四半期報告書-第33期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、足元で一部に弱さがみられるものの、基調としては緩やかな回復傾向が続きました。このような状況の中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、様々なチャレンジを本格的にスタートさせました。
一方、2019年10月12日に上陸した台風第19号の影響により、北陸新幹線をはじめとした運転見合わせや本数減、新幹線車両等への浸水、橋りょう流出、線路設備への土砂流入など甚大な被害がありましたが、北陸新幹線の運転本数確保をはじめ、各線区の輸送の復旧に努めてきました。
この結果、不動産・ホテル事業、運輸事業の収入が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比0.6%増の2兆2,666億円となりましたが、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前年同期比3.0%減の4,272億円、経常利益は前年同期比2.9%減の3,925億円となりました。また、台風第19号に係る特別損失の計上などにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比7.8%減の2,515億円となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末の資産残高は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ268億円増の8兆3,865億円、負債残高は未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,369億円減の5兆1,283億円、純資産残高は利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,637億円増の3兆2,581億円となりました。
○ 「信頼」を高める
[「究極の安全」の追求]
「グループ安全計画2023」のもと、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・実際の映像による訓練が可能なシミュレータの導入・活用を進めるなど、実践的な安全教育・訓練を実施
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームにおける鉄道人身障害事故等を減少させるため、ホームドアの設置工事を推進し、当第3四半期連結会計期間末までに43駅(線区単位では51駅)の整備を完了
・2019年8月に発生した東北新幹線仙台~白石蔵王間での運行中のドア開扉対策として、ドアコックの状態を自動検知する機能を車両に追加する改修等に着手
・2019年12月にセキュリティレベル向上を目的とした東京駅での危険物探知犬を活用した実証実験に協力
・台風第19号による河川の氾濫等により、設備等に甚大な被害を受けたことを踏まえ、浸水対策について具体的な検討を開始
[サービス品質の改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止や輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止などの取組みを加速しました。
(具体的な取組み)
・輸送障害の発生率を着実に減少させるため、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・2019年のゴールデンウィーク期間中に発生した東北新幹線福島駅での車両故障の対策として、車両部品の交換、上越新幹線での変電所トラブルの対策として、制御装置のプログラム変更などを実施
・快適・便利な車内サービスをトータルに提供し、移動空間の価値向上を実現する株式会社JR東日本サービスクリエーションが2019年7月から事業を開始
・台風等による被害拡大を防ぐための列車の計画的な運転見合わせについて、より早期の情報提供を行うとともに、速やかな運転再開に向けた点検体制を強化
・2019年12月から英語でのTwitterアカウントによる列車運行情報の配信を開始
[ESG経営の実践]
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み)
・「エコステ」モデル駅として、小海線野辺山駅(2020年1月使用開始)、両毛線前橋駅(2020年3月使用開始予定)の整備を推進
・2020年3月に開業する「高輪ゲートウェイ駅」で、照明電力量を削減する膜屋根や、太陽光パネル、小型風力発電機などの環境保全技術を導入する準備を推進
・高輪ゲートウェイ駅前の当社用地を活用した水素ステーション設置に向けた準備を推進
・男鹿線男鹿駅でJR秋田下浜風力発電所を活用した「CO2フリー電気」の使用を2019年7月から開始
・水素をエネルギー源としたハイブリッド車両について、2021年度内の試験車両の落成と実証試験の開始に向けた準備を推進
・プラスチックの削減に向け、2020年9月末までに、エキナカやホテルなどで使用するレジ袋やストローの代替素材への置換えを推進
・2019年10月から2020年1月末まで、SDGsの理解促進と当社グループのSDGs達成に向けた取組みの紹介を目的に、山手線において「SDGsラッピングトレイン」を運行
・子育て支援施設の整備を推進(当第3四半期連結会計期間末の子育て支援施設数は累計138箇所)
・国際鉄道人材の育成に向け、第1弾として2019年4月にベトナムからの実習生を受け入れ、「JR東日本Technical Intern Training」を開始するとともに、第2弾として2019年9月にミャンマー国鉄からの実習生を受け入れ、「国際鉄道人材育成研修」を開始
・環境・社会的問題双方の解決に資するプロジェクトを資金使途とする債券であるサステナビリティボンドを2020年1月に発行するための準備を推進
○ 「心豊かな生活」を実現
[輸送サービスの質的変革]
輸送サービスを質的に変革するとともに、観光振興やインバウンド戦略を進め、交流人口のさらなる拡大に取り組みました。
(具体的な取組み)
・次世代新幹線の実現に向けて、2019年5月に試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を落成し、走行試験を開始
・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きに着手
・上越新幹線大宮~新潟間の所要時間の短縮に向け、2019年5月から地上設備の測量および騒音対策等の工事に着手
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月から新観光列車「海里」の運行を開始
・お客さまの利便性向上と沿線価値向上のため、相鉄線からJR線を経由して新宿方面へ直通する相鉄・JR直通線を2019年11月に開業
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する観光特急列車「サフィール踊り子」を2020年3月から運行するための準備を推進
