有価証券報告書-第33期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
第33期連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
なお、当社グループは、第33期連結会計年度よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しています。IFRS第15号の経過措置に従い、表示する過去の各報告期間に遡及して適用しています。また、第33期連結会計年度における共通支配下の取引(すべての結合企業または結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ親会社によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)について、実際の共通支配下の取引日にかかわらず親会社による被取得企業の支配獲得日もしくは比較年度の期首時点のいずれか遅い日に取得したものとみなして、被取得企業の財務諸表を当社グループの連結財務諸表の一部として遡及して結合しています。そのため、下記当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析は、上記内容を反映しています。
(1) 連結経営成績の状況
a. 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
日本の通信市場においては、政府の競争促進政策に基づき、通信設備を保有する移動体通信事業者(MNO)から設備を借り受けて通信サービスを提供するMVNOのサービスが普及したことに加え、直近ではMNOにおいても、更なる価格引き下げや新規参入が見込まれ、通信事業者間の競争はますます激化しています。上記に加え、消費税増税や米中の貿易摩擦などの世界政治の緊張により、景気の見通しに対する不確実性が高まっています。
このような市場環境の変化の中、当社グループでは中長期の持続的な成長に向けて、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。この戦略は、通信事業の顧客基盤を拡大しつつ、その基盤を活かしてサービス・コンテンツの拡充や、新たな領域へ事業を拡大していくものです。特に、サービスや場所などを多くの人と共有して利用するシェアリングエコノミーに係る領域や、AIやIoTを始めとした先端技術を活用した領域等で、ビジネスモデルの創出に注力しています。これらの取り組みは、スマートフォンの利用シーンの拡大を通じて、当社グループの事業の成長につながるものです。
顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるユーザー向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランドと、月々の通信料を抑えることを重視するお客さまに、スマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランドの拡販に注力しました。さらに、2018年4月にLINEモバイル㈱を子会社化したことに伴い、「LINEモバイル」ブランドの提供を始めました。この3ブランドでのサービス提供により、さらにお客さまの多様なニーズに応えることができるようになりました。加えて、2018年9月より「SoftBank」ブランドで、通信料金と端末代金を分離した「ウルトラギガモンスター+(プラス)」の提供を始めました。その結果、当期末のスマートフォン契約数は、前期末比で195万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、「SoftBank光」契約数は、前期末比で94万件増加しました。また、2019年度には5Gのプレサービスを開始する予定です。これに向けて、2019年3月に、福岡ヤフオク!ドームで多視点切り替え可能な3Dパノラマ映像を用いた、VR(仮想現実)空間における試合観戦に関する実証実験を開始しました。加えて、当社と同様にソフトバンクグループ㈱を親会社とするヤフー㈱との協業により、当社ならではの価値の提供に取り組んでいます。具体的には、「Yahoo!ショッピング」等で商品を購入した際に「Tポイント」(注1)を最大10%付与するキャンペーンや、「Yahoo! JAPAN ID」との連携による「Yahoo!プレミアム」特典の無償提供を通じて、当社のスマートフォンユーザーに対する満足度向上を図っています。なお当社は、ヤフー㈱とのビジネス上の連携強化を目的として、2018年8月9日、米国Altaba Inc.が所有するヤフー㈱普通株式の一部を公開買付けにより取得しました。本公開買付けにより、当社が保有するヤフー㈱の議決権割合は12.08%(注2)になりました。
新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループの投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。これらの連携の中で、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であり、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
ヤフー㈱と共同で設立したPayPay㈱は、バーコードやQRコードを用いたスマートフォン決済サービス「PayPay」の提供を行っています。2018年10月より「Alipay」(注3)とのサービス連携を開始し、中国国内7億人以上の「Alipay」アクティブユーザーが、「PayPay」加盟店で決済ができるようになりました。また、同年12月より実施した「PayPay」での支払額の一部または全額をユーザー還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」では、開始から10日間で還元額が上限の100億円に達し、認知度が大きく向上しました。2019年2月からは第2弾のキャンペーンとして「第2弾100億円キャンペーン」を実施しています。
世界27カ国100都市(注4)でコワーキングスペース提供を行うWeWork Companies Inc.との合弁会社であるWeWorkJapan合同会社は、東京都内12拠点に加え、横浜、大阪、福岡にも展開し、全国15箇所で拠点を開設しています。
中国をはじめとした400都市以上(注5)で交通プラットフォームを手掛ける滴滴出行(Didi Chuxing Technology Co.,Ltd.、以下「DiDi」)との合弁会社であるDiDiモビリティジャパン㈱では、大阪エリアでのタクシー配車プラットフォームの提供を行っています。中国の「DiDi」アプリをそのまま日本国内で利用できるため、訪日中国人観光客の需要を取り込みつつ、各種キャンペーンにより国内の利用客の乗車数が順調に増加しています。今後、東京をはじめ国内の主要都市にも順次拡大していきます。
当社とトヨタ自動車㈱は、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、新会社MONET Technologies㈱を設立し、共同で事業を開始しました。2019年3月には、自動運転社会を見据えて多様な業界・業種の企業とアイデアを出しあい、移動において企業や自治体が抱える社会課題やニーズに対応していくため、「MONETコンソーシアム」を設立しました(2019年3月末時点で88社が参加)。
また、同じく2019年3月に同社は日野自動車㈱および本田技研工業㈱と資本・業務提携に関する契約を締結しました。両社が加わることにより、より多くの人や物の移動に関するデータが収集され、MaaS事業の価値向上と、モビリティサービスユーザーへのサービス向上が可能となります。
(注1) 「期間固定Tポイント」を含みます。
(注2) 2018年9月末時点のヤフー㈱における自己株式消却後の数字です。
なお、当社は、2019年5月に、ソフトバンクグループ㈱の子会社であるヤフー㈱の連結子会社化を目指して、ヤフー㈱が実施する当社を割当先とする第三者割当による新株式発行を引受けることを決定しました。(本取引についての詳細は、「1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 41.重要な後発事象 (1)ヤフーの子会社化を目的とした当社による「第三者割当増資の引受け」およびヤフーによる「自己株式の公開買付け」について」をご参照ください。)また、ヤフー㈱においては、当社によるヤフー㈱普通株式の追加取得と並行して、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるソフトバンクグループジャパン㈱が保有するヤフー㈱普通株式を対象とする自己株式の公開買付けを実施する予定です。以上の取引完了後、当社はヤフー㈱の発行済株式総数(自己株式数を除く)の44.64%を所有することになると見込まれます。
(注3) 「Alipay」:アリババグループの関連会社アント・フィナンシャルサービスグループが提供するモバイルおよびオンライン決済プラットフォームです。
(注4) 2019年1月時点の数字です。
(注5) 2018年7月時点の数字です。
ⅱ.連結経営成績の概況
(注) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は、前期比163,670百万円(4.6%)増の3,746,305百万円となりました。コンシューマ事業では68,611百万円、法人事業では16,312百万円、流通事業では70,229百万円の増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、前期比81,526百万円(12.8%)増の719,459百万円となりました。コンシューマ事業では35,470百万円、法人事業では5,714百万円、流通事業では1,866百万円の増益となりました。なお、前期においては、ソフトバンクグループ㈱に対する「ソフトバンク」ブランドに係るブランド使用料43,803百万円を費用として計上していましたが、2018年3月に同ブランドに係る商標利用権を取得したことに伴い、当期では、同使用料は発生していません。なお、商標利用権は耐用年数を確定できない無形資産として計上しているため、償却していません。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比24,167百万円(6.0%)増の425,572百万円となりました。なお金融費用は、前期比18,316百万円増の57,130百万円となりました。これは、金融機関等からの借入金の期中平均残高が増加したことによるものです。また、持分法による投資損失は、前期比21,567百万円増の25,337百万円となりました。これは主として、PayPay㈱において事業拡大のための施策を行ったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、営業利益の増加により、前期比30,028百万円(7.5%)増の430,777百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
