有価証券報告書-第37期(2022/04/01-2023/03/31)
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業を手がけ、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ企業価値の最大化に取り組んでいます。また、当社グループは、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献すべく、取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)(注1)を特定しています。2023年3月期においては、新型コロナウイルスの感染拡大はようやく峠を越えましたが、国家間の対立に端を発する原油価格やさまざまな商品価格の高騰に不安定なサプライチェーンや円安が重なり、現実のものとなったインフレーションは景気の下押し圧力となりました。通信業界においては、加えて通信料の値下げの影響が本格化し、非常に厳しい事業環境となりました。しかしながら、コロナ禍に加速した社会のデジタル化の流れは途切れることなく、5G(第5世代移動通信システム)などの社会インフラを提供する当社グループの果たすべき役割はますます重要性を増したと認識しています。
2020年8月、新型コロナウイルス感染症の拡大により事業環境の大きな変化を迎えていたなか、当社グループは2023年3月期に営業利益1兆円を達成するという中期的な目標を発表しました。通信料の値下げによる影響はあったものの、PayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益の計上もあり、この目標を達成することができました。
2023年5月、3ヵ年の中期経営計画とともに、長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指すことを発表しました。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。中期経営計画では、この実現に向けた事業基盤の再構築を実行していきます。成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより、通信料の値下げの影響からの回復に取り組み、この中期経営計画期間の最終年度である2026年3月期に、親会社の所有者に帰属する純利益において過去最高益の達成を目指します。成長戦略「Beyond Carrier」は、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を強化するとともに、グループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。

<通信>国内の通信業界においては、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、消費者からはより低廉で多様な料金やサービスを求める動きが高まっています。当社グループは、異なる特長を持つ複数のブランドにより、お客さまの多様なニーズに対応するマルチブランド戦略を推進しています。具体的には、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さまに高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さまにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、生活シーンの変化などによりオンラインで完結するサービスへのニーズが高まったことに対応したオンライン専用の「LINEMO」ブランド等を提供しています。
当期においては、新料金プランを巡る競合他社との競争が続く中、特に「Y!mobile」ブランドが好調に推移し、当期末のスマートフォン契約数は前期末比で168万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が堅調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は前期末比で26万件増加しました。また、2022年11月より、「SoftBank」ブランドの新料金プランとして、5~22歳で新たにスマートフォンを使用されるお客さまや、フィーチャーフォンからの機種変更またはのりかえ(携帯電話番号ポータビリティ(MNP)/番号移行)、「スマホデビュープラン」に加入中のお客さまを対象に、4GBと20GBの2つのデータ容量から選ぶことができる「スマホデビュープラン+(プラス)」の提供を開始しました。
企業および産業のデジタル化の需要の高まりを背景に法人向けビジネスは順調に推移し、当期のソリューション等売上は前期比325億円(15.0%)増加しました。2023年3月より、企業や自治体などのさまざまなニーズに合わせて、ネットワークスライシング(注2)を活用した5Gネットワークを提供する「プライベート5G(共有型)」を開始しました。「プライベート5G(共有型)」の提供を通じ、工場やビルなどの設備を制御するシステムと情報技術システムを連携させ1つのネットワークに集約させることで、産業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していきます。
<非通信の拡大>当社グループは、基幹事業である通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、引き続き通信以外の領域の拡大を目指します。
また、先端技術を保有する企業やソリューションの提供を行う企業との連携にも取り組んでおり、具体的にはパートナーである各企業と合弁会社を設立し、非通信の拡大を推進しています。
Zホールディングスグループ
2023年2月、Zホールディングス㈱は、よりプロダクトファーストの組織体制とし、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合によるシナジーの拡大を加速させるため、Zホールディングス㈱、LINE㈱、ヤフー㈱の3社を中心としたグループ内再編を実施する方針を決議しました。グループ内再編の完了時期(効力発生日)は2023年10月1日(予定)です。これにより、プロダクトにおいてはより迅速な意思決定の下、各サービスの連携強化と統廃合を推進してZホールディングスグループの全サービスの付加価値の向上を目指します。
Zホールディングス㈱は代表取締役の異動について決議をし、2023年4月より、川邊健太郎が代表取締役会長、出澤剛が代表取締役社長 CEO、慎ジュンホが代表取締役 GCPO (グループ・チーフ・プロダクト・オフィサー)に就任しました。また、Zホールディングスグループにおけるシナジー創出、および経営戦略の策定・意思決定・実行の迅速化を図るべく、新たに「CGSO (チーフ・グループ・シナジー・オフィサー)」および「CSO (チーフ・ストラテジー・オフィサー)」を新設・任命しました。
シナジー創出を加速する取り組みの一例として、2023年3月から「LYP(エルワイピー)マイレージ」の提供を開始しました。ユーザーが対象商品を、オフラインでは対象店舗にて「PayPay」の決済で、オンラインでは「Yahoo!ショッピング」の対象ストアで購入し、商品ごとに設定された条件の購入金額を達成すると、PayPayポイント付与などの特典が受けられます。「LYPマイレージ」に参加するメーカーなどの企業は、ユーザーのオフラインとオンライン双方での購買データを活用した継続的かつ効果的な販促が可能となり、販促コストの低減、LTV(顧客生涯価値)の最大化や顧客ロイヤリティの向上につながります。
PayPay㈱
2022年10月1日付で当社およびZホールディングス㈱の子会社となったPayPay㈱が運営する「PayPay」の登録ユーザー数(注3)は、2018年10月にサービス提供を開始してから4年4カ月という短期間で5,500万人を突破し、2023年3月末では5,664万人となりました。当期における「PayPay」の決済回数(注4)は前期比約1.4倍となる51.4億回を超え、決済取扱高(注5)は前期比約1.5倍となる7.9兆円となり、いずれも順調に増加しました。また、PayPayカード㈱を含む連結ベースでの決済取扱高(注4,5)は前期比約1.3倍となる10.2兆円となりました。
PayPay㈱は2023年2月より「PayPay」アプリ上で「PayPay」の加盟店が発行するチラシを閲覧できるサービス「PayPayチラシ」の提供を開始しました。ユーザーは自宅や職場周辺など最大4つのエリアを登録することで、店舗から簡単に情報を取得できます。加盟店は、ユーザーに対し手軽に情報を訴求することができることに加え、チラシを配信した期間に「PayPay」決済がどれだけあったかなど、紙のチラシと比較して効果測定が行いやすくなり、マーケティングの効率化に向けたデータ分析が可能になります。
<経営環境に関する認識>当社グループが認識している主な外部環境要因および対応は以下の通りです。
(注1) マテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標及び目標 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)」をご参照ください。
(注2) ネットワークスライシングとは、ネットワークを仮想化してリソースを分割し、用途や目的(高速大容量、低遅延など)に適合したサービスを提供する技術のことです。
(注3) PayPayのアカウント登録済みのユーザー数です。
(注4) ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。2022年3月期第4四半期以降は「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含みます。2022年2月より提供開始した「PayPayあと払い」による決済を含みます。
(注5) 2022年3月期に遡って、PayPay㈱とPayPayカード㈱の取扱高を合算し、両社の内部取引を消去した数値です。
(注6) 金利スワップ取引により、支払利息の固定化を行った一部の変動金利の借入金を含みます。
(注7) 当社および主な子会社における2022年3月期の電気使用量2,117,259MWhに基づいた試算です。
ⅱ.連結経営成績の概況
(注) 2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。これに伴い、2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
