有価証券報告書
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の悪化、英国のEU離脱や中東情勢の緊迫化などの影響を受け、中国経済が6%成長へと減速するなど世界経済は低い成長率で推移しました。2019年末には米中通商協議の進展により貿易摩擦の悪化に歯止めがかかるなど、2020年の世界経済は緩やかに持ち直していくかに思われた矢先、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、一転して、リーマンショックを超える経済悪化が危惧されています。わが国においても、消費の自粛などから企業活動への影響が不可避な状況です。
外航ドライバルク市況につきましては、期首に大底を打った後は、新造船供給圧力にさらされながらも底堅い輸送需要に支えられて2019年度第3四半期までは概ね前年度以上の水準で推移しました。しかしながら、2019年末以降は、主要積地である豪州やブラジルでの悪天候の影響に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済の先行き不安から、大型船を中心に大幅に下落しました。外航タンカー市況は、原油、ガス輸送ともに旺盛な輸送需要が市況を牽引し、高い水準で推移した夏場以降も堅調に推移しました。内航海運市況は、粗鋼減産や荷主事由により需要の低迷や荒天遭遇等の影響を受けたためドライバルクを中心に軟化しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(高硫黄C重油)がトン当たり上期約439ドル、下期約384ドル、期中平均で約418ドルと、前期比では約28ドル下落しました。また対米ドル円相場は総じて安定的に推移し、上期平均109円50銭、下期平均109円33銭、期中平均で109円42銭と前期比1円25銭の円高となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ249億94百万円増加し2,485億22百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ229億22百万円増加し1,574億12百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億72百万円増加し911億10百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,484億15百万円(前期比1.8%減)、営業利益70億40百万円(前期は89億11百万円の営業利益)、経常利益54億79百万円(前期は77億84百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億47百万円(前期は93億43百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、主要5航路平均用船料率が、中国の旺盛な鉄鉱石需要により4月の日額4千ドル台から9月には日額3万8千ドルの水準へ上昇しましたが、不需要期を迎えた年末に下落しました。年明け以降は、中国経済の減速、豪州・ブラジルの悪天候に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界経済への影響懸念により、3月には2千ドル台まで低迷しました。このような環境下において当社では、40万トン型鉄鉱石専用船等、順次竣工した新造船を主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客と締結した安定輸送契約に投入するなど営業活動を積極的に続けました。これに加えて、SOxスクラバー搭載工事等に伴う入渠により一時的に不稼働となっていた船腹が、期末にかけて順次稼働を再開したため、当初の計画をほぼ達成することができました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、2019年度前半は中国向けの底堅い穀物輸送を背景に市況は堅調に推移し、9月には主要4航路平均用船料率が2010年来となる日額1万9千ドル台まで上昇しました。しかしながら、秋口以降は南米の穀物輸出需要のピークアウトや、中国向け石炭荷動きの減退に加え、年明けからの新型コロナウイルス感染症拡大により市況は軟化傾向となりました。このような環境下で当社は、国内外の顧客向けの輸送契約を獲得し、支配船の効率配船に努めることにより、当初の計画を達成しました。
ハンディ型撒積船(2~5万重量トン型)市況は、米中貿易摩擦の影響を受け総じて想定を下回る水準で推移しました。2019年度第2四半期には南米穀物輸送を中心として市況は一時的に回復しましたが、年明けからは新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により、下落に転じました。このような環境の下、中南米積非鉄金属輸送など一部は堅調に推移したものの、往航主力貨物である輸出鋼材において、下期以降の鋼材価格下落に伴う輸出意欲減退と、米国通商拡大法第232条の追加関税の影響により、北米向け荷動きが減少したことから、当初の計画を達成することができませんでした。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、バイオマス燃料荷動き量は拡大したものの、主力の中国向け輸出鋼材輸送量が、米中貿易摩擦の激化・現地産鋼材の比率増により減少したことから総じて弱含みで推移しました。加えて例年以上に頻発した台風や年明けからの新型コロナウイルス感染症拡大等の影響を受け、当初の目標を達成することはできませんでした。
VLGC(大型LPG運搬船)、VLCC(大型原油運搬船)は、全て定期貸船契約により安定収益を確保しています。一部の船舶が市況連動契約となっており、年間を通じて堅調な市況により、当初計画を大幅に上回る実績を上げました。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,243億42百万円(前期比1.8%減)、セグメント利益(営業利益)58億53百万円(前期は69億6百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
<内航海運事業>ドライバルクのうち、鉄鋼関連輸送量につきましては、鋼材輸出や鉄鋼内需の減少により粗鋼生産が1億トン割れとなった高炉メーカーの減産や荒天の影響を受け、原料輸送量は大きく減少し、鋼材輸送量も前年度を下回りました。電力関連貨物では、発電所事由などにより輸送量は計画を若干下回る一方、下期よりバイオマス発電所向け燃料輸送を新たに開始いたしました。セメント関連貨物の輸送量は概ね計画通りとなりましたが、鋼材輸送量の減少を受け、事業全般としては当初の計画を達成することができませんでした。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、電化・省エネ化等の進展や暖冬により需要が低迷するも、効率配船、効率運航に努めた結果、輸送量は計画を上回りました。またLPG輸送は、民生用は冬場の需要期も暖冬の影響や一部契約の終了により、また工業用は内需低迷等の影響を受けて輸送量は伸び悩みましたが、化学原料用が好調な国内需要を受けて輸送量は増加しました。このような状況の下で、事業全般としては当初の計画を達成しました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は240億73百万円(前期比0.8%減)、セグメント利益(営業利益)は11億85百万円(前期は20億20百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
