四半期報告書-第35期第1四半期(令和2年4月1日-令和2年6月30日)
当第1四半期連結累計期間における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展により大きな変革期を迎えています。AI(注1)やIoT(注2)、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(注3)が起こり始めています。そして、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ次世代通信規格5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
日本の通信市場では、政府による競争促進政策の強化、仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、海外企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融(Fintech)・決済の分野で競争が激化しています。
足元の当第1四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、日本企業の景況感は著しく悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が注目され、このような社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性が急速に高まっています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を中心に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。2020年4月には、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
当社グループは、これらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。この「Beyond Carrier」戦略は、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業の顧客基盤を拡大することに加えて、ヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、持続的な成長を達成することを目指します。
<顧客基盤の拡大に向けた取り組み>顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、10代から20代中心に主にオンラインでサービスを提供することで安価な価格帯を実現する「LINEモバイル」ブランドの3つのブランドによって、お客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。また、グループ会社であるPayPay㈱が展開するモバイル決済サービス「PayPay」やヤフー㈱を傘下にもつZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当第1四半期連結会計期間においては、「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移したほか、2020年6月には、「Y!mobile」ブランドの「スマホベーシックプランM/R」において、月間の高速データ通信容量を使い切った場合の通信速度が最大128kbpsから最大1Mbpsになる改定を行いました。これらの結果、当第1四半期連結会計期間末のスマートフォン契約数は、前期末比で36万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、「SoftBank 光」契約数は、前期末比で22万件増加しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業においてスマートフォンやテレワークの需要が高まっています。当社は従来から、通信端末や通信ネットワークの提供のみでなく、テレワーク環境でも安全に業務ができるネットワークソリューションや、ウェブ会議を実現するクラウド型アプリケーションなど、テレワークを支えるさまざまなソリューションを提供および販売してきました。今後も、テレワークの導入と運用に関するお客さまの不安や悩みを解決し、お客さまのワークスタイルの変革および業務効率化を積極的にサポートしていきます。
5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注4)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2020年4月には、当社とKDDI㈱で、地方における5Gネットワークの早期整備を共同で推進する合弁会社「㈱5G JAPAN」を設立しました。今後、両社が保有する基地局資産を効率的に相互利用するインフラシェアリングを推進し、5Gの地方展開を加速していきます。
<ヤフーの成長>当社は、こうしたマルチブランド戦略、大容量データプランなどの提供、および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTT(注5)の領域への事業展開を推進していきます。昨年度新たに子会社化したZホールディングス㈱および子会社(以下「Zホールディングスグループ」)は、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。また、Zホールディングス㈱は、LINE㈱との経営統合を発表しています(注6)。当社は、この経営統合を「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。
当第1四半期連結累計期間においては、2020年4月より、ヤフー㈱が運営するプレミアムなオンラインショッピングモール「PayPayモール」と、スムーズなフリマ体験を実現するフリマアプリ「PayPayフリマ」を、「PayPay」のアプリトップ画面から簡単に利用できる「ミニアプリ」として提供を開始しました。
<新規ビジネスの拡大の取り組み>新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループ㈱および子会社(以下「ソフトバンクグループ」)の投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2020年5月より、「PayPay」のアプリ内で注文を事前に完了し、待たずに店頭で商品を受け取ることができる事前注文サービス「PayPayピックアップ」の加盟店申し込み(注7)の受け付けを開始しました。また、同月からはUber Eatsや出前館といったデリバリーサービスのオンライン決済に対応し、5月にNHK受信料の請求書、6月には東京都税の納付書が「PayPay請求書払い」にも対応するなど、あらゆるシーンにおいて「PayPay」で決済が可能になるように取り組んでいます。Zホールディングスグループとの協働を進め、「オフライン決済」「オンライン決済」「金融サービス」「公共料金決済」「個人間の取引」などさまざまなサービスへと領域を広げ、「いつでも、どこでもPayPayで」ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」への進化を目指します。
AI温度検知ソリューション
2020年5月より、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、子会社である日本コンピュータビジョン㈱が開発・提供するAI温度検知ソリューション「SenseThunder(センス・サンダー)(注8)」を、全国のソフトバンクショップおよびワイモバイルショップに導入しました。それに先立ち当社の本社(汐留)では2020年3月から試験導入し、4月下旬からは、温度検知と顔認証による従業員の入館管理(ゲート開錠)を行っています。同じく5月にはイオンモールの施設、6月にはTOHOシネマズ㈱が運営する映画館「TOHOシネマズ」、さらに「東京ドーム」や「福岡PayPayドーム」などへ納入され、従業員の体調管理やお客さまの検温用に活用されており、今後の成長が期待されています。
㈱みずほフィナンシャルグループとの次世代型金融事業における戦略的提携
2020年6月に、当社と㈱みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほFG」)は、新たなライフスタイルに対応した次世代型金融事業における戦略的提携を行うことについて合意しました。本提携に基づき、当社とみずほFGはレンディング分野、スマートフォン証券分野および決済代行分野において、連携強化の協議を行い、その実現を目指します。さらに両社の強みやノウハウを生かして、上記以外のより幅広い分野での協業を検討していきます。今までも、当社とみずほFGは、㈱みずほ銀行と当社による、国内初のAIスコアレンディング会社である㈱J.Score(以下「J.Score」)の共同設立や、スマートフォン証券会社の先駆けである㈱One Tap BUY(以下「One Tap BUY」)に共同出資するなど、金融事業においてさまざまな連携・協業を行ってきました。今後、J.Scoreにおいては、「PayPay」の幅広いお客さまに対し、より便利なレンディングサービスを提供することを予定しています。また、One Tap BUYにおいては、みずほ証券㈱との共同経営体制へと移行し、両社グループのリソースやノウハウ、顧客基盤を活用することで機能強化と基盤拡大を図り、「PayPayボーナス運用」をはじめ、より多くのお客さまにとって身近でわかりやすく、利便性の高い、資産運用サービスを提供することで、「貯蓄から資産形成へ」の流れを加速していきます。
Mapbox Japan JV合同会社
Mapbox, Inc.と当社は、合弁会社「Mapbox Japan JV合同会社」を2020年3月に設立しました。Mapbox, Inc.は、地図情報サービスの開発プラットフォームを提供する、業界のリーディングカンパニーであり、2019年7月に日本市場へ参入し、本格的な事業展開を目指してMapbox Japan JV合同会社を設立しました。この設立により国内でのサポート体制を強化し、新型コロナウイルス感染症の影響範囲のモニタリングなどでMapboxのサービスを活用する企業を対象に、最大3カ月間無料で利用できる特別支援を2020年6月より実施しています。
