四半期報告書-第35期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)
当第2四半期連結累計期間における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展により大きな変革期を迎えています。AI(注1)やIoT(注2)、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(注3)が起こり始めています。そして、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
日本の通信市場では、総務省による競争環境整備に向けたアクションプランの発出、競争促進政策のより一層の強化、仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、海外企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融(Fintech)・決済の分野で競争が激化しています。
当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も継続しており、日本企業の景況感は悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が注目され、社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性が急速に高まっています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を基盤に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。2020年4月には、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
SDGsとマテリアリティ(重要課題)の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
https://www.softbank.jp/corp/sustainability/materiality/
当社グループは、デジタル技術を活用してこれらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。「Beyond Carrier」戦略は、通信事業の顧客基盤を拡大することに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、2022年度に営業利益1兆円を達成することを目指します。
<顧客基盤の拡大に向けた取り組み>顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、10代から20代中心に主にオンラインでサービスを提供することで安価な価格帯を実現する「LINEモバイル」ブランドの3つのブランドによって、お客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。また、グループ会社であるPayPay㈱が展開するモバイル決済サービス「PayPay」やヤフー㈱を傘下にもつZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当社グループは、これらのサービスを支えるネットワークの品質の強化に取り組んできましたが、このたび、英国のモバイルネットワーク分析会社Opensignalが2020年9月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2020」においてLINEやWhatsApp、Skype、Facebook Messengerなどのモバイル・ボイス・アプリや、OTT(注4)におけるユーザー体験の品質を測定する「音声アプリ・エクスペリエンス」部門で世界第1位を獲得し、画質や読み込み時間、失速率を考慮した動画品質を判定する「ビデオ・エクスペリエンス」部門では世界第3位(注5)を獲得しました(注6)。これからも、お客さまにとって高品質でストレスのない通信環境を整備することに、より一層努めるとともに、ご満足いただけるサービスやソリューションを提供できるよう取り組んでいきます。
5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注7)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2020年4月には、当社とKDDI㈱で、地方における5Gネットワークの早期整備を共同で推進する合弁会社「㈱5G JAPAN」を設立しました。今後、両社が保有する基地局資産を効率的に相互利用するインフラシェアリングを推進し、5Gの地方展開を加速していきます。
当第2四半期連結会計期間においては、「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移したほか、2020年9月には、「Y!mobile」から「SoftBank」へ番号移行をされた場合に各種事務手数料を免除するほか、「メリハリプラン」へ加入されたお客さまには、月額利用料金から2,800円を12カ月間割引するキャンペーン「ワイモバイル→ソフトバンクのりかえ特典」を開始しました。これらの結果、当第2四半期連結会計期間末のスマートフォン契約数は、前期末比で87万件増加し、累計契約数2,500万件を突破しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は、前期末比で37万件増加しました。
また、前述の通り、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業においてスマートフォンやテレワークの需要が高まっています。当社は従来から、通信端末や通信ネットワークの提供のみでなく、テレワーク環境でも安全に業務ができるネットワークソリューションや、ウェブ会議を実現するクラウド型アプリケーションなど、テレワークを支えるさまざまなソリューションを提供および販売してきました。今後も、テレワークの導入と運用に関するお客さまの不安や悩みを解決し、お客さまのワークスタイルの変革および業務効率化を積極的にサポートしていきます。
<ヤフーの成長>当社は、こうしたマルチブランド戦略、大容量データプランなどの提供、および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTTの領域への事業展開を推進しています。昨年度子会社化したZホールディングス㈱および子会社(以下「Zホールディングスグループ」)は、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。
また、Zホールディングス㈱は、LINE㈱との経営統合(以下「本経営統合」)を発表しています(注8)。当社は、本経営統合を「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。2020年8月に、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続きは完了しました。そして、本経営統合を実現するための取引の一環として、LINE㈱株式を対象とした公開買付けを2020年8月4日に開始し、9月15日に終了しました。本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
当第2四半期連結累計期間において、Zホールディングス㈱、Zフィナンシャル㈱および当社は、各社傘下の金融事業会社6社の社名および各社が提供するサービス名を、2021年以降順次「PayPay」ブランドに統一することを決定しました(注9)。銀行やクレジットカード、保険などの金融サービスについても「PayPay」との連携をさらに強化し、わかりやすい名称とすることでお客さまに親しみをもってサービスをご利用いただきたいという思いのもと、「PayPay」ブランドを冠した社名・サービス名に変更します。
また、ヤフー㈱が運営するインターネット旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」は、2020年9月より東京都が目的地となっている旅行、および東京都に居住する方の旅行の「Go To トラベルキャンペーン」への追加を受けて、10月1日以降に出発する対象商品の旅行代金の最大50%がお得(注10)になる割引販売を開始しました。さらに、Yahoo!プレミアム会員とソフトバンクスマホユーザー向け特典などを加えると、旅行代金の最大35%の割引後の金額に対して最大15%分の特典となります。これらの施策を通して「Yahoo!トラベル」は感染拡大の抑止に留意しつつ、ユーザーが安心してお得に旅行できる機会を提供していきます。
<新規ビジネスの拡大の取り組み>新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループ㈱および子会社(以下「ソフトバンクグループ」)の投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2020年9月末でのPayPay累計登録者数は3,200万人を突破し、PayPay決済回数は第2四半期連結会計期間において、前年同期比5倍となる約4.9億回となり、順調に推移しました。また、総務省が2020年9月から実施している「マイナポイント事業(注11)」において7月より申込登録の受付を開始し、9月5日には「PayPay」への申込登録数が100万件を突破しました。引き続き、当社グループおよびZホールディングスグループとの協働を進め、あらゆる小売店舗やサービス事業者にキャッシュレス決済の利便性を提供し、オンライン決済、公共料金決済、個人間の取引、投資などの金融サービスなどさまざまなサービスへと領域を広げ、「いつでも、どこでもPayPayで」ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」への進化を目指します。
オンライン健康医療相談サービス「HELPO」
2020年7月より、当社のグループ会社であるヘルスケアテクノロジーズ㈱は、オンライン健康医療相談サービス「HELPO(ヘルポ)」の提供を法人、自治体向けに開始しました。「HELPO」はスマートフォンアプリなどを通して、オンライン健康医療相談や病院検索、一般用医薬品などの購入がワンストップでできるヘルスケアサービスです。今後はお客さまのニーズに沿って「HELPO」の機能を段階的に拡充するとともに、法人や自治体に加えて健康保険組合など各種団体への提供も行い、利用者の拡大を目指します。
MONET Technologies㈱
2020年8月より、MaaS(注12)向けの架装車両や架装キットを提供する「MONET MaaSコンバージョン」の第1弾として、車内のレイアウトを柔軟に変更することにより1台をさまざまな用途で活用できる「マルチタスク車両」と、車内での乗客のパーソナルスペースの確保と換気に配慮した「パーソナルベンチレーションキット」の2種類を発表し、企業と自治体を対象に受注を開始しました。また、2020年9月より、MaaSのシステム開発に活用できる天気・観光・地図情報などのさまざまなデータやオンデマンドバス(注13)のシステム、決済システムなどのAPI(注14)を提供する「MONETマーケットプレイス」を正式にオープンしました。今回の正式オープンにより、MONETコンソーシアムに加盟していない一般の企業が「MONETマーケットプレイス」を利用できるようになり、さらに「MONETマーケットプレイス」にAPIを提供することも可能となりました。
