四半期報告書-第32期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境などが改善し、緩やかな回復傾向が続きました。さらなる人口減少や自動運転の実用化など、今後想定される急激な経営環境の変化の中にあって、グループ一体となって新たな成長戦略に果敢に挑戦し、持続的な成長を実現していくため、当社グループは平成30年7月に新たなグループ経営ビジョン「変革 2027」を策定するとともに、グループ理念を改定しました。これを踏まえ、輸送サービスや生活サービス、IT・Suicaサービスを中心に、スピード感をもって様々な施策を展開しました。
この結果、当社の運輸収入が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比2.1%増の2兆2,531億円となり、営業利益は前年同期比0.6%増の4,405億円となりました。また、支払利息の減少などにより、経常利益は前年同期比1.2%増の4,044億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比1.5%増の2,727億円となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末の資産残高は現金及び預金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ242億円減の8兆1,234億円、負債残高は未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ2,007億円減の5兆623億円、純資産残高は利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,764億円増の3兆610億円となりました。
① 「究極の安全」の追求と「ESG経営」の実践
当社グループは、事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、地域社会の発展に貢献することで、地域の皆さまやお客さまからの「信頼」を高め、当社グループの持続的な成長につなげていきます。「『究極の安全』の追求」をはじめ、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの観点から成る「ESG経営」を実践していきます。
東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、企業統治の観点から持続的な成長の実現と中長期的な企業価値の向上をめざし、「東日本旅客鉄道株式会社コーポレートガバナンス・ガイドライン」を平成30年11月に改訂しました。
[「究極の安全」の追求]
「変革 2027」のもと、引き続き当社グループは、安全を経営のトッププライオリティに位置づけ、グループ全社員の共通認識として徹底し、「究極の安全」を追求していきます。具体的には、第7次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」を平成30年11月に策定するとともに、鉄道事業において、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・実際の映像による訓練が可能な乗務員用シミュレータの導入を進めるなど、仕事の本質について社員が理解を深めるため、より実践的な安全教育・訓練を実施
・グループ全体での安全性向上を図るため、グループ会社等と当社幹部との意見交換を実施
・当社グループの社員が過去の事故を忘れることなく、その教訓をより深く学ぶため、「事故の歴史展示館」を平成30年10月に拡充
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームにおける鉄道人身障害事故等を着実に減少させるため、平成44年度末頃までに東京圏の主要在来線全330駅にホームドアを導入する方針のもと設置工事を推進
・車両への防犯カメラの設置拡大を首都圏在来線で進め、新幹線でも準備を推進
・新幹線の車両および停車駅における防犯・護身用具の配備を推進
[サービス品質改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止をはじめ、輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止や情報提供の強化などの取組みを加速しました。また、新幹線や首都圏在来線で発生した輸送障害等について、原因分析を行い、再発防止に向けた取組みを着実に進めました。
(具体的な取組み)
・当社グループが原因の輸送障害の発生率を着実に減少させるため、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・台風等による被害拡大を防ぐための列車の計画的な運転見合わせについて、SNS等を活用したお客さまへの情報提供の強化やスムーズな運転再開に向けた取組み等を順次実施
・平成30年12月の東北新幹線での車両故障に伴う輸送障害を踏まえ、多言語案内のさらなる充実に着手
・当社管轄エリア内の新幹線トンネルでの携帯電話不通対策を進め、平成30年12月に東北新幹線および山形新幹線(奥羽本線)で携帯電話サービスを利用できる区間を拡大
・他の鉄道事業者等と連携し、お困りのお客さまにお声かけする「声かけ・サポート」運動の強化キャンペーンを実施
・インバウンド対応の強化等に向けて協働するため、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と包括的連携に関する協定を平成30年9月に締結
・駅構内での「外国語案内スタッフ」の配置拡大や浜松町駅での「JR東日本訪日旅行センター」の開設など、訪日旅行者へのサービス向上を図る取組みを継続
[環境]
地球温暖化の防止に向けて省エネ、創エネおよび新技術導入の3つの観点から施策を推進するとともに、水素の利活用によるエネルギー多様化に取り組みました。
(具体的な取組み)
・水素活用による鉄道と自動車のモビリティ連携を軸とした包括的業務連携について、平成30年9月にトヨタ自動車株式会社と基本合意
・住友林業株式会社等と共同で、平成30年4月に青森県八戸市で木質バイオマス発電所の営業運転を開始
・男鹿線男鹿駅を平成30年7月に「エコステ」モデル駅として整備
・省エネ運転の実現に向けて省エネ走行パターンの開発を推進
・JFEエンジニアリンググループと共同で、神奈川県横浜市の食品リサイクルプラントで食品廃棄物から再生可能エネルギーを発電する事業を平成30年11月に本格的に開始
② 「心豊かな生活」の実現
技術と情報を中心にネットワークの力を高め、「ヒト(すべての人)」を起点に新たな価値・サービスを創造することにより「心豊かな生活」を実現し、当社グループの持続的な成長につなげていきます。
[技術と情報を中心としたネットワークの強化]
社内横断的な組織として、技術イノベーション推進本部を平成30年6月に発足させ、外部との連携をさらに拡大し、研究開発や実証実験を進めました。
