有価証券報告書-第38期(2024/04/01-2025/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しました。
このような状況の中、当社グループは、「安全」を経営のトッププライオリティに位置づけ、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」、「成長の基盤となる戦略の推進」及び「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速しました。
「究極の安全」の追求に向けて、「グループ安全計画2028」のもと、「本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る」をテーマに掲げ、「お客さまの死傷事故ゼロ、社員の死亡事故ゼロ」を実現するため、グループ一体で安全の基盤を強固にし、安全を先取る取組みを進めました。安全対策では、高架橋柱や電化柱の耐震補強及び新幹線車両の逸脱防止対策などの大規模地震対策に取り組んだほか、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアなどの整備を進めました。
「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」では、モビリティ分野において、北陸新幹線・敦賀延伸を契機に利便性が高まった北陸エリアや、新型車両E8系を投入した山形新幹線沿線をはじめ東北エリアを中心に、首都圏と地方の双方向の観光流動の創造を推進しました。また、中央線快速・青梅線でのグリーン車サービスを開始するなど、当社エリアにおけるお客さまの流動促進と収益の拡大に取り組みました。生活ソリューション分野においては、新たなビジネス戦略により利益拡大をめざす「Beyond the Border」を策定し、不動産回転型ビジネスの加速を目的としたJR東日本不動産㈱の設立や「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきを実施しました。また、「JRE BANK」による金融サービスを開始したほか、2024年12月に公表した「Suicaの当たり前を超えます~Suica Renaissance~」に基づき、訪日外国人向けアプリ「Welcome Suica Mobile」のリリースや長野県内の23駅でのSuica利用駅の拡大を行いました。
「経営体質の抜本的強化(構造改革)」では、常磐線(各駅停車)や南武線においてワンマン運転を実施したほか、新幹線モニタリング車やドローンを活用するなど、スマートメンテナンスの取組みを推進しました。また、より多くのお客さまにご利用いただけるよう、2024年10月1日発売分より「オフピーク定期券」を通常の通勤定期券より約15%割安な価格に値下げしました。一方で、今後も鉄道事業をサステナブルに運営していくため、会社発足以来初めてとなる運賃改定を申請しました。さらに、地域の状況に即した社会課題の解決への貢献、感動の創造、究極の安全の追求やサービス品質の向上、より柔軟な働き方を実現するため、駅と乗務員職場が一体となった統括センターの設置を進め、系統間や第一線の職場と企画部門における融合と連携を推進しました。
「成長の基盤となる戦略の推進」では、人材戦略において、新卒初任給の引上げや仕事と育児・介護の両立支援の拡充など、社員の意欲と多様な働き方に応える柔軟な制度・環境の整備を進めました。DX・知的財産戦略においては、戦略的な知的財産の取得・活用等を推進するとともに、Well-being実現に向けたWaaS共創コンソーシアムの取組みなど、オープンイノベーションによる社外との連携を進めました。財務・投資戦略においては、連結キャッシュ・フロー経営の実現に向けて、当社グループが展開する幅広い事業を14のビジネスに区分し、ビジネスごとの戦略の策定・実行を推進しました。
「ESG経営の実践」では、引き続き「ゼロカーボン・チャレンジ2050」の達成に向けて、「脱炭素社会」への貢献と環境優位性のさらなる向上に取り組みました。環境については、資源循環事業コンセプト「UPCYCLING CIRCULAR」を策定し、グループから発生した廃棄物の再資源化に取り組みました。また、社会については、共生社会の実現に向け、社員のサービス介助士資格取得の推進やパラスポーツ(ボッチャ)への支援を継続したほか、株式会社ヘラルボニーと連携し、福祉・アートとまちづくりを組み合わせた新たな価値創出に取り組みました。企業統治については、「JR東日本グループカスタマーハラスメントに対する方針」の策定と公表を通じて、グループ社員が安心して働くことができる環境の整備に努めました。また、企業の社会的責任の一つである納税を適切に行っていくとともに、税務リスクを適切に管理し、企業価値の向上をめざすため、「税の透明性に関するグループ方針」を策定・公表しました。
今後も、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けてグループ一体で取り組みます。
当連結会計年度の決算については、鉄道の利用増やエキナカ店舗の売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、営業収益は前期比5.8%増の2兆8,875億円となりました。また、これに伴って営業利益は前期比9.2%増の3,767億円、経常利益は前期比8.4%増の3,215億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比14.2%増の2,242億円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
従来、セグメント別の状況の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替額を含めた金額を用いていましたが、当連結会計年度より外部顧客への売上高の金額に変更しています。なお、営業利益への影響はありません。
a 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送及びサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。
この結果、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどにより、売上高は前期比5.1%増の1兆9,457億円となり、営業利益は前期比8.8%増の1,760億円となりました。
b 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、駅を交通の拠点からヒト・モノ・コトがつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Stations 構想」などを推進しました。
この結果、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.6%増の3,937億円となり、営業利益は前期比15.0%増の605億円となりました。
c 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進し、地域とともに街の魅力を高めました。
この結果、お客さまのご利用増に伴い、ショッピングセンターやホテルの売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.5%増の4,454億円となり、営業利益は前期比9.0%増の1,203億円となりました。
d その他
その他の事業では、Suicaの利用シーンのさらなる拡大と、シームレスでストレスフリーな移動を実現することに加え、「生活のデバイス」への進化を通じた新たな体験価値の創造に向けて「Suicaの当たり前を超えます~Suica Renaissance~」を推進しました。