(注1) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。
(注2) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。
(注3) デジタルトランスフォーメーションとは、企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務等を変革していくことです。
(注4) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注5) 「ビデオ・エクスペリエンス」部門では、日本国内では第1位の評価です。
(注6) この調査は、世界中で1億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイルネットワークのユーザーエクスペリエンスを分析するOpensignalが、世界の通信事業者181社を対象に、「音声アプリ・エクスペリエンス」「ビデオ・エクスペリエンス」「ダウンロード・スピード・エクスペリエンス」「アップロード・スピード・エクスペリエンス」「4G利用率」の5つの評価軸で、包括的に比較したものです。
(注7) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注8) 本経営統合は、必要とされる各国における競争法、外為法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了していること、その他最終契約である経営統合契約書において定める前提条件が充足されることを条件として行われます。
(注9) 社名変更については、各社株主総会により承認可決されることおよび必要に応じ所管官公庁の許認可等が得られることを条件として実施される予定です。
(注10) 国内旅行代金の最大50%(1人1泊当たり最大20,000円)のうち70%は旅行代金から割引き、30%は現地で使える地域共通クーポンの内訳になります。一部キャンペーンの対象外となる商品があります。
(注11) 「マイナポイント事業」とは、2020年9月1日から2021年3月31日までの7カ月間、消費の活性化を図ると同時に、マイナンバーカードの普及促進および官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的として、マイナンバーカードを取得して所定の手続きを完了した国民に対し、選択したキャッシュレス決済サービスで利用可能なポイントなどを付与するものです。
(注12) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。
(注13) オンデマンドバスのAPIは、2020年度内に提供を開始する予定です。
(注14) APIとは、Application Programming Interfaceの略称で、アプリケーションやソフトウエアを構築および統合するために使われる仕組みのことです。
<当第2四半期における資本政策>株式の売出し
2020年8月28日の取締役会において、当社普通株式1,028,061,400株(オーバーアロットメント含む。)の売出し(以下「本売出し」)を決議しました。当社は、ソフトバンクグループ㈱より、同社の手元資金のさらなる拡充のために、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有している当社株式の一部を売却したい旨、かつ本売出し以降に当社株式を追加で売却する意向はなく、本売出し後の持分を中長期的に維持する方針を確認しました。当社は、本売出しがソフトバンクグループ㈱による追加売却に係る懸念を早期に払拭するほか、当社株式の市場流動性を高めることで、当社株式の適切な価格形成につながるものと考え、本売出しを承認しました。売出しの結果、ソフトバンクグループジャパン㈱の持分は2020年6月末時点の62.0%から40.2%に低下しました。なお、本売出しの完了後も、当社がソフトバンクグループの連結子会社であることに変更はなく、引き続き同社との協働により新しいビジネスを育成し、企業価値の向上を目指します。
本件の詳細については、以下をご参照ください。
2020年8月28日付「株式の売出しに関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200828_02/
2020年9月14日付「売出価格等の決定に関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200914_01/
2020年9月17日付「売出株式数の確定に関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200917_02/
自己株式取得の決定
2020年8月28日の取締役会において、当社の株主還元方針に則り、自己株式の取得(以下「本自己株式取得」)を実施することを決議しました。本自己株式取得は、上記にて記載の当社普通株式の売出しに伴う株式需給への影響を勘案するとともに、ストックオプション(新株予約権)の行使にも備えた上で、今後の資本政策の機動性を高めることも目的としています。取得する株式の総数は、80,000,000株(上限)(2020年6月30日時点の発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合1.68%)、株式の取得価額の総額は1,000億円(上限)、取得期間は2020年10月1日から2021年3月31日までとしています。
本件の詳細については、以下をご参照ください。
2020年8月28日付「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200828_01/
ⅱ.連結経営成績の概況
(注) 調整後EBITDAの算定方法は「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当第2四半期連結累計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比55,323百万円(2.3%)増の2,428,427百万円となりました。テレワーク関連の商材需要の増加などにより法人事業が20,501百万円、eコマース取扱高の増加などによりヤフー事業が73,080百万円の増収となりました。一方で、コンシューマ事業は、物販等売上の減少などにより34,792百万円、流通事業は10,690百万円の減収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当第2四半期連結累計期間の営業利益は、全セグメントで増益し、前年同期比37,641百万円(6.8%)増の589,605百万円となりました。コンシューマ事業では4,706百万円、法人事業では9,958百万円、流通事業では946百万円、ヤフー事業では22,576百万円の増益となりました。
(ⅲ) 純利益
当第2四半期連結累計期間の純利益は、前年同期比87百万円(0.0%)増の346,668百万円となりました。これは主として、営業利益は増加した一方で、保有する投資有価証券の評価損の計上による金融費用の増加14,043百万円、持分法による投資の売却益の減少5,456百万円、営業利益増加を主因とする法人所得税の増加17,504百万円などがあったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、非支配持分に帰属する純利益の増加により、前年同期比12,320百万円(3.8%)減の315,104百万円となりました。当第2四半期連結累計期間の非支配持分に帰属する純利益は、主としてZホールディングスグループの増益により、前年同期比12,407百万円(64.8%)増の31,564百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当第2四半期連結累計期間の調整後EBITDAは、前年同期比66,448百万円(7.6%)増の938,359百万円となりました。これは主として、営業利益の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
(単位:千件)
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイル通信およびモバイル付加サービス、ブロードバンドサービスおよび電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当第2四半期連結累計期間において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前第2四半期連結累計期間の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前年同期比34,792百万円(2.6%)減の1,301,256百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前年同期比22,531百万円(2.1%)増加し1,089,847百万円となり、物販等売上は、前年同期比57,323百万円(21.3%)減少し211,409百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前年同期比1,705百万円(0.2%)減少しました。半額サポートに係る契約負債の取り崩し11,040百万円を売上に計上したことに加え、スマートフォン契約数は「Y!mobile」ブランドを中心に伸び、累計契約数が2,500万件を突破したことが、増収に寄与しましたが、平均単価は「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い減少したことから、結果としてモバイル売上は減収となりました。
ブロードバンドは、前年同期比5,444百万円(2.9%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。また、でんきは、前年同期比18,792百万円(65.6%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の減少は、主として、端末の販売単価および台数が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は894,934百万円となり、前年同期比で39,498百万円(4.2%)減少しました。これは主として、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価が増加した一方で、相対的に原価の低い端末の販売構成比が上昇したことおよび販売台数減少に伴い商品原価が減少したこと、および電気通信事業法改正の影響により販売手数料が減少したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比4,706百万円(1.2%)増の406,322百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
売上高の内訳