MONET Technologies㈱
2020年4月より、企業や自治体のMaaS(注9)の実現を支援するためのデータ基盤やAPIなどを備えた「MONETプラットフォーム」の運用を本格的に開始しました。また、MaaSに活用できるさまざまなデータやシステムのAPIを提供する「MONETマーケットプレイス」を、MONETコンソーシアムの加盟企業(注10)でシステム開発などを行う企業向けにプレオープンしました。
(注1) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。
(注2) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。
(注3) デジタルトランスフォーメーションとは、企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務等を変革していくことです。
(注4) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注5) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注6) 2020年8月12日現在、本経営統合を実行するために、日本、米国、台湾および韓国の競争法に基づき必要な手続きは完了しています。
(注7) 2020年6月末時点で3,000件以上の申し込みがありました。加盟店の審査と手続きが完了した店舗からサービスをご利用いただけるようになります。
(注8)「SenseThunder」は、AI顔認識技術と赤外線カメラを使い、マスクを着用したままでも対象者の体表温度を所要時間0.5秒で抽出し、感染症の拡大予防につなげることができるソリューションです。
(注9) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。
(注10) 企業以外の団体も含みます。
ⅱ.連結経営成績の概況
(注) 調整後EBITDAの算定方法は「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当第1四半期連結累計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7,788百万円(0.7%)増の1,172,644百万円となりました。コンシューマ事業では、主として、物販等売上の減少により32,641百万円の減収、法人事業では8,073百万円の増収、流通事業では6,561百万円の減収、ヤフー事業では35,246百万円の増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当第1四半期連結累計期間の営業利益は、前年同期比11,089百万円(4.1%)増の279,947百万円となりました。コンシューマ事業では16,363百万円の減益となりましたが、それ以外の事業では、ヤフー事業および法人事業を中心に増益を確保し、法人事業では2桁増益し3,130百万円、流通事業では225百万円、ヤフー事業では14,469百万円の増益となりました。上記以外の「その他」の営業利益は、前年同期比10,906百万円増加しています。これは主として、持分法適用会社として会計処理しているPayPay㈱につき、前年度5月14日まで子会社として会計処理していたことから、同社に係る営業損失が計上されていたことによるものです。
(ⅲ) 純利益
当第1四半期連結累計期間の純利益は、前年同期比4,487百万円(2.6%)減の168,129百万円となりました。これは主として、営業利益が増加した一方で、持分法による投資の売却益が前年同期比5,456百万円減少したことと、持分法による投資損失が前年同期比3,616百万円増加したことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、前年同期比12,658百万円(7.7%)減の152,139百万円となりました。なお、当第1四半期連結累計期間の非支配持分に帰属する純利益は、主として、Zホールディングスグループの増益により、前年同期比8,171百万円(104.5%)増の15,990百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当第1四半期連結累計期間の調整後EBITDAは、前年同期比18,935百万円(4.4%)増の453,201百万円となりました。これは主として、営業利益の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
(単位:千件)
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、付随する携帯端末の販売を含む移動通信サービス、ブロードバンドサービスおよび電気サービスを提供しています。携帯端末の販売については、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当第1四半期連結累計期間において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前第1四半期連結累計期間の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前年同期比32,641百万円(5.0%)減の625,429百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前年同期比1,587百万円(0.3%)減少し528,057百万円となり、物販等売上は、前年同期比31,054百万円(24.2%)減少し97,372百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前年同期比11,375百万円(2.7%)減少しました。「Y!mobile」ブランドを中心にスマートフォン契約数が伸びた一方で、「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い平均単価が減少したことによるものです。
ブロードバンドは、前年同期比2,186百万円(2.3%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。また、でんきは、前年同期比7,602百万円(67.5%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の減少は、主として、端末の販売台数および単価が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は436,055百万円となり、前年同期比で16,278百万円(3.6%)減少しました。これは、主として、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価や端末に係る引当費用が増加した一方で、端末の販売台数減少に伴い商品原価が減少したこと、および電気通信事業法改正の影響により販売手数料が減少したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比16,363百万円(8.0%)減の189,374百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
売上高の内訳
法人事業の売上高は、前年同期比8,073百万円(5.2%)増の162,523百万円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比4,040百万円(6.0%)増の71,867百万円、固定は前年同期比1,806百万円(3.7%)減の47,289百万円、ソリューション等は前年同期比5,839百万円(15.6%)増の43,367百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービス売上やセキュリティソリューションの売上が増加しました。そのほか、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は131,252百万円となり、前年同期比で4,943百万円(3.9%)増加しました。これは主として、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比3,130百万円(11.1%)増の31,271百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・供給を行っています。
<業績全般>
流通事業の売上高は、前年同期比6,561百万円(5.6%)減の109,857百万円となりました。これは主として、前年同期において、法人のお客さま向けのPC・サーバーの特需をうけて売上高が増加していたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は104,353百万円となり、前年同期比で6,786百万円(6.1%)減少しました。これは主として、注力していたクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比225百万円(4.3%)増の5,504百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービス、およびクレジットカード等の決済金融サービスの提供し、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスを提供しています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当第1四半期連結累計期間において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前第1四半期連結累計期間のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前年同期比35,246百万円(14.8%)増の273,880百万円となりました。そのうち、コマースは前年同期比41,214百万円(25.0%)増の205,868百万円、メディアは前年同期比5,093百万円(7.0%)減の67,502百万円、その他は前年同期比875百万円(63.2%)減の510百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加に伴い売上高が増加したことによるものです。