・中国最大規模のオンライン旅行会社Trip. com Group Limitedとの戦略的提携に基づき、2019年9月に外国人向け商品の販売エリアを拡大したことに続き、2019年12月から中国市場をターゲットとした冬の東北への送客プロモーションを実施
・2020年3月の常磐線富岡~浪江間における運転再開に向けた復旧工事を推進するとともに、常磐線一部区間で新たにSuica利用が可能なエリアを拡大する準備を推進
・気仙沼線・大船渡線BRTにおいて、専用道の延伸等により所要時間を短縮
[くらしづくり(まちづくり)]
ターミナル駅開発を推進するとともに、地方中核駅を中心としたまちづくりや6次産業化などの取組みを地域の皆さまと一体となって進めました。
(具体的な取組み)
・品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)について2019年4月に都市計画決定、2024年頃のまちびらきに向けて計画を推進
・2020年3月の「高輪ゲートウェイ駅」開業に際し、AIを活用した案内ロボット等、最新技術を用いた駅サービス設備の試行導入に向けた準備を推進
・無人AI決済店舗の事業化に向け、2019年7月に子会社であるJR東日本スタートアップ株式会社がサインポスト株式会社と共同で株式会社TOUCH TO GOを設立するとともに、「高輪ゲートウェイ駅」で常設店舗を開業するための準備を推進
・さらなるオープンイノベーションの推進に向けた「JR東日本スタートアッププログラム2019」で21件の提案を採択し、実証実験等を順次開始
・エキナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」を2019年8月に東京駅、新宿駅、立川駅、2019年9月に池袋駅で開始するとともに、ワークスタイルに応じて座席を選べるシェアオフィス「STATION DESK」1号店を2019年11月に東京駅に開業
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、2019年12月にスポーツ施設「秋田ノーザンゲートスクエア」(秋田)の使用を開始
・仙台市の東日本大震災跡地に体験型大規模観光果樹園を2020年度末に営業開始するための準備を推進
・日本郵便株式会社と連携し、長野県や秋田県で採れた新鮮な農産物を首都圏の駅まで運ぶ物流トライアルを実施するとともに、2020年8月から内房線江見駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営を実施するための準備を推進
・駅の価値最大化を目的に、2020年4月に子会社の株式会社日本レストランエンタプライズとジェイアール東日本フードビジネス株式会社を合併し、株式会社JR東日本フーズとする準備を推進
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の主な駅ビル等の建設工事を推進
2020年4月開業予定 「WATERS takeshiba(タワー棟・パーキング)」(東京)
2020年5月開業予定 「JR横浜タワー」(神奈川)
2020年6月開業予定 「JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
2020年7月開業予定 「WATERS takeshiba(シアター棟)」(東京)
2021年春全面開業予定 川崎駅西口開発計画
・10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、角館、土浦、五反田、鎌倉、竹芝、川崎、横浜、桜木町などでホテルの建設工事を推進
[Suicaの共通基盤化・MaaS推進]
JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」の魅力向上や他企業との積極的な連携により、あらゆる生活シーンでSuicaを利用可能とする施策を推進しました。この結果、当第3四半期連結会計期間末のSuicaの発行枚数は約8,139万枚、「JRE POINT」会員数は約1,175万人となりました。また、検索・予約・決済を一元的に提供するJR東日本型「MaaS」のサービスインに向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み:Suicaの共通基盤化)
・訪日外国人旅行者向けICカード「Welcome Suica」を2019年9月から販売開始
・株式会社みずほ銀行と共同で、Suicaアプリケーションへデジタル通貨をチャージする実証実験を2019年12月から開始
・「えきねっと」等のインターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける新たなIC乗車サービスを、2019年度末から開始するための準備を推進
・楽天ペイメント株式会社と「楽天ペイ」アプリ内で2020年春からSuicaを発行可能にするための準備を推進
・Suicaによる当社の鉄道利用で「JRE POINT」が貯まるサービスを、2019年10月から開始
・2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加するとともに、本事業に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施
(具体的な取組み:MaaS推進)
・「MaaS」事業戦略を一元的に企画し、スピーディに施策を推進する「MaaS事業推進部門」を2019年4月に設立
・「JR東日本アプリ」について、「ルート検索」を基本機能に追加し、わかりやすいデザインにするなど、2019年4月にサービスを一新するとともに、「徒歩ルート」や「バスルート」を検索できる経路検索機能を2019年9月にリリース
・東急株式会社等と共同で、「観光型MaaS」を実現するサービス「Izuko(イズコ)」の実証実験を伊豆エリアで2019年4月から実施するとともに、サービス内容をさらに拡充した第2期の実証実験を2019年12月から開始
・宮城県および仙台市と連携して、仙台圏における「観光型MaaS」の検討を開始
・2019年8月に全日本空輸株式会社と「MaaS」の展開および構築において連携していくことで合意
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」の期間に合わせ、新潟市内を中心とした「観光型MaaS」の実証実験「にいがたMaaS Trial」を2019年10月から開始
・2019年11月に、「MaaS」構築に向けた共通基盤を作り出す国際団体である「MaaS Alliance」に、日本の鉄道事業者として初めて加盟
[東京2020オリンピック・パラリンピック]
「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として、コミュニケーションスローガン「TICKET TO TOMORROW」のもと全ての事業分野で質の高いサービスを提供し、2020年以降の社会や当社グループに「レガシー(遺産)」を引き継いでいきます。
(具体的な取組み)
・2020年春頃までの整備をめざして、競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・大会1年前にあわせ、朝通勤時間帯の列車の増発や「スムーズビズ」の推進など、東京都等と連携し朝通勤時間の混雑緩和に向けた対策を実施したほか、医療機関と連携した暑さ対策を試行
