有価証券報告書-第32期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/21 14:54
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、足元で輸出や生産の一部に弱さがみられるものの、雇用・所得環境などが改善し、緩やかな回復傾向が続きました。さらなる人口減少や自動運転の実用化など、今後想定される急激な経営環境の変化の中にあって、グループ一体となって新たな成長戦略に果敢に挑戦し、持続的な成長を実現していくため、当社グループは2018年7月に新たなグループ経営ビジョン「変革 2027」を策定するとともに、グループ理念を改定しました。これを踏まえ、輸送サービスや生活サービス、IT・Suicaサービスを中心に、スピード感をもって様々な施策を展開しました。
この結果、当社の運輸収入が増加したことなどにより、当連結会計年度の営業収益は前期比1.8%増の3兆20億円となり、営業利益は前期比0.7%増の4,848億円となりました。また、経常利益は前期比0.7%増の4,432億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2.2%増の2,952億円となりました。
〇 「究極の安全」の追求と「ESG経営」の実践
当社グループは、事業を通じて社会的課題の解決に取り組み、地域社会の発展に貢献することで、地域の皆さまやお客さまからの「信頼」を高め、当社グループの持続的な成長につなげていきます。「『究極の安全』の追求」をはじめ、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの観点から成る「ESG経営」を実践していきます。
東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コード改訂を受け、企業統治の観点から持続的な成長の実現と中長期的な企業価値の向上をめざし、「東日本旅客鉄道株式会社コーポレートガバナンス・ガイドライン」を2018年11月に改訂しました。
[「究極の安全」の追求]
「変革 2027」のもと、引き続き当社グループは、安全を経営のトッププライオリティに位置づけ、グループ全社員の共通認識として徹底し、「究極の安全」を追求しています。具体的には、第7次安全5ヵ年計画「グループ安全計画2023」を2018年11月に策定するとともに、鉄道事業において、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・実際の映像による訓練が可能な乗務員用シミュレータの導入を進めるなど、仕事の本質について社員が理解を深めるため、より実践的な安全教育・訓練を実施
・グループ全体での安全性向上を図るため、グループ会社等と当社幹部との意見交換を実施
・当社グループの社員が過去の事故を忘れることなく、その教訓をより深く学ぶため、「事故の歴史展示館」を2018年10月に拡充
・鉄道のセキュリティ強化に向け、車両の防犯カメラの増設や、鉄道施設におけるカメラの増設・ネットワーク化による集中監視を実施
・新幹線車両や主要駅等へ防犯・護身用具を配備
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームにおける鉄道人身障害事故等を着実に減少させるため、2032年度末頃までに東京圏の主要在来線全243駅(線区単位では330駅)にホームドアを導入する方針のもと設置工事を推進、2018年度末までに36駅(線区単位では41駅)の整備を完了
[サービス品質改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止をはじめ、輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止や情報提供の強化などの取組みを加速しました。特に、新幹線や首都圏在来線等で発生した輸送障害については、それぞれの原因を分析したうえで、再発防止に向けた取組みを着実に進めました。
(具体的な取組み)
・当社グループが原因の輸送障害の発生率を着実に減少させるため、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・2018年6月に東北新幹線仙台~古川間で発生した車両故障対策として、地絡(ショート)の影響を最小限にとどめる車両改造を、2019年6月末までの完了をめざし順次実施
・2018年12月に東京駅で発生した東北新幹線の車両故障を踏まえ、対象車両の定期検査項目を拡充するとともに、応急処置フローを策定
・2019年1月に新潟変電所で発生した火災を踏まえ、変電所等での作業ルールを見直すとともに、異常時に送電を確実に停止する訓練を実施
・2019年2月に中央線で発生したケーブル焼損を踏まえ、当社および施工会社が共同で工事の防炎措置の強化を進めるとともに、焼損を防止するためのハード対策の範囲を拡大
・台風等による被害拡大を防ぐための列車の計画的な運転見合わせについて、SNS等を活用したお客さまへの情報提供の強化やスムーズな運転再開に向けた取組み等を順次実施
・異常時における多言語案内を充実させるため、翻訳アプリ等のツールの活用を推進
・当社管轄エリア内の新幹線トンネルでの携帯電話不通対策を進め、携帯電話サービスを利用できる区間を順次拡大
・他の鉄道事業者等と連携し、お困りのお客さまにお声かけする「声かけ・サポート」運動の強化キャンペーンを実施
・インバウンド対応の強化等に向けて協働するため、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と包括的連携に関する協定を2018年9月に締結
・駅構内での「外国語案内スタッフ」の配置拡大や浜松町駅での「JR東日本訪日旅行センター」の開設など、訪日外国人旅行者へのサービス向上を図る取組みを継続
[環境]
地球温暖化の防止に向けて省エネ、創エネおよび新技術導入の3つの観点から施策を推進するとともに、水素の利活用によるエネルギー多様化に取り組みました。
(具体的な取組み)
・水素活用による鉄道と自動車のモビリティ連携を軸とした包括的業務連携について、2018年9月にトヨタ自動車株式会社と基本合意し、検討を推進
・住友林業株式会社等と共同で、2018年4月に青森県八戸市で木質バイオマス発電所の営業運転を開始