メディア売上の減少は、新型コロナウイルスの影響によりメディアサービスのトラフィック増加等に伴いディスプレイ広告関連収益が増加した一方で、景況感の悪化を背景に検索広告を中心に広告の出稿が減少したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は223,247百万円となり、前年同期比で20,777百万円(10.3%)増加しました。主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加、およびコマースサービスでの売上増加に伴う原価の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は前年同期比14,469百万円(40.0%)増の50,633百万円となりました。
(2) 連結財政状態の状況
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末から286,266百万円(2.9%)増加し、10,078,524百万円となりました。これは主として、債権流動化による資金調達を実施したことに伴う現金及び現金同等物の増加325,608百万円によるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末から336,699百万円(4.2%)増加し、8,421,393百万円となりました。これは主として、債権流動化による資金調達やZホールディングス㈱の無担保社債の発行200,000百万円により、有利子負債が増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末から50,433百万円(3.0%)減少し、1,657,131百万円となりました。これは主として、当第1四半期連結累計期間の純利益の計上による増加168,129百万円、剰余金の配当による減少228,099百万円があったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額、およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、246,398百万円の収入となりました。Zホールディングスグループ会社間の配当に係る源泉所得税の納付に伴う法人所得税の支払額の増加があったものの、銀行事業の預金の増加等により、前年同期比41,199百万円収入が増加しました。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、154,169百万円の支出となりました。前年同期比では46,451百万円支出が増加しましたが、これは主として、投資の売却または償還による収入の減少によるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、233,344百万円の収入となりました。前年同期比では、397,252百万円増加しましたが、これは主として、前年同期において被結合企業の自己株式取得による支出526,826百万円があったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比597,887百万円増の1,469,416百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の調整後フリー・キャッシュ・フローは、179,185百万円の収入となりました。前年同期比では52,694百万円増加しましたが、これは主として、割賦債権の流動化による調達額の増加によるものです。
f. 設備投資
当第1四半期連結累計期間の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前年同期比12,312百万円減の93,615百万円となりました。5G設備への投資は増加しましたが、新規賃貸借契約による使用権資産が減少したことによるものです。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約四半期連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。なお、2019年6月30日に終了した3カ月間および2020年6月30日に終了した3カ月間においては「その他の営業収益」および「その他の営業費用」は発生していません。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (4) 要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年6月30日に終了した3カ月間164,043百万円 2020年6月30日に終了した3カ月間170,839百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年6月30日に終了した3カ月間1,365百万円 2020年6月30日に終了した3カ月間2,415百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「貸付金貸付による支出」、「貸付金回収による収入」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 事業戦略
当社は、変化の激しい情報通信業界において継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。これは、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業に加えてヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化し、持続的な成長を目指すものです。
(a) 通信事業のさらなる成長
当社のビジネスの基盤となる通信事業では、新たな通信インフラである5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数拡大を図ることで、さらなる成長を目指します。
ⅰ. スマートフォン契約数の拡大
当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーや節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えることにより、全ブランドで着実に契約数を伸ばしています。今後は「Yahoo!」の各種サービスやモバイル決済サービス「PayPay」との連携強化や、5Gを活用したVR・クラウドゲーミングなどのコンテンツの展開によって、新たな魅力を提供し、契約数の着実な拡大を図ります。
ⅱ. ブロードバンド契約数の拡大
当社グループは「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売拡大に注力します。
ⅲ. 5Gの展開
当社グループは、第5世代移動通信システム5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。今後、4Gで培った強みを最大限活用し、他社とも連携しながら、展開エリアの拡大を図ります。2020年度末に全国47都道府県への展開、2021年度末には人口カバー率90%超を目指します。
設備投資については、当社グループの強みである全国23万カ所の基地局サイト数を最大限に活用し、さらには4G周波数帯の5Gへの転用や通信設備の効率化などの工夫を行うことで、今後も、5G投資を含む設備投資額(注1)は4,000億円程度という現在の水準を、毎年維持していきます。
ⅳ. 法人向けソリューションビジネスの拡大
当社グループは、今後大きな需要拡大が見込まれる企業の業務デジタル化や自動化に適した通信ソリューションの販売に注力します。さらに、IoTやAI、クラウド、ロボットなどの最先端技術を用いた高付加価値ソリューションを提案することで、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、社会に新しい価値を生み出していくことで、これらに係る売上高である、ソリューション等売上と、法人事業の営業利益を成長させることを目指します。
(b) ヤフー事業の成長
当社グループは、ヤフー㈱を傘下に持つ国内最大級のインターネット企業・Zホールディングス㈱を2019年6月に子会社化し、収益構造の改善やシナジーの最大化を図っています。
ⅰ. コマース・メディア領域の拡大
コマース領域では、2019年11月に買収したファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOとの連携や「PayPay」ブランドを冠した新コマースサービスの積極展開により、eコマース取扱高の拡大を図っています。メディア領域では、マルチビッグデータを活用した新たな広告プロダクトの開発に加え、当社の法人事業との連携強化により新規顧客の獲得を図るなど、今後の収益拡大に取り組みます。また、ユーザーの購買行動に合わせた金融サービスの提供を通じて、金融事業を第3の柱へと育成します。まずは、認知度向上のため、当社グループの各種金融サービスのブランド名を「PayPay」に統一します。
ⅱ. LINE㈱との経営統合
Zホールディングス㈱およびLINE㈱の対等な精神に基づく経営統合を実現すべく、2019年12月に当社およびLINE㈱の親会社であるNAVER Corporation を含む4社間で最終の経営統合契約書を締結しました。統合完了後は、AI、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、様々な分野での協業を想定しており、当社は、本経営統合を当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。なお、2020年8月12日現在、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続は完了しており、当社によるLINE㈱の非公開化のための公開買付けを開始しています。本経営統合の完了は2021年3月頃と想定しています。