(注1) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は全セグメントで増収となり、前期比2,214億円(3.9%)増の59,120億円となりました。流通事業はICT(情報通信技術)関連の商材およびサブスクリプションサービスの堅調な増加などにより895億円、金融事業はPayPay㈱の子会社化などにより748億円、ヤフー・LINE事業はコマース売上の増収に加えLINE㈱のアカウント広告やヤフー㈱の検索広告の売上の増加などにより402億円、法人事業はデジタル化に伴うソリューション需要の増加などにより346億円、コンシューマ事業が4億円、それぞれ増収となりました。コンシューマ事業の増収は、物販等売上の減少や通信料の値下げの影響などによりモバイル売上が減少した一方で、電力市場での取引量の増加および価格の上昇などによりでんき売上が増加したことによるものです。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、前期比946億円(9.8%)増の10,602億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益2,948億円を計上したこと、および法人事業において66億円増益したことによるものです。一方で、コンシューマ事業は通信料の値下げの影響などにより1,770億円、金融事業はPayPay㈱の子会社化などにより268億円、それぞれ減益となりました。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比787億円(13.7%)増の6,541億円となりました。これは主として、金融費用が増加し、また持分法による投資の減損損失を計上したものの、PayPay㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益の計上などで営業利益および税引前利益が増加したこと、さらに通信料の値下げの影響などによる課税所得の減少に伴い法人所得税が減少したことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比143億円(2.8%)増の5,314億円となりました。なお、非支配持分に帰属する純利益は、前期比644億円(110.4%)増の1,228億円となりました。これは主として、ZホールディングスグループにおいてもPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益1,474億円を計上したことによるものです。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当期の調整後EBITDAは、前期比1,754億円(10.1%)減の15,664億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益を除いた営業利益が前期比で減少したことによるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
モバイルサービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいるモバイル契約の合計です。モバイルサービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEMO」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
(単位:千件)
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
<主要事業データの定義および算出方法>モバイルサービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでん
わ」など
* 「LINEモバイル」は、2021年3月31日をもって、新規受付を終了しました。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティ(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEMO」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われ
る際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数)÷2)の合計値
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連
収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の
光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)
サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了してい
る回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」
とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サ
ービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了し
ている回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているた
め、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
コンシューマ事業の売上高は、前期比4億円(0.0%)増の28,831億円となりました。そのうち、サービス売上は、前期比515億円(2.3%)増加し23,033億円となり、物販等売上は、前期比511億円(8.1%)減少し5,798億円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前期比945億円(5.9%)減少しました。これは、スマートフォン契約数が「Y!mobile」ブランドを中心に伸びた一方で、通信料の値下げにより平均単価が減少したこと、および売上から控除される顧客獲得施策の影響などによるものです。通信料の値下げによる平均単価の減少は、主に「SoftBank」ブランド・「Y!mobile」ブランドにおける新料金プラン導入の影響、および「SoftBank」ブランドから「Y!mobile」ブランド・「LINEMO」ブランドへの移行が進んだことによるものです。
ブロードバンドは、前期比78億円(1.9%)減少しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数が増加した一方で、キャンペーン施策により平均単価が減少したことなどによるものです。
でんきは、前期比1,539億円(64.4%)増加しました。これは主として、電力市場での取引量の増加および価格の上昇などによるものです。
物販等売上の減少は、機種変更数の減少に伴い端末販売台数が減少したことなどによるものです。
営業費用は24,207億円となり、前期比で1,774億円(7.9%)増加しました。これは主として、上記の端末販売台数の減少に伴い商品原価が減少した一方で、でんきに係る仕入原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比1,770億円(27.7%)減の4,624億円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティング等のソリューション等サービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。
<業績全般>
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
法人事業の売上高は、前期比346億円(4.8%)増の7,503億円となりました。そのうち、モバイルは前期比68億円(2.2%)増の3,200億円、固定は前期比46億円(2.5%)減の1,821億円、ソリューション等は前期比325億円(15.0%)増の2,482億円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、通信売上の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数が減少したことによるものです。
ソリューション等売上の増加は、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドサービスおよびセキュリティソリューションの売上が増加したことなどによるものです。
営業費用は6,152億円となり、前期比で280億円(4.8%)増加しました。これは主として、ヘルスケアテクノロジーズ㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益を計上したことによる営業費用の減少があった一方で、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したこと、訴訟に係る引当金を計上したことや、前期において一時的な費用の戻し入れがあったことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比66億円(5.2%)増の1,351億円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。
<業績全般>
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
流通事業の売上高は、前期比895億円(17.9%)増の5,900億円となりました。これは主として、ICT(情報通信技術)関連の商材および注力しているクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
営業費用は5,658億円となり、前期比で881億円(18.4%)増加しました。これは主として、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比14億円(6.0%)増の243億円となりました。
ⅳ.ヤフー・LINE事業
<事業概要>ヤフー・LINE事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、インターネット上や「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのeコマースサービスや「ヤフオク!」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTechサービス等の提供を行っています。
<業績全般>
(注) 当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。また、当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、報告セグメントに「金融」を追加したことに伴い、各報告セグメントを構成する会社を見直しました。これらに伴い、ヤフー・LINE事業の2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