・終電時刻の延長による深夜輸送の実施や、日中時間帯の列車の増発についての検討を推進
・鉄道のセキュリティ強化に向け、防犯カメラ等の増設およびネットワーク化による集中監視を行うとともに、社員等による警備強化や駅・列車内への防護用品配備を実施
・異常時における多言語案内を充実させるため、翻訳アプリ等のツールの活用を推進
・ラグビーワールドカップ2019日本大会期間において、競技開催にあわせた輸送力の増強、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と連携した外国語案内の充実、会場最寄り駅を中心とした案内体制の強化を実施
・共生社会の実現に向けて、公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターと連携し、各種イベントでの義足体験等を実施
・駅の案内体制の強化を目的として、当社社員が総力を挙げて競技会場最寄り駅や首都圏ターミナル駅で、大会期間中にお客さまのご案内を行うための準備を推進
・大会期間にあわせ、首都圏から東北、信越等への誘客を目的とした「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」を販売するための準備を推進
[世界を舞台に]
それぞれの国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社の現地子会社と共同で、当社の現地子会社がシンガポールのチャンギ空港内に飲食・物販複合型店舗「JW360°(ジェイダブリュー・スリーシックスティ)」を2019年4月に開業
・英国ウェストミッドランズトレインズの鉄道駅で、自動販売機事業のトライアルを2019年7月から開始
・シンガポールのビジネス中心部において、現地に進出した日系企業向けの交流プラットフォーム「One&Co(ワンアンドコー)」を2019年8月に開業
・当社の現地子会社等が、シンガポールのトムソン・イーストコースト線におけるエキナカ商業権を2019年8月に獲得
・JR東日本グループとして海外初出店となる「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」(台湾台北市)を2021年初に開業するための準備を推進
○ 「社員・家族の幸福」を実現
「変革 2027」がめざす持続的成長の基盤となるグループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」、「働き方改革」、「職場改革」を進め、経営体質の強化と「社員・家族の幸福」の実現に取り組みました。
(具体的な取組み)
・新幹線における安全・サービス品質のさらなるレベルアップをめざし、業務を一元的・専門的に統括する「新幹線統括本部」を2019年4月に設立
・社員一人ひとりの健康と活力の向上をめざし、「健康経営中期ビジョン2023」を2019年4月に策定
・2019年4月に策定した新たな「一般事業主行動計画」に基づき、女性用設備の全職場への整備や、事業所内保育所のさらなる利便性向上など、女性の活躍および仕事と育児の両立支援を推進
・社員の多様な意欲を柔軟に受け止め、一人ひとりの社員が様々なフィールドでより一層活躍し、成長していくことを目的とした新たなジョブローテーションを2020年4月から実施するための準備を推進
・「変革 2027」の実現をめざし、新たな気持ちでチャレンジするシンボルとして、2020年5月から接客制服をリニューアルするための準備を推進
・育児・介護関連等の休暇をさらに充実するとともに、一部の現業機関へフレックスタイム制を導入する等、働き方改革による働きがい向上のための制度の改正を2020年度に実施するための準備を推進
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「静岡デスティネーションキャンペーン」、「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」等の各種キャンペーンを開催しました。また、常磐線に新駅「Jヴィレッジ駅」を2019年4月に開業しました。さらに、ゴールデンウィーク10連休やお盆期間において臨時列車の増発や需要喚起のための商品を設定するなど、需要の取込みに努めました。2019年10月の消費税率引上げに伴う運賃改定に向けては、システム改修やお客さまへのわかりやすいご案内などを実施しました。加えて、台風第19号により大きな被害を受けた北陸新幹線については、車両の柔軟な運用等により、輸送力の確保に努めました。そのほか、大型台風被害により落ち込んだ観光需要の回復を目的として「旅をチカラに!キャンペーン」等を実施しました。
これらに加え、株式会社総合車両製作所の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比0.4%増の1兆6,074億円となりましたが、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前年同期比3.9%減の3,168億円となりました。
② 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、「グランスタ」(東京)において2019年4月に新規店舗のオープンおよび既存店舗のリニューアルを行い、さらに2019年7月に新規店舗をオープンしました。また、新潟県産の甘エビや岩手県産の生ウニを当社の新幹線で輸送し、「エキュート品川」(東京)の鮮魚店で販売する実証実験を2019年6月に実施しました。さらに、日本郵便株式会社等と連携し、くらしづくりをワンストップで実現するエリア「JJ+T(ジェイジェイプラスティー)」を2019年5月に「エキュート立川」(東京)に開業しました。加えて、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」で初の、レジに店員を配置しない、セルフレジを活用したキャッシュレス店舗を武蔵境駅で2019年7月にオープンしました。そのほか、2019年11月に、エキナカ商業施設「エキュート」の新業態「エキュートエディション 渋谷」(東京)を、紀ノ国屋の新業態「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」(東京)をそれぞれオープンしました。また、2019年11月から12月にかけて「エキュート大宮」(埼玉)をリニューアルしました。
しかしながら、台風第19号の影響や工事支障による閉店の影響などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.2%減の4,330億円となり、営業利益は前年同期比5.9%減の283億円となりました。