(c) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、AI、IoT、Fintech、セキュリティ、モビリティなどの領域で、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを活用した新規ビジネスの拡大を積極的に推進しています。新規事業の創出にあたっては、親会社のソフトバンクグループ㈱が既に投資を行っている世界的に有力なAI企業群と連携することで、単独でビジネスを立ち上げるのに比べて、初期投資を最小限に抑えた効率的な事業運営が可能です。さらに当社グループの強みである、通信事業やヤフー事業での顧客基盤、5Gやソフトウエアの技術、法人事業の営業力を組み合わせることで、新規ビジネスの垂直立ち上げを実現します。当社がZホールディングス㈱およびPaytm社と連携して2018年に開始したモバイル決済サービス「PayPay」を中心にFintech事業を拡大し、PayPay㈱の赤字を縮小し、収益貢献事業に育成します。
(d) コスト効率化
当社グループは、上述の成長戦略の遂行のため積極的に投資をしていきます。その一方で、全社的なコスト効率化に取り組むことで、固定費(注2)を現在の水準に維持することを目指します。全社にわたるオペレーションのデジタル化推進による生産性の向上や、在宅勤務の推進などの働き方改革を実施するとともに、ネットワーク関連費用についても、PHSや3Gサービスの終了等に合わせた設備の最適化などにより、コストの最適化を図ります。
その他、Zホールディングスグループとの共同購買やグループ内企業による業務の内製化等も推進し、当社グループ全体としてのコストダウンも図ります。
b. 財務戦略
(a) 安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務体質の維持
当社グループは、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。当社は、成長投資の継続と高い株主還元の両立を図るため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注3)の創出を目指します。
当社グループは健全な財務体質の維持にも取り組んでおり、ネットレバレッジ・レシオ(注4)は、今後は2.4倍から徐々に改善を図ります。
(b) 株主還元方針
当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況および自己株式取得を含む総還元性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。
上記方針の下、2021年3月期から2023年3月期においては、親会社の所有者に帰属する純利益に対する総還元性向85%程度(注5)を目安に、安定的かつ継続的に1株当たりの配当を実施するとともに、機動的な自己株式の取得を検討することを目指します。
内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A等の投資等に充当していきます。
なお、今期の1株当たり配当金については、2020年5月11日発表の配当予想から変わらず、年間で86円(うち中間配当金43円)を予定しています。
(注1) Zホールディングスグループ、IFRS第16号および法人向けレンタル端末に係る金額を除きます。
(注2) コンシューマ事業および法人事業に係る償却費、ネットワーク関連費用、人件費、広告宣伝費、販売促進費、ショップやオフィスに係る費用等です。
(注3) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注4) ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
(注5) 2021年3月期から2023年3月期の3年間の配当金支払総額と自己株式取得総額の合計÷同3年間の親会社の所有者に帰属する純利益の合計
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,036百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展により大きな変革期を迎えています。AI(注1)やIoT(注2)、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(注3)が起こり始めています。そして、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ次世代通信規格5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
日本の通信市場では、政府による競争促進政策の強化、仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、海外企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融(Fintech)・決済の分野で競争が激化しています。
足元の当第1四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、日本企業の景況感は著しく悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が注目され、このような社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性が急速に高まっています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を中心に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。2020年4月には、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
当社グループは、これらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。この「Beyond Carrier」戦略は、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業の顧客基盤を拡大することに加えて、ヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、持続的な成長を達成することを目指します。
<顧客基盤の拡大に向けた取り組み>顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、10代から20代中心に主にオンラインでサービスを提供することで安価な価格帯を実現する「LINEモバイル」ブランドの3つのブランドによって、お客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。また、グループ会社であるPayPay㈱が展開するモバイル決済サービス「PayPay」やヤフー㈱を傘下にもつZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当第1四半期連結会計期間においては、「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移したほか、2020年6月には、「Y!mobile」ブランドの「スマホベーシックプランM/R」において、月間の高速データ通信容量を使い切った場合の通信速度が最大128kbpsから最大1Mbpsになる改定を行いました。これらの結果、当第1四半期連結会計期間末のスマートフォン契約数は、前期末比で36万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、「SoftBank 光」契約数は、前期末比で22万件増加しました。
また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業においてスマートフォンやテレワークの需要が高まっています。当社は従来から、通信端末や通信ネットワークの提供のみでなく、テレワーク環境でも安全に業務ができるネットワークソリューションや、ウェブ会議を実現するクラウド型アプリケーションなど、テレワークを支えるさまざまなソリューションを提供および販売してきました。今後も、テレワークの導入と運用に関するお客さまの不安や悩みを解決し、お客さまのワークスタイルの変革および業務効率化を積極的にサポートしていきます。
5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注4)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2020年4月には、当社とKDDI㈱で、地方における5Gネットワークの早期整備を共同で推進する合弁会社「㈱5G JAPAN」を設立しました。今後、両社が保有する基地局資産を効率的に相互利用するインフラシェアリングを推進し、5Gの地方展開を加速していきます。
<ヤフーの成長>当社は、こうしたマルチブランド戦略、大容量データプランなどの提供、および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTT(注5)の領域への事業展開を推進していきます。昨年度新たに子会社化したZホールディングス㈱および子会社(以下「Zホールディングスグループ」)は、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。また、Zホールディングス㈱は、LINE㈱との経営統合を発表しています(注6)。当社は、この経営統合を「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。