法人事業の売上高は、前年同期比20,501百万円(6.5%)増の334,597百万円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比10,014百万円(7.3%)増の148,129百万円、固定は前年同期比3,156百万円(3.2%)減の94,431百万円、ソリューション等は前年同期比13,643百万円(17.4%)増の92,037百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービス売上やセキュリティソリューションの売上が増加し、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は270,037百万円となり、前年同期比で10,543百万円(4.1%)増加しました。これは主として、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比9,958百万円(18.2%)増の64,560百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・提供を行っています。
<業績全般>
流通事業の売上高は、前年同期比10,690百万円(4.4%)減の234,428百万円となりました。これは主として、前年同期において、法人のお客さま向けのPC・サーバーの特需をうけて売上高が増加していたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は222,478百万円となり、前年同期比で11,636百万円(5.0%)減少しました。これは主として、注力しているクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比946百万円(8.6%)増の11,950百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービスおよびクレジットカード等の決済金融サービス、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当第2四半期連結累計期間において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前第2四半期連結累計期間のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前年同期比73,080百万円(15.1%)増の557,224百万円となりました。そのうち、コマースは前年同期比81,041百万円(24.3%)増の414,282百万円、メディアは前年同期比6,814百万円(4.6%)減の141,610百万円、その他は前年同期比1,147百万円(46.3%)減の1,332百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加に伴い売上高が増加したことによるものです。
メディア売上の減少は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりメディアサービスのトラフィック増加等に伴いディスプレイ広告関連収益が増加した一方で、景況感の悪化を背景に検索広告を中心に広告の出稿が減少したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は458,987百万円となり、前年同期比で50,504百万円(12.4%)増加しました。これは主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は前年同期比22,576百万円(29.8%)増の98,237百万円となりました。
(2) 連結財政状態の状況
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から698,569百万円(7.1%)増加し、10,490,827百万円となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、手元流動性を確保するために債権流動化などの資金調達を実施したことから、現金及び現金同等物が603,197百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末から563,281百万円(7.0%)増加し、8,647,975百万円となりました。これは主として、有利子負債が増加したことによるものです。手元流動性を確保するため債権流動化などによる資金調達を実施する一方、借入金返済のため、Zホールディングス㈱は200,000百万円、当社は100,000百万円の無担保社債をそれぞれ発行しました。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末から135,288百万円(7.9%)増加し、1,842,852百万円となりました。これは主として、当第2四半期連結累計期間の純利益の計上による増加346,668百万円、剰余金の配当による減少228,872百万円があったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、785,889百万円の収入となりました。前年同期比では219,837百万円収入が増加しましたが、これは主として、銀行事業の預金の増加によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、426,145百万円の支出となりました。前年同期比では206,628百万円支出が増加しましたが、これは主として、LINE㈱株式等の共同公開買付けに伴う投資の取得による支出および銀行事業の有価証券の取得による支出によるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、243,601百万円の収入となりました。前年同期比では、373,739百万円増加しましたが、これは主として、前年同期において被結合企業の自己株式取得による支出526,826百万円があったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比592,641百万円増の1,747,005百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の調整後フリー・キャッシュ・フローは、417,607百万円の収入となりました。前年同期比では21,874百万円増加しましたが、これは主として、上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローが増加した一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
f. 設備投資
当第2四半期連結累計期間の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前年同期比87,380百万円増の310,121百万円となりました。5G設備およびデータセンターへの投資の増加と、2020年度中に移転予定である竹芝新本社の新規賃貸借契約による使用権資産が増加したことによるものです。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約四半期連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2019年9月30日に終了した6カ月間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用関連会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (4) 要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年9月30日に終了した6カ月間327,283百万円 2020年9月30日に終了した6カ月間342,878百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年9月30日に終了した6カ月間4,649百万円 2020年9月30日に終了した6カ月間5,876百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 事業戦略
当社グループは、変化の激しい情報通信業界において継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。これは、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業に加えてヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化し、持続的な成長を目指すものです。
(a) 通信事業のさらなる成長
当社グループのビジネスの基盤となる通信事業では、新たな通信インフラである5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数拡大を図ることで、さらなる成長を目指します。
ⅰ. スマートフォン契約数の拡大
当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーや節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えることにより、全ブランドで着実に契約数を伸ばしています。今後は「Yahoo!」の各種サービスやモバイル決済サービス「PayPay」との連携強化や、5Gを活用したVR・クラウドゲーミングなどのコンテンツの展開によって、新たな魅力を提供し、契約数の着実な拡大を図ります。
ⅱ. ブロードバンド契約数の拡大
当社グループは「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売拡大に注力します。
ⅲ. 5Gの展開
当社グループは、第5世代移動通信システム5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。今後、4Gで培った強みを最大限活用し、他社とも連携しながら、展開エリアの拡大を図ります。2020年度末に全国47都道府県への展開、2021年度末には人口カバー率90%超を目指します。
設備投資については、当社グループの強みである全国23万カ所の基地局サイト数を最大限に活用し、さらには4G周波数帯の5Gへの転用や通信設備の効率化などの工夫を行うことで、5Gへの投資を含めても、現在の水準である年間4,000億円程度を毎年維持していきます(注1)。
ⅳ. 法人向けソリューションビジネスの拡大
当社グループは、今後大きな需要拡大が見込まれる企業の業務デジタル化や自動化に適した通信ソリューションの販売に注力します。さらに、IoTやAI、クラウド、ロボットなどの最先端技術を用いた高付加価値ソリューションを提案することで、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速し、社会に新しい価値を生み出していくことで、これらに係る売上高であるソリューション等売上と、法人事業の営業利益をともに増加させることを目指します。
(b) ヤフー事業の成長
当社グループは、ヤフー㈱を傘下に持つ国内最大級のインターネット企業・Zホールディングス㈱を2019年6月に子会社化し、収益構造の改善やシナジーの最大化を図っています。
ⅰ. コマース・メディア領域の拡大