(注1) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
(注1) 2023年3月31日に終了した1年間において、Zホールディングスグループでは、事業の管理区分を見直し、一部のサービスについて区分を移管しました。これに伴い、2022年3月31日に終了した1年間のヤフー・LINE事業の売上高のうち、「メディア」、「戦略」および「その他」の内訳を修正再表示しています。
(注2) 当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、報告セグメントに「金融」を追加したことに伴い、各報告セグメントを構成する会社を見直しました。これに伴い、ヤフー・LINE事業の2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
ヤフー・LINE事業の売上高は、前期比402億円(2.6%)増の15,617億円となりました。そのうち、メディアは前期比5億円(0.1%)減の6,339億円、コマースは前期比255億円(3.2%)増の8,346億円、戦略は前期比155億円(24.5%)増の785億円、その他は前期比2億円(1.5%)減の146億円となりました。
メディア売上は前期比で微減ですが、主として、「LINE公式アカウント」における大手顧客の配信メッセージ数増加や、中小加盟店の有償アカウント数増加によりアカウント広告の売上が増加したことや、ヤフー㈱の検索広告の売上が増加したものの、ディスプレイ広告が市況悪化の影響などを受け減収となったことによるものです。
コマース売上の増加は、主として、アスクルグループ(アスクル㈱および子会社)やZOZOグループ(㈱ZOZOおよび子会社)における取扱高の増加や、経済活動の再開に伴い旅行関連の売上が増加したことによるものです。
戦略売上の増加は、主として、FinTech領域の売上が増加したことによるものです。
営業費用は14,019億円となり、前期比で399億円(2.9%)増加しました。これは主として、アスクルグループおよびLINEグループ(LINE㈱および子会社)の売上原価の増加やLINEグループにおける人員増加に伴う人件費の増加などによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比3億円(0.2%)増の1,597億円となりました。
ⅴ.金融事業
<事業概要>金融事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、あと払いや資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。
2022年10月1日付でPayPay㈱を子会社化したことに伴い、2022年12月31日に終了する3カ月間より報告セグメントに「金融」を追加しました。金融事業を構成する主な事業会社は、PayPay㈱、PayPayカード㈱、SBペイメントサービス㈱、PayPay証券㈱です。
<業績全般>
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
金融事業の売上高は、前期比748億円(110.8%)増の1,423億円となりました。これは主として、2022年10月1日付でPayPay㈱を子会社化したことによるものです。
営業費用は1,547億円となり、前期比で1,016億円(191.3%)増加しました。これは主として、上記PayPay㈱の子会社化の影響によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比268億円減の△124億円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通、ヤフー・LINE、金融の5つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。
(注) 1 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(参考情報)
提出会社の第37期における基礎的電気通信役務損益明細表は以下の通りです。
基礎的電気通信役務損益明細表
(注)基礎的電気通信役務損益明細表は、電気通信事業会計規則第5条及び同附則第2項、第3項に基づき記載するものとなります。
(2) 連結財政状態の状況
(注) 2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。これに伴い、2022年3月31日時点の数値を遡及修正しています。
(注1) 設備投資は検収ベースでの記載です。
(注2) コンシューマ・法人事業の設備投資は、レンタル端末への投資額、他事業者との共用設備投資(他事業者負担額)およびIFRS第16号「リース」適用による影響は除きます。
(資産)
当期末の総資産は、前期末から15,847億円(12.1%)増加し、146,822億円となりました。これは主として、PayPay㈱等の子会社化に伴うのれんの増加5,697億円、現金及び現金同等物の増加5,124億円、その他の金融資産の増加2,933億円、営業債権及びその他の債権の増加2,608億円があったことによるものです。現金及び現金同等物の増加は、主として、PayPay㈱の子会社化によるものです。
(負債)
当期末の負債は、前期末から11,144億円(11.3%)増加し、109,991億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴う営業債務及びその他の債務の増加8,548億円、有利子負債の増加1,350億円、銀行事業の預金の増加661億円があったことによるものです。有利子負債の増加は、主として、Zホールディングスグループにおいて各種の資金調達を実施したことによるものです。
(資本)
当期末の資本は、前期末から4,703億円(14.6%)増加し、36,831億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、2,643億円(13.5%)増加しました。これは主として、剰余金の配当による減少4,057億円があった一方、当期の純利益の計上による増加5,314億円、および主としてPayPay㈱の優先株式を公正価値で測定したことに伴うその他の包括利益累計額の増加1,231億円があったことによるものです。非支配持分は、2,060億円(16.5%)増加しました。これは主として、ZホールディングスグループにおいてPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したことなどによる純利益の増加1,228億円、および親会社の所有者に帰属する持分と同様の理由によるその他の包括利益累計額の増加670億円によるものです。
(設備投資)
当期の設備投資は、前期比1,413億円増の7,886億円となりました。これは主として、Zホールディングスグループの設備投資が増加したこと、および5Gへの投資が増加したことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) Zホールディングスグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フロー、役員への貸付などを除き、Aホールディングス㈱からの受取配当を含みます。なお、PayPay等にはAホールディングス㈱、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱を含みます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、11,558億円の収入となりました。前期比では602億円収入が減少しており、これは主として、営業債権・債務などの必要運転資本、および法人所得税の支払額が減少したものの、調整後EBITDAや銀行事業の預金に係る収入が減少し、さらに銀行事業の貸付に係る支出が増加したことによるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,548億円の支出となり、前期比では8,029億円支出が減少しました。これは主として、当期において、PayPay㈱を子会社化した際の現金及び現金同等物残高の受け入れに伴う収入が3,973億円あったこと、前期において、ヤフー㈱が締結したライセンス契約に伴い商標権などを1,785億円で取得したことや、LINE㈱(現Aホールディングス㈱)株式の併合による単元未満株式買い取り1,152億円などの支出があったことによるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、4,953億円の支出となりました。これは、銀行借入・リース・社債・債権流動化などの資金調達による収入が21,814億円あった一方で、借入金の約定弁済や配当金支払などの支出が26,767億円あったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当期における現金及び現金同等物の残高は、前期末比5,124億円増の20,592億円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、10,206億円の収入となりました。前期比では6,685億円増加しましたが、これは上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローおよび割賦債権の流動化による収入が減少した一方で、投資活動によるキャッシュ・フローの支出の減少があったことによるものです。
f.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 d.財務戦略」をご参照ください。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
<各指標の計算方法>親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(注) 上表の2022年3月31日時点の数値は、非支配株主が存在する中で行われた共通支配下の取引について、取得法に基づいて会計処理する方法に変更したことに伴い遡及修正しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.会計方針の変更 (2) 共通支配下の取引に関する会計方針の変更および過年度連結財務諸表の遡及適用に伴う影響」をご参照ください。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:億円)
(注1) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2022年3月31日に終了した1年間7,453億円 2023年3月31日に終了した1年間7,642億円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2022年3月31日に終了した1年間192億円 2023年3月31日に終了した1年間309億円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)、株式報酬費用および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:億円)