<その他>特記すべき事項はありません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、169億5百万円の収入(前年同期比30億52百万円の収入減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、399億35百万円の支出(前年同期比349億4百万円の支出増)となりました。これは主に、船舶の取得による支出554億28百万円と船舶の売却による収入156億66百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、160億99百万円の収入(前年同期は154億91百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引188億87百万円の収入によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して69億85百万円減少し、197億53百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,485億22百万円となり、前連結会計年度末比249億94百万円増加しました。このうち流動資産は現金及び預金や有価証券の減少等により67億77百万円減少しました。固定資産は主として船舶の増加により、317億71百万円増加しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、229億22百万円増加の1,574億12百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の増加により、204億90百万円増加しました。固定負債は主としてリース債務の増加により、24億33百万円増加しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加、繰延ヘッジ損益の減少によるその他の包括利益累計額の減少等により、前連結会計年度末に比べ20億72百万円増加し、911億10百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.8%から当連結会計年度末は36.7%に減少しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,484億15百万円(前期比1.8%減)、営業利益70億40百万円(前期は89億11百万円の営業利益)、経常利益54億79百万円(前期は77億84百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億47百万円(前期は93億43百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
また、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載しています。
(繰延税金資産)
将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額する処理を行っております。事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能額が減少した場合、 減損処理が必要となる可能性があります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。当期においては、2019年末以降、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う荷動きの減少や主要積地における荒天の影響等から大型船を中心に外航ドライバルク市況は大幅に下落しましたが、2019年度第3四半期までは概ね堅調に推移しました。また、為替相場は期中を通じて比較的安定して推移しその恩恵を享受できました。加えて、SOxスクラバー搭載工事等に伴う入渠を当初計画に沿って実行したため当社運航船の稼働率が一次的に低下、工期については若干の延長がありましたが、業況は総じて概ね想定の範囲内と認識しております。経営成績につきましては、期末の燃料油価格急落に伴うたな卸資産の評価損を計上しましたが、これを除けば下期損益は前年同期比で改善されており、計画された新造船投入や入渠による不稼働から復帰した船腹が収益に寄与し収益力が増強された結果と評価します。今後は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2020年度に本格化するとみられ、当社の事業環境にどの程度の影響をもたらすのかについて十分に精査し、対応策を検討してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は608億5百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は449億23百万円(既支払額89億3百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当期末の有利子負債残高は1,374億94百万円となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(株主資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは株主資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2019年度通期の営業利益は70億円、ROEは6.6%と、前中期経営計画で想定した92億円、9.1%にそれぞれ達しませんでしたが、これは期末評価損などを計上したことによるものです。前中期経営計画までにおいては、財務健全性につきましては、D/Eレシオ(負債資本倍率)を指標としていましたが、当社を取り巻く経営環境が急激に変化しつつある中、安定した事業運営の前提となる手元流動性確保の重要性も考慮し、ネットD/Eレシオを新たな指標として採用いたしました。2019年度末時点でのネットD/Eレシオは1.29倍になります。中期経営計画で目標とする2023年度における各指標の水準は、営業利益100億円以上、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下です。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、米中貿易摩擦の悪化、英国のEU離脱や中東情勢の緊迫化などの影響を受け、中国経済が6%成長へと減速するなど世界経済は低い成長率で推移しました。2019年末には米中通商協議の進展により貿易摩擦の悪化に歯止めがかかるなど、2020年の世界経済は緩やかに持ち直していくかに思われた矢先、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、一転して、リーマンショックを超える経済悪化が危惧されています。わが国においても、消費の自粛などから企業活動への影響が不可避な状況です。
