訂正有価証券報告書-第35期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展と期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、かつてない大きな変革期を迎えています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本企業の景況感は非常に不透明かつ悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が半ば強制的に進み、社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性があらためて認識されました。そして今後、AIやIoT、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーションが起こり、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を基盤に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。また、社会インフラを提供する当社グループは、本業を通じて様々な社会課題の解決に貢献すべく、2020年4月に、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
SDGsとマテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 重要課題(マテリアリティ)」をご参照ください。
上場以来、当社グループは、デジタル技術を活用してこれらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。「Beyond Carrier」戦略は、通信事業をさらに成長させることに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフーおよび新領域を加えた3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。この戦略を推進することで、当社グループは、日本でも有数の通信ネットワーク、インターネットメディア、スマートフォン決済プラットフォームを有するに至りました。さらに、2021年3月には、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了し、日本最大のメッセージアプリプラットフォームが加わりました。当社グループは、今後一層進展する社会のデジタル化を好機と捉え、「Beyond Carrier」戦略の第2フェーズとして、テクノロジーの力で魅力的なサービスを生み出し、社会課題を解決していく「総合デジタルプラットフォーマー」を目指します。
なお、この戦略の下で、当社グループの連結売上高や連結営業利益に占めるモバイル通信料の比率は年々低下しており、収益源の多様化が進んでいます。引き続き、当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、持続的な成長を目指します。
<通信>当社グループは、かねてよりネットワークの品質の強化に取り組んできましたが、このたび、当社は、英国のモバイルネットワーク分析会社Opensignal Limitedが2021年3月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2021」において、動画品質を判定する「ビデオ・エクスペリエンス」部門と、ゲーム体験品質を判定する「ゲーム・エクスペリエンス」部門で世界第1位を獲得しました。また、LINEやWhatsAppなどのモバイル・ボイス・アプリや、OTT(注1)におけるユーザー体験の品質を測定する「音声アプリ・エクスペリエンス」部門においては、当社は世界第2位(注2)を獲得しました(注3)。これからも、お客さまにとって高品質でストレスのない通信環境を整備することにより一層努め、ご満足いただけるサービスやソリューションを提供できるよう取り組んでいきます。
当社は、2021年3月に、オンライン専用の新ブランド「LINEMO」を立ち上げました。今後は、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、生活シーンの変化などによりオンラインで完結するサービスへのニーズが高まったことに対応したオンライン専用の「LINEMO」ブランドの3つのブランドで、多様化するお客さまのニーズに合わせたサービスを提供していきます。
「LINEMO」ブランドでは、毎月20GBのデータ容量と「LINE」がデータ容量を消費せずに使い放題となる「LINEギガフリー」(注4)が付き、月額2,480円(税込2,728円)で利用できる4Gと5G共通の料金体系でのサービスを2021年3月に提供開始しました。お客さまは、支払い状況の確認やデータの追加、通話オプションの追加などの手続きをオンライン上でできるほか、契約後のサポートを「LINE」で受けることができます。今後は、契約手続きを「LINE」のチャット画面からもできるようにする予定です。
当社は、グループ会社であるPayPay㈱が展開するキャッシュレス決済サービス「PayPay」やヤフー㈱、そして統合完了したLINE㈱を傘下に持つZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当期においては、主力の「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移しました。2021年3月には、4Gと5G共通の料金サービスでデータ容量が無制限(注5)の「メリハリ無制限」と、データ使用料に応じて3段階の基本使用料が自動的に適用される「ミニフィットプラン+」の提供を開始しました。また、同月より全ての受付窓口におけるMNP転出手数料などの各種手数料を撤廃し、無料にしました。これらの結果、当期末のスマートフォン契約数は、前期末比で179万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は、前期末比で53万件増加しました。
デジタル技術の進展により、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、企業および産業のデジタルトランスフォーメーションが進展しています。そして前述の通り、コロナ禍において、この動きはむしろ加速しています。
こうした動きに対応するため、当社と子会社の㈱IDCフロンティアは、2020年12月から大手クラウドサービスプロバイダー(ハイパースケーラー)の需要に対応した大規模データセンターの運用を開始しました。本データセンターは、東京都内にあり、昨今のクラウドサービスの需要拡大や、AI・IoT時代の多様な需要に対応するための大規模な受電容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」であり、両社が保有するデータセンターで最大の規模(注6)です。ラック単位でのサービスのみではなく、室単位でのデータホールサービスや電力高負荷対応(注7)を実現するコロケーションサービス(注8)など、お客さまのビジネスニーズに合わせた高品質なIT基盤を提供していきます。
<5G>5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注9)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2021年2月には、一部エリアにて、現行の携帯電話向けに割り当てられた4G用の周波数帯を5Gに転用したサービスの提供を開始し、2021年3月には、5G展開エリアを全国47都道府県へと拡大しました。この既存周波数帯での5Gサービスは、既存基地局の5G対応機器のソフトウエアをアップデートすることで利用可能となります。当社は、今後さらに増加するトラフィックに対応するため、新規で割り当てられた5G周波数と既存周波数の5G転用の両面により5Gエリアの拡大を加速し、2022年春には人口カバー率90%超を目指します。
また、当社は、NEXTWAY㈱と共同で、5G基地局の整備において、アンテナなどの支持柱の内部に強度が高い複合素材「ポリマテリアルⓇ」(注10)を使った製品を充填する施工方法の開発に、世界で初めて(注11)成功しました。これまでは既存のアンテナを一度取り外し、5Gのアンテナを設置するという工事が必要でしたが、開発した施工方法や専用の治具を使用することで、従来の工法では平均6日かかっていた工期を約2時間へ大幅に短縮することが可能となり、施工コストも大きく削減できます。このように新たな技術を積極的に取り入れ、今後も5Gネットワークの早期拡大に努めます。
<ヤフーの成長>当社は、上記のマルチブランド戦略および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTTの領域への事業展開を推進しています。昨年度子会社化したZホールディングスグループは、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。
前述の通り、Zホールディングス㈱は、2021年3月1日の株式交換の効力発生をもって、LINE㈱と経営統合しました。これにより、国内で200超のサービスを提供し大規模な利用者基盤を持つ(注12)、日本最大規模のインターネットサービス企業グループが誕生しました。当社はこの統合を、「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。統合後のZホールディングス㈱は、ビッグデータやAIを最大限に活用し、お客さまの満足度の向上と、社会課題の解決に挑みます。
両社の経営統合を記念して、当社、PayPay㈱、ヤフー㈱およびLINE㈱は、全国のPayPay加盟店とオンラインショップで大規模キャンペーン「超PayPay祭」を実施しました。約1カ月間にわたって、「PayPayボーナス」(注13)を上乗せして付与したりするなど、各社様々なキャンペーンを実施し、最も「PayPayボーナス」などの付与率が高くなる最終日には、「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」を合算した単日の取扱高が過去最高を記録しました。
2021年1月には、ヤフー㈱が運営するフリマアプリ「PayPayフリマ」で、商品が購入されたときに出品者にかかる販売手数料を、10%から業界最安値(注14)の5%に値下げしました(注15)。「PayPayフリマ」は、2019年10月にサービス提供開始から約11カ月半で、500万ダウンロード突破するなど、多くのユーザーにご利用いただいています。このように「PayPayフリマ」は、これまで以上に幅広いユーザーが多彩なアイテムを手軽に出品できる場を提供し、出品者、購入者双方にとってより利便性が高く、お得に売り買いできる世界を目指します。
<非通信の拡大>非通信の拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループの投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、非通信の拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2021年3月末でのPayPayの累計登録者数は3,803万人となり、当期の決済回数は前期比の約2.5倍となる20億回を超え、決済取扱高は前期比の約2.6倍となる3.2兆円となり、いずれも順調に増加しました。