コマース領域では、2019年11月に買収したファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOとの連携や「PayPay」ブランドを冠した新コマースサービスの積極展開により、eコマース取扱高の拡大を図っています。メディア領域では、マルチビッグデータを活用した新たな広告プロダクトの開発に加え、当社の法人事業との連携強化により新規顧客の獲得を図るなど、今後の収益拡大に取り組みます。また、ユーザーの購買行動に合わせた金融サービスの提供を通じて、金融事業を第3の柱へと育成します。まずは、認知度向上のため、当社グループの各種金融サービスのブランド名を「PayPay」に統一します。
ⅱ. LINE㈱との経営統合
Zホールディングス㈱およびLINE㈱の対等な精神に基づく経営統合(以下「本経営統合」)を実現すべく、2019年12月に当社およびLINE㈱の親会社であるNAVER Corporationを含む4社間で最終の経営統合契約書を締結しました。本統合完了後は、AI、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、様々な分野での協業を想定しており、当社は、本経営統合を当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。なお、2020年8月には、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続は完了しました。そして、本経営統合を実現するための取引の一環として、LINE㈱株式等を対象とした共同公開買付けを2020年8月4日に開始し、9月15日に終了しました。本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
(c) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、AI、IoT、Fintech、セキュリティ、モビリティなどの領域で、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを活用した新規ビジネスの拡大を積極的に推進しています。新規事業の創出にあたっては、親会社のソフトバンクグループ㈱が既に投資を行っている世界的に有力なAI企業群と連携することで、単独でビジネスを立ち上げるのに比べて、初期投資を最小限に抑えた効率的な事業運営が可能です。さらに当社グループの強みである、通信事業やヤフー事業での顧客基盤、5Gやソフトウエアの技術、法人事業の営業力を組み合わせることで、新規ビジネスの垂直立ち上げを実現します。当社がZホールディングス㈱およびPaytm社と連携して2018年に開始したモバイル決済サービス「PayPay」を中心にFintech事業を拡大し、PayPay㈱の赤字を縮小し、収益貢献事業に育成します。
(d) コスト効率化
当社グループは、上述の成長戦略の遂行のため積極的に投資をしていきます。その一方で、全社的なコスト効率化に取り組むことで、固定費(注2)を現在の水準に維持することを目指します。全社にわたるオペレーションのデジタル化推進による生産性の向上や、在宅勤務の推進などの働き方改革を実施するとともに、ネットワーク関連費用についても、PHSや3Gサービスの終了等に合わせた設備の最適化などにより、コストの最適化を図ります。
その他、Zホールディングスグループとの共同購買やグループ内企業による業務の内製化等も推進し、当社グループ全体としてのコストダウンも図ります。
b. 財務戦略
(a) 安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務体質の維持
当社グループは、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。当社は、成長投資の継続と高い株主還元の両立を図るため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注3)の創出を目指します。
当社グループは健全な財務体質の維持にも取り組んでおり、ネットレバレッジ・レシオ(注4)は、今後は2.4倍から徐々に改善を図ります。
(b) 株主還元方針
当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況および自己株式取得を含む総還元性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。
上記方針の下、2021年3月期から2023年3月期においては、親会社の所有者に帰属する純利益に対する総還元性向85%程度(注5)を目安に、安定的かつ継続的に1株当たりの配当を実施するとともに、機動的な自己株式の取得を検討することを目指します。
内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A等の投資等に充当していきます。
なお、今期の1株当たり配当金については、2020年5月11日発表の配当予想から変わらず、年間で86円(うち中間配当金43円)を予定しています。
(注1) Zホールディングスグループ、IFRS第16号および法人向けレンタル端末に係る金額を除きます。
(注2) コンシューマ事業および法人事業に係る償却費、ネットワーク関連費用、人件費、広告宣伝費、販売促進費、ショップやオフィスに係る費用等です。
(注3) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注4) ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
(注5) 2021年3月期から2023年3月期の3年間の配当金支払総額と自己株式取得総額の合計÷同3年間の親会社の所有者に帰属する純利益の合計
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6,456百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展により大きな変革期を迎えています。AI(注1)やIoT(注2)、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(注3)が起こり始めています。そして、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
日本の通信市場では、総務省による競争環境整備に向けたアクションプランの発出、競争促進政策のより一層の強化、仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、海外企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融(Fintech)・決済の分野で競争が激化しています。
当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も継続しており、日本企業の景況感は悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が注目され、社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性が急速に高まっています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を基盤に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。2020年4月には、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
SDGsとマテリアリティ(重要課題)の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
https://www.softbank.jp/corp/sustainability/materiality/
当社グループは、デジタル技術を活用してこれらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。「Beyond Carrier」戦略は、通信事業の顧客基盤を拡大することに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、2022年度に営業利益1兆円を達成することを目指します。
<顧客基盤の拡大に向けた取り組み>顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、10代から20代中心に主にオンラインでサービスを提供することで安価な価格帯を実現する「LINEモバイル」ブランドの3つのブランドによって、お客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。また、グループ会社であるPayPay㈱が展開するモバイル決済サービス「PayPay」やヤフー㈱を傘下にもつZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当社グループは、これらのサービスを支えるネットワークの品質の強化に取り組んできましたが、このたび、英国のモバイルネットワーク分析会社Opensignalが2020年9月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2020」においてLINEやWhatsApp、Skype、Facebook Messengerなどのモバイル・ボイス・アプリや、OTT(注4)におけるユーザー体験の品質を測定する「音声アプリ・エクスペリエンス」部門で世界第1位を獲得し、画質や読み込み時間、失速率を考慮した動画品質を判定する「ビデオ・エクスペリエンス」部門では世界第3位(注5)を獲得しました(注6)。これからも、お客さまにとって高品質でストレスのない通信環境を整備することに、より一層努めるとともに、ご満足いただけるサービスやソリューションを提供できるよう取り組んでいきます。
5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注7)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2020年4月には、当社とKDDI㈱で、地方における5Gネットワークの早期整備を共同で推進する合弁会社「㈱5G JAPAN」を設立しました。今後、両社が保有する基地局資産を効率的に相互利用するインフラシェアリングを推進し、5Gの地方展開を加速していきます。
当第2四半期連結会計期間においては、「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移したほか、2020年9月には、「Y!mobile」から「SoftBank」へ番号移行をされた場合に各種事務手数料を免除するほか、「メリハリプラン」へ加入されたお客さまには、月額利用料金から2,800円を12カ月間割引するキャンペーン「ワイモバイル→ソフトバンクのりかえ特典」を開始しました。これらの結果、当第2四半期連結会計期間末のスマートフォン契約数は、前期末比で87万件増加し、累計契約数2,500万件を突破しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は、前期末比で37万件増加しました。
また、前述の通り、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、企業においてスマートフォンやテレワークの需要が高まっています。当社は従来から、通信端末や通信ネットワークの提供のみでなく、テレワーク環境でも安全に業務ができるネットワークソリューションや、ウェブ会議を実現するクラウド型アプリケーションなど、テレワークを支えるさまざまなソリューションを提供および販売してきました。今後も、テレワークの導入と運用に関するお客さまの不安や悩みを解決し、お客さまのワークスタイルの変革および業務効率化を積極的にサポートしていきます。