調整後EBITDAについては、前期比52,923百万円(4.6%)増の1,209,759百万円となりました。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています(詳細は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください)。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」な
ど
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法) 解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU (Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など) ÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU + 固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれませ ん。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、付随する携帯端末の販売を含む移動通信サービスや、ブロードバンドサービス等の通信サービスを提供しています。携帯端末の販売については、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
(当期の主な取り組み)
・2018年4月に、LINEモバイル㈱を子会社化したことにより、当社は「LINEモバイル」ブランドの提供を開始しました。同ブランドは、メッセンジャーアプリ「LINE」等の主要SNSの使い放題プランを特徴とした、若年層向けモバイルサービスです。
・2018年6月より、「おうちでんき」のサービス提供エリアを拡大しました。その結果、東北電力㈱、中部電力㈱、関西電力㈱、中国電力㈱、四国電力㈱の各エリアに加えて、東京電力㈱と北海道電力㈱の両エリアにおいても同サービスの提供を開始しました。
・2018年9月より、通信料金と端末代金を分離した新たな料金サービスである「ウルトラギガモンスター+」と「ミニモンスター」の提供を開始しました。「ウルトラギガモンスター+」は、50GBのデータ容量に加えて、対象の動画サービスやSNSがデータ消費の対象外となる料金サービスで、各種割引の適用により月額3,480円(税抜)(注1)から提供するものです。なお、2019年9月30日まで、対象サービスに限らずメールやインターネット、アプリなどすべてのデータ通信が使い放題となる「ギガ使い放題キャンペーン」を提供しています。また、「ミニモンスター」は、データ使用量に応じて4段階の定額料が自動的に適用され、各種割引の適用により月額1,980円(税抜)(注2)から提供するものです。
・2018年10月よりApple Inc.の新商品「iPhone XR」、同年11月には日本初登場となる「Google」のスマートフォンである「Google Pixel 3」、「Google Pixel 3 XL」の販売を開始しました。
(注1) 「1年おトク割」、「おうち割光セット」適用かつ「みんな家族割+」の加入人数が4人以上の場合
です。
(注2) 「1年おトク割」、「おうち割光セット」適用かつデータ使用量が1GBまでの場合です。
<業績全般>
売上高の内訳
売上高は、前期比68,611百万円(2.6%)増の2,680,476百万円となりました。
通信サービス売上は、前期比84,387百万円(4.4%)増加し、1,989,717百万円となりました。うちモバイルは前期比39,635百万円(2.5%)増加しました。主として、スマートフォン契約数の増加と、端末の割賦契約期間の長期化や通信料金と端末代金の分離プランである「ウルトラギガモンスター+」契約数の増加に伴う「月月割」割引額の減少が増収に寄与したことによるものです。
通信サービス売上のうち、ブロードバンドは、前期から44,752百万円(14.1%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。
物販等売上は、前期比15,776百万円(2.2%)減少し、690,759百万円となりました。主として、提供エリア拡大に伴い「おうちでんき」サービスにかかる売上高が増加した一方で、端末の販売台数が減少したことによる端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は2,053,040百万円となり、前期比で33,141百万円(1.6%)増加しました。これは、端末の販売台数減少に伴い商品原価が減少した一方で、「おうちでんき」サービスにかかる仕入原価の増加、販売手数料の増加やブロードバンドにおける「SoftBank 光」契約数の増加に伴う通信設備使用料等の原価が増加したことによるものです。また、減価償却費及び償却費の減少は、主として前期において、一部周波数帯における3Gサービスの停波を実施した影響があったためです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比35,470百万円(6.0%)増の627,436百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、携帯電話と固定電話を統合しシームレスな内線通話を可能にする「ConnecTalk(コネクトーク)」、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービスおよびAI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
また、2019年3月末現在約110名が在籍するデジタルトランスフォーメーション(注)の専門部署において、新たなテクノロジーを用いた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先の事業の日本展開や、お客さまと共同で新たな事業を作り出す「共創」に注力し、あらゆる産業のデジタライゼーションを推進しています。
(当期の主な取り組み)
・2018年5月に、㈱IDCフロンティアを子会社化しました。同社が有するサービス基盤を最大限に活用して、利用者の幅広いニーズに応えるクラウドサービスを強化しています。
・2018年10月に、㈱ジェイ・ディー・パワージャパンによる「2018年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」大企業セグメントで、総合満足度1位を受賞しました。「サービス内容・品質」、「障害・トラブル対応」、「営業・導入対応」、「コスト」の総合評価で最も高い評価を受け、2年連続での受賞となりました。
・2018年11月に、ソフトバンクロボティクス㈱と共に、オフィスや業務フロア向けのバキューム清掃ロボット
「Whiz(ウィズ)」の提供を発表しました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先であるBrain Corp.の自動運転技術「BrainOS」を搭載しており、複数のセンサーが障害物を検知することで回避しながら走行することが可能です。オフィスのほか学校、病院、ホテル、店舗などさまざまな施設における清掃分野の人手不足を補完・解消するソリューションとなります。
・2019年1月に石巻市、2019年2月に岐阜市および神奈川県、2019年3月に栃木県および鎌倉市との間で包括協定を締結しました。2019年3月末までに合計24の自治体と包括協定を結び、それぞれの自治体と協力しながらICTを活用した次世代教育や観光活性化などの地域の課題解決を図るとともに、自治体サービスの効率を高めるスマートシティの実現に向けた検討を進めています。
(注) デジタルトランスフォーメーション:企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務
等を変革していくことです。
<業績全般>
売上高の内訳
売上高は、前期比16,312百万円(2.7%)増の620,483百万円となりました。そのうち、モバイルは、前期比3,559百万円(1.3%)増の268,097百万円、固定は、前期比3,361百万円(1.6%)減の207,397百万円、ソリューション等は、前期比16,114百万円(12.5%)増の144,989百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数が増加したことによるものです。
ソリューション等売上の増加は、主として、クラウドサービスやデジタル広告の売上が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は544,135百万円となり、前期比で10,598百万円(2.0%)増加しました。主として、過年度に計上した受注損失引当金に係る戻入を計上した一方で、ソリューション売上の増加に伴う原価の増加と無形資産の除却費が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比5,714百万円(8.1%)増の76,348百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトとサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・供給を行っています。
(当期の主な取り組み)
