有価証券報告書-第33期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、期初より緩やかな回復傾向が続き、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、様々なチャレンジを本格的にスタートさせました。
一方、2019年10月12日に上陸した台風第19号の影響により、甚大な被害を受けましたが、北陸新幹線の運転本数確保をはじめ、各線区の輸送の復旧に努めてきました。
加えて、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、鉄道をご利用になるお客さまが大幅に減少するとともに、生活サービス事業についても、駅構内店舗や駅ビル、ホテルなどのご利用実績が軒並み減少しました。このような状況の中、ご利用になるお客さまや社員等の感染防止対策の徹底と、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。
この結果、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響により当社の運輸収入が減少したことなどから、当連結会計年度の営業収益は前期比1.8%減の2兆9,466億円となりました。また、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前期比21.5%減の3,808億円、経常利益は前期比23.4%減の3,395億円となりました。加えて、台風第19号に係る特別損失の計上などにより親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32.8%減の1,984億円となりました。
〇 「信頼」を高める
[「究極の安全」の追求]
「グループ安全計画2023」のもと、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・2019年4月に設立した新幹線統括本部において、「リスクへの対応力向上」「専門人材の育成」など、新幹線の安全レベルのさらなる向上をめざした取組みを推進
・実際の映像による訓練が可能なシミュレータについて、2020年3月末に全乗務員職場に配備を完了
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームドアの設置工事を推進し、当連結会計年度末までに48駅(線区単位では57駅)の整備を完了
・東北新幹線仙台~白石蔵王間での運行中のドア開扉(2019年8月発生)対策として、ドアコックの検知機能の改修等に着手
・セキュリティレベル向上を目的とした東京駅での危険物探知犬を活用した実証実験(2019年12月)に協力
・台風第19号による河川の氾濫等による被害を踏まえ、重要設備の浸水対策や車両の避難について具体的な検討を開始
[サービス品質の改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止や輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止などの取組みを加速しました。
(具体的な取組み)
・輸送障害発生率の減少に向け、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・2019年のゴールデンウィーク期間中に発生した東北新幹線福島駅での車両故障の対策として、車両部品の交換、上越新幹線での変電所トラブルの対策として、制御装置のプログラム変更などを実施
・快適・便利な車内サービスを提供し、移動空間の価値向上を実現する株式会社JR東日本サービスクリエーションが2019年7月から事業を開始
・台風接近時における列車の計画的な運転見合わせについて、より早期の情報提供を行うとともに、速やかな運転再開に向けた点検体制を強化
・2019年12月から英語でのTwitterアカウントによる列車運行情報の配信を開始
・お困りのお客さまに積極的にお声かけする「声かけ・サポート」運動を通年で実施
・車両とホームのすき間を狭めるくし状部材の設置や、山手線の各車両にフリースペースの設置を完了するなど、車いす等をお使いのお客さまがご利用しやすい環境の整備を推進
・介助を必要とするお客さまのスムーズなご案内を図るため、2020年3月から南武線内各駅でアプリによる社員間の情報伝達を開始
[ESG経営の実践]
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み)
・「エコステ」モデル駅として、小海線野辺山駅(2020年1月)、両毛線前橋駅(2020年3月)を使用開始
・高輪ゲートウェイ駅において、照明電力量を削減する膜屋根や、太陽光パネル、小型風力発電機などの環境保全技術を導入するとともに、駅前の当社用地を活用した水素ステーション設置に向けた準備を推進
・男鹿線男鹿駅でJR秋田下浜風力発電所を活用した「CO2フリー電気」の使用を2019年7月から開始
・水素をエネルギー源としたハイブリッド車両について、2021年度内の試験車両の落成と実証試験の開始に向けた準備を推進
・プラスチックの削減に向け、エキナカやホテルなどで使用するレジ袋やストローの代替素材への2020年9月末までの置換えを推進
・2019年10月から2020年1月末までSDGsの理解促進と当社グループのSDGs達成に向けた取組みの紹介を目的に、山手線において「SDGsラッピングトレイン」を運行
・子育て支援施設の整備を推進(当連結会計年度末の子育て支援施設数は累計139箇所)
・国際鉄道人材の育成に向け、ベトナムおよびミャンマー国鉄から実習生を受入れ
・環境・社会的問題双方の解決に資するプロジェクトを資金使途とする債券であるサステナビリティボンドを2020年1月に発行
〇 「心豊かな生活」の実現
[輸送サービスの質的変革]
輸送サービスを質的に変革するとともに、観光振興やインバウンド戦略を進め、交流人口のさらなる拡大に取り組みました。
(具体的な取組み)
・次世代新幹線の実現に向け、2019年5月に試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を落成し、走行試験を開始
・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きに着手
・上越新幹線大宮~新潟間の所要時間の短縮に向け、2019年5月から地上設備の測量および騒音対策等の工事に着手
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月から新観光列車「海里」の運行を開始
・相鉄線からJR線を経由して新宿方面へ直通する相鉄・JR直通線を2019年11月に開業
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する観光特急列車「サフィール踊り子」を2020年3月から運行開始
・中国最大規模のオンライン旅行会社Trip. com Group Limitedとの戦略的提携に基づき、外国人向け商品の販売エリアの拡大に続き、東北への送客プロモーションを実施
・2020年3月に常磐線富岡~浪江間を運転再開するとともに、常磐線の一部区間でSuicaご利用可能エリアを拡大
・2020年3月に鹿島線全駅にSuicaを導入
・気仙沼線・大船渡線BRTにおいて、専用道の延伸等により所要時間を短縮するとともに、沿線自治体からのご要望を踏まえ、2020年3月に5か所で新駅を開業
[くらしづくり(まちづくり)]
ターミナル駅開発を推進するとともに、地方中核駅を中心としたまちづくりや6次産業化などの取組みを地域の皆さまと一体となって進めました。
(具体的な取組み)
・品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)について2019年4月に都市計画決定、2024年頃のまちびらきに向けて計画を推進
・2020年3月に高輪ゲートウェイ駅を開業し、AIを活用した案内ロボット等、最新技術を用いた駅サービス設備を試行導入
・無人AI決済店舗の事業化に向け、2019年7月に子会社のJR東日本スタートアップ株式会社がサインポスト株式会社と共同で株式会社TOUCH TO GOを設立し、2020年3月に高輪ゲートウェイ駅で常設店舗を開業
・さらなるオープンイノベーションの推進に向け、「JR東日本スタートアッププログラム2019」で21件の提案を採択し、実証実験等を順次実施
・エキナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」を8箇所で展開
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、2019年12月にスポーツ施設「秋田ノーザンゲートスクエア」の使用を開始
・2020年2月に、不動産事業の強化に向けて不動産ファンドを設立
・仙台市の東日本大震災跡地に体験型大規模観光果樹園を2020年度末に営業開始するための準備を推進
・日本郵便株式会社と連携し、長野県や秋田県で採れた新鮮な農産物を首都圏の駅まで運ぶ物流トライアルを実施するとともに、2020年8月から内房線江見駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営を実施するための準備を推進
・2020年3月に専用WEBサイトで、コインロッカーを予約できるサービス「To Locca(トロッカ)」を開始
・駅の価値最大化を目的に、2020年4月に子会社の株式会社日本レストランエンタプライズとジェイアール東日本フードビジネス株式会社を合併し、株式会社JR東日本フーズとする準備を推進
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の主な駅ビル等の建設工事を推進
2020年4月開業 「WATERS takeshiba(タワー棟・パーキング)」(東京)
2020年6月開業 「JR横浜タワー・JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
2020年9月開業予定 「日比谷OKUROJI」(東京)
2020年10月開業予定 「WATERS takeshiba(シアター棟)」(東京)
2021年春開業予定 「KAWASAKI DELTA」(神奈川)
・10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、鎌倉、竹芝、川崎、横浜、桜木町などでホテルの建設工事を推進
[Suicaの共通基盤化・MaaS推進]
JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT」の魅力向上や他企業との積極的な連携により、あらゆる生活シーンでSuicaを利用可能とする施策を推進しました。この結果、当連結会計年度末のSuicaの発行枚数は約8,273万枚、「JRE POINT」会員数は約1,205万人となりました。また、検索・予約・決済を一元的に提供するJR東日本型「MaaS」のサービスインに向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み:Suicaの共通基盤化)
・Suicaによる当社の鉄道利用で「JRE POINT」が貯まるサービスを、2019年10月から開始
・2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加するとともに、本事業に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施
