有価証券報告書-第34期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/25 15:00
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第34期連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
Zホールディングス㈱の子会社化等について
当社は、2019年6月27日を払込期日としてZホールディングス㈱が実施した第三者割当増資を引受け、同日付で同社を子会社化しました。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合 (1) Zホールディングス㈱の取得」をご参照ください。これにより、2020年3月31日に終了した1年間より報告セグメントに「ヤフー」を追加し、「コンシューマ」、「法人」、「流通」、「ヤフー」の4つを報告セグメントとしています。また、当該子会社化に伴い、2018年4月1日より、Zホールディングスグループの財務諸表を当社グループの連結財務諸表の一部として遡及して連結しています。
また、PayPay㈱は、2019年5月15日に、ソフトバンクグループ㈱に対し460億円の第三者割当増資を実施し、これにより当社およびZホールディングス㈱の議決権所有割合は下図の通り変動しました。なお、2020年1月にも、PayPay㈱は、当社およびZホールディングス㈱に対して第三者割当増資を実施しましたが、これは無議決権優先株式であるため、2020年3月末における当社およびZホールディングス㈱の議決権所有割合は、下図から変更ありません。この変動に伴う当社グループの連結財務諸表におけるPayPay㈱の普通株式の会計処理は、2019年5月14日までは「その他」に属する子会社、2019年5月15日以降は持分法適用会社となります。PayPay㈱の無議決権優先株式は、FVTOCIによる資本性金融資産として会計処理しています。