・2018年7月に、ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)は、㈱MCJ、㈱ホロラボとのAR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)の各分野における業務提携を発表しました。主として土木・製造・建設業界に向けた販売体制を整え、導入提案の促進ならびに技術的なサポートとともにソリューション開発を資金面で支援しています。2019年2月より、3D設計データを自動でAR/MRに変換可能な製造業・建設業向け可視化ソリューション「mixpace(ミクスペース)」の販売を開始しました。
・2018年11月より、ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)が販売開始した「GLIDiC(グライディック)」(注)のワイヤレスイヤホンが、品質・デザインについて高い評価を得て、㈱音元出版主催の国内最大級のオーディオ・ビジュアルアワード「VGP 2019」を受賞しました。海外においても、国際的に権威のあるドイツの「iFDesign Award 2019」「レッドドット・デザイン賞2019」とアメリカの「シカゴ・グッドデザイン賞2018」を受賞しました。
・2019年2月にSB C&S㈱は、オートメーション・エニウェア・ジャパン㈱とAI・RPAや分析技術を融合したデジタルワークフォースプラットフォームの普及に向けて、国内で初めて唯一の最上位プラチナム/ディストリビューター契約を締結しました。
・2019年3月にSB C&S㈱は、当社とCohesity Inc.の合弁会社であるCohesity Japan㈱と販売代理店契約を締結しました。セカンダリデータとアプリケーションのバックアップ、保存、管理をシンプルかつ単一的に実現できるセカンダリストレージ製品の取り扱いを開始しました。
(注) 「GLIDiC」:ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)が展開するモバイルのためのオーディオブ
ランドの名称です。
<業績全般>
売上高は、前期比70,229百万円(20.2%)増の417,297百万円となりました。主として、法人のお客さま向けのPC・サーバーなど既存商材の販売が堅調に推移したことや、クラウドサービスのライセンス数拡大などの安定的な収益源が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は402,115百万円となり、前期比で68,363百万円(20.5%)増加しました。主として、上記売上の増加に伴い、商品原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比1,866百万円(14.0%)増の15,182百万円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通の3つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、第33期連結会計年度における販売の状況については下記の通りです。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(2) 連結財政状態の状況
(資産)
当期末の総資産は、前期末から469,478百万円(8.8%)増加し、5,775,045百万円となりました。ヤフー㈱の株式取得によるその他の金融資産や、現金及び現金同等物が増加しました。
(負債)
当期末の負債は、前期末から90,283百万円(2.0%)増加し、4,510,590百万円となりました。主として、有利子負債が増加したことによるものです。なお有利子負債は、ソフトバンクグループ㈱からの短期借入を返済し、新たに金融機関からの長期借入を行いました。その結果、流動負債の有利子負債が減少し、非流動負債の有利子負債が増加しました。(詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 19.有利子負債」をご参照ください。)
(資本)
当期末の資本は、前期末から379,195百万円(42.8%)増加し、1,264,455百万円となりました。主として、利益剰余金が増加したことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、親会社との一時的な取引、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・
キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照
ください。
(注2) 設備投資(検収ベース)には、レンタル端末への投資額を含んでいます。2018年3月31日に終了した1年間
のレンタル端末投資額は30,045百万円、2019年3月31日に終了した1年間のレンタル端末投資額は33,065
百万円です。
a. 営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として純利益の増加により、前期比99,984百万円収入が増加し、826,582百万円の収入となりました。
b. 投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比6,653百万円支出が減少し、614,738百万円の支出となりました。前期の有形固定資産及び無形資産の取得による支出には、ソフトバンクグループ㈱より「ソフトバンク」ブランドの商標利用権を取得した350,000百万円(取引コスト除く)の支出が含まれており、当期の投資の取得による支出には、ヤフー㈱の株式取得に要した221,148百万円の支出が含まれています。
c. 財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比80,157百万円支出が減少し、25,084百万円の収入となりました。これは、主として共通支配下の子会社取得のための支出が、前期より87,633百万円減少したことによるものです。なお、前期においてはソフトバンクグループインターナショナル合同会社(現ソフトバンクグループジャパン㈱)への配当金支払いとそれに伴うソフトバンクグループ㈱からの借入取引がありました。
d. 現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比236,928百万円増の357,971百万円となりました。
e. 調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、主としてヤフー㈱の株式取得による支出により、前期比215,929百万円減の292,078百万円の収入となりました。
f. 設備投資
当期の設備投資(検収ベース)は、LTEサービスのエリア拡大と品質向上を進めたことにより、前期比33,180百万円増の413,316百万円となりました。
g. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a. 調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」の計上額の詳細は以下の通りです。
2018年3月31日に終了した1年間
当社グループは、新規に取得した周波数に属する既存の利用者を他の周波数帯に移行させるための債務を計上していましたが、周波数帯の移行に関連する費用の最終的な精算に際し一部の債務については当社グループが負担する必要がなくなったため、これを取崩し「移行促進措置終了に伴う債務取崩額」として、「その他の営業収益」に4,044百万円を認識しました。
また、当社グループはスポーツコンテンツ配信サービスの事業計画の見直しを行った結果、関連する棚卸資産の正味実現可能価額が帳簿価額を下回ったため、13,754百万円の評価減を「その他の営業費用」に認識しています。
2019年3月31日に終了した1年間
当社グループのスポーツコンテンツ配信サービスにおいて、サッカー主要リーグの放映権を保有する取引先(以下「ライセンサー」)が、権利元であるサッカー主要リーグから、ライセンス料の支払遅延を理由として、サッカー主要リーグの放映契約を解除されました。
これを要因とし、当社グループはライセンサーよりサッカー主要リーグの放映契約の解除通知を受けました。このため、当社グループは、同社より取得した配信権の評価減4,770百万円を「その他の営業費用」として認識しました。また、当契約解除に伴い配信権取得にかかる債務の取り崩しを行ったことにより4,689百万円を「その他の営業収益」として認識しています。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2018年3月31日に終了した1年間 477,281百万円 2019年3月31日に終了した1年間 452,180百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2018年3月31日に終了した1年間 31,912百万円 2019年3月31日に終了した1年間 38,039百万円)が含まれています。
b. 営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費および一時的な費用及び収益を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
c. フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標であり、営業費用および資本的支出の影響を考慮した後のキャッシュ・フローを示しています。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから、親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、当社普通株式の上場準備のための一時的な取引または上場後には発生しない取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
ソフトバンクグループは、資金効率の最大化を目的として、余剰資金の貸借をはじめとしたグループ会社間での資金取引を実施しています。この資金取引には、親会社への貸付やその返済および付随する受取利息が含まれます。これらは当社の上場後には発生しない本来の事業活動とは関係のない取引であり、上場後の営業活動および投資活動によるフリー・キャッシュ・フローとの比較可能性を担保するため、「親会社への貸付による支出」、「親会社からの貸付回収による収入」、「親会社への貸付に付随する利息の受取額」という項目でフリー・キャッシュ・フローから控除しています。さらに、2018年3月期に係るブランド料の支払い完了後は発生しない「ブランド使用料の支払い」、および、2018年3月に一括取得した「商標利用権取得」は、上場後は発生しない取引のため、上記の項目と同様に当該取引を親会社との一時的な取引としてフリー・キャッシュ・フローの調整項目として除外しています。