・「エコステ」モデル駅として2018年7月に男鹿線男鹿駅を整備
・列車の省エネ運転の実現に向けて走行パターンの開発を推進
・JFEエンジニアリンググループと共同で、神奈川県横浜市の食品リサイクルプラントで食品廃棄物から再生可能エネルギーを生み出す事業を2018年11月に本格的に開始
〇 「心豊かな生活」の実現
技術と情報を中心にネットワークの力を高め、「ヒト(すべての人)」を起点に新たな価値・サービスを創造することにより「心豊かな生活」を実現し、当社グループの持続的な成長につなげていきます。
[技術と情報を中心としたネットワークの強化]
社内横断的な組織として、技術イノベーション推進本部を2018年6月に発足させ、外部との連携をさらに拡大し、研究開発や実証実験を進めました。
(具体的な取組み)
・Suicaやクレジットカードと連携したスマートフォンアプリ「Ringo Pass」により、タクシーなど複数の交通手段をシームレスに利用する実証実験を踏まえ、サービスを開始するための準備を推進
・東京急行電鉄株式会社等と共同で、専用アプリ「Izuko(イズコ)」を使った「観光型MaaS」の実証実験を伊豆エリアで2019年4月から開始するための準備を推進
・「MaaS」事業戦略を一元的に企画し、スピーディに施策を推進する専門組織を2019年4月に設立するための準備を推進
・次世代新幹線の実現に向けて、2019年5月に試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を落成し、走行試験を開始するための準備を推進
・2020年度末までに在来線の線路状態を遠隔監視する技術を50線区に導入することをめざし、営業車両に線路設備モニタリング装置を搭載するための準備を推進
・「JR東日本スタートアッププログラム」により事業・サービスの創出に向けた実証実験を実施し、5件を実用化
・山手線のターミナル駅等において、お客さまの問合せに回答する案内AIシステムの実証実験を実施
[Suicaの共通基盤化]
様々な決済手段やアプリケーションとSuicaを連携させることにより、あらゆる場面で利用できることをめざし、Suicaの共通基盤化を進めました。この結果、当連結会計年度末のSuicaの発行枚数は約7,587万枚となりました。
(具体的な取組み)
・Suicaで新幹線自由席をご利用いただける「タッチでGo!新幹線」を東北新幹線東京~那須塩原間等において2018年4月から開始
・Suicaが「Google Pay」に2018年5月に対応し、モバイル端末における利便性を向上
・株式会社みずほ銀行と共同で、カード発行が不要でみずほ銀行の口座から入金できる電子マネー「Mizuho Suica」を2018年8月からサービス開始
・株式会社セブン銀行と提携し、セブン銀行ATMで交通系電子マネーへのチャージ等ができるサービスを2018年10月から開始
・訪日外国人旅行者向けの新たなICカード「Welcome Suica」を2019年9月から販売するための準備を推進
・株式会社みずほ銀行と共同で、Suicaアプリケーションへデジタル通貨をチャージする実証実験を2019年10月から開始するための準備を推進
・「えきねっと」等のインターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける新たなIC乗車サービスを、2019年度末から開始するための準備を推進
・ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社と共同で、Suicaと地域の交通ICカード機能をあわせ持つ「地域連携ICカード」を2021年春から提供するためのシステム開発を推進
[都市を快適に]
お客さまがあらゆる生活シーンで最適な手段を組み合わせて移動・購入・決済などのサービスをシームレスに利用できる環境を整え、都市を快適にするため、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催も見据えた輸送サービスの質的変革や「くらしづくり(まちづくり)」の推進など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・「ドライバレス運転」の実現に向けた自動列車運転装置の実証試験を山手線で実施
・書籍・動画等の様々なコンテンツを新幹線車内で配信するサービス「noricon(ノリコン)」の実証実験を実施
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する新たな観光特急列車を2020年春から運行するための準備を推進
・横須賀・総武快速線へE235系新造車両を2020年度から投入するための準備を推進
・セントラル警備保障株式会社と共同で展開している子ども見守りサービス「まもレール」を、2020年春に東京都交通局および東京地下鉄株式会社の各駅に拡大するための準備を推進
・2022年度末までに累計150箇所の子育て支援施設を開設することをめざして整備を推進(当連結会計年度末の子育て支援施設数は累計131箇所)
・2018年6月にビューサンクスポイントを「JRE POINT」に共通化(当連結会計年度末の「JRE POINT」会員数は約998万人)
・「JRE POINT」加盟店でのお買い物にお得なクレジットカード「JRE CARD(ジェイアールイー・カード)」を2018年7月から発行
・AIを活用した無人決済店舗の実証実験第2弾を赤羽駅のホーム上で実施
・駅ナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」の実証実験を東京駅等で実施
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の駅ビル等の建設工事を推進
2019年11月開業予定 「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)
2020年春開業予定 五反田駅東口ビル(仮称)
2020年4月開業予定 「WATERS takeshibaⅠ期(高層棟・駐車場棟)」(東京)
2020年開業予定 「JR横浜タワー」および「JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
