四半期報告書-第35期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

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2021/02/10 15:00
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当第3四半期連結累計期間における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展と期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、かつてない大きな変革期を迎えています。すなわち、当第3四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本企業の景況感は非常に不透明かつ悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が半ば強制的に進み、社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性があらためて認識されました。そして今後、AI(注1)やIoT(注2)、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーション(注3)が起こり、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
一方、日本の通信市場では、総務省による競争環境整備に向けたアクションプランの発出、競争促進政策のより一層の強化、仮想移動体通信事業者(MVNO)による格安スマートフォンサービスの普及、異業種からの新規参入など、事業環境の変化が続いています。またインターネット市場では、海外プラットフォーム企業の優勢が続いており、特にeコマースや金融(Fintech)・決済の分野で競争が激化しています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を基盤に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。2020年4月には、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
SDGsとマテリアリティ(重要課題)の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
https://www.softbank.jp/corp/sustainability/materiality/
上場以来、当社グループは、デジタル技術を活用してこれらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。「Beyond Carrier」戦略は、通信事業の顧客基盤を拡大することに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。この戦略を推進することで、当社グループは、日本でも有数の通信ネットワーク、インターネットメディア、スマートフォン決済プラットフォームを有するに至りました。そして、2021年3月にはLINE㈱の経営統合が完了する予定であり、日本最大のメッセージアプリプラットフォームが加わります。これら、多様性に富む当社グループの力を結集し、誰にも真似できないコロナ後の未来を創っていきます。
なお、この戦略の下で、当社グループの連結売上高や連結営業利益に占めるモバイル通信料(注4)の比率は年々低下しており、収益源の多様化が進んでいます。引き続き、当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、2022年度に営業利益1兆円を達成することを目指します。
<通信>当社は、2020年12月に、「SoftBank on LINE」をサービスコンセプトとする新たなオンライン専用ブランドを立ち上げることを発表しました。今後は、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、オンライン専用の新ブランドの3つのブランドによって、多様化するお客さまのニーズに合わせたサービスを提供していきます。
オンライン専用の新ブランドでのサービスは、データ容量20GBを月額2,980円(税抜)で利用できる4Gと5G共通の料金体系として、2021年3月に提供開始します。「LINE」がデータ容量を消費せずに使い放題となる「LINEがギガノーカウント」(注5)を提供するとともに、「LINE」でさまざまな手続きができるようにする予定です。これは、2021年3月に予定しているZホールディングス㈱とLINE㈱との経営統合(以下「本経営統合」)(注6)を機に、当社がLINEプラットフォームを活用した通信事業における新サービスを提供することにより実現するものです。なお、現在MVNOサービスを提供しているLINEモバイル㈱については、当社による完全子会社化およびその後の吸収合併することを検討します。
当社は、グループ会社であるPayPay㈱が展開するモバイル決済サービス「PayPay」やヤフー㈱を傘下に持つZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当第3四半期連結会計期間においては、「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移しました。さらに、2020年10月には、5G対応のiPhone 12シリーズの販売を開始しました。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末のスマートフォン契約数は、前期末比で128万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は、前期末比で45万件増加しました。
デジタル技術の進展により、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、企業および産業のデジタルトランスフォーメーションが進展しています。そして前述の通り、コロナ禍において、この動きはむしろ加速しています。
こうした動きに対応するため、当社と子会社の㈱IDCフロンティアは、2020年12月から大手クラウドサービスプロバイダー(ハイパースケーラー)の需要に対応した大規模データセンターの運用を開始しました。本データセンターは、東京都内にあり、昨今のクラウドサービスの需要拡大や、AI・IoT時代の多様な需要に対応するための大規模な受電容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」で、両社が保有するデータセンターで最大の規模(注7)です。ラック単位でのサービスのみではなく、室単位でのデータホールサービスや電力高負荷対応(注8)を実現するコロケーションサービス(注9)など、お客さまのビジネスニーズに合わせた高品質なIT基盤を提供していきます。
<5G>5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注10)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2020年10月には、既存周波数の開設計画変更が認定され、現行の携帯電話向けに割り当てられた4G用の周波数帯を5Gに転用することができるようになりました。新規で割り当てられた5G周波数とあわせて、さらに5Gエリアの拡大を加速していきます。
また、同月には、当社はデル・テクノロジーズ㈱およびヴイエムウェア㈱と、デル・テクノロジーズ㈱のクラウドインフラストラクチャーおよびヴイエムウェア㈱の仮想化技術を活用した5Gの通信基盤を構築することに合意しました。近年、各産業における人手不足などの課題を受けて、業務の自動化やデータ活用などのデジタル化のニーズが年々高まっています。当社は、5Gの活用による社会課題の解決に向けたさまざまな取り組みをさらに加速するために、デル・テクノロジーズ㈱およびヴイエムウェア㈱と協業し、通信基盤を仮想化することで、より柔軟で高品質な通信サービスを提供していきます。
<ヤフーの成長>当社は、こうしたマルチブランド戦略、大容量データプランなどの提供、および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTT(注11)の領域への事業展開を推進しています。昨年度子会社化したZホールディングス㈱および子会社(以下「Zホールディングスグループ」)は、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。