③ 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、土浦駅ビルの改装を進め、日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)にレストランゾーンや物販店舗等を新たに開業しました。また、「エスパル仙台」(宮城)本館「エキチカキッチン」エリアを2019年4月にリニューアル開業しました。さらに、旧社宅および旧寮をリノベーションにより利活用した住宅事業の「リエットガーデン三鷹」(東京)について、2019年7月にまちびらきを実施しました。加えて、2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)を開業しました。そのほか、2019年10月に「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」(東京)、2019年11月に「JR東日本ホテルメッツ 東京ベイ新木場」(東京)を開業しました。
この結果、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2.2%増の2,838億円となり、営業利益は前年同期比0.8%増の670億円となりました。
④ その他
Suica電子マネーについては、タクシーや飲食店への加盟店開拓を継続して行いました。また、「JRE POINT」の会員拡大をめざしたキャンペーンを行うとともに、積極的に宣伝展開を行い、電子マネーの利用促進に向け取り組みました。この結果、Suica等交通系電子マネーの月間利用件数は、2019年12月に2億5,261万件となり、過去最高となりました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比7.5%増の1,771億円となり、営業利益は前年同期比11.2%増の151億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
(注) 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
② 収入実績
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当社グループは、グループ理念およびグループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、安全を引き続き経営のトッププライオリティに位置づけ、お客さまの「信頼」を高めていくとともに、技術と情報を中心にネットワークの力を高め、お客さまや地域の皆さまの「心豊かな生活」を実現していきます。
さらなる人口減少や自動運転等の技術革新など、当社グループをめぐる経営環境は大きく変化していますが、時代を先取りしたさまざまなイノベーションの導入や社外との積極的な連携等を進め、収益力と生産性の向上を図りながら、「鉄道起点」から「ヒト起点」にビジネスストーリーを転換し、新たな成長戦略を果敢に推進していきます。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費総額は、131億円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について、重要な変更はありません。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
① 新設
当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「東京圏主要路線ホームドア整備」について、設置エリアを拡大したため、予定総額を76,323百万円から86,451百万円に変更しております。
また、運輸事業の輸送改善等である「東海道線新橋駅改良工事」について、施工箇所が拡大したため、予定総額を23,228百万円から32,938百万円に変更しております。
② 大規模改修
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「大規模地震対策工事」について、対象エリア・設備を拡大したため、予定総額を516,186百万円から534,478百万円に変更しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結会計期間末のネット有利子負債残高は2兆9,848億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の第3四半期連結会計期間末残高を差し引いた数値であります。
当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、3兆1,685億円であります。
当社は、当第3四半期連結累計期間に国内において償還期限が2029年の無担保普通社債を100億円、償還期限が2039年の無担保普通社債を100億円、償還期限が2049年の無担保普通社債を200億円、償還期限が2059年の無担保普通社債を150億円、償還期限が2069年の無担保普通社債を200億円発行いたしました。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における当座借越残高はありません。
さらに、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、足元で一部に弱さがみられるものの、基調としては緩やかな回復傾向が続きました。このような状況の中、当社グループは、グループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、様々なチャレンジを本格的にスタートさせました。
一方、2019年10月12日に上陸した台風第19号の影響により、北陸新幹線をはじめとした運転見合わせや本数減、新幹線車両等への浸水、橋りょう流出、線路設備への土砂流入など甚大な被害がありましたが、北陸新幹線の運転本数確保をはじめ、各線区の輸送の復旧に努めてきました。
この結果、不動産・ホテル事業、運輸事業の収入が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の営業収益は前年同期比0.6%増の2兆2,666億円となりましたが、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前年同期比3.0%減の4,272億円、経常利益は前年同期比2.9%減の3,925億円となりました。また、台風第19号に係る特別損失の計上などにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比7.8%減の2,515億円となりました。
また、当第3四半期連結会計期間末の資産残高は有形固定資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ268億円増の8兆3,865億円、負債残高は未払金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,369億円減の5兆1,283億円、純資産残高は利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ1,637億円増の3兆2,581億円となりました。
○ 「信頼」を高める
[「究極の安全」の追求]
「グループ安全計画2023」のもと、一人ひとりの「安全行動」と「安全マネジメント」の進化・変革や、新たな技術を積極的に活用した安全設備の整備にグループ一体で取り組みました。
(具体的な取組み)