・2020年3月に、インターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける「新幹線eチケットサービス」を開始
・訪日外国人旅行者向けICカード「Welcome Suica」を2019年9月から販売開始
・株式会社みずほ銀行と共同で、Suicaアプリケーションへデジタル通貨をチャージする実証実験を2019年12月から開始
・楽天ペイメント株式会社と連携し「楽天ペイ」アプリ内で2020年春からSuicaを発行可能にするための準備を推進
・地方におけるSuicaの利用基盤拡大に向け、2021年春以降「地域連携ICカード」を導入する準備を宇都宮・岩手エリアで推進
(具体的な取組み:MaaS推進)
・「MaaS」事業戦略を一元的に企画し、スピーディに施策を推進する「MaaS事業推進部門」を2019年4月に設立
・「JR東日本アプリ」について、2019年4月にサービスやデザインを一新するとともに、2019年9月に経路検索機能を強化
・東急株式会社等と共同で、「観光型MaaS」をめざした「Izuko(イズコ)」の実証実験を伊豆エリアで2期にわけて実施
・2019年8月に全日本空輸株式会社と「MaaS」の展開および構築において連携していくことで合意
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月~12月に新潟市内を中心とした「観光型MaaS」の実証実験「にいがたMaaS Trial」を実施
・2019年11月に、「MaaS」構築に向けた共通基盤を作り出す国際団体である「MaaS Alliance」に、日本の鉄道事業者として初めて加盟
・タクシーやシェアサイクルを利用できるスマートフォンアプリ「Ringo Pass」を2020年1月に一般公開
・宮城県および仙台市と連携して、2020年2月に「観光型MaaS」の実証実験「TOHOKU MaaS 仙台 trial」を実施
[東京2020オリンピック・パラリンピック]
東京2020オリンピック・パラリンピックについては、開催が延期となりましたが、引き続き「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として、コミュニケーションスローガン「TICKET TO TOMORROW」のもと全ての事業分野で質の高いサービスを提供し、大会以降の社会や当社グループに「レガシー(遺産)」を引き継いでいきます。
(具体的な取組み)
・競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・朝通勤時間帯の列車の増発や「スムーズビズ」の推進など、東京都等と連携し朝通勤時間の混雑緩和に向けた対策を実施したほか、医療機関と連携した暑さ対策を試行
・終電時刻の延長による深夜輸送の実施や、日中時間帯の列車の増発についての検討を推進
・鉄道のセキュリティ強化に向け、防犯カメラ等の増設およびネットワーク化による集中監視を行うとともに、社員等による警備強化や駅・列車内への防護用品配備を実施
・異常時における多言語案内を充実させるため、翻訳アプリ等のツールの活用を推進
・ラグビーワールドカップ2019日本大会期間において、競技開催にあわせた輸送力の増強、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と連携した外国語案内、会場最寄り駅を中心とした案内体制の強化などを実施
・共生社会の実現に向け、公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターと連携し、各種イベントでの義足体験等を実施
・大会期間中の駅の案内体制の強化を目的として、開催エリア以外の社員による競技会場最寄り駅や首都圏ターミナル駅でのご案内に向けた準備を推進
・首都圏から東北、信越等への誘客を目的とした「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」を販売するための準備を推進
[世界を舞台に]
それぞれの国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社の現地子会社と共同で、当社の現地子会社がシンガポールのチャンギ空港内に飲食・物販複合型店舗「JW360°(ジェイダブリュー・スリーシックスティ)」を2019年4月に開業
・英国ウェストミッドランズトレインズの鉄道駅で、自動販売機事業のトライアルを2019年7月から開始
・シンガポールのビジネス中心部において、現地に進出した日系企業向けの交流プラットフォーム「One&Co(ワンアンドコー)」を2019年8月に開業
・当社の現地子会社等が、シンガポールのトムソン・イーストコースト線におけるエキナカ商業権を2019年8月に獲得
・子会社の株式会社JR東日本運輸サービス、株式会社JR東日本テクノハートTESSEIと共同で、英国スコットレール社に対する車両清掃の改善提言を実施
・JR東日本グループとして海外初出店となる「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」を2021年初に開業するための準備を推進
〇 「社員・家族の幸福」を実現
「変革 2027」がめざす持続的成長の基盤となるグループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」、「働き方改革」、「職場改革」を進め、経営体質の強化と「社員・家族の幸福」の実現に取り組みました。
(具体的な取組み)
・新幹線における安全・サービス品質のさらなるレベルアップをめざし、業務を一元的・専門的に統括する「新幹線統括本部」を2019年4月に設立
・社員一人ひとりの健康と活力の向上をめざし、「健康経営中期ビジョン2023」を2019年4月に策定
・2019年4月に策定した新たな「一般事業主行動計画」に基づき、女性用設備の全職場への整備や、事業所内保育所のさらなる利便性向上など、女性の活躍および仕事と育児の両立支援を推進
・社員の多様な意欲を柔軟に受け止め、一人ひとりの社員が様々なフィールドでより一層活躍・成長することを目的とした新たなジョブローテーションを2020年4月から実施するための準備を推進
・「変革 2027」の実現をめざし、新たな気持ちでチャレンジするシンボルとして、2020年5月から駅係員や乗務員の制服をリニューアルするための準備を推進
・育児・介護関連等の休暇のさらなる充実や、一部の現業機関へのフレックスタイム制導入等、働き方改革をめざした制度改正を2020年度に実施するための準備を推進
・お客さまのより近くで創意を発揮する機会を創ることを目的として、職種等を越えた現業機関等の社員によって構成する「組織横断プロジェクト」を推進
・新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、社員等が安心して働ける環境を整えるため、休暇等の柔軟な取扱いや、業務運営に支障がない場合の自宅待機を実施
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「静岡デスティネーションキャンペーン」、「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」等の各種キャンペーンを開催しました。また、常磐線にJヴィレッジ駅を2019年4月に開業しました。さらに、ゴールデンウィーク10連休やお盆期間、年末年始において臨時列車の増発や需要喚起のための商品を設定するなど、需要の取込みに努めました。2019年10月の消費税率引上げに伴う運賃・料金改定に際しては、システム改修やお客さまへのわかりやすいご案内などを実施しました。加えて、台風第19号により大きな被害を受けた北陸新幹線については、車両の柔軟な運用等により輸送力の確保に努め、2020年3月には定期列車が被災前と同じ運転本数に回復しました。そのほか、大型台風被害により落ち込んだ観光需要の回復を目的として「旅をチカラに!キャンペーン」等を実施しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響により当社の鉄道事業の輸送人員が前期を下回ったことや、当社の物件費が増加したことなどにより、運輸事業の売上高は前期比2.0%減の2兆811億円となり、営業利益は前期比26.7%減の2,505億円となりました。
b 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、「グランスタ」(東京)において2019年4月・7月に新規店舗のオープンおよび既存店舗のリニューアルを行いました。また、東北・新潟エリアの新鮮な海産物を当社の新幹線で輸送し、「エキュート品川」(東京)の鮮魚店で販売する実証実験を2019年6月に実施しました。さらに、日本郵便株式会社等と連携し、くらしづくりをワンストップで実現する「JJ+T(ジェイジェイプラスティー)」を2019年5月に「エキュート立川」(東京)に開業しました。加えて、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」で初のレジに店員を配置しない、セルフレジ専用の店舗を武蔵境駅で2019年7月にオープンしました。そのほか、2019年11月に開業した「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)内に、エキナカ商業施設「エキュート」の新業態「エキュートエディション 渋谷」および、紀ノ国屋の新業態「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」をオープンしました。また、2019年11月から12月にかけて「エキュート大宮」(埼玉)をリニューアルしました。さらに、2020年3月に日本各地の魅力を発信する「JAPAN RAIL CAFE」を東京駅に日本初出店しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、売上高は前期比3.4%減の5,736億円となり、営業利益は前期比12.3%減の343億円となりました。
c 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、土浦駅ビルを、日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)として改装を進め、レストランゾーンや物販店舗・ホテル等を新たに開業しました。また、「エスパル仙台」(宮城)本館「エキチカキッチン」エリアを2019年4月にリニューアル開業しました。さらに、旧社宅や旧寮をリノベーションにより利活用した住宅事業として、2019年7月に「リエットガーデン三鷹」(東京)のまちびらきを実施、2020年3月に「アールリエット武蔵境」(東京)の入居を開始しました。加えて、2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」を開業しました。そのほか、2019年10月に「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」(東京)、2019年11月に「JR東日本ホテルメッツ 東京ベイ新木場」(東京)、2020年3月に「JR東日本ホテルメッツ 五反田」(東京)を開業するとともに、2020年3月に、古民家などを活用したホテル「和のゐ 角館」(秋田)を開業しました。
