有価証券報告書
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、2018年秋口までは緩やかな拡大を続けましたが、同年末から米中貿易摩擦の影響拡大や中国の成長鈍化、米国の財政・金融政策動向、英国のEU離脱を始めとする欧州情勢など、景気下振れリスクの高まりで更に不透明感を増しつつあります。わが国においても、個人消費や民間企業による設備投資など内需を中心に緩やかな回復が続く一方、企業収益の改善に足踏みがみられ、中国向けを始めとする輸出の弱含みや設備投資の伸び悩みなど先行きが懸念されています。
外航ドライバルク市況につきましては、近年の市況回復の影響で船舶の解撤ペースが大幅に鈍化する一方、新造船の供給圧力も抑えられ、同時に底堅い輸送需要にも支えられたことで、2018年末頃まで改善傾向を維持しました。しかしながらその後は米中貿易協議における不透明感や中国経済の減速懸念等が高まる中、また各種荷動きの不需要期を迎えたこともあり、市況は全船型において下落、特に大型船市況は大きく下落しました。外航タンカー市況は、市況悪化を受けて高齢船の解撤が進みましたが、本格的な回復には至らず低迷しました。内航海運市況は、一部需要低迷や荒天遭遇等の影響を受けましたが、底堅い輸送需要を受けてドライ貨物を中心に総じて安定した輸送量を確保したことから、堅調に推移しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(C重油)がトン当たり上期約429ドル、下期約464ドル、期中平均で約446ドルと、前期比では約92ドル上昇しました。また対米ドル円相場は総じて安定的に推移し、上期平均109円67銭、下期平均111円67銭、期中平均で110円67銭と前期比50銭の円高となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ47億1百万円減少し2,235億28百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ130億48百万円減少し1,344億90百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ83億47百万円増加し890億38百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,510億68百万円(前期比8.7%増)、営業利益89億11百万円(前期は73億61百万円の営業利益)、経常利益77億84百万円(前期は55億55百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億43百万円(前期は66億13百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、主要5航路平均用船料率が2018年4月に日額7千ドル台と低迷したのち、中国の鉄鋼生産増を背景とした旺盛な鉄鉱石需要により同年8月には日額2万5千ドルを超える水準へと上昇しました。しかしながら2019年に入り不需要期に加え、ブラジルでの鉱山ダム決壊事故による出荷量減少が懸念されたこと等により、同年3月には日額3千ドル台まで下落しました。このような環境下、新造船2隻が竣工したほか、主要荷主である新日鐵住金株式会社(2019年4月1日付で日本製鉄株式会社に商号変更しております。)をはじめ国内外の顧客向けに輸送契約を獲得するなど、積極的な営業活動を継続した結果、当初の計画を達成することが出来ました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、主要4航路平均用船料率が日額1万ドル強から始まり、中国向け石炭、南米積み穀物輸送需要増減を背景に騰落はありましたが、2018年11月には日額1万4千ドルを超える水準まで回復しました。その後、北米積み穀物輸送の鈍化や中国の石炭輸入規制等によって市況は低迷し、2019年1月には日額4千ドル台まで下落しました。このような環境下、国内電力・一般産業・海外顧客向けの輸送契約を獲得し、支配船の効率配船に努めた結果、当初の計画を達成することが出来ました。
ハンディ型撒積船(2~5万重量トン型)市況は、総じて安定した荷動きに支えられ、2018年末頃までは想定どおりの水準で推移しましたが、その後は穀物等の荷動き停滞、暖冬および環境規制による中国向け石炭の荷動き減退等を受けて下降局面に転じました。このような環境下、往航主力貨物である輸出鋼材においては、関税引き上げにより輸送数量が一部減少した米国向けを補うべく、中米その他方面向けの集荷に努めました。また復航主力である中南米西岸積み非鉄金属輸送においても、既存貨物を活用した効率配船等により収益確保に努めましたが、市況下落の影響を受け、当初の計画を達成することが出来ませんでした。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国の経済減速によって輸出鋼材全体の輸送量は当初の予想を下回りましたが、主力の中国向け鋼材輸送では自動車産業向けが堅調に推移したことに加え、効率配船に努めた結果、当初の目標を達成することが出来ました。
VLCC(大型原油運搬船)、VLGC(大型LPG運搬船)については、おおむね定期貸船契約により安定収益を確保していますが、一部市況連動契約において市況低迷の影響を受け、当初の計画を達成することは出来ませんでした。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,265億57百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益(営業利益)69億6百万円(前期は60億49百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<内航海運事業>ドライバルクにつきましては、鉄鋼関連輸送では夏場の台風等による荒天の影響も受け、国内粗鋼生産量は前年度を若干割り込んだものの、全般的に製造業・建設業向けの底堅い需要に支えられました。また、電力関連貨物では一定の輸送量を維持し、セメント関連貨物では一部北海道胆振東部地震の影響もありましたが、おおむね見込み通りの輸送量を確保したこと等により、事業全般としては当初の計画を達成することが出来ました。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、省エネ化の進展や暖冬などにより需要が低迷しました。LPG輸送も、化学原料用は好調な国内需要を受けたものの、民生用は暖冬の影響により、また工業用は需要が伸び悩んだことから、全体での輸送量は減少しました。