一方、財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外) に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「短期貸付金貸付による支出」、「短期貸付金回収による収入」、「長期貸付金貸付による支出」、「長期貸付金回収による収入」および「その他」の純額です。
(注3) 親会社への貸付による支出に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「短期貸付金貸付による支出」に含まれています。
(注4) 親会社からの貸付回収による収入に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる「短期貸付金回収による収入」に含まれています。
(注5) 親会社への貸付に付随する利息の受取額に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローの「利息及び配当金の受取額」に含まれています。
(注6) 消費税等を含みます。
(注7) ブランド使用料の支払いに関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(注8) 商標利用権取得による支出に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」に含まれています。
(注9) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「長期有利子負債の収入」および「長期有利子負債の支出」に含まれています。割賦債権の流動化による調達額および返済額の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 19.有利子負債 (3) 財務活動から生じた有利子負債の変動」をご参照ください。
(5) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
a. のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産
のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産は、日本基準では一定期間にわたり規則的に償却を行いますが、IFRSでは規則的な償却は行わずに各年度の一定時期に減損テストを実施しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31に終了した1年間における販売費及び一般管理費が50,472百万円減少しています。
b. 収益認識
日本基準においては、通信契約に関連する代理店への販売手数料は、発生時に費用として認識していましたが、IFRSでは、これらの販売手数料を契約獲得コストとして資産化しています。契約獲得コストは、当該コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(2~3年)に渡って、定額法により償却しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31日における契約コストが205,114百万円増加し、2019年3月31日に終了した1年間における販売費及び一般管理費が33,870百万円減少しています。
日本基準においては、契約事務手数料収入および機種変更手数料収入について、受領時に一括で収益認識していましたが、IFRSでは契約負債として認識し、移動通信サービスの提供に応じて取り崩し、見積平均契約期間および見積平均端末利用期間にわたり収益として認識しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31日における契約負債が31,122百万円増加し、2019年3月31日に終了した1年間における売上高が1,390百万円増加しています。
なお、当社グループは、第33期連結会計年度よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しています。IFRS第15号の経過措置に従い、表示する過去の各報告期間に遡及して適用しています。また、第33期連結会計年度における共通支配下の取引(すべての結合企業または結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ親会社によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)について、実際の共通支配下の取引日にかかわらず親会社による被取得企業の支配獲得日もしくは比較年度の期首時点のいずれか遅い日に取得したものとみなして、被取得企業の財務諸表を当社グループの連結財務諸表の一部として遡及して結合しています。そのため、下記当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析は、上記内容を反映しています。
(1) 連結経営成績の状況
a. 事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
日本の通信市場においては、政府の競争促進政策に基づき、通信設備を保有する移動体通信事業者(MNO)から設備を借り受けて通信サービスを提供するMVNOのサービスが普及したことに加え、直近ではMNOにおいても、更なる価格引き下げや新規参入が見込まれ、通信事業者間の競争はますます激化しています。上記に加え、消費税増税や米中の貿易摩擦などの世界政治の緊張により、景気の見通しに対する不確実性が高まっています。
このような市場環境の変化の中、当社グループでは中長期の持続的な成長に向けて、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。この戦略は、通信事業の顧客基盤を拡大しつつ、その基盤を活かしてサービス・コンテンツの拡充や、新たな領域へ事業を拡大していくものです。特に、サービスや場所などを多くの人と共有して利用するシェアリングエコノミーに係る領域や、AIやIoTを始めとした先端技術を活用した領域等で、ビジネスモデルの創出に注力しています。これらの取り組みは、スマートフォンの利用シーンの拡大を通じて、当社グループの事業の成長につながるものです。
顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるユーザー向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランドと、月々の通信料を抑えることを重視するお客さまに、スマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランドの拡販に注力しました。さらに、2018年4月にLINEモバイル㈱を子会社化したことに伴い、「LINEモバイル」ブランドの提供を始めました。この3ブランドでのサービス提供により、さらにお客さまの多様なニーズに応えることができるようになりました。加えて、2018年9月より「SoftBank」ブランドで、通信料金と端末代金を分離した「ウルトラギガモンスター+(プラス)」の提供を始めました。その結果、当期末のスマートフォン契約数は、前期末比で195万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、「SoftBank光」契約数は、前期末比で94万件増加しました。また、2019年度には5Gのプレサービスを開始する予定です。これに向けて、2019年3月に、福岡ヤフオク!ドームで多視点切り替え可能な3Dパノラマ映像を用いた、VR(仮想現実)空間における試合観戦に関する実証実験を開始しました。加えて、当社と同様にソフトバンクグループ㈱を親会社とするヤフー㈱との協業により、当社ならではの価値の提供に取り組んでいます。具体的には、「Yahoo!ショッピング」等で商品を購入した際に「Tポイント」(注1)を最大10%付与するキャンペーンや、「Yahoo! JAPAN ID」との連携による「Yahoo!プレミアム」特典の無償提供を通じて、当社のスマートフォンユーザーに対する満足度向上を図っています。なお当社は、ヤフー㈱とのビジネス上の連携強化を目的として、2018年8月9日、米国Altaba Inc.が所有するヤフー㈱普通株式の一部を公開買付けにより取得しました。本公開買付けにより、当社が保有するヤフー㈱の議決権割合は12.08%(注2)になりました。
新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループの投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。これらの連携の中で、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であり、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
ヤフー㈱と共同で設立したPayPay㈱は、バーコードやQRコードを用いたスマートフォン決済サービス「PayPay」の提供を行っています。2018年10月より「Alipay」(注3)とのサービス連携を開始し、中国国内7億人以上の「Alipay」アクティブユーザーが、「PayPay」加盟店で決済ができるようになりました。また、同年12月より実施した「PayPay」での支払額の一部または全額をユーザー還元する「100億円あげちゃうキャンペーン」では、開始から10日間で還元額が上限の100億円に達し、認知度が大きく向上しました。2019年2月からは第2弾のキャンペーンとして「第2弾100億円キャンペーン」を実施しています。
世界27カ国100都市(注4)でコワーキングスペース提供を行うWeWork Companies Inc.との合弁会社であるWeWorkJapan合同会社は、東京都内12拠点に加え、横浜、大阪、福岡にも展開し、全国15箇所で拠点を開設しています。
