであります。
(交通事業)
[主な取組み]
鉄軌道事業では、当社は、都市計画事業の一環として、知立駅付近などで高架化工事を進めたほか、新那加駅や小牧口駅でバリアフリー化を実施するなど、引続き安全面の強化やお客さまサービスの向上に取組みました。また、当社として初となる車内防犯カメラを設置した新型通勤車両9500系を導入したほか、特別車両券(ミューチケット)をインターネットで予約購入できる「名鉄ネット予約サービス」を開始しました。
バス事業では、名鉄バス㈱は、中部国際空港の第2ターミナル開業に合わせ、中部国際空港アクセスバス「セントレアリムジン」の乗入れを開始し、空港利用旅客の獲得に努めました。また、高齢者向けの新たなサービスとして、一般路線全線が定額で乗り放題となる高齢者フリーパス「シルバーパス65」、「ゴールドパス70」の発売を開始し、新たな需要の喚起に努めました。
タクシー事業では、名古屋市内を拠点とする各社は、今後も増加が見込まれるアプリによる配車需要を取込むため、東京都内最大級のネットワークを有するタクシー配車アプリ「S.RIDE」による配車サービスを新たに導入しました。
[経営成績]
交通事業の営業収益は、新型コロナウイルス感染症の影響により163,544百万円(前期比2.5%減)となり、営業利益は、人件費や燃料費は減少したものの、減収により21,577百万円(前期比11.5%減)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
鉄軌道事業 | 96,496 | 96,696 | △0.2 | 18,413 | 19,418 | △5.2 |
バス事業 | 43,336 | 45,689 | △5.2 | 2,527 | 3,521 | △28.2 |
タクシー事業 | 26,154 | 28,691 | △8.8 | 478 | 1,285 | △62.7 |
調整額 | △2,441 | △3,417 | ― | 157 | 154 | ― |
計 | 163,544 | 167,660 | △2.5 | 21,577 | 24,379 | △11.5 |
(提出会社の運輸営業成績表)
鉄軌道事業
種別 | 単位 | 当 期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 対前期増減率(%) | |
営業日数 | 日 | 366 | 0.3 | |
営業キロ | キロ | 444.2 | ― | |
走行キロ | 客車 | 千キロ | 196,703 | 0.9 |
貨車 | 〃 | 1 | 12,125 | |
乗車人員 | 定期 | 千人 | 268,530 | 1.0 |
定期外 | 〃 | 125,622 | △1.4 | |
計 | 〃 | 394,152 | 0.2 | |
貨物トン数 | 千トン | 3 | 33.3 | |
旅客収入 | 定期 | 百万円 | 40,196 | 1.2 |
定期外 | 〃 | 49,845 | △1.0 | |
計 | 〃 | 90,042 | △0.1 | |
手小荷物収入 | 〃 | 32 | △23.6 | |
貨物収入 | 〃 | 3 | 146.7 | |
運輸雑収 | 〃 | 4,635 | △2.4 | |
収入合計 | 〃 | 94,713 | △0.2 | |
1日平均収入 | 〃 | 258 | △0.5 | |
乗車効率 | % | 31.1 |
(注) 1 乗車効率の算出方法は | 延人キロ | ×100によります。 |
客車走行キロ×1車平均定員 |
2 鉄道と軌道との乗車人員は重複しておりません。
(運送事業)
[主な取組み]
トラック事業では、名鉄運輸㈱は、輸送コストに応じた運賃改定交渉に継続して取組み、収益性の向上に努めました。また、奈良大和支店の新規開設などによるグループネットワークの強化を進め、積極的に新たな顧客需要の取込みを図りました。
[経営成績]
運送事業の営業収益は、トラック事業における運賃単価の上昇を主因に138,220百万円(前期比1.0%増)となりました。一方、営業利益は、人件費や減価償却費の増加により5,342百万円(前期比10.5%減)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
トラック事業 | 158,125 | 158,159 | △0.0 | 4,762 | 4,824 | △1.3 |
海運事業 | 16,342 | 16,378 | △0.2 | 525 | 1,108 | △52.6 |
調整額 | △36,248 | △37,674 | ― | 55 | 35 | ― |
計 | 138,220 | 136,863 | 1.0 | 5,342 | 5,968 | △10.5 |
(不動産事業)
[主な取組み]
不動産賃貸業では、当社は、清水駅~尼ケ坂駅間の高架下において、「SAKUMACHI商店街」のⅡ期エリアを開業するなど、魅力ある沿線・地域づくりを推進したほか、名古屋都心部における不動産マネジメント事業の強化として、名古屋市交通局の地下鉄伏見駅「駅ナカ」事業に参画し、商業施設「ヨリマチFUSHIMI」を開業しました。
また、不動産分譲業では、名鉄不動産㈱は、「エムズシティ神宮前」の販売を行うなど、沿線における分譲マンション開発に取組んだほか、首都圏などにおいても、積極的な営業活動に努めました。
[経営成績]
不動産事業の営業収益は、不動産分譲業におけるマンション販売の引渡戸数の増加に加え、不動産賃貸業におけるテナントビル運営会社の連結子会社化や駐車場数の増加などにより100,869百万円(前期比9.6%増)となり、営業利益は、不動産分譲業の増収により14,309百万円(前期比25.5%増)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