また、Zホールディングス㈱で発表しているLINE㈱との経営統合を、当社は「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。LINE㈱株式を対象とした共同公開買付けを経て、2020年12月29日をもって東京証券取引所市場第一部においてLINE㈱株式が上場廃止になりました。あわせてニューヨーク証券取引所に上場されている米国預託証券についても、2020年12月28日(現地時間)をもって上場廃止となりました。本経営統合を実現するための一連の取引の一環として実施される株式交換の効力発生日は2021年3月1日を予定しています。
当第3四半期連結累計期間においては、2020年11月より、ヤフー㈱が運営するオンラインショッピングモール「PayPayモール」上で、出店ストアの実店舗にある商品を購入して近隣の実店舗や配送で受け取れる新機能の提供を開始しました。この新機能は、ユーザーには新たな商品購入の選択肢を提供し、出店ストアにとっては、ユーザーが実店舗で受け取ることを選択した場合の集客と「ついで買い」による売上増加の機会をもたらします。
Zホールディングスグループでは、オンラインストアと実店舗をシームレスにつなぎ、ユーザーが実店舗の在庫もWeb上で確認して欲しいものを希望の方法で購入・受け取りでき、また、実店舗も店頭だけでなくオンラインでも販売できる世界の実現を目指す「X(クロス)ショッピング」構想を推進しており、その視点で「PayPayモール」のさらなる利便性の向上を目指していきます。
また、2020年12月より、ヤフー㈱と損害保険ジャパン㈱の子会社で少額短期保険業を営むMysurance㈱は、ヤフー㈱が運営するインターネット旅行予約サービス「Yahoo!トラベル」の「ヤフーパック」(注12)の予約者向けに、旅行予約のキャンセル料を補償する「旅行キャンセル保険」と、飛行機の遅延・欠航の発表により発生した費用に対して、最短で空港での待ち時間に保険金をお支払いすることが可能な業界初の「フライト遅延保険」の提供を開始しました。今後も、ヤフー㈱とMysurance㈱は、お客さまに新たな体験を実感いただけるサービスの実現を目指していきます。
<非通信の拡大>非通信の拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループ㈱および子会社(以下「ソフトバンクグループ」)の投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、非通信の拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2020年12月末でのPayPay累計登録者数は約3,500万人となり、PayPay決済回数は第3四半期連結会計期間において、前年同期比1.7倍となる約5億回となり、順調に増加しました。
PayPay㈱は、単にユーザーを増やすのみでなく、加盟店やパートナー企業に対しても、決済プラットフォーム「PayPay」を活用したビジネス機会を提供すべく、下記のような取り組みを行っています。
2020年10月より、開発者向けツール「PayPay for Developers」(注13)で、「PayPay」のミニアプリ(注14)に関するオープンAPI(注15)の提供を開始しました。アプリ開発者はこのオープンAPIを利用することで、自社ECサイトでのPayPay決済の導入に加え、自社のミニアプリ開発が可能となり、新規顧客の獲得や利用者の拡大が期待できます。また、2020年12月より、加盟店向け管理システム「PayPay for Business」の「PayPayマイストア」から、各加盟店がPayPayユーザーに向けて独自の「PayPayクーポン(決済総額型)」を配信できる機能の提供を開始しました。これにより、街の個人商店などでも手軽に「PayPay」ユーザーへ独自のクーポンを配信できるようになりました。このように、今後も「PayPayマイストア」の機能を拡大することで、加盟店の集客、売上拡大に貢献していきます。
PayPay㈱は、当社グループおよびZホールディングスグループとの協働を進め、「PayPay」を「決済」アプリから、ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」へと進化させて、「いつでも、どこでもPayPayで」という世界観を醸成していきます。
MeeTruck㈱
当社と日本通運㈱は、物流業界のデジタルトランスフォーメーションを支援するために2020年4月に共同で設立した「MeeTruck㈱」を通じて、2020年10月よりトラック輸送を担う物流事業者向けのクラウド型配車支援サービスの提供を開始しました。物流業界は、ドライバー不足やECの急拡大に伴う荷量の急増などさまざまな課題を抱えており、MeeTruck㈱は、テクノロジーを活用してこれらの課題を解決することを目指しています。この配車支援サービスは、誰でも簡単に、受注した運送業務の案件登録やトラックの割り当て、勤務計画表の作成などを、場所や時間にとらわれずウェブアプリケーション上で行うことや、それらをデジタルデータとして一元管理することを可能にします。今後は、サービス利用者の要望を基に柔軟かつ継続的にサービス開発・改善を行い、機能を拡充するとともに、AIなどの先端テクノロジーを活用して、より高品質なサービスの提供を目指します。
MONET Technologies㈱
2020年10月より、MONETコンソーシアム(注16)の加盟企業を対象とした、MaaS(注17)の事業開発を加速するための有償プログラム「MONET LABO(モネラボ)」への参加受け付けを開始しました。ワークショップやプロフェッショナル・メンターからのサポート、自治体や企業とのマッチングの機会などをパッケージで提供し、企業によるMaaS事業の早期実現を支援します。
(注1) AIとは、Artificial Intelligenceの略称で、人工知能のことです。
(注2) IoTとは、Internet of Thingsの略称で、モノがインターネット経由で通信することです。
(注3) デジタルトランスフォーメーションとは、企業が、データとデジタル技術を活用して、組織、プロセス、業務等を変革していくことです。
(注4) モバイル通信料は、主に基本料や音声およびデータ定額料等です。あんしん保証パックやセキュリティパックなどのモバイル付加サービスは含まれません。
(注5) 「LINEがギガノーカウント」の対象は、LINEトーク・LINE通話などを予定しています。「LINE」内で使い放題の対象外となるサービスや、技術的要因などにより使い放題の対象外となる場合があります。
(注6) 本経営統合は、最終契約である経営統合契約書において定める前提条件が充足されることを条件として行われます。
(注7) 両社が保有するデータセンター合計20拠点の延べ床面積を比較しています。
(注8) 高密度かつ1ラック当たり最大20キロボルトアンペア(kVA)の電力高負荷対応が可能です。
(注9) コロケーションサービスとは、耐震性や電力供給などに優れたデータセンターにサーバなどのお客さま機器をお預かりし、保守や運用をサポートするサービスです。
(注10) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注11) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注12) 国内宿泊と航空券を自由に組み合わせることができる募集型企画旅行商品です。
(注13) 「PayPay for Developers」は、自社で運営するECサイトやアプリなどで提供するオンラインサービスの決済システムとして「PayPay」を簡単に導入できる開発者向けツールです。
(注14) ミニアプリとは、PayPay㈱のパートナー企業が提供するサービスの予約や商品の注文、支払いなどのサービスを、パートナー企業のアプリをダウンロードすることなく、「PayPay」アプリ内で利用できる機能です。
(注15) APIとは、Application Programming Interfaceの略称で、アプリケーションやソフトウエアを構築および統合するために使われる仕組みのことです。
(注16) 2020年12月末時点で、641の企業や団体が加盟しています。
(注17) MaaSとは、Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
売上高3,617,9603,807,035189,0755.2%
営業利益795,127841,58346,4565.8%
税引前利益729,597746,20116,6042.3%
法人所得税△260,432△260,703△2710.1%
純利益469,165485,49816,3333.5%
親会社の所有者436,637433,770△2,867△0.7%
非支配持分32,52851,72819,20059.0%
調整後EBITDA(注)1,290,8771,380,59189,7146.9%