この結果、システム受託開発の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比12.6%増の1,025億円となり、営業利益は前期比4.7%増の229億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)及び「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としています。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
輸送実績
(注)1 乗車効率は次の方法により算出しています。
2 「関東圏」とは、当社首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社及び千葉支社管内の範囲であります。
収入実績
(注) 当社は、モビリティと生活ソリューションの二軸の経営体制をめざす中で、高架下空間利活用を不動産事業として再定義し、従来「鉄道事業」に区分していた高架下貸付業を「関連事業」として位置づけることに変更いたしました。これに伴い、第37期において「運輸雑収」に含めて表示していた高架下貸付業の収益11,116百万円を鉄道事業の収入実績より減額して表示しています。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ441億円増の7,322億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ927億円増の7,834億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、流入額は前連結会計年度に比べ624億円減の36億円となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ473億円減の2,334億円となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆7,218億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社及び当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態です。
なお、販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ショッピングセンター、ホテルの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、前期比5.8%増の2兆8,875億円(対4月業績予想355億円増)となりました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比5.1%増の1兆9,457億円(対4月業績予想107億円増)となりました。
これは、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどによるものであります。
新幹線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比6.8%増の226億人キロとなりました。定期収入は前期比5.0%増の236億円、定期外収入は前期比8.7%増の5,596億円となり、全体では前期比8.5%増の5,833億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比3.1%増の962億人キロとなりました。定期収入は前期比2.5%増の3,881億円、定期外収入は前期比4.8%増の7,321億円となり、全体では前期比4.0%増の1兆1,202億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比5.0%増の53億人キロとなりました。定期収入は前期比0.6%増の166億円、定期外収入は前期8.0%増の486億円となり、全体では前期比6.0%増の652億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
流通・サービス事業では、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、前期比6.6%増の3,937億円(対4月業績予想67億円増)となりました。
不動産・ホテル事業では、お客さまのご利用増に伴い、ショッピングセンターやホテルの売上が増加したことなどにより、前期比6.5%増の4,454億円(対4月業績予想164億円増)となりました。
その他の事業では、システム受託開発の売上が増加したことなどにより、前期比12.6%増の1,025億円(対4月業績予想15億円増)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比5.3%増の2兆5,107億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の87.4%に対し、当連結会計年度は87.0%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比5.2%増の1兆8,555億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比5.4%増の6,552億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比9.2%増の3,767億円(対4月業績予想67億円増)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の12.6%に対し、当連結会計年度は13.0%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比4.1%減の279億円となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比7.0%増の832億円となりました。これは、支払利息が増加したことなどによるものであります。
○ 経常利益
経常利益は、前期比8.4%増の3,215億円(対4月業績予想65億円増)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の10.9%に対し、当連結会計年度は11.1%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比11.1%増の451億円となりました。これは、投資有価証券売却益が増加したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比9.9%増の693億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が増加したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比8.5%増の2,972億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の10.0%に対し、当連結会計年度は10.3%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比14.2%増の2,242億円(対4月業績予想142億円増)となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の173.82円に対し、当連結会計年度は198.29円となりました。また、営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の7.2%に対し、当連結会計年度は7.8%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ4,027億円増の10兆1,742億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ2,697億円増の7兆3,020億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ1,329億円増の2兆8,722億円となりました。