この結果、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などがあったものの、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、売上高は前期比0.1%減の3,693億円となり、営業利益は前期比8.4%減の746億円となりました。
d その他
Suica電子マネーについては、タクシーや飲食店、郵便局への導入を進めるなど、加盟店開拓を継続して行いました。また、「JRE POINT」については、2019年10月にSuicaの鉄道利用でポイントがたまるサービスを開始するとともに、政府による「キャッシュレス・消費者還元事業」に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施するなど、電子マネーの利用促進に向け取り組みました。この結果、Suica等交通系電子マネーの月間利用件数は、2019年12月に2億5,261万件となり、過去最高となりました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.0%増の2,746億円となり、営業利益は前期比0.3%増の238億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
輸送実績
(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。
2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
収入実績
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ1,151億円減の5,486億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ1,071億円増の7,016億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、コマーシャル・ペーパーの増加などにより、前連結会計年度の流出額に比べ1,641億円増となり、434億円の流入額となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,099億円減の1,537億円となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は3兆1,585億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。
なお、販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、その他の事業の売上が増加したものの、運輸事業、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業の売上が減少したことにより、前期比1.8%減の2兆9,466億円(対4月計画業績予想1,233億円減)となりました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比2.1%減の1兆9,945億円(対4月計画業績予想854億円減)となりました。
これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響を受け、新幹線・在来線ともに減少したことなどにより、前期比3.4%減の1兆7,928億円となったことなどによるものであります。
新幹線に関しては、ゴールデンウィークの10連休が好調であったものの、新型コロナウイルス感染症、台風第19号による北陸新幹線の運転見合せや本数減の影響などにより、輸送人キロは前期比5.1%減の225億人キロとなりました。定期収入は前期比4.8%増の258億円、定期外収入は前期比5.7%減の5,397億円となり、全体では前期比5.3%減の5,655億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響などにより、輸送人キロは前期比0.8%減の1,073億人キロとなりました。定期収入は前期比0.4%増の4,652億円、定期外収入は前期比4.4%減の6,948億円となり、全体では前期比2.5%減の1兆1,601億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響などにより、輸送人キロは前期比1.5%減の55億人キロとなりました。定期収入は前期比0.6%減の182億円、定期外収入は前期比4.0%減の488億円となり、全体では前期比3.1%減の670億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
流通・サービス事業では、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、前期比3.8%減の5,020億円(対4月計画業績予想219億円減)となりました。
不動産・ホテル事業では、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などがあったものの、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、前期比0.1%減の3,485億円(対4月計画業績予想134億円減)となりました。
その他の事業では、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、前期比9.2%増の1,015億円(対4月計画業績予想24億円減)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比1.9%増の2兆5,657億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の83.8%に対して、当連結会計年度は87.1%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比0.6%増の1兆9,337億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比6.1%増の6,320億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比21.5%減の3,808億円(対4月計画業績予想1,071億円減)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の16.2%に対し、当連結会計年度は12.9%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比7.0%減の239億円となりました。これは、受取保険金及び配当金が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比3.1%減の652億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。
○ 経常利益
経常利益は、前期比23.4%減の3,395億円(対4月計画業績予想1,064億円減)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の14.8%に対し、当連結会計年度は11.5%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比14.0%減の642億円となりました。これは、工事負担金等受入額が減少したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比33.9%増の1,196億円となりました。これは、2019年台風第15号・第19号に係る災害による損失および災害損失引当金繰入額を計上したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比33.7%減の2,841億円となりました。当連結会計年度の営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の14.3%に対し、当連結会計年度は9.6%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少などにより、前期比32.8%減の1,984億円(対4月計画業績予想1,025億円減)となり、減益となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の773.26円に対し、当連結会計年度は524.91円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の9.8%に対し、当連結会計年度は6.7%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ1,773億円増の8兆5,370億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ983億円増の5兆3,636億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ790億円増の3兆1,734億円となりました。
運輸事業においては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などに4,707億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は6兆6,624億円となりました。
流通・サービス事業においては、「エキュートエディション 渋谷」や「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに182億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,659億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」や「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」、「和のゐ 角館」など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに2,116億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆5,723億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに399億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆435億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,151億円少ない5,486億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,071億円多い7,016億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、「エキュートエディション 渋谷」や「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」や「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」、「和のゐ 角館」などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より2,222億円減少し、1,529億円の流出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,641億円増加し、434億円の流入となりました。これは、コマーシャル・ペーパーが増加したことなどによるものであります。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,637億円から1,099億円減少し、1,537億円となりました。