(注) 調整後EBITDAの算定方法は「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当第3四半期連結累計期間の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当第3四半期連結累計期間の売上高は、全セグメントで増収となり、前年同期比189,075百万円(5.2%)増の3,807,035百万円となりました。法人事業は、テレワーク関連の商材需要の増加などにより36,868百万円、ヤフー事業は、eコマース取扱高の増加などにより114,203百万円、コンシューマ事業は、サービス売上の増加により8,438百万円、流通事業は、行政の大型ICTプロジェクト受注により16,027百万円、それぞれ増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当第3四半期連結累計期間の営業利益は、全セグメントで増益となり、前年同期比46,456百万円(5.8%)増の841,583百万円となりました。法人事業は16,037百万円、ヤフー事業は18,684百万円、コンシューマ事業は7,542百万円、流通事業は3,587百万円の増益となりました。
(ⅲ) 純利益
当第3四半期連結累計期間の純利益は、前年同期比16,333百万円(3.5%)増の485,498百万円となりました。これは主として、営業利益は増加した一方で、保有する投資有価証券の評価損の計上などによる金融費用の増加17,112百万円、WeWork Japan合同会社株式についてののれん相当額の減損処理に伴い持分法による投資の減損損失の増加13,879百万円などがあったことによるものです。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当第3四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する純利益は、非支配持分に帰属する純利益の増加が純利益の増加を上回ったため、前年同期比2,867百万円(0.7%)減の433,770百万円となりました。当第3四半期連結累計期間の非支配持分に帰属する純利益は、主としてZホールディングスグループの増益により、前年同期比19,200百万円(59.0%)増の51,728百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当第3四半期連結累計期間の調整後EBITDAは、前年同期比89,714百万円(6.9%)増の1,380,591百万円となりました。これは主として、営業利益の増加に加え、㈱ZOZO株式取得に伴い識別した無形資産の償却費の計上を主因とする減価償却費及び償却費の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績を評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数2020年3月31日2020年12月31日増減
合計45,77846,8781,100
主要回線(注)36,49937,497999
うち、スマートフォン24,13425,4091,276
通信モジュール等7,6638,294630
PHS1,6161,087△529