このような環境下ながらも、効率配船、効率運航に努めた結果、事業全般としては当初の計画を達成することが出来ました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は242億61百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は20億20百万円(前期は13億26百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<その他>安定収益事業への経営資源集中を進めるため、当連結会計年度に、国内にてLPG・石油製品の陸運業を営んでおりました協燃運輸㈱の全株式を第三者へ譲渡しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、199億57百万円の収入(前年同期比41億74百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、50億31百万円の支出(前年同期比14億84百万円の支出減)となりました。これは主に、船舶の取得による支出183億58百万円と船舶の売却による収入134億18百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、154億91百万円の支出(前年同期比71億8百万円の支出増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引122億48百万円の支出によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して5億38百万円減少し、267億38百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,235億28百万円となり、前連結会計年度末比47億1百万円減少しました。このうち流動資産は主としてデリバティブ債権の増加により25億73百万円増加しました。固定資産は主として船舶の売却や減価償却による減少により、72億74百万円減少しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、130億48百万円減少の1,344億90百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金やデリバティブ債務の減少により、94億82百万円減少しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、35億66百万円減少しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ83億47百万円増加し、890億38百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の35.3%から当連結会計年度末は39.8%に増加しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,510億68百万円(前期比8.7%増)、営業利益89億11百万円(前期は73億61百万円の営業利益)、経常利益77億84百万円(前期は55億55百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億43百万円(前期は66億13百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。当期においては、特に2018年秋口までの市況の回復や、期中を通じて比較的安定した為替相場の恩恵を享受することができました。当社グループにおいては、主要荷主である新日鐵住金株式会社(2019年4月1日付で日本製鉄株式会社に商号変更しております。)をはじめ国内外の顧客向けに輸送契約を獲得する一方、効率的な運航に努め増収増益となりました。セグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
今後は、米中貿易摩擦の影響拡大や中国の需要鈍化、急激な金融情勢の変動などさまざまな懸念材料が混在し、先行きに対する不透明感は更に増しつつあります。2019年度においては特に2020年1月から施行される硫黄酸化物排出規制強化に伴う適合油価格の動向も注視されます。こうした外部環境下、当社は中期経営計画の重点戦略の1つとして「安定収益事業への経営資源の集中」を掲げ、業績の下振れリスクの低減を進めています。その具体的な取り組みとして、国内外の製鉄・資源会社との輸送契約を締結することにより、収益基盤の更なる拡充を図っています。2019年度後半からは、資源大手Vale International S.A.社向け25年間の長期輸送契約に投入する40万重量トン型鉱石船(Valemax)をはじめ、安定収益が期待できる新造船の竣工が本格化することにより収益力の向上が図られるとともに、海運市況下落に対する耐性が一層強化されます。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は186億2百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は936億39百万円(既支払額136億55百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。当期末の有利子負債残高は1,138億1百万円(前期比119億27百万円減少)となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額70億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、ROE(株主資本利益率)・D/Eレシオ(負債資本倍率)の2つに着目し、前者では収益効率性の、後者では財務健全性の目安としています。2018年度は期末D/Eレシオが計画1.26倍に対して実績1.28倍と若干の未達となったものの、ROEは計画を1.2%上回る11.0%となりました。2019年度以降の見通しでは、長期契約による収益の安定化と有利子負債の適正化により、概ね計画に近似した水準で推移することが予想され、2021年度 営業利益120億円・D/Eレシオ 1.30倍未満・ROE 10.0%超という目標の達成に向けて、引き続き鋭意取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、2018年秋口までは緩やかな拡大を続けましたが、同年末から米中貿易摩擦の影響拡大や中国の成長鈍化、米国の財政・金融政策動向、英国のEU離脱を始めとする欧州情勢など、景気下振れリスクの高まりで更に不透明感を増しつつあります。わが国においても、個人消費や民間企業による設備投資など内需を中心に緩やかな回復が続く一方、企業収益の改善に足踏みがみられ、中国向けを始めとする輸出の弱含みや設備投資の伸び悩みなど先行きが懸念されています。