b 財務政策
グループ経営ビジョン「変革 2027」において、設備投資に関しては、将来の成長に資する成長投資、技術革新等に資するイノベーション投資、連結減価償却費を目安として機動的に実施する維持更新投資など、2018年度から2022年度まで総額3兆7,500億円とすることとしております。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしております。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としております。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを3.5倍程度とすることをめざしております。
「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は3兆1,585億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は3兆3,123億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,555億円となりました。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。
当社は、健全な財務体質の維持・向上および十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っております。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制および平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2029年から2069年の間とする7本の無担保普通社債を総額1,050億円発行いたしました。その他、金融機関から1,291億円の長期資金を借り入れました。社債については、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はS&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3の長期債格付けを取得しております。なお、ムーディーズ・ジャパン株式会社からは2020年3月23日に、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社からは2020年4月15日に、当社格付を格下げ方向で見直しする旨がプレスされております。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,252億円であります。
このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして18億円、東京モノレール㈱が5億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は1,500億円であります。さらに、2015年4月より、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。なお、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
新型コロナウイルス感染症による影響に備えた資金確保等を目的として、以下の対応を行っております。
2020年4月22日に国内において償還期限を2023年から2070年の間とする6本の無担保普通社債を総額1,250億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。その他、2020年5月13日に金融機関から1,500億円の長期資金を借り入れました。
2020年5月11日より、当座借越枠を総額5,500億円へ増額しております。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在における当座借越残高は2,600億円であります。また、コマーシャル・ペーパーについては、2020年4月1日よりCP発行限度額を増額し、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、株式会社日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しております(ムーディーズ・ジャパン株式会社からは、2020年3月までの発行限度額に対してP-1の短期債(CP)格付けを取得しております)。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,400億円であります。さらに、2020年5月11日より、銀行からのコミットメント・ラインを総額3,000億円へ増額しております。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態および経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
a 固定資産の減損
当社グループは、管理会計上の区分に従い、主として事業ごとまたは物件ごとに資産のグループ化を行っております。なお、当社の鉄道事業資産については、路線のネットワーク全体でキャッシュ・フローを生成していることから、全路線を1個の資産グループとしております。また、譲渡や廃止の意思決定を行った資産および遊休資産等については、それぞれを独立した単位としております。そのうち、帳簿価額に対し著しく時価が下落した資産および収益性が著しく低下した資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。
回収可能価額の算定に際しては、将来キャッシュ・フローの見積り年数、テナントの入居状況や設備リニューアルを踏まえた営業収益の予測値、コスト削減施策の効果、将来の正味売却価額の予測値、将来キャッシュ・フローの現在価値を算出するための割引率等の前提条件を用いております。景気低迷や天候不順、他事業者との競合、市場価格の下落等により前提条件の変更が必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。
b 退職給付債務の見積り
従業員の退職給付債務および費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っております。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合または前提条件の変更があった場合には、翌連結会計年度以降の退職給付債務および費用に影響を与える可能性があります。
c 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性の判断は、将来の課税所得の見積り等に基づいております。課税所得の見積り等は、事業計画や中期計画等の業績予測を前提としております。景気低迷や他事業者との競合等による業績予測の見直しに伴い、繰延税金資産の一部または全部について回収可能性がないと判断された場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産が減額される可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、期初より緩やかな回復傾向が続き、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、様々なチャレンジを本格的にスタートさせました。
一方、2019年10月12日に上陸した台風第19号の影響により、甚大な被害を受けましたが、北陸新幹線の運転本数確保をはじめ、各線区の輸送の復旧に努めてきました。
加えて、2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、鉄道をご利用になるお客さまが大幅に減少するとともに、生活サービス事業についても、駅構内店舗や駅ビル、ホテルなどのご利用実績が軒並み減少しました。このような状況の中、ご利用になるお客さまや社員等の感染防止対策の徹底と、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。
この結果、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響により当社の運輸収入が減少したことなどから、当連結会計年度の営業収益は前期比1.8%減の2兆9,466億円となりました。また、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前期比21.5%減の3,808億円、経常利益は前期比23.4%減の3,395億円となりました。加えて、台風第19号に係る特別損失の計上などにより親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32.8%減の1,984億円となりました。
〇 「信頼」を高める
[「究極の安全」の追求]
「グループ安全計画2023」のもと、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・2019年4月に設立した新幹線統括本部において、「リスクへの対応力向上」「専門人材の育成」など、新幹線の安全レベルのさらなる向上をめざした取組みを推進
・実際の映像による訓練が可能なシミュレータについて、2020年3月末に全乗務員職場に配備を完了
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームドアの設置工事を推進し、当連結会計年度末までに48駅(線区単位では57駅)の整備を完了
・東北新幹線仙台~白石蔵王間での運行中のドア開扉(2019年8月発生)対策として、ドアコックの検知機能の改修等に着手
・セキュリティレベル向上を目的とした東京駅での危険物探知犬を活用した実証実験(2019年12月)に協力
・台風第19号による河川の氾濫等による被害を踏まえ、重要設備の浸水対策や車両の避難について具体的な検討を開始
[サービス品質の改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止や輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止などの取組みを加速しました。
(具体的な取組み)
・輸送障害発生率の減少に向け、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・2019年のゴールデンウィーク期間中に発生した東北新幹線福島駅での車両故障の対策として、車両部品の交換、上越新幹線での変電所トラブルの対策として、制御装置のプログラム変更などを実施