(単位:千件)
12月31日に終了した9カ月間
純増契約数2019年2020年増減
主要回線(注)1,186999△187
うち、スマートフォン1,4011,276△125

12月31日に終了した3カ月間
解約率・総合ARPU2019年2020年増減
主要回線(注)解約率0.86%0.96%+0.10ポイント
総合ARPU(円)4,4404,300△140
割引前ARPU(円)5,1004,710△390
割引ARPU(円)△660△420240
スマートフォン解約率0.53%0.68%+0.15ポイント

(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数2020年3月31日2020年12月31日増減
合計7,8468,119274
SoftBank 光6,3876,838451
Yahoo! BB 光 with フレッツ786715△71
Yahoo! BB ADSL673567△107


<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモバイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」の間で乗り換えが行われる際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了している回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了している回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているため、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイル通信およびモバイル付加サービス、ブロードバンドサービスおよび電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
売上高2,035,8992,044,3378,4380.4%
セグメント利益567,543575,0857,5421.3%
減価償却費及び償却費311,728316,9825,2541.7%

売上高の内訳
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
サービス売上1,606,8651,639,80432,9392.0%
モバイル1,274,6101,266,638△7,972△0.6%
ブロードバンド286,633297,00310,3703.6%
でんき45,62276,16330,54166.9%
物販等売上429,034404,533△24,501△5.7%
売上高合計2,035,8992,044,3378,4380.4%