当第1四半期連結累計期間においては、2020年4月より、ヤフー㈱が運営するプレミアムなオンラインショッピングモール「PayPayモール」と、スムーズなフリマ体験を実現するフリマアプリ「PayPayフリマ」を、「PayPay」のアプリトップ画面から簡単に利用できる「ミニアプリ」として提供を開始しました。
<新規ビジネスの拡大の取り組み>新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループ㈱および子会社(以下「ソフトバンクグループ」)の投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2020年5月より、「PayPay」のアプリ内で注文を事前に完了し、待たずに店頭で商品を受け取ることができる事前注文サービス「PayPayピックアップ」の加盟店申し込み(注7)の受け付けを開始しました。また、同月からはUber Eatsや出前館といったデリバリーサービスのオンライン決済に対応し、5月にNHK受信料の請求書、6月には東京都税の納付書が「PayPay請求書払い」にも対応するなど、あらゆるシーンにおいて「PayPay」で決済が可能になるように取り組んでいます。Zホールディングスグループとの協働を進め、「オフライン決済」「オンライン決済」「金融サービス」「公共料金決済」「個人間の取引」などさまざまなサービスへと領域を広げ、「いつでも、どこでもPayPayで」ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」への進化を目指します。
AI温度検知ソリューション
2020年5月より、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として、子会社である日本コンピュータビジョン㈱が開発・提供するAI温度検知ソリューション「SenseThunder(センス・サンダー)(注8)」を、全国のソフトバンクショップおよびワイモバイルショップに導入しました。それに先立ち当社の本社(汐留)では2020年3月から試験導入し、4月下旬からは、温度検知と顔認証による従業員の入館管理(ゲート開錠)を行っています。同じく5月にはイオンモールの施設、6月にはTOHOシネマズ㈱が運営する映画館「TOHOシネマズ」、さらに「東京ドーム」や「福岡PayPayドーム」などへ納入され、従業員の体調管理やお客さまの検温用に活用されており、今後の成長が期待されています。
㈱みずほフィナンシャルグループとの次世代型金融事業における戦略的提携
2020年6月に、当社と㈱みずほフィナンシャルグループ(以下「みずほFG」)は、新たなライフスタイルに対応した次世代型金融事業における戦略的提携を行うことについて合意しました。本提携に基づき、当社とみずほFGはレンディング分野、スマートフォン証券分野および決済代行分野において、連携強化の協議を行い、その実現を目指します。さらに両社の強みやノウハウを生かして、上記以外のより幅広い分野での協業を検討していきます。今までも、当社とみずほFGは、㈱みずほ銀行と当社による、国内初のAIスコアレンディング会社である㈱J.Score(以下「J.Score」)の共同設立や、スマートフォン証券会社の先駆けである㈱One Tap BUY(以下「One Tap BUY」)に共同出資するなど、金融事業においてさまざまな連携・協業を行ってきました。今後、J.Scoreにおいては、「PayPay」の幅広いお客さまに対し、より便利なレンディングサービスを提供することを予定しています。また、One Tap BUYにおいては、みずほ証券㈱との共同経営体制へと移行し、両社グループのリソースやノウハウ、顧客基盤を活用することで機能強化と基盤拡大を図り、「PayPayボーナス運用」をはじめ、より多くのお客さまにとって身近でわかりやすく、利便性の高い、資産運用サービスを提供することで、「貯蓄から資産形成へ」の流れを加速していきます。
Mapbox Japan JV合同会社
Mapbox, Inc.と当社は、合弁会社「Mapbox Japan JV合同会社」を2020年3月に設立しました。Mapbox, Inc.は、地図情報サービスの開発プラットフォームを提供する、業界のリーディングカンパニーであり、2019年7月に日本市場へ参入し、本格的な事業展開を目指してMapbox Japan JV合同会社を設立しました。この設立により国内でのサポート体制を強化し、新型コロナウイルス感染症の影響範囲のモニタリングなどでMapboxのサービスを活用する企業を対象に、最大3カ月間無料で利用できる特別支援を2020年6月より実施しています。
MONET Technologies㈱
2020年4月より、企業や自治体のMaaS(注9)の実現を支援するためのデータ基盤やAPIなどを備えた「MONETプラットフォーム」の運用を本格的に開始しました。また、MaaSに活用できるさまざまなデータやシステムのAPIを提供する「MONETマーケットプレイス」を、MONETコンソーシアムの加盟企業(注10)でシステム開発などを行う企業向けにプレオープンしました。
(注1) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。
(注2) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。
(注3) デジタルトランスフォーメーションとは、企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務等を変革していくことです。
(注4) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注5) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注6) 2020年8月12日現在、本経営統合を実行するために、日本、米国、台湾および韓国の競争法に基づき必要な手続きは完了しています。
(注7) 2020年6月末時点で3,000件以上の申し込みがありました。加盟店の審査と手続きが完了した店舗からサービスをご利用いただけるようになります。
(注8)「SenseThunder」は、AI顔認識技術と赤外線カメラを使い、マスクを着用したままでも対象者の体表温度を所要時間0.5秒で抽出し、感染症の拡大予防につなげることができるソリューションです。
(注9) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。
(注10) 企業以外の団体も含みます。
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円) | |||||
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 1,164,856 | 1,172,644 | 7,788 | 0.7% | |
営業利益 | 268,858 | 279,947 | 11,089 | 4.1% | |
税引前利益 | 259,538 | 257,362 | △2,176 | △0.8% | |
法人所得税 | △86,922 | △89,233 | △2,311 | 2.7% | |
純利益 | 172,616 | 168,129 | △4,487 | △2.6% | |
親会社の所有者 | 164,797 | 152,139 | △12,658 | △7.7% | |
非支配持分 | 7,819 | 15,990 | 8,171 | 104.5% | |
調整後EBITDA(注) | 434,266 | 453,201 | 18,935 | 4.4% |
(注) 調整後EBITDAの算定方法は「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当第1四半期連結累計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7,788百万円(0.7%)増の1,172,644百万円となりました。コンシューマ事業では、主として、物販等売上の減少により32,641百万円の減収、法人事業では8,073百万円の増収、流通事業では6,561百万円の減収、ヤフー事業では35,246百万円の増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当第1四半期連結累計期間の営業利益は、前年同期比11,089百万円(4.1%)増の279,947百万円となりました。コンシューマ事業では16,363百万円の減益となりましたが、それ以外の事業では、ヤフー事業および法人事業を中心に増益を確保し、法人事業では2桁増益し3,130百万円、流通事業では225百万円、ヤフー事業では14,469百万円の増益となりました。上記以外の「その他」の営業利益は、前年同期比10,906百万円増加しています。これは主として、持分法適用会社として会計処理しているPayPay㈱につき、前年度5月14日まで子会社として会計処理していたことから、同社に係る営業損失が計上されていたことによるものです。
(ⅲ) 純利益
当第1四半期連結累計期間の純利益は、前年同期比4,487百万円(2.6%)減の168,129百万円となりました。これは主として、営業利益が増加した一方で、持分法による投資の売却益が前年同期比5,456百万円減少したことと、持分法による投資損失が前年同期比3,616百万円増加したことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当第1四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、前年同期比12,658百万円(7.7%)減の152,139百万円となりました。なお、当第1四半期連結累計期間の非支配持分に帰属する純利益は、主として、Zホールディングスグループの増益により、前年同期比8,171百万円(104.5%)増の15,990百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当第1四半期連結累計期間の調整後EBITDAは、前年同期比18,935百万円(4.4%)増の453,201百万円となりました。これは主として、営業利益の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2020年6月30日 | 増減 | ||