IFRS第16号「リース」の適用について
当社グループは、2020年3月31日に終了した1年間よりIFRS第16号「リース」を適用しています。当社グループは、修正遡及アプローチを適用しているため、比較情報(2019年3月31日に終了した1年間および2019年3月31日現在の連結財務諸表)は遡及して修正していません。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.会計方針の変更 (1) 新たな基準書および解釈指針の適用」をご参照ください。当社グループにおける、当該基準適用による主な影響は下記の通りです。
連結財政状態計算書
・従来オペレーティング・リースと判定されていたリース取引に係る使用権資産の認識による資産の増加
・従来オペレーティング・リースと判定されていたリース取引に係るリース負債認識による有利子負債の増加
連結損益計算書
・認識した使用権資産の減価償却に伴う減価償却費の増加および従来のオペレーティング・リース料の減少
・認識したリース負債に対する支払利息を金融費用として計上することによる支払利息の増加
連結キャッシュ・フロー計算書
・従来営業活動によるキャッシュ・フローに含まれていたオペレーティング・リース料支払額のうち、リース負債に対する元本支払相当分は財務活動によるキャッシュ・フローに含まれるため、営業活動によるキャッシュ・フローが増加し、財務活動によるキャッシュ・フローが減少
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展により大きな変革期を迎えています。AIやIoT、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化されることで、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーションが起こっています。さらに、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ次世代通信規格5Gの商用化により、この変化は一層加速するとみられています。
日本の通信市場では、政府による競争促進政策の強化、MVNOによる格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、アメリカを中心とした海外企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融・決済の分野で競争が激化しています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を中心に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図っています。5Gの時代においても当社グループは、「Beyond Carrier」戦略の下、通信事業で培った顧客基盤の拡大を図りながら、自ら、またはパートナーとの「共創」によって、IoT、AI、ビッグデータ、ロボット等の最先端技術を活用した新しいビジネスを創出し、日本が抱える様々な社会課題の解決を目指します。こうした新しいビジネスの創出にあたりZホールディングス㈱との連携を強化すべく、2019年6月にZホールディングス㈱を子会社としました(注1)。当社グループは、子会社化以前からZホールディングス㈱との連携により、「SoftBank」および「Y!mobile」のスマートフォンユーザーに対して、同社のサービス利用時に特典を追加で付与するキャンペーンや、「Yahoo! JAPAN ID」との連携による「Yahoo!プレミアム」特典の無償提供等の、主に通信事業分野の施策に取り組んできましたが、子会社化に伴い、当社グループ全体として、FinTech等の非通信事業も一体的かつ積極的に推進し、両社が統合的な戦略に基づき経営資源を最適に配分し、シナジー効果を最大化することが可能となります。当社グループが培ってきた通信事業の基盤とZホールディングスグループが有する日本最大級のインターネットサービス利用者基盤およびビッグデータを活用し、スマートフォンを通じて、魅力的かつ便利なサービスを多くのお客さまへ提供することを目指します。また、2019年12月に、Zホールディングス㈱とLINE㈱は両社の経営統合(以下「本経営統合」)に関して、当社とNAVER Corporationを含む4社間で経営統合契約書(以下「本統合最終契約」)、両社間で資本提携契約書を締結しました(注2)。当社は、この取引を「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、それにより5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。
顧客基盤の拡大に向けた取り組みとしては、前期に引き続き、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さまにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、10代から20代中心に主にオンラインでサービスを提供することで安価な価格帯を実現する「LINEモバイル」ブランドの3つのブランドによって、お客さまのニーズに合わせたサービスを提供しています。なお、「SoftBank」ブランドでは、2019年9月より契約期間および契約解除料を撤廃し、2020年3月には、データを使用しなかった月は自動で料金が割引となり、毎月50GBまで利用できる「メリハリプラン」の提供を開始しました。また、「Y!mobile」ブランドにおいても、契約期間および契約解除料の定めがなく、通信料金と端末代金を分離したプランを、2019年10月から提供開始しました。これらの結果、当期末のスマートフォン契約数は、前期末比で205万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、「SoftBank 光」契約数は、前期末比で47万件増加しました。また、当社は、5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。開始に伴い、「SoftBank」ブランドの新たなサービスとして、5G時代ならではの臨場感溢れる視聴体験を実現するコンテンツ配信サービス「5G LAB」の提供を始めました。「5G LAB」は、5Gの特長を生かした映像を体験できる「AR SQUARE」「VR SQUARE」「FR SQUARE」と、快適なクラウドゲーミングを体験できる「GAME SQUARE」で構成されており、エンターテイメントやスポーツを中心としたラインアップを、当社の通信サービスを利用されているお客さま以外でも、スマートフォンやタブレットなどで楽しむことができます。今後も、順次5G対応エリアを拡大しながら、一人一人の働き方や生活そのものを大きく変化させる可能性に満ちたサービスの提供を推進していきます。
新規ビジネスの拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループの投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、新規ビジネスの拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
Zホールディングス㈱と共同で設立したPayPay㈱は、バーコードやQRコードを用いたスマートフォン決済サービス「PayPay」の提供を行っています。お客さまに同サービスを日常的に使用いただくことを企図し、各種キャンペーンを継続実施したことが功を奏し、決済回数を順調に伸ばしながら、登録者数はサービス提供開始後18カ月で2,700万人を超えました。2019年8月より、ヤフー関連サービスにおけるキャンペーン等において付与される期間固定Tポイントを「PayPayボーナスライト」に変更し、「SoftBank」ユーザーの長期継続特典も「PayPayボーナス」へ変更したほか、2019年10月にはヤフー㈱が「PayPayモール」「PayPayフリマ」の提供を開始しました。2020年1月からは、公共料金だけでなく、民間企業による物販、サービスの通信販売の請求書(払込票)も「PayPay請求書払い」に対応し、PayPayでの支払いが可能になるなど、利用方法の幅を着実に広げています。今後も、「PayPay」がもつスマートフォンアプリという特性を生かし、決済という単機能にとどまらず、スマートフォン上であらゆる暮らしを便利にする「スーパーアプリ」への進化を目指します。引き続き利用可能な店舗の拡大に努めるとともに、子会社化したZホールディングスグループと協働し「オフライン決済」「オンライン決済」「公共料金決済」「個人間の取引」など、様々なサービスへと領域を広げ、当社グループの重要な決済プラットフォームとして、PayPay㈱の事業を推進していきます。
世界38カ国149都市(注3)でコミュニティ型ワークスペース提供を行うThe We Companyとの合弁会社であるWeWork Japan合同会社は、東京都内の20拠点に加え、横浜、大阪、福岡、名古屋、神戸の全国各都市8拠点にコワーキングスペースを開設しています。
交通プラットフォームを手掛ける滴滴出行(Didi Chuxing Technology Co., Ltd.)との合弁会社であるDiDiモビリティジャパン㈱では、全国25都道府県(注4)でタクシー配車プラットフォームの提供を行っています。サービスエリアの拡大とともに、タクシーアプリカテゴリにおける月間ダウンロード数第1位を達成しました(注5)。2019年11月には「PayPay」が、アプリ内の新機能「ミニアプリ」第1弾として、DiDiモビリティジャパン㈱が提供するタクシー配車アプリである「DiDi」と連携し、「PayPay」のアプリ上でタクシー配車から決済まで完結するサービスを開始しました。今後も、乗客とタクシー事業者双方の利便性を向上する様々な機能を展開していきます。
当社とトヨタ自動車㈱は、モビリティサービスの構築に向けて戦略的提携に合意し、新会社MONET Technologies㈱(以下「MONET」)を設立して、2019年2月に共同で事業を開始しました。その後、MONETは、いすゞ自動車㈱、スズキ㈱、㈱SUBARU、ダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、本田技研工業㈱、マツダ㈱ともそれぞれ資本・業務提携を行いました。2020年1月には湖西市、2020年2月には越前市および福井鉄道、2020年3月には浜松市とそれぞれ協定を締結しました。2019年12月から2020年1月にかけて東京都が公募した「MaaS(注6)の社会実装モデル構築に向けた実証実験」の一環として複数交通機関を連携させた観光向けおよび通勤向けのマルチモーダルの実証実験を実施しました。また、MaaSオープンプラットフォームの構築やMaaS普及促進、移動における社会課題の解決や新たな価値創造を目指して立ち上げたMONETコンソーシアムは、2020年3月末時点において531社の企業が加入しています。引き続き、サービスの事業化に向けた実証実験の実施や自治体との連携およびMONETコンソーシアムの活動を通して、日本の社会課題の解決や新たな価値創造を可能にする革新的なモビリティサービスの実現と普及に取り組んでいきます。
日本を含む80カ国、800以上の都市(注4)でホテルや住宅などの事業を展開しているOYO Hotels & Homesは、2019年4月に当社およびソフトバンク・ビジョン・ファンドとともに、OYO Hotels Japan合同会社の設立を発表し、2019年10月に、日本におけるホテル事業を正式に開始しました。OYO Hotels Japan合同会社は、全国のホテル経営者に対し、テクノロジーを全面的に生かしたホスピタリティモデルを提供し、国内外からの出張者および観光客に対しては、サービスの質が統一された信頼できるホテルを手頃な価格でご利用いただけるようにしていきます。
(注1) 当社は、Zホールディングス㈱が、当社を割当先として2019年6月27日付で実施した第三者割当による新株式発行を456,466百万円で引き受けました(以下「本第三者割当増資」)。また、Zホールディングス㈱は、本第三者割当増資と並行して、当社の親会社であるソフトバンクグループジャパン㈱が保有するZホールディングス㈱の普通株式を対象とする自己株式の公開買付け(以下「本公開買付け」)を実施しました。本第三者割当増資および本公開買付けの結果、2019年6月末時点のZホールディングス㈱に対する当社の議決権所有割合は、44.6%となりました。
(注2) 本経営統合は、必要とされる各国における競争法、外為法その他法令上必要なクリアランス・許認可等の取得が完了していること、その他本統合最終契約において定める前提条件が充足されることを条件として行われます。
(注3) 2020年3月時点の数字です。
(注4) 2020年3月末時点の数字です。
(注5) アップアニーの調査による、2019年7月~12月におけるタクシーアプリダウンロード数(iOS・Android合計)です。
(注6) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。

ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
売上高4,656,8154,861,247204,4324.4%
営業利益818,188911,72593,53711.4%
税引前利益746,113811,19565,0828.7%
法人所得税△251,949△304,527△52,57820.9%
純利益494,164506,66812,5042.5%
親会社の所有者462,455473,13510,6802.3%
非支配持分31,70933,5331,8245.8%
調整後EBITDA(注1)1,367,0661,606,529239,46317.5%

(注1) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 上記表内の2019年3月31日に終了した1年間の数値は、2020年3月31日に終了した1年間に行われた共通支配下の取引(Zホールディングス㈱の取得を含む)を遡及修正した後の数値です。遡及修正前の数値は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.会計方針の変更 (2) 共通支配下の取引」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は、全セグメントで増収し、前期比204,432百万円(4.4%)増の4,861,247百万円となりました。コンシューマ事業では16,211百万円、法人事業では18,393百万円、流通事業では65,144百万円、ヤフー事業では98,516百万円の増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、全セグメントで増益し、前期比93,537百万円(11.4%)増の911,725百万円となりました。コンシューマ事業では19,834百万円、法人事業では7,259百万円、流通事業では1,982百万円、ヤフー事業では16,355百万円の増益となりました。上記以外の「その他」の営業利益は、前期比46,371百万円増加していますが、これは主として、前期においては、PayPay㈱を子会社として会計処理をしていたことから、同社に係る営業損失が当期より多く計上されていること、および当期において、サイバーリーズン・ジャパン㈱が、当社の子会社から持分法適用会社となったことにより、子会社の支配喪失に伴う利益を計上したことによるものです。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比12,504百万円(2.5%)増の506,668百万円となりました。当期における法人所得税の増加は、主として、税引前利益の増加による法人所得税の増加に加えて、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合に関する最終契約の締結に伴い、Zホールディングス㈱株式のグループ内譲渡により生じる譲渡益に対応する法人所得税を19,504百万円計上したことと、前期において繰越欠損金を使用したことによるものです。持分法による投資損失は、前期比39,784百万円増加の46,060百万円となりました。主として、2019年5月から持分法適用会社として会計処理しているPayPay㈱において、事業拡大のための施策を行ったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比10,680百万円(2.3%)増の473,135百万円となりました。当期の非支配持分に帰属する純利益は、主として、㈱ZOZOの子会社化により、前期比1,824百万円(5.8%)増の33,533百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当期の調整後EBITDAは、前期比239,463百万円(17.5%)増の1,606,529百万円となりました。これは主として、営業利益の増加に加え、当期よりIFRS第16号を適用したため、従来オペレーティング・リースと判定されていた賃借料が減価償却費と支払利息に振り替わったことにより、減価償却費が141,921百万円増加したことによるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績をより効果的に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数2019年3月31日2020年3月31日増減
合計44,53645,7781,242
主要回線(注)34,74136,4991,757
うち、スマートフォン22,08224,1342,052
通信モジュール等7,7387,663△75
PHS2,0571,616△440

(単位:千件)
3月31日に終了した1年間
純増契約数2019年2020年増減
主要回線(注)1,5661,757191
スマートフォン1,9472,052105

3月31日に終了した1年間
解約率・総合ARPU2019年2020年増減
主要回線(注)解約率1.07%0.96%△0.10ポイント
総合ARPU(円)4,3604,42060
割引前ARPU(円)5,4205,110△300
割引ARPU(円)△1,060△700360
スマートフォン解約率0.83%0.70%△0.13ポイント

