有価証券報告書

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2021/06/28 16:26
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期における世界経済は、各国の新型コロナウイルス感染症拡大防止策導入により社会・経済活動が制限されることで大きく落ち込んだ後、制限措置緩和による回復と感染再拡大による停滞が交錯し、この結果、2020年の世界実質GDP成長率は前年比3.3%減(※IMF2021年4月時点報告値)と金融危機後の2009年を大きく下回りました。わが国でも2度にわたり緊急事態宣言が発令されるなど、経済活動正常化と感染症対策との両立が求められる状況が続き、先行き不透明感が設備投資や消費に対する慎重姿勢につながりました。
外航海運事業において、ドライバルクにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により2020年前半は大きく低迷いたしましたが、年央には中国の経済活動再開に伴う輸送需要持ち直しなどにより一旦の回復を見た後、感染症拡大の第2波、第3波による影響の中、特に大型船市況は振れ幅の激しい展開が続きました。VLGC(大型LPG運搬船)につきましては、市況は総じて堅調に推移しました。
燃料油価格につきましては、当期の外航海運事業の平均消費価格(高硫黄C重油)がトン当たり上期約262ドル、下期約294ドル、期中平均で約280ドルと、前期比では約138ドル安、適合燃料油がトン当たり上期約373ドル、下期約364ドル、期中平均で約368ドルと、前期比では約207ドル安となりました。また対米ドル円相場は年度末にかけて米ドル金利上昇観測により円安が加速しましたが、上期平均107円67銭、下期平均104円67銭、期中平均で106円17銭と前期比3円25銭の円高となりました。
このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ222億38百万円増加し2,707億60百万円となりました。 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ169億45百万円増加し1,743億58百万円となりました。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ52億93百万円増加し964億2百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,384億54百万円(前期比6.7%減)、営業利益67億36百万円(前期比4.3%減)、経常利益55億32百万円(前期比1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億31百万円(前期比3.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<外航海運事業>ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により年度初めより低水準で推移し、主要5航路平均用船料率が5月には2千ドルを割り込むなど、先行きへの懸念が高まりましたが、6月以降は、いち早く感染症拡大の封じ込めを宣言した中国の国内経済回復により鉄鉱石輸入をはじめとした輸送需要に市況は大きく押し上げられ、10月には3万4千ドル台後半に達しました。このような環境下において当社では、主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客と締結した中長期輸送契約により安定収益を確保し、また積極的に三国間トレード向けの集荷に努めた結果、感染拡大の一時的な影響を勘案した年度計画をほぼ達成することができました。
パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、感染拡大に伴う荷動き低迷で主要5航路平均用船料率が5月に日額5千ドル台まで落ち込むも、堅調な穀物輸送を中心に、8月には1万6千ドルを超える水準まで回復いたしました。その後は豪州出し中国向け石炭輸送の事実上の制限で市況は軟化傾向を辿るも、秋口からは中国が米国産の穀物輸入を拡大し、年明け以降は南米穀物輸送需要も本格化したことから、市況は2月中旬には2万ドル台へ急騰しました。こうした状況下、支配船腹を国内外顧客向けに投入し効率運航に努めましたが、年央までの市況低迷の影響を補うには至らず、当初の計画を達成することはできませんでした。
ハンディ型撒積船(2~6万重量トン型)市況は、感染拡大の影響から鋼材・原料関連の荷動きが減少し、上期は38,000重量トン型主要7航路平均用船料率が5月には4千ドル近辺まで落ち込みましたが、下期においては鋼材出荷や自動車生産再開による銅やニッケル等マイナーバルクの輸送需要の回復、北半球寒波による一般炭の荷動き活発化などを受けて反発しました。しかしながら、上期の落ち込みを補うまでには至らず、当初の計画を達成することができませんでした。
近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、主力の中国向け輸出鋼材輸送量が国内粗鋼生産の減産傾向に感染拡大による需要減の影響が加わり上期は大きく減少、その後は中国国内需要に支えられ回復基調で推移するも鋼材輸送数量は前期比減少いたしました。年明け以降市況回復が顕在化いたしましたが、収益改善は限定的な範囲に留まり、通期では当初の計画を達成することはできませんでした。
VLGC(大型LPG運搬船)は、全て定期貸船契約に従事し安定収益の確保に貢献しておりますが、一部市況連動契約となっている船舶についても、総じて堅調に市況が推移したことから、当初の計画を大幅に上回る実績を上げました。
以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は1,167億21百万円(前期比6.1%減)、セグメント利益(営業利益)49億43百万円(前期は58億53百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収減益となりました。
<内航海運事業>ドライバルクにつきましては、鉄鋼関連貨物は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から上期は需要が急減いたしました。下期から自動車向けを中心とした製造業向け需要が回復基調となり、高炉が再稼働するなど粗鋼生産量増加とともに需要は上向きはじめましたが、原料輸送量、鋼材輸送量共に上期中の影響を補うには至らず当初の計画を下回りました。また、セメント関連貨物の輸送量につきましては感染拡大の影響や、夏期建設需要減少等により当初の計画を下回る荷動きとなりました。一方、電力関連貨物は再生可能エネルギー活用などエネルギー利用多様化による石炭火力発電稼働抑制及び感染拡大の影響による電力需要減少等が影響したものの、新規発電所へのバイオマス輸送サービスの開始もあり、当初の計画を上回る水準で推移いたしました。
タンカーにつきましては、LNG輸送は、省エネ化の進展、感染拡大により需要が減少するなか効率運航に努め、輸送量は計画を上回りました。LPG輸送は、民生用は冬期需要期を迎え輸送量は好調でしたが、工業用と化学原料用は、需要減退により輸送量は低迷し、全体としては輸送量は計画を下回りました。このような状況の下で、効率配船、効率運航に努め、当初の計画をほぼ達成することができました。
以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は217億33百万円(前期比9.7%減)、セグメント利益(営業利益)は17億69百万円(前期は11億85百万円のセグメント利益)と、前期に比べ減収増益となりました。
<その他>特記すべき事項はありません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、226億54百万円の収入(前年同期比57億49百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、250億12百万円の支出(前年同期比149億23百万円の支出減)となりました。これは主に、船舶の取得による支出411億57百万円と船舶の売却による収入162億74百万円の差引によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、100億51百万円の収入(前年同期比60億49百万円の収入減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入519億63百万円と長期借入金の返済による支出403億29百万円の差引によるものです。
以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して78億59百万円増加し、276億13百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期
自己資本比率(%)35.339.836.735.6
時価ベースの自己資本比率(%)22.425.013.216.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)8.05.78.16.6
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)8.011.411.315.7