(具体的な取組み)
・Suicaやクレジットカードと連携したスマートフォンアプリ「Ringo Pass」により、シェアサイクルなど複数の交通手段をシームレスに利用するための実証実験を平成30年8月に開始
・東京急行電鉄株式会社等と共同で、「観光型MaaS」の実証実験を伊豆エリアで平成31年春に実施するための準備を推進
・次世代新幹線の実現に向けて、平成31年5月の落成をめざし試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」の設計・製作を推進
・在来線の営業車両に線路設備モニタリング装置を搭載し線路状態を遠隔監視する技術を、平成32年度末までに50線区に導入するための準備を推進
・新たなビジネスやサービスの創出を目的に開催した「JR東日本スタートアッププログラム2018」で23件の提案を採択し、実証実験等を順次開始
・山手線のターミナル駅等においてお客さまの問合せに回答する案内AIシステムの実証実験を平成30年12月に開始
[Suicaの共通基盤化]
様々な決済手段やアプリケーションとSuicaを連携させることにより、あらゆる場面で利用できることをめざし、Suicaの共通基盤化を進めました。この結果、当第3四半期連結会計期間末のSuicaの発行枚数は約7,414万枚となりました。
(具体的な取組み)
・Suicaで新幹線自由席をご利用いただける「タッチでGo!新幹線」を東北新幹線東京~那須塩原間等において平成30年4月から開始
・Suicaが「Google Pay」に平成30年5月に対応し、モバイル端末における利便性を向上
・株式会社みずほ銀行と共同で、カード発行が不要でみずほ銀行の口座から入金できる電子マネー「Mizuho Suica」を平成30年8月からサービス開始
・株式会社セブン銀行と提携し、セブン銀行ATMで交通系電子マネーへのチャージ等のサービスを平成30年10月から開始
・「えきねっと」等のインターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける新たなIC乗車サービスを、平成31年度末から開始するための準備を推進
・ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社と共同で、Suicaと地域の交通ICカード機能をあわせ持つ「地域連携ICカード」を平成33年春から提供するためのシステム開発を推進
[都市を快適に]
お客さまがあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済などのサービスをシームレスに利用できる環境を整え、都市を快適にしていきます。これを踏まえ、東京2020大会の開催も見据えて、輸送サービスの質的変革や「くらしづくり(まちづくり)」の推進など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・「ドライバレス運転」の実現に向けた自動列車運転装置の実証試験を山手線で実施
・書籍・動画等の様々なコンテンツを新幹線車内で配信するサービス「noricon(ノリコン)」の実証実験を平成31年1月より開始するための準備を推進
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する新たな観光特急列車を平成32年春から運行するための準備を推進
・横須賀・総武快速線へE235系新造車両を平成32年度から投入するための準備を推進
・セントラル警備保障株式会社と共同で、子ども見守りサービス「まもレール」の対象駅を平成30年4月から首都圏15線区244駅に拡大
・平成34年度末までに累計150箇所の子育て支援施設を開設することをめざして整備を推進(当第3四半期連結会計期間末の子育て支援施設数は累計129箇所)
・平成30年6月にビューサンクスポイントを「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」に共通化(当第3四半期連結会計期間末の「JRE POINT」会員数は約982万人)
・「JRE POINT」加盟店でのお買い物にお得なクレジットカード「JRE CARD(ジェイアールイー・カード)」を平成30年7月から発行
・AIを活用した無人決済店舗の実証実験第2弾を赤羽駅のホーム上で実施
・駅ナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」の実証実験を東京駅等で平成30年11月より実施
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の駅ビル等の建設工事を推進
平成31年秋開業予定 「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)
平成32年春開業予定 五反田駅東口ビル(仮称)
平成32年春以降に段階的に開業予定 竹芝ウォーターフロント開発計画
平成32年開業予定 「JR横浜タワー」および「JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
平成33年春全面開業予定 川崎駅西口開発計画
平成33年開業予定 「世界貿易センタービルディング南館」(東京)
・平成32年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、以下のホテルの建設工事を推進
平成31年秋開業予定 JR東日本ホテルメッツ 秋葉原(仮称)
JR東日本ホテルメッツ 新木場(仮称)
平成32年春開業予定 JR東日本ホテルメッツ 五反田(仮称)
ホテルメトロポリタン川崎(仮称)
ホテルメトロポリタン鎌倉(仮称)
平成32年度開業予定 JR東日本ホテルメッツ 桜木町(仮称)
・品川駅・田町駅周辺エリアにおいて、平成32年春に「高輪ゲートウェイ駅」を開業するため建設工事を推進するとともに、平成36年頃の街びらきに向けて品川駅北周辺地区の都市計画手続きを平成30年9月に開始
・羽田空港アクセス線構想について、環境アセスメント調査の着手に向け準備を推進
・「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として平成32年春頃までの整備をめざして競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・東京2020大会の競技も体験できる複合スポーツエンターテインメント施設「スポル品川大井町」(東京)を平成30年8月に開業
[地方を豊かに]
地域内外のネットワークや地域資源を活かして、首都圏とのヒト・モノの流れを活性化し、地方を豊かにしていきます。これを踏まえ、地方中核駅を中心としたまちづくりや観光振興による交流人口の拡大など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・平成30年4月の新潟駅の高架駅第一期開業に合わせて、新幹線と在来線の同一ホームでの乗換えを実現
・クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」の運行を通じて、地域の様々な魅力を掘り起こし、情報を発信
・地域の生産者・加工者等と連携して農業の6次産業化を推進
・日本郵便株式会社と平成30年6月に地域・社会の活性化に向けた協定を締結し、両社のネットワークを活用して宮城県の農産物を収穫当日に東京駅で販売する物流トライアルを平成30年11月に実施
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、駅東口にスポーツ整形クリニックが平成30年5月開業、JR秋田ゲートアリーナ(仮称)の建設工事を平成31年冬の完成に向けて推進
・東北エリアへの観光流動の創出・拡大に向けて、全日本空輸株式会社と連携して鉄道と航空機を組み合わせた新商品を設定し、情報発信を強化
・土浦駅を中心としたまちづくりを進め、土浦駅ビルを日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)へ改装し、平成31年秋以降に全面開業するため工事を推進
・大船渡線BRTにおけるバスの自動運転技術に関する実証実験を平成30年12月より実施
特に、東日本大震災により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、国および自治体と協議しながら、地域全体の復興と一体となって取り組みました。
(具体的な取組み)
・三陸鉄道株式会社に運営を移管する山田線宮古~釜石間で平成31年3月の開業に向けて復旧工事を進め、鉄道施設に関する主な工事を完了し、運行開始に向けた検査を実施
・常磐線富岡~浪江間で平成31年度末までに運転を再開するため復旧工事を推進
なお、平成23年7月に発生した豪雨災害により運休となっている只見線会津川口~只見間については、平成29年6月に福島県と合意した上下分離方式による鉄道復旧に向けて、平成30年6月に復旧工事に着手しました。
[世界を舞台に]
対象各国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社およびオランダ鉄道の英国子会社と共同で、英国においてウェストミッドランズ旅客鉄道事業を運営
・子会社の株式会社ルミネが海外進出2店舗目となる「LUMINE JAKARTA(ルミネ ジャカルタ)」(インドネシア)を平成30年12月に開業
・三井物産株式会社等と共同で、子会社の株式会社アトレが台湾台北市の商業施設内に店舗を平成31年1月に開業するための準備を推進
・台湾の現地子会社がインバウンド拠点となる情報発信カフェ「JAPAN RAIL CAFE台湾店」を平成31年1月に開業するための準備を推進
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン等を開催しました。また、平成30年6月および7月に、大宮駅が始発の新函館北斗行新幹線の臨時列車を初めて運行しました。さらに、旺盛なインバウンド需要を取り込むため、インバウンド向け商品の販売促進を図るとともに、アジア圏の航空事業者と連携して航空機と組み合わせた立体観光型訪日旅行商品のラインナップを拡充しました。加えて、仙台臨海鉄道株式会社と連携し、仙台港へのクルーズ船の寄港に合わせ、アクセス列車を平成30年9月に運行しました。そのほか、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「はやて」の一部列車の所要時間の短縮など、平成31年3月のダイヤ改正により利便性の向上を図るための準備を進めました。
この結果、当社の鉄道事業の輸送人員は前年同期を上回り、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.4%増の1兆6,009億円となり、営業利益は前年同期比0.4%増の3,296億円となりました。
② 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、駅構内における店舗開発力を強化するため、平成30年4月に子会社の株式会社JR東日本リテールネットが株式会社JR東日本ステーションリテイリングを吸収合併するとともに、株式会社JR東日本ウォータービジネスを完全子会社化しました。また、東日本エリアを代表するお土産を対象に「みんなが贈りたい。JR東日本おみやげグランプリ2018」を平成30年7月に開催しました。さらに、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」においてプライベートブランド商品のリニューアルを進めました。加えて、駅弁の魅力を発信する「駅弁味の陣2018」を平成30年秋に開催しました。
これらに加え、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.9%増の4,382億円となり、営業利益は前年同期比1.7%増の300億円となりました。
③ 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、平成30年4月に多世代交流施設「コトニアガーデン新川崎」(神奈川)、平成30年6月に「ペリエ千葉」(千葉)を全面開業しました。また、平成32年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなるための取組みの一環として、東日本エリア外への初の出店となる「JR東日本ホテルメッツ 札幌」(北海道)を平成31年2月に開業するための準備を進めました。
この結果、「ペリエ千葉」の全面開業に伴う増収効果やホテル業の好調などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比3.0%増の2,776億円となり、営業利益は前年同期比0.2%増の665億円となりました。
④ その他
Suica電子マネーについては、「吉野家」などの広域展開するチェーン店への導入を進めるなど、引き続き加盟店開拓に積極的に取り組みました。また、平成30年7月にはSuica等交通系電子マネーの月間利用件数が2億件を超えました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、情報処理業やICカード事業の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比10.1%増の1,648億円となり、営業利益は前年同期比6.4%増の136億円となりました。
(注) 1 「Google Pay」はGoogle LLCの商標です。
2 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
(注) 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
② 収入実績