(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数2019年3月31日2020年3月31日増減
合計7,6437,846203
SoftBank 光5,9166,387470
Yahoo! BB 光 with フレッツ894786△108
Yahoo! BB ADSL833673△159


<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでん
わ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモ
バイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は
含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連
収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の
光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)
サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了してい
る回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」
とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サ
ービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了し
ている回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているた
め、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。

(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、付随する携帯端末の販売を含む移動通信サービスや、ブロードバンドサービス等の通信サービスを提供しています。携帯端末の販売については、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
(当期の主な取り組み)
・2019年6月より、現在スマートフォン以外の携帯電話をご利用中で、新たに「SoftBank」ブランドのスマートフォンをご契約されるお客さまを対象にした新料金サービス「スマホデビュープラン」を開始しました。これは、毎月1GBのデータ容量が1年間月額980円(税抜)(注1)から利用できるものです。
・2019年10月に、当社および㈱ウィルコム沖縄は、「Y!mobile」のスマートフォン向け料金プランを改定し、それらのデータ通信容量を拡大しました。改定後の料金プランでは、従来の料金プランと比較して月額利用料金が値下げとなると共に、契約期間および契約解除料を撤廃しました。これにより、月額1,480円(税抜)(注2)からスマートフォンをご利用いただくことができます。
・2020年3月より「SoftBank」の新プログラムとして、機種代金の支払いの負担を軽減する「トクするサポート+(プラス)」の提供を開始しました。「トクするサポート+」は対象機種を48回払いで購入し、25カ月目以降に当社で指定機種へ買い替え、対象機種(旧機種)を回収・査定完了する等の特典利用条件を満たした場合に、最大24回分の分割支払金または賦払金の支払いが不要になるプログラムです(注3)。また、機種を再購入しなくても当社が定める条件で対象機種(旧機種)を引き取り、お客さまへポイントなどで還元する選択肢も用意しています(注4)。
・2020年3月より、毎月50GB(注5)まで利用できるデータ容量に加えて、対象の動画サービスやSNSが使い放題(注6)となる「動画SNS放題」の対象サービスが利用できる料金サービスである「メリハリプラン」の申し込み受け付けを開始しました。「メリハリプラン」は、「基本プラン(音声/データ)」と新たに提供する「データプランメリハリ」の総称で、各種割引により月額3,480円(税抜)(注7)から利用できます。「動画SNS放題」の対象サービスの利用分を含めた月間のデータ使用量が2GB以下の場合、自動的に1,500円割引になり、月額1,980円(税抜)から利用できます。
・2020年3月より、高速・大容量、低遅延の通信が可能な5Gの商用サービス「SoftBank 5G」を開始しました(注8)。5Gの新サービスでは、契約している対象料金プラン(注9)に加えて「SoftBank」の新しいサービス「5G基本料」(月額使用料1,000円(税抜))に加入していただくことで、5Gスマートフォンなどの商品を「SoftBank 5G」のネットワークでご使用いただけます。なお、「SoftBank 5G」の「5G基本料」の月額使用料は、キャンペーンにより2年間無料となり、これにより現在契約中の対象料金プランの月額利用料金のままで5Gを体験できます。
(注1) 4Gスマートフォンの場合は「基本プラン(音声)」、「データプラン1GB(スマホ)」、「準定額オプション+」、「1年おトク割」、「小容量割」を適用、5Gスマートフォンの場合はこれらに加え、「5G無料キャンペーン」を適用した価格です。
(注2) 「スマホベーシックプランS」、「新規割」、「おうち割 光セット(A)」または「家族割引サービス」が適用された場合です。
(注3) 当社指定の回収・査定条件を満たす必要があります。また回収する旧機種が当社指定の査定条件を満たさない場合、機種の回収に加えて最大22,000円(不課税)のお支払いが必要となります。
(注4) 当社指定の回収・査定条件を満たす必要があります。旧機種が当社指定の査定条件を満たさない場合、特典が受けられない、またはお客さまへ還元するポイントなどが減ることがあります。
(注5) 50GBを超過した場合、請求月末まで通信速度を送受信時最大128kbpsに低速化します。なお、50GBを超過した場合、追加データを購入することで速度制限されずにデータ通信を利用できます。
(注6) 対象サービスは変わる場合があります。
(注7) 「メリハリプラン2GB以下(「動画SNS放題」の対象サービスの利用分を含む)」、「半年おトク割(6カ月間)」、「おうち割 光セット」、「みんな家族割+」を適用した場合の価格です。
(注8) 開始当初は提供エリアが限られます。詳しくはサービスエリアマップをご参照ください。
https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/
(注9) 「メリハリプラン」、「ミニフィットプラン」、「スマホデビュープラン」、「データシェアプラン」が対象です。
<業績全般>
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
売上高2,680,4762,696,68716,2110.6%
セグメント利益627,436647,27019,8343.2%
減価償却費及び償却費342,044422,45480,41023.5%