不動産賃貸業 | 48,940 | 46,882 | 4.4 | 8,822 | 9,372 | △5.9 |
不動産分譲業 | 44,606 | 37,384 | 19.3 | 2,956 | 1,573 | 87.9 |
不動産管理業 | 15,181 | 15,017 | 1.1 | 582 | 571 | 2.0 |
調整額 | △7,859 | △7,270 | ― | 1,947 | △113 | ― |
計 | 100,869 | 92,013 | 9.6 | 14,309 | 11,404 | 25.5 |
(レジャー・サービス事業)
[主な取組み]
ホテル業では、当社は、犬山地区において、昨年8月に営業を終了した「名鉄犬山ホテル」跡地に開業予定の「ホテルインディゴ犬山有楽苑」と、犬山駅前での新規ホテルについて、それぞれ建設計画を進めました。また、㈱名鉄トヨタホテルは、ラグビーワールドカップの開催に合わせ、客室の全面リニューアルを実施するなど、サービスの向上に努めました。
観光施設事業では、㈱名鉄インプレスは、「日本モンキーパーク」において、14年ぶりとなる新エリアとして、屋外実体験型ロールプレイングゲーム「わんだ村クエスト」をオープンするなど、施設の魅力向上を図りました。また、当社は、新規事業として、豊橋市に温浴施設「ゆのゆ TOYOHASHI」を開業し、地域の活性化に取組みました。
[経営成績]
レジャー・サービス事業の営業収益は、名鉄犬山ホテルの営業終了に伴う収入の剥落に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により50,137百万円(前期比6.1%減)となり、営業利益は減収により611百万円(前期比66.0%減)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
ホテル業 | 17,727 | 19,543 | △9.3 | 570 | 1,305 | △56.3 |
観光施設事業 | 19,162 | 20,355 | △5.9 | 99 | 540 | △81.6 |
旅行業 | 13,907 | 14,190 | △2.0 | △75 | △70 | ― |
調整額 | △659 | △669 | ― | 16 | 20 | ― |
計 | 50,137 | 53,419 | △6.1 | 611 | 1,796 | △66.0 |
(流通事業)
[経営成績]
流通事業の営業収益は、百貨店業における新型コロナウイルス感染症の影響により、全体では140,538百万円(前期比1.2%減)となり、営業利益は、百貨店業の減収により330百万円(前期比72.1%減)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
百貨店業 | 61,832 | 65,615 | △5.8 | △568 | 216 | ― |
その他物品販売 | 79,957 | 77,724 | 2.9 | 750 | 810 | △7.5 |
調整額 | △1,252 | △1,108 | ― | 149 | 158 | ― |
計 | 140,538 | 142,231 | △1.2 | 330 | 1,185 | △72.1 |
(航空関連サービス事業)
[経営成績]
航空関連サービス事業の営業収益は、航空整備事業や機内食事業での受注減少により27,251百万円(前期比1.2%減)となり、営業利益は2,616百万円(前期比6.7%減)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
航空関連サービス事業 | 27,650 | 27,907 | △0.9 | 2,609 | 2,796 | △6.7 |
調整額 | △398 | △337 | ― | 7 | 7 | ― |
計 | 27,251 | 27,570 | △1.2 | 2,616 | 2,803 | △6.7 |
(その他の事業)
[主な取組み]
名鉄協商㈱は、名古屋都心部において、同社が運営するパーキング等を活用し、シェアサイクルサービス「カリテコバイク」を開始したほか、カーシェアリングサービス「カリテコ」を東京都にも進出させるなど、シェアリングエコノミーへの取組みを積極的に推進しました。
[経営成績]
その他の事業の営業収益は、設備工事やシステム関連の受注増加などにより52,123百万円(前期比8.6%増)となり、営業利益は増収により2,854百万円(前期比75.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
営業収益 | 営業利益 | |||||
当期 | 前期 | 増減率 | 当期 | 前期 | 増減率 | |
百万円 | 百万円 | % | 百万円 | 百万円 | % | |
設備保守整備事業 | 30,973 | 29,176 | 6.2 | 2,003 | 1,412 | 41.8 |
その他事業 | 22,030 | 19,472 | 13.1 | 838 | 234 | 257.1 |
調整額 | △879 | △636 | ― | 12 | △20 | ― |
計 | 52,123 | 48,012 | 8.6 | 2,854 | 1,627 | 75.4 |
<新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響>当期における新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、定期外旅客が減少した交通事業、利用客が減少したホテルや観光施設が休業したレジャー・サービス事業、店舗の営業縮小や外出自粛により来店客数が減少した流通事業を中心に大きな影響を及ぼしたと考えており、当社グループ全体で、営業収益は約130億円の減収、営業利益は約75億円の減益であったと試算しております。