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当社グループは、当第3四半期連結累計期間において、グループ理念を改定するとともに、新たなグループ経営ビジョン「変革 2027」を策定しました。
① 経営の基本方針(グループ理念)
私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。
技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。
② 中期的な会社の経営戦略
当社グループは、引き続き安全を経営のトッププライオリティに位置づけ、「究極の安全」を追求していきます。これにより、グループのあらゆる活動の基盤である、お客さまや地域の皆さまからの「信頼」をさらに高めていきます。一方、さらなる人口減少や自動運転の実用化など、経営環境は急激に変化しており、これらの変化を先取りしていくため、「鉄道を起点としたサービス提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」に転換し、新たな成長戦略を果敢に推進していきます。
当社グループは、社会インフラを支える重層的で“リアル”なネットワークが強みであることを踏まえ、技術と情報を中心にネットワークの力を高め、お客さまや地域の皆さまの「心豊かな生活」を実現していきます。新たな時代を見据え、変化をチャンスと捉えて挑戦を続けることにより、これからもお客さまのご期待に応えるとともに、地域社会の発展に貢献する企業グループとして持続的な成長を実現していきます。
③ 目標とする経営数値
「変革 2027」の数値目標については、「変革 2027」で見据える期間の中間点となる平成34年度をターゲットとして設定しており、具体的には以下のとおりです。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費総額は、112億円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について、重要な変更はありません。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
① 新設
当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「東京圏主要路線ホームドア整備」について、設置エリアを拡大したため、予定総額を51,415百万円から56,937百万円に変更しております。
また、不動産・ホテル事業の駅ビル等建設である「渋谷スクランブルスクエア建設工事」について、工事計画の変更により、予定総額を34,100百万円から38,800百万円に変更しております。
② 大規模改修
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「大規模地震対策工事」について、対象エリア・設備を拡大したため、予定総額を489,967百万円から516,186百万円に変更しております。
③ 新たな設備の計画
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の輸送改善等として「中央快速線等グリーン車導入に伴う工事」に着手しております。当該件名の予定総額は60,194百万円であり、平成35年度末に完成する予定であります。
また、不動産・ホテル事業の駅ビル等建設として「川崎駅西口開発工事」に着手しております。当該件名の予定総額は76,478百万円であり、平成33年春に完成する予定であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、3兆1,873億円であります。
当社は、当第3四半期連結累計期間に国内において償還期限が平成40年の無担保普通社債を250億円、償還期限が平成50年の無担保普通社債を200億円、償還期限が平成60年の無担保普通社債を300億円、償還期限が平成70年の無担保普通社債を300億円発行いたしました。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における当座借越残高はありません。
さらに、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境などが改善し、緩やかな回復傾向が続きました。さらなる人口減少や自動運転の実用化など、今後想定される急激な経営環境の変化の中にあって、グループ一体となって新たな成長戦略に果敢に挑戦し、持続的な成長を実現していくため、当社グループは平成30年7月に新たなグループ経営ビジョン「変革 2027」を策定するとともに、グループ理念を改定しました。これを踏まえ、輸送サービスや生活サービス、IT・Suicaサービスを中心に、スピード感をもって様々な施策を展開しました。
この結果、当社の運輸収入が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比2.1%増の2兆2,531億円となり、営業利益は前年同期比0.6%増の4,405億円となりました。また、支払利息の減少などにより、経常利益は前年同期比1.2%増の4,044億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比1.5%増の2,727億円となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末の資産残高は現金及び預金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ242億円減の8兆1,234億円、負債残高は未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ2,007億円減の5兆623億円、純資産残高は利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,764億円増の3兆610億円となりました。
① 「究極の安全」の追求と「ESG経営」の実践
当社グループは、事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、地域社会の発展に貢献することで、地域の皆さまやお客さまからの「信頼」を高め、当社グループの持続的な成長につなげていきます。「『究極の安全』の追求」をはじめ、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの観点から成る「ESG経営」を実践していきます。
東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、企業統治の観点から持続的な成長の実現と中長期的な企業価値の向上をめざし、「東日本旅客鉄道株式会社コーポレートガバナンス・ガイドライン」を平成30年11月に改訂しました。
[「究極の安全」の追求]