運輸事業においては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央線快速グリーン車の導入に伴う工事などに4,302億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は7兆3,095億円となりました。
流通・サービス事業においては、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに295億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は4,026億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「TAKANAWA GATEWAY CITY」や「OIMACHI TRACKS」、「渋谷スクランブルスクエア」建設工事など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに3,293億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は2兆2,979億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに367億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆2,685億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ441億円の資金の増加となり、7,322億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加などによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ927億円の資金の減少となり、7,834億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央線快速グリーン車の導入などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「TAKANAWA GATEWAY CITY」や「OIMACHI TRACKS」、「渋谷スクランブルスクエア」建設工事など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設等の設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ486億円の資金の減少となり、511億円の流出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ624億円の資金の減少となり、36億円の流入となりました。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,808億円から473億円減少し、2,334億円となりました。
b 財務政策
グループ経営ビジョン「変革 2027」の早期実現に向けて、設備投資に関して、成長投資においては、収益力向上や生産性向上に資する投資を積極的に実施します。維持更新投資においては、大規模地震対策やホームドア整備など安全のレベルアップに資する投資を引き続き着実に進めるとともに、安全の確保を大前提とした投資の選択と集中を徹底します。さらに、「脱炭素社会」実現などの社会的課題の解決、地域社会など多様なステークホルダーへの貢献、長期的視点での生産性向上や業務変革をめざし、地方創生やDXなどの設備投資を厳選して実施します。2023年度から2027年度まで総額3兆8,900億円の投資を計画しています。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしています。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としています。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを中期的に5倍程度、長期的に3.5倍程度とすることをめざしています。
「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆7,218億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は4兆9,553億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,829億円となりました。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めています。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しています。
当社は、健全な財務体質の維持・向上及び十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っています。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っています。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制及び平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っています。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2034年から2045年の間とする4本の無担保普通社債を総額490億円発行しました。これらの社債については、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しています。また、海外において償還期限を2036年及び2054年とする2本の無担保普通社債を総額7億ユーロ(1,127億円)及び6億ポンド(1,146億円)発行しました。これらの社債は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりA+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりA1の長期債格付けを取得しています。その他、金融機関から1,386億円の長期資金を借り入れました。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,065億円であります。
このほか、当連結会計年度末現在、東京モノレール㈱が1億円の鉄道施設購入長期未払金を有しています。
短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,600億円の当座借越枠を設定しています。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、株式会社日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しています。なお、当連結会計年度末における当座借越残高及びコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。さらに、当連結会計年度末現在、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定していますが、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。