2021年3月1日のZホールディングス㈱とLINE㈱の統合完了を受けて、PayPay㈱とLINE Pay㈱は、双方の強みを生かしつつシナジーを最大化するため、2022年4月に「LINE Pay」の国内QR・バーコード決済事業を「PayPay」の事業へ統合することについて協議しています。その取り組みの一環として、PayPay㈱とLINE Pay㈱は、加盟店におけるQRコード連携を2021年4月下旬以降開始し、全国316万カ所以上(注16)のPayPay加盟店のうち、ユーザースキャン方式(MPM)加盟店において「LINE Pay」での支払いも可能にします。
また、2021年3月より、PayPay㈱、LINE㈱およびLINE Pay㈱は、LINE㈱が提供する「LINEポイント」からPayPay㈱が提供する「PayPayボーナス」へのポイント交換を、手数料無料で開始しました。これにより、LINE Payユーザーにとっては、PayPay㈱が提携するサービスや加盟店での決済など用途が大幅に拡大します。
さらに、従来から行ってきたグループ会社との取り組みも順調に拡大しています。PayPay証券㈱が「PayPay」内のミニアプリ(注17)で提供する、投資の疑似運用体験ができるサービス「ボーナス運用」のユーザー数は、2021年2月に200万運用者を突破しました。サービス提供開始から約10カ月半でユーザー数が200万運用者を突破するのは、「ポイント運用サービス」を提供する主要な疑似投資ポイント運用サービス取扱業者における最速(注18)記録です。「ボーナス運用」は、「PayPayボーナス」をPayPay証券㈱が提供する独自のポイント(注19)に交換するため、口座開設などの手続きが不要であることから、「PayPay」のアプリ上でどなたでもすぐにはじめられる身近な投資体験サービスとして多くの支持を集めています。
このように、PayPay㈱は当社グループおよびZホールディングスグループとの協働を進め、「PayPay」を「決済」アプリから、ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」へと進化させ、金融サービスの提供をさらに強化しながら「いつでも、どこでもPayPayで」という世界観を醸成していきます。
インキュデータ㈱
2021年2月より、当社、㈱博報堂およびTreasure Data, Inc.の合弁会社で、データ活用による企業の変革を支援するインキュデータ㈱は、東急不動産㈱におけるデジタルトランスフォーメーションの推進を支援するため、同社に対し、データ活用の戦略立案・実行に関するインキュデータ㈱のコンサルティングサービスと、トレジャーデータ㈱のカスタマーデータプラットフォーム「Treasure Data CDP」の提供を開始しました。データ活用・分析基盤として国内で多くの業種・業態への導入実績がある「Treasure Data CDP」は、東急不動産㈱の複数事業の顧客会員データやWebサイトの顧客閲覧データなどの統合や相互連携を実現し、個々のお客さまに合わせた最適な情報提供や商品提案を可能にするなど、企業価値の向上に向けたデジタルトランスフォーメーションの推進を支援します。
(注1) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注2) 「音声アプリ・エクスペリエンス」部門では、日本国内で第1位の評価です。
(注3) この調査は、世界中で1億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイルネットワークのユーザーエクスペリエンスを分析するOpensignal Limitedが、世界の通信事業者179社を対象に、「ビデオ・エクスペリエンス」「ゲーム・エクスペリエンス」「音声アプリ・エクスペリエンス」「ダウンロード・スピード・エクスペリエンス」「アップロード・スピード・エクスペリエンス」「4G利用率」の6つの評価軸で、包括的に比較したものです。
Opensignal アワード - グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2021
(注4) 「LINEギガフリー」の対象は、LINEトーク・LINE通話などです。一部「LINEギガフリー」の対象外となるサービスや、技術的要因などにより対象外となる場合があります。
(注5) テザリングおよびデータシェアでのご利用の場合、データ容量は合計30GB/月までです。
(注6) 両社が保有するデータセンター合計20拠点の延べ床面積を比較しています。
(注7) 高密度かつ1ラック当たり最大20キロボルトアンペア(kVA)の電力高負荷対応が可能です。
(注8) コロケーションサービスとは、耐震性や電力供給などに優れたデータセンターにサーバなどのお客さま機器をお預かりし、保守や運用をサポートするサービスです。
(注9) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注10) 芯材となる様々な素材に特殊塗料を塗布した複合素材で、軽量でありながらも強度が高く、成形自由という特長があります。
(注11) 2021年1月22日時点の情報です。(当社調べ)
(注12) 「Yahoo! JAPAN」の2021年3月時点の月間ログインユーザーID数は52.7百万人、「LINE」の2021年3月時点の国内月間アクティブユーザー数は88百万人です。
(注13) 特典やキャンペーンなどの適用に伴い、PayPay残高に進呈された残高です。
(注14) フリマアプリ2社の販売手数料と比較した、2021年1月13日時点の情報です。(ヤフー㈱調べ)
(注15) 「ヤフオク!」から出品し「PayPayフリマ」に同時掲載され、「PayPayフリマ」で購入された商品は対象外です。
(注16) 2021年3月31日時点の情報です。店舗やタクシーなど、「PayPay」への登録カ所数です。
(注17) ミニアプリとは、PayPay㈱のパートナー企業が提供するサービスの予約や商品の注文、支払いなどのサービスを、パートナー企業のアプリをダウンロードすることなく、「PayPay」アプリ内で利用できる機能です。
(注18) 主要な疑似投資ポイント運用サービス取扱業者3社と比較した、2021年2月10日時点の情報です。(PayPay証券㈱調べ)
(注19) PayPay証券㈱が提供する独自のポイントは、現時点で「ボーナス運用」での運用およびPayPayボーナスへの交換のみに使用されるもので、他のサービスでは使用できません。
ⅱ.連結経営成績の概況
(注) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は、全セグメントで増収し、前期比344,290百万円(7.1%)増の5,205,537百万円となりました。法人事業はテレワーク関連の商材需要の増加などにより52,757百万円、ヤフー事業ではeコマース取扱高の増加などにより152,905百万円、コンシューマ事業はサービス売上の増加により73,701百万円、流通事業は行政の大型プロジェクト受注により48,892百万円、それぞれ増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、全セグメントで増益し、前期比59,045百万円(6.5%)増の970,770百万円となりました。法人事業では24,124百万円、ヤフー事業では9,849百万円、コンシューマ事業では11,354百万円、流通事業では5,129百万円の増益となりました。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比41,052百万円(8.1%)増の547,720百万円となりました。営業利益が増加した一方、保有する投資有価証券の評価損の計上などによる金融費用の増加12,448百万円、WeWork Japan合同会社への出資についてののれん相当額の減損処理などに伴う持分法による投資の減損損失の増加7,035百万円などがありました。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比18,152百万円(3.8%)増の491,287百万円となりました。なお、当期の非支配持分に帰属する純利益は、主としてZホールディングスグループの増益により、前期比22,900百万円(68.3%)増の56,433百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当期の調整後EBITDAは、前期比103,941百万円(6.5%)増の1,710,470百万円となりました。これは主として、営業利益の増加に加え、㈱ZOZO株式取得に伴い識別した無形資産の償却費の計上を主因とする減価償却費及び償却費の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績をより効果的に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランド、「LINEMO」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
(単位:千件)
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでん
わ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモ
バイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
* 「LINEモバイル」は、2021年3月31日をもって、新規受付を終了しました。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」、「LINEMO」の間で乗り換えが行われ
る際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連
収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の
光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)
サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了してい
る回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」
とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サ
ービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了し
ている回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているた
め、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイル通信およびモバイル付加サービス、ブロードバンドサービスならびに電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当期において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前期の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前期比73,701百万円(2.7%)増の2,770,388百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前期比70,158百万円(3.3%)増加し、2,208,019百万円となり、物販等売上は、前期比3,543百万円(0.6%)増加し、562,369百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前期比670百万円(0.0%)増加しました。これは、「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」「LINEモバイル」ブランドなどの契約数増加に伴い平均単価が減少したことによる減少要因を、半額サポートに係る改善およびスマートフォン契約数が「Y!mobile」ブランドを中心に伸びたことによる増加要因が相殺したことによるものです。