<ヤフーの成長>当社は、こうしたマルチブランド戦略、大容量データプランなどの提供、および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTTの領域への事業展開を推進しています。昨年度子会社化したZホールディングス㈱および子会社(以下「Zホールディングスグループ」)は、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。
また、Zホールディングス㈱は、LINE㈱との経営統合(以下「本経営統合」)を発表しています(注8)。当社は、本経営統合を「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。2020年8月に、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続きは完了しました。そして、本経営統合を実現するための取引の一環として、LINE㈱株式を対象とした公開買付けを2020年8月4日に開始し、9月15日に終了しました。本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
当第2四半期連結累計期間において、Zホールディングス㈱、Zフィナンシャル㈱および当社は、各社傘下の金融事業会社6社の社名および各社が提供するサービス名を、2021年以降順次「PayPay」ブランドに統一することを決定しました(注9)。銀行やクレジットカード、保険などの金融サービスについても「PayPay」との連携をさらに強化し、わかりやすい名称とすることでお客さまに親しみをもってサービスをご利用いただきたいという思いのもと、「PayPay」ブランドを冠した社名・サービス名に変更します。
また、ヤフー㈱が運営するインターネット旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」は、2020年9月より東京都が目的地となっている旅行、および東京都に居住する方の旅行の「Go To トラベルキャンペーン」への追加を受けて、10月1日以降に出発する対象商品の旅行代金の最大50%がお得(注10)になる割引販売を開始しました。さらに、Yahoo!プレミアム会員とソフトバンクスマホユーザー向け特典などを加えると、旅行代金の最大35%の割引後の金額に対して最大15%分の特典となります。これらの施策を通して「Yahoo!トラベル」は感染拡大の抑止に留意しつつ、ユーザーが安心してお得に旅行できる機会を提供していきます。
<新規ビジネスの拡大の取り組み>新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループ㈱および子会社(以下「ソフトバンクグループ」)の投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2020年9月末でのPayPay累計登録者数は3,200万人を突破し、PayPay決済回数は第2四半期連結会計期間において、前年同期比5倍となる約4.9億回となり、順調に推移しました。また、総務省が2020年9月から実施している「マイナポイント事業(注11)」において7月より申込登録の受付を開始し、9月5日には「PayPay」への申込登録数が100万件を突破しました。引き続き、当社グループおよびZホールディングスグループとの協働を進め、あらゆる小売店舗やサービス事業者にキャッシュレス決済の利便性を提供し、オンライン決済、公共料金決済、個人間の取引、投資などの金融サービスなどさまざまなサービスへと領域を広げ、「いつでも、どこでもPayPayで」ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」への進化を目指します。
オンライン健康医療相談サービス「HELPO」
2020年7月より、当社のグループ会社であるヘルスケアテクノロジーズ㈱は、オンライン健康医療相談サービス「HELPO(ヘルポ)」の提供を法人、自治体向けに開始しました。「HELPO」はスマートフォンアプリなどを通して、オンライン健康医療相談や病院検索、一般用医薬品などの購入がワンストップでできるヘルスケアサービスです。今後はお客さまのニーズに沿って「HELPO」の機能を段階的に拡充するとともに、法人や自治体に加えて健康保険組合など各種団体への提供も行い、利用者の拡大を目指します。
MONET Technologies㈱
2020年8月より、MaaS(注12)向けの架装車両や架装キットを提供する「MONET MaaSコンバージョン」の第1弾として、車内のレイアウトを柔軟に変更することにより1台をさまざまな用途で活用できる「マルチタスク車両」と、車内での乗客のパーソナルスペースの確保と換気に配慮した「パーソナルベンチレーションキット」の2種類を発表し、企業と自治体を対象に受注を開始しました。また、2020年9月より、MaaSのシステム開発に活用できる天気・観光・地図情報などのさまざまなデータやオンデマンドバス(注13)のシステム、決済システムなどのAPI(注14)を提供する「MONETマーケットプレイス」を正式にオープンしました。今回の正式オープンにより、MONETコンソーシアムに加盟していない一般の企業が「MONETマーケットプレイス」を利用できるようになり、さらに「MONETマーケットプレイス」にAPIを提供することも可能となりました。
(注1) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。
(注2) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。
(注3) デジタルトランスフォーメーションとは、企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務等を変革していくことです。
(注4) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注5) 「ビデオ・エクスペリエンス」部門では、日本国内では第1位の評価です。
(注6) この調査は、世界中で1億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイルネットワークのユーザーエクスペリエンスを分析するOpensignalが、世界の通信事業者181社を対象に、「音声アプリ・エクスペリエンス」「ビデオ・エクスペリエンス」「ダウンロード・スピード・エクスペリエンス」「アップロード・スピード・エクスペリエンス」「4G利用率」の5つの評価軸で、包括的に比較したものです。
(注7) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注8) 本経営統合は、必要とされる各国における競争法、外為法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了していること、その他最終契約である経営統合契約書において定める前提条件が充足されることを条件として行われます。
(注9) 社名変更については、各社株主総会により承認可決されることおよび必要に応じ所管官公庁の許認可等が得られることを条件として実施される予定です。
(注10) 国内旅行代金の最大50%(1人1泊当たり最大20,000円)のうち70%は旅行代金から割引き、30%は現地で使える地域共通クーポンの内訳になります。一部キャンペーンの対象外となる商品があります。
(注11) 「マイナポイント事業」とは、2020年9月1日から2021年3月31日までの7カ月間、消費の活性化を図ると同時に、マイナンバーカードの普及促進および官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的として、マイナンバーカードを取得して所定の手続きを完了した国民に対し、選択したキャッシュレス決済サービスで利用可能なポイントなどを付与するものです。
(注12) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。
(注13) オンデマンドバスのAPIは、2020年度内に提供を開始する予定です。
(注14) APIとは、Application Programming Interfaceの略称で、アプリケーションやソフトウエアを構築および統合するために使われる仕組みのことです。
<当第2四半期における資本政策>株式の売出し
2020年8月28日の取締役会において、当社普通株式1,028,061,400株(オーバーアロットメント含む。)の売出し(以下「本売出し」)を決議しました。当社は、ソフトバンクグループ㈱より、同社の手元資金のさらなる拡充のために、ソフトバンクグループジャパン㈱を通じて保有している当社株式の一部を売却したい旨、かつ本売出し以降に当社株式を追加で売却する意向はなく、本売出し後の持分を中長期的に維持する方針を確認しました。当社は、本売出しがソフトバンクグループ㈱による追加売却に係る懸念を早期に払拭するほか、当社株式の市場流動性を高めることで、当社株式の適切な価格形成につながるものと考え、本売出しを承認しました。売出しの結果、ソフトバンクグループジャパン㈱の持分は2020年6月末時点の62.0%から40.2%に低下しました。なお、本売出しの完了後も、当社がソフトバンクグループの連結子会社であることに変更はなく、引き続き同社との協働により新しいビジネスを育成し、企業価値の向上を目指します。
本件の詳細については、以下をご参照ください。
2020年8月28日付「株式の売出しに関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200828_02/
2020年9月14日付「売出価格等の決定に関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200914_01/
2020年9月17日付「売出株式数の確定に関するお知らせ」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200917_02/
自己株式取得の決定
2020年8月28日の取締役会において、当社の株主還元方針に則り、自己株式の取得(以下「本自己株式取得」)を実施することを決議しました。本自己株式取得は、上記にて記載の当社普通株式の売出しに伴う株式需給への影響を勘案するとともに、ストックオプション(新株予約権)の行使にも備えた上で、今後の資本政策の機動性を高めることも目的としています。取得する株式の総数は、80,000,000株(上限)(2020年6月30日時点の発行済株式総数(自己株式を除く)に対する割合1.68%)、株式の取得価額の総額は1,000億円(上限)、取得期間は2020年10月1日から2021年3月31日までとしています。
本件の詳細については、以下をご参照ください。
2020年8月28日付「自己株式取得に係る事項の決定に関するお知らせ(会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づく自己株式の取得)」
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200828_01/
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円) | |||||