「変革 2027」のもと、引き続き当社グループは、安全を経営のトッププライオリティに位置づけ、グループ全社員の共通認識として徹底し、「究極の安全」を追求していきます。具体的には、第7次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」を平成30年11月に策定するとともに、鉄道事業において、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・実際の映像による訓練が可能な乗務員用シミュレータの導入を進めるなど、仕事の本質について社員が理解を深めるため、より実践的な安全教育・訓練を実施
・グループ全体での安全性向上を図るため、グループ会社等と当社幹部との意見交換を実施
・当社グループの社員が過去の事故を忘れることなく、その教訓をより深く学ぶため、「事故の歴史展示館」を平成30年10月に拡充
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームにおける鉄道人身障害事故等を着実に減少させるため、平成44年度末頃までに東京圏の主要在来線全330駅にホームドアを導入する方針のもと設置工事を推進
・車両への防犯カメラの設置拡大を首都圏在来線で進め、新幹線でも準備を推進
・新幹線の車両および停車駅における防犯・護身用具の配備を推進
[サービス品質改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止をはじめ、輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止や情報提供の強化などの取組みを加速しました。また、新幹線や首都圏在来線で発生した輸送障害等について、原因分析を行い、再発防止に向けた取組みを着実に進めました。
(具体的な取組み)
・当社グループが原因の輸送障害の発生率を着実に減少させるため、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・台風等による被害拡大を防ぐための列車の計画的な運転見合わせについて、SNS等を活用したお客さまへの情報提供の強化やスムーズな運転再開に向けた取組み等を順次実施
・平成30年12月の東北新幹線での車両故障に伴う輸送障害を踏まえ、多言語案内のさらなる充実に着手
・当社管轄エリア内の新幹線トンネルでの携帯電話不通対策を進め、平成30年12月に東北新幹線および山形新幹線(奥羽本線)で携帯電話サービスを利用できる区間を拡大
・他の鉄道事業者等と連携し、お困りのお客さまにお声かけする「声かけ・サポート」運動の強化キャンペーンを実施
・インバウンド対応の強化等に向けて協働するため、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と包括的連携に関する協定を平成30年9月に締結
・駅構内での「外国語案内スタッフ」の配置拡大や浜松町駅での「JR東日本訪日旅行センター」の開設など、訪日旅行者へのサービス向上を図る取組みを継続
[環境]
地球温暖化の防止に向けて省エネ、創エネおよび新技術導入の3つの観点から施策を推進するとともに、水素の利活用によるエネルギー多様化に取り組みました。
(具体的な取組み)
・水素活用による鉄道と自動車のモビリティ連携を軸とした包括的業務連携について、平成30年9月にトヨタ自動車株式会社と基本合意
・住友林業株式会社等と共同で、平成30年4月に青森県八戸市で木質バイオマス発電所の営業運転を開始
・男鹿線男鹿駅を平成30年7月に「エコステ」モデル駅として整備
・省エネ運転の実現に向けて省エネ走行パターンの開発を推進
・JFEエンジニアリンググループと共同で、神奈川県横浜市の食品リサイクルプラントで食品廃棄物から再生可能エネルギーを発電する事業を平成30年11月に本格的に開始
② 「心豊かな生活」の実現
技術と情報を中心にネットワークの力を高め、「ヒト(すべての人)」を起点に新たな価値・サービスを創造することにより「心豊かな生活」を実現し、当社グループの持続的な成長につなげていきます。
[技術と情報を中心としたネットワークの強化]
社内横断的な組織として、技術イノベーション推進本部を平成30年6月に発足させ、外部との連携をさらに拡大し、研究開発や実証実験を進めました。
(具体的な取組み)
・Suicaやクレジットカードと連携したスマートフォンアプリ「Ringo Pass」により、シェアサイクルなど複数の交通手段をシームレスに利用するための実証実験を平成30年8月に開始
・東京急行電鉄株式会社等と共同で、「観光型MaaS」の実証実験を伊豆エリアで平成31年春に実施するための準備を推進
・次世代新幹線の実現に向けて、平成31年5月の落成をめざし試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」の設計・製作を推進
・在来線の営業車両に線路設備モニタリング装置を搭載し線路状態を遠隔監視する技術を、平成32年度末までに50線区に導入するための準備を推進
・新たなビジネスやサービスの創出を目的に開催した「JR東日本スタートアッププログラム2018」で23件の提案を採択し、実証実験等を順次開始
・山手線のターミナル駅等においてお客さまの問合せに回答する案内AIシステムの実証実験を平成30年12月に開始
[Suicaの共通基盤化]
様々な決済手段やアプリケーションとSuicaを連携させることにより、あらゆる場面で利用できることをめざし、Suicaの共通基盤化を進めました。この結果、当第3四半期連結会計期間末のSuicaの発行枚数は約7,414万枚となりました。
(具体的な取組み)
・Suicaで新幹線自由席をご利用いただける「タッチでGo!新幹線」を東北新幹線東京~那須塩原間等において平成30年4月から開始
・Suicaが「Google Pay」に平成30年5月に対応し、モバイル端末における利便性を向上
・株式会社みずほ銀行と共同で、カード発行が不要でみずほ銀行の口座から入金できる電子マネー「Mizuho Suica」を平成30年8月からサービス開始
・株式会社セブン銀行と提携し、セブン銀行ATMで交通系電子マネーへのチャージ等のサービスを平成30年10月から開始
・「えきねっと」等のインターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける新たなIC乗車サービスを、平成31年度末から開始するための準備を推進
・ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社と共同で、Suicaと地域の交通ICカード機能をあわせ持つ「地域連携ICカード」を平成33年春から提供するためのシステム開発を推進
[都市を快適に]
お客さまがあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済などのサービスをシームレスに利用できる環境を整え、都市を快適にしていきます。これを踏まえ、東京2020大会の開催も見据えて、輸送サービスの質的変革や「くらしづくり(まちづくり)」の推進など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・「ドライバレス運転」の実現に向けた自動列車運転装置の実証試験を山手線で実施