(注) 当期より、調整後EBITDAの定義を見直し、株式報酬費用を加味することにしました。これに伴い、前期の数値を修正再表示しています。
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:億円)
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。
(5) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、当社グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験や決算日時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。
以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。
a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損に係る見積り
企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は6,438億円(前連結会計年度は49億円)です。
また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り
有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。
資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後、各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は2,955億円(前連結会計年度は2,474億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は2,562億円(前連結会計年度は2,415億円)です。
有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。
c.金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は3,246億円(前連結会計年度末は5,517億円)です。
金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。
d.契約獲得コストの償却期間の見積り
当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は2,335億円(前連結会計年度は2,010億円)です。
契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (15) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.契約コスト」をご参照ください。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、情報・テクノロジー領域においてさまざまな事業を手がけ、「世界に最も必要とされる会社」になるというビジョンを掲げ企業価値の最大化に取り組んでいます。また、当社グループは、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に貢献すべく、取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)(注1)を特定しています。2023年3月期においては、新型コロナウイルスの感染拡大はようやく峠を越えましたが、国家間の対立に端を発する原油価格やさまざまな商品価格の高騰に不安定なサプライチェーンや円安が重なり、現実のものとなったインフレーションは景気の下押し圧力となりました。通信業界においては、加えて通信料の値下げの影響が本格化し、非常に厳しい事業環境となりました。しかしながら、コロナ禍に加速した社会のデジタル化の流れは途切れることなく、5G(第5世代移動通信システム)などの社会インフラを提供する当社グループの果たすべき役割はますます重要性を増したと認識しています。
2020年8月、新型コロナウイルス感染症の拡大により事業環境の大きな変化を迎えていたなか、当社グループは2023年3月期に営業利益1兆円を達成するという中期的な目標を発表しました。通信料の値下げによる影響はあったものの、PayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益の計上もあり、この目標を達成することができました。
2023年5月、3ヵ年の中期経営計画とともに、長期的に「デジタル化社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する企業」を目指すことを発表しました。これは、AIの加速度的な進化により急増すると予見されるデータ処理や電力の需要に対応できる構造を持ったインフラを構築し、未来の多様なデジタルサービスを支える不可欠な存在となることを意図しています。中期経営計画では、この実現に向けた事業基盤の再構築を実行していきます。成長戦略「Beyond Carrier」を推進することにより、通信料の値下げの影響からの回復に取り組み、この中期経営計画期間の最終年度である2026年3月期に、親会社の所有者に帰属する純利益において過去最高益の達成を目指します。成長戦略「Beyond Carrier」は、コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、通信キャリアの枠を超え、情報・テクノロジー領域のさまざまな分野で積極的にグループの事業を拡大することで、企業価値の最大化を目指すものです。また、通信事業とそれらのグループ事業との連携を強化することを通じて、通信事業の競争力を強化するとともに、グループ事業のサービス利用者数の拡大やユーザーエンゲージメントの向上などのシナジーの創出を推進します。

<通信>国内の通信業界においては、競争促進政策の強化や異業種からの新規参入などによって経営環境が大きく変化し、消費者からはより低廉で多様な料金やサービスを求める動きが高まっています。当社グループは、異なる特長を持つ複数のブランドにより、お客さまの多様なニーズに対応するマルチブランド戦略を推進しています。具体的には、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さまに高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さまにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、生活シーンの変化などによりオンラインで完結するサービスへのニーズが高まったことに対応したオンライン専用の「LINEMO」ブランド等を提供しています。
当期においては、新料金プランを巡る競合他社との競争が続く中、特に「Y!mobile」ブランドが好調に推移し、当期末のスマートフォン契約数は前期末比で168万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が堅調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は前期末比で26万件増加しました。また、2022年11月より、「SoftBank」ブランドの新料金プランとして、5~22歳で新たにスマートフォンを使用されるお客さまや、フィーチャーフォンからの機種変更またはのりかえ(携帯電話番号ポータビリティ(MNP)/番号移行)、「スマホデビュープラン」に加入中のお客さまを対象に、4GBと20GBの2つのデータ容量から選ぶことができる「スマホデビュープラン+(プラス)」の提供を開始しました。
企業および産業のデジタル化の需要の高まりを背景に法人向けビジネスは順調に推移し、当期のソリューション等売上は前期比325億円(15.0%)増加しました。2023年3月より、企業や自治体などのさまざまなニーズに合わせて、ネットワークスライシング(注2)を活用した5Gネットワークを提供する「プライベート5G(共有型)」を開始しました。「プライベート5G(共有型)」の提供を通じ、工場やビルなどの設備を制御するシステムと情報技術システムを連携させ1つのネットワークに集約させることで、産業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していきます。
<非通信の拡大>当社グループは、基幹事業である通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、引き続き通信以外の領域の拡大を目指します。
また、先端技術を保有する企業やソリューションの提供を行う企業との連携にも取り組んでおり、具体的にはパートナーである各企業と合弁会社を設立し、非通信の拡大を推進しています。
Zホールディングスグループ
2023年2月、Zホールディングス㈱は、よりプロダクトファーストの組織体制とし、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合によるシナジーの拡大を加速させるため、Zホールディングス㈱、LINE㈱、ヤフー㈱の3社を中心としたグループ内再編を実施する方針を決議しました。グループ内再編の完了時期(効力発生日)は2023年10月1日(予定)です。これにより、プロダクトにおいてはより迅速な意思決定の下、各サービスの連携強化と統廃合を推進してZホールディングスグループの全サービスの付加価値の向上を目指します。
Zホールディングス㈱は代表取締役の異動について決議をし、2023年4月より、川邊健太郎が代表取締役会長、出澤剛が代表取締役社長 CEO、慎ジュンホが代表取締役 GCPO (グループ・チーフ・プロダクト・オフィサー)に就任しました。また、Zホールディングスグループにおけるシナジー創出、および経営戦略の策定・意思決定・実行の迅速化を図るべく、新たに「CGSO (チーフ・グループ・シナジー・オフィサー)」および「CSO (チーフ・ストラテジー・オフィサー)」を新設・任命しました。
シナジー創出を加速する取り組みの一例として、2023年3月から「LYP(エルワイピー)マイレージ」の提供を開始しました。ユーザーが対象商品を、オフラインでは対象店舗にて「PayPay」の決済で、オンラインでは「Yahoo!ショッピング」の対象ストアで購入し、商品ごとに設定された条件の購入金額を達成すると、PayPayポイント付与などの特典が受けられます。「LYPマイレージ」に参加するメーカーなどの企業は、ユーザーのオフラインとオンライン双方での購買データを活用した継続的かつ効果的な販促が可能となり、販促コストの低減、LTV(顧客生涯価値)の最大化や顧客ロイヤリティの向上につながります。