・実際の映像による訓練が可能なシミュレータの導入・活用を進めるなど、実践的な安全教育・訓練を実施
・首都直下地震等を想定し、対象エリア・設備を拡大したさらなる耐震補強を推進
・ホームにおける鉄道人身障害事故等を減少させるため、ホームドアの設置工事を推進し、当第3四半期連結会計期間末までに43駅(線区単位では51駅)の整備を完了
・2019年8月に発生した東北新幹線仙台~白石蔵王間での運行中のドア開扉対策として、ドアコックの状態を自動検知する機能を車両に追加する改修等に着手
・2019年12月にセキュリティレベル向上を目的とした東京駅での危険物探知犬を活用した実証実験に協力
・台風第19号による河川の氾濫等により、設備等に甚大な被害を受けたことを踏まえ、浸水対策について具体的な検討を開始
[サービス品質の改革]
「サービス品質改革中期ビジョン2020」のもと、「顧客満足度 鉄道業界No.1」の実現をめざし、輸送障害の発生防止や輸送障害時のお客さまへの影響拡大の防止などの取組みを加速しました。
(具体的な取組み)
・輸送障害の発生率を着実に減少させるため、首都圏在来線の電気設備等の強化を推進
・2019年のゴールデンウィーク期間中に発生した東北新幹線福島駅での車両故障の対策として、車両部品の交換、上越新幹線での変電所トラブルの対策として、制御装置のプログラム変更などを実施
・快適・便利な車内サービスをトータルに提供し、移動空間の価値向上を実現する株式会社JR東日本サービスクリエーションが2019年7月から事業を開始
・台風等による被害拡大を防ぐための列車の計画的な運転見合わせについて、より早期の情報提供を行うとともに、速やかな運転再開に向けた点検体制を強化
・2019年12月から英語でのTwitterアカウントによる列車運行情報の配信を開始
[ESG経営の実践]
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の観点から「ESG経営」を実践し、事業を通じて社会的な課題を解決することで、地域社会の持続的な発展に貢献するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み)
・「エコステ」モデル駅として、小海線野辺山駅(2020年1月使用開始)、両毛線前橋駅(2020年3月使用開始予定)の整備を推進
・2020年3月に開業する「高輪ゲートウェイ駅」で、照明電力量を削減する膜屋根や、太陽光パネル、小型風力発電機などの環境保全技術を導入する準備を推進
・高輪ゲートウェイ駅前の当社用地を活用した水素ステーション設置に向けた準備を推進
・男鹿線男鹿駅でJR秋田下浜風力発電所を活用した「CO2フリー電気」の使用を2019年7月から開始
・水素をエネルギー源としたハイブリッド車両について、2021年度内の試験車両の落成と実証試験の開始に向けた準備を推進
・プラスチックの削減に向け、2020年9月末までに、エキナカやホテルなどで使用するレジ袋やストローの代替素材への置換えを推進
・2019年10月から2020年1月末まで、SDGsの理解促進と当社グループのSDGs達成に向けた取組みの紹介を目的に、山手線において「SDGsラッピングトレイン」を運行
・子育て支援施設の整備を推進(当第3四半期連結会計期間末の子育て支援施設数は累計138箇所)
・国際鉄道人材の育成に向け、第1弾として2019年4月にベトナムからの実習生を受け入れ、「JR東日本Technical Intern Training」を開始するとともに、第2弾として2019年9月にミャンマー国鉄からの実習生を受け入れ、「国際鉄道人材育成研修」を開始
・環境・社会的問題双方の解決に資するプロジェクトを資金使途とする債券であるサステナビリティボンドを2020年1月に発行するための準備を推進
○ 「心豊かな生活」を実現
[輸送サービスの質的変革]
輸送サービスを質的に変革するとともに、観光振興やインバウンド戦略を進め、交流人口のさらなる拡大に取り組みました。
(具体的な取組み)
・次世代新幹線の実現に向けて、2019年5月に試験車両「ALFA-X(アルファエックス)」を落成し、走行試験を開始
・羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きに着手
・上越新幹線大宮~新潟間の所要時間の短縮に向け、2019年5月から地上設備の測量および騒音対策等の工事に着手
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」に合わせ、2019年10月から新観光列車「海里」の運行を開始
・お客さまの利便性向上と沿線価値向上のため、相鉄線からJR線を経由して新宿方面へ直通する相鉄・JR直通線を2019年11月に開業
・伊豆エリアの「本物の魅力」を発信する観光特急列車「サフィール踊り子」を2020年3月から運行するための準備を推進
・中国最大規模のオンライン旅行会社Trip. com Group Limitedとの戦略的提携に基づき、2019年9月に外国人向け商品の販売エリアを拡大したことに続き、2019年12月から中国市場をターゲットとした冬の東北への送客プロモーションを実施
・2020年3月の常磐線富岡~浪江間における運転再開に向けた復旧工事を推進するとともに、常磐線一部区間で新たにSuica利用が可能なエリアを拡大する準備を推進
・気仙沼線・大船渡線BRTにおいて、専用道の延伸等により所要時間を短縮
[くらしづくり(まちづくり)]
ターミナル駅開発を推進するとともに、地方中核駅を中心としたまちづくりや6次産業化などの取組みを地域の皆さまと一体となって進めました。
(具体的な取組み)
・品川開発プロジェクト(第Ⅰ期)について2019年4月に都市計画決定、2024年頃のまちびらきに向けて計画を推進
・2020年3月の「高輪ゲートウェイ駅」開業に際し、AIを活用した案内ロボット等、最新技術を用いた駅サービス設備の試行導入に向けた準備を推進
・無人AI決済店舗の事業化に向け、2019年7月に子会社であるJR東日本スタートアップ株式会社がサインポスト株式会社と共同で株式会社TOUCH TO GOを設立するとともに、「高輪ゲートウェイ駅」で常設店舗を開業するための準備を推進
・さらなるオープンイノベーションの推進に向けた「JR東日本スタートアッププログラム2019」で21件の提案を採択し、実証実験等を順次開始
・エキナカ等でのシェアオフィス事業「STATION WORK」を2019年8月に東京駅、新宿駅、立川駅、2019年9月に池袋駅で開始するとともに、ワークスタイルに応じて座席を選べるシェアオフィス「STATION DESK」1号店を2019年11月に東京駅に開業
・秋田駅を中心としたまちづくりを進め、2019年12月にスポーツ施設「秋田ノーザンゲートスクエア」(秋田)の使用を開始
・仙台市の東日本大震災跡地に体験型大規模観光果樹園を2020年度末に営業開始するための準備を推進
・日本郵便株式会社と連携し、長野県や秋田県で採れた新鮮な農産物を首都圏の駅まで運ぶ物流トライアルを実施するとともに、2020年8月から内房線江見駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営を実施するための準備を推進