ブロードバンドは、前期比15,780百万円(4.1%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。
でんきは、前期比53,708百万円(69.5%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の増加は、主として、携帯端末の販売台数が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は2,111,764百万円となり、前期比で62,347百万円(3.0%)増加しました。これは主として、販売手数料が減少した一方で、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価が増加したことや、「トクするサポート+」やユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンなどに係る販売関連費用が増加したこと、および端末に係る引当金の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比11,354百万円(1.8%)増の658,624百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
売上高の内訳
法人事業の売上高は、前期比52,757百万円(8.3%)増の691,633百万円となりました。そのうち、モバイルは、前期比30,329百万円(11.0%)増の305,401百万円、固定は、前期比5,708百万円(2.9%)減の188,885百万円、ソリューション等は、前期比28,136百万円(16.6%)増の197,347百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、テレワークなどによる需要の高まりに伴いスマートフォン契約数が増加したことによるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が増加し、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は583,902百万円となり、前期比で28,633百万円(5.2%)増加しました。主として、上記モバイルおよびソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比24,124百万円(28.9%)増の107,731百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。
<業績全般>
流通事業の売上高は、前期比48,892百万円(10.1%)増の531,333百万円となりました。これは主として、行政の大型プロジェクトを受注したことや、注力していたクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は509,040百万円となり、前期比で43,763百万円(9.4%)増加しました。これは主として、上記売上の増加に伴う商品原価の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比5,129百万円(29.9%)増の22,293百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービスおよびクレジットカード等の決済金融サービス、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
<業績全般>
売上高の内訳
(注) 当期において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前期のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前期比152,905百万円(14.5%)増の1,205,847百万円となりました。そのうち、コマースは前期比116,067百万円(15.7%)増の854,271百万円、メディアは前期比14,031百万円(4.5%)増の323,965百万円、その他は前期比22,807百万円(474.8%)増の27,611百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、2019年11月の子会社化に伴い、前期は5カ月分であった㈱ZOZOの売上が当期は12カ月分計上されていることに加え、同社の売上収益が好調に推移したことによる増加、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加によるものです。
メディア売上の増加は、新型コロナウイルスの影響で広告出稿の減少が続いたものの、営業活動やプロダクト改善施策などを行ったことにより、ディスプレイ広告関連収益が増加したことによるものです。
その他売上の増加は、主として、LINE㈱の子会社化によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は1,043,722百万円となり、前期比で143,056百万円(15.9%)増加しました。これは主として、㈱ZOZOおよびLINE㈱の子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比9,849百万円(6.5%)増の162,125百万円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通、ヤフーの4つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。
3 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(2) 連結財政状態の状況
(資産)
当期末の総資産は、前期末から2,434,402百万円(24.9%)増加し、12,226,660百万円となりました。これは主として、のれんの増加637,957百万円、現金及び現金同等物の増加441,084百万円、無形資産の増加400,982百万円および営業債権及びその他の債権の増加281,922百万円によるものです。
のれんの増加および顧客基盤や商標権を含む無形資産の増加は、主として、LINE㈱の子会社化によるものです。現金及び現金同等物の増加は、主として、LINE㈱の子会社化による影響のほか、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において手元流動性を確保したことによるものです。営業債権及びその他の債権の増加は、主として、銀行事業での運用資産残高の増加や、LINE㈱の子会社化によるものです。
(負債)
当期末の負債は、前期末から1,391,266百万円(17.2%)増加し、9,475,960百万円となりました。これは主として、有利子負債の増加610,340百万円および営業債務及びその他の債務の増加370,282百万円によるものです。有利子負債の増加は、主として、LINE㈱の子会社化、無担保社債の発行、短期借入金の増加によるものです。営業債務及びその他の債務の増加は、主として、LINE㈱株式の併合による単元未満株式買い取りに係る未払金の増加やLINE㈱の子会社化によるものです。
(資本)
当期末の資本は、前期末から1,043,136百万円(61.1%)増加し、2,750,700百万円となりました。これは、LINE㈱子会社化に伴い資本剰余金が472,570百万円、非支配持分が469,362百万円増加したことや、当期の純利益の計上による増加547,720百万円があった一方、剰余金の配当による減少436,915百万円、自己株式の取得による減少100,000百万円などがあったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,338,949百万円の収入となりました。前期比では89,414百万円収入が増加しており、これは主として、純利益および減価償却費及び償却費の増加によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、511,295百万円の支出となり、前期比では388,850百万円支出が減少しました。これは、前期の㈱ZOZOの子会社化に伴う収支が377,861百万円の支出であったのに対し、当期のLINE㈱株式等の共同公開買付けに伴う収支は175,313百万円の支出であり、さらに、当期に株式交換によりLINE㈱を子会社化した際の現金及び現金同等物残高312,791百万円の受け入れによる収入があったことなどによるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フローのうち、投資の取得による支出と投資の売却または償還による収入には、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合の過程で発行した社債に係る引受、償還から生じた739,628百万円分が両建てで計上されています。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、388,462百万円の支出となりました。収入の主な内訳は、手元流動性確保のために行った短期資金調達や、借入金返済のために当社が220,000百万円、Zホールディングス㈱が200,000百万円それぞれ発行した無担保社債です。支出の主な内訳は、長期借入金の約定弁済や、前期に借入を行った㈱ZOZOの公開買付けのためのブリッジローン400,000百万円の返済、配当金の支払405,497百万円および自己株式の取得100,000百万円です。当期の財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、前期比で244,849百万円増加しました。これは主として、前期において㈱ZOZOの子会社化に伴う上記の支出を有利子負債の収入で賄ったため、前期比ではその分収入が減少したことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当期における現金及び現金同等物の残高は、前期比441,084百万円増の1,584,892百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、830,844百万円の収入となりました。主として、上記の通り、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が減少したことにより、前期比451,383百万円増加しました。
f.設備投資
当期の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前期比114,796百万円増の680,277百万円となりました。これは主として、竹芝新本社の新規賃貸借契約による使用権資産の増加と、5G設備およびデータセンターへの投資が増加したことによるものです。