・快適・便利な車内サービスを提供し、移動空間の価値向上を実現する株式会社JR東日本サービスクリエーションが2019年7月から事業を開始
・台風接近時における列車の計画的な運転見合わせについて、より早期の情報提供を行うとともに、速やかな運転再開に向けた点検体制を強化
・2019年12月から英語でのTwitterアカウントによる列車運行情報の配信を開始
・お困りのお客さまに積極的にお声かけする「声かけ・サポート」運動を通年で実施
・車両とホームのすき間を狭めるくし状部材の設置や、山手線の各車両にフリースペースの設置を完了するなど、車いす等をお使いのお客さまがご利用しやすい環境の整備を推進
・介助を必要とするお客さまのスムーズなご案内を図るため、2020年3月から南武線内各駅でアプリによる社員間の情報伝達を開始
[ESG経営の実践]
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み)
・「エコステ」モデル駅として、小海線野辺山駅(2020年1月)、両毛線前橋駅(2020年3月)を使用開始
・高輪ゲートウェイ駅において、照明電力量を削減する膜屋根や、太陽光パネル、小型風力発電機などの環境保全技術を導入するとともに、駅前の当社用地を活用した水素ステーション設置に向けた準備を推進
・男鹿線男鹿駅でJR秋田下浜風力発電所を活用した「CO2フリー電気」の使用を2019年7月から開始
・水素をエネルギー源としたハイブリッド車両について、2021年度内の試験車両の落成と実証試験の開始に向けた準備を推進
・プラスチックの削減に向け、エキナカやホテルなどで使用するレジ袋やストローの代替素材への2020年9月末までの置換えを推進
・2019年10月から2020年1月末までSDGsの理解促進と当社グループのSDGs達成に向けた取組みの紹介を目的に、山手線において「SDGsラッピングトレイン」を運行
・子育て支援施設の整備を推進(当連結会計年度末の子育て支援施設数は累計139箇所)
・国際鉄道人材の育成に向け、ベトナムおよびミャンマー国鉄から実習生を受入れ
・環境・社会的問題双方の解決に資するプロジェクトを資金使途とする債券であるサステナビリティボンドを2020年1月に発行
〇 「心豊かな生活」の実現
[輸送サービスの質的変革]
輸送サービスを質的に変革するとともに、観光振興やインバウンド戦略を進め、交流人口のさらなる拡大に取り組みました。
(具体的な取組み)
・次世代新幹線の実現に向け、2019年5月に試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を落成し、走行試験を開始
・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きに着手
・上越新幹線大宮~新潟間の所要時間の短縮に向け、2019年5月から地上設備の測量および騒音対策等の工事に着手
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月から新観光列車「海里」の運行を開始
・相鉄線からJR線を経由して新宿方面へ直通する相鉄・JR直通線を2019年11月に開業
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する観光特急列車「サフィール踊り子」を2020年3月から運行開始
・中国最大規模のオンライン旅行会社Trip. com Group Limitedとの戦略的提携に基づき、外国人向け商品の販売エリアの拡大に続き、東北への送客プロモーションを実施
・2020年3月に常磐線富岡~浪江間を運転再開するとともに、常磐線の一部区間でSuicaご利用可能エリアを拡大
・2020年3月に鹿島線全駅にSuicaを導入
・気仙沼線・大船渡線BRTにおいて、専用道の延伸等により所要時間を短縮するとともに、沿線自治体からのご要望を踏まえ、2020年3月に5か所で新駅を開業
[くらしづくり(まちづくり)]
ターミナル駅開発を推進するとともに、地方中核駅を中心としたまちづくりや6次産業化などの取組みを地域の皆さまと一体となって進めました。
(具体的な取組み)
・品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)について2019年4月に都市計画決定、2024年頃のまちびらきに向けて計画を推進
・2020年3月に高輪ゲートウェイ駅を開業し、AIを活用した案内ロボット等、最新技術を用いた駅サービス設備を試行導入
・無人AI決済店舗の事業化に向け、2019年7月に子会社のJR東日本スタートアップ株式会社がサインポスト株式会社と共同で株式会社TOUCH TO GOを設立し、2020年3月に高輪ゲートウェイ駅で常設店舗を開業
・さらなるオープンイノベーションの推進に向け、「JR東日本スタートアッププログラム2019」で21件の提案を採択し、実証実験等を順次実施
・エキナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」を8箇所で展開
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、2019年12月にスポーツ施設「秋田ノーザンゲートスクエア」の使用を開始
・2020年2月に、不動産事業の強化に向けて不動産ファンドを設立
・仙台市の東日本大震災跡地に体験型大規模観光果樹園を2020年度末に営業開始するための準備を推進
・日本郵便株式会社と連携し、長野県や秋田県で採れた新鮮な農産物を首都圏の駅まで運ぶ物流トライアルを実施するとともに、2020年8月から内房線江見駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営を実施するための準備を推進
・2020年3月に専用WEBサイトで、コインロッカーを予約できるサービス「To Locca(トロッカ)」を開始
・駅の価値最大化を目的に、2020年4月に子会社の株式会社日本レストランエンタプライズとジェイアール東日本フードビジネス株式会社を合併し、株式会社JR東日本フーズとする準備を推進
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の主な駅ビル等の建設工事を推進
2020年4月開業 「WATERS takeshiba(タワー棟・パーキング)」(東京)
2020年6月開業 「JR横浜タワー・JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
2020年9月開業予定 「日比谷OKUROJI」(東京)
2020年10月開業予定 「WATERS takeshiba(シアター棟)」(東京)
2021年春開業予定 「KAWASAKI DELTA」(神奈川)
・10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、鎌倉、竹芝、川崎、横浜、桜木町などでホテルの建設工事を推進
[Suicaの共通基盤化・MaaS推進]
JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT」の魅力向上や他企業との積極的な連携により、あらゆる生活シーンでSuicaを利用可能とする施策を推進しました。この結果、当連結会計年度末のSuicaの発行枚数は約8,273万枚、「JRE POINT」会員数は約1,205万人となりました。また、検索・予約・決済を一元的に提供するJR東日本型「MaaS」のサービスインに向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み:Suicaの共通基盤化)
・Suicaによる当社の鉄道利用で「JRE POINT」が貯まるサービスを、2019年10月から開始
・2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加するとともに、本事業に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施
・2020年3月に、インターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける「新幹線eチケットサービス」を開始
・訪日外国人旅行者向けICカード「Welcome Suica」を2019年9月から販売開始
・株式会社みずほ銀行と共同で、Suicaアプリケーションへデジタル通貨をチャージする実証実験を2019年12月から開始
・楽天ペイメント株式会社と連携し「楽天ペイ」アプリ内で2020年春からSuicaを発行可能にするための準備を推進
・地方におけるSuicaの利用基盤拡大に向け、2021年春以降「地域連携ICカード」を導入する準備を宇都宮・岩手エリアで推進
(具体的な取組み:MaaS推進)
・「MaaS」事業戦略を一元的に企画し、スピーディに施策を推進する「MaaS事業推進部門」を2019年4月に設立
・「JR東日本アプリ」について、2019年4月にサービスやデザインを一新するとともに、2019年9月に経路検索機能を強化
・東急株式会社等と共同で、「観光型MaaS」をめざした「Izuko(イズコ)」の実証実験を伊豆エリアで2期にわけて実施
・2019年8月に全日本空輸株式会社と「MaaS」の展開および構築において連携していくことで合意
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月~12月に新潟市内を中心とした「観光型MaaS」の実証実験「にいがたMaaS Trial」を実施
・2019年11月に、「MaaS」構築に向けた共通基盤を作り出す国際団体である「MaaS Alliance」に、日本の鉄道事業者として初めて加盟
・タクシーやシェアサイクルを利用できるスマートフォンアプリ「Ringo Pass」を2020年1月に一般公開
・宮城県および仙台市と連携して、2020年2月に「観光型MaaS」の実証実験「TOHOKU MaaS 仙台 trial」を実施
[東京2020オリンピック・パラリンピック]
東京2020オリンピック・パラリンピックについては、開催が延期となりましたが、引き続き「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として、コミュニケーションスローガン「TICKET TO TOMORROW」のもと全ての事業分野で質の高いサービスを提供し、大会以降の社会や当社グループに「レガシー(遺産)」を引き継いでいきます。
(具体的な取組み)
・競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・朝通勤時間帯の列車の増発や「スムーズビズ」の推進など、東京都等と連携し朝通勤時間の混雑緩和に向けた対策を実施したほか、医療機関と連携した暑さ対策を試行
・終電時刻の延長による深夜輸送の実施や、日中時間帯の列車の増発についての検討を推進
・鉄道のセキュリティ強化に向け、防犯カメラ等の増設およびネットワーク化による集中監視を行うとともに、社員等による警備強化や駅・列車内への防護用品配備を実施
・異常時における多言語案内を充実させるため、翻訳アプリ等のツールの活用を推進
・ラグビーワールドカップ2019日本大会期間において、競技開催にあわせた輸送力の増強、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と連携した外国語案内、会場最寄り駅を中心とした案内体制の強化などを実施