・駅の価値最大化を目的に、2020年4月に子会社の株式会社日本レストランエンタプライズとジェイアール東日本フードビジネス株式会社を合併し、株式会社JR東日本フーズとする準備を推進
・地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、以下の主な駅ビル等の建設工事を推進
2020年4月開業予定 「WATERS takeshiba(タワー棟・パーキング)」(東京)
2020年5月開業予定 「JR横浜タワー」(神奈川)
2020年6月開業予定 「JR横浜鶴屋町ビル」(神奈川)
2020年7月開業予定 「WATERS takeshiba(シアター棟)」(東京)
2021年春全面開業予定 川崎駅西口開発計画
・10,000室を超えるホテルチェーンとなることをめざし、角館、土浦、五反田、鎌倉、竹芝、川崎、横浜、桜木町などでホテルの建設工事を推進
[Suicaの共通基盤化・MaaS推進]
JR東日本グループの共通ポイント「JRE POINT(ジェイアールイー・ポイント)」の魅力向上や他企業との積極的な連携により、あらゆる生活シーンでSuicaを利用可能とする施策を推進しました。この結果、当第3四半期連結会計期間末のSuicaの発行枚数は約8,139万枚、「JRE POINT」会員数は約1,175万人となりました。また、検索・予約・決済を一元的に提供するJR東日本型「MaaS」のサービスインに向けた取組みを推進しました。
(具体的な取組み:Suicaの共通基盤化)
・訪日外国人旅行者向けICカード「Welcome Suica」を2019年9月から販売開始
・株式会社みずほ銀行と共同で、Suicaアプリケーションへデジタル通貨をチャージする実証実験を2019年12月から開始
・「えきねっと」等のインターネット予約で新幹線をチケットレスでご利用いただける新たなIC乗車サービスを、2019年度末から開始するための準備を推進
・楽天ペイメント株式会社と「楽天ペイ」アプリ内で2020年春からSuicaを発行可能にするための準備を推進
・Suicaによる当社の鉄道利用で「JRE POINT」が貯まるサービスを、2019年10月から開始
・2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に参加するとともに、本事業に合わせ、駅ビル・エキナカにおけるキャッシュレスでの支払い時に「JRE POINT」の還元率をアップする独自キャンペーンを実施
(具体的な取組み:MaaS推進)
・「MaaS」事業戦略を一元的に企画し、スピーディに施策を推進する「MaaS事業推進部門」を2019年4月に設立
・「JR東日本アプリ」について、「ルート検索」を基本機能に追加し、わかりやすいデザインにするなど、2019年4月にサービスを一新するとともに、「徒歩ルート」や「バスルート」を検索できる経路検索機能を2019年9月にリリース
・東急株式会社等と共同で、「観光型MaaS」を実現するサービス「Izuko(イズコ)」の実証実験を伊豆エリアで2019年4月から実施するとともに、サービス内容をさらに拡充した第2期の実証実験を2019年12月から開始
・宮城県および仙台市と連携して、仙台圏における「観光型MaaS」の検討を開始
・2019年8月に全日本空輸株式会社と「MaaS」の展開および構築において連携していくことで合意
・「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」の期間に合わせ、新潟市内を中心とした「観光型MaaS」の実証実験「にいがたMaaS Trial」を2019年10月から開始
・2019年11月に、「MaaS」構築に向けた共通基盤を作り出す国際団体である「MaaS Alliance」に、日本の鉄道事業者として初めて加盟
[東京2020オリンピック・パラリンピック]
「東京2020オフィシャルパートナー(旅客鉄道輸送サービス)」として、コミュニケーションスローガン「TICKET TO TOMORROW」のもと全ての事業分野で質の高いサービスを提供し、2020年以降の社会や当社グループに「レガシー(遺産)」を引き継いでいきます。
(具体的な取組み)
・2020年春頃までの整備をめざして、競技会場周辺等の駅改良工事を推進
・大会1年前にあわせ、朝通勤時間帯の列車の増発や「スムーズビズ」の推進など、東京都等と連携し朝通勤時間の混雑緩和に向けた対策を実施したほか、医療機関と連携した暑さ対策を試行
・終電時刻の延長による深夜輸送の実施や、日中時間帯の列車の増発についての検討を推進
・鉄道のセキュリティ強化に向け、防犯カメラ等の増設およびネットワーク化による集中監視を行うとともに、社員等による警備強化や駅・列車内への防護用品配備を実施
・異常時における多言語案内を充実させるため、翻訳アプリ等のツールの活用を推進
・ラグビーワールドカップ2019日本大会期間において、競技開催にあわせた輸送力の増強、学校法人佐野学園(神田外語グループ)と連携した外国語案内の充実、会場最寄り駅を中心とした案内体制の強化を実施
・共生社会の実現に向けて、公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンターと連携し、各種イベントでの義足体験等を実施
・駅の案内体制の強化を目的として、当社社員が総力を挙げて競技会場最寄り駅や首都圏ターミナル駅で、大会期間中にお客さまのご案内を行うための準備を推進
・大会期間にあわせ、首都圏から東北、信越等への誘客を目的とした「JR EAST Welcome Rail Pass 2020」を販売するための準備を推進
[世界を舞台に]
それぞれの国のニーズに合わせて、より豊かなライフスタイルを提供していくことをめざし、世界を舞台に輸送サービスおよび生活サービスを展開しました。
(具体的な取組み)
・三井物産株式会社の現地子会社と共同で、当社の現地子会社がシンガポールのチャンギ空港内に飲食・物販複合型店舗「JW360°(ジェイダブリュー・スリーシックスティ)」を2019年4月に開業
・英国ウェストミッドランズトレインズの鉄道駅で、自動販売機事業のトライアルを2019年7月から開始
・シンガポールのビジネス中心部において、現地に進出した日系企業向けの交流プラットフォーム「One&Co(ワンアンドコー)」を2019年8月に開業
・当社の現地子会社等が、シンガポールのトムソン・イーストコースト線におけるエキナカ商業権を2019年8月に獲得
・JR東日本グループとして海外初出店となる「ホテルメトロポリタン プレミア 台北」(台湾台北市)を2021年初に開業するための準備を推進
○ 「社員・家族の幸福」を実現
「変革 2027」がめざす持続的成長の基盤となるグループ全社員の働きがいの創出に向け、「業務改革」、「働き方改革」、「職場改革」を進め、経営体質の強化と「社員・家族の幸福」の実現に取り組みました。
(具体的な取組み)
・新幹線における安全・サービス品質のさらなるレベルアップをめざし、業務を一元的・専門的に統括する「新幹線統括本部」を2019年4月に設立
・社員一人ひとりの健康と活力の向上をめざし、「健康経営中期ビジョン2023」を2019年4月に策定
・2019年4月に策定した新たな「一般事業主行動計画」に基づき、女性用設備の全職場への整備や、事業所内保育所のさらなる利便性向上など、女性の活躍および仕事と育児の両立支援を推進