g.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 c.財務戦略」をご参照ください。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2020年3月31日に終了した1年間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2020年3月31日に終了した1年間675,241百万円 2021年3月31日に終了した1年間696,342百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2020年3月31日に終了した1年間25,693百万円 2021年3月31日に終了した1年間33,356百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および一時的な費用及び収益を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。
(5) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、影響の及ぶ期間とその程度を合理的に推定することはできませんが、感染拡大の収束が遅れた場合には、当社グループの将来収益およびキャッシュ・フローに影響を及ぼしその見積りに一定の不確実性が存在します。このよう状況において、本連結財務諸表作成時点で利用可能な情報・事実に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期間とその影響のリスクや不確実性を考慮の上、合理的な金額の見積りを行っています。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる場合があります。
以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。
a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損にかかる見積り
企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は10,540億円(前連結会計年度は7,301億円)です。
また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り
有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。
資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は1,979億円(前連結会計年度は1,424億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は1,963億円(前連結会計年度は1,837億円)です。
有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。
c.金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は4,285億円(前連結会計年度末は2,704億円)です。
金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。
d.契約獲得コストの償却期間の見積り
当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は1,681億円(前連結会計年度は1,885億円)です。
契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (15) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.契約コスト」をご参照ください。
(1) 連結経営成績の状況
a.事業全体およびセグメント情報に記載された区分ごとの状況
(a) 事業全体の状況
ⅰ.経営環境と当社グループの取り組み
世の中を取り巻く環境は、デジタル技術の進展と期せずして生じた新型コロナウイルス感染症拡大により、かつてない大きな変革期を迎えています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本企業の景況感は非常に不透明かつ悪化していますが、その一方で、テレワーク、オンラインショッピング、非接触型の決済方法など新しい生活様式への移行が半ば強制的に進み、社会を支えるためのデジタル技術活用の必要性があらためて認識されました。そして今後、AIやIoT、ビッグデータの活用が急速に浸透し、人々の生活やビジネスのあらゆる場面がデジタル化され、産業そのものの構造が変わるデジタルトランスフォーメーションが起こり、超高速・大容量・低遅延・多接続といった特長を持つ5G(第5世代移動通信システム)の商用化により、この変化は加速するとみられています。
当社グループは、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、世界の人々が最も必要とするサービスやテクノロジーを提供する企業グループを目指し、通信事業を基盤に、情報・テクノロジー領域において様々な事業に取り組み、企業価値の最大化を図ってきました。また、社会インフラを提供する当社グループは、本業を通じて様々な社会課題の解決に貢献すべく、2020年4月に、「すべてのモノ、情報、心がつながる世の中を」というコンセプトのもと、国連の定める「SDGs(持続可能な開発目標)」の実現のために当社グループが取り組むべき6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
SDGsとマテリアリティ(重要課題)の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 重要課題(マテリアリティ)」をご参照ください。
上場以来、当社グループは、デジタル技術を活用してこれらの社会的に重要な課題を解決し、持続的な成長を達成するために、「Beyond Carrier」戦略を推進しています。「Beyond Carrier」戦略は、通信事業をさらに成長させることに加えて、従来の通信キャリアという枠組みを超え、ヤフーおよび新領域を加えた3つの領域を伸ばしていくことで収益基盤を強化していくものです。この戦略を推進することで、当社グループは、日本でも有数の通信ネットワーク、インターネットメディア、スマートフォン決済プラットフォームを有するに至りました。さらに、2021年3月には、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合が完了し、日本最大のメッセージアプリプラットフォームが加わりました。当社グループは、今後一層進展する社会のデジタル化を好機と捉え、「Beyond Carrier」戦略の第2フェーズとして、テクノロジーの力で魅力的なサービスを生み出し、社会課題を解決していく「総合デジタルプラットフォーマー」を目指します。
なお、この戦略の下で、当社グループの連結売上高や連結営業利益に占めるモバイル通信料の比率は年々低下しており、収益源の多様化が進んでいます。引き続き、当社グループは、「Beyond Carrier」成長戦略と弛まぬ構造改革を同時に実行していくことにより、持続的な成長を目指します。
<通信>当社グループは、かねてよりネットワークの品質の強化に取り組んできましたが、このたび、当社は、英国のモバイルネットワーク分析会社Opensignal Limitedが2021年3月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2021」において、動画品質を判定する「ビデオ・エクスペリエンス」部門と、ゲーム体験品質を判定する「ゲーム・エクスペリエンス」部門で世界第1位を獲得しました。また、LINEやWhatsAppなどのモバイル・ボイス・アプリや、OTT(注1)におけるユーザー体験の品質を測定する「音声アプリ・エクスペリエンス」部門においては、当社は世界第2位(注2)を獲得しました(注3)。これからも、お客さまにとって高品質でストレスのない通信環境を整備することにより一層努め、ご満足いただけるサービスやソリューションを提供できるよう取り組んでいきます。
当社は、2021年3月に、オンライン専用の新ブランド「LINEMO」を立ち上げました。今後は、最新のスマートフォン・携帯端末や大容量データプランを求めるお客さま向け高付加価値サービス等を提供する「SoftBank」ブランド、月々の通信料を抑えることを重視するお客さま向けにスマートフォン向けサービス等を提供する「Y!mobile」ブランド、生活シーンの変化などによりオンラインで完結するサービスへのニーズが高まったことに対応したオンライン専用の「LINEMO」ブランドの3つのブランドで、多様化するお客さまのニーズに合わせたサービスを提供していきます。
「LINEMO」ブランドでは、毎月20GBのデータ容量と「LINE」がデータ容量を消費せずに使い放題となる「LINEギガフリー」(注4)が付き、月額2,480円(税込2,728円)で利用できる4Gと5G共通の料金体系でのサービスを2021年3月に提供開始しました。お客さまは、支払い状況の確認やデータの追加、通話オプションの追加などの手続きをオンライン上でできるほか、契約後のサポートを「LINE」で受けることができます。今後は、契約手続きを「LINE」のチャット画面からもできるようにする予定です。
当社は、グループ会社であるPayPay㈱が展開するキャッシュレス決済サービス「PayPay」やヤフー㈱、そして統合完了したLINE㈱を傘下に持つZホールディングス㈱との連携により、当社のお客さまに対してより魅力的なサービスを提供していきます。
当期においては、主力の「SoftBank」ブランドでは前期に引き続き「スマホデビュープラン」が好調に推移しました。2021年3月には、4Gと5G共通の料金サービスでデータ容量が無制限(注5)の「メリハリ無制限」と、データ使用料に応じて3段階の基本使用料が自動的に適用される「ミニフィットプラン+」の提供を開始しました。また、同月より全ての受付窓口におけるMNP転出手数料などの各種手数料を撤廃し、無料にしました。これらの結果、当期末のスマートフォン契約数は、前期末比で179万件増加しました。ブロードバンドサービスにおいても家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数が順調に伸びており、この「SoftBank 光」契約数は、前期末比で53万件増加しました。
デジタル技術の進展により、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するため、企業および産業のデジタルトランスフォーメーションが進展しています。そして前述の通り、コロナ禍において、この動きはむしろ加速しています。
こうした動きに対応するため、当社と子会社の㈱IDCフロンティアは、2020年12月から大手クラウドサービスプロバイダー(ハイパースケーラー)の需要に対応した大規模データセンターの運用を開始しました。本データセンターは、東京都内にあり、昨今のクラウドサービスの需要拡大や、AI・IoT時代の多様な需要に対応するための大規模な受電容量と広大なスペースを提供する「ハイパースケールデータセンター」であり、両社が保有するデータセンターで最大の規模(注6)です。ラック単位でのサービスのみではなく、室単位でのデータホールサービスや電力高負荷対応(注7)を実現するコロケーションサービス(注8)など、お客さまのビジネスニーズに合わせた高品質なIT基盤を提供していきます。
