有価証券報告書-第107期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の埠頭・倉庫業界は、日本経済の緩やかな拡大を背景に、荷動きは回復基調で推移したが、人手不足や電気料及び燃料費の上昇を背景としたコストの増加と同業者間の競争激化など厳しい経営環境が継続した。
このような経営環境の中、当社グループでは、グループ各社の連携を一層強化し、営業拡大、経営基盤の強化、社会的責任の向上に取り組んできた。
国内総合物流事業では、国内貨物や輸入貨物の取扱数量が増加し、保管残高も前期を上回った。また、国際物流事業では、ロシア経済が回復基調にあることと新規貨物を集荷したことにより取扱数量が増加した。この結果、営業収入、営業利益、経常利益とも前期を上回った。しかし、業務システム開発の中止に伴い、特別損失を4億3千1百万円計上したことにより、最終利益は前期を下回った。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億6千2百万円増加し392億9千9百万円となった。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5億4千4百万円増加し195億6百万円となった。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億1千7百万円増加し197億9千2百万円となった。
b.経営成績
当連結会計年度の営業収入は334億6千1百万円(前期比18億7千4百万円、5.9%の増収)、営業利益は17億7千2百万円(前期比2億6百万円、13.2%の増益)、経常利益は18億9千6百万円(前期比1億5千2百万円、8.8%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億5千9百万円(前期比1億7千万円、15.1%の減益)となった。
セグメントの経営成績は次のとおりである。
*以下の営業収入及び営業利益は、セグメント間の取引を含んでいる。
○国内総合物流事業
国内総合物流事業の営業収入は、307億9千5百万円、前期比4.2%の増収、営業利益は16億5千8百万円、前期比14.0%の増益となった。国内貨物、輸入貨物の取扱数量及び保管残高の増加により営業収入は前期を上回った。また、穀類加工用設備の能力増強、新倉庫の稼働等により営業利益は前期を大きく上回った。
≪倉庫業≫
倉庫業の営業収入は、100億2千4百万円、前期比2.0%の増収となった。
平均保管残高は、27万トン(前期26万トン)、入出庫数量は、369万トン(前期348万トン)であった。普通倉庫貨物は、石油化学品、大豆、輸入食品等が増加した。輸入青果物は、アボカド等が減少したが、収穫量が回復したバナナ、パイナップルは増加した。冷蔵倉庫貨物は、農産物が減少したが、畜産物、水産物は増加した。
≪港湾運送業≫
港湾運送業の営業収入は、77億3千2百万円、前期比9.8%の増収となった。
ばら積み貨物の取扱数量は、532万トン(前期488万トン)であった。石炭は減少したが、鹿島支店での穀物類が増加した。また、前期に引き続き川崎支店の残土は都市部の再開発工事が進み、取扱いが更に増加した。
コンテナ取扱数量は、219千TEU(前期191千TEU)であった。川崎港での輸入雑貨が増加したほか、各港とも堅調に推移し取扱いが増加した。
≪自動車運送業≫
自動車運送業の営業収入は、冷蔵貨物、飼料等の取扱いが増加したことにより59億5千4百万円、前期比5.4%の増収となった。
≪その他の業務≫
その他の業務の営業収入は、70億8千4百万円、前期比0.7%の増収となった。工場構内作業は前期を下回ったものの、輸入貨物が堅調に推移したことにより通関などの収入が増加した。
○国際物流事業
国際物流事業の営業収入は、29億8千5百万円、前期比27.4%の増収、営業利益は1億4百万円、前期比2.7%の増益となった。ロシア周辺国向け貨物の取扱いが増加した。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より2億1千6百万円増加し、14億9千5百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、災害損失の支払額がなかったこと等により、前連結会計年度に比べ8億9千5百万円増加し35億9千1百万円となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、17億6千6百万円の純支出となった。資産除去債務の履行による支出はなかったが、固定資産の取得による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ1億6千7百万円純支出が増加した。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16億6百万円の純支出となった。長期借入金の返済による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ4億8千2百万円純支出が増加した。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、役務の提供を主体とする総合物流業者であり、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難であるため、これに代えてセグメント別業務別の営業収入及び取扱数量を記載している。