中国をはじめとした400都市以上(注5)で交通プラットフォームを手掛ける滴滴出行(Didi Chuxing Technology Co.,Ltd.、以下「DiDi」)との合弁会社であるDiDiモビリティジャパン㈱では、大阪エリアでのタクシー配車プラットフォームの提供を行っています。中国の「DiDi」アプリをそのまま日本国内で利用できるため、訪日中国人観光客の需要を取り込みつつ、各種キャンペーンにより国内の利用客の乗車数が順調に増加しています。今後、東京をはじめ国内の主要都市にも順次拡大していきます。
当社とトヨタ自動車㈱は、新しいモビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、新会社MONET Technologies㈱を設立し、共同で事業を開始しました。2019年3月には、自動運転社会を見据えて多様な業界・業種の企業とアイデアを出しあい、移動において企業や自治体が抱える社会課題やニーズに対応していくため、「MONETコンソーシアム」を設立しました(2019年3月末時点で88社が参加)。
また、同じく2019年3月に同社は日野自動車㈱および本田技研工業㈱と資本・業務提携に関する契約を締結しました。両社が加わることにより、より多くの人や物の移動に関するデータが収集され、MaaS事業の価値向上と、モビリティサービスユーザーへのサービス向上が可能となります。
(注1) 「期間固定Tポイント」を含みます。
(注2) 2018年9月末時点のヤフー㈱における自己株式消却後の数字です。
なお、当社は、2019年5月に、ソフトバンクグループ㈱の子会社であるヤフー㈱の連結子会社化を目指して、ヤフー㈱が実施する当社を割当先とする第三者割当による新株式発行を引受けることを決定しました。(本取引についての詳細は、「1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 41.重要な後発事象 (1)ヤフーの子会社化を目的とした当社による「第三者割当増資の引受け」およびヤフーによる「自己株式の公開買付け」について」をご参照ください。)また、ヤフー㈱においては、当社によるヤフー㈱普通株式の追加取得と並行して、ソフトバンクグループ㈱の100%子会社であるソフトバンクグループジャパン㈱が保有するヤフー㈱普通株式を対象とする自己株式の公開買付けを実施する予定です。以上の取引完了後、当社はヤフー㈱の発行済株式総数(自己株式数を除く)の44.64%を所有することになると見込まれます。
(注3) 「Alipay」:アリババグループの関連会社アント・フィナンシャルサービスグループが提供するモバイルおよびオンライン決済プラットフォームです。
(注4) 2019年1月時点の数字です。
(注5) 2018年7月時点の数字です。
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円) | ||||||
3月31日に終了した1年間 | ||||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | |||
売上高 | 3,582,635 | 3,746,305 | 163,670 | 4.6 | % | |
営業利益 | 637,933 | 719,459 | 81,526 | 12.8 | % | |
税引前利益 | 597,554 | 631,548 | 33,994 | 5.7 | % | |
法人所得税 | △196,149 | △205,976 | △9,827 | 5.0 | % | |
純利益 | 401,405 | 425,572 | 24,167 | 6.0 | % | |
親会社の所有者 | 400,749 | 430,777 | 30,028 | 7.5 | % | |
非支配持分 | 656 | △5,205 | △5,861 | - | ||
調整後EBITDA(注) | 1,156,836 | 1,209,759 | 52,923 | 4.6 | % |
(注) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は、前期比163,670百万円(4.6%)増の3,746,305百万円となりました。コンシューマ事業では68,611百万円、法人事業では16,312百万円、流通事業では70,229百万円の増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、前期比81,526百万円(12.8%)増の719,459百万円となりました。コンシューマ事業では35,470百万円、法人事業では5,714百万円、流通事業では1,866百万円の増益となりました。なお、前期においては、ソフトバンクグループ㈱に対する「ソフトバンク」ブランドに係るブランド使用料43,803百万円を費用として計上していましたが、2018年3月に同ブランドに係る商標利用権を取得したことに伴い、当期では、同使用料は発生していません。なお、商標利用権は耐用年数を確定できない無形資産として計上しているため、償却していません。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比24,167百万円(6.0%)増の425,572百万円となりました。なお金融費用は、前期比18,316百万円増の57,130百万円となりました。これは、金融機関等からの借入金の期中平均残高が増加したことによるものです。また、持分法による投資損失は、前期比21,567百万円増の25,337百万円となりました。これは主として、PayPay㈱において事業拡大のための施策を行ったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、営業利益の増加により、前期比30,028百万円(7.5%)増の430,777百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
調整後EBITDAについては、前期比52,923百万円(4.6%)増の1,209,759百万円となりました。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています(詳細は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください)。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件) | |||||
累計契約数 | 2018年3月31日 | 2019年3月31日 | 増減 | ||
合計 | 42,650 | 44,536 | 1,886 | ||
主要回線(注) | 33,175 | 34,741 | 1,566 | ||
うち、スマートフォン | 20,135 | 22,082 | 1,947 | ||
通信モジュール等 | 6,877 | 7,738 | 861 | ||
PHS | 2,598 | 2,057 | △541 |
(単位:千件) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
純増契約数 | 2018年 | 2019年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 775 | 1,566 | 791 | ||
スマートフォン | 1,702 | 1,947 | 245 |
3月31日に終了した1年間 | |||||
解約率・総合ARPU | 2018年 | 2019年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 解約率 | 1.22% | 1.07% | 0.15ポイント改善 | |
総合ARPU(円) | 4,340 | 4,360 | 10 | ||
割引前ARPU(円) | 5,570 | 5,420 | △150 | ||
割引ARPU(円) | △1,220 | △1,060 | 160 | ||
スマートフォン | 解約率 | 0.86% | 0.83% | 0.03ポイント改善 |
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件) | ||||
累計契約数 | 2018年3月31日 | 2019年3月31日 | 増減 | |
合計 | 7,039 | 7,643 | 604 | |
SoftBank 光 | 4,974 | 5,916 | 943 | |
Yahoo! BB 光 with フレッツ | 1,061 | 894 | △167 | |
Yahoo! BB ADSL | 1,005 | 833 | △172 |
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」な
ど
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法) 解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU (Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など) ÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU + 固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれませ ん。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、付随する携帯端末の販売を含む移動通信サービスや、ブロードバンドサービス等の通信サービスを提供しています。携帯端末の販売については、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
(当期の主な取り組み)
・2018年4月に、LINEモバイル㈱を子会社化したことにより、当社は「LINEモバイル」ブランドの提供を開始しました。同ブランドは、メッセンジャーアプリ「LINE」等の主要SNSの使い放題プランを特徴とした、若年層向けモバイルサービスです。
・2018年6月より、「おうちでんき」のサービス提供エリアを拡大しました。その結果、東北電力㈱、中部電力㈱、関西電力㈱、中国電力㈱、四国電力㈱の各エリアに加えて、東京電力㈱と北海道電力㈱の両エリアにおいても同サービスの提供を開始しました。