<5G>5Gについては商用サービスを2020年3月に開始し、5Gを活用したVR/AR(注9)やクラウドゲーミングサービスを展開しています。2021年2月には、一部エリアにて、現行の携帯電話向けに割り当てられた4G用の周波数帯を5Gに転用したサービスの提供を開始し、2021年3月には、5G展開エリアを全国47都道府県へと拡大しました。この既存周波数帯での5Gサービスは、既存基地局の5G対応機器のソフトウエアをアップデートすることで利用可能となります。当社は、今後さらに増加するトラフィックに対応するため、新規で割り当てられた5G周波数と既存周波数の5G転用の両面により5Gエリアの拡大を加速し、2022年春には人口カバー率90%超を目指します。
また、当社は、NEXTWAY㈱と共同で、5G基地局の整備において、アンテナなどの支持柱の内部に強度が高い複合素材「ポリマテリアルⓇ」(注10)を使った製品を充填する施工方法の開発に、世界で初めて(注11)成功しました。これまでは既存のアンテナを一度取り外し、5Gのアンテナを設置するという工事が必要でしたが、開発した施工方法や専用の治具を使用することで、従来の工法では平均6日かかっていた工期を約2時間へ大幅に短縮することが可能となり、施工コストも大きく削減できます。このように新たな技術を積極的に取り入れ、今後も5Gネットワークの早期拡大に努めます。
<ヤフーの成長>当社は、上記のマルチブランド戦略および新たなインフラである5Gの取り組みを通じ通信事業を成長させながら、通信事業者として保有する顧客基盤などの資産を活用したOTTの領域への事業展開を推進しています。昨年度子会社化したZホールディングスグループは、インターネット上でのコマースや広告サービス等のOTTサービスの提供を行っており、当社グループの収益源の多様化に寄与しています。今後も、Zホールディングス㈱との協働を深め、シナジーの最大化を図ります。
前述の通り、Zホールディングス㈱は、2021年3月1日の株式交換の効力発生をもって、LINE㈱と経営統合しました。これにより、国内で200超のサービスを提供し大規模な利用者基盤を持つ(注12)、日本最大規模のインターネットサービス企業グループが誕生しました。当社はこの統合を、「Beyond Carrier」戦略において重要な役割を果たすZホールディングス㈱の成長を加速し、5G時代における新しいビジネス機会を創出する、当社グループの企業価値向上に資する重要な取引と位置付けています。統合後のZホールディングス㈱は、ビッグデータやAIを最大限に活用し、お客さまの満足度の向上と、社会課題の解決に挑みます。
両社の経営統合を記念して、当社、PayPay㈱、ヤフー㈱およびLINE㈱は、全国のPayPay加盟店とオンラインショップで大規模キャンペーン「超PayPay祭」を実施しました。約1カ月間にわたって、「PayPayボーナス」(注13)を上乗せして付与したりするなど、各社様々なキャンペーンを実施し、最も「PayPayボーナス」などの付与率が高くなる最終日には、「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」を合算した単日の取扱高が過去最高を記録しました。
2021年1月には、ヤフー㈱が運営するフリマアプリ「PayPayフリマ」で、商品が購入されたときに出品者にかかる販売手数料を、10%から業界最安値(注14)の5%に値下げしました(注15)。「PayPayフリマ」は、2019年10月にサービス提供開始から約11カ月半で、500万ダウンロード突破するなど、多くのユーザーにご利用いただいています。このように「PayPayフリマ」は、これまで以上に幅広いユーザーが多彩なアイテムを手軽に出品できる場を提供し、出品者、購入者双方にとってより利便性が高く、お得に売り買いできる世界を目指します。
<非通信の拡大>非通信の拡大の取り組みとしては、ソフトバンクグループの投資先をはじめとする先端技術を保有する企業や、ソリューションの提供を行う企業との連携に取り組んでいます。具体的には、パートナーである各企業と合弁会社を設立し、非通信の拡大を推進しています。なお、これらの合弁会社の多くは持分法適用会社であるため、当社の業績には持分法による投資損益として寄与します。
PayPay㈱
2021年3月末でのPayPayの累計登録者数は3,803万人となり、当期の決済回数は前期比の約2.5倍となる20億回を超え、決済取扱高は前期比の約2.6倍となる3.2兆円となり、いずれも順調に増加しました。
2021年3月1日のZホールディングス㈱とLINE㈱の統合完了を受けて、PayPay㈱とLINE Pay㈱は、双方の強みを生かしつつシナジーを最大化するため、2022年4月に「LINE Pay」の国内QR・バーコード決済事業を「PayPay」の事業へ統合することについて協議しています。その取り組みの一環として、PayPay㈱とLINE Pay㈱は、加盟店におけるQRコード連携を2021年4月下旬以降開始し、全国316万カ所以上(注16)のPayPay加盟店のうち、ユーザースキャン方式(MPM)加盟店において「LINE Pay」での支払いも可能にします。
また、2021年3月より、PayPay㈱、LINE㈱およびLINE Pay㈱は、LINE㈱が提供する「LINEポイント」からPayPay㈱が提供する「PayPayボーナス」へのポイント交換を、手数料無料で開始しました。これにより、LINE Payユーザーにとっては、PayPay㈱が提携するサービスや加盟店での決済など用途が大幅に拡大します。
さらに、従来から行ってきたグループ会社との取り組みも順調に拡大しています。PayPay証券㈱が「PayPay」内のミニアプリ(注17)で提供する、投資の疑似運用体験ができるサービス「ボーナス運用」のユーザー数は、2021年2月に200万運用者を突破しました。サービス提供開始から約10カ月半でユーザー数が200万運用者を突破するのは、「ポイント運用サービス」を提供する主要な疑似投資ポイント運用サービス取扱業者における最速(注18)記録です。「ボーナス運用」は、「PayPayボーナス」をPayPay証券㈱が提供する独自のポイント(注19)に交換するため、口座開設などの手続きが不要であることから、「PayPay」のアプリ上でどなたでもすぐにはじめられる身近な投資体験サービスとして多くの支持を集めています。
このように、PayPay㈱は当社グループおよびZホールディングスグループとの協働を進め、「PayPay」を「決済」アプリから、ユーザーの生活をもっと豊かで便利にする「スーパーアプリ」へと進化させ、金融サービスの提供をさらに強化しながら「いつでも、どこでもPayPayで」という世界観を醸成していきます。
インキュデータ㈱
2021年2月より、当社、㈱博報堂およびTreasure Data, Inc.の合弁会社で、データ活用による企業の変革を支援するインキュデータ㈱は、東急不動産㈱におけるデジタルトランスフォーメーションの推進を支援するため、同社に対し、データ活用の戦略立案・実行に関するインキュデータ㈱のコンサルティングサービスと、トレジャーデータ㈱のカスタマーデータプラットフォーム「Treasure Data CDP」の提供を開始しました。データ活用・分析基盤として国内で多くの業種・業態への導入実績がある「Treasure Data CDP」は、東急不動産㈱の複数事業の顧客会員データやWebサイトの顧客閲覧データなどの統合や相互連携を実現し、個々のお客さまに合わせた最適な情報提供や商品提案を可能にするなど、企業価値の向上に向けたデジタルトランスフォーメーションの推進を支援します。
(注1) OTTとは、Over The Topの略称で、インターネットにおいて、音声、動画コンテンツなどを提供するサービスや通信事業者以外の企業のことです。
(注2) 「音声アプリ・エクスペリエンス」部門では、日本国内で第1位の評価です。
(注3) この調査は、世界中で1億台以上のデバイスから毎日収集された数十億の測定値を使用して、ワイヤレス業界で最大の規模と頻度で全世界のモバイルネットワークのユーザーエクスペリエンスを分析するOpensignal Limitedが、世界の通信事業者179社を対象に、「ビデオ・エクスペリエンス」「ゲーム・エクスペリエンス」「音声アプリ・エクスペリエンス」「ダウンロード・スピード・エクスペリエンス」「アップロード・スピード・エクスペリエンス」「4G利用率」の6つの評価軸で、包括的に比較したものです。
Opensignal アワード - グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2021
(注4) 「LINEギガフリー」の対象は、LINEトーク・LINE通話などです。一部「LINEギガフリー」の対象外となるサービスや、技術的要因などにより対象外となる場合があります。
(注5) テザリングおよびデータシェアでのご利用の場合、データ容量は合計30GB/月までです。
(注6) 両社が保有するデータセンター合計20拠点の延べ床面積を比較しています。
(注7) 高密度かつ1ラック当たり最大20キロボルトアンペア(kVA)の電力高負荷対応が可能です。
(注8) コロケーションサービスとは、耐震性や電力供給などに優れたデータセンターにサーバなどのお客さま機器をお預かりし、保守や運用をサポートするサービスです。
(注9) VRとは、Virtual Realityの略称で、仮想現実のことです。
ARとは、Augmented Realityの略称で、拡張現実のことです。
(注10) 芯材となる様々な素材に特殊塗料を塗布した複合素材で、軽量でありながらも強度が高く、成形自由という特長があります。
(注11) 2021年1月22日時点の情報です。(当社調べ)
(注12) 「Yahoo! JAPAN」の2021年3月時点の月間ログインユーザーID数は52.7百万人、「LINE」の2021年3月時点の国内月間アクティブユーザー数は88百万人です。
(注13) 特典やキャンペーンなどの適用に伴い、PayPay残高に進呈された残高です。
(注14) フリマアプリ2社の販売手数料と比較した、2021年1月13日時点の情報です。(ヤフー㈱調べ)
(注15) 「ヤフオク!」から出品し「PayPayフリマ」に同時掲載され、「PayPayフリマ」で購入された商品は対象外です。
(注16) 2021年3月31日時点の情報です。店舗やタクシーなど、「PayPay」への登録カ所数です。
(注17) ミニアプリとは、PayPay㈱のパートナー企業が提供するサービスの予約や商品の注文、支払いなどのサービスを、パートナー企業のアプリをダウンロードすることなく、「PayPay」アプリ内で利用できる機能です。
(注18) 主要な疑似投資ポイント運用サービス取扱業者3社と比較した、2021年2月10日時点の情報です。(PayPay証券㈱調べ)
(注19) PayPay証券㈱が提供する独自のポイントは、現時点で「ボーナス運用」での運用およびPayPayボーナスへの交換のみに使用されるもので、他のサービスでは使用できません。
ⅱ.連結経営成績の概況
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | ||
売上高 | 4,861,247 | 5,205,537 | 344,290 | 7.1% | |
営業利益 | 911,725 | 970,770 | 59,045 | 6.5% | |
税引前利益 | 811,195 | 847,699 | 36,504 | 4.5% | |
法人所得税 | △304,527 | △299,979 | 4,548 | △1.5% | |