外航ドライバルク市況につきましては、近年の市況回復の影響で船舶の解撤ペースが大幅に鈍化する一方、新造船の供給圧力も抑えられ、同時に底堅い輸送需要にも支えられたことで、2018年末頃まで改善傾向を維持しました。しかしながらその後は米中貿易協議における不透明感や中国経済の減速懸念等が高まる中、また各種荷動きの不需要期を迎えたこともあり、市況は全船型において下落、特に大型船市況は大きく下落しました。外航タンカー市況は、市況悪化を受けて高齢船の解撤が進みましたが、本格的な回復には至らず低迷しました。内航海運市況は、一部需要低迷や荒天遭遇等の影響を受けましたが、底堅い輸送需要を受けてドライ貨物を中心に総じて安定した輸送量を確保したことから、堅調に推移しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(C重油)がトン当たり上期約429ドル、下期約464ドル、期中平均で約446ドルと、前期比では約92ドル上昇しました。また対米ドル円相場は総じて安定的に推移し、上期平均109円67銭、下期平均111円67銭、期中平均で110円67銭と前期比50銭の円高となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ47億1百万円減少し2,235億28百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ130億48百万円減少し1,344億90百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ83億47百万円増加し890億38百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,510億68百万円(前期比8.7%増)、営業利益89億11百万円(前期は73億61百万円の営業利益)、経常利益77億84百万円(前期は55億55百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億43百万円(前期は66億13百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、主要5航路平均用船料率が2018年4月に日額7千ドル台と低迷したのち、中国の鉄鋼生産増を背景とした旺盛な鉄鉱石需要により同年8月には日額2万5千ドルを超える水準へと上昇しました。しかしながら2019年に入り不需要期に加え、ブラジルでの鉱山ダム決壊事故による出荷量減少が懸念されたこと等により、同年3月には日額3千ドル台まで下落しました。このような環境下、新造船2隻が竣工したほか、主要荷主である新日鐵住金株式会社(2019年4月1日付で日本製鉄株式会社に商号変更しております。)をはじめ国内外の顧客向けに輸送契約を獲得するなど、積極的な営業活動を継続した結果、当初の計画を達成することが出来ました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、主要4航路平均用船料率が日額1万ドル強から始まり、中国向け石炭、南米積み穀物輸送需要増減を背景に騰落はありましたが、2018年11月には日額1万4千ドルを超える水準まで回復しました。その後、北米積み穀物輸送の鈍化や中国の石炭輸入規制等によって市況は低迷し、2019年1月には日額4千ドル台まで下落しました。このような環境下、国内電力・一般産業・海外顧客向けの輸送契約を獲得し、支配船の効率配船に努めた結果、当初の計画を達成することが出来ました。
ハンディ型撒積船(2~5万重量トン型)市況は、総じて安定した荷動きに支えられ、2018年末頃までは想定どおりの水準で推移しましたが、その後は穀物等の荷動き停滞、暖冬および環境規制による中国向け石炭の荷動き減退等を受けて下降局面に転じました。このような環境下、往航主力貨物である輸出鋼材においては、関税引き上げにより輸送数量が一部減少した米国向けを補うべく、中米その他方面向けの集荷に努めました。また復航主力である中南米西岸積み非鉄金属輸送においても、既存貨物を活用した効率配船等により収益確保に努めましたが、市況下落の影響を受け、当初の計画を達成することが出来ませんでした。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国の経済減速によって輸出鋼材全体の輸送量は当初の予想を下回りましたが、主力の中国向け鋼材輸送では自動車産業向けが堅調に推移したことに加え、効率配船に努めた結果、当初の目標を達成することが出来ました。
VLCC(大型原油運搬船)、VLGC(大型LPG運搬船)については、おおむね定期貸船契約により安定収益を確保していますが、一部市況連動契約において市況低迷の影響を受け、当初の計画を達成することは出来ませんでした。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,265億57百万円(前期比8.9%増)、セグメント利益(営業利益)69億6百万円(前期は60億49百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<内航海運事業>ドライバルクにつきましては、鉄鋼関連輸送では夏場の台風等による荒天の影響も受け、国内粗鋼生産量は前年度を若干割り込んだものの、全般的に製造業・建設業向けの底堅い需要に支えられました。また、電力関連貨物では一定の輸送量を維持し、セメント関連貨物では一部北海道胆振東部地震の影響もありましたが、おおむね見込み通りの輸送量を確保したこと等により、事業全般としては当初の計画を達成することが出来ました。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、省エネ化の進展や暖冬などにより需要が低迷しました。LPG輸送も、化学原料用は好調な国内需要を受けたものの、民生用は暖冬の影響により、また工業用は需要が伸び悩んだことから、全体での輸送量は減少しました。このような環境下ながらも、効率配船、効率運航に努めた結果、事業全般としては当初の計画を達成することが出来ました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は242億61百万円(前期比8.7%増)、セグメント利益(営業利益)は20億20百万円(前期は13億26百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
