有価証券報告書

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2018/06/27 14:10
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、一部で顕著となった保護主義の連鎖や、重要選挙とこれに伴う政局の不安定化といった政治的リスク、中東や北朝鮮における地政学的リスクの高まりにさらされながらも、先進国での継続的な雇用改善をベースとして、原油など国際商品市況の緩やかな上昇にともなう資源・エネルギー部門の復調や、中国での政府主導によるインフラ投資などの景気対策効果により、総じて安定的な成長を遂げました。わが国においては、生産や輸出が堅調に推移したことにより、企業収益は過去最高の水準に到達し、個人消費や民間企業による設備投資などの国内需要や雇用・所得環境にも持ち直しがみられました。
外航ドライバルク市況につきましては、全船型において解撤ペースはスローダウンしたものの、新造船の供給圧力が抑えられたため、大型船型を中心に需給が引き締まり、過去最低の市況水準からの回復過程にあった前年度と比べ、各船型において一層の改善がみられました。一方、外航タンカー市況は、高齢船の処分が進まないなか新造船の竣工が続いたため、総じて低調に推移しました。また、内航海運市況は、一部需要低迷や荒天遭遇等の影響を受けましたが、ドライ貨物を中心に総じて安定した輸送量を確保したことから、堅調に推移しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(C重油)がトン当たり上期約334ドル、下期約374ドル、期中平均で約354ドルと、前期比では約87ドル上昇しました。また対米ドル円相場は総じて安定的に推移し、上期平均111円00銭、下期平均111円33銭、期中平均で111円17銭と前期比2円67銭の円安となりましたが、期末にかけて円高が進行しました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ42億90百万円減少し2,287億81百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ81億55百万円減少し1,480億91百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ38億65百万円増加し806億91百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は当期の連結業績は、売上高1,390億円(前期比11.0%増)、営業利益73億61百万円(前期は65億58百万円の営業利益)、経常利益55億55百万円(前期は46億7百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は66億13百万円(前期は33億22百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、主要5航路平均用船料率が春先から下落し、7月には日額6千ドル台と低迷しましたが、8月以降は、中国の旺盛な需要を背景に豪州やブラジルからの鉄鉱石出荷が増加するなか、中国や東豪州における滞船により船腹需給が引き締まり、12月には日額3万ドル台まで回復しました。このような環境下、主要荷主である新日鐵住金株式会社向けに専用船1隻が新たに竣工し、同社向け中短期輸送契約も継続的に獲得しました。また、海外顧客向け大型鉱石船の長期輸送契約により将来に向けた取組みを展開するとともに、国内外での営業活動を積極的に続けたことにより、当初の計画を達成することが出来ました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、中国向けの石炭・穀物輸送が年度を通して安定するなか、前年1月からの堅調さを持続し、秋口には平成26年以来の高値を更新、さらに年度末は南米穀物の出荷期を控えて先高感が広がりました。このような環境の下で、主要顧客向けの輸送契約を獲得し、支配船の効率配船に努めた結果、当初の計画を達成することが出来ました。
ハンディ型撒積船(2~5万重量トン型)市況は、旺盛な荷動きに支えられ8月より太平洋・大西洋両水域とも回復基調となり、総じて想定を上回る水準で推移しました。往航主力貨物である輸出鋼材は、昨年より続くアンチダンピングの影響を受けるなか、堅調な中米向け鋼材とその他方面向け集荷に努め、一定の収益を確保しました。また、復航主力貨物においても、中南米西岸積み非鉄鉱石の新規契約獲得のほか、既存長期契約及び北米積み穀物などの既存貨物を活用した効率配船により一定の収益を確保し、当初の計画を達成することが出来ました。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、主力の中国向け鋼材輸送では自動車産業向けが堅調に推移したことに加えて、中国国内の鋼材流通価格が上昇したことから鋼材輸出の荷動きは当初の想定を上回りましたが、燃料油価格の上昇、荒天による不稼動発生等により当初の計画を達成することは出来ませんでした。
VLCC(30万重量トン型原油タンカー)、VLGC(8万㎥型LPG船)については、ともに老齢船の解撤に比べて新造船の供給圧力が強く、定期貸船契約による運航船の収益安定化を図りましたが、一部契約において市況低迷の影響を免れず、当初の計画を達成することは出来ませんでした。
当社シンガポール子会社NS UNITED TANKER PTE. LTD.における外航ケミカルタンカー事業は、新規参入が相次ぎ競争が激化するなか、市況は低水準で推移しましたが、長期契約により収益が固定されていたため、当初の計画を達成することが出来ました。しかしながら、かつては有望な未開拓分野として期待されたケミカル船事業ですが、コスト競争と船舶管理の厳格化が進むなか、当社が保有する船隊規模では優位性を獲得することが困難になりました。こうした認識のもと、全所有船舶の売却を完了し、平成30年3月29日の当社取締役会にて同事業からの撤退を決議、平成31年度までに清算する予定です。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,161億77百万円(前期比12.5%増)、セグメント利益(営業利益)60億49百万円(前期は52億62百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<内航海運事業>ドライ貨物のうち、鉄鋼原料輸送は、当期における粗鋼生産量が前期並みの水準で推移するなか、石灰石専用船は台風等の荒天の影響を受け低調に推移しましたが、その他の副原料輸送を主とする一般船が国内の荷動きに支えられたことから、前期比ほぼ横這いとなりました。鋼材輸送は製造業・建設業等の実需が堅調に推移したことから、また、セメント関連貨物輸送もオリンピックや公共事業等の国内需要が増加したことから、ともに前期比で輸送量を伸ばしました。電力関連貨物やその他一般貨物の輸送量は、前期と同水準にて推移しました。このような環境下、船舶調達コストや年度後半からの原油価格高騰にともなう燃料油価格の上昇に対し、適切な船腹対策と効率運航によるコスト削減に努めることで、当初の計画を達成することが出来ました。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、瀬戸内航路では計画を上回りましたが、電化・省エネ化等の進展による需要低迷傾向に加え、北海道航路では国内ガス田の安定した湧出量を背景に転送需要が減少し、輸送量は計画を下回りました。LPG輸送は、工業用は内需低迷等の影響を受け輸送量が伸び悩みましたが、民生用は冬期需要期における需要が伸びたことにより輸送量が増加しました。このような環境の下で、効率配船・効率運航に努め、当初の計画を達成することが出来ました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は223億16百万円(前期比3.6%増)、セグメント利益(営業利益)は13億26百万円(前期は12億85百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<その他>当社グループでは、外航海運事業・内航海運事業のほかに、LPG・石油製品の陸運業等を営んでおり、業績は安定的に推移しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、157億83百万円の収入(前年同期比31億61百万円の収入減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、65億14百万円の支出(前年同期比206億26百万円の支出減)となりました。これは主に、船舶の取得による支出233億24百万円と船舶の売却による収入159億64百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、83億83百万円の支出(前年同期は106億43百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引73億90百万円の支出によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して7億91百万円増加し、272億76百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
平成27年3月期平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期
自己資本比率(%)32.434.633.035.3
時価ベースの自己資本比率(%)29.616.524.322.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)5.16.17.18.0
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)11.89.810.28.0