・共生社会の実現に向け、公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターと連携し、各種イベントでの義足体験等を実施
・大会期間中の駅の案内体制の強化を目的として、開催エリア以外の社員による競技会場最寄り駅や首都圏ターミナル駅でのご案内に向けた準備を推進
・首都圏から東北、信越等への誘客を目的とした「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」を販売するための準備を推進
[世界を舞台に]
それぞれの国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社の現地子会社と共同で、当社の現地子会社がシンガポールのチャンギ空港内に飲食・物販複合型店舗「JW360°(ジェイダブリュー・スリーシックスティ)」を2019年4月に開業
・英国ウェストミッドランズトレインズの鉄道駅で、自動販売機事業のトライアルを2019年7月から開始
・シンガポールのビジネス中心部において、現地に進出した日系企業向けの交流プラットフォーム「One&Co(ワンアンドコー)」を2019年8月に開業
・当社の現地子会社等が、シンガポールのトムソン・イーストコースト線におけるエキナカ商業権を2019年8月に獲得
・子会社の株式会社JR東日本運輸サービス、株式会社JR東日本テクノハートTESSEIと共同で、英国スコットレール社に対する車両清掃の改善提言を実施
・JR東日本グループとして海外初出店となる「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」を2021年初に開業するための準備を推進
〇 「社員・家族の幸福」を実現
「変革 2027」がめざす持続的成長の基盤となるグループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」、「働き方改革」、「職場改革」を進め、経営体質の強化と「社員・家族の幸福」の実現に取り組みました。
(具体的な取組み)
・新幹線における安全・サービス品質のさらなるレベルアップをめざし、業務を一元的・専門的に統括する「新幹線統括本部」を2019年4月に設立
・社員一人ひとりの健康と活力の向上をめざし、「健康経営中期ビジョン2023」を2019年4月に策定
・2019年4月に策定した新たな「一般事業主行動計画」に基づき、女性用設備の全職場への整備や、事業所内保育所のさらなる利便性向上など、女性の活躍および仕事と育児の両立支援を推進
・社員の多様な意欲を柔軟に受け止め、一人ひとりの社員が様々なフィールドでより一層活躍・成長することを目的とした新たなジョブローテーションを2020年4月から実施するための準備を推進
・「変革 2027」の実現をめざし、新たな気持ちでチャレンジするシンボルとして、2020年5月から駅係員や乗務員の制服をリニューアルするための準備を推進
・育児・介護関連等の休暇のさらなる充実や、一部の現業機関へのフレックスタイム制導入等、働き方改革をめざした制度改正を2020年度に実施するための準備を推進
・お客さまのより近くで創意を発揮する機会を創ることを目的として、職種等を越えた現業機関等の社員によって構成する「組織横断プロジェクト」を推進
・新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、社員等が安心して働ける環境を整えるため、休暇等の柔軟な取扱いや、業務運営に支障がない場合の自宅待機を実施
セグメントの業績は次のとおりであります。
a 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「静岡デスティネーションキャンペーン」、「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」等の各種キャンペーンを開催しました。また、常磐線にJヴィレッジ駅を2019年4月に開業しました。さらに、ゴールデンウィーク10連休やお盆期間、年末年始において臨時列車の増発や需要喚起のための商品を設定するなど、需要の取込みに努めました。2019年10月の消費税率引上げに伴う運賃・料金改定に際しては、システム改修やお客さまへのわかりやすいご案内などを実施しました。加えて、台風第19号により大きな被害を受けた北陸新幹線については、車両の柔軟な運用等により輸送力の確保に努め、2020年3月には定期列車が被災前と同じ運転本数に回復しました。そのほか、大型台風被害により落ち込んだ観光需要の回復を目的として「旅をチカラに!キャンペーン」等を実施しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響により当社の鉄道事業の輸送人員が前期を下回ったことや、当社の物件費が増加したことなどにより、運輸事業の売上高は前期比2.0%減の2兆811億円となり、営業利益は前期比26.7%減の2,505億円となりました。
b 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、「グランスタ」(東京)において2019年4月・7月に新規店舗のオープンおよび既存店舗のリニューアルを行いました。また、東北・新潟エリアの新鮮な海産物を当社の新幹線で輸送し、「エキュート品川」(東京)の鮮魚店で販売する実証実験を2019年6月に実施しました。さらに、日本郵便株式会社等と連携し、くらしづくりをワンストップで実現する「JJ+T(ジェイジェイプラスティー)」を2019年5月に「エキュート立川」(東京)に開業しました。加えて、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」で初のレジに店員を配置しない、セルフレジ専用の店舗を武蔵境駅で2019年7月にオープンしました。そのほか、2019年11月に開業した「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)内に、エキナカ商業施設「エキュート」の新業態「エキュートエディション 渋谷」および、紀ノ国屋の新業態「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」をオープンしました。また、2019年11月から12月にかけて「エキュート大宮」(埼玉)をリニューアルしました。さらに、2020年3月に日本各地の魅力を発信する「JAPAN RAIL CAFE」を東京駅に日本初出店しました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、売上高は前期比3.4%減の5,736億円となり、営業利益は前期比12.3%減の343億円となりました。
c 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、土浦駅ビルを、日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)として改装を進め、レストランゾーンや物販店舗・ホテル等を新たに開業しました。また、「エスパル仙台」(宮城)本館「エキチカキッチン」エリアを2019年4月にリニューアル開業しました。さらに、旧社宅や旧寮をリノベーションにより利活用した住宅事業として、2019年7月に「リエットガーデン三鷹」(東京)のまちびらきを実施、2020年3月に「アールリエット武蔵境」(東京)の入居を開始しました。加えて、2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」を開業しました。そのほか、2019年10月に「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」(東京)、2019年11月に「JR東日本ホテルメッツ 東京ベイ新木場」(東京)、2020年3月に「JR東日本ホテルメッツ 五反田」(東京)を開業するとともに、2020年3月に、古民家などを活用したホテル「和のゐ 角館」(秋田)を開業しました。
この結果、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などがあったものの、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、売上高は前期比0.1%減の3,693億円となり、営業利益は前期比8.4%減の746億円となりました。
d その他
Suica電子マネーについては、タクシーや飲食店、郵便局への導入を進めるなど、加盟店開拓を継続して行いました。また、「JRE POINT」については、2019年10月にSuicaの鉄道利用でポイントがたまるサービスを開始するとともに、政府による「キャッシュレス・消費者還元事業」に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施するなど、電子マネーの利用促進に向け取り組みました。この結果、Suica等交通系電子マネーの月間利用件数は、2019年12月に2億5,261万件となり、過去最高となりました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.0%増の2,746億円となり、営業利益は前期比0.3%増の238億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
輸送実績
| 区分 | 単位 | 第32期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 第33期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 営業日数 | 日 | 365 | 366 | |||
| 営業キロ | 新幹線 | キロ | 1,194.2 | 1,194.2 | ||
| 在来線 | 〃 | 6,207.5 | 6,207.5 | |||
| 計 | 〃 | 7,401.7 | 7,401.7 | |||
| 客車走行キロ | 新幹線 | 千キロ | 564,517 | 561,468 | ||
| 在来線 | 〃 | 1,779,063 | 1,772,372 | |||
| 計 | 〃 | 2,343,581 | 2,333,841 | |||
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 4,030,111 | 4,073,492 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,519,313 | 2,433,664 | |||
| 計 | 〃 | 6,549,424 | 6,507,157 | |||
| 輸送人キロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 1,813,403 | 1,909,001 | |
| 定期外 | 〃 | 21,929,275 | 20,615,758 | |||
| 計 | 〃 | 23,742,678 | 22,524,760 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 71,215,774 | 71,720,839 | |
| 定期外 | 〃 | 37,036,969 | 35,620,869 | |||