(注) 当第3四半期連結累計期間において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前第3四半期連結累計期間の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前年同期比8,438百万円(0.4%)増の2,044,337百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前年同期比32,939百万円(2.0%)増加し1,639,804百万円となり、物販等売上は、前年同期比24,501百万円(5.7%)減少し404,533百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前年同期比7,972百万円(0.6%)減少しました。半額サポートに係る契約負債の取り崩しを売上に計上したことに加え、スマートフォン契約数は「Y!mobile」ブランドを中心に伸び、増収に寄与しましたが、「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」ブランドや「LINEモバイル」ブランドの契約数増加に伴い平均単価が減少したことから、結果としてモバイル売上は減収となりました。
ブロードバンドは、前年同期比10,370百万円(3.6%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。また、でんきは、前年同期比30,541百万円(66.9%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の減少は、主として、端末の販売単価が減少したことに伴う端末売上の減少によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は1,469,252百万円となり、前年同期比で896百万円(0.1%)増加しました。これは主として、電気通信事業法改正の影響により販売手数料が減少したこと、および相対的に原価の低い端末の販売構成比が上昇したことに伴い商品原価が減少した一方で、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比7,542百万円(1.3%)増の575,085百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
売上高470,895507,76336,8687.8%
セグメント利益77,06393,10016,03720.8%
減価償却費及び償却費118,041119,8701,8291.5%

売上高の内訳
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
モバイル206,025227,04521,02010.2%
固定146,470141,978△4,492△3.1%
ソリューション等118,400138,74020,34017.2%
売上高合計470,895507,76336,8687.8%

法人事業の売上高は、前年同期比36,868百万円(7.8%)増の507,763百万円となりました。そのうち、モバイルは前年同期比21,020百万円(10.2%)増の227,045百万円、固定は前年同期比4,492百万円(3.1%)減の141,978百万円、ソリューション等は前年同期比20,340百万円(17.2%)増の138,740百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、テレワークなどによる需要の高まりに伴いスマートフォン契約数が増加したことによるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が増加し、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は414,663百万円となり、前年同期比で20,831百万円(5.3%)増加しました。これは主として、上記ソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比16,037百万円(20.8%)増の93,100百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を的確にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、ICT、クラウドサービス、IoTソリューション等に対応した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、アクセサリーを含むモバイル・PC周辺機器、ソフトウエア、IoTプロダクト等、多岐にわたる商材の企画・提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
売上高363,730379,75716,0274.4%
セグメント利益16,05119,6383,58722.3%
減価償却費及び償却費2,1752,68350823.4%

流通事業の売上高は、前年同期比16,027百万円(4.4%)増の379,757百万円となりました。これは主として、行政の大型プロジェクトを受注したことや注力していたクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は360,119百万円となり、前年同期比で12,440百万円(3.6%)増加しました。これは主として、上記売上の増加に伴う商品原価の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前年同期比3,587百万円(22.3%)増の19,638百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心とした100を超えるサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービスおよびクレジットカード等の決済金融サービス、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
売上高759,613873,816114,20315.0%
セグメント利益123,542142,22618,68415.1%
減価償却費及び償却費58,33074,35716,02727.5%

売上高の内訳
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減増減率
コマース529,383641,224111,84121.1%
メディア226,403230,4864,0831.8%
その他3,8272,106△1,721△45.0%
売上高合計759,613873,816114,20315.0%

(注) 当第3四半期連結累計期間において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前第3四半期連結累計期間のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前年同期比114,203百万円(15.0%)増の873,816百万円となりました。そのうち、コマースは前年同期比111,841百万円(21.1%)増の641,224百万円、メディアは前年同期比4,083百万円(1.8%)増の230,486百万円、その他は前年同期比1,721百万円(45.0%)減の2,106百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、㈱ZOZOの子会社化、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加によるものです。
メディア売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるメディアサービスのトラフィック増加や複数のプロダクト改善施策を行ったことにより、ディスプレイ広告関連収益が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は731,590百万円となり、前年同期比で95,519百万円(15.0%)増加しました。これは主として、㈱ZOZOの子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は前年同期比18,684百万円(15.1%)増の142,226百万円となりました。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円)
2020年
3月31日
2020年
12月31日
増減増減率
流動資産3,364,3034,105,765741,46222.0%
非流動資産6,427,9556,715,965288,0104.5%
資産合計9,792,25810,821,7301,029,47210.5%
流動負債4,496,6094,905,394408,7859.1%
非流動負債3,588,0854,148,700560,61515.6%
負債合計8,084,6949,054,094969,40012.0%
資本合計1,707,5641,767,63660,0723.5%