9月30日に終了した6カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 2,373,104 | 2,428,427 | 55,323 | 2.3% | |
営業利益 | 551,964 | 589,605 | 37,641 | 6.8% | |
税引前利益 | 514,243 | 531,834 | 17,591 | 3.4% | |
法人所得税 | △167,662 | △185,166 | △17,504 | 10.4% | |
純利益 | 346,581 | 346,668 | 87 | 0.0% | |
親会社の所有者 | 327,424 | 315,104 | △12,320 | △3.8% | |
非支配持分 | 19,157 | 31,564 | 12,407 | 64.8% | |
調整後EBITDA(注) | 871,911 | 938,359 | 66,448 | 7.6% |
(注) 調整後EBITDAの算定方法は「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当第2四半期連結累計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当第2四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比55,323百万円(2.3%)増の2,428,427百万円となりました。テレワーク関連の商材需要の増加などにより法人事業が20,501百万円、eコマース取扱高の増加などによりヤフー事業が73,080百万円の増収となりました。一方で、コンシューマ事業は、物販等売上の減少などにより34,792百万円、流通事業は10,690百万円の減収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当第2四半期連結累計期間の営業利益は、全セグメントで増益し、前年同期比37,641百万円(6.8%)増の589,605百万円となりました。コンシューマ事業では4,706百万円、法人事業では9,958百万円、流通事業では946百万円、ヤフー事業では22,576百万円の増益となりました。
(ⅲ) 純利益
当第2四半期連結累計期間の純利益は、前年同期比87百万円(0.0%)増の346,668百万円となりました。これは主として、営業利益は増加した一方で、保有する投資有価証券の評価損の計上による金融費用の増加14,043百万円、持分法による投資の売却益の減少5,456百万円、営業利益増加を主因とする法人所得税の増加17,504百万円などがあったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、非支配持分に帰属する純利益の増加により、前年同期比12,320百万円(3.8%)減の315,104百万円となりました。当第2四半期連結累計期間の非支配持分に帰属する純利益は、主としてZホールディングスグループの増益により、前年同期比12,407百万円(64.8%)増の31,564百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当第2四半期連結累計期間の調整後EBITDAは、前年同期比66,448百万円(7.6%)増の938,359百万円となりました。これは主として、営業利益の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2020年9月30日 | 増減 | ||
合計 | 45,778 | 46,569 | 791 | ||
主要回線(注) | 36,499 | 37,281 | 783 | ||
うち、スマートフォン | 24,134 | 25,001 | 868 | ||
通信モジュール等 | 7,663 | 8,056 | 392 | ||
PHS | 1,616 | 1,232 | △384 |
(単位:千件)
9月30日に終了した6カ月間 | |||||
純増契約数 | 2019年 | 2020年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 818 | 783 | △35 | ||
うち、スマートフォン | 952 | 868 | △85 |
9月30日に終了した3カ月間 | |||||
解約率・総合ARPU | 2019年 | 2020年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 解約率 | 0.98% | 0.88% | △0.10ポイント | |
総合ARPU(円) | 4,450 | 4,300 | △150 | ||
割引前ARPU(円) | 5,190 | 4,750 | △450 | ||
割引ARPU(円) | △740 | △450 | 290 | ||
スマートフォン | 解約率 | 0.74% | 0.64% | △0.10ポイント |
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2020年9月30日 | 増減 | |
合計 | 7,846 | 8,094 | 248 | |
SoftBank 光 | 6,387 | 6,761 | 375 | |
Yahoo! BB 光 with フレッツ | 786 | 738 | △48 | |
Yahoo! BB ADSL | 673 | 595 | △78 |
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイル通信およびモバイル付加サービス、ブロードバンドサービスおよび電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 1,336,048 | 1,301,256 | △34,792 | △2.6% |
セグメント利益 | 401,616 | 406,322 | 4,706 | 1.2% |
減価償却費及び償却費 | 205,338 | 209,956 | 4,618 | 2.2% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | |||||
9月30日に終了した6カ月間 | |||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | ||
サービス売上 | 1,067,316 | 1,089,847 | 22,531 | 2.1% | |
モバイル | 848,185 | 846,480 | △1,705 | △0.2% | |
ブロードバンド | 190,486 | 195,930 | 5,444 | 2.9% | |
でんき | 28,645 | 47,437 | 18,792 | 65.6% | |
物販等売上 | 268,732 | 211,409 | △57,323 | △21.3% | |
売上高合計 | 1,336,048 | 1,301,256 | △34,792 | △2.6% |
(注) 当第2四半期連結累計期間において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前第2四半期連結累計期間の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前年同期比34,792百万円(2.6%)減の1,301,256百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前年同期比22,531百万円(2.1%)増加し1,089,847百万円となり、物販等売上は、前年同期比57,323百万円(21.3%)減少し211,409百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前年同期比1,705百万円(0.2%)減少しました。半額サポートに係る契約負債の取り崩し11,040百万円を売上に計上したことに加え、スマートフォン契約数は「Y!mobile」ブランドを中心に伸び、累計契約数が2,500万件を突破したことが、増収に寄与しましたが、平均単価は「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い減少したことから、結果としてモバイル売上は減収となりました。
ブロードバンドは、前年同期比5,444百万円(2.9%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。また、でんきは、前年同期比18,792百万円(65.6%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の減少は、主として、端末の販売単価および台数が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は894,934百万円となり、前年同期比で39,498百万円(4.2%)減少しました。これは主として、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価が増加した一方で、相対的に原価の低い端末の販売構成比が上昇したことおよび販売台数減少に伴い商品原価が減少したこと、および電気通信事業法改正の影響により販売手数料が減少したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比4,706百万円(1.2%)増の406,322百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 314,096 | 334,597 | 20,501 | 6.5% |
セグメント利益 | 54,602 | 64,560 | 9,958 | 18.2% |
減価償却費及び償却費 | 79,194 | 79,226 | 32 | 0.0% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
モバイル | 138,115 | 148,129 | 10,014 | 7.3% |
固定 | 97,587 | 94,431 | △3,156 | △3.2% |
ソリューション等 | 78,394 | 92,037 | 13,643 | 17.4% |
売上高合計 | 314,096 | 334,597 | 20,501 | 6.5% |
法人事業の売上高は、前年同期比20,501百万円(6.5%)増の334,597百万円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比10,014百万円(7.3%)増の148,129百万円、固定は前年同期比3,156百万円(3.2%)減の94,431百万円、ソリューション等は前年同期比13,643百万円(17.4%)増の92,037百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数の増加によるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービス売上やセキュリティソリューションの売上が増加し、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は270,037百万円となり、前年同期比で10,543百万円(4.1%)増加しました。これは主として、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比9,958百万円(18.2%)増の64,560百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 245,118 | 234,428 | △10,690 | △4.4% |