・社員の多様な意欲を柔軟に受け止め、一人ひとりの社員が様々なフィールドでより一層活躍し、成長していくことを目的とした新たなジョブローテーションを2020年4月から実施するための準備を推進
・「変革 2027」の実現をめざし、新たな気持ちでチャレンジするシンボルとして、2020年5月から接客制服をリニューアルするための準備を推進
・育児・介護関連等の休暇をさらに充実するとともに、一部の現業機関へフレックスタイム制を導入する等、働き方改革による働きがい向上のための制度の改正を2020年度に実施するための準備を推進
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送のレベルアップに最重点で取り組むとともに、鉄道を中心とした輸送ネットワークの利用促進策を展開して収入確保に努めました。具体的には、交流人口の拡大を目的に「静岡デスティネーションキャンペーン」、「新潟県・庄内エリア デスティネーションキャンペーン」等の各種キャンペーンを開催しました。また、常磐線に新駅「Jヴィレッジ駅」を2019年4月に開業しました。さらに、ゴールデンウィーク10連休やお盆期間において臨時列車の増発や需要喚起のための商品を設定するなど、需要の取込みに努めました。2019年10月の消費税率引上げに伴う運賃改定に向けては、システム改修やお客さまへのわかりやすいご案内などを実施しました。加えて、台風第19号により大きな被害を受けた北陸新幹線については、車両の柔軟な運用等により、輸送力の確保に努めました。そのほか、大型台風被害により落ち込んだ観光需要の回復を目的として「旅をチカラに!キャンペーン」等を実施しました。
これらに加え、株式会社総合車両製作所の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比0.4%増の1兆6,074億円となりましたが、当社の物件費の増加などに伴い営業費用が増加したことにより、営業利益は前年同期比3.9%減の3,168億円となりました。
② 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、「くらしづくり(まちづくり)」に取り組み、既存事業の価値向上を図りました。具体的には、「グランスタ」(東京)において2019年4月に新規店舗のオープンおよび既存店舗のリニューアルを行い、さらに2019年7月に新規店舗をオープンしました。また、新潟県産の甘エビや岩手県産の生ウニを当社の新幹線で輸送し、「エキュート品川」(東京)の鮮魚店で販売する実証実験を2019年6月に実施しました。さらに、日本郵便株式会社等と連携し、くらしづくりをワンストップで実現するエリア「JJ+T(ジェイジェイプラスティー)」を2019年5月に「エキュート立川」(東京)に開業しました。加えて、コンビニエンスストア「NewDays(ニューデイズ)」で初の、レジに店員を配置しない、セルフレジを活用したキャッシュレス店舗を武蔵境駅で2019年7月にオープンしました。そのほか、2019年11月に、エキナカ商業施設「エキュート」の新業態「エキュートエディション 渋谷」(東京)を、紀ノ国屋の新業態「Gourmand Market(グルマン マーケット) KINOKUNIYA 渋谷スクランブルスクエア店」(東京)をそれぞれオープンしました。また、2019年11月から12月にかけて「エキュート大宮」(埼玉)をリニューアルしました。
しかしながら、台風第19号の影響や工事支障による閉店の影響などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1.2%減の4,330億円となり、営業利益は前年同期比5.9%減の283億円となりました。
③ 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、地域とともに街の魅力や価値を高めていくため、首都圏などの大規模ターミナル駅をはじめ、沿線や駅周辺において、「くらしづくり(まちづくり)」を意識した開発を進めました。具体的には、土浦駅ビルの改装を進め、日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(茨城)にレストランゾーンや物販店舗等を新たに開業しました。また、「エスパル仙台」(宮城)本館「エキチカキッチン」エリアを2019年4月にリニューアル開業しました。さらに、旧社宅および旧寮をリノベーションにより利活用した住宅事業の「リエットガーデン三鷹」(東京)について、2019年7月にまちびらきを実施しました。加えて、2019年11月に「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」(東京)を開業しました。そのほか、2019年10月に「JR東日本ホテルメッツ 秋葉原」(東京)、2019年11月に「JR東日本ホテルメッツ 東京ベイ新木場」(東京)を開業しました。
この結果、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2.2%増の2,838億円となり、営業利益は前年同期比0.8%増の670億円となりました。
④ その他
Suica電子マネーについては、タクシーや飲食店への加盟店開拓を継続して行いました。また、「JRE POINT」の会員拡大をめざしたキャンペーンを行うとともに、積極的に宣伝展開を行い、電子マネーの利用促進に向け取り組みました。この結果、Suica等交通系電子マネーの月間利用件数は、2019年12月に2億5,261万件となり、過去最高となりました。
海外鉄道プロジェクトへの参画については、子会社の日本コンサルタンツ株式会社が「インド国高速鉄道建設事業詳細設計調査」のコンサルティング業務に取り組むとともに、インド高速鉄道公社から受注した研修施設の施工監理業務を推進しました。
これらに加え、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比7.5%増の1,771億円となり、営業利益は前年同期比11.2%増の151億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としております。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
① 輸送実績
| 区分 | 単位 | 前第3四半期累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | 当第3四半期累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | |||
| 営業日数 | 日 | 275 | 275 | |||
| 新幹線 | キロ | 1,194.2 | 1,194.2 | |||
| 営業キロ | 在来線 | 〃 | 6,262.9 | 6,207.5 | ||
| 計 | 〃 | 7,457.1 | 7,401.7 | |||
| 定期 | 千人 | 3,073,817 | 3,100,032 | |||
| 輸送人員 | 定期外 | 〃 | 1,900,957 | 1,907,831 | ||
| 計 | 〃 | 4,974,774 | 5,007,863 | |||