(資産)
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末から1,029,472百万円(10.5%)増加し、10,821,730百万円となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、手元流動性を確保するために債権流動化などの資金調達を実施したことから、現金及び現金同等物が547,615百万円増加し、銀行事業での運用資産残高の増加を主因とする営業債権及びその他の債権が278,546百万円増加したことによるものです。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末から969,400百万円(12.0%)増加し、9,054,094百万円となりました。これは主として、有利子負債が増加したことによるものです。当第3四半期連結累計期間においては、手元流動性を確保するため債権流動化などによる資金調達を実施する一方、借入金返済のため、当社は220,000百万円、Zホールディングス㈱は200,000百万円の無担保社債をそれぞれ発行しました。
(資本)
当第3四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末から60,072百万円(3.5%)増加し、1,767,636百万円となりました。これは、当第3四半期連結累計期間の純利益の計上による増加485,498百万円、FVTOCIの資本性金融資産の評価差額の計上などによるその他の包括利益累計額の増加57,454百万円があった一方で、剰余金の配当による減少436,520百万円、自己株式の取得による減少66,857百万円等があったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
12月31日に終了した9カ月間
2019年2020年増減
営業活動によるキャッシュ・フロー793,1041,038,975245,871
投資活動によるキャッシュ・フロー△729,464△538,912190,552
財務活動によるキャッシュ・フロー177,83847,886△129,952
現金及び現金同等物の期末残高1,179,6421,691,423511,781
フリー・キャッシュ・フロー(注1)63,640500,063436,423
割賦債権の流動化による影響(注1)81,80630,620△51,186
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1)145,446530,683385,237
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)361,140475,886114,746
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)(注2)216,947260,64643,699

(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,038,975百万円の収入となりました。前年同期比では245,871百万円収入が増加しましたが、これは主として、銀行事業の預金の増加によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、538,912百万円の支出となりました。前年同期比では190,552百万円支出が減少しましたが、これは主として、LINE㈱株式等の共同公開買付けに伴う投資の取得による支出および有形固定資産及び無形資産の取得による支出の増加があったものの、前年同期における㈱ZOZOの子会社化に伴う子会社の支配獲得による支出が当第3四半期連結累計期間においてはなかったことによるものです。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、47,886百万円の収入となりました。収入の主な内訳は、手元流動性確保のために行った短期資金調達や、借入金返済のために当社が220,000百万円、Zホールディングス㈱が200,000百万円それぞれ発行した無担保社債です。支出の主な内訳は、長期借入金の約定弁済や、前年同期に借入を行った㈱ZOZOの公開買付けのためのブリッジローン400,000百万円の返済、および配当金の支払391,736百万円です。前年同期比では、129,952百万円収入が減少しましたが、これは主として、前年同期においては、㈱ZOZOの公開買付けを目的とした前述の借入を行ったためです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前年同期比511,781百万円増の1,691,423百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間の調整後フリー・キャッシュ・フローは、530,683百万円の収入となりました。前年同期比では385,237百万円増加しましたが、これは主として、上記の通り、営業活動によるキャッシュ・フローおよび投資活動によるキャッシュ・フローがともに増加したことによるものです。
f. 設備投資
当第3四半期連結累計期間の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前年同期比114,746百万円増の475,886百万円となりました。これは主として、竹芝新本社の新規賃貸借契約による使用権資産の増加と、5G設備およびデータセンターへの投資が増加したことによるものです。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」には、要約四半期連結損益計算書に記載されている「その他の営業収益」および「その他の営業費用」が含まれています。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2019年12月31日に終了した9カ月間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用関連会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年12月31日に
終了した9カ月間
2020年12月31日に
終了した9カ月間
営業利益795,127841,583
(加算)減価償却費及び償却費(注)507,735539,008
(加算(△は減算))その他の調整項目:
子会社の支配喪失に伴う利益
△11,985
調整後EBITDA1,290,8771,380,591