外航ドライバルク市況につきましては、期首に大底を打った後は、新造船供給圧力にさらされながらも底堅い輸送需要に支えられて2019年度第3四半期までは概ね前年度以上の水準で推移しました。しかしながら、2019年末以降は、主要積地である豪州やブラジルでの悪天候の影響に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による世界経済の先行き不安から、大型船を中心に大幅に下落しました。外航タンカー市況は、原油、ガス輸送ともに旺盛な輸送需要が市況を牽引し、高い水準で推移した夏場以降も堅調に推移しました。内航海運市況は、粗鋼減産や荷主事由により需要の低迷や荒天遭遇等の影響を受けたためドライバルクを中心に軟化しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(高硫黄C重油)がトン当たり上期約439ドル、下期約384ドル、期中平均で約418ドルと、前期比では約28ドル下落しました。また対米ドル円相場は総じて安定的に推移し、上期平均109円50銭、下期平均109円33銭、期中平均で109円42銭と前期比1円25銭の円高となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ249億94百万円増加し2,485億22百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ229億22百万円増加し1,574億12百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億72百万円増加し911億10百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,484億15百万円(前期比1.8%減)、営業利益70億40百万円(前期は89億11百万円の営業利益)、経常利益54億79百万円(前期は77億84百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億47百万円(前期は93億43百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、主要5航路平均用船料率が、中国の旺盛な鉄鉱石需要により4月の日額4千ドル台から9月には日額3万8千ドルの水準へ上昇しましたが、不需要期を迎えた年末に下落しました。年明け以降は、中国経済の減速、豪州・ブラジルの悪天候に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う世界経済への影響懸念により、3月には2千ドル台まで低迷しました。このような環境下において当社では、40万トン型鉄鉱石専用船等、順次竣工した新造船を主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客と締結した安定輸送契約に投入するなど営業活動を積極的に続けました。これに加えて、SOxスクラバー搭載工事等に伴う入渠により一時的に不稼働となっていた船腹が、期末にかけて順次稼働を再開したため、当初の計画をほぼ達成することができました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、2019年度前半は中国向けの底堅い穀物輸送を背景に市況は堅調に推移し、9月には主要4航路平均用船料率が2010年来となる日額1万9千ドル台まで上昇しました。しかしながら、秋口以降は南米の穀物輸出需要のピークアウトや、中国向け石炭荷動きの減退に加え、年明けからの新型コロナウイルス感染症拡大により市況は軟化傾向となりました。このような環境下で当社は、国内外の顧客向けの輸送契約を獲得し、支配船の効率配船に努めることにより、当初の計画を達成しました。
ハンディ型撒積船(2~5万重量トン型)市況は、米中貿易摩擦の影響を受け総じて想定を下回る水準で推移しました。2019年度第2四半期には南米穀物輸送を中心として市況は一時的に回復しましたが、年明けからは新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により、下落に転じました。このような環境の下、中南米積非鉄金属輸送など一部は堅調に推移したものの、往航主力貨物である輸出鋼材において、下期以降の鋼材価格下落に伴う輸出意欲減退と、米国通商拡大法第232条の追加関税の影響により、北米向け荷動きが減少したことから、当初の計画を達成することができませんでした。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、バイオマス燃料荷動き量は拡大したものの、主力の中国向け輸出鋼材輸送量が、米中貿易摩擦の激化・現地産鋼材の比率増により減少したことから総じて弱含みで推移しました。加えて例年以上に頻発した台風や年明けからの新型コロナウイルス感染症拡大等の影響を受け、当初の目標を達成することはできませんでした。
VLGC(大型LPG運搬船)、VLCC(大型原油運搬船)は、全て定期貸船契約により安定収益を確保しています。一部の船舶が市況連動契約となっており、年間を通じて堅調な市況により、当初計画を大幅に上回る実績を上げました。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,243億42百万円(前期比1.8%減)、セグメント利益(営業利益)58億53百万円(前期は69億6百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
<内航海運事業>ドライバルクのうち、鉄鋼関連輸送量につきましては、鋼材輸出や鉄鋼内需の減少により粗鋼生産が1億トン割れとなった高炉メーカーの減産や荒天の影響を受け、原料輸送量は大きく減少し、鋼材輸送量も前年度を下回りました。電力関連貨物では、発電所事由などにより輸送量は計画を若干下回る一方、下期よりバイオマス発電所向け燃料輸送を新たに開始いたしました。セメント関連貨物の輸送量は概ね計画通りとなりましたが、鋼材輸送量の減少を受け、事業全般としては当初の計画を達成することができませんでした。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、電化・省エネ化等の進展や暖冬により需要が低迷するも、効率配船、効率運航に努めた結果、輸送量は計画を上回りました。またLPG輸送は、民生用は冬場の需要期も暖冬の影響や一部契約の終了により、また工業用は内需低迷等の影響を受けて輸送量は伸び悩みましたが、化学原料用が好調な国内需要を受けて輸送量は増加しました。このような状況の下で、事業全般としては当初の計画を達成しました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は240億73百万円(前期比0.8%減)、セグメント利益(営業利益)は11億85百万円(前期は20億20百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