・2018年9月より、通信料金と端末代金を分離した新たな料金サービスである「ウルトラギガモンスター+」と「ミニモンスター」の提供を開始しました。「ウルトラギガモンスター+」は、50GBのデータ容量に加えて、対象の動画サービスやSNSがデータ消費の対象外となる料金サービスで、各種割引の適用により月額3,480円(税抜)(注1)から提供するものです。なお、2019年9月30日まで、対象サービスに限らずメールやインターネット、アプリなどすべてのデータ通信が使い放題となる「ギガ使い放題キャンペーン」を提供しています。また、「ミニモンスター」は、データ使用量に応じて4段階の定額料が自動的に適用され、各種割引の適用により月額1,980円(税抜)(注2)から提供するものです。
・2018年10月よりApple Inc.の新商品「iPhone XR」、同年11月には日本初登場となる「Google」のスマートフォンである「Google Pixel 3」、「Google Pixel 3 XL」の販売を開始しました。
(注1) 「1年おトク割」、「おうち割光セット」適用かつ「みんな家族割+」の加入人数が4人以上の場合
です。
(注2) 「1年おトク割」、「おうち割光セット」適用かつデータ使用量が1GBまでの場合です。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 2,611,865 | 2,680,476 | 68,611 | 2.6 | % |
セグメント利益 | 591,966 | 627,436 | 35,470 | 6.0 | % |
減価償却費及び償却費 | 366,707 | 342,044 | △24,663 | △6.7 | % |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||||
3月31日に終了した1年間 | ||||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | |||
通信サービス売上 | 1,905,330 | 1,989,717 | 84,387 | 4.4 | % | |
モバイル | 1,589,005 | 1,628,640 | 39,635 | 2.5 | % | |
ブロードバンド | 316,325 | 361,077 | 44,752 | 14.1 | % | |
物販等売上 | 706,535 | 690,759 | △15,776 | △2.2 | % | |
売上高合計 | 2,611,865 | 2,680,476 | 68,611 | 2.6 | % |
売上高は、前期比68,611百万円(2.6%)増の2,680,476百万円となりました。
通信サービス売上は、前期比84,387百万円(4.4%)増加し、1,989,717百万円となりました。うちモバイルは前期比39,635百万円(2.5%)増加しました。主として、スマートフォン契約数の増加と、端末の割賦契約期間の長期化や通信料金と端末代金の分離プランである「ウルトラギガモンスター+」契約数の増加に伴う「月月割」割引額の減少が増収に寄与したことによるものです。
通信サービス売上のうち、ブロードバンドは、前期から44,752百万円(14.1%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。
物販等売上は、前期比15,776百万円(2.2%)減少し、690,759百万円となりました。主として、提供エリア拡大に伴い「おうちでんき」サービスにかかる売上高が増加した一方で、端末の販売台数が減少したことによる端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は2,053,040百万円となり、前期比で33,141百万円(1.6%)増加しました。これは、端末の販売台数減少に伴い商品原価が減少した一方で、「おうちでんき」サービスにかかる仕入原価の増加、販売手数料の増加やブロードバンドにおける「SoftBank 光」契約数の増加に伴う通信設備使用料等の原価が増加したことによるものです。また、減価償却費及び償却費の減少は、主として前期において、一部周波数帯における3Gサービスの停波を実施した影響があったためです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比35,470百万円(6.0%)増の627,436百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、携帯電話と固定電話を統合しシームレスな内線通話を可能にする「ConnecTalk(コネクトーク)」、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービスおよびAI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
また、2019年3月末現在約110名が在籍するデジタルトランスフォーメーション(注)の専門部署において、新たなテクノロジーを用いた「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先の事業の日本展開や、お客さまと共同で新たな事業を作り出す「共創」に注力し、あらゆる産業のデジタライゼーションを推進しています。
(当期の主な取り組み)
・2018年5月に、㈱IDCフロンティアを子会社化しました。同社が有するサービス基盤を最大限に活用して、利用者の幅広いニーズに応えるクラウドサービスを強化しています。
・2018年10月に、㈱ジェイ・ディー・パワージャパンによる「2018年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査」大企業セグメントで、総合満足度1位を受賞しました。「サービス内容・品質」、「障害・トラブル対応」、「営業・導入対応」、「コスト」の総合評価で最も高い評価を受け、2年連続での受賞となりました。
・2018年11月に、ソフトバンクロボティクス㈱と共に、オフィスや業務フロア向けのバキューム清掃ロボット
「Whiz(ウィズ)」の提供を発表しました。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先であるBrain Corp.の自動運転技術「BrainOS」を搭載しており、複数のセンサーが障害物を検知することで回避しながら走行することが可能です。オフィスのほか学校、病院、ホテル、店舗などさまざまな施設における清掃分野の人手不足を補完・解消するソリューションとなります。
・2019年1月に石巻市、2019年2月に岐阜市および神奈川県、2019年3月に栃木県および鎌倉市との間で包括協定を締結しました。2019年3月末までに合計24の自治体と包括協定を結び、それぞれの自治体と協力しながらICTを活用した次世代教育や観光活性化などの地域の課題解決を図るとともに、自治体サービスの効率を高めるスマートシティの実現に向けた検討を進めています。
(注) デジタルトランスフォーメーション:企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務
等を変革していくことです。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 604,171 | 620,483 | 16,312 | 2.7 | % |
セグメント利益 | 70,634 | 76,348 | 5,714 | 8.1 | % |
減価償却費及び償却費 | 104,629 | 103,737 | △892 | △0.9 | % |
売上高の内訳
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | ||
モバイル | 264,538 | 268,097 | 3,559 | 1.3 | % |
固定 | 210,758 | 207,397 | △3,361 | △1.6 | % |
ソリューション等 | 128,875 | 144,989 | 16,114 | 12.5 | % |
売上高合計 | 604,171 | 620,483 | 16,312 | 2.7 | % |
売上高は、前期比16,312百万円(2.7%)増の620,483百万円となりました。そのうち、モバイルは、前期比3,559百万円(1.3%)増の268,097百万円、固定は、前期比3,361百万円(1.6%)減の207,397百万円、ソリューション等は、前期比16,114百万円(12.5%)増の144,989百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数が増加したことによるものです。
ソリューション等売上の増加は、主として、クラウドサービスやデジタル広告の売上が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は544,135百万円となり、前期比で10,598百万円(2.0%)増加しました。主として、過年度に計上した受注損失引当金に係る戻入を計上した一方で、ソリューション売上の増加に伴う原価の増加と無形資産の除却費が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比5,714百万円(8.1%)増の76,348百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトとサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・供給を行っています。
(当期の主な取り組み)
・2018年7月に、ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)は、㈱MCJ、㈱ホロラボとのAR(拡張現実)・VR(仮想現実)・MR(複合現実)の各分野における業務提携を発表しました。主として土木・製造・建設業界に向けた販売体制を整え、導入提案の促進ならびに技術的なサポートとともにソリューション開発を資金面で支援しています。2019年2月より、3D設計データを自動でAR/MRに変換可能な製造業・建設業向け可視化ソリューション「mixpace(ミクスペース)」の販売を開始しました。
・2018年11月より、ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)が販売開始した「GLIDiC(グライディック)」(注)のワイヤレスイヤホンが、品質・デザインについて高い評価を得て、㈱音元出版主催の国内最大級のオーディオ・ビジュアルアワード「VGP 2019」を受賞しました。海外においても、国際的に権威のあるドイツの「iFDesign Award 2019」「レッドドット・デザイン賞2019」とアメリカの「シカゴ・グッドデザイン賞2018」を受賞しました。