影響額 | |||
営業収益 | 営業利益 | ||
億円 | 億円 | ||
交通事業 | △50 | △45 | |
鉄軌道事業 | △32 | △32 | |
バス事業 | △12 | △9 | |
タクシー事業 | △6 | △4 | |
流通事業 | △40 | △8 | |
レジャー・サービス事業 | △17 | △10 | |
不動産事業 | △10 | △5 | |
上記以外 | △13 | △7 | |
合計 | △130 | △75 |
<財政状態>当期末における総資産は、設備投資等による有形固定資産の増加や、分譲マンション建設等による分譲土地建物の増加などにより、前期末に比べ23,569百万円増加し1,164,979百万円となりました。
負債は、社債の新規発行による固定負債の増加などにより、前期末に比べ10,195百万円増加し726,577百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前期末に比べ13,373百万円増加し438,401百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ6,819百万円増加し、32,011百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増減額の減少などにより、前期に比べ2,843百万円増加し70,247百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出の増加などにより、14,240百万円減少し△62,527百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出の減少などにより、23,905百万円増加し△898百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、交通事業のほか運送事業、不動産事業、流通事業等の広範囲かつ多種多様なサービス業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどでありますので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
(退職給付債務及び費用の計算)
当社グループは、従業員退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき行っております。従って、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(経営成績の分析)
当連結会計年度の経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(キャッシュ・フローの分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金については、社債及び長期借入金での調達を基本としております。また、当社グループにおいて、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、新型コロナウイルス感染症によるグループ資金繰りへの影響を考慮するとともに、資金調達基盤の安定化を図りつつ、安全に関する投資については優先的に実施をし、また中長期的な収益確保のための投資に関しても可能な限り実施してまいります。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、2018年度からの3か年計画、グループ中期経営計画「BUILD UP 2020」の中で、最終年度である2020年度の連結経営数値目標として、「営業利益」及び「EBITDA」を設定し、取組んでおります。また、参考指標として、「ROE(純利益/自己資本)」、「ROA(営業利益/総資産)」、「純有利子負債/EBITDA倍率」及び「株主資本比率」も設定しております。当連結会計年度における各指標は、以下のとおりであります。
経営指標 | 2020年度(目標値) | 当連結会計年度(実績) |
百万円 | 百万円 | |
営業利益 | 50,000 | 47,363 |
EBITDA※ | 93,000 | 88,602 |
(参考) | ||
ROE(純利益/自己資本) | 8%程度 | 7.2% |
ROA(営業利益/総資産) | 4%程度 | 4.1% |
純有利子負債/EBITDA倍率※ | 5倍程度 | 4.4倍 |
株主資本比率 | 25%程度 | 26.1% |
(注)※EBITDA:営業利益+減価償却費
純有利子負債:有利子負債-現預金・短期有価証券
同計画の2年目である当連結会計年度においては、鉄軌道事業で引続き安全面の強化やお客さまサービスの向上に取組んだほか、不動産事業では魅力ある沿線・地域づくりを推進し、沿線における賃貸マンション、商業施設の開業や、分譲マンション販売も進めました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が、交通事業、レジャー・サービス事業、流通事業を中心に、各セグメントで発生した結果、営業減益となりました。
また、新型コロナウイルス感染症がグループ全体の業績悪化へ及ぼす影響は非常に甚大であり、先行きも不透明であることから、2020年度の業績予想については現在見通しがつかない状況であります。影響の大きさを踏まえますと、目標の達成は非常に困難であることが予想されますが、少しでも利益を確保できるよう努力してまいりたいと考えております。