・書籍・動画等の様々なコンテンツを新幹線車内で配信するサービス「noricon(ノリコン)」の実証実験を平成31年1月より開始するための準備を推進
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する新たな観光特急列車を平成32年春から運行するための準備を推進
・横須賀・総武快速線へE235系新造車両を平成32年度から投入するための準備を推進
・セントラル警備保障株式会社と共同で、子ども見守りサービス「まもレール」の対象駅を平成30年4月から首都圏15線区244駅に拡大
・平成34年度末までに累計150箇所の子育て支援施設を開設することをめざして整備を推進(当第3四半期連結会計期間末の子育て支援施設数は累計129箇所)
・平成30年6月にビューサンクスポイントを「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」に共通化(当第3四半期連結会計期間末の「JRE POINT」会員数は約982万人)
・「JRE POINT」加盟店でのお買い物にお得なクレジットカード「JRE CARD(ジェイアールイー・カード)」を平成30年7月から発行
・AIを活用した無人決済店舗の実証実験第2弾を赤羽駅のホーム上で実施
・駅ナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」の実証実験を東京駅等で平成30年11月より実施
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の駅ビル等の建設工事を推進
平成31年秋開業予定 「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)
平成32年春開業予定 五反田駅東口ビル(仮称)
平成32年春以降に段階的に開業予定 竹芝ウォーターフロント開発計画
平成32年開業予定 「JR横浜タワー」および「JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
平成33年春全面開業予定 川崎駅西口開発計画
平成33年開業予定 「世界貿易センタービルディング南館」(東京)
・平成32年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、以下のホテルの建設工事を推進
平成31年秋開業予定 JR東日本ホテルメッツ 秋葉原(仮称)
JR東日本ホテルメッツ 新木場(仮称)
平成32年春開業予定 JR東日本ホテルメッツ 五反田(仮称)
ホテルメトロポリタン川崎(仮称)
ホテルメトロポリタン鎌倉(仮称)
平成32年度開業予定 JR東日本ホテルメッツ 桜木町(仮称)
・品川駅・田町駅周辺エリアにおいて、平成32年春に「高輪ゲートウェイ駅」を開業するため建設工事を推進するとともに、平成36年頃の街びらきに向けて品川駅北周辺地区の都市計画手続きを平成30年9月に開始
・羽田空港アクセス線構想について、環境アセスメント調査の着手に向け準備を推進
・「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として平成32年春頃までの整備をめざして競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・東京2020大会の競技も体験できる複合スポーツエンターテインメント施設「スポル品川大井町」(東京)を平成30年8月に開業
[地方を豊かに]
地域内外のネットワークや地域資源を活かして、首都圏とのヒト・モノの流れを活性化し、地方を豊かにしていきます。これを踏まえ、地方中核駅を中心としたまちづくりや観光振興による交流人口の拡大など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・平成30年4月の新潟駅の高架駅第一期開業に合わせて、新幹線と在来線の同一ホームでの乗換えを実現
・クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」の運行を通じて、地域の様々な魅力を掘り起こし、情報を発信
・地域の生産者・加工者等と連携して農業の6次産業化を推進
・日本郵便株式会社と平成30年6月に地域・社会の活性化に向けた協定を締結し、両社のネットワークを活用して宮城県の農産物を収穫当日に東京駅で販売する物流トライアルを平成30年11月に実施
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、駅東口にスポーツ整形クリニックが平成30年5月開業、JR秋田ゲートアリーナ(仮称)の建設工事を平成31年冬の完成に向けて推進
・東北エリアへの観光流動の創出・拡大に向けて、全日本空輸株式会社と連携して鉄道と航空機を組み合わせた新商品を設定し、情報発信を強化
・土浦駅を中心としたまちづくりを進め、土浦駅ビルを日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)へ改装し、平成31年秋以降に全面開業するため工事を推進
・大船渡線BRTにおけるバスの自動運転技術に関する実証実験を平成30年12月より実施
特に、東日本大震災により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、国および自治体と協議しながら、地域全体の復興と一体となって取り組みました。
(具体的な取組み)
・三陸鉄道株式会社に運営を移管する山田線宮古~釜石間で平成31年3月の開業に向けて復旧工事を進め、鉄道施設に関する主な工事を完了し、運行開始に向けた検査を実施
・常磐線富岡~浪江間で平成31年度末までに運転を再開するため復旧工事を推進
なお、平成23年7月に発生した豪雨災害により運休となっている只見線会津川口~只見間については、平成29年6月に福島県と合意した上下分離方式による鉄道復旧に向けて、平成30年6月に復旧工事に着手しました。
[世界を舞台に]
対象各国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社およびオランダ鉄道の英国子会社と共同で、英国においてウェストミッドランズ旅客鉄道事業を運営
・子会社の株式会社ルミネが海外進出2店舗目となる「LUMINE JAKARTA(ルミネ ジャカルタ)」(インドネシア)を平成30年12月に開業
・三井物産株式会社等と共同で、子会社の株式会社アトレが台湾台北市の商業施設内に店舗を平成31年1月に開業するための準備を推進
・台湾の現地子会社がインバウンド拠点となる情報発信カフェ「JAPAN RAIL CAFE台湾店」を平成31年1月に開業するための準備を推進