2020年開業予定 「WATERS takeshibaⅡ期(劇場棟)」(東京)
2020年度冬開業予定 仙台駅東口オフィス(仮称)
2021年春全面開業予定 川崎駅西口開発計画
2021年開業予定 「世界貿易センタービルディング南館」(東京)
・ 2020年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、以下のホテルの建設工事を推進
2019年10月開業予定 「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」(東京)
2019年11月開業予定 「JR東日本ホテルメッツ 東京ベイ新木場」(東京)
2020年3月開業予定 「ホテルメトロポリタン 鎌倉」(神奈川)
2020年春開業予定 JR東日本ホテルメッツ 五反田(仮称)
2020年春開業予定 ホテルメトロポリタン 川崎(仮称)
2020年度開業予定 JR東日本ホテルメッツ 桜木町(仮称)
・品川駅・田町駅周辺エリアにおいて、2020年春に「高輪ゲートウェイ駅」を開業するため建設工事を推進するとともに、2024年頃の街びらきに向けて品川駅北周辺地区の都市計画手続きを2018年9月に開始
・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続き実施に向けた準備を推進
・「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として2020年春頃までの整備をめざして競技会場周辺等の駅改良工事を推進
[地方を豊かに]
地域内外のネットワークや地域資源を活かして、首都圏とのヒト・モノの流れを活性化し、地方を豊かにするため、地方中核駅を中心としたまちづくりや観光振興による交流人口の拡大など、様々な施策を推進しました。
(具体的な取組み)
・2018年4月の新潟駅の高架駅第一期開業に合わせて、新幹線と在来線の同一ホームでの乗換えを実現
・クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート しきしま)」の運行を通じて、地域の様々な魅力を掘り起こし、情報を発信
・地域の生産者・加工者等と連携して農業の6次産業化を推進
・日本郵便株式会社と2018年6月に地域・社会の活性化に向けた協定を締結し、両社のネットワークを活用して宮城県の農産物を収穫当日に東京駅で販売する物流トライアルを2018年11月に実施
・バスの自動運転技術に関する実証実験を、大船渡線BRTにおいて実施
・東北エリアへの観光流動の創出・拡大に向けて、全日本空輸株式会社と連携して鉄道と航空機を組み合わせた新商品を設定し、情報発信を強化
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、駅東口にスポーツ整形クリニックが2018年5月開業、「秋田ノーザンゲートスクエア」(秋田)等の建設工事を推進
・土浦駅を中心としたまちづくりを進め、土浦駅ビルを日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)へ改装し、2020年春以降に全面開業するため工事を推進
特に、東日本大震災により甚大な被害を受けた太平洋沿岸線区の復旧については、国および自治体と協議しながら、地域全体の復興と一体となって取り組みました。
(具体的な取組み)
・山田線宮古~釜石間の復旧工事を完了させ、2019年3月に三陸鉄道株式会社へ運営を移管
・常磐線富岡~浪江間で2019年度末までに運転を再開するため復旧工事を推進
・常磐線新駅「Jヴィレッジ駅」を2019年4月に開業するための準備を推進
なお、2011年7月に発生した豪雨災害により運休となっている只見線会津川口~只見間については、2017年6月に福島県と合意した上下分離方式による鉄道復旧に向けて、2018年6月から復旧工事に着手しました。
[世界を舞台に]
対象各国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社およびオランダ鉄道の英国子会社と共同で、英国においてウェストミッドランズ旅客鉄道事業の運営に参画
・子会社の株式会社ルミネが海外進出2店舗目となる「LUMINE JAKARTA(ルミネ ジャカルタ)」(インドネシア)を2018年12月に開業
・三井物産株式会社等と共同で、子会社の株式会社アトレが台湾台北市の商業施設内に店舗を2019年1月に開業
・国際鉄道人材の育成に向け「JR東日本Technical Intern Training」を2019年4月から開始するための準備を推進
・三井物産株式会社の現地子会社と共同で、シンガポールのチャンギ空港内に現地子会社が飲食・物販複合型店舗「JW360°(ジェイダブリュー・スリーシックスティ)」を2019年4月に開業するための準備を推進
〇 「社員・家族の幸福」の実現
「変革 2027」がめざす持続的成長の基盤となるグループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」「働き方改革」「職場改革」を進め、企業体質の強化と「社員・家族の幸福」の実現に取り組みました。
(具体的な取組み)
・現場第一線や企画部門社員の多様かつ柔軟な働き方を実現する乗務員勤務制度の見直しを2019年3月に実施
・現場第一線の社員が担当業務や専門の枠を超えて課題解決に取り組む「組織横断プロジェクト」を2019年3月に開始
・新幹線における安全・サービス品質のさらなるレベルアップをめざし、業務を一元的・専門的に統括する「新幹線統括本部」を2019年4月に新設するための準備を推進
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン等を開催しました。また、2018年6月および7月に、大宮駅が始発の新函館北斗行新幹線の臨時列車を初めて運行しました。さらに、旺盛なインバウンド需要を取り込むため、インバウンド向け商品の販売促進を図るとともに、アジア圏の航空事業者と連携して航空機と組み合わせた立体観光型訪日旅行商品のラインナップを拡充しました。加えて、仙台臨海鉄道株式会社と連携し、仙台港へのクルーズ船の寄港に合わせ、アクセス列車を2018年9月に運行しました。そのほか、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「はやて」の一部列車の所要時間の短縮など、2019年3月のダイヤ改正により利便性の向上を図りました。