PayPay㈱
2022年10月1日付で当社およびZホールディングス㈱の子会社となったPayPay㈱が運営する「PayPay」の登録ユーザー数(注3)は、2018年10月にサービス提供を開始してから4年4カ月という短期間で5,500万人を突破し、2023年3月末では5,664万人となりました。当期における「PayPay」の決済回数(注4)は前期比約1.4倍となる51.4億回を超え、決済取扱高(注5)は前期比約1.5倍となる7.9兆円となり、いずれも順調に増加しました。また、PayPayカード㈱を含む連結ベースでの決済取扱高(注4,5)は前期比約1.3倍となる10.2兆円となりました。
PayPay㈱は2023年2月より「PayPay」アプリ上で「PayPay」の加盟店が発行するチラシを閲覧できるサービス「PayPayチラシ」の提供を開始しました。ユーザーは自宅や職場周辺など最大4つのエリアを登録することで、店舗から簡単に情報を取得できます。加盟店は、ユーザーに対し手軽に情報を訴求することができることに加え、チラシを配信した期間に「PayPay」決済がどれだけあったかなど、紙のチラシと比較して効果測定が行いやすくなり、マーケティングの効率化に向けたデータ分析が可能になります。
<経営環境に関する認識>当社グループが認識している主な外部環境要因および対応は以下の通りです。
金利上昇 | 当社は長期借入金の約80%について固定金利での借り入れを行っており(注6)、直ちに重要な影響はありません。 |
為替変動 | 当社の為替エクスポージャーは限定的ですが、よりリスクの低減を図るため、必要に応じて為替予約取引を利用しています。 |
燃料価格高騰 | 当社は基地局やネットワークセンターなどで多くの電力を使用しており、燃料価格高騰による影響を低減するため、省エネ設備への置き換えを進めています。また、今後はトラフィックの少ない時間帯における基地局の無線機制御等を行い、電力量の削減に取り組んでいく予定です。なお、1kWh当たりの電力料金が1円上がった場合の年間影響額は約21億円です。(注7) 「おうちでんき」などの電力サービスについては、お客さまに請求している燃料費調整額に上限価格を設定していましたが、燃料価格高騰を背景に、安定的な電力供給を目的として、2022年11月1日より上限価格を廃止しました。 |
半導体不足 | 若干の改善傾向は見られるものの、半導体不足の影響により、一部の通信設備等の当社への納入までのリードタイム長期化は継続して発生しています。リードタイムを踏まえて発注の前倒し等の対策を実施しているため、5Gネットワークの構築に重要な影響はありません。 |
(注1) マテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) サステナビリティ全般 c.戦略及び指標及び目標 ⅱ.マテリアリティ(重要課題)」をご参照ください。
(注2) ネットワークスライシングとは、ネットワークを仮想化してリソースを分割し、用途や目的(高速大容量、低遅延など)に適合したサービスを提供する技術のことです。
(注3) PayPayのアカウント登録済みのユーザー数です。
(注4) ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。2022年3月期第4四半期以降は「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済を含みます。2022年2月より提供開始した「PayPayあと払い」による決済を含みます。
(注5) 2022年3月期に遡って、PayPay㈱とPayPayカード㈱の取扱高を合算し、両社の内部取引を消去した数値です。
(注6) 金利スワップ取引により、支払利息の固定化を行った一部の変動金利の借入金を含みます。
(注7) 当社および主な子会社における2022年3月期の電気使用量2,117,259MWhに基づいた試算です。
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:億円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 56,906 | 59,120 | 2,214 | 3.9% | |
営業利益 | 9,656 | 10,602 | 946 | 9.8% | |
税引前利益 | 8,580 | 8,629 | 49 | 0.6% | |
法人所得税 | △2,826 | △2,087 | 738 | △26.1% | |
純利益 | 5,754 | 6,541 | 787 | 13.7% | |
親会社の所有者 | 5,171 | 5,314 | 143 | 2.8% | |
非支配持分 | 584 | 1,228 | 644 | 110.4% | |
調整後EBITDA(注1) | 17,418 | 15,664 | △1,754 | △10.1% |
(注) 2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。これに伴い、2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
(注1) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は全セグメントで増収となり、前期比2,214億円(3.9%)増の59,120億円となりました。流通事業はICT(情報通信技術)関連の商材およびサブスクリプションサービスの堅調な増加などにより895億円、金融事業はPayPay㈱の子会社化などにより748億円、ヤフー・LINE事業はコマース売上の増収に加えLINE㈱のアカウント広告やヤフー㈱の検索広告の売上の増加などにより402億円、法人事業はデジタル化に伴うソリューション需要の増加などにより346億円、コンシューマ事業が4億円、それぞれ増収となりました。コンシューマ事業の増収は、物販等売上の減少や通信料の値下げの影響などによりモバイル売上が減少した一方で、電力市場での取引量の増加および価格の上昇などによりでんき売上が増加したことによるものです。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、前期比946億円(9.8%)増の10,602億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益2,948億円を計上したこと、および法人事業において66億円増益したことによるものです。一方で、コンシューマ事業は通信料の値下げの影響などにより1,770億円、金融事業はPayPay㈱の子会社化などにより268億円、それぞれ減益となりました。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比787億円(13.7%)増の6,541億円となりました。これは主として、金融費用が増加し、また持分法による投資の減損損失を計上したものの、PayPay㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益の計上などで営業利益および税引前利益が増加したこと、さらに通信料の値下げの影響などによる課税所得の減少に伴い法人所得税が減少したことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比143億円(2.8%)増の5,314億円となりました。なお、非支配持分に帰属する純利益は、前期比644億円(110.4%)増の1,228億円となりました。これは主として、ZホールディングスグループにおいてもPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益1,474億円を計上したことによるものです。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当期の調整後EBITDAは、前期比1,754億円(10.1%)減の15,664億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益を除いた営業利益が前期比で減少したことによるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
モバイルサービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいるモバイル契約の合計です。モバイルサービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEMO」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数 | 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | 増減 | ||
合計 | 49,509 | 52,281 | 2,772 | ||
主要回線(注) | 38,569 | 39,596 | 1,027 | ||
うち、スマートフォン | 27,580 | 29,262 | 1,682 | ||
通信モジュール等 | 10,603 | 12,621 | 2,018 | ||
PHS | 337 | 64 | △273 |
(単位:千件)
3月31日に終了した1年間 | |||||
純増契約数 | 2022年 | 2023年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 658 | 1,027 | 369 | ||
うち、スマートフォン | 1,654 | 1,682 | 27 |
3月31日に終了した1年間 | |||||
解約率・総合ARPU | 2022年 | 2023年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 解約率 | 1.10% | 1.10% | +0.00ポイント | |
総合ARPU(円) | 4,070 | 3,850 | △220 | ||
割引前ARPU(円) | 4,390 | 4,110 | △280 | ||
割引ARPU(円) | △320 | △250 | 60 | ||
スマートフォン | 解約率 | 0.99% | 1.04% | +0.05ポイント |
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数 | 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | 増減 | |
合計 | 8,313 | 8,395 | 81 | |
SoftBank 光 | 7,306 | 7,566 | 259 | |
Yahoo! BB 光 with フレッツ | 625 | 573 | △51 | |
Yahoo! BB ADSL | 383 | 256 | △127 |
<主要事業データの定義および算出方法>モバイルサービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでん
わ」など
* 「LINEモバイル」は、2021年3月31日をもって、新規受付を終了しました。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティ(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEMO」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われ
る際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数)÷2)の合計値
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連
収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の
光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)
サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了してい
る回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」
とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サ
ービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了し
ている回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているた
め、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 28,827 | 28,831 | 4 | 0.0% |
営業費用(注) | 22,432 | 24,207 | 1,774 | 7.9% |
うち、減価償却費及び償却費 | 4,202 | 4,275 | 72 | 1.7% |
セグメント利益 | 6,395 | 4,624 | △1,770 | △27.7% |
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
(単位:億円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | ||
サービス売上 | 22,518 | 23,033 | 515 | 2.3% | |
モバイル | 16,081 | 15,135 | △945 | △5.9% | |
ブロードバンド | 4,046 | 3,968 | △78 | △1.9% | |
でんき | 2,391 | 3,930 | 1,539 | 64.4% | |
物販等売上 | 6,309 | 5,798 | △511 | △8.1% | |
売上高合計 | 28,827 | 28,831 | 4 | 0.0% |
コンシューマ事業の売上高は、前期比4億円(0.0%)増の28,831億円となりました。そのうち、サービス売上は、前期比515億円(2.3%)増加し23,033億円となり、物販等売上は、前期比511億円(8.1%)減少し5,798億円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前期比945億円(5.9%)減少しました。これは、スマートフォン契約数が「Y!mobile」ブランドを中心に伸びた一方で、通信料の値下げにより平均単価が減少したこと、および売上から控除される顧客獲得施策の影響などによるものです。通信料の値下げによる平均単価の減少は、主に「SoftBank」ブランド・「Y!mobile」ブランドにおける新料金プラン導入の影響、および「SoftBank」ブランドから「Y!mobile」ブランド・「LINEMO」ブランドへの移行が進んだことによるものです。
ブロードバンドは、前期比78億円(1.9%)減少しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数が増加した一方で、キャンペーン施策により平均単価が減少したことなどによるものです。
でんきは、前期比1,539億円(64.4%)増加しました。これは主として、電力市場での取引量の増加および価格の上昇などによるものです。
物販等売上の減少は、機種変更数の減少に伴い端末販売台数が減少したことなどによるものです。
営業費用は24,207億円となり、前期比で1,774億円(7.9%)増加しました。これは主として、上記の端末販売台数の減少に伴い商品原価が減少した一方で、でんきに係る仕入原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比1,770億円(27.7%)減の4,624億円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、モバイル回線提供や携帯端末レンタルなどのモバイルサービス、固定電話やデータ通信などの固定通信サービス、データセンター、クラウド、セキュリティ、グローバル、AI、IoT、デジタルマーケティング等のソリューション等サービスなど、多様な法人向けサービスを提供しています。
<業績全般>
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 7,157 | 7,503 | 346 | 4.8% |
営業費用(注) | 5,873 | 6,152 | 280 | 4.8% |
うち、減価償却費及び償却費 | 1,586 | 1,540 | △46 | △2.9% |
セグメント利益 | 1,285 | 1,351 | 66 | 5.2% |
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
モバイル | 3,132 | 3,200 | 68 | 2.2% |
固定 | 1,868 | 1,821 | △46 | △2.5% |
ソリューション等 | 2,157 | 2,482 | 325 | 15.0% |
売上高合計 | 7,157 | 7,503 | 346 | 4.8% |
法人事業の売上高は、前期比346億円(4.8%)増の7,503億円となりました。そのうち、モバイルは前期比68億円(2.2%)増の3,200億円、固定は前期比46億円(2.5%)減の1,821億円、ソリューション等は前期比325億円(15.0%)増の2,482億円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、通信売上の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数が減少したことによるものです。
ソリューション等売上の増加は、企業のデジタル化需要をとらえ、クラウドサービスおよびセキュリティソリューションの売上が増加したことなどによるものです。
営業費用は6,152億円となり、前期比で280億円(4.8%)増加しました。これは主として、ヘルスケアテクノロジーズ㈱の子会社化に伴い段階取得に係る差益を計上したことによる営業費用の減少があった一方で、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したこと、訴訟に係る引当金を計上したことや、前期において一時的な費用の戻し入れがあったことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比66億円(5.2%)増の1,351億円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。
<業績全般>
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 5,006 | 5,900 | 895 | 17.9% |
営業費用(注) | 4,777 | 5,658 | 881 | 18.4% |
うち、減価償却費及び償却費 | 37 | 41 | 4 | 12.1% |
セグメント利益 | 229 | 243 | 14 | 6.0% |
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
流通事業の売上高は、前期比895億円(17.9%)増の5,900億円となりました。これは主として、ICT(情報通信技術)関連の商材および注力しているクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
営業費用は5,658億円となり、前期比で881億円(18.4%)増加しました。これは主として、売上高の増加に伴い売上原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比14億円(6.0%)増の243億円となりました。
ⅳ.ヤフー・LINE事業
<事業概要>ヤフー・LINE事業は、メディアおよびコマースを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。メディア領域においては、インターネット上や「LINE」での広告関連サービス、コマース領域においては「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのeコマースサービスや「ヤフオク!」などのリユースサービス、戦略領域においては、メディア・コマースに次ぐ新たな収益の柱となるよう取り組んでいるFinTechサービス等の提供を行っています。
<業績全般>
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 15,215 | 15,617 | 402 | 2.6% |
営業費用(注1) | 13,620 | 14,019 | 399 | 2.9% |
うち、減価償却費及び償却費 | 1,510 | 1,599 | 89 | 5.9% |
セグメント利益 | 1,595 | 1,597 | 3 | 0.2% |
(注) 当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。また、当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、報告セグメントに「金融」を追加したことに伴い、各報告セグメントを構成する会社を見直しました。これらに伴い、ヤフー・LINE事業の2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
(注1) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
売上高の内訳
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
メディア(注1) | 6,345 | 6,339 | △5 | △0.1% |
コマース | 8,091 | 8,346 | 255 | 3.2% |