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期増減率(%)
外航海運事業(百万円)116,721△6.1
内航海運事業(百万円)21,733△9.7
報告セグメント計(百万円)138,454△6.7
その他(百万円)--
138,454△6.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記金額に消費税等は含まれておりません。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す
る割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)比率(%)金額(百万円)比率(%)
日本製鉄㈱83,39751.065,68545.3

(注)1.上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。
また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。
なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.経営成績等
1)財政状態
当連結会計年度末における総資産は2,707億60百万円となり、前連結会計年度末比222億38百万円増加しました。このうち流動資産は主として現金及び預金の増加により106億25百万円増加しました。固定資産は主として船舶の増加により、116億13百万円増加しました。
負債合計は前連結会計年度末に比べ、169億45百万円増加の1,743億58百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の減少により、26億99百万円減少しました。固定負債は主として長期借入金の増加により、196億44百万円増加しました。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べ52億93百万円増加し、964億2百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の36.7%から当連結会計年度末は35.6%に減少しました。
2)経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,384億54百万円(前期比6.7%減)、営業利益67億36百万円(前期比4.3%減)、経常利益55億32百万円(前期比1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は61億31百万円(前期比3.1%増)と、前期に比べ減収増益となりました。
なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は8割強、内航海運事業の割合は2割弱となっております。
セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。当期においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により世界経済が急減速するなか、海運市況も第1四半期は大きく落ち込みました。第2四半期以降は乱高下する状況がありましたが、概ね回復基調となり市況回復局面を捉えることで下期としては営業利益ベースで2010年の合併以来最高益となりました。為替相場は世界経済の不透明感を背景に円高圧力が続きましたが、比較的安定して推移いたしました。経営成績につきましては、2020年9月、12月と相次ぎ世界最大船型400,000トン型鉱石専用船(Valemax)が2隻竣工し、安定収益の基盤を固めることができました。また、下期には海運市況高騰下で建造した船舶の売却や定期用船契約の期限前解約など、コスト競争力強化に向けた構造改革を実行したことから、当社の収益構造は一層強化されることとなりました。
新型コロナウイルス感染症は新たに変異株による感染拡大が懸念されるなか、先進国を中心に展開されつつあるワクチン接種の効果に注目が集まっています。感染拡大状況によっては荷動きや市況が乱高下する懸念が残ることから、今後も当社の事業環境にどの程度の影響をもたらすかについて細心の注意を払って事業運営を行ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。
当連結会計年度に実施した設備投資の総額は413億30百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は89億19百万円(既支払額2億65百万円を含む)であります。
2)財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。
当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当期末の有利子負債残高は1,492億7百万円となりました。
また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。
3)キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(株主資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは株主資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2020年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による世界景気減速の影響もあり通期営業利益67億円、ROEは6.5%にとどまりました。また、2020年度末時点でのネットD/Eレシオは1.26倍となりました。引き続き2023年度の目標水準である営業利益100億円以上、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下に向け鋭意取り組んで参ります。

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