この結果、当社の鉄道事業の輸送人員は前期を上回り、運輸事業の売上高は前期比0.9%増の2兆1,230億円となり、営業利益は前期比0.5%増の3,419億円となりました。
b 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、駅構内における店舗開発力を強化するため、2018年4月に子会社の株式会社JR東日本リテールネットが株式会社JR東日本ステーションリテイリングを吸収合併するとともに、株式会社JR東日本ウォータービジネスを完全子会社化しました。また、東京2020オリンピック・パラリンピックの競技も体験できる複合スポーツエンターテインメント施設「スポル品川大井町」(東京)を2018年8月に開業しました。さらに、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」においてプライベートブランド商品のリニューアルを進めました。加えて、駅弁の魅力を発信する「駅弁味の陣2018」を2018年秋に開催しました。そのほか、当社グループとして2箇所目となる情報発信カフェ「JAPAN RAIL CAFE」を2019年1月に台湾の現地子会社が台北市に開業しました。
これらに加え、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、売上高は前期比1.8%増の5,937億円となり、営業利益は前期比0.6%増の392億円となりました。
c 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、2018年4月に多世代交流施設「コトニアガーデン新川崎」(神奈川)、2018年6月に「ペリエ千葉」(千葉)を全面開業しました。また、2020年頃までに10,000室を超えるホテルチェーンとなるための取組みの一環として、2019年2月に東日本エリア外への初の出店となる「JR東日本ホテルメッツ 札幌」(北海道)を開業しました。加えて、当社の社宅を改装した提案型賃貸住宅「アールリエット三鷹」(東京)の運営を2019年3月より開始しました。
この結果、「ペリエ千葉」の全面開業に伴う増収効果やホテル業の好調などにより、売上高は前期比2.7%増の3,695億円となり、営業利益は前期比0.5%増の814億円となりました。
d その他
Suica電子マネーについては、「吉野家」などの広域展開するチェーン店やタクシーへの導入を進めるなど、引き続き加盟店開拓に積極的に取り組みました。また、2018年7月にはSuica等交通系電子マネーの月間利用件数が2億件を超え、過去最高となりました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、情報処理業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比12.6%増の2,592億円となり、営業利益は前期比5.4%増の238億円となりました。
(注) 1 「Google Pay」はGoogle LLCの商標です。
2 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
輸送実績
区分単位第31期
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第32期
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
営業日数365365
営業キロ新幹線キロ1,194.21,194.2
在来線6,263.16,207.5
7,457.37,401.7
客車走行キロ新幹線千キロ553,921564,517
在来線1,779,3051,779,063
2,333,2262,343,581
輸送人員定期千人3,993,6704,030,111
定期外2,494,4522,519,313
6,488,1226,549,424
輸送人キロ新幹線定期千人キロ1,781,7761,813,403
定期外21,590,12721,929,275
23,371,90323,742,678
在来線関東圏定期70,800,94271,215,774
定期外36,696,23237,036,969
107,497,174108,252,744
その他定期3,070,2853,063,115
定期外2,547,0422,540,352
5,617,3275,603,468
定期73,871,22774,278,890
定期外39,243,27439,577,322
113,114,501113,856,212
合計定期75,653,00476,092,293
定期外60,833,40161,506,598
136,486,405137,598,891
乗車効率新幹線%56.957.4
在来線45.546.3
47.147.9

(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。
乗車効率=輸送人キロ×100
客車走行キロ×客車平均定員

2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
収入実績
区分単位第31期
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第32期
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
旅客運輸収入新幹線定期百万円24,26024,656
定期外563,880572,508
588,140597,165
在来線関東圏定期460,315463,312
定期外718,953726,975
1,179,2681,190,288
その他定期18,45118,407
定期外50,80550,847
69,25769,254
定期478,767481,719
定期外769,758777,823
1,248,5261,259,542
合計定期503,027506,376
定期外1,333,6381,350,332
1,836,6661,856,708
荷物収入6759