戦略(注1、2) | 631 | 785 | 155 | 24.5% |
その他(注1) | 148 | 146 | △2 | △1.5% |
売上高合計(注2) | 15,215 | 15,617 | 402 | 2.6% |
(注1) 2023年3月31日に終了した1年間において、Zホールディングスグループでは、事業の管理区分を見直し、一部のサービスについて区分を移管しました。これに伴い、2022年3月31日に終了した1年間のヤフー・LINE事業の売上高のうち、「メディア」、「戦略」および「その他」の内訳を修正再表示しています。
(注2) 当社は、2022年12月31日に終了した3カ月間より、報告セグメントに「金融」を追加したことに伴い、各報告セグメントを構成する会社を見直しました。これに伴い、ヤフー・LINE事業の2022年3月31日に終了した1年間の数値を遡及修正しています。
ヤフー・LINE事業の売上高は、前期比402億円(2.6%)増の15,617億円となりました。そのうち、メディアは前期比5億円(0.1%)減の6,339億円、コマースは前期比255億円(3.2%)増の8,346億円、戦略は前期比155億円(24.5%)増の785億円、その他は前期比2億円(1.5%)減の146億円となりました。
メディア売上は前期比で微減ですが、主として、「LINE公式アカウント」における大手顧客の配信メッセージ数増加や、中小加盟店の有償アカウント数増加によりアカウント広告の売上が増加したことや、ヤフー㈱の検索広告の売上が増加したものの、ディスプレイ広告が市況悪化の影響などを受け減収となったことによるものです。
コマース売上の増加は、主として、アスクルグループ(アスクル㈱および子会社)やZOZOグループ(㈱ZOZOおよび子会社)における取扱高の増加や、経済活動の再開に伴い旅行関連の売上が増加したことによるものです。
戦略売上の増加は、主として、FinTech領域の売上が増加したことによるものです。
営業費用は14,019億円となり、前期比で399億円(2.9%)増加しました。これは主として、アスクルグループおよびLINEグループ(LINE㈱および子会社)の売上原価の増加やLINEグループにおける人員増加に伴う人件費の増加などによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比3億円(0.2%)増の1,597億円となりました。
ⅴ.金融事業
<事業概要>金融事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービス、加盟店のマーケティングソリューションの開発・提供、あと払いや資産運用などの金融サービス、およびクレジットカード・電子マネー・QRコードなど多様化する決済を一括で提供する決済代行サービスなどを提供しています。
2022年10月1日付でPayPay㈱を子会社化したことに伴い、2022年12月31日に終了する3カ月間より報告セグメントに「金融」を追加しました。金融事業を構成する主な事業会社は、PayPay㈱、PayPayカード㈱、SBペイメントサービス㈱、PayPay証券㈱です。
<業績全般>
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 675 | 1,423 | 748 | 110.8% |
営業費用(注) | 531 | 1,547 | 1,016 | 191.3% |
うち、減価償却費及び償却費 | 71 | 131 | 60 | 84.5% |
セグメント利益 | 144 | △124 | △268 | - |
(注) 営業費用には、売上原価、販売費および一般管理費、その他の営業収益、その他の営業費用を含みます。
金融事業の売上高は、前期比748億円(110.8%)増の1,423億円となりました。これは主として、2022年10月1日付でPayPay㈱を子会社化したことによるものです。
営業費用は1,547億円となり、前期比で1,016億円(191.3%)増加しました。これは主として、上記PayPay㈱の子会社化の影響によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比268億円減の△124億円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通、ヤフー・LINE、金融の5つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。
セグメントの名称 | 金額(億円) | 前期比(%) |
コンシューマ | 28,831 | 0.0 |
法人 | 7,503 | 4.8 |
流通 | 5,900 | 17.9 |
ヤフー・LINE | 15,617 | 2.6 |
金融 | 1,423 | 110.8 |
その他 | 1,647 | 7.0 |
セグメント間の内部売上高または振替高 | △1,802 | 19.0 |
合計 | 59,120 | 3.9 |
(注) 1 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(参考情報)
提出会社の第37期における基礎的電気通信役務損益明細表は以下の通りです。
基礎的電気通信役務損益明細表
役務の種類 | 営業収益(百万円) | 営業費用(百万円) | 営業利益(百万円) |
基礎的電気通信役務 | 18,233 | 17,152 | 1,081 |
基礎的電気通信役務以外の電気通信役務 | 2,395,402 | 2,024,974 | 370,428 |
計 | 2,413,635 | 2,042,126 | 371,509 |
(注)基礎的電気通信役務損益明細表は、電気通信事業会計規則第5条及び同附則第2項、第3項に基づき記載するものとなります。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:億円) | ||||||
2022年 3月31日 | 2023年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |||
流動資産 | 41,311 | 49,481 | 8,170 | 19.8 | % | |
非流動資産 | 89,664 | 97,341 | 7,677 | 8.6 | % | |
資産合計 | 130,975 | 146,822 | 15,847 | 12.1 | % | |
流動負債 | 53,428 | 63,726 | 10,299 | 19.3 | % | |
非流動負債 | 45,420 | 46,265 | 845 | 1.9 | % | |
負債合計 | 98,847 | 109,991 | 11,144 | 11.3 | % | |
資本合計 | 32,127 | 36,831 | 4,703 | 14.6 | % |
(注) 2022年12月31日に終了した3カ月間より、共通支配下の取引について、簿価引継法から取得法に基づいて会計処理する方法へと変更しました。これに伴い、2022年3月31日時点の数値を遡及修正しています。
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | ||
設備投資(注1) | 6,473 | 7,886 | 1,413 | |
うち、コンシューマ・法人事業の設備投資(注2) | 3,932 | 4,075 | 143 |
(注1) 設備投資は検収ベースでの記載です。
(注2) コンシューマ・法人事業の設備投資は、レンタル端末への投資額、他事業者との共用設備投資(他事業者負担額)およびIFRS第16号「リース」適用による影響は除きます。
(資産)
当期末の総資産は、前期末から15,847億円(12.1%)増加し、146,822億円となりました。これは主として、PayPay㈱等の子会社化に伴うのれんの増加5,697億円、現金及び現金同等物の増加5,124億円、その他の金融資産の増加2,933億円、営業債権及びその他の債権の増加2,608億円があったことによるものです。現金及び現金同等物の増加は、主として、PayPay㈱の子会社化によるものです。
(負債)
当期末の負債は、前期末から11,144億円(11.3%)増加し、109,991億円となりました。これは主として、PayPay㈱の子会社化に伴う営業債務及びその他の債務の増加8,548億円、有利子負債の増加1,350億円、銀行事業の預金の増加661億円があったことによるものです。有利子負債の増加は、主として、Zホールディングスグループにおいて各種の資金調達を実施したことによるものです。
(資本)
当期末の資本は、前期末から4,703億円(14.6%)増加し、36,831億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、2,643億円(13.5%)増加しました。これは主として、剰余金の配当による減少4,057億円があった一方、当期の純利益の計上による増加5,314億円、および主としてPayPay㈱の優先株式を公正価値で測定したことに伴うその他の包括利益累計額の増加1,231億円があったことによるものです。非支配持分は、2,060億円(16.5%)増加しました。これは主として、ZホールディングスグループにおいてPayPay㈱の子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したことなどによる純利益の増加1,228億円、および親会社の所有者に帰属する持分と同様の理由によるその他の包括利益累計額の増加670億円によるものです。
(設備投資)
当期の設備投資は、前期比1,413億円増の7,886億円となりました。これは主として、Zホールディングスグループの設備投資が増加したこと、および5Gへの投資が増加したことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:億円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2022年 | 2023年 | 増減 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 12,159 | 11,558 | △602 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △9,577 | △1,548 | 8,029 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △3,051 | △4,953 | △1,902 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 15,468 | 20,592 | 5,124 | |
フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 2,582 | 10,010 | 7,428 | |