a.セグメント別業務別営業収入
当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
(注) 上記の金額には、セグメント間の取引が含まれている。
b.セグメント別業務別取扱数量
○国内総合物流事業
1) 倉庫業
(イ)倉庫入出庫残高及び回転率
(注) 貨物回転率は貨物荷動きの状況を示すものであって、下記の算式によって算定される。
(ロ)倉庫品目別保管残高
2) 港湾運送業
(イ)一般貨物
(ロ)コンテナ
(注) TEU:20フィートコンテナ換算
3) 自動車運送業
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。
a.投資の減損
当社グループは、長期的な資金の運用または長期的な取引関係の維持等のために、金融機関を含む取引先の株式等に対する投資を行っている。これらの投資には時価のある価格変動性の高い上場会社の株式と、時価の決定が困難な非上場会社の株式等が含まれており、当社グループはこれらの株式等の投資価値の低下が一時的でないものと判断した場合に減損処理を行うこととしている。当連結会計年度において計上した減損処理額はなく、当連結会計年度末において保有する上場会社の株式に係る未実現損失の額は僅少である。
b.固定資産の減価償却等
当社グループの主な事業である埠頭業・倉庫業は施設に多額の投資を行う必要があり、有形固定資産及び無形固定資産の当連結会計年度末における帳簿価額は244億1千7百万円で総資産額の62.1%、営業収入の額の73.0%に相当している。当社グループは、平成10年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)並びに平成28年4月1日以降取得した建物附属設備及び構築物を除く有形固定資産の減価償却方法について定率法を採用し、投資資金の早期回収を図っている。当連結会計年度における減価償却費の計上額は14億8千2百万円であり、これは減価償却の対象となる固定資産の当連結会計年度末における帳簿価額の9.7%に相当している。
c.退職給付に係る会計処理
当社グループは、退職給付費用及び債務の計算の前提となる割引率を、退職給付の支払見込期間を反映したAA格以上の普通社債の連結会計年度末における市場利回りを勘案して設定している。
当社グループの数理計算上の差異の主な発生原因は、退職給付信託の設定に伴い当社が拠出した株式の想定外の価格変動及び割引率の変更によるものであり、その処理方法は発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法によっている。当連結会計年度末における数理計算上の差異の未認識額は2億7千4百万円(借方残高)である。
制度移行に伴う過去勤務費用の処理方法は、数理計算上の差異の処理方法に準じて、発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法によることとしている。当連結会計年度末における過去勤務費用の未認識額は1千8百万円(貸方残高)である。
d.繰延税金資産
当社グループの税効果会計の適用に際しては、グループ各社の所得の過去の発生状況及び将来の発生見込に基づくスケジューリングの結果等を勘案して繰延税金資産の回収可能性の判定を行っている。当社グループにおいては、スケジューリング不能のもの、所得の発生見込みに不確実性の存する一部の連結子会社に係るもの等を除き回収可能であると判断している。
また、連結納税制度を採用しており、これに沿った会計処理を行っている。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ14億6千2百万円増加し392億9千9百万円となった。流動資産は、現金及び預金や受取手形及び営業未収入金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ7億3千1百万円増加した。固定資産は、有形固定資産で建設仮勘定が増加したことや株価の上昇により投資有価証券が増加したこと等で、前連結会計年度末に比べ7億3千万円増加した。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ5億4千4百万円増加し195億6百万円となった。借入金は長期短期合わせて12億円減少したが、未払法人税等や設備関係支払手形等が増加した。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ9億1千7百万円増加し197億9千2百万円となった。利益剰余金が5億7千3百万円、その他有価証券評価差額金が3億1千4百万円増加した。
この結果、自己資本比率は50.2%で前連結会計年度末比0.5ポイント上昇した。