合計1,836,7341,856,767
鉄道線路使用料収入6,2356,381
運輸雑収167,698165,336
収入合計2,010,6682,028,485

② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、売上債権が増加したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ403億円減の6,638億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ525億円増の5,944億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、有利子負債の調達による収入が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ144億円減の1,206億円となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ511億円減の2,637億円となりました。
また、当連結会計年度末の有利子負債残高は3兆1,637億円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。
なお、販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、全セグメントにおいて売上が増加したことにより、前期比1.8%増の3兆20億円(対業績予想80億円増)となり、7期連続の増収となりました。また、過去最高を更新しました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比1.0%増の2兆381億円(対業績予想61億円増)となりました。
これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新幹線および在来線において増加したことなどにより、前期比1.1%増の1兆8,567億円となったことなどによるものであります。
新幹線に関しては、秋分の日等の3連休が好調であったことや訪日旅行者の利用増などを受けて、輸送人キロは前期比1.6%増の237億人キロとなりました。定期収入は前期比1.6%増の246億円、定期外収入は前期比1.5%増の5,725億円となり、全体では前期比1.5%増の5,971億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、輸送人キロは前期比0.7%増の1,082億人キロとなりました。定期収入は前期比0.7%増の4,633億円、定期外収入は前期比1.1%増の7,269億円となり、全体では前期比0.9%増の1兆1,902億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、輸送人キロは前期比0.2%減の56億人キロとなりました。定期収入は前期比0.2%減の184億円、定期外収入は前期比0.1%増の508億円となり、全体では前期とほぼ同水準の692億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
流通・サービス事業では、東京駅等の店舗の売上が好調であったことなどにより、前期比1.3%増の5,218億円(対業績予想8億円増)となりました。
不動産・ホテル事業では、「ペリエ千葉」(千葉)の全面開業に伴う増収効果やホテル業の好調などにより、前期比2.6%増の3,490億円となりましたが、一部商業施設等の売上が計画に達しなかったことなどにより、業績予想を29億円下回りました。
その他の事業では、情報処理業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、前期比20.5%増の929億円(対業績予想39億円増)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比2.0%増の2兆5,171億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の83.7%に対して、当連結会計年度は83.8%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比1.6%増の1兆9,215億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比3.2%増の5,956億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比0.7%増の4,848億円(対業績予想28億円増)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の16.3%に対し、当連結会計年度は16.2%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比7.7%減の257億円となりました。これは、受取保険金及び配当金が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比2.7%減の673億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。
なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、571億円のマイナスとなり、前連結会計年度から4.3%改善しております。
○ 経常利益