割賦債権の流動化による影響(注1) | 938 | 196 | △742 | |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 3,520 | 10,206 | 6,685 | |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(Zホールディングスグループ、PayPay等除く)(注2) | 5,797 | 6,186 | 389 |
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) Zホールディングスグループ、PayPay等のフリー・キャッシュ・フロー、役員への貸付などを除き、Aホールディングス㈱からの受取配当を含みます。なお、PayPay等にはAホールディングス㈱、Bホールディングス㈱、PayPay㈱、PayPayカード㈱を含みます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、11,558億円の収入となりました。前期比では602億円収入が減少しており、これは主として、営業債権・債務などの必要運転資本、および法人所得税の支払額が減少したものの、調整後EBITDAや銀行事業の預金に係る収入が減少し、さらに銀行事業の貸付に係る支出が増加したことによるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,548億円の支出となり、前期比では8,029億円支出が減少しました。これは主として、当期において、PayPay㈱を子会社化した際の現金及び現金同等物残高の受け入れに伴う収入が3,973億円あったこと、前期において、ヤフー㈱が締結したライセンス契約に伴い商標権などを1,785億円で取得したことや、LINE㈱(現Aホールディングス㈱)株式の併合による単元未満株式買い取り1,152億円などの支出があったことによるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、4,953億円の支出となりました。これは、銀行借入・リース・社債・債権流動化などの資金調達による収入が21,814億円あった一方で、借入金の約定弁済や配当金支払などの支出が26,767億円あったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当期における現金及び現金同等物の残高は、前期末比5,124億円増の20,592億円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、10,206億円の収入となりました。前期比では6,685億円増加しましたが、これは上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローおよび割賦債権の流動化による収入が減少した一方で、投資活動によるキャッシュ・フローの支出の減少があったことによるものです。
f.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 d.財務戦略」をご参照ください。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
3月31日に終了した1年間 | ||
2022年 | 2023年 | |
親会社所有者帰属持分比率(注) | 15.0% | 15.2% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 4.9 | 5.3 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)(注) | 27.5 | 25.5 |
<各指標の計算方法>親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(注) 上表の2022年3月31日時点の数値は、非支配株主が存在する中で行われた共通支配下の取引について、取得法に基づいて会計処理する方法に変更したことに伴い遡及修正しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.会計方針の変更 (2) 共通支配下の取引に関する会計方針の変更および過年度連結財務諸表の遡及適用に伴う影響」をご参照ください。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」、「株式報酬費用」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:億円)
2022年3月31日に 終了した1年間 | 2023年3月31日に 終了した1年間 | |||
営業利益 | 9,656 | 10,602 | ||
(加算)減価償却費及び償却費(注1) | 7,645 | 7,951 | ||
(加算)株式報酬費用 | 178 | 218 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 企業結合に伴う再測定による利益 | - | △3,101 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 訴訟損失引当金繰入額 | - | △90 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 子会社の支配喪失に伴う利益 | △62 | △35 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 減損損失 | 24 | 56 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: その他の調整項目 | △23 | 63 | ||
調整後EBITDA(注2) | 17,418 | 15,664 | ||
(注1) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2022年3月31日に終了した1年間7,453億円 2023年3月31日に終了した1年間7,642億円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2022年3月31日に終了した1年間192億円 2023年3月31日に終了した1年間309億円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)、株式報酬費用および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:億円)
2022年3月31日に 終了した1年間 | 2023年3月31日に 終了した1年間 | |||
売上高 | 56,906 | 59,120 | ||
営業利益 | 9,656 | 10,602 | ||
営業利益マージン | 17.0% | 17.9% | ||
調整後EBITDA(注) | 17,418 | 15,664 | ||
調整後EBITDAマージン(注) | 30.6% | 26.5% | ||
(注) 当期より、調整後EBITDAの定義を見直し、株式報酬費用を加味することにしました。これに伴い、前期の数値を修正再表示しています。
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:億円)
2022年3月31日に 終了した1年間 | 2023年3月31日に 終了した1年間 | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 12,159 | 11,558 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) | △7,071 | △6,075 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) | △2,506 | 4,528 | ||
フリー・キャッシュ・フロー | 2,582 | 10,010 | ||
割賦債権流動化取引:調達額(注3) | 4,663 | 3,781 | ||
割賦債権流動化取引:返済額(注3) | △3,725 | △3,585 | ||
割賦債権の流動化による影響 | 938 | 196 | ||
調整後フリー・キャッシュ・フロー | 3,520 | 10,206 | ||
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。
(5) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、当社グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験や決算日時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。
以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。
a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損に係る見積り
企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は6,438億円(前連結会計年度は49億円)です。
また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り
有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。
資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後、各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は2,955億円(前連結会計年度は2,474億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は2,562億円(前連結会計年度は2,415億円)です。
有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。
c.金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は3,246億円(前連結会計年度末は5,517億円)です。
金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。
d.契約獲得コストの償却期間の見積り
当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は2,335億円(前連結会計年度は2,010億円)です。
契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (15) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.契約コスト」をご参照ください。