有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/15 14:06
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145項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の我が国経済は、エネルギー価格や物価の高止まりなどにより、消費者マインドの回復には時間を要しましたが、雇用・所得環境の改善や各種経済政策が下支えとなり、個人消費には持ち直しの動きが見られました。景気全体としては緩やかな回復基調を維持しつつも、諸外国における地政学的リスクや金融資本市場の変動の影響など先行きには依然として不透明感が残っています。
旅行業界におきましては、国内旅行については、宿泊費を含む旅行代金の上昇や生活コストの増加により、消費者の節約志向が強まっていることが主な要因となり、需要が伸び悩みました。海外旅行については、円安の進行や渡航先の物価上昇、原油価格の高止まりなどによって旅行代金が高騰し、本格的な需要回復には時間を要していますが、コロナ禍以前の水準へ向けて徐々に回復が進みました。なお、中東圏の情勢については、予断を許さない状況にあります。一方、訪日旅行については、円安の継続や航空座席供給の増加を背景に需要が大きく伸び、旅行業界全体を力強く牽引しました。
このような状況の下、当社グループは、2025年4月から10月に開催された「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)©Expo 2025」関連事業の取扱いに注力し、個人旅行や団体・教育旅行による送客のみならず、パビリオン運営や警備員宿泊などの事業も受託しました。
国内旅行では、クラブツーリズムで、にっぽん丸チャータークルーズ、奈良および京都の国立博物館を巡る特別展貸切鑑賞、テレビドラマの世界観を再現したツアーなどが好評を博したほか、年末年始の連休を活用した商品の販売促進にも注力しました。近畿日本ツーリストでは、企業系コンベンションなどの法人需要や修学旅行に加え、「東京2025世界陸上競技選手権大会」にも積極的に関与し、大会関係者の宿泊・輸送、参加チームの事前合宿、一般観戦ツアーなどを幅広く取り扱いました。
海外旅行では、クラブツーリズムの添乗員同行ツアーで、2025年11月に開館した大エジプト博物館見学と遺跡の特別見学を組み込んだツアー、大型外国船「ダイヤモンド・プリンセス」のチャータークルーズなど、高付加価値商品が好評を博しました。近畿日本ツーリストでは、本年、イタリアで開催された冬季国際スポーツ大会の観戦ツアー、企業イベントや報奨旅行などのMICE案件、海外見本市をはじめとする視察旅行などの受注拡大に努めました。
訪日旅行では、クラブツーリズムの多言語対応のグローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」において、日本各地の花火大会や紅葉の名所を訪れる添乗員同行ツアーが好評を博しました。近畿日本ツーリストブループラネットの「東京マラソン2026」における、海外ランナーの受入れおよび多言語対応のヘルプデスク設置などの大会運営支援の事業も、着実に実施しました。
さらに、店舗展開では、顧客ニーズに寄り添った質の高いサービスの提供を実現することを目的に、近畿日本ツーリストでは、大阪・梅田の大型複合商業施設内に「旅はここから始まる」をテーマとした新店舗「LINKS UMEDA店」をグランドオープンしました。また、クラブツーリズムでは、最上級ブランドの専用サロンである「ロイヤル・グランステージ 銀座サロン」をより上質な体験価値の創出を目指してリニューアルオープンしました。
加えて、観光振興および地域活性化を推進するため、島根県や岐阜県高山市、北海道上富良野町と包括連携協定を締結し、継続的な交流を通じて各地域の魅力向上と連携強化に注力しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、主に現金及び預金や旅行前払金が減少したものの、預け金、繰延税金資産および受取手形、営業未収金及び契約資産などの増加により1,466億62百万円となり、前連結会計年度末に比較して99億28百万円(7.3%)の増加となりました。一方、負債合計は、主に旅行前受金が増加したものの、預り金、旅行券等などの減少により845億22百万円となり、前連結会計年度末に比較して8億89百万円(1.0%)の減少となりました。
当連結会計年度末の純資産は、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により621億39百万円となり、前連結会計年度末に比較して108億18百万円(21.1%)の増加となりました。
この結果、自己資本比率は42.3%(前連結会計年度末 37.5%)、1株当たり純資産は670.56円(前連結会計年度末 310.44円)となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の連結業績は、連結売上高は2,970億65百万円(前年同期比8.2%増)、連結営業利益は60億71百万円(前年同期比0.5%増)、連結経常利益は75億55百万円(前年同期比11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は96億82百万円(前年同期比26.1%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して39億86百万円増加し920億60百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は70億62百万円の増加(前期は42億23百万円の増加)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増加による影響で15億92百万円減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上で75億51百万円、旅行前払金の減少による影響で21億7百万円それぞれ増加したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は31億20百万円の減少(前期は9億41百万円の減少)となりました。これは主に差入保証金の回収による収入で5億5百万円増加したものの、固定資産の取得による支出で27億35百万円、差入保証金の差入による支出で3億8百万円それぞれ減少したためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は61百万円の減少(前期は2億18百万円の減少)となりました。これは主に連結子会社の増資による収入で37百万円増加したものの、リース債務の返済による支出で98百万円減少したためであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容についての記載を省略しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
(a)経営成績
(売上高と営業利益)
当連結会計年度の売上高は、前期に引き続き海外旅行を中心に取扱いが増加し、前連結会計年度に比べ、8.2%増の2,970億65百万円となりました。
一方で、増収に伴い売上総利益が増加しているものの、人的投資およびシステム投資の増加や中東情勢による海外旅行の催行中止等により、営業利益は0.5%増の60億71百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は、14億84百万円の収益超過となり、主に受取利息および営業債務整理益が増加したため、前連結会計年度に比べ7億48百万円の増益となった結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ11.5%増の75億55百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、4百万円の損失超過となり、主に前連結会計年度に特別利益として8億80百万円の投資有価証券売却益の計上があったため、前連結会計年度に比べ8億62百万円の減益となりました。
また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は、3億57百万円、法人税等調整額は繰延税金資産の追加計上を行ったため△25億4百万円となり、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ26.1%増の96億82百万円となりました。
(b)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループをとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大や航空会社・宿泊事業者による直販強化等により、事業環境は著しく変化しております。
また、旅行市場は、国内旅行においては、宿泊代金の高騰や物価上昇の影響により需要の伸び悩みが見られます。一方、訪日旅行においては、円安基調の継続や日本の観光地としての魅力が需要を牽引し、引き続き拡大が見込まれる状況にあります。また、海外旅行においても回復傾向が続いているものの、為替動向や旅行費用の上昇の影響を受けやすい状況にあります。加えて、中東地域をはじめとした国際情勢の不安定化は、旅行需要や航空供給に影響を及ぼす可能性があり、引き続き注視が必要な状況にあります。
当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、テロ、紛争および感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、為替変動、物価上昇等の影響、天候や休日の日並びの良否のほか、市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。
(b)今後の見通し
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(a)資金需要
当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入および販売費及び一般管理費が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。
(b)財務政策
当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておりません。
また、当社グループの資金需要については、当社が一元管理するとともに資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムにより、グループ各社の一時的な資金の集中および配分を行っております。
なお、当社グループ全体の一時的な資金は、流動性・安全性・収益性を検討のうえ、親会社である近鉄グループホールディングス株式会社のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益を重視するとともに、安定性や効率性を計る指標として自己資本比率を定めております。
当連結会計年度における自己資本比率は42.3%(前期比4.8ポイント改善)ではありますが、今後不測の事態にも耐えうる資本の厚みを維持しつつ、効率性にも配慮のうえ、経営を進めてまいります。

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