売上高の内訳
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
通信サービス売上1,989,7172,060,62870,9113.6%
モバイル1,628,6401,676,79748,1573.0%
ブロードバンド361,077383,83122,7546.3%
物販等売上690,759636,059△54,700△7.9%
売上高合計2,680,4762,696,68716,2110.6%

売上高は、前期比16,211百万円(0.6%)増の2,696,687百万円となりました。
通信サービス売上は、前期比70,911百万円(3.6%)増加し、2,060,628百万円となりました。このうちモバイルは前期比48,157百万円(3.0%)増加しました。主として、通信料金と端末代金の分離プランや家族割引の導入による料金値下げの影響や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い平均単価が減少した一方で、スマートフォン契約数の増加と、通信料金と端末代金の分離プランの契約数の増加や端末の割賦契約期間の長期化に伴う「月月割」割引額の減少が増収に寄与したことによるものです。
通信サービス売上のうち、ブロードバンドは、前期から22,754百万円(6.3%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。
物販等売上は、前期比54,700百万円(7.9%)減少し、636,059百万円となりました。主として、提供エリア拡大に伴い「おうちでんき」サービスにかかる売上高が増加した一方で、端末の販売単価および販売台数が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は2,049,417百万円となり、前期比で3,623百万円(0.2%)減少しました。これは、「おうちでんき」サービスにかかる仕入原価が増加したこと、および積極的な販売活動を行ったことによる販売手数料・販売促進費等の販売関連費用が増加した一方で、端末の販売台数減少に伴い商品原価が減少したことによるものです。なお、減価償却費及び償却費の増加は、主として、IFRS第16号の適用の影響によりオペレーティング・リース料が減少し、減価償却費が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比19,834百万円(3.2%)増の647,270百万円となりました。

ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、携帯電話と固定電話を統合しシームレスな内線通話を可能にする「ConnecTalk(コネクトーク)」、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービスおよびAI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
(当期の主な取り組み)
・2019年4月に、法人のお客さまの音声通話ニーズに対する新たな選択肢として、光回線を利用した法人向けIP電話サービス「おとく光電話」の申し込み受付を開始しました。「おとく光電話」は、現在お使いの電話番号(0AB-J番号)(注1)は変更せずに、IP電話を利用できるサービスです。
・2019年9月に、デジタルマーケティングにおける取り組みの一環として、㈱博報堂およびArm Limited(以下「Arm」)とデータ活用による企業の変革を支援する合弁会社、インキュデータ㈱を設立しました。十分に匿名化されたソフトバンク独自のデータと博報堂グループが保有する生活者データに加えて、Armのカスタマーデータプラットフォーム「Arm Treasure Data enterprise CDP」および3社のデータ分析技術と活用ノウハウを掛け合わせることで、各企業に最適化された戦略立案から施策の実行までを実現します。
・2020年2月に、 日本で初めて(注2)、マイクロソフト コーポレーションによるMicrosoft Azureのパートナー認定プログラムの最高位である「Microsoft Azure Expertマネージドサービスプロバイダー(MSP)」と、Microsoft Azureのネットワークサービスに特化したパートナー認定プログラム「Microsoft Azure Networkingマネージドサービスプロバイダー」の2つの認定を取得しました。この2つの認定の取得は、当社が推進している、様々なパブリッククラウドと、関連するネットワークやセキュリティなどのソリューションを包括的に提供する 「マルチクラウド戦略」を通して取り組んできた、Microsoft Azureおよび関連ソリューションの企業への導入実績や運用・管理における技術力の高さなどが評価されたものです。
(注1) 0AB-J番号とは、03(東京)・06(大阪)などから始まる固定電話番号です。
(注2) 2020年2月5日時点の情報です。(当社調べ)
<業績全般>
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
売上高620,483638,87618,3933.0%
セグメント利益76,34883,6077,2599.5%
減価償却費及び償却費103,737157,93754,20052.2%

売上高の内訳
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
モバイル268,097275,0726,9752.6%
固定207,397194,593△12,804△6.2%
ソリューション等144,989169,21124,22216.7%
売上高合計620,483638,87618,3933.0%

売上高は、前期比18,393百万円(3.0%)増の638,876百万円となりました。そのうち、モバイルは、前期比6,975百万円(2.6%)増の275,072百万円、固定は、前期比12,804百万円(6.2%)減の194,593百万円、ソリューション等は、前期比24,222百万円(16.7%)増の169,211百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、スマートフォン契約数が増加したことによるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの単価の減少と、前期においてネットワーク構築にかかる大口契約が満了を迎えたことに伴う減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、主として、クラウドサービスの売上と、物販や業務受託・プロフェッショナルサービス等の売上の増加によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は555,269百万円となり、前期比で11,134百万円(2.0%)増加しました。主として、上記モバイルおよびソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。なお、減価償却費及び償却費の増加は、主として、IFRS第16号の適用の影響によりオペレーティング・リース料が減少し、減価償却費が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比7,259百万円(9.5%)増の83,607百万円となりました。なお、前期におけるネットワーク構築にかかる大口契約の満了に伴う影響を除くと、15,766百万円(23.2%)の増益となりました。

ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトとサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を扱っています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・供給を行っています。
(当期の主な取り組み)
・2020年2月に、SB C&S㈱のオーディオブランド「GLIDiC(グライディック)」(注1)より、耳への負担を軽減するミニマム設計で、小さいイヤホンがお好みの方にも快適なフィット感を実現した完全ワイヤレスイヤホン「Sound Air TW-6000」を発売しました。
・2020年3月に、SB C&S㈱は、キャッシュレス導入を検討中の事業者に向けて、決済端末およびネットワーク、初期設定やアフターサポートなどの関連するサービスをひとつのパッケージにした新サービス「PayCAS(ペイキャス)」の提供を開始しました。
・2020年3月に、SB C&S㈱は、企業のテレワークやBCP(注2)対策の推進を目的に、米国のZoom Video Communications, Inc.のビデオ会議ソフト「Zoom(ズーム)」の取り扱いを開始しました。
・2020年3月に、SB C&S㈱は、企業のテレワークやクラウドサービス活用が進む中、安全なWebアクセスを実現するクラウド型Webゲートウェイ製品「iboss(アイボス)クラウドプラットフォーム」を提供する米国iboss, Inc.と国内初の販売代理店契約を締結しました。
(注1) 「GLIDiC」とは、SB C&S㈱が展開するモバイルのためのオーディオブランドの名称です。
(注2) BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)の略で、災害など緊急時の損害を最小限に抑え、いち早く事業を復旧・存続するための計画のことです。
<業績全般>
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
売上高417,297482,44165,14415.6%
セグメント利益15,18217,1641,98213.1%
減価償却費及び償却費1,2293,0521,823148.3%

売上高は、前期比65,144百万円(15.6%)増の482,441百万円となりました。主として、法人のお客さま向けのPC・サーバーなど既存商材の販売が堅調に推移したことや、クラウドサービスのライセンス数拡大などの安定的な収益源が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は465,277百万円となり、前期比で63,162百万円(15.7%)増加しました。主として、上記売上の増加に伴い、商品原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比1,982百万円(13.1%)増の17,164百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては 「ヤフオク!」、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービス、クレジットカード等の決済金融サービスの提供、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
(当期の主な取り組み)
・2019年10月より、ヤフー㈱は、厳選されたストアのみが並び、電子マネー「PayPay残高」がお得にたまる、プレミアムなオンラインショッピングモール「PayPayモール」の提供を開始しました。「PayPayモール」は、家電、ファッション等の商品ジャンルごとに最適化されたサービスのデザインや機能を採用し、検索と価格比較といった各種情報の見やすさを重視しています。
・2019年10月より、ヤフー㈱は個人が固定価格で手軽に取引でき、電子マネー「PayPay残高」がお得にたまる「PayPayフリマ」の提供を開始しました。「PayPayフリマ」はフリマアプリでの取引で手間がかかる価格交渉を機能化するなど、取引の簡便化により、ユーザーの負担を軽減したスムーズな「フリマ体験」を実現します。
・2019年11月に、Zホールディングス㈱は、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOを子会社化しました。また、2019年12月より「ZOZOTOWN」は「PayPayモール」への出店を開始しました。
・2020年3月に、Zホールディングス㈱は、ヤマトホールディングス㈱と業務提携に向けた基本合意書を締結しました。ヤマトホールディングス㈱は、ヤフー㈱が運営するオンラインショッピングモールに出店するストアの受注から出荷までの業務を代行する新物流サービスを2020年6月より開始する予定であり、2020年3月より、同サービスの申し込み受付を出店ストア向けに開始しました。
<業績全般>
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
売上高954,4261,052,94298,51610.3%
セグメント利益135,921152,27616,35512.0%
減価償却費及び償却費52,10983,20931,10059.7%

売上高の内訳
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減増減率
コマース646,443740,46594,02214.5%
メディア301,881307,6735,7921.9%
その他6,1024,804△1,298△21.3%
売上高合計954,4261,052,94298,51610.3%

売上高は、前期比98,516百万円(10.3%)増の1,052,942百万円となりました。そのうち、コマースは前期比94,022百万円(14.5%)増の740,465百万円、メディアは前期比5,792百万円(1.9%)増の307,673百万円、その他は前期比1,298百万円(21.3%)減の4,804百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化およびその他コマースサービスでの取扱高の増加に伴い売上高が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は900,666百万円となり、前期比で82,161百万円(10.0%)増加しました。主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加、その他のコマースサービスでの売上増加に伴う原価の増加、ソフトウエアやサーバー等の増加に伴う減価償却費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比16,355百万円(12.0%)増の152,276百万円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通、ヤフーの4つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、第34期連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
コンシューマ2,696,6870.6
法人638,8763.0
流通482,44115.6
ヤフー1,052,94210.3
その他108,11516.3
セグメント間の内部売上高または振替高△117,8148.2
合計4,861,2474.4

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。
3 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。

(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円)
2019年
3月31日
2020年
3月31日
増減増減率
流動資産2,965,6923,364,303398,61113.4%
非流動資産5,070,6366,427,9551,357,31926.8%
資産合計8,036,3289,792,2581,755,93021.8%
流動負債3,316,9994,496,6091,179,61035.6%
非流動負債2,696,7623,588,085891,32333.1%
負債合計6,013,7618,084,6942,070,93334.4%
資本合計2,022,5671,707,564△315,003△15.6%