2)経営成績
(イ) 営業収入
当連結会計年度における営業収入は、334億6千1百万円(前連結会計年度対比18億7千4百万円の増収)となった。なおセグメント別営業収入の概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している。
(ロ) 営業原価
当連結会計年度における営業原価は、298億5千8百万円(前連結会計年度対比15億9千1百万円の増加)となった。この結果、営業原価の営業収入に対する比率は89.2%となり、前連結会計年度の89.5%と比較して0.3ポイント低下した。
(ハ) 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、18億3千万円(前連結会計年度対比7千6百万円の増加)となった。
(ニ) 営業外損益
当連結会計年度における営業外収益は、3億2千2百万円(前連結会計年度対比6千8百万円の減少)となった。
営業外費用は1億9千8百万円(前連結会計年度対比1千4百万円の減少)となった。
金融収支は前連結会計年度より2千5百万円改善し、赤字額は僅少となった。
(ホ) 特別損益
当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益6百万円を計上した。一方、特別損失は、減損損失2億5百万円、業務システム開発中止に伴う損失引当金繰入額2億2千5百万円、固定資産除却損5千3百万円を計上した。
3)キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、災害損失の支払額がなかったこと等により、前連結会計年度に比べ8億9千5百万円増加し、35億9千1百万円となった。なお当連結会計年度における投資活動・財務活動によるキャッシュ・フローの概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載している。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載している。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資本構成
当社グループの当連結会計年度末における資本構成はその他の包括利益累計額を含めた自己資本が197億1千万円(前連結会計年度末対比8億9千9百万円の増加)で総資産に対する比率は50.2%、借入金が106億1千3百万円(前連結会計年度末比12億円の減少)同27.0%となっており、前連結会計年度末と比較して自己資本比率が0.5ポイント上昇し、借入金の比率は4.2ポイント低下している。自己資本比率の上昇は、利益剰余金の増加等による自己資本の増加率が、総資産の増加率を上回ったことによるものである。また、総資産借入金比率の低下は、借入金残高が減少したことと、環境配慮型の更新投資実施に伴う有形固定資産の建設仮勘定の増加や株価の上昇による投資有価証券の増加等に伴い総資産が増加したことによるものである。
2)資金の流動性
当社グループの当連結会計年度末における流動比率は58.4%で、前連結会計年度末における56.0%と比べ2.4%上昇した。
当連結会計年度の売上債権の平均滞留期間は1.4ヶ月で前連結会計年度と変わりなく、回収はおおむね順調であった。
3)財政政策
当社グループは現在、運転資金及び設備資金を内部資金及び借入により調達している。運転資金の借入については、当社が一括して金融機関等から短期借入により調達し、関係会社の資金需要に応じて貸し付ける方法をとっている。設備資金については、金融収支の安定性を重視し金融機関から主に長期固定金利の借入(変動金利による借入を金利スワップにより実質固定金利に変換する場合を含む)により調達している。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題等を達成するための客観的な指標として、平成31年度計画を以下のとおり掲げている。
(単位:億円)
当該指標に対し、当連結会計年度の期首時点での連結業績予想では、営業収入330億円、営業利益16億円、親会社株主に帰属する当期純利益11億円を見込んでいた。
当連結会計年度の埠頭・倉庫業界は、日本経済の緩やかな拡大を背景に、荷動きは回復基調で推移したが、人手不足や電気料及び燃料費の上昇を背景としたコストの増加と同業者間の競争激化など厳しい経営環境が継続した。
このような経営環境の中、当社グループでは、グループ各社の連携を一層強化し、営業拡大、経営基盤の強化、社会的責任の向上に取り組んできた。
国内総合物流事業では、国内貨物や輸入貨物の取扱数量が増加し、保管残高も前期を上回った。また、国際物流事業では、ロシア経済が回復基調にあることと新規貨物を集荷したことにより取扱数量が増加した。この結果、営業収入、営業利益とも見込みを上回った。しかし、業務システム開発の中止に伴い、特別損失を4億3千1百万円計上したことにより、最終利益は見込を下回った。