セグメント利益 | 11,004 | 11,950 | 946 | 8.6% |
減価償却費及び償却費 | 1,423 | 1,770 | 347 | 24.4% |
流通事業の売上高は、前年同期比10,690百万円(4.4%)減の234,428百万円となりました。これは主として、前年同期において、法人のお客さま向けのPC・サーバーの特需をうけて売上高が増加していたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は222,478百万円となり、前年同期比で11,636百万円(5.0%)減少しました。これは主として、注力しているクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比946百万円(8.6%)増の11,950百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービスおよびクレジットカード等の決済金融サービス、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 484,144 | 557,224 | 73,080 | 15.1% |
セグメント利益 | 75,661 | 98,237 | 22,576 | 29.8% |
減価償却費及び償却費 | 36,153 | 48,796 | 12,643 | 35.0% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | 増減率 | |
コマース | 333,241 | 414,282 | 81,041 | 24.3% |
メディア | 148,424 | 141,610 | △6,814 | △4.6% |
その他 | 2,479 | 1,332 | △1,147 | △46.3% |
売上高合計 | 484,144 | 557,224 | 73,080 | 15.1% |
(注) 当第2四半期連結累計期間において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前第2四半期連結累計期間のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前年同期比73,080百万円(15.1%)増の557,224百万円となりました。そのうち、コマースは前年同期比81,041百万円(24.3%)増の414,282百万円、メディアは前年同期比6,814百万円(4.6%)減の141,610百万円、その他は前年同期比1,147百万円(46.3%)減の1,332百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加に伴い売上高が増加したことによるものです。
メディア売上の減少は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりメディアサービスのトラフィック増加等に伴いディスプレイ広告関連収益が増加した一方で、景況感の悪化を背景に検索広告を中心に広告の出稿が減少したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は458,987百万円となり、前年同期比で50,504百万円(12.4%)増加しました。これは主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は前年同期比22,576百万円(29.8%)増の98,237百万円となりました。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円) | |||||
2020年 3月31日 | 2020年 9月30日 | 増減 | 増減率 | ||
流動資産 | 3,364,303 | 3,849,273 | 484,970 | 14.4% | |
非流動資産 | 6,427,955 | 6,641,554 | 213,599 | 3.3% | |
資産合計 | 9,792,258 | 10,490,827 | 698,569 | 7.1% | |
流動負債 | 4,496,609 | 4,735,082 | 238,473 | 5.3% | |
非流動負債 | 3,588,085 | 3,912,893 | 324,808 | 9.1% | |
負債合計 | 8,084,694 | 8,647,975 | 563,281 | 7.0% | |
資本合計 | 1,707,564 | 1,842,852 | 135,288 | 7.9% |
(資産)
当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から698,569百万円(7.1%)増加し、10,490,827百万円となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、手元流動性を確保するために債権流動化などの資金調達を実施したことから、現金及び現金同等物が603,197百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末から563,281百万円(7.0%)増加し、8,647,975百万円となりました。これは主として、有利子負債が増加したことによるものです。手元流動性を確保するため債権流動化などによる資金調達を実施する一方、借入金返済のため、Zホールディングス㈱は200,000百万円、当社は100,000百万円の無担保社債をそれぞれ発行しました。
(資本)
当第2四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末から135,288百万円(7.9%)増加し、1,842,852百万円となりました。これは主として、当第2四半期連結累計期間の純利益の計上による増加346,668百万円、剰余金の配当による減少228,872百万円があったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | ||||
9月30日に終了した6カ月間 | ||||
2019年 | 2020年 | 増減 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 566,052 | 785,889 | 219,837 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △219,517 | △426,145 | △206,628 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △130,138 | 243,601 | 373,739 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 1,154,364 | 1,747,005 | 592,641 | |
フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 346,535 | 359,744 | 13,209 | |
割賦債権の流動化による影響(注1) | 49,198 | 57,863 | 8,665 | |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 395,733 | 417,607 | 21,874 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む) | 222,741 | 310,121 | 87,380 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)(注2) | 115,966 | 141,825 | 25,859 |
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、785,889百万円の収入となりました。前年同期比では219,837百万円収入が増加しましたが、これは主として、銀行事業の預金の増加によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、426,145百万円の支出となりました。前年同期比では206,628百万円支出が増加しましたが、これは主として、LINE㈱株式等の共同公開買付けに伴う投資の取得による支出および銀行事業の有価証券の取得による支出によるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、243,601百万円の収入となりました。前年同期比では、373,739百万円増加しましたが、これは主として、前年同期において被結合企業の自己株式取得による支出526,826百万円があったことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比592,641百万円増の1,747,005百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当第2四半期連結累計期間の調整後フリー・キャッシュ・フローは、417,607百万円の収入となりました。前年同期比では21,874百万円増加しましたが、これは主として、上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローが増加した一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが減少したことによるものです。
f. 設備投資
当第2四半期連結累計期間の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前年同期比87,380百万円増の310,121百万円となりました。5G設備およびデータセンターへの投資の増加と、2020年度中に移転予定である竹芝新本社の新規賃貸借契約による使用権資産が増加したことによるものです。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約四半期連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2019年9月30日に終了した6カ月間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用関連会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年9月30日に 終了した6カ月間 | 2020年9月30日に 終了した6カ月間 | |||
営業利益 | 551,964 | 589,605 | ||
(加算)減価償却費及び償却費(注) | 331,932 | 348,754 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 子会社の支配喪失に伴う利益 | △11,985 | - | ||
調整後EBITDA | 871,911 | 938,359 | ||