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン等を開催しました。また、平成30年6月および7月に、大宮駅が始発の新函館北斗行新幹線の臨時列車を初めて運行しました。さらに、旺盛なインバウンド需要を取り込むため、インバウンド向け商品の販売促進を図るとともに、アジア圏の航空事業者と連携して航空機と組み合わせた立体観光型訪日旅行商品のラインナップを拡充しました。加えて、仙台臨海鉄道株式会社と連携し、仙台港へのクルーズ船の寄港に合わせ、アクセス列車を平成30年9月に運行しました。そのほか、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「はやて」の一部列車の所要時間の短縮など、平成31年3月のダイヤ改正により利便性の向上を図るための準備を進めました。
この結果、当社の鉄道事業の輸送人員は前年同期を上回り、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.4%増の1兆6,009億円となり、営業利益は前年同期比0.4%増の3,296億円となりました。
② 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、駅構内における店舗開発力を強化するため、平成30年4月に子会社の株式会社JR東日本リテールネットが株式会社JR東日本ステーションリテイリングを吸収合併するとともに、株式会社JR東日本ウォータービジネスを完全子会社化しました。また、東日本エリアを代表するお土産を対象に「みんなが贈りたい。JR東日本おみやげグランプリ2018」を平成30年7月に開催しました。さらに、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」においてプライベートブランド商品のリニューアルを進めました。加えて、駅弁の魅力を発信する「駅弁味の陣2018」を平成30年秋に開催しました。
これらに加え、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.9%増の4,382億円となり、営業利益は前年同期比1.7%増の300億円となりました。
③ 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、平成30年4月に多世代交流施設「コトニアガーデン新川崎」(神奈川)、平成30年6月に「ペリエ千葉」(千葉)を全面開業しました。また、平成32年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなるための取組みの一環として、東日本エリア外への初の出店となる「JR東日本ホテルメッツ 札幌」(北海道)を平成31年2月に開業するための準備を進めました。
この結果、「ペリエ千葉」の全面開業に伴う増収効果やホテル業の好調などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比3.0%増の2,776億円となり、営業利益は前年同期比0.2%増の665億円となりました。
④ その他
Suica電子マネーについては、「吉野家」などの広域展開するチェーン店への導入を進めるなど、引き続き加盟店開拓に積極的に取り組みました。また、平成30年7月にはSuica等交通系電子マネーの月間利用件数が2億件を超えました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、情報処理業やICカード事業の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比10.1%増の1,648億円となり、営業利益は前年同期比6.4%増の136億円となりました。
(注) 1 「Google Pay」はGoogle LLCの商標です。
2 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
| 区分 | 単位 | 前第3四半期累計期間 (自 平成29年4月1日 至 平成29年12月31日) | 当第3四半期累計期間 (自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日) | |||
| 営業日数 | 日 | 275 | 275 | |||
| 新幹線 | キロ | 1,194.2 | 1,194.2 | |||
| 営業キロ | 在来線 | 〃 | 6,263.1 | 6,262.9 | ||
| 計 | 〃 | 7,457.3 | 7,457.1 | |||
| 定期 | 千人 | 3,046,370 | 3,073,817 | |||
| 輸送人員 | 定期外 | 〃 | 1,882,588 | 1,900,957 | ||
| 計 | 〃 | 4,928,958 | 4,974,774 | |||
| 輸 送 人 キ ロ | 定期 | 千人キロ | 1,355,213 | 1,376,147 | ||
| 新幹線 | 定期外 | 〃 | 16,432,810 | 16,705,898 | ||
| 計 | 〃 | 17,788,023 | 18,082,046 | |||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 53,987,533 | 54,300,185 | ||
| 関東圏 | 定期外 | 〃 | 27,756,939 | 28,006,663 | ||
| 計 | 〃 | 81,744,473 | 82,306,848 | |||
| 定期 | 〃 | 2,382,518 | 2,377,528 | |||
| その他 | 定期外 | 〃 | 1,979,843 | 1,974,399 | ||
| 計 | 〃 | 4,362,362 | 4,351,928 | |||
| 定期 | 〃 | 56,370,052 | 56,677,713 | |||
| 計 | 定期外 | 〃 | 29,736,783 | 29,981,063 | ||
| 計 | 〃 | 86,106,835 | 86,658,777 | |||
| 定期 | 〃 | 57,725,265 | 58,053,861 | |||
| 合計 | 定期外 | 〃 | 46,169,593 | 46,686,961 | ||
| 計 | 〃 | 103,894,859 | 104,740,823 | |||
(注) 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
② 収入実績
| 区分 | 単位 | 前第3四半期累計期間 (自 平成29年4月1日 至 平成29年12月31日) | 当第3四半期累計期間 (自 平成30年4月1日 至 平成30年12月31日) | |||
| 旅 客 運 輸 収 入 | 定期 | 百万円 | 18,365 | 18,616 | ||
| 新幹線 | 定期外 | 〃 | 426,369 | 433,601 | ||
