四半期報告書-第132期第1四半期(平成30年4月1日-平成30年6月30日)

【提出】
2018/08/07 16:47
【資料】
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【項目】
27項目
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2018年4月1日から2018年6月30日までの3ヶ月間)の業績は、連結売上高4,648億円(前年同四半期5,217億円)、営業損失81億円(前年同四半期は営業利益35億円)、経常損失66億円(前年同四半期は経常利益102億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失45億円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益53億円)となりました。
(概況)
海運を取り巻く状況は、コンテナ船部門では、需要は底堅いものがありましたが、大型の新造船の竣工により船腹供給量が増加し、スポット運賃の回復はやや足踏み状態となりました。ドライバルク部門では、船腹の竣工ペースは着実にスローダウンしつつあり、かつ石炭や穀物などの荷動きも増加し、市況の緩やかな回復が続きました。非海運事業では、物流事業は堅調に推移しました。航空運送事業は引き続き荷動きは堅調で、市況は好調を維持しました。
なお、川崎汽船㈱及び㈱商船三井と定期コンテナ船事業を統合する目的で設立した事業会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD. (“ONE”)は2018年4月1日よりサービスを開始しました。ONEは持分法適用会社のため今年度より定期コンテナ船事業の売上高からONEの売上高が含まれなくなります。一方、当社においてはコンテナ船事業の終了に伴い多額の一時費用が発生しました。また、航空運送事業では当社の連結子会社である日本貨物航空㈱が機体の健全性の確認のために、運航する航空機11機全てを6月中旬から運休させました。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比568億円減(10.9%減)、営業利益は前年同四半期比116億円減、経常利益は前年同四半期比168億円減、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同四半期比99億円減となり、各段階損益において損失を計上しました。
なお、当第1四半期連結累計期間の為替レートと消費燃料油価格の変動は以下のとおりです。
前第1四半期
(3ヶ月)
当第1四半期
(3ヶ月)
差額
平均為替レート111.48円/US$108.10円/US$3.38円 円高
平均消費燃料油価格US$326.72/MTUS$395.94/MTUS$69.22 高


(注) 為替レート・消費燃料油価格とも、当社社内値です。
(セグメント別概況)
当第1四半期連結累計期間のセグメント別概況は以下のとおりです。
(単位:億円)

売上高経常利益
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額増減率前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
増減額







定期船事業1,715801△913△53.3%57△166△223
航空運送事業233217△16△7.2%7△16△24
物流事業1,1891,3041149.6%△01313
不定期専用船事業1,8892,0651759.3%2710476




不動産業1918△0△4.5%671
その他の事業3904354411.4%119△1

<定期船事業>コンテナ船部門では、2018年4月1日より事業会社ONEのサービスを開始しました。サービス開始直後は従業員のシステム習熟度の不足、業務プロセスの準備不足などにより事務手続き上のトラブルが発生しましたが、様々な改善策を実施し正常状態に戻りつつあります。上記立ち上げ時のトラブルも一因となり、北米・欧州・アジア域内航路では積高が想定を下回りました。運賃水準は、北米航路はほぼ想定通り、欧州航路では期初は想定を下回る水準でしたが、その後は回復傾向となりました。引き続きコスト削減活動の深化、統合シナジー効果の積み上げによる早期の改善に向けて取り組んでいます。
当社においては定期コンテナ船事業の終了に要する一時費用が想定以上に発生しました。国内・海外コンテナターミナルの総取扱量は前年同四半期比で減少しました。
以上の結果、定期船事業全体では損失を計上しました。また、売上高は持分法適用会社であるONEの売上高が含まれないこともあり、前年同四半期比で大きく減少しています。
<航空運送事業>航空運送事業では、当社の連結子会社である日本貨物航空㈱が過去に行った整備作業が不適切であったなどとして、2018年5月より国土交通省による立入検査を受け、7月20日に国土交通大臣より「航空輸送の安全の確保に関する事業改善命令及び業務改善命令」を受けました。機体の健全性を確認するために、6月中旬から運航する航空機11機全てを運休させたため、前年同四半期比減収となり損失を計上しました。現時点では2機が運航を再開していますが、運休している航空機については、機体の健全性が確認され次第、順次運航を再開する予定です。
<物流事業>航空貨物取扱事業及び海上貨物取扱事業は、取扱量が増加し粗利も改善しました。ロジスティクス事業は、米州の倉庫事業が収支改善を果たすなど堅調に推移しました。内航輸送事業は、需要が増加し荷動きが好調でした。
以上の結果、物流事業全体では、前年同四半期比増収となり利益を計上しました。
<不定期専用船事業>自動車輸送部門では、堅調な北米、欧州、アジア地域などへの輸送需要に着実かつ効率的な配船で対応しましたが、原油をはじめとした資源価格の低迷を背景に減少した資源国向け輸送量の回復が遅れており、完成車海上輸送台数は前年同四半期比で若干減少しました。自動車物流では、欧州やインド、東南アジアなどで既存事業を継続するとともに、トルコでの完成車専用ターミナルの建設を発表するなど、引き続き成長市場における事業拡大の検討を進めました。
ドライバルク部門は、解撤よりも新造船の竣工数が上回り、船腹量は増加しましたが、石炭や穀物などの荷動きが増加し、市況の回復傾向は維持されました。このような状況下、当社グループは長期契約の獲得に努めるとともに、効率的な運航の徹底を進めるなどのコスト削減に取り組みました。さらに、貨物の組合せや配船の工夫によりバラスト航海を減らすなど、収支の向上を図りました。
リキッド部門では、VLCC(大型タンカー)及び石油製品タンカーは、荷動きは堅調だったものの新造船の供給圧力が強く、また、LPG船は解撤が進まず依然供給圧力が強いため、それぞれ市況は悪化しました。LNG船は当第1四半期連結累計期間に新造船が2隻竣工し、安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。海洋事業においてもFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップやシャトルタンカーが順調に稼働しました。
以上の結果、不定期専用船事業全体で前年同四半期比増収増益となりました。

<不動産業、その他の事業>不動産業は、物件の売却や一部ビルの管理業務が満了となったことに伴い前年同四半期比減収となりましたが、前年度に計上した物件取得に伴う一時費用が今年度は発生しないため、増益となりました。
その他の事業では、客船事業はワールドクルーズを実施中で乗船率が上昇しましたが、舶用燃料油販売事業において粗利が低下した影響などもあり、前年同四半期比増収減益となりました。
② 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ506億円増加し、2兆1,222億円となりました。負債合計額は前連結会計年度末に比べて705億円増加し、1兆5,538億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が95億円減少し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が5,330億円となり、これに非支配株主持分352億円を加えた純資産の合計は5,683億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は2.11となりました。D/Eレシオ算定上の有利子負債は四半期連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、借入金、社債、コマーシャル・ペーパー及びリース債務を対象としています。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っています。
(2) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は178百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。