<その他>特記すべき事項はありません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、169億5百万円の収入(前年同期比30億52百万円の収入減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、399億35百万円の支出(前年同期比349億4百万円の支出増)となりました。これは主に、船舶の取得による支出554億28百万円と船舶の売却による収入156億66百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、160億99百万円の収入(前年同期は154億91百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引188億87百万円の収入によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して69億85百万円減少し、197億53百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 33.0 | 35.3 | 39.8 | 36.7 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 24.3 | 22.4 | 25.0 | 13.2 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 7.1 | 8.0 | 5.7 | 8.1 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 10.2 | 8.0 | 11.4 | 11.3 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期増減率(%) |
| 外航海運事業(百万円) | 124,342 | △1.8 |
| 内航海運事業(百万円) | 24,073 | △0.8 |
| 報告セグメント計(百万円) | 148,415 | △1.6 |
| その他(百万円) | - | △100.0 |
| 計 | 148,415 | △1.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額(百万円) | 比率(%) | 金額(百万円) | 比率(%) | |
| 日本製鉄㈱ | 85,056 | 51.2 | 83,397 | 51.0 |
(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,485億22百万円となり、前連結会計年度末比249億94百万円増加しました。このうち流動資産は現金及び預金や有価証券の減少等により67億77百万円減少しました。固定資産は主として船舶の増加により、317億71百万円増加しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、229億22百万円増加の1,574億12百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の増加により、204億90百万円増加しました。固定負債は主としてリース債務の増加により、24億33百万円増加しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加、繰延ヘッジ損益の減少によるその他の包括利益累計額の減少等により、前連結会計年度末に比べ20億72百万円増加し、911億10百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の39.8%から当連結会計年度末は36.7%に減少しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,484億15百万円(前期比1.8%減)、営業利益70億40百万円(前期は89億11百万円の営業利益)、経常利益54億79百万円(前期は77億84百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は59億47百万円(前期は93億43百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
また、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載しています。
(繰延税金資産)
将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額する処理を行っております。事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ回収可能額が減少した場合、 減損処理が必要となる可能性があります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。当期においては、2019年末以降、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う荷動きの減少や主要積地における荒天の影響等から大型船を中心に外航ドライバルク市況は大幅に下落しましたが、2019年度第3四半期までは概ね堅調に推移しました。また、為替相場は期中を通じて比較的安定して推移しその恩恵を享受できました。加えて、SOxスクラバー搭載工事等に伴う入渠を当初計画に沿って実行したため当社運航船の稼働率が一次的に低下、工期については若干の延長がありましたが、業況は総じて概ね想定の範囲内と認識しております。経営成績につきましては、期末の燃料油価格急落に伴うたな卸資産の評価損を計上しましたが、これを除けば下期損益は前年同期比で改善されており、計画された新造船投入や入渠による不稼働から復帰した船腹が収益に寄与し収益力が増強された結果と評価します。今後は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2020年度に本格化するとみられ、当社の事業環境にどの程度の影響をもたらすのかについて十分に精査し、対応策を検討してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は608億5百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は449億23百万円(既支払額89億3百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当期末の有利子負債残高は1,374億94百万円となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(株主資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは株主資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2019年度通期の営業利益は70億円、ROEは6.6%と、前中期経営計画で想定した92億円、9.1%にそれぞれ達しませんでしたが、これは期末評価損などを計上したことによるものです。前中期経営計画までにおいては、財務健全性につきましては、D/Eレシオ(負債資本倍率)を指標としていましたが、当社を取り巻く経営環境が急激に変化しつつある中、安定した事業運営の前提となる手元流動性確保の重要性も考慮し、ネットD/Eレシオを新たな指標として採用いたしました。2019年度末時点でのネットD/Eレシオは1.29倍になります。中期経営計画で目標とする2023年度における各指標の水準は、営業利益100億円以上、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下です。