| 計 | 〃 | 444,734 | 452,217 | |||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 348,781 | 351,017 | ||
| 関東圏 | 定期外 | 〃 | 545,704 | 551,452 | ||
| 計 | 〃 | 894,486 | 902,470 | |||
| 定期 | 〃 | 14,173 | 14,137 | |||
| その他 | 定期外 | 〃 | 39,245 | 39,220 | ||
| 計 | 〃 | 53,418 | 53,358 | |||
| 定期 | 〃 | 362,954 | 365,155 | |||
| 計 | 定期外 | 〃 | 584,950 | 590,673 | ||
| 計 | 〃 | 947,904 | 955,828 | |||
| 定期 | 〃 | 381,319 | 383,771 | |||
| 合計 | 定期外 | 〃 | 1,011,319 | 1,024,274 | ||
| 計 | 〃 | 1,392,639 | 1,408,046 | |||
| 荷物収入 | 〃 | 49 | 46 | |||
| 合計 | 〃 | 1,392,688 | 1,408,092 | |||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 4,683 | 4,811 | |||
| 運輸雑収 | 〃 | 121,529 | 121,430 | |||
| 収入合計 | 〃 | 1,518,902 | 1,534,334 | |||
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当社グループは、当第3四半期連結累計期間において、グループ理念を改定するとともに、新たなグループ経営ビジョン「変革 2027」を策定しました。
① 経営の基本方針(グループ理念)
私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。
技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。
② 中期的な会社の経営戦略
当社グループは、引き続き安全を経営のトッププライオリティに位置づけ、「究極の安全」を追求していきます。これにより、グループのあらゆる活動の基盤である、お客さまや地域の皆さまからの「信頼」をさらに高めていきます。一方、さらなる人口減少や自動運転の実用化など、経営環境は急激に変化しており、これらの変化を先取りしていくため、「鉄道を起点としたサービス提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」に転換し、新たな成長戦略を果敢に推進していきます。
当社グループは、社会インフラを支える重層的で“リアル”なネットワークが強みであることを踏まえ、技術と情報を中心にネットワークの力を高め、お客さまや地域の皆さまの「心豊かな生活」を実現していきます。新たな時代を見据え、変化をチャンスと捉えて挑戦を続けることにより、これからもお客さまのご期待に応えるとともに、地域社会の発展に貢献する企業グループとして持続的な成長を実現していきます。
③ 目標とする経営数値
「変革 2027」の数値目標については、「変革 2027」で見据える期間の中間点となる平成34年度をターゲットとして設定しており、具体的には以下のとおりです。
| 平成34年度 連結営業収益 3兆2,950億円 | 運輸事業 2兆1,000億円 |
| 流通・サービス事業 6,600億円 | |
| 不動産・ホテル事業 4,400億円 | |
| その他 950億円 | |
| 平成34年度 連結営業利益 5,200億円 | 運輸事業 3,300億円 |
| 流通・サービス事業 560億円 | |
| 不動産・ホテル事業 1,090億円 | |
| その他 260億円 | |
| 平成34年度までの5年間累計の連結営業キャッシュ・フロー | 3兆7,200億円 |
| 平成34年度 連結ROA | 6.0% |
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費総額は、112億円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について、重要な変更はありません。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
① 新設
当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
| 件名 | 総工事費(百万円) | 完了年月 |
| 運輸事業 | ||
| 車両新造 | 50,352 | 平成30年12月 |
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「東京圏主要路線ホームドア整備」について、設置エリアを拡大したため、予定総額を51,415百万円から56,937百万円に変更しております。
また、不動産・ホテル事業の駅ビル等建設である「渋谷スクランブルスクエア建設工事」について、工事計画の変更により、予定総額を34,100百万円から38,800百万円に変更しております。
② 大規模改修
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「大規模地震対策工事」について、対象エリア・設備を拡大したため、予定総額を489,967百万円から516,186百万円に変更しております。
③ 新たな設備の計画
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の輸送改善等として「中央快速線等グリーン車導入に伴う工事」に着手しております。当該件名の予定総額は60,194百万円であり、平成35年度末に完成する予定であります。
また、不動産・ホテル事業の駅ビル等建設として「川崎駅西口開発工事」に着手しております。当該件名の予定総額は76,478百万円であり、平成33年春に完成する予定であります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、3兆1,873億円であります。
当社は、当第3四半期連結累計期間に国内において償還期限が平成40年の無担保普通社債を250億円、償還期限が平成50年の無担保普通社債を200億円、償還期限が平成60年の無担保普通社債を300億円、償還期限が平成70年の無担保普通社債を300億円発行いたしました。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における当座借越残高はありません。
さらに、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。