<その他>安定収益事業への経営資源集中を進めるため、当連結会計年度に、国内にてLPG・石油製品の陸運業を営んでおりました協燃運輸㈱の全株式を第三者へ譲渡しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、199億57百万円の収入(前年同期比41億74百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、50億31百万円の支出(前年同期比14億84百万円の支出減)となりました。これは主に、船舶の取得による支出183億58百万円と船舶の売却による収入134億18百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、154億91百万円の支出(前年同期比71億8百万円の支出増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引122億48百万円の支出によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して5億38百万円減少し、267億38百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 34.7 | 33.0 | 35.3 | 39.8 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 16.5 | 24.3 | 22.4 | 25.0 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 6.1 | 7.1 | 8.0 | 5.7 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 9.8 | 10.2 | 8.0 | 11.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期増減率(%) |
| 外航海運事業(百万円) | 126,557 | 8.9 |
| 内航海運事業(百万円) | 24,261 | 8.7 |
| 報告セグメント計(百万円) | 150,817 | 8.9 |
| その他(百万円) | 251 | △50.5 |
| 計 | 151,068 | 8.7 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
| 新日鐵住金㈱ | 74,805 | 51.2 | 85,056 | 51.2 |
(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,235億28百万円となり、前連結会計年度末比47億1百万円減少しました。このうち流動資産は主としてデリバティブ債権の増加により25億73百万円増加しました。固定資産は主として船舶の売却や減価償却による減少により、72億74百万円減少しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、130億48百万円減少の1,344億90百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金やデリバティブ債務の減少により、94億82百万円減少しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、35億66百万円減少しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ83億47百万円増加し、890億38百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の35.3%から当連結会計年度末は39.8%に増加しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,510億68百万円(前期比8.7%増)、営業利益89億11百万円(前期は73億61百万円の営業利益)、経常利益77億84百万円(前期は55億55百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は93億43百万円(前期は66億13百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と、前期に比べ増収増益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。当期においては、特に2018年秋口までの市況の回復や、期中を通じて比較的安定した為替相場の恩恵を享受することができました。当社グループにおいては、主要荷主である新日鐵住金株式会社(2019年4月1日付で日本製鉄株式会社に商号変更しております。)をはじめ国内外の顧客向けに輸送契約を獲得する一方、効率的な運航に努め増収増益となりました。セグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
今後は、米中貿易摩擦の影響拡大や中国の需要鈍化、急激な金融情勢の変動などさまざまな懸念材料が混在し、先行きに対する不透明感は更に増しつつあります。2019年度においては特に2020年1月から施行される硫黄酸化物排出規制強化に伴う適合油価格の動向も注視されます。こうした外部環境下、当社は中期経営計画の重点戦略の1つとして「安定収益事業への経営資源の集中」を掲げ、業績の下振れリスクの低減を進めています。その具体的な取り組みとして、国内外の製鉄・資源会社との輸送契約を締結することにより、収益基盤の更なる拡充を図っています。2019年度後半からは、資源大手Vale International S.A.社向け25年間の長期輸送契約に投入する40万重量トン型鉱石船(Valemax)をはじめ、安定収益が期待できる新造船の竣工が本格化することにより収益力の向上が図られるとともに、海運市況下落に対する耐性が一層強化されます。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は186億2百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は936億39百万円(既支払額136億55百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。当期末の有利子負債残高は1,138億1百万円(前期比119億27百万円減少)となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額70億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、ROE(株主資本利益率)・D/Eレシオ(負債資本倍率)の2つに着目し、前者では収益効率性の、後者では財務健全性の目安としています。2018年度は期末D/Eレシオが計画1.26倍に対して実績1.28倍と若干の未達となったものの、ROEは計画を1.2%上回る11.0%となりました。2019年度以降の見通しでは、長期契約による収益の安定化と有利子負債の適正化により、概ね計画に近似した水準で推移することが予想され、2021年度 営業利益120億円・D/Eレシオ 1.30倍未満・ROE 10.0%超という目標の達成に向けて、引き続き鋭意取り組んでまいります。