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期増減率(%)
外航海運事業(百万円)116,17712.5
内航海運事業(百万円)22,3163.6
報告セグメント計(百万円)138,49310.9
その他(百万円)50715.3
139,00011.0

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
新日鐵住金㈱60,37945.874,80551.2

(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,287億81百万円となり、前連結会計年度末比42億90百万円減少しました。このうち流動資産は現金及び預金、デリバティブ債権の減少に対して、売上高増加に伴う受取手形及び営業未収金の増加や短期運用の有価証券の増加等により22億87百万円増加しました。固定資産は主として船舶の売却や減価償却による減少により、65億76百万円減少しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、81億55百万円減少の1,480億91百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の増加により、68億45百万円増加しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、150億円減少しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ38億65百万円増加し、806億91百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の33.0%から当連結会計年度末は35.3%に増加しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,390億円(前期比11.0%増)、営業利益73億61百万円(前期は65億58百万円の営業利益)、経常利益55億55百万円(前期は46億7百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は66億13百万円(前期は33億22百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。これまでは、順当な市況の回復や、比較的安定した為替相場の恩恵を享受できましたが、今後は、中国の需要鈍化、急激な金融情勢の変動など、さまざまな懸念材料が混在し先行き不透明な状況です。こうした外部環境下、当社は中期経営計画の重点戦略の1つとして「安定収益事業への経営資源の集中」を掲げ、業績の下振れリスクの低減を進めています。その具体的な取り組みとして、昨年11月には大手資源会社であるVale International S.A.社と2系列目となる25年長期輸送契約を締結し、新日鐵住金㈱向け1隻を含め合計3隻の40万重量トン型鉱石船を保有・運航する計画です。また、エネルギー輸送分野においても、石炭輸送を主とするパナマックス型バルカーに加え、大型LPG輸送船を中心に輸送契約の多層化を図り、既存顧客との関係深度化に努める一方、シンガポール法人による外航ケミカルタンカー事業からの撤退を決議するなど、「選択と集中」を推し進めることで、船隊の最適化を実現してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は236億56百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は927億23百万円(既支払額121億10百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。当期末の有利子負債残高は1,257億29百万円(前期比79億78百万円減少)となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額70億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、ROE(株主資本利益率)・D/Eレシオ(負債資本倍率)の2つに着目し、前者では収益効率性の、後者では財務健全性の目安としています。平成29年度は期末D/Eレシオが計画1.55倍に対して実績1.56倍と若干の未達となったものの、ROEは計画を1.2%上回る8.4%にて着地しました。平成30年度以降の予算及び見通しでは、長期契約による収益の安定化と有利子負債の適正化により、概ね計画に近似した水準で推移することが予想され、2021年度 営業利益120億円・D/Eレシオ 1.30倍未満・ROE 10.0%超という目標の達成に向けて、引き続き鋭意取り組んでまいります。

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