a 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
b 固定資産の減損
固定資産の減損に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
c 退職給付債務の見積り
従業員の退職給付債務は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っています。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合又は前提条件の変更があった場合は、翌連結会計年度の退職給付債務の見積りに影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しました。
このような状況の中、当社グループは、「安全」を経営のトッププライオリティに位置づけ、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」、「成長の基盤となる戦略の推進」及び「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速しました。
「究極の安全」の追求に向けて、「グループ安全計画2028」のもと、「本質をふまえ、想定外も想像して安全を先取る」をテーマに掲げ、「お客さまの死傷事故ゼロ、社員の死亡事故ゼロ」を実現するため、グループ一体で安全の基盤を強固にし、安全を先取る取組みを進めました。安全対策では、高架橋柱や電化柱の耐震補強及び新幹線車両の逸脱防止対策などの大規模地震対策に取り組んだほか、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアなどの整備を進めました。
「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」では、モビリティ分野において、北陸新幹線・敦賀延伸を契機に利便性が高まった北陸エリアや、新型車両E8系を投入した山形新幹線沿線をはじめ東北エリアを中心に、首都圏と地方の双方向の観光流動の創造を推進しました。また、中央線快速・青梅線でのグリーン車サービスを開始するなど、当社エリアにおけるお客さまの流動促進と収益の拡大に取り組みました。生活ソリューション分野においては、新たなビジネス戦略により利益拡大をめざす「Beyond the Border」を策定し、不動産回転型ビジネスの加速を目的としたJR東日本不動産㈱の設立や「TAKANAWA GATEWAY CITY」のまちびらきを実施しました。また、「JRE BANK」による金融サービスを開始したほか、2024年12月に公表した「Suicaの当たり前を超えます~Suica Renaissance~」に基づき、訪日外国人向けアプリ「Welcome Suica Mobile」のリリースや長野県内の23駅でのSuica利用駅の拡大を行いました。
「経営体質の抜本的強化(構造改革)」では、常磐線(各駅停車)や南武線においてワンマン運転を実施したほか、新幹線モニタリング車やドローンを活用するなど、スマートメンテナンスの取組みを推進しました。また、より多くのお客さまにご利用いただけるよう、2024年10月1日発売分より「オフピーク定期券」を通常の通勤定期券より約15%割安な価格に値下げしました。一方で、今後も鉄道事業をサステナブルに運営していくため、会社発足以来初めてとなる運賃改定を申請しました。さらに、地域の状況に即した社会課題の解決への貢献、感動の創造、究極の安全の追求やサービス品質の向上、より柔軟な働き方を実現するため、駅と乗務員職場が一体となった統括センターの設置を進め、系統間や第一線の職場と企画部門における融合と連携を推進しました。
「成長の基盤となる戦略の推進」では、人材戦略において、新卒初任給の引上げや仕事と育児・介護の両立支援の拡充など、社員の意欲と多様な働き方に応える柔軟な制度・環境の整備を進めました。DX・知的財産戦略においては、戦略的な知的財産の取得・活用等を推進するとともに、Well-being実現に向けたWaaS共創コンソーシアムの取組みなど、オープンイノベーションによる社外との連携を進めました。財務・投資戦略においては、連結キャッシュ・フロー経営の実現に向けて、当社グループが展開する幅広い事業を14のビジネスに区分し、ビジネスごとの戦略の策定・実行を推進しました。
「ESG経営の実践」では、引き続き「ゼロカーボン・チャレンジ2050」の達成に向けて、「脱炭素社会」への貢献と環境優位性のさらなる向上に取り組みました。環境については、資源循環事業コンセプト「UPCYCLING CIRCULAR」を策定し、グループから発生した廃棄物の再資源化に取り組みました。また、社会については、共生社会の実現に向け、社員のサービス介助士資格取得の推進やパラスポーツ(ボッチャ)への支援を継続したほか、株式会社ヘラルボニーと連携し、福祉・アートとまちづくりを組み合わせた新たな価値創出に取り組みました。企業統治については、「JR東日本グループカスタマーハラスメントに対する方針」の策定と公表を通じて、グループ社員が安心して働くことができる環境の整備に努めました。また、企業の社会的責任の一つである納税を適切に行っていくとともに、税務リスクを適切に管理し、企業価値の向上をめざすため、「税の透明性に関するグループ方針」を策定・公表しました。
今後も、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けてグループ一体で取り組みます。
当連結会計年度の決算については、鉄道の利用増やエキナカ店舗の売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、営業収益は前期比5.8%増の2兆8,875億円となりました。また、これに伴って営業利益は前期比9.2%増の3,767億円、経常利益は前期比8.4%増の3,215億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比14.2%増の2,242億円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
従来、セグメント別の状況の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替額を含めた金額を用いていましたが、当連結会計年度より外部顧客への売上高の金額に変更しています。なお、営業利益への影響はありません。
a 運輸事業
運輸事業では、安全・安定輸送及びサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。
この結果、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどにより、売上高は前期比5.1%増の1兆9,457億円となり、営業利益は前期比8.8%増の1,760億円となりました。
b 流通・サービス事業
流通・サービス事業では、駅を交通の拠点からヒト・モノ・コトがつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Stations 構想」などを推進しました。
この結果、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.6%増の3,937億円となり、営業利益は前期比15.0%増の605億円となりました。