次期については、中期経営計画の達成に向けて当社グループは総合物流企業集団として、お客様に満足度の高い物流サービスを提供するとともに、中長期的な観点から設備投資や業務改革を計画的に行ってゆく。そして、競争力のある企業体質を構築し、健全で持続的な成長により企業価値を高めてゆく。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載している。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の埠頭・倉庫業界は、日本経済の緩やかな拡大を背景に、荷動きは回復基調で推移したが、人手不足や電気料及び燃料費の上昇を背景としたコストの増加と同業者間の競争激化など厳しい経営環境が継続した。
このような経営環境の中、当社グループでは、グループ各社の連携を一層強化し、営業拡大、経営基盤の強化、社会的責任の向上に取り組んできた。
国内総合物流事業では、国内貨物や輸入貨物の取扱数量が増加し、保管残高も前期を上回った。また、国際物流事業では、ロシア経済が回復基調にあることと新規貨物を集荷したことにより取扱数量が増加した。この結果、営業収入、営業利益、経常利益とも前期を上回った。しかし、業務システム開発の中止に伴い、特別損失を4億3千1百万円計上したことにより、最終利益は前期を下回った。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなった。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億6千2百万円増加し392億9千9百万円となった。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5億4千4百万円増加し195億6百万円となった。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億1千7百万円増加し197億9千2百万円となった。
b.経営成績
当連結会計年度の営業収入は334億6千1百万円(前期比18億7千4百万円、5.9%の増収)、営業利益は17億7千2百万円(前期比2億6百万円、13.2%の増益)、経常利益は18億9千6百万円(前期比1億5千2百万円、8.8%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億5千9百万円(前期比1億7千万円、15.1%の減益)となった。
セグメントの経営成績は次のとおりである。
*以下の営業収入及び営業利益は、セグメント間の取引を含んでいる。
○国内総合物流事業
国内総合物流事業の営業収入は、307億9千5百万円、前期比4.2%の増収、営業利益は16億5千8百万円、前期比14.0%の増益となった。国内貨物、輸入貨物の取扱数量及び保管残高の増加により営業収入は前期を上回った。また、穀類加工用設備の能力増強、新倉庫の稼働等により営業利益は前期を大きく上回った。
≪倉庫業≫
倉庫業の営業収入は、100億2千4百万円、前期比2.0%の増収となった。
平均保管残高は、27万トン(前期26万トン)、入出庫数量は、369万トン(前期348万トン)であった。普通倉庫貨物は、石油化学品、大豆、輸入食品等が増加した。輸入青果物は、アボカド等が減少したが、収穫量が回復したバナナ、パイナップルは増加した。冷蔵倉庫貨物は、農産物が減少したが、畜産物、水産物は増加した。
≪港湾運送業≫
港湾運送業の営業収入は、77億3千2百万円、前期比9.8%の増収となった。
ばら積み貨物の取扱数量は、532万トン(前期488万トン)であった。石炭は減少したが、鹿島支店での穀物類が増加した。また、前期に引き続き川崎支店の残土は都市部の再開発工事が進み、取扱いが更に増加した。
コンテナ取扱数量は、219千TEU(前期191千TEU)であった。川崎港での輸入雑貨が増加したほか、各港とも堅調に推移し取扱いが増加した。
≪自動車運送業≫
自動車運送業の営業収入は、冷蔵貨物、飼料等の取扱いが増加したことにより59億5千4百万円、前期比5.4%の増収となった。
≪その他の業務≫
その他の業務の営業収入は、70億8千4百万円、前期比0.7%の増収となった。工場構内作業は前期を下回ったものの、輸入貨物が堅調に推移したことにより通関などの収入が増加した。
○国際物流事業
国際物流事業の営業収入は、29億8千5百万円、前期比27.4%の増収、営業利益は1億4百万円、前期比2.7%の増益となった。ロシア周辺国向け貨物の取扱いが増加した。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より2億1千6百万円増加し、14億9千5百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、災害損失の支払額がなかったこと等により、前連結会計年度に比べ8億9千5百万円増加し35億9千1百万円となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、17億6千6百万円の純支出となった。資産除去債務の履行による支出はなかったが、固定資産の取得による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ1億6千7百万円純支出が増加した。