| 計 | 〃 | 108,252,744 | 107,341,708 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 3,063,115 | 3,045,624 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,540,352 | 2,473,812 | |||
| 計 | 〃 | 5,603,468 | 5,519,436 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 74,278,890 | 74,766,464 | ||
| 定期外 | 〃 | 39,577,322 | 38,094,681 | |||
| 計 | 〃 | 113,856,212 | 112,861,145 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 76,092,293 | 76,675,465 | ||
| 定期外 | 〃 | 61,506,598 | 58,710,440 | |||
| 計 | 〃 | 137,598,891 | 135,385,905 | |||
| 乗車効率 | 新幹線 | % | 57.4 | 55.3 | ||
| 在来線 | 〃 | 46.3 | 45.8 | |||
| 計 | 〃 | 47.9 | 47.1 | |||
(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。
| 乗車効率= | 輸送人キロ | ×100 |
| 客車走行キロ×客車平均定員 |
2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
収入実績
| 区分 | 単位 | 第32期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 第33期 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |||
| 旅客運輸収入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 24,656 | 25,843 | |
| 定期外 | 〃 | 572,508 | 539,739 | |||
| 計 | 〃 | 597,165 | 565,583 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 463,312 | 465,294 | |
| 定期外 | 〃 | 726,975 | 694,825 | |||
| 計 | 〃 | 1,190,288 | 1,160,119 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 18,407 | 18,289 | ||
| 定期外 | 〃 | 50,847 | 48,809 | |||
| 計 | 〃 | 69,254 | 67,098 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 481,719 | 483,583 | ||
| 定期外 | 〃 | 777,823 | 743,635 | |||
| 計 | 〃 | 1,259,542 | 1,227,218 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 506,376 | 509,427 | ||
| 定期外 | 〃 | 1,350,332 | 1,283,374 | |||
| 計 | 〃 | 1,856,708 | 1,792,801 | |||
| 荷物収入 | 〃 | 59 | 47 | |||
| 合計 | 〃 | 1,856,767 | 1,792,849 | |||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 6,381 | 6,686 | |||
| 運輸雑収 | 〃 | 165,336 | 169,737 | |||
| 収入合計 | 〃 | 2,028,485 | 1,969,273 | |||
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益が減少したことなどにより、流入額は前連結会計年度に比べ1,151億円減の5,486億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ1,071億円増の7,016億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、コマーシャル・ペーパーの増加などにより、前連結会計年度の流出額に比べ1,641億円増となり、434億円の流入額となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,099億円減の1,537億円となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は3兆1,585億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。
なお、販売の実績については、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、その他の事業の売上が増加したものの、運輸事業、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業の売上が減少したことにより、前期比1.8%減の2兆9,466億円(対4月計画業績予想1,233億円減)となりました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比2.1%減の1兆9,945億円(対4月計画業績予想854億円減)となりました。
これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響を受け、新幹線・在来線ともに減少したことなどにより、前期比3.4%減の1兆7,928億円となったことなどによるものであります。
新幹線に関しては、ゴールデンウィークの10連休が好調であったものの、新型コロナウイルス感染症、台風第19号による北陸新幹線の運転見合せや本数減の影響などにより、輸送人キロは前期比5.1%減の225億人キロとなりました。定期収入は前期比4.8%増の258億円、定期外収入は前期比5.7%減の5,397億円となり、全体では前期比5.3%減の5,655億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響などにより、輸送人キロは前期比0.8%減の1,073億人キロとなりました。定期収入は前期比0.4%増の4,652億円、定期外収入は前期比4.4%減の6,948億円となり、全体では前期比2.5%減の1兆1,601億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、新型コロナウイルス感染症や台風第19号の影響などにより、輸送人キロは前期比1.5%減の55億人キロとなりました。定期収入は前期比0.6%減の182億円、定期外収入は前期比4.0%減の488億円となり、全体では前期比3.1%減の670億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
流通・サービス事業では、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、前期比3.8%減の5,020億円(対4月計画業績予想219億円減)となりました。
不動産・ホテル事業では、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などがあったものの、新型コロナウイルス感染症による外出自粛や営業時間短縮の影響などにより、前期比0.1%減の3,485億円(対4月計画業績予想134億円減)となりました。
その他の事業では、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、前期比9.2%増の1,015億円(対4月計画業績予想24億円減)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比1.9%増の2兆5,657億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の83.8%に対して、当連結会計年度は87.1%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比0.6%増の1兆9,337億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比6.1%増の6,320億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比21.5%減の3,808億円(対4月計画業績予想1,071億円減)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の16.2%に対し、当連結会計年度は12.9%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比7.0%減の239億円となりました。これは、受取保険金及び配当金が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比3.1%減の652億円となりました。これは、支払利息が減少したことなどによるものであります。
○ 経常利益
経常利益は、前期比23.4%減の3,395億円(対4月計画業績予想1,064億円減)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の14.8%に対し、当連結会計年度は11.5%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比14.0%減の642億円となりました。これは、工事負担金等受入額が減少したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比33.9%増の1,196億円となりました。これは、2019年台風第15号・第19号に係る災害による損失および災害損失引当金繰入額を計上したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比33.7%減の2,841億円となりました。当連結会計年度の営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の14.3%に対し、当連結会計年度は9.6%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少などにより、前期比32.8%減の1,984億円(対4月計画業績予想1,025億円減)となり、減益となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の773.26円に対し、当連結会計年度は524.91円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の9.8%に対し、当連結会計年度は6.7%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ1,773億円増の8兆5,370億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ983億円増の5兆3,636億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ790億円増の3兆1,734億円となりました。