c 不動産・ホテル事業
不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進し、地域とともに街の魅力を高めました。
この結果、お客さまのご利用増に伴い、ショッピングセンターやホテルの売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.5%増の4,454億円となり、営業利益は前期比9.0%増の1,203億円となりました。
d その他
その他の事業では、Suicaの利用シーンのさらなる拡大と、シームレスでストレスフリーな移動を実現することに加え、「生活のデバイス」への進化を通じた新たな体験価値の創造に向けて「Suicaの当たり前を超えます~Suica Renaissance~」を推進しました。
この結果、システム受託開発の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比12.6%増の1,025億円となり、営業利益は前期比4.7%増の229億円となりました。
(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)及び「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益について、各セグメントの営業利益としています。
(参考)
当社の鉄道事業の営業実績
当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。
輸送実績
| 区分 | 単位 | 第37期 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 第38期 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | |||
| 営業日数 | 日 | 366 | 365 | |||
| 営業キロ | 新幹線 | キロ | 1,194.2 | 1,194.2 | ||
| 在来線 | 〃 | 6,108.0 | 6,108.0 | |||
| 計 | 〃 | 7,302.2 | 7,302.2 | |||
| 客車走行キロ | 新幹線 | 千キロ | 532,998 | 545,760 | ||
| 在来線 | 〃 | 1,714,971 | 1,705,753 | |||
| 計 | 〃 | 2,247,969 | 2,251,514 | |||
| 輸送人員 | 定期 | 千人 | 3,331,650 | 3,404,254 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,365,793 | 2,463,348 | |||
| 計 | 〃 | 5,697,444 | 5,867,603 | |||
| 輸 送 人 キ ロ | 新幹線 | 定期 | 千人キロ | 1,670,516 | 1,758,319 | |
| 定期外 | 〃 | 19,560,252 | 20,920,938 | |||
| 計 | 〃 | 21,230,768 | 22,679,257 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 57,474,481 | 58,757,374 | |
| 定期外 | 〃 | 35,912,814 | 37,532,865 | |||
| 計 | 〃 | 93,387,296 | 96,290,240 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 2,763,384 | 2,768,415 | ||
| 定期外 | 〃 | 2,319,661 | 2,570,338 | |||
| 計 | 〃 | 5,083,046 | 5,338,753 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 60,237,865 | 61,525,789 | ||
| 定期外 | 〃 | 38,232,476 | 40,103,203 | |||
| 計 | 〃 | 98,470,342 | 101,628,993 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 61,908,382 | 63,284,109 | ||
| 定期外 | 〃 | 57,792,728 | 61,024,142 | |||
| 計 | 〃 | 119,701,111 | 124,308,251 | |||
| 乗車効率 | 新幹線 | % | 57.7 | 60.4 | ||
| 在来線 | 〃 | 40.9 | 42.6 | |||
| 計 | 〃 | 43.2 | 45.0 | |||
(注)1 乗車効率は次の方法により算出しています。
| 乗車効率= | 輸送人キロ | ×100 |
| 客車走行キロ×客車平均定員 |
2 「関東圏」とは、当社首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社及び千葉支社管内の範囲であります。
収入実績
| 区分 | 単位 | 第37期 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 第38期 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) | |||
| 旅 客 運 輸 収 入 | 新幹線 | 定期 | 百万円 | 22,551 | 23,683 | |
| 定期外 | 〃 | 514,875 | 559,637 | |||
| 計 | 〃 | 537,427 | 583,320 | |||
| 在来線 | 関東圏 | 定期 | 〃 | 378,800 | 388,126 | |
| 定期外 | 〃 | 698,784 | 732,136 | |||
| 計 | 〃 | 1,077,584 | 1,120,263 | |||
| その他 | 定期 | 〃 | 16,513 | 16,612 | ||
| 定期外 | 〃 | 45,054 | 48,639 | |||
| 計 | 〃 | 61,568 | 65,252 | |||
| 計 | 定期 | 〃 | 395,314 | 404,739 | ||
| 定期外 | 〃 | 743,838 | 780,776 | |||
| 計 | 〃 | 1,139,153 | 1,185,515 | |||
| 合計 | 定期 | 〃 | 417,865 | 428,422 | ||
| 定期外 | 〃 | 1,258,714 | 1,340,413 | |||
| 計 | 〃 | 1,676,580 | 1,768,836 | |||
| 荷物収入 | 〃 | 2 | 0 | |||
| 合計 | 〃 | 1,676,582 | 1,768,836 | |||
| 鉄道線路使用料収入 | 〃 | 5,389 | 5,639 | |||
| 運輸雑収 | 〃 | 155,026 | 157,821 | |||
| 収入合計 | 〃 | 1,836,998 | 1,932,296 | |||
(注) 当社は、モビリティと生活ソリューションの二軸の経営体制をめざす中で、高架下空間利活用を不動産事業として再定義し、従来「鉄道事業」に区分していた高架下貸付業を「関連事業」として位置づけることに変更いたしました。これに伴い、第37期において「運輸雑収」に含めて表示していた高架下貸付業の収益11,116百万円を鉄道事業の収入実績より減額して表示しています。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ441億円増の7,322億円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ927億円増の7,834億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、流入額は前連結会計年度に比べ624億円減の36億円となりました。
なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ473億円減の2,334億円となりました。
また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆7,218億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社及び当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態です。
なお、販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績
○ 営業収益
当連結会計年度の営業収益は、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ショッピングセンター、ホテルの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、前期比5.8%増の2兆8,875億円(対4月業績予想355億円増)となりました。
運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比5.1%増の1兆9,457億円(対4月業績予想107億円増)となりました。
これは、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどによるものであります。
新幹線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比6.8%増の226億人キロとなりました。定期収入は前期比5.0%増の236億円、定期外収入は前期比8.7%増の5,596億円となり、全体では前期比8.5%増の5,833億円となりました。
関東圏の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比3.1%増の962億人キロとなりました。定期収入は前期比2.5%増の3,881億円、定期外収入は前期比4.8%増の7,321億円となり、全体では前期比4.0%増の1兆1,202億円となりました。
関東圏以外の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比5.0%増の53億人キロとなりました。定期収入は前期比0.6%増の166億円、定期外収入は前期8.0%増の486億円となり、全体では前期比6.0%増の652億円となりました。
運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。
流通・サービス事業では、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、前期比6.6%増の3,937億円(対4月業績予想67億円増)となりました。
不動産・ホテル事業では、お客さまのご利用増に伴い、ショッピングセンターやホテルの売上が増加したことなどにより、前期比6.5%増の4,454億円(対4月業績予想164億円増)となりました。
その他の事業では、システム受託開発の売上が増加したことなどにより、前期比12.6%増の1,025億円(対4月業績予想15億円増)となりました。
○ 営業費用
営業費用は、前期比5.3%増の2兆5,107億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の87.4%に対し、当連結会計年度は87.0%となりました。
運輸業等営業費及び売上原価は、前期比5.2%増の1兆8,555億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
販売費及び一般管理費は、前期比5.4%増の6,552億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。
○ 営業利益
営業利益は、前期比9.2%増の3,767億円(対4月業績予想67億円増)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の12.6%に対し、当連結会計年度は13.0%となりました。
○ 営業外損益
営業外収益は、前期比4.1%減の279億円となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期比7.0%増の832億円となりました。これは、支払利息が増加したことなどによるものであります。
○ 経常利益
経常利益は、前期比8.4%増の3,215億円(対4月業績予想65億円増)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の10.9%に対し、当連結会計年度は11.1%となりました。
○ 特別損益
特別利益は、前期比11.1%増の451億円となりました。これは、投資有価証券売却益が増加したことなどによるものであります。
特別損失は、前期比9.9%増の693億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が増加したことなどによるものであります。
○ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前期比8.5%増の2,972億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の10.0%に対し、当連結会計年度は10.3%となりました。
○ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比14.2%増の2,242億円(対4月業績予想142億円増)となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の173.82円に対し、当連結会計年度は198.29円となりました。また、営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の7.2%に対し、当連結会計年度は7.8%となりました。
b 財政状態
当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ4,027億円増の10兆1,742億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ2,697億円増の7兆3,020億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ1,329億円増の2兆8,722億円となりました。
運輸事業においては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央線快速グリーン車の導入に伴う工事などに4,302億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は7兆3,095億円となりました。
流通・サービス事業においては、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに295億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は4,026億円となりました。