| 輸 送 人 キ ロ | 定期 | 千人キロ | 1,376,147 | 1,426,466 | ||
| 新幹線 | 定期外 | 〃 | 16,705,898 | 16,584,738 | ||
| 計 | 〃 | 18,082,046 | 18,011,204 | |||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 54,300,185 | 54,575,768 | ||
| 関東圏 | 定期外 | 〃 | 28,006,663 | 28,100,374 | ||
| 計 | 〃 | 82,306,848 | 82,676,143 | |||
| 定期 | 〃 | 2,377,528 | 2,359,905 | |||
| その他 | 定期外 | 〃 | 1,974,399 | 1,966,069 | ||
| 計 | 〃 | 4,351,928 | 4,325,975 | |||
| 定期 | 〃 | 56,677,713 | 56,935,674 | |||
| 計 | 定期外 | 〃 | 29,981,063 | 30,066,444 | ||
| 計 | 〃 | 86,658,777 | 87,002,118 | |||
| 定期 | 〃 | 58,053,861 | 58,362,140 | |||
| 合計 | 定期外 | 〃 | 46,686,961 | 46,651,182 | ||
| 計 | 〃 | 104,740,823 | 105,013,323 | |||
(注) 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。
② 収入実績
| 区分 | 単位 | 前第3四半期累計期間 (自 2018年4月1日 至 2018年12月31日) | 当第3四半期累計期間 (自 2019年4月1日 至 2019年12月31日) | |||
| 旅 客 運 輸 収 入 | 定期 | 百万円 | 18,616 | 19,284 | ||
| 新幹線 | 定期外 | 〃 | 433,601 | 433,566 | ||
| 計 | 〃 | 452,217 | 452,851 | |||
| 在来線 | 定期 | 〃 | 351,017 | 352,786 | ||
| 関東圏 | 定期外 | 〃 | 551,452 | 547,908 | ||
| 計 | 〃 | 902,470 | 900,695 | |||
| 定期 | 〃 | 14,137 | 14,053 | |||
| その他 | 定期外 | 〃 | 39,220 | 38,762 | ||
| 計 | 〃 | 53,358 | 52,816 | |||
| 定期 | 〃 | 365,155 | 366,840 | |||
| 計 | 定期外 | 〃 | 590,673 | 586,671 | ||
| 計 | 〃 | 955,828 | 953,511 | |||
| 定期 | 〃 | 383,771 | 386,124 | |||
| 合計 | 定期外 | 〃 | 1,024,274 | 1,020,238 | ||
| 計 | 〃 | 1,408,046 | 1,406,362 | |||
| 荷物収入 | 〃 | 46 | 36 | |||
| 合計 | 〃 | 1,408,092 | 1,406,398 | |||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 4,811 | 5,013 | |||
| 運輸雑収 | 〃 | 121,430 | 121,122 | |||
| 収入合計 | 〃 | 1,534,334 | 1,532,534 | |||
(2) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当社グループは、グループ理念およびグループ経営ビジョン「変革 2027」のもと、安全を引き続き経営のトッププライオリティに位置づけ、お客さまの「信頼」を高めていくとともに、技術と情報を中心にネットワークの力を高め、お客さまや地域の皆さまの「心豊かな生活」を実現していきます。
さらなる人口減少や自動運転等の技術革新など、当社グループをめぐる経営環境は大きく変化していますが、時代を先取りしたさまざまなイノベーションの導入や社外との積極的な連携等を進め、収益力と生産性の向上を図りながら、「鉄道起点」から「ヒト起点」にビジネスストーリーを転換し、新たな成長戦略を果敢に推進していきます。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費総額は、131億円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について、重要な変更はありません。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更があったものは、次のとおりであります。
① 新設
当第3四半期連結累計期間に完了した主要な設備の新設は次のとおりであります。
| 件名 | 総工事費(百万円) | 完了年月 |
| 運輸事業 | ||
| 車両新造 | 58,936 | 2019年12月 |
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「東京圏主要路線ホームドア整備」について、設置エリアを拡大したため、予定総額を76,323百万円から86,451百万円に変更しております。
また、運輸事業の輸送改善等である「東海道線新橋駅改良工事」について、施工箇所が拡大したため、予定総額を23,228百万円から32,938百万円に変更しております。
② 大規模改修
当第3四半期連結累計期間において、運輸事業の安全・安定輸送対策である「大規模地震対策工事」について、対象エリア・設備を拡大したため、予定総額を516,186百万円から534,478百万円に変更しております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結会計期間末のネット有利子負債残高は2兆9,848億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の第3四半期連結会計期間末残高を差し引いた数値であります。
当第3四半期連結会計期間末の有利子負債残高は、3兆1,685億円であります。
当社は、当第3四半期連結累計期間に国内において償還期限が2029年の無担保普通社債を100億円、償還期限が2039年の無担保普通社債を100億円、償還期限が2049年の無担保普通社債を200億円、償還期限が2059年の無担保普通社債を150億円、償還期限が2069年の無担保普通社債を200億円発行いたしました。
また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,300億円の当座借越枠を設定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における当座借越残高はありません。
さらに、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しております。