合計 | 45,778 | 46,131 | 353 | ||
主要回線(注) | 36,499 | 36,867 | 368 | ||
うち、スマートフォン | 24,134 | 24,497 | 363 | ||
通信モジュール等 | 7,663 | 7,805 | 142 | ||
PHS | 1,616 | 1,459 | △157 |
(単位:千件)
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
純増契約数 | 2019年 | 2020年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 269 | 368 | 99 | ||
うち、スマートフォン | 372 | 363 | △8 |
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
解約率・総合ARPU | 2019年 | 2020年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 解約率 | 1.03% | 0.73% | △0.29ポイント | |
総合ARPU(円) | 4,450 | 4,300 | △140 | ||
割引前ARPU(円) | 5,250 | 4,810 | △440 | ||
割引ARPU(円) | △800 | △510 | 300 | ||
スマートフォン | 解約率 | 0.81% | 0.53% | △0.28ポイント |
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2020年6月30日 | 増減 | |
合計 | 7,846 | 7,988 | 143 | |
SoftBank 光 | 6,387 | 6,603 | 216 | |
Yahoo! BB 光 with フレッツ | 786 | 761 | △25 | |
Yahoo! BB ADSL | 673 | 624 | △49 |
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、付随する携帯端末の販売を含む移動通信サービス、ブロードバンドサービスおよび電気サービスを提供しています。携帯端末の販売については、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 658,070 | 625,429 | △32,641 | △5.0% |
セグメント利益 | 205,737 | 189,374 | △16,363 | △8.0% |
減価償却費及び償却費 | 102,237 | 104,374 | 2,137 | 2.1% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | |||||
6月30日に終了した3カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
サービス売上 | 529,644 | 528,057 | △1,587 | △0.3% | |
モバイル | 423,330 | 411,955 | △11,375 | △2.7% | |
ブロードバンド | 95,045 | 97,231 | 2,186 | 2.3% | |
でんき | 11,269 | 18,871 | 7,602 | 67.5% | |
物販等売上 | 128,426 | 97,372 | △31,054 | △24.2% | |
売上高合計 | 658,070 | 625,429 | △32,641 | △5.0% |
(注) 当第1四半期連結累計期間において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前第1四半期連結累計期間の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前年同期比32,641百万円(5.0%)減の625,429百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前年同期比1,587百万円(0.3%)減少し528,057百万円となり、物販等売上は、前年同期比31,054百万円(24.2%)減少し97,372百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前年同期比11,375百万円(2.7%)減少しました。「Y!mobile」ブランドを中心にスマートフォン契約数が伸びた一方で、「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い平均単価が減少したことによるものです。
ブロードバンドは、前年同期比2,186百万円(2.3%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。また、でんきは、前年同期比7,602百万円(67.5%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の減少は、主として、端末の販売台数および単価が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は436,055百万円となり、前年同期比で16,278百万円(3.6%)減少しました。これは、主として、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価や端末に係る引当費用が増加した一方で、端末の販売台数減少に伴い商品原価が減少したこと、および電気通信事業法改正の影響により販売手数料が減少したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比16,363百万円(8.0%)減の189,374百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 154,450 | 162,523 | 8,073 | 5.2% |
セグメント利益 | 28,141 | 31,271 | 3,130 | 11.1% |
減価償却費及び償却費 | 39,842 | 39,333 | △509 | △1.3% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
モバイル | 67,827 | 71,867 | 4,040 | 6.0% |
固定 | 49,095 | 47,289 | △1,806 | △3.7% |
ソリューション等 | 37,528 | 43,367 | 5,839 | 15.6% |
売上高合計 | 154,450 | 162,523 | 8,073 | 5.2% |
法人事業の売上高は、前年同期比8,073百万円(5.2%)増の162,523百万円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比4,040百万円(6.0%)増の71,867百万円、固定は前年同期比1,806百万円(3.7%)減の47,289百万円、ソリューション等は前年同期比5,839百万円(15.6%)増の43,367百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービス売上やセキュリティソリューションの売上が増加しました。そのほか、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は131,252百万円となり、前年同期比で4,943百万円(3.9%)増加しました。これは主として、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比3,130百万円(11.1%)増の31,271百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・供給を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 116,418 | 109,857 | △6,561 | △5.6% |
セグメント利益 | 5,279 | 5,504 | 225 | 4.3% |
減価償却費及び償却費 | 686 | 881 | 195 | 28.4% |
流通事業の売上高は、前年同期比6,561百万円(5.6%)減の109,857百万円となりました。これは主として、前年同期において、法人のお客さま向けのPC・サーバーの特需をうけて売上高が増加していたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は104,353百万円となり、前年同期比で6,786百万円(6.1%)減少しました。これは主として、注力していたクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比225百万円(4.3%)増の5,504百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」、「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービス、およびクレジットカード等の決済金融サービスの提供し、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスを提供しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 238,634 | 273,880 | 35,246 | 14.8% |
セグメント利益 | 36,164 | 50,633 | 14,469 | 40.0% |
減価償却費及び償却費 | 17,825 | 24,734 | 6,909 | 38.8% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
コマース | 164,654 | 205,868 | 41,214 | 25.0% |
メディア | 72,595 | 67,502 | △5,093 | △7.0% |