・2019年2月にSB C&S㈱は、オートメーション・エニウェア・ジャパン㈱とAI・RPAや分析技術を融合したデジタルワークフォースプラットフォームの普及に向けて、国内で初めて唯一の最上位プラチナム/ディストリビューター契約を締結しました。
・2019年3月にSB C&S㈱は、当社とCohesity Inc.の合弁会社であるCohesity Japan㈱と販売代理店契約を締結しました。セカンダリデータとアプリケーションのバックアップ、保存、管理をシンプルかつ単一的に実現できるセカンダリストレージ製品の取り扱いを開始しました。
(注) 「GLIDiC」:ソフトバンクコマース&サービス㈱(現SB C&S㈱)が展開するモバイルのためのオーディオブ
ランドの名称です。
<業績全般>
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2018年 | 2019年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 347,068 | 417,297 | 70,229 | 20.2 | % |
セグメント利益 | 13,316 | 15,182 | 1,866 | 14.0 | % |
減価償却費及び償却費 | 866 | 1,229 | 363 | 41.9 | % |
売上高は、前期比70,229百万円(20.2%)増の417,297百万円となりました。主として、法人のお客さま向けのPC・サーバーなど既存商材の販売が堅調に推移したことや、クラウドサービスのライセンス数拡大などの安定的な収益源が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は402,115百万円となり、前期比で68,363百万円(20.5%)増加しました。主として、上記売上の増加に伴い、商品原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比1,866百万円(14.0%)増の15,182百万円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通の3つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、第33期連結会計年度における販売の状況については下記の通りです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
コンシューマ | 2,680,476 | 2.6 |
法人 | 620,483 | 2.7 |
流通 | 417,297 | 20.2 |
その他 | 91,510 | 13.6 |
セグメント間の内部売上高または振替高 | △63,461 | 4.0 |
合計 | 3,746,305 | 4.6 |
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円) | ||||||
2018年 3月31日 | 2019年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |||
流動資産 | 1,569,080 | 1,756,322 | 187,242 | 11.9 | % | |
非流動資産 | 3,736,487 | 4,018,723 | 282,236 | 7.6 | % | |
資産合計 | 5,305,567 | 5,775,045 | 469,478 | 8.8 | % | |
流動負債 | 3,397,474 | 2,046,275 | △1,351,199 | △39.8 | % | |
非流動負債 | 1,022,833 | 2,464,315 | 1,441,482 | 140.9 | % | |
負債合計 | 4,420,307 | 4,510,590 | 90,283 | 2.0 | % | |
資本合計 | 885,260 | 1,264,455 | 379,195 | 42.8 | % |
(資産)
当期末の総資産は、前期末から469,478百万円(8.8%)増加し、5,775,045百万円となりました。ヤフー㈱の株式取得によるその他の金融資産や、現金及び現金同等物が増加しました。
(負債)
当期末の負債は、前期末から90,283百万円(2.0%)増加し、4,510,590百万円となりました。主として、有利子負債が増加したことによるものです。なお有利子負債は、ソフトバンクグループ㈱からの短期借入を返済し、新たに金融機関からの長期借入を行いました。その結果、流動負債の有利子負債が減少し、非流動負債の有利子負債が増加しました。(詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 19.有利子負債」をご参照ください。)
(資本)
当期末の資本は、前期末から379,195百万円(42.8%)増加し、1,264,455百万円となりました。主として、利益剰余金が増加したことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | |||
3月31日に終了した1年間 | |||
2018年 | 2019年 | 増減 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 726,598 | 826,582 | 99,984 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △621,391 | △614,738 | 6,653 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △55,073 | 25,084 | 80,157 |
現金及び現金同等物の期末残高 | 121,043 | 357,971 | 236,928 |
フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 105,207 | 211,844 | 106,637 |
親会社との一時的な取引(注1) | 359,598 | 47,239 | △312,359 |
割賦債権の流動化による影響(注1) | 43,202 | 32,995 | △10,207 |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 508,007 | 292,078 | △215,929 |
設備投資(検収ベース)(注2) | 380,136 | 413,316 | 33,180 |
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、親会社との一時的な取引、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・
キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照
ください。
(注2) 設備投資(検収ベース)には、レンタル端末への投資額を含んでいます。2018年3月31日に終了した1年間
のレンタル端末投資額は30,045百万円、2019年3月31日に終了した1年間のレンタル端末投資額は33,065
百万円です。
a. 営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として純利益の増加により、前期比99,984百万円収入が増加し、826,582百万円の収入となりました。
b. 投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比6,653百万円支出が減少し、614,738百万円の支出となりました。前期の有形固定資産及び無形資産の取得による支出には、ソフトバンクグループ㈱より「ソフトバンク」ブランドの商標利用権を取得した350,000百万円(取引コスト除く)の支出が含まれており、当期の投資の取得による支出には、ヤフー㈱の株式取得に要した221,148百万円の支出が含まれています。
c. 財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比80,157百万円支出が減少し、25,084百万円の収入となりました。これは、主として共通支配下の子会社取得のための支出が、前期より87,633百万円減少したことによるものです。なお、前期においてはソフトバンクグループインターナショナル合同会社(現ソフトバンクグループジャパン㈱)への配当金支払いとそれに伴うソフトバンクグループ㈱からの借入取引がありました。
d. 現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比236,928百万円増の357,971百万円となりました。
e. 調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、主としてヤフー㈱の株式取得による支出により、前期比215,929百万円減の292,078百万円の収入となりました。
f. 設備投資
当期の設備投資(検収ベース)は、LTEサービスのエリア拡大と品質向上を進めたことにより、前期比33,180百万円増の413,316百万円となりました。
g. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
3月31日に終了した1年間 | ||
2018年 | 2019年 | |
親会社所有者帰属持分比率 | 16.3% | 21.6% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 4.4 | 4.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 30.4 | 17.2 |
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a. 調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」の計上額の詳細は以下の通りです。
2018年3月31日に終了した1年間