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、16億6百万円の純支出となった。長期借入金の返済による支出が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ4億8千2百万円純支出が増加した。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、役務の提供を主体とする総合物流業者であり、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難であるため、これに代えてセグメント別業務別の営業収入及び取扱数量を記載している。
a.セグメント別業務別営業収入
当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)
セグメント名 | 業務の名称 | 営業収入 | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | ||
国内総合物流事業 | 倉庫業 | 10,024 | 102.0 |
港湾運送業 | 7,732 | 109.8 | |
自動車運送業 | 5,954 | 105.4 | |
その他の業務 | 7,084 | 100.7 | |
計 | 30,795 | 104.2 | |
国際物流事業 | 国際運送取扱業 | 2,985 | 127.4 |
合計 | 33,781 | 105.9 |
(注) 上記の金額には、セグメント間の取引が含まれている。
b.セグメント別業務別取扱数量
○国内総合物流事業
1) 倉庫業
(イ)倉庫入出庫残高及び回転率
項目 | 期首残高 | 入庫 | 出庫 | 期末残高 | 回転率(%) | |
数量 (千トン) | 数量 (千トン) | 数量 (千トン) | 数量 (千トン) | 数量 | ||
倉庫 | 前連結会計年度 | 257 | 1,562 | 1,590 | 228 | 55.8 |
(平成28年4月1日~ 平成29年3月31日) | ||||||
当連結会計年度 | 228 | 1,713 | 1,679 | 262 | 57.5 | |
(平成29年4月1日~ 平成30年3月31日) | ||||||
サイロ | 前連結会計年度 | 23 | 167 | 162 | 27 | 45.8 |
(平成28年4月1日~ 平成29年3月31日) | ||||||
当連結会計年度 | 27 | 146 | 156 | 17 | 45.9 | |
(平成29年4月1日~ 平成30年3月31日) |
(注) 貨物回転率は貨物荷動きの状況を示すものであって、下記の算式によって算定される。
回転率= | 年間入出庫高 | ×100 |
前月末残高及び当月末残高の年間累計 |
(ロ)倉庫品目別保管残高
品目 | 前連結会計年度 (平成29年3月31日現在) | 当連結会計年度 (平成30年3月31日現在) | ||
保管数量 | 保管数量 | |||
千トン | 比率(%) | 千トン | 比率(%) | |
倉庫 | ||||
農水産品 | 59 | 26.2 | 59 | 22.5 |
金属 | 6 | 2.9 | 5 | 1.9 |
金属製品・機械 | 3 | 1.4 | 4 | 1.6 |
窯業品 | - | - | 2 | 0.8 |
その他の化学工業品 | 57 | 25.1 | 84 | 32.1 |
紙・パルプ | 36 | 16.1 | 35 | 13.4 |
食料工業品 | 12 | 5.6 | 20 | 7.7 |
雑工業品 | 1 | 0.6 | 1 | 0.7 |
雑品 | 50 | 22.1 | 50 | 19.3 |
計 | 228 | 100.0 | 262 | 100.0 |
サイロ | ||||
農水産品 | 22 | 79.5 | 12 | 69.9 |
雑品 | 5 | 20.5 | 5 | 30.1 |
計 | 27 | 100.0 | 17 | 100.0 |
2) 港湾運送業
(イ)一般貨物
作業別 | 前連結会計年度 (平成28年4月1日~平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (平成29年4月1日~平成30年3月31日) |
搬入 | ||
本船揚(千トン) | 1,763 | 1,917 |
艀揚(千トン) | 11 | 0 |
車卸(千トン) | 257 | 283 |
計(千トン) | 2,032 | 2,202 |
搬出 | ||
本船積(千トン) | 843 | 871 |
艀積(千トン) | - | - |
車積(千トン) | 617 | 625 |
計(千トン) | 1,460 | 1,497 |
搬入、搬出を伴わない作業(千トン) | 3,310 | 3,669 |
合計(千トン) | 6,804 | 7,368 |
(ロ)コンテナ