その他 | 1,385 | 510 | △875 | △63.2% |
売上高合計 | 238,634 | 273,880 | 35,246 | 14.8% |
(注) 当第1四半期連結累計期間において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前第1四半期連結累計期間のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前年同期比35,246百万円(14.8%)増の273,880百万円となりました。そのうち、コマースは前年同期比41,214百万円(25.0%)増の205,868百万円、メディアは前年同期比5,093百万円(7.0%)減の67,502百万円、その他は前年同期比875百万円(63.2%)減の510百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加に伴い売上高が増加したことによるものです。
メディア売上の減少は、新型コロナウイルスの影響によりメディアサービスのトラフィック増加等に伴いディスプレイ広告関連収益が増加した一方で、景況感の悪化を背景に検索広告を中心に広告の出稿が減少したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は223,247百万円となり、前年同期比で20,777百万円(10.3%)増加しました。主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加、およびコマースサービスでの売上増加に伴う原価の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は前年同期比14,469百万円(40.0%)増の50,633百万円となりました。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円) | |||||
2020年 3月31日 | 2020年 6月30日 | 増減 | 増減率 | ||
流動資産 | 3,364,303 | 3,674,215 | 309,912 | 9.2% | |
非流動資産 | 6,427,955 | 6,404,309 | △23,646 | △0.4% | |
資産合計 | 9,792,258 | 10,078,524 | 286,266 | 2.9% | |
流動負債 | 4,496,609 | 4,631,181 | 134,572 | 3.0% | |
非流動負債 | 3,588,085 | 3,790,212 | 202,127 | 5.6% | |
負債合計 | 8,084,694 | 8,421,393 | 336,699 | 4.2% | |
資本合計 | 1,707,564 | 1,657,131 | △50,433 | △3.0% |
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末から286,266百万円(2.9%)増加し、10,078,524百万円となりました。これは主として、債権流動化による資金調達を実施したことに伴う現金及び現金同等物の増加325,608百万円によるものです。
(負債)
当第1四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末から336,699百万円(4.2%)増加し、8,421,393百万円となりました。これは主として、債権流動化による資金調達やZホールディングス㈱の無担保社債の発行200,000百万円により、有利子負債が増加したことによるものです。
(資本)
当第1四半期連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末から50,433百万円(3.0%)減少し、1,657,131百万円となりました。これは主として、当第1四半期連結累計期間の純利益の計上による増加168,129百万円、剰余金の配当による減少228,099百万円があったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | ||||
6月30日に終了した3カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 205,199 | 246,398 | 41,199 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △107,718 | △154,169 | △46,451 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △163,908 | 233,344 | 397,252 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 871,529 | 1,469,416 | 597,887 | |
フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 97,481 | 92,229 | △5,252 | |
割賦債権の流動化による影響(注1) | 29,010 | 86,956 | 57,946 | |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 126,491 | 179,185 | 52,694 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む) | 105,927 | 93,615 | △12,312 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)(注2) | 50,480 | 58,306 | 7,826 |
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額、およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、246,398百万円の収入となりました。Zホールディングスグループ会社間の配当に係る源泉所得税の納付に伴う法人所得税の支払額の増加があったものの、銀行事業の預金の増加等により、前年同期比41,199百万円収入が増加しました。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、154,169百万円の支出となりました。前年同期比では46,451百万円支出が増加しましたが、これは主として、投資の売却または償還による収入の減少によるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、233,344百万円の収入となりました。前年同期比では、397,252百万円増加しましたが、これは主として、前年同期において被結合企業の自己株式取得による支出526,826百万円があったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比597,887百万円増の1,469,416百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当第1四半期連結累計期間の調整後フリー・キャッシュ・フローは、179,185百万円の収入となりました。前年同期比では52,694百万円増加しましたが、これは主として、割賦債権の流動化による調達額の増加によるものです。
f. 設備投資
当第1四半期連結累計期間の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前年同期比12,312百万円減の93,615百万円となりました。5G設備への投資は増加しましたが、新規賃貸借契約による使用権資産が減少したことによるものです。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約四半期連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。なお、2019年6月30日に終了した3カ月間および2020年6月30日に終了した3カ月間においては「その他の営業収益」および「その他の営業費用」は発生していません。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年6月30日に 終了した3カ月間 | 2020年6月30日に 終了した3カ月間 | |||
営業利益 | 268,858 | 279,947 | ||
(加算)減価償却費及び償却費(注) | 165,408 | 173,254 | ||
調整後EBITDA | 434,266 | 453,201 | ||
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (4) 要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年6月30日に終了した3カ月間164,043百万円 2020年6月30日に終了した3カ月間170,839百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年6月30日に終了した3カ月間1,365百万円 2020年6月30日に終了した3カ月間2,415百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年6月30日に 終了した3カ月間 | 2020年6月30日に 終了した3カ月間 | |||
売上高 | 1,164,856 | 1,172,644 | ||
営業利益 | 268,858 | 279,947 | ||
営業利益マージン | 23.1% | 23.9% | ||
調整後EBITDA | 434,266 | 453,201 | ||
調整後EBITDAマージン | 37.3% | 38.6% | ||