当社グループは、新規に取得した周波数に属する既存の利用者を他の周波数帯に移行させるための債務を計上していましたが、周波数帯の移行に関連する費用の最終的な精算に際し一部の債務については当社グループが負担する必要がなくなったため、これを取崩し「移行促進措置終了に伴う債務取崩額」として、「その他の営業収益」に4,044百万円を認識しました。
また、当社グループはスポーツコンテンツ配信サービスの事業計画の見直しを行った結果、関連する棚卸資産の正味実現可能価額が帳簿価額を下回ったため、13,754百万円の評価減を「その他の営業費用」に認識しています。
2019年3月31日に終了した1年間
当社グループのスポーツコンテンツ配信サービスにおいて、サッカー主要リーグの放映権を保有する取引先(以下「ライセンサー」)が、権利元であるサッカー主要リーグから、ライセンス料の支払遅延を理由として、サッカー主要リーグの放映契約を解除されました。
これを要因とし、当社グループはライセンサーよりサッカー主要リーグの放映契約の解除通知を受けました。このため、当社グループは、同社より取得した配信権の評価減4,770百万円を「その他の営業費用」として認識しました。また、当契約解除に伴い配信権取得にかかる債務の取り崩しを行ったことにより4,689百万円を「その他の営業収益」として認識しています。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円) | ||
3月31日に終了した1年間 | ||
2018年 | 2019年 | |
営業利益 | 637,933 | 719,459 |
(加算)減価償却費及び償却費(注) | 509,193 | 490,219 |
(加算(△は減算))その他の調整項目:移行促進措置終了に伴う債務取崩額 | △4,044 | - |
(加算(△は減算))その他の調整項目:配信権取得にかかる債務取崩額 | - | △4,689 |
(加算(△は減算))その他の調整項目:棚卸資産の評価減 | 13,754 | 4,770 |
調整後EBITDA | 1,156,836 | 1,209,759 |
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2018年3月31日に終了した1年間 477,281百万円 2019年3月31日に終了した1年間 452,180百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2018年3月31日に終了した1年間 31,912百万円 2019年3月31日に終了した1年間 38,039百万円)が含まれています。
b. 営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費および一時的な費用及び収益を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円) | ||
3月31日に終了した1年間 | ||
2018年 | 2019年 | |
売上高 | 3,582,635 | 3,746,305 |
営業利益 | 637,933 | 719,459 |
営業利益マージン | 17.8% | 19.2% |
調整後EBITDA | 1,156,836 | 1,209,759 |
調整後EBITDAマージン | 32.3% | 32.3% |
c. フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標であり、営業費用および資本的支出の影響を考慮した後のキャッシュ・フローを示しています。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから、親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、当社普通株式の上場準備のための一時的な取引または上場後には発生しない取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
ソフトバンクグループは、資金効率の最大化を目的として、余剰資金の貸借をはじめとしたグループ会社間での資金取引を実施しています。この資金取引には、親会社への貸付やその返済および付随する受取利息が含まれます。これらは当社の上場後には発生しない本来の事業活動とは関係のない取引であり、上場後の営業活動および投資活動によるフリー・キャッシュ・フローとの比較可能性を担保するため、「親会社への貸付による支出」、「親会社からの貸付回収による収入」、「親会社への貸付に付随する利息の受取額」という項目でフリー・キャッシュ・フローから控除しています。さらに、2018年3月期に係るブランド料の支払い完了後は発生しない「ブランド使用料の支払い」、および、2018年3月に一括取得した「商標利用権取得」は、上場後は発生しない取引のため、上記の項目と同様に当該取引を親会社との一時的な取引としてフリー・キャッシュ・フローの調整項目として除外しています。
一方、財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円) | ||
3月31日に終了した1年間 | ||
2018年 | 2019年 | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 726,598 | 826,582 |
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) | △642,249 | △365,682 |
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) | 20,858 | △249,056 |
フリー・キャッシュ・フロー | 105,207 | 211,844 |
親会社への貸付による支出(注3) | 50,800 | - |
親会社からの貸付回収による収入(注4) | △118,800 | - |
親会社への貸付に付随する利息の受取額(注5) | △79 | △88 |
ブランド使用料の支払い(注6)(注7) | 49,677 | 47,327 |
商標利用権取得による支出(注6)(注8) | 378,000 | - |
親会社との一時的な取引 | 359,598 | 47,239 |
割賦債権流動化取引:調達額(注9) | 524,346 | 514,619 |
割賦債権流動化取引:返済額(注9) | △481,144 | △481,624 |
割賦債権の流動化による影響 | 43,202 | 32,995 |
調整後フリー・キャッシュ・フロー | 508,007 | 292,078 |
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外) に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「短期貸付金貸付による支出」、「短期貸付金回収による収入」、「長期貸付金貸付による支出」、「長期貸付金回収による収入」および「その他」の純額です。
(注3) 親会社への貸付による支出に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「短期貸付金貸付による支出」に含まれています。
(注4) 親会社からの貸付回収による収入に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる「短期貸付金回収による収入」に含まれています。
(注5) 親会社への貸付に付随する利息の受取額に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローの「利息及び配当金の受取額」に含まれています。
(注6) 消費税等を含みます。
(注7) ブランド使用料の支払いに関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(注8) 商標利用権取得による支出に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」に含まれています。
(注9) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「長期有利子負債の収入」および「長期有利子負債の支出」に含まれています。割賦債権の流動化による調達額および返済額の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 19.有利子負債 (3) 財務活動から生じた有利子負債の変動」をご参照ください。
(5) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
a. のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産
のれんおよび耐用年数を確定できない無形資産は、日本基準では一定期間にわたり規則的に償却を行いますが、IFRSでは規則的な償却は行わずに各年度の一定時期に減損テストを実施しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31に終了した1年間における販売費及び一般管理費が50,472百万円減少しています。
b. 収益認識
日本基準においては、通信契約に関連する代理店への販売手数料は、発生時に費用として認識していましたが、IFRSでは、これらの販売手数料を契約獲得コストとして資産化しています。契約獲得コストは、当該コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(2~3年)に渡って、定額法により償却しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31日における契約コストが205,114百万円増加し、2019年3月31日に終了した1年間における販売費及び一般管理費が33,870百万円減少しています。
日本基準においては、契約事務手数料収入および機種変更手数料収入について、受領時に一括で収益認識していましたが、IFRSでは契約負債として認識し、移動通信サービスの提供に応じて取り崩し、見積平均契約期間および見積平均端末利用期間にわたり収益として認識しています。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、2019年3月31日における契約負債が31,122百万円増加し、2019年3月31日に終了した1年間における売上高が1,390百万円増加しています。