純利益 | 506,668 | 547,720 | 41,052 | 8.1% | |
親会社の所有者 | 473,135 | 491,287 | 18,152 | 3.8% | |
非支配持分 | 33,533 | 56,433 | 22,900 | 68.3% | |
調整後EBITDA(注) | 1,606,529 | 1,710,470 | 103,941 | 6.5% |
(注) 調整後EBITDAの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
当期の連結経営成績の概況は、以下の通りです。
(ⅰ) 売上高
当期の売上高は、全セグメントで増収し、前期比344,290百万円(7.1%)増の5,205,537百万円となりました。法人事業はテレワーク関連の商材需要の増加などにより52,757百万円、ヤフー事業ではeコマース取扱高の増加などにより152,905百万円、コンシューマ事業はサービス売上の増加により73,701百万円、流通事業は行政の大型プロジェクト受注により48,892百万円、それぞれ増収となりました。
(ⅱ) 営業利益
当期の営業利益は、全セグメントで増益し、前期比59,045百万円(6.5%)増の970,770百万円となりました。法人事業では24,124百万円、ヤフー事業では9,849百万円、コンシューマ事業では11,354百万円、流通事業では5,129百万円の増益となりました。
(ⅲ) 純利益
当期の純利益は、前期比41,052百万円(8.1%)増の547,720百万円となりました。営業利益が増加した一方、保有する投資有価証券の評価損の計上などによる金融費用の増加12,448百万円、WeWork Japan合同会社への出資についてののれん相当額の減損処理などに伴う持分法による投資の減損損失の増加7,035百万円などがありました。
(ⅳ) 親会社の所有者に帰属する純利益
当期の親会社の所有者に帰属する純利益は、前期比18,152百万円(3.8%)増の491,287百万円となりました。なお、当期の非支配持分に帰属する純利益は、主としてZホールディングスグループの増益により、前期比22,900百万円(68.3%)増の56,433百万円となりました。
(ⅴ) 調整後EBITDA
当期の調整後EBITDAは、前期比103,941百万円(6.5%)増の1,710,470百万円となりました。これは主として、営業利益の増加に加え、㈱ZOZO株式取得に伴い識別した無形資産の償却費の計上を主因とする減価償却費及び償却費の増加によるものです。当社グループは、非現金取引の影響を除いた調整後EBITDAを、当社グループの業績をより効果的に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
ⅲ.主要事業データ
移動通信サービス
コンシューマ事業と法人事業において営んでいる移動通信契約の合計です。移動通信サービスの各事業データには、「SoftBank」ブランド、「Y!mobile」ブランド、「LINEモバイル」ブランド、「LINEMO」ブランドが含まれます。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2021年3月31日 | 増減 | ||
合計 | 45,778 | 47,285 | 1,507 | ||
主要回線(注) | 36,499 | 37,910 | 1,412 | ||
うち、スマートフォン | 24,134 | 25,926 | 1,792 | ||
通信モジュール等 | 7,663 | 8,714 | 1,051 | ||
PHS | 1,616 | 660 | △956 |
(単位:千件)
3月31日に終了した1年間 | |||||
純増契約数 | 2020年 | 2021年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 1,757 | 1,412 | △345 | ||
スマートフォン | 2,052 | 1,792 | △260 |
3月31日に終了した1年間 | |||||
解約率・総合ARPU | 2020年 | 2021年 | 増減 | ||
主要回線(注) | 解約率 | 0.96% | 0.93% | △0.03ポイント | |
総合ARPU(円) | 4,420 | 4,290 | △130 | ||
割引前ARPU(円) | 5,110 | 4,730 | △390 | ||
割引ARPU(円) | △700 | △440 | 260 | ||
スマートフォン | 解約率 | 0.70% | 0.71% | +0.01ポイント |
(注) 主要回線の契約数に、2017年7月よりサービス開始した「おうちのでんわ」の契約数を含めて開示しています。
ARPUおよび解約率は、同サービスを除いて算出・開示しています。
ブロードバンドサービス
コンシューマ事業において提供している、家庭向けの高速インターネット接続サービスです。
(単位:千件)
累計契約数 | 2020年3月31日 | 2021年3月31日 | 増減 | |
合計 | 7,846 | 8,139 | 293 | |
SoftBank 光 | 6,387 | 6,916 | 530 | |
Yahoo! BB 光 with フレッツ | 786 | 692 | △94 | |
Yahoo! BB ADSL | 673 | 530 | △143 |
<主要事業データの定義および算出方法>移動通信サービス
主要回線:スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでん
わ」など
* 「スマホファミリー割」適用のスマートフォンおよび「データカードにねん得割」適用のモ
バイルデータ通信端末は「通信モジュール等」に含まれます。
通信モジュール等:通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド式携帯電話など
* PHS回線を利用した通信モジュールは、「PHS」に含まれます。
* 「LINEモバイル」は、2021年3月31日をもって、新規受付を終了しました。
解約率:月間平均解約率(小数点第3位を四捨五入して開示)
(算出方法)
解約率=解約数÷稼働契約数
* 解約数:当該期間における解約総数。携帯電話番号ポータビリティー(MNP)制度を利用して
「SoftBank」、「Y!mobile」、「LINEモバイル」、「LINEMO」の間で乗り換えが行われ
る際の解約は含まれません。
* 解約率(スマートフォン):主要回線のうち、スマートフォンの解約率です。
ARPU(Average Revenue Per User):1契約当たりの月間平均収入(10円未満を四捨五入して開示)
(算出方法)
総合ARPU=(データ関連収入 + 基本料・音声関連収入 + 端末保証サービス収入、コンテンツ関連
収入、広告収入など)÷ 稼働契約数
* データ関連収入:パケット通信料・定額料、インターネット接続基本料など
* 基本料・音声関連収入:基本使用料、通話料、着信料収入など
* 稼働契約数:当該期間の各月稼働契約数 ((月初累計契約数 + 月末累計契約数) ÷ 2)の合計値
割引ARPU=月月割ARPU+固定セット割ARPU(「おうち割 光セット」、「光おトク割」など)
* ポイント等や「半額サポート」に係る通信サービス売上控除額は、ARPUの算定には含まれません。
* 「半額サポート」とは、対象スマートフォンを48カ月の分割払い(48回割賦)で購入し、25カ月目以降に利用端末と引き換えに指定の端末に機種変更すると、その時点で残っている分割支払金の支払いが免除されるプログラムです。なお、「半額サポート」は2019年9月12日をもって、新規受付を終了しました。
ブロードバンドサービス
「SoftBank 光」:東日本電信電話㈱(以下「NTT東日本」)および西日本電信電話㈱(以下「NTT西日本」)の
光アクセス回線の卸売りを利用した光回線サービスとISP(Internet Service Provider)
サービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了してい
る回線数です。「SoftBank Air」契約数を含みます。
「Yahoo! BB 光 with フレッツ」:NTT東日本およびNTT西日本の光アクセス回線「フレッツ光シリーズ」
とセットで提供するISPサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において光回線の接続工事が完了し、サ
ービスを提供しているユーザー数です。
「Yahoo! BB ADSL」:ADSL回線サービスとISPサービスを統合したサービス
(累計契約数) NTT東日本およびNTT西日本の局舎において、ADSL回線の接続工事が完了し
ている回線数です。
なお、「ⅲ.主要事業データ」の「増減」の算定に際し、四捨五入前の数値をもとに算定しているた
め、「ⅲ.主要事業データ」記載の四捨五入後の数値の増減とは一致しないことがあります。
(b) セグメント情報に記載された区分ごとの状況
ⅰ.コンシューマ事業
<事業概要>コンシューマ事業では、主として国内の個人のお客さまに対し、モバイル通信およびモバイル付加サービス、ブロードバンドサービスならびに電力サービスを提供しています。また、携帯端末メーカーから携帯端末を仕入れ、ソフトバンクショップ等を運営する代理店または個人のお客さまに対して販売しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 2,696,687 | 2,770,388 | 73,701 | 2.7% |
セグメント利益 | 647,270 | 658,624 | 11,354 | 1.8% |
減価償却費及び償却費 | 422,454 | 423,842 | 1,388 | 0.3% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | |||||
3月31日に終了した1年間 | |||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | ||
サービス売上 | 2,137,861 | 2,208,019 | 70,158 | 3.3% | |
モバイル | 1,676,797 | 1,677,467 | 670 | 0.0% | |
ブロードバンド | 383,831 | 399,611 | 15,780 | 4.1% | |
でんき | 77,233 | 130,941 | 53,708 | 69.5% | |
物販等売上 | 558,826 | 562,369 | 3,543 | 0.6% | |
売上高合計 | 2,696,687 | 2,770,388 | 73,701 | 2.7% |
(注) 当期において、「物販等売上」に含めていた「でんき」は金額的重要性が高まったため、独立掲記しています。これに伴い、売上高の内訳を「モバイル」「ブロードバンド」と「でんき」を合わせて「サービス売上」とし、前期の内訳を修正再表示しています。
コンシューマ事業の売上高は、前期比73,701百万円(2.7%)増の2,770,388百万円となりました。そのうち、サービス売上は、前期比70,158百万円(3.3%)増加し、2,208,019百万円となり、物販等売上は、前期比3,543百万円(0.6%)増加し、562,369百万円となりました。