(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (4) 要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2019年12月31日に終了した9カ月間497,143百万円 2020年12月31日に終了した9カ月間518,754百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2019年12月31日に終了した9カ月間10,592百万円 2020年12月31日に終了した9カ月間20,254百万円)が含まれています。

b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.の調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および「その他の調整項目」を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年12月31日に
終了した9カ月間
2020年12月31日に
終了した9カ月間
売上高3,617,9603,807,035
営業利益795,127841,583
営業利益マージン22.0%22.1%
調整後EBITDA1,290,8771,380,591
調整後EBITDAマージン35.7%36.3%


c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
2019年12月31日に
終了した9カ月間
2020年12月31日に
終了した9カ月間
営業活動によるキャッシュ・フロー793,1041,038,975
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1)△323,546△363,809
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2)△405,918△175,103
フリー・キャッシュ・フロー63,640500,063
割賦債権流動化取引:調達額(注3、4)390,901302,467
割賦債権流動化取引:返済額(注3、4)△309,095△271,847
割賦債権の流動化による影響81,80630,620
調整後フリー・キャッシュ・フロー145,446530,683

(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。
(注4) 割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
a. 事業戦略
当社グループは、変化の激しい情報通信業界において継続的な企業価値の向上を図るべく、成長戦略「Beyond Carrier」を推進しています。これは、従来の通信キャリアという枠組みを超え、通信事業に加えてヤフーおよび新領域の3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化し、持続的な成長を目指すものです。
(a) 通信事業のさらなる成長
当社グループのビジネスの基盤となる通信事業では、新たな通信インフラである5Gの展開やスマートフォン・ブロードバンドの契約数拡大を図ることで、さらなる成長を目指します。
ⅰ. スマートフォン契約数の拡大
当社グループは特長の異なる3つのモバイルブランドを展開することで、大容量ユーザーや節約志向まで、幅広いユーザーのニーズに応えることにより、全ブランドで着実に契約数を伸ばしています。今後は「Yahoo!」の各種サービスやモバイル決済サービス「PayPay」との連携強化や、5Gを活用したVR・クラウドゲーミングなどのコンテンツの展開によって、新たな魅力を提供し、契約数の着実な拡大を図ります。
ⅱ. ブロードバンド契約数の拡大
当社グループは「SoftBank 光」を中心とする家庭向け高速インターネットサービスについても、販売拡大に注力します。
ⅲ. 5Gの展開
当社グループは、第5世代移動通信システム5Gの商用サービスを2020年3月に開始しました。今後、4Gで培った強みを最大限活用し、他社とも連携しながら、展開エリアの拡大を図ります。2020年度末に全国47都道府県への展開、2021年度末には人口カバー率90%超を目指します。
設備投資については、当社グループの強みである全国23万カ所の基地局サイト数を最大限に活用し、さらには4G周波数帯の5Gへの転用や通信設備の効率化などの工夫を行うことで、5Gへの投資を含めても、現在の水準である年間4,000億円程度を毎年維持していきます(注1)。
ⅳ. 法人向けソリューションビジネスの拡大
当社グループは、今後大きな需要拡大が見込まれる企業の業務デジタル化や自動化に適した通信ソリューションの販売に注力します。さらに、IoTやAI、クラウド、ロボットなどの最先端技術を用いた高付加価値ソリューションを提案することで、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速し、社会に新しい価値を生み出していくことで、これらに係る売上高であるソリューション等売上と、法人事業の営業利益をともに増加させることを目指します。
(b) ヤフー事業の成長
当社グループは、ヤフー㈱を傘下に持つ国内最大級のインターネット企業・Zホールディングス㈱を2019年6月に子会社化し、収益構造の改善やシナジーの最大化を図っています。
ⅰ. コマース・メディア領域の拡大