経常利益は、前期比0.7%増の4,432億円(対業績予想32億円増)となりました。また、過去最高益を更新しました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の14.9%に対し、当連結会計年度は14.8%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比142.5%増の747億円となりました。これは、工事負担金等受入額が増加したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比81.7%増の893億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が増加したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比1.7%増の4,286億円となりました。当連結会計年度の営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前期とほぼ同水準の14.3%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比2.2%増の2,952億円(対業績予想62億円増)となり、増益となりました。また、過去最高益を更新しました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の749.20円に対し、当連結会計年度は773.26円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前期とほぼ同水準の9.8%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ2,119億円増の8兆3,596億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ21億円増の5兆2,652億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ2,098億円増の3兆943億円となりました。
運輸事業においては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などに4,323億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は6兆5,650億円となりました。
流通・サービス事業においては、新規店舗の展開や既存店舗の改良のほか、販売管理などのシステム開発などに231億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,751億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「ペリエ千葉」(千葉)や「コトニアガーデン新川崎」(神奈川)、「アールリエット三鷹」(東京)など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに1,437億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆4,050億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに307億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆686億円となりました。
c 資本の財源および資金の流動性
○ キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より403億円少ない6,638億円の流入となりました。これは、売上債権が増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より525億円多い5,944億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、新規店舗の展開や既存店舗の改良のほか、販売管理などのシステム開発などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「ペリエ千葉」(千葉)や「コトニアガーデン新川崎」(神奈川)、「アールリエット三鷹」(東京)などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より929億円減少し、693億円の流入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より144億円少ない1,206億円の流出となりました。これは、有利子負債の調達による収入が増加したことなどによるものであります。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,149億円から511億円減少し、2,637億円となりました。
○ 財務政策
グループ経営ビジョン「変革 2027」において、「連結営業収益、利益に応じた連結有利子負債残高とする」こととしております。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを3.5倍程度とすることをめざしております。
「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は2兆8,999億円となりました。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは8,535億円となりました。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2028年から2059年の間とする10本の無担保普通社債を総額1,250億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はS&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3の長期債格付けを取得しております。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,283億円であります。
このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして31億円、東京モノレール㈱が6億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。コマーシャル・ペーパーについては、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。
さらに、2015年4月より、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。

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