サービス売上のうち、モバイルは前期比670百万円(0.0%)増加しました。これは、「SoftBank」ブランドにおける料金プランの割引施策や、「Y!mobile」「LINEモバイル」ブランドなどの契約数増加に伴い平均単価が減少したことによる減少要因を、半額サポートに係る改善およびスマートフォン契約数が「Y!mobile」ブランドを中心に伸びたことによる増加要因が相殺したことによるものです。
ブロードバンドは、前期比15,780百万円(4.1%)増加しました。これは、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加によるものです。
でんきは、前期比53,708百万円(69.5%)増加しました。これは、「おうちでんき」契約数の増加によるものです。
物販等売上の増加は、主として、携帯端末の販売台数が増加したことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は2,111,764百万円となり、前期比で62,347百万円(3.0%)増加しました。これは主として、販売手数料が減少した一方で、「おうちでんき」サービスに係る仕入原価が増加したことや、「トクするサポート+」やユーザー獲得と利用促進を目的としたキャンペーンなどに係る販売関連費用が増加したこと、および端末に係る引当金の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比11,354百万円(1.8%)増の658,624百万円となりました。
ⅱ.法人事業
<事業概要>法人事業では、法人のお客さまに対し、移動通信サービス、固定電話サービス「おとくライン」を提供するほか、VPNサービス「SmartVPN」やインターネットなどのネットワークサービス、データセンターサービス、クラウドサービス、AI、IoT、ロボット、セキュリティ、デジタルマーケティング等の多様な法人向けソリューションを提供しています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 638,876 | 691,633 | 52,757 | 8.3% |
セグメント利益 | 83,607 | 107,731 | 24,124 | 28.9% |
減価償却費及び償却費 | 157,937 | 160,309 | 2,372 | 1.5% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
モバイル | 275,072 | 305,401 | 30,329 | 11.0% |
固定 | 194,593 | 188,885 | △5,708 | △2.9% |
ソリューション等 | 169,211 | 197,347 | 28,136 | 16.6% |
売上高合計 | 638,876 | 691,633 | 52,757 | 8.3% |
法人事業の売上高は、前期比52,757百万円(8.3%)増の691,633百万円となりました。そのうち、モバイルは、前期比30,329百万円(11.0%)増の305,401百万円、固定は、前期比5,708百万円(2.9%)減の188,885百万円、ソリューション等は、前期比28,136百万円(16.6%)増の197,347百万円となりました。
モバイル売上の増加は、主として、テレワークなどによる需要の高まりに伴いスマートフォン契約数が増加したことによるものです。
固定売上の減少は、主として、電話サービスの契約数の減少によるものです。
ソリューション等売上の増加は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク関連の商材の需要が伸び、クラウドサービスやセキュリティソリューションの売上が増加し、IoT商材に係る売上も増加したことなどによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は583,902百万円となり、前期比で28,633百万円(5.2%)増加しました。主として、上記モバイルおよびソリューション等の売上の増加に伴い原価が増加したことによるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比24,124百万円(28.9%)増の107,731百万円となりました。
ⅲ.流通事業
<事業概要>流通事業は、変化する市場環境を迅速にとらえた最先端のプロダクトやサービスを提供しています。法人のお客さま向けには、クラウドサービス、AIを含めた先進テクノロジーを活用した商材を提供しています。個人のお客さま向けには、メーカーあるいはディストリビューターとして、ソフトウエアやモバイルアクセサリー、IoTプロダクト等、多岐にわたる商品の企画・提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 482,441 | 531,333 | 48,892 | 10.1% |
セグメント利益 | 17,164 | 22,293 | 5,129 | 29.9% |
減価償却費及び償却費 | 3,052 | 3,641 | 589 | 19.3% |
流通事業の売上高は、前期比48,892百万円(10.1%)増の531,333百万円となりました。これは主として、行政の大型プロジェクトを受注したことや、注力していたクラウド、SaaSなどのサブスクリプションサービスが堅調に伸びたことによるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は509,040百万円となり、前期比で43,763百万円(9.4%)増加しました。これは主として、上記売上の増加に伴う商品原価の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比5,129百万円(29.9%)増の22,293百万円となりました。
ⅳ.ヤフー事業
<事業概要>ヤフー事業は、eコマース、決済金融、メディアを中心としたサービスを展開し、オンラインからオフラインまで一気通貫でサービスを提供しています。コマース領域においては、「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」「ZOZOTOWN」などのeコマースサービス、「Yahoo!プレミアム」などの会員向けサービスおよびクレジットカード等の決済金融サービス、メディア領域においてはインターネット上の広告関連サービスの提供を行っています。
<業績全般>
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
売上高 | 1,052,942 | 1,205,847 | 152,905 | 14.5% |
セグメント利益 | 152,276 | 162,125 | 9,849 | 6.5% |
減価償却費及び償却費 | 83,209 | 101,738 | 18,529 | 22.3% |
売上高の内訳
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | 増減率 | |
コマース | 738,204 | 854,271 | 116,067 | 15.7% |
メディア | 309,934 | 323,965 | 14,031 | 4.5% |
その他 | 4,804 | 27,611 | 22,807 | 474.8% |
売上高合計 | 1,052,942 | 1,205,847 | 152,905 | 14.5% |
(注) 当期において、Zホールディングスグループでは、一部のサービスおよび子会社を「コマース事業」から「メディア事業」へ移管しました。これに伴い、前期のヤフー事業の売上高のうち、「コマース」および「メディア」の内訳を修正再表示しています。
ヤフー事業の売上高は、前期比152,905百万円(14.5%)増の1,205,847百万円となりました。そのうち、コマースは前期比116,067百万円(15.7%)増の854,271百万円、メディアは前期比14,031百万円(4.5%)増の323,965百万円、その他は前期比22,807百万円(474.8%)増の27,611百万円となりました。
コマース売上の増加は、主として、2019年11月の子会社化に伴い、前期は5カ月分であった㈱ZOZOの売上が当期は12カ月分計上されていることに加え、同社の売上収益が好調に推移したことによる増加、ショッピング広告売上収益の増加およびその他のコマースサービスでの取扱高の増加によるものです。
メディア売上の増加は、新型コロナウイルスの影響で広告出稿の減少が続いたものの、営業活動やプロダクト改善施策などを行ったことにより、ディスプレイ広告関連収益が増加したことによるものです。
その他売上の増加は、主として、LINE㈱の子会社化によるものです。
営業費用(売上原価と販売費及び一般管理費)およびその他の営業損益(その他の営業収益とその他の営業費用)の合計は1,043,722百万円となり、前期比で143,056百万円(15.9%)増加しました。これは主として、㈱ZOZOおよびLINE㈱の子会社化に伴う販売費及び一般管理費の増加によるものです。
上記の結果、セグメント利益は、前期比9,849百万円(6.5%)増の162,125百万円となりました。
b. 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、コンシューマ、法人、流通、ヤフーの4つのセグメントと、それ以外の事業から構成されています。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模および受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。なお、当連結会計年度における販売の状況については以下の通りです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
コンシューマ | 2,770,388 | 2.7 |
法人 | 691,633 | 8.3 |
流通 | 531,333 | 10.1 |
ヤフー | 1,205,847 | 14.5 |
その他 | 139,778 | 29.3 |
セグメント間の内部売上高または振替高 | △133,442 | 13.3 |
合計 | 5,205,537 | 7.1 |
(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれていません。
2 金額は、外部顧客に対する売上高とセグメント間の内部売上高または振替高の合計です。
3 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
(2) 連結財政状態の状況
(単位:百万円) | ||||||
2020年 3月31日 | 2021年 3月31日 | 増減 | 増減率 | |||
流動資産 | 3,364,303 | 4,033,845 | 669,542 | 19.9 | % | |
非流動資産 | 6,427,955 | 8,192,815 | 1,764,860 | 27.5 | % | |
資産合計 | 9,792,258 | 12,226,660 | 2,434,402 | 24.9 | % | |
流動負債 | 4,496,609 | 5,293,636 | 797,027 | 17.7 | % | |
非流動負債 | 3,588,085 | 4,182,324 | 594,239 | 16.6 | % | |
負債合計 | 8,084,694 | 9,475,960 | 1,391,266 | 17.2 | % | |
資本合計 | 1,707,564 | 2,750,700 | 1,043,136 | 61.1 | % |
(資産)