(注) 上記表内の2019年3月31日時点の数値は、2020年3月31日に終了した1年間に行われた共通支配下の取引(Zホールディングス㈱の取得を含む)を遡及修正した後の数値です。遡及修正前の数値は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.会計方針の変更 (2) 共通支配下の取引」をご参照ください。
(資産)
当期末の総資産は、前期末から1,755,930百万円(21.8%)増加し、9,792,258百万円となりました。主として、㈱ZOZOの子会社化による資産の増加816,028百万円(うち、のれん212,911百万円、顧客基盤316,650百万円、商標権178,720百万円)、IFRS第16号の適用により、従来オペレーティング・リースと判定されていたリース取引に係る使用権資産を認識したことに伴う資産の増加484,679百万円、現金及び現金同等物の増加205,420百万円、長期割賦債権の増加を主因とするその他の金融資産の増加173,413百万円によるものです。
(負債)
当期末の負債は、前期末から2,070,933百万円(34.4%)増加し、8,084,694百万円となりました。これは、主として、新規の資金調達を実施したことと、IFRS第16号の適用による有利子負債の増加によるものです。資金調達の主な内訳は、Zホールディングス㈱における㈱ZOZOの公開買付けのための借入金の調達400,000百万円、当社におけるZホールディングス㈱株式の追加取得を目的とした借入金の調達325,000百万円、Zホールディングス㈱が発行した無担保社債の発行230,000百万円です。また、IFRS第16号の適用により、従来オペレーティング・リースと判定されていたリース取引にかかるリース負債を認識したことに伴う有利子負債の増加は499,358百万円です。
(資本)
当期末の資本は、前期末から315,003百万円(15.6%)減少し、1,707,564百万円となりました。これは、当期の純利益の計上による増加506,668百万円、㈱ZOZO子会社化に伴う企業結合による増加185,750百万円があった一方で、共通支配下の取引による変動による減少501,003百万円、剰余金の配当による減少431,294百万円、自己株式の取得による減少68,709百万円等があったことによるものです。このうち、共通支配下の取引による変動による減少501,003百万円は、主として、共通支配下の取引であるZホールディングス㈱の子会社化に伴い取得した資本とZホールディングス㈱株式の取得対価との差額をのれんとして計上するのではなく、資本剰余金から控除したことによる資本剰余金の減少と、親会社であるソフトバンクグループ㈱がZホールディングス㈱を取得した日から当社がZホールディングス㈱を取得した日の間に発生した取得後剰余金をすべて取崩し、当社の取得日以降の剰余金を反映する会計方針を採用したことによる資本剰余金の増加および利益剰余金の減少から構成されています。

(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年増減
営業活動によるキャッシュ・フロー965,5261,249,535284,009
投資活動によるキャッシュ・フロー△586,272△900,145△313,873
財務活動によるキャッシュ・フロー△429,158△143,613285,545
現金及び現金同等物の期末残高938,3881,143,808205,420
フリー・キャッシュ・フロー(注1)379,254349,390△29,864
親会社との一時的な取引(注1)47,239-△47,239
割賦債権の流動化による影響(注1)23,25330,0716,818
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1)449,746379,461△70,285
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)498,401565,48167,080
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)(注2)381,600369,779△11,821

(注1) フリー・キャッシュ・フロー、親会社との一時的な取引、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,249,535百万円の収入となりました。当期におけるIFRS第16号の適用の影響による増加、銀行事業の預金の増加等により、前期比284,009百万円収入が増加しました。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、900,145百万円の支出となりました。主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う子会社の支配獲得による支出の増加により、前期比313,873百万円支出が増加しました。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、143,613百万円の支出となりました。支出の主たる内訳は、Zホールディングス㈱等による自己株式取得による支出526,826百万円、配当金の支払額397,496百万円であり、収入の主たる内訳は、㈱ZOZOの公開買付けのための借入金400,000百万円、Zホールディングス㈱株式の追加取得を目的とした借入金325,000百万円、Zホールディングス㈱が発行した無担保社債230,000百万円です。前期比では、主として、配当金の支払額の増加および被結合企業の自己株式取得による支出の増加があったものの、上記を含む長短有利子負債の増加による収入の増加および被結合企業の株式取得による支出が当期においてはなかったことにより、前期比285,545百万円増加しました。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当期における現金及び現金同等物の残高は、前期比205,420百万円増の1,143,808百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、379,461百万円の収入となりました。主として、営業活動によるキャッシュ・フローが増加した一方で、㈱ZOZOの子会社化に伴う投資活動によるキャッシュ・フローの減少により、前期比70,285百万円減少しました。
f.設備投資
当期の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、LTEサービスへの設備投資が減少したものの、IFRS第16号の適用の影響および5G設備への投資の増加により、前期比67,080百万円増の565,481百万円となりました。
g.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 c.財務戦略」をご参照ください。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
3月31日に終了した1年間
2019年2020年
親会社所有者帰属持分比率18.6%10.2%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)3.64.1
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)19.226.6