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (4) 要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年9月30日に終了した6カ月間327,283百万円 2020年9月30日に終了した6カ月間342,878百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年9月30日に終了した6カ月間4,649百万円 2020年9月30日に終了した6カ月間5,876百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年9月30日に 終了した6カ月間 | 2020年9月30日に 終了した6カ月間 | |||
売上高 | 2,373,104 | 2,428,427 | ||
営業利益 | 551,964 | 589,605 | ||
営業利益マージン | 23.3% | 24.3% | ||
調整後EBITDA | 871,911 | 938,359 | ||
調整後EBITDAマージン | 36.7% | 38.6% | ||
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年9月30日に 終了した6カ月間 | 2020年9月30日に 終了した6カ月間 | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 566,052 | 785,889 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) | △221,577 | △248,218 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) | 2,060 | △177,927 | ||
フリー・キャッシュ・フロー | 346,535 | 359,744 | ||
割賦債権流動化取引:調達額(注3) | 475,265 | 482,042 | ||
割賦債権流動化取引:返済額(注3) | △426,067 | △424,179 | ||
割賦債権の流動化による影響 | 49,198 | 57,863 | ||
調整後フリー・キャッシュ・フロー | 395,733 | 417,607 | ||
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 事業戦略
当社グループは、変化の激しい情報通信業界において継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。これは、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業に加えてヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化し、持続的な成長を目指すものです。
(a) 通信事業のさらなる成長
当社グループのビジネスの基盤となる通信事業では、新たな通信インフラである5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数拡大を図ることで、さらなる成長を目指します。
ⅰ. スマートフォン契約数の拡大
当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーや節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えることにより、全ブランドで着実に契約数を伸ばしています。今後は「Yahoo!」の各種サービスやモバイル決済サービス「PayPay」との連携強化や、5Gを活用したVR・クラウドゲーミングなどのコンテンツの展開によって、新たな魅力を提供し、契約数の着実な拡大を図ります。
ⅱ. ブロードバンド契約数の拡大
当社グループは「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売拡大に注力します。
ⅲ. 5Gの展開
当社グループは、第5世代移動通信システム5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。今後、4Gで培った強みを最大限活用し、他社とも連携しながら、展開エリアの拡大を図ります。2020年度末に全国47都道府県への展開、2021年度末には人口カバー率90%超を目指します。
設備投資については、当社グループの強みである全国23万カ所の基地局サイト数を最大限に活用し、さらには4G周波数帯の5Gへの転用や通信設備の効率化などの工夫を行うことで、5Gへの投資を含めても、現在の水準である年間4,000億円程度を毎年維持していきます(注1)。
ⅳ. 法人向けソリューションビジネスの拡大
当社グループは、今後大きな需要拡大が見込まれる企業の業務デジタル化や自動化に適した通信ソリューションの販売に注力します。さらに、IoTやAI、クラウド、ロボットなどの最先端技術を用いた高付加価値ソリューションを提案することで、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速し、社会に新しい価値を生み出していくことで、これらに係る売上高であるソリューション等売上と、法人事業の営業利益をともに増加させることを目指します。
(b) ヤフー事業の成長
当社グループは、ヤフー㈱を傘下に持つ国内最大級のインターネット企業・Zホールディングス㈱を2019年6月に子会社化し、収益構造の改善やシナジーの最大化を図っています。
ⅰ. コマース・メディア領域の拡大
コマース領域では、2019年11月に買収したファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOとの連携や「PayPay」ブランドを冠した新コマースサービスの積極展開により、eコマース取扱高の拡大を図っています。メディア領域では、マルチビッグデータを活用した新たな広告プロダクトの開発に加え、当社の法人事業との連携強化により新規顧客の獲得を図るなど、今後の収益拡大に取り組みます。また、ユーザーの購買行動に合わせた金融サービスの提供を通じて、金融事業を第3の柱へと育成します。まずは、認知度向上のため、当社グループの各種金融サービスのブランド名を「PayPay」に統一します。
ⅱ. LINE㈱との経営統合
Zホールディングス㈱およびLINE㈱の対等な精神に基づく経営統合(以下「本経営統合」)を実現すべく、2019年12月に当社およびLINE㈱の親会社であるNAVER Corporationを含む4社間で最終の経営統合契約書を締結しました。本統合完了後は、AI、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、様々な分野での協業を想定しており、当社は、本経営統合を当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。なお、2020年8月には、本経営統合の実行につき必要とされる各国における競争法令および投資規制法令上の手続は完了しました。そして、本経営統合を実現するための取引の一環として、LINE㈱株式等を対象とした共同公開買付けを2020年8月4日に開始し、9月15日に終了しました。本経営統合の完了時期は2021年3月頃と想定しています。
(c) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、AI、IoT、Fintech、セキュリティ、モビリティなどの領域で、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを活用した新規ビジネスの拡大を積極的に推進しています。新規事業の創出にあたっては、親会社のソフトバンクグループ㈱が既に投資を行っている世界的に有力なAI企業群と連携することで、単独でビジネスを立ち上げるのに比べて、初期投資を最小限に抑えた効率的な事業運営が可能です。さらに当社グループの強みである、通信事業やヤフー事業での顧客基盤、5Gやソフトウエアの技術、法人事業の営業力を組み合わせることで、新規ビジネスの垂直立ち上げを実現します。当社がZホールディングス㈱およびPaytm社と連携して2018年に開始したモバイル決済サービス「PayPay」を中心にFintech事業を拡大し、PayPay㈱の赤字を縮小し、収益貢献事業に育成します。
(d) コスト効率化
当社グループは、上述の成長戦略の遂行のため積極的に投資をしていきます。その一方で、全社的なコスト効率化に取り組むことで、固定費(注2)を現在の水準に維持することを目指します。全社にわたるオペレーションのデジタル化推進による生産性の向上や、在宅勤務の推進などの働き方改革を実施するとともに、ネットワーク関連費用についても、PHSや3Gサービスの終了等に合わせた設備の最適化などにより、コストの最適化を図ります。
その他、Zホールディングスグループとの共同購買やグループ内企業による業務の内製化等も推進し、当社グループ全体としてのコストダウンも図ります。
b. 財務戦略
(a) 安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務体質の維持
当社グループは、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。当社は、成長投資の継続と高い株主還元の両立を図るため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注3)の創出を目指します。
当社グループは健全な財務体質の維持にも取り組んでおり、ネットレバレッジ・レシオ(注4)は、今後は2.4倍から徐々に改善を図ります。
(b) 株主還元方針
当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況および自己株式取得を含む総還元性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。
上記方針の下、2021年3月期から2023年3月期においては、親会社の所有者に帰属する純利益に対する総還元性向85%程度(注5)を目安に、安定的かつ継続的に1株当たりの配当を実施するとともに、機動的な自己株式の取得を検討することを目指します。
内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A等の投資等に充当していきます。
なお、今期の1株当たり配当金については、2020年5月11日発表の配当予想から変わらず、年間で86円(うち中間配当金43円)を予定しています。
(注1) Zホールディングスグループ、IFRS第16号および法人向けレンタル端末に係る金額を除きます。
(注2) コンシューマ事業および法人事業に係る償却費、ネットワーク関連費用、人件費、広告宣伝費、販売促進費、ショップやオフィスに係る費用等です。
(注3) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注4) ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
(注5) 2021年3月期から2023年3月期の3年間の配当金支払総額と自己株式取得総額の合計÷同3年間の親会社の所有者に帰属する純利益の合計
(6) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6,456百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。