コマース領域では、2019年11月に買収したファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する㈱ZOZOとの連携や「PayPay」ブランドを冠した新コマースサービスの積極展開により、eコマース取扱高の拡大を図っています。メディア領域では、マルチビッグデータを活用した新たな広告プロダクトの開発に加え、当社の法人事業との連携強化により新規顧客の獲得を図るなど、今後の収益拡大に取り組みます。また、ユーザーの購買行動に合わせた金融サービスの提供を通じて、金融事業を第3の柱へと育成します。まずは、認知度向上のため、当社グループの各種金融サービスのブランド名を「PayPay」に統一します。
ⅱ. LINE㈱との経営統合
Zホールディングス㈱およびLINE㈱の対等な精神に基づく経営統合(以下「本経営統合」)を実現すべく、2019年12月に当社およびLINE㈱の親会社であるNAVER Corporationを含む4社間で最終の経営統合契約書を締結しました。本統合完了後は、AI、通信、広告、決済、コミュニケーションなど、様々な分野での協業を想定しており、当社は、本経営統合を当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。LINE㈱株式を対象とした共同公開買付けを経て、2020年12月29日をもって東京証券取引所市場第一部においてLINE㈱株式が上場廃止になりました。あわせてニューヨーク証券取引所に上場されている米国預託証券についても、2020年12月28日(現地時間)をもって上場廃止となりました。本経営統合を実現するための一連の取引の一環として実施される株式交換の効力発生日は2021年3月1日を予定しています。
(c) 新規事業の創出・拡大
当社グループは、AI、IoT、Fintech、セキュリティ、モビリティなどの領域で、最先端のテクノロジーやビジネスモデルを活用した新規ビジネスの拡大を積極的に推進しています。新規事業の創出にあたっては、親会社のソフトバンクグループ㈱が既に投資を行っている世界的に有力なAI企業群と連携することで、単独でビジネスを立ち上げるのに比べて、初期投資を最小限に抑えた効率的な事業運営が可能です。さらに当社グループの強みである、通信事業やヤフー事業での顧客基盤、5Gやソフトウエアの技術、法人事業の営業力を組み合わせることで、新規ビジネスの垂直立ち上げを実現します。当社がZホールディングス㈱およびPaytm社と連携して2018年に開始したモバイル決済サービス「PayPay」を中心にFintech事業を拡大し、PayPay㈱の赤字を縮小し、収益貢献事業に育成します。
(d) コスト効率化
当社グループは、上述の成長戦略の遂行のため積極的に投資をしていきます。その一方で、全社的なコスト効率化に取り組むことで、固定費(注2)を現在の水準に維持することを目指します。全社にわたるオペレーションのデジタル化推進による生産性の向上や、在宅勤務の推進などの働き方改革を実施するとともに、ネットワーク関連費用についても、PHSや3Gサービスの終了等に合わせた設備の最適化などにより、コストの最適化を図ります。
その他、Zホールディングスグループとの共同購買やグループ内企業による業務の内製化等も推進し、当社グループ全体としてのコストダウンも図ります。
b. 財務戦略
(a) 安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務体質の維持
当社グループは、成長投資と株主還元の原資となるフリー・キャッシュ・フローを重要な経営指標と考えています。当社は、成長投資の継続と高い株主還元の両立を図るため、今後も安定的な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注3)の創出を目指します。
当社グループは健全な財務体質の維持にも取り組んでおり、ネットレバレッジ・レシオ(注4)は、今後は2.4倍から徐々に改善を図ります。
(b) 株主還元方針
当社では、中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています。配当については、安定性・継続性に配慮しつつ、業績動向、財務状況および自己株式取得を含む総還元性向等を総合的に勘案して実施していく方針です。
上記方針の下、2021年3月期から2023年3月期においては、親会社の所有者に帰属する純利益に対する総還元性向85%程度(注5)を目安に、安定的かつ継続的に1株当たりの配当を実施するとともに、機動的な自己株式の取得を検討することを目指します。
内部留保資金については、今後の企業としての成長と、財務基盤の安定のバランスを鑑みながら、有利子負債の返済、設備投資、M&A等の投資等に充当していきます。
なお、今期の1株当たり配当金については、2020年5月11日発表の配当予想から変わらず、年間で86円(うち中間配当金43円)を予定しています。
(注1) Zホールディングスグループ、IFRS第16号および法人向けレンタル端末に係る金額を除きます。
(注2) コンシューマ事業および法人事業に係る償却費、ネットワーク関連費用、人件費、広告宣伝費、販売促進費、ショップやオフィスに係る費用等です。
(注3) 調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注4) ネットレバレッジ・レシオ=純有利子負債÷調整後EBITDA
(注5) 2021年3月期から2023年3月期の3年間の配当金支払総額と自己株式取得総額の合計÷同3年間の親会社の所有者に帰属する純利益の合計
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は9,691百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。