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年6月30日に 終了した3カ月間 | 2020年6月30日に 終了した3カ月間 | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 205,199 | 246,398 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) | △107,793 | △108,690 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) | 75 | △45,479 | ||
フリー・キャッシュ・フロー | 97,481 | 92,229 | ||
割賦債権流動化取引:調達額(注3) | 255,208 | 108,332 | ||
割賦債権流動化取引:返済額(注3) | △226,198 | △21,376 | ||
割賦債権の流動化による影響 | 29,010 | 86,956 | ||
調整後フリー・キャッシュ・フロー | 126,491 | 179,185 | ||
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「貸付金貸付による支出」、「貸付金回収による収入」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 事業戦略
当社は、変化の激しい情報通信業界において継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。これは、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業に加えてヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化し、持続的な成長を目指すものです。
(a) 通信事業のさらなる成長
当社のビジネスの基盤となる通信事業では、新たな通信インフラである5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数拡大を図ることで、さらなる成長を目指します。
ⅰ. スマートフォン契約数の拡大
当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーや節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えることにより、全ブランドで着実に契約数を伸ばしています。今後は「Yahoo!」の各種サービスやモバイル決済サービス「PayPay」との連携強化や、5Gを活用したVR・クラウドゲーミングなどのコンテンツの展開によって、新たな魅力を提供し、契約数の着実な拡大を図ります。
ⅱ. ブロードバンド契約数の拡大
当社グループは「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売拡大に注力します。
ⅲ. 5Gの展開
当社グループは、第5世代移動通信システム5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。今後、4Gで培った強みを最大限活用し、他社とも連携しながら、展開エリアの拡大を図ります。2020年度末に全国47都道府県への展開、2021年度末には人口カバー率90%超を目指します。
設備投資については、当社グループの強みである全国23万カ所の基地局サイト数を最大限に活用し、さらには4G周波数帯の5Gへの転用や通信設備の効率化などの工夫を行うことで、今後も、5G投資を含む設備投資額(注1)は4,000億円程度という現在の水準を、毎年維持していきます。
ⅳ. 法人向けソリューションビジネスの拡大
当社グループは、今後大きな需要拡大が見込まれる企業の業務デジタル化や自動化に適した通信ソリューションの販売に注力します。さらに、IoTやAI、クラウド、ロボットなどの最先端技術を用いた高付加価値ソリューションを提案することで、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、社会に新しい価値を生み出していくことで、これらに係る売上高である、ソリューション等売上と、法人事業の営業利益を成長させることを目指します。
(b) ヤフー事業の成長
当社グループは、ヤフー㈱を傘下に持つ国内最大級のインターネット企業・Zホールディングス㈱を2019年6月に子会社化し、収益構造の改善やシナジーの最大化を図っています。
ⅰ. コマース・メディア領域の拡大
コマース領域では、2019年11月に買収したファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOとの連携や「PayPay」ブランドを冠した新コマースサービスの積極展開により、eコマース取扱高の拡大を図っています。メディア領域では、マルチビッグデータを活用した新たな広告プロダクトの開発に加え、当社の法人事業との連携強化により新規顧客の獲得を図るなど、今後の収益拡大に取り組みます。また、ユーザーの購買行動に合わせた金融サービスの提供を通じて、金融事業を第3の柱へと育成します。まずは、認知度向上のため、当社グループの各種金融サービスのブランド名を「PayPay」に統一します。
ⅱ. LINE㈱との経営統合
Zホールディングス㈱およびLINE㈱の対等な精神に基づく経営統合を実現すべく、2019年12月に当社およびLINE㈱の親会社であるNAVER Corporation を含む4社間で最終の経営統合契約書を締結しました。統合完了後は、AI、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、様々な分野での協業を想定しており、当社は、本経営統合を当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。なお、2020年8月12日現在、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続は完了しており、当社によるLINE㈱の非公開化のための公開買付けを開始しています。本経営統合の完了は2021年3月頃と想定しています。
(c) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、AI、IoT、Fintech、セキュリティ、モビリティなどの領域で、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを活用した新規ビジネスの拡大を積極的に推進しています。新規事業の創出にあたっては、親会社のソフトバンクグループ㈱が既に投資を行っている世界的に有力なAI企業群と連携することで、単独でビジネスを立ち上げるのに比べて、初期投資を最小限に抑えた効率的な事業運営が可能です。さらに当社グループの強みである、通信事業やヤフー事業での顧客基盤、5Gやソフトウエアの技術、法人事業の営業力を組み合わせることで、新規ビジネスの垂直立ち上げを実現します。当社がZホールディングス㈱およびPaytm社と連携して2018年に開始したモバイル決済サービス「PayPay」を中心にFintech事業を拡大し、PayPay㈱の赤字を縮小し、収益貢献事業に育成します。
(d) コスト効率化
当社グループは、上述の成長戦略の遂行のため積極的に投資をしていきます。その一方で、全社的なコスト効率化に取り組むことで、固定費(注2)を現在の水準に維持することを目指します。全社にわたるオペレーションのデジタル化推進による生産性の向上や、在宅勤務の推進などの働き方改革を実施するとともに、ネットワーク関連費用についても、PHSや3Gサービスの終了等に合わせた設備の最適化などにより、コストの最適化を図ります。
その他、Zホールディングスグループとの共同購買やグループ内企業による業務の内製化等も推進し、当社グループ全体としてのコストダウンも図ります。
b. 財務戦略
(a) 安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務体質の維持
当社グループは、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。当社は、成長投資の継続と高い株主還元の両立を図るため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注3)の創出を目指します。
当社グループは健全な財務体質の維持にも取り組んでおり、ネットレバレッジ・レシオ(注4)は、今後は2.4倍から徐々に改善を図ります。
(b) 株主還元方針
当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況および自己株式取得を含む総還元性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。
上記方針の下、2021年3月期から2023年3月期においては、親会社の所有者に帰属する純利益に対する総還元性向85%程度(注5)を目安に、安定的かつ継続的に1株当たりの配当を実施するとともに、機動的な自己株式の取得を検討することを目指します。
内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A等の投資等に充当していきます。
なお、今期の1株当たり配当金については、2020年5月11日発表の配当予想から変わらず、年間で86円(うち中間配当金43円)を予定しています。
(注1) Zホールディングスグループ、IFRS第16号および法人向けレンタル端末に係る金額を除きます。
(注2) コンシューマ事業および法人事業に係る償却費、ネットワーク関連費用、人件費、広告宣伝費、販売促進費、ショップやオフィスに係る費用等です。
(注3) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注4) ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
(注5) 2021年3月期から2023年3月期の3年間の配当金支払総額と自己株式取得総額の合計÷同3年間の親会社の所有者に帰属する純利益の合計
(6) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,036百万円です。
なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。