作業別 | 前連結会計年度 (平成28年4月1日~平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (平成29年4月1日~平成30年3月31日) |
取扱数量(TEU) | 191,908 | 219,761 |
(注) TEU:20フィートコンテナ換算
3) 自動車運送業
扱別 | 前連結会計年度 (平成28年4月1日~平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (平成29年4月1日~平成30年3月31日) |
輸送数量(千トン) | 1,671 | 1,702 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されている。
a.投資の減損
当社グループは、長期的な資金の運用または長期的な取引関係の維持等のために、金融機関を含む取引先の株式等に対する投資を行っている。これらの投資には時価のある価格変動性の高い上場会社の株式と、時価の決定が困難な非上場会社の株式等が含まれており、当社グループはこれらの株式等の投資価値の低下が一時的でないものと判断した場合に減損処理を行うこととしている。当連結会計年度において計上した減損処理額はなく、当連結会計年度末において保有する上場会社の株式に係る未実現損失の額は僅少である。
b.固定資産の減価償却等
当社グループの主な事業である埠頭業・倉庫業は施設に多額の投資を行う必要があり、有形固定資産及び無形固定資産の当連結会計年度末における帳簿価額は244億1千7百万円で総資産額の62.1%、営業収入の額の73.0%に相当している。当社グループは、平成10年4月1日以降に取得した建物(建物附属設備を除く)並びに平成28年4月1日以降取得した建物附属設備及び構築物を除く有形固定資産の減価償却方法について定率法を採用し、投資資金の早期回収を図っている。当連結会計年度における減価償却費の計上額は14億8千2百万円であり、これは減価償却の対象となる固定資産の当連結会計年度末における帳簿価額の9.7%に相当している。
c.退職給付に係る会計処理
当社グループは、退職給付費用及び債務の計算の前提となる割引率を、退職給付の支払見込期間を反映したAA格以上の普通社債の連結会計年度末における市場利回りを勘案して設定している。
当社グループの数理計算上の差異の主な発生原因は、退職給付信託の設定に伴い当社が拠出した株式の想定外の価格変動及び割引率の変更によるものであり、その処理方法は発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法によっている。当連結会計年度末における数理計算上の差異の未認識額は2億7千4百万円(借方残高)である。
制度移行に伴う過去勤務費用の処理方法は、数理計算上の差異の処理方法に準じて、発生時の従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(15年)による定額法によることとしている。当連結会計年度末における過去勤務費用の未認識額は1千8百万円(貸方残高)である。
d.繰延税金資産
当社グループの税効果会計の適用に際しては、グループ各社の所得の過去の発生状況及び将来の発生見込に基づくスケジューリングの結果等を勘案して繰延税金資産の回収可能性の判定を行っている。当社グループにおいては、スケジューリング不能のもの、所得の発生見込みに不確実性の存する一部の連結子会社に係るもの等を除き回収可能であると判断している。
また、連結納税制度を採用しており、これに沿った会計処理を行っている。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ14億6千2百万円増加し392億9千9百万円となった。流動資産は、現金及び預金や受取手形及び営業未収入金の増加に伴い、前連結会計年度末に比べ7億3千1百万円増加した。固定資産は、有形固定資産で建設仮勘定が増加したことや株価の上昇により投資有価証券が増加したこと等で、前連結会計年度末に比べ7億3千万円増加した。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べ5億4千4百万円増加し195億6百万円となった。借入金は長期短期合わせて12億円減少したが、未払法人税等や設備関係支払手形等が増加した。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ9億1千7百万円増加し197億9千2百万円となった。利益剰余金が5億7千3百万円、その他有価証券評価差額金が3億1千4百万円増加した。
この結果、自己資本比率は50.2%で前連結会計年度末比0.5ポイント上昇した。
2)経営成績
(イ) 営業収入
当連結会計年度における営業収入は、334億6千1百万円(前連結会計年度対比18億7千4百万円の増収)となった。なおセグメント別営業収入の概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載している。
(ロ) 営業原価
当連結会計年度における営業原価は、298億5千8百万円(前連結会計年度対比15億9千1百万円の増加)となった。この結果、営業原価の営業収入に対する比率は89.2%となり、前連結会計年度の89.5%と比較して0.3ポイント低下した。