(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2019年3月31日に終了した1年間
当社グループのスポーツコンテンツ配信サービスにおいて、サッカー主要リーグの放映権を保有する取引先(以下「ライセンサー」)が、権利元であるサッカー主要リーグから、ライセンス料の支払遅延を理由として、サッカー主要リーグの放映契約を解除されました。これを要因とし、当社グループはライセンサーよりサッカー主要リーグの放映契約の解除通知を受けました。このため、当社グループは、2018年12月31日に終了した9カ月間において、同社より取得した配信権の評価減4,770百万円を「その他の営業費用」として認識しました。また、当契約解除に伴い配信権取得にかかる債務の取り崩しを行ったことにより4,689百万円を「その他の営業収益」として認識しています。
2020年3月31日に終了した1年間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年3月31日に
終了した1年間
2020年3月31日に
終了した1年間
営業利益818,188911,725
(加算)減価償却費及び償却費(注)545,879700,934
(加算(△は減算))その他の調整項目:
配信権取得にかかる債務取崩益
△4,689-
(加算(△は減算))その他の調整項目:
企業結合に伴う再測定による利益
△3,751-
(加算(△は減算))その他の調整項目:
子会社の支配喪失に伴う利益
-△12,937
(加算(△は減算))その他の調整項目:
棚卸資産の評価減
4,770-
(加算(△は減算))その他の調整項目:
減損損失
6,6693,404
(加算(△は減算))その他の調整項目:
企業結合に伴う再測定による損失
-3,403
調整後EBITDA1,367,0661,606,529

(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年3月31日に終了した1年間504,482百万円 2020年3月31日に終了した1年間675,241百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年3月31日に終了した1年間41,397百万円 2020年3月31日に終了した1年間25,693百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および一時的な費用及び収益を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年3月31日に
終了した1年間
2020年3月31日に
終了した1年間
売上高4,656,8154,861,247
営業利益818,188911,725
営業利益マージン17.6%18.8%
調整後EBITDA1,367,0661,606,529
調整後EBITDAマージン29.4%33.0%


c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、当社普通株式の上場準備のための一時的な取引または上場後には発生しない取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
当社を含むソフトバンクグループは、資金効率の最大化を目的として、余剰資金の貸借をはじめとしたグループ会社間での資金取引を実施しています。この資金取引には、親会社への貸付やその回収および付随する受取利息が含まれます。これらは当社の上場後には発生しない本来の事業活動とは関係のない取引であり、上場後の営業活動および投資活動によるフリー・キャッシュ・フローとの比較可能性を担保するため、「親会社への貸付に付随する利息の受取額」という項目でフリー・キャッシュ・フローから控除しています。さらに、2018年3月期にかかるブランド料の支払い完了後は発生しない「ブランド使用料の支払い」についても、上場後は発生しない取引のため、上記の項目と同様に当該取引を親会社との一時的な取引としてフリー・キャッシュ・フローの調整項目として除外しています。
一方、財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年3月31日に
終了した1年間
2020年3月31日に
終了した1年間
営業活動によるキャッシュ・フロー965,5261,249,535
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1)△451,992△428,836
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2)△134,280△471,309
フリー・キャッシュ・フロー379,254349,390
親会社への貸付に付随する利息の受取額(注3)△88-
ブランド使用料の支払い(注4)(注5)47,327-
親会社との一時的な取引47,239-
割賦債権流動化取引:調達額(注6)503,819447,684
割賦債権流動化取引:返済額(注6)△480,566△417,613
割賦債権の流動化による影響23,25330,071
調整後フリー・キャッシュ・フロー449,746379,461

(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」、「貸付金貸付による支出」、「貸付金回収による収入」および「その他」の純額です。
(注3) 親会社への貸付に付随する利息の受取額に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローの「利息及び配当金の受取額」に含まれています。
(注4) 消費税等を含みます。
(注5) ブランド使用料の支払いに関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる営業活動によるキャッシュ・フローに含まれています。
(注6) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。

(5) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積もりを行っています。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、影響の及ぶ期間とその程度を合理的に推定することはできませんが、感染拡大の収束が遅れた場合には、当社グループの将来収益およびキャッシュ・フローに影響を及ぼしその見積りに一定の不確実性が存在します。このよう状況において、本連結財務諸表作成時点で利用可能な情報・事実に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期間とその影響のリスクや不確実性を考慮の上、合理的な金額の見積りを行っています。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる場合があります。
以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。
a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損にかかる見積り
企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。当連結会計年度および前連結会計年度における、企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、それぞれ7,301億円および243億円です。
また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込、成長率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り
有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。
資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財政状態計算書および連結損益計算書に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。当連結会計年度および前連結会計年度における、有形固定資産の減価償却費はそれぞれ1,424億円、3,152億円であり、無形資産の償却費は、それぞれ1,837億円、1,741億円です。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
c.金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。当連結会計年度末および前連結会計年度末における、市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、それぞれ2,704億円および1,721億円です。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 30.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」に記載しています。