運輸事業においては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などに4,707億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は6兆6,624億円となりました。
流通・サービス事業においては、「エキュートエディション 渋谷」や「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに182億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,659億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」や「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」、「和のゐ 角館」など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに2,116億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆5,723億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに399億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆435億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,151億円少ない5,486億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が減少したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,071億円多い7,016億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、安全・安定輸送対策や大規模地震対策、ホームドア整備、車両新造などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、「エキュートエディション 渋谷」や「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」や「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」、「和のゐ 角館」などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より2,222億円減少し、1,529億円の流出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,641億円増加し、434億円の流入となりました。これは、コマーシャル・ペーパーが増加したことなどによるものであります。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,637億円から1,099億円減少し、1,537億円となりました。
b 財務政策
グループ経営ビジョン「変革 2027」において、設備投資に関しては、将来の成長に資する成長投資、技術革新等に資するイノベーション投資、連結減価償却費を目安として機動的に実施する維持更新投資など、2018年度から2022年度まで総額3兆7,500億円とすることとしております。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしております。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としております。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを3.5倍程度とすることをめざしております。
「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は3兆1,585億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は3兆3,123億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,555億円となりました。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。
当社は、健全な財務体質の維持・向上および十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っております。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制および平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っております。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2029年から2069年の間とする7本の無担保普通社債を総額1,050億円発行いたしました。その他、金融機関から1,291億円の長期資金を借り入れました。社債については、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はS&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりAA-、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりAa3の長期債格付けを取得しております。なお、ムーディーズ・ジャパン株式会社からは2020年3月23日に、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社からは2020年4月15日に、当社格付を格下げ方向で見直しする旨がプレスされております。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,252億円であります。
このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして18億円、東京モノレール㈱が5億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高はありません。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりP-1の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は1,500億円であります。さらに、2015年4月より、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。なお、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
新型コロナウイルス感染症による影響に備えた資金確保等を目的として、以下の対応を行っております。
2020年4月22日に国内において償還期限を2023年から2070年の間とする6本の無担保普通社債を総額1,250億円発行いたしました。これらの社債は、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。その他、2020年5月13日に金融機関から1,500億円の長期資金を借り入れました。
2020年5月11日より、当座借越枠を総額5,500億円へ増額しております。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在における当座借越残高は2,600億円であります。また、コマーシャル・ペーパーについては、2020年4月1日よりCP発行限度額を増額し、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、株式会社日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しております(ムーディーズ・ジャパン株式会社からは、2020年3月までの発行限度額に対してP-1の短期債(CP)格付けを取得しております)。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は2,400億円であります。さらに、2020年5月11日より、銀行からのコミットメント・ラインを総額3,000億円へ増額しております。なお、有価証券報告書提出日の属する月の前月末現在におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態および経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
a 固定資産の減損
当社グループは、管理会計上の区分に従い、主として事業ごとまたは物件ごとに資産のグループ化を行っております。なお、当社の鉄道事業資産については、路線のネットワーク全体でキャッシュ・フローを生成していることから、全路線を1個の資産グループとしております。また、譲渡や廃止の意思決定を行った資産および遊休資産等については、それぞれを独立した単位としております。そのうち、帳簿価額に対し著しく時価が下落した資産および収益性が著しく低下した資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。
回収可能価額の算定に際しては、将来キャッシュ・フローの見積り年数、テナントの入居状況や設備リニューアルを踏まえた営業収益の予測値、コスト削減施策の効果、将来の正味売却価額の予測値、将来キャッシュ・フローの現在価値を算出するための割引率等の前提条件を用いております。景気低迷や天候不順、他事業者との競合、市場価格の下落等により前提条件の変更が必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において減損損失を認識する可能性があります。
b 退職給付債務の見積り
従業員の退職給付債務および費用は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っております。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合または前提条件の変更があった場合には、翌連結会計年度以降の退職給付債務および費用に影響を与える可能性があります。
c 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性の判断は、将来の課税所得の見積り等に基づいております。課税所得の見積り等は、事業計画や中期計画等の業績予測を前提としております。景気低迷や他事業者との競合等による業績予測の見直しに伴い、繰延税金資産の一部または全部について回収可能性がないと判断された場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において繰延税金資産が減額される可能性があります。