不動産・ホテル事業においては、「TAKANAWA GATEWAY CITY」や「OIMACHI TRACKS」、「渋谷スクランブルスクエア」建設工事など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに3,293億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は2兆2,979億円となりました。
その他の事業においては、システム開発などに367億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆2,685億円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ441億円の資金の増加となり、7,322億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加などによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ927億円の資金の減少となり、7,834億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。
なお、設備投資の概要は以下のとおりです。
運輸事業に関しては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央線快速グリーン車の導入などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、「TAKANAWA GATEWAY CITY」や「OIMACHI TRACKS」、「渋谷スクランブルスクエア」建設工事など、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設等の設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。
また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ486億円の資金の減少となり、511億円の流出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ624億円の資金の減少となり、36億円の流入となりました。
なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,808億円から473億円減少し、2,334億円となりました。
b 財務政策
グループ経営ビジョン「変革 2027」の早期実現に向けて、設備投資に関して、成長投資においては、収益力向上や生産性向上に資する投資を積極的に実施します。維持更新投資においては、大規模地震対策やホームドア整備など安全のレベルアップに資する投資を引き続き着実に進めるとともに、安全の確保を大前提とした投資の選択と集中を徹底します。さらに、「脱炭素社会」実現などの社会的課題の解決、地域社会など多様なステークホルダーへの貢献、長期的視点での生産性向上や業務変革をめざし、地方創生やDXなどの設備投資を厳選して実施します。2023年度から2027年度まで総額3兆8,900億円の投資を計画しています。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしています。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としています。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを中期的に5倍程度、長期的に3.5倍程度とすることをめざしています。
「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆7,218億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は4兆9,553億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,829億円となりました。
当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めています。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しています。
当社は、健全な財務体質の維持・向上及び十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っています。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っています。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制及び平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っています。
当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2034年から2045年の間とする4本の無担保普通社債を総額490億円発行しました。これらの社債については、株式会社格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しています。また、海外において償還期限を2036年及び2054年とする2本の無担保普通社債を総額7億ユーロ(1,127億円)及び6億ポンド(1,146億円)発行しました。これらの社債は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社よりA+、ムーディーズ・ジャパン株式会社よりA1の長期債格付けを取得しています。その他、金融機関から1,386億円の長期資金を借り入れました。
新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,065億円であります。
このほか、当連結会計年度末現在、東京モノレール㈱が1億円の鉄道施設購入長期未払金を有しています。
短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,600億円の当座借越枠を設定しています。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、株式会社格付投資情報センターよりa-1+、株式会社日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しています。なお、当連結会計年度末における当座借越残高及びコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。さらに、当連結会計年度末現在、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定していますが、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っています。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。
a 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
b 固定資産の減損
固定資産の減損に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。
c 退職給付債務の見積り
従業員の退職給付債務は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っています。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合又は前提条件の変更があった場合は、翌連結会計年度の退職給付債務の見積りに影響を与える可能性があります。