(ハ) 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、18億3千万円(前連結会計年度対比7千6百万円の増加)となった。
(ニ) 営業外損益
当連結会計年度における営業外収益は、3億2千2百万円(前連結会計年度対比6千8百万円の減少)となった。
営業外費用は1億9千8百万円(前連結会計年度対比1千4百万円の減少)となった。
金融収支は前連結会計年度より2千5百万円改善し、赤字額は僅少となった。
(ホ) 特別損益
当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益6百万円を計上した。一方、特別損失は、減損損失2億5百万円、業務システム開発中止に伴う損失引当金繰入額2億2千5百万円、固定資産除却損5千3百万円を計上した。
3)キャッシュ・フローの状況
当社グループの当連会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、災害損失の支払額がなかったこと等により、前連結会計年度に比べ8億9千5百万円増加し、35億9千1百万円となった。なお当連結会計年度における投資活動・財務活動によるキャッシュ・フローの概要については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載している。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載している。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)資本構成
当社グループの当連結会計年度末における資本構成はその他の包括利益累計額を含めた自己資本が197億1千万円(前連結会計年度末対比8億9千9百万円の増加)で総資産に対する比率は50.2%、借入金が106億1千3百万円(前連結会計年度末比12億円の減少)同27.0%となっており、前連結会計年度末と比較して自己資本比率が0.5ポイント上昇し、借入金の比率は4.2ポイント低下している。自己資本比率の上昇は、利益剰余金の増加等による自己資本の増加率が、総資産の増加率を上回ったことによるものである。また、総資産借入金比率の低下は、借入金残高が減少したことと、環境配慮型の更新投資実施に伴う有形固定資産の建設仮勘定の増加や株価の上昇による投資有価証券の増加等に伴い総資産が増加したことによるものである。
2)資金の流動性
当社グループの当連結会計年度末における流動比率は58.4%で、前連結会計年度末における56.0%と比べ2.4%上昇した。
当連結会計年度の売上債権の平均滞留期間は1.4ヶ月で前連結会計年度と変わりなく、回収はおおむね順調であった。
3)財政政策
当社グループは現在、運転資金及び設備資金を内部資金及び借入により調達している。運転資金の借入については、当社が一括して金融機関等から短期借入により調達し、関係会社の資金需要に応じて貸し付ける方法をとっている。設備資金については、金融収支の安定性を重視し金融機関から主に長期固定金利の借入(変動金利による借入を金利スワップにより実質固定金利に変換する場合を含む)により調達している。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題等を達成するための客観的な指標として、平成31年度計画を以下のとおり掲げている。
(単位:億円)
平成31年度計画 | |
営業収入 | 360 |
営業利益 | 20 |
親会社に帰属する当期純利益 | 13 |
当該指標に対し、当連結会計年度の期首時点での連結業績予想では、営業収入330億円、営業利益16億円、親会社株主に帰属する当期純利益11億円を見込んでいた。
当連結会計年度の埠頭・倉庫業界は、日本経済の緩やかな拡大を背景に、荷動きは回復基調で推移したが、人手不足や電気料及び燃料費の上昇を背景としたコストの増加と同業者間の競争激化など厳しい経営環境が継続した。
このような経営環境の中、当社グループでは、グループ各社の連携を一層強化し、営業拡大、経営基盤の強化、社会的責任の向上に取り組んできた。
国内総合物流事業では、国内貨物や輸入貨物の取扱数量が増加し、保管残高も前期を上回った。また、国際物流事業では、ロシア経済が回復基調にあることと新規貨物を集荷したことにより取扱数量が増加した。この結果、営業収入、営業利益とも見込みを上回った。しかし、業務システム開発の中止に伴い、特別損失を4億3千1百万円計上したことにより、最終利益は見込を下回った。
次期については、中期経営計画の達成に向けて当社グループは総合物流企業集団として、お客様に満足度の高い物流サービスを提供するとともに、中長期的な観点から設備投資や業務改革を計画的に行ってゆく。そして、競争力のある企業体質を構築し、健全で持続的な成長により企業価値を高めてゆく。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載している。