当期末の総資産は、前期末から2,434,402百万円(24.9%)増加し、12,226,660百万円となりました。これは主として、のれんの増加637,957百万円、現金及び現金同等物の増加441,084百万円、無形資産の増加400,982百万円および営業債権及びその他の債権の増加281,922百万円によるものです。
のれんの増加および顧客基盤や商標権を含む無形資産の増加は、主として、LINE㈱の子会社化によるものです。現金及び現金同等物の増加は、主として、LINE㈱の子会社化による影響のほか、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下において手元流動性を確保したことによるものです。営業債権及びその他の債権の増加は、主として、銀行事業での運用資産残高の増加や、LINE㈱の子会社化によるものです。
(負債)
当期末の負債は、前期末から1,391,266百万円(17.2%)増加し、9,475,960百万円となりました。これは主として、有利子負債の増加610,340百万円および営業債務及びその他の債務の増加370,282百万円によるものです。有利子負債の増加は、主として、LINE㈱の子会社化、無担保社債の発行、短期借入金の増加によるものです。営業債務及びその他の債務の増加は、主として、LINE㈱株式の併合による単元未満株式買い取りに係る未払金の増加やLINE㈱の子会社化によるものです。
(資本)
当期末の資本は、前期末から1,043,136百万円(61.1%)増加し、2,750,700百万円となりました。これは、LINE㈱子会社化に伴い資本剰余金が472,570百万円、非支配持分が469,362百万円増加したことや、当期の純利益の計上による増加547,720百万円があった一方、剰余金の配当による減少436,915百万円、自己株式の取得による減少100,000百万円などがあったことによるものです。
(3) 連結キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円) | ||||
3月31日に終了した1年間 | ||||
2020年 | 2021年 | 増減 | ||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,249,535 | 1,338,949 | 89,414 | |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △900,145 | △511,295 | 388,850 | |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △143,613 | △388,462 | △244,849 | |
現金及び現金同等物の期末残高 | 1,143,808 | 1,584,892 | 441,084 | |
フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 349,390 | 827,654 | 478,264 | |
割賦債権の流動化による影響(注1) | 30,071 | 3,190 | △26,881 | |
調整後フリー・キャッシュ・フロー(注1) | 379,461 | 830,844 | 451,383 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む) | 565,481 | 680,277 | 114,796 | |
設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)(注2) | 369,779 | 421,968 | 52,189 |
(注1) フリー・キャッシュ・フロー、割賦債権の流動化による影響、調整後フリー・キャッシュ・フローの算定方法は、「(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標」をご参照ください。
(注2) 設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ除く)には、Zホールディングスグループの設備投資、レンタル端末への投資額およびIFRS第16号適用による影響は除きます。
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,338,949百万円の収入となりました。前期比では89,414百万円収入が増加しており、これは主として、純利益および減価償却費及び償却費の増加によるものです。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、511,295百万円の支出となり、前期比では388,850百万円支出が減少しました。これは、前期の㈱ZOZOの子会社化に伴う収支が377,861百万円の支出であったのに対し、当期のLINE㈱株式等の共同公開買付けに伴う収支は175,313百万円の支出であり、さらに、当期に株式交換によりLINE㈱を子会社化した際の現金及び現金同等物残高312,791百万円の受け入れによる収入があったことなどによるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フローのうち、投資の取得による支出と投資の売却または償還による収入には、Zホールディングス㈱とLINE㈱の経営統合の過程で発行した社債に係る引受、償還から生じた739,628百万円分が両建てで計上されています。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、388,462百万円の支出となりました。収入の主な内訳は、手元流動性確保のために行った短期資金調達や、借入金返済のために当社が220,000百万円、Zホールディングス㈱が200,000百万円それぞれ発行した無担保社債です。支出の主な内訳は、長期借入金の約定弁済や、前期に借入を行った㈱ZOZOの公開買付けのためのブリッジローン400,000百万円の返済、配当金の支払405,497百万円および自己株式の取得100,000百万円です。当期の財務活動によるキャッシュ・フローの支出は、前期比で244,849百万円増加しました。これは主として、前期において㈱ZOZOの子会社化に伴う上記の支出を有利子負債の収入で賄ったため、前期比ではその分収入が減少したことによるものです。
d.現金及び現金同等物の期末残高
a.~c.の結果、当期における現金及び現金同等物の残高は、前期比441,084百万円増の1,584,892百万円となりました。
e.調整後フリー・キャッシュ・フロー
当期の調整後フリー・キャッシュ・フローは、830,844百万円の収入となりました。主として、上記の通り、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が減少したことにより、前期比451,383百万円増加しました。
f.設備投資
当期の設備投資(検収ベース、Zホールディングスグループ含む)は、前期比114,796百万円増の680,277百万円となりました。これは主として、竹芝新本社の新規賃貸借契約による使用権資産の増加と、5G設備およびデータセンターへの投資が増加したことによるものです。
g.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営方針 c.財務戦略」をご参照ください。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
3月31日に終了した1年間 | ||
2020年 | 2021年 | |
親会社所有者帰属持分比率 | 10.2% | 12.4% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 4.1 | 4.3 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 26.6 | 28.9 |
(注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分合計/資産合計
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債(※1)/キャッシュ・フロー(※2)
インタレスト・カバレッジ・レシオ:調整後EBITDA(※3)/支払利息(※4)
(※1) 有利子負債は連結財政状態計算書の流動負債と非流動負債の中の有利子負債の合計値を使用しています。
(※2) キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
(※3) 算出方法は、「(4)<財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標 a.調整後EBITDA」をご参照ください。
(※4) 支払利息は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) <財務指標に関する説明>IFRSに基づかない指標
当社グループは、IFRSで定義されていないか、IFRSに基づき認識されない財務指標を使用しています。経営者は、当社グループの業績に対する理解を高め、現在の業績を評価する上での重要な指標として用いることを目的として、当該指標を使用しています。当該指標はIFRSでは定義されていないため、他社において当社グループとは異なる計算方法または異なる目的で用いられる可能性があります。そのため、比較可能性を担保する観点から、その有用性を制限しています。
a.調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に「減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)」および通常の事業活動では発生しない費用・収益である「その他の調整項目」を加減算したものです。「その他の調整項目」の計上額の内訳は、主として以下の通りです。
2020年3月31日に終了した1年間
主にサイバーリーズン・ジャパン㈱の支配喪失に伴う利益です。2019年9月30日、当社が保有する同社株式の一部をCybereason Inc.へ売却したことにより、当社の同社に対する議決権所有割合が60%から49.9%に減少しました。この結果、同社は当社の子会社から持分法適用会社となりました。本取引に基づき認識した子会社の支配喪失に伴う利益は、持分法適用に伴う再測定益9,879百万円を含む11,879百万円です。
当社グループは、非現金取引の影響を除いた業績評価のための指標として調整後EBITDAを使用しています。調整後EBITDAは、当社グループの業績をより適切に評価するために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益と調整後EBITDAの調整は、以下の通りです。
(単位:百万円)
2020年3月31日に 終了した1年間 | 2021年3月31日に 終了した1年間 | |||
営業利益 | 911,725 | 970,770 | ||
(加算)減価償却費及び償却費(注) | 700,934 | 729,698 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 子会社の支配喪失に伴う利益 | △12,937 | - | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 減損損失 | 3,404 | 10,002 | ||
(加算(△は減算))その他の調整項目: 企業結合に伴う再測定による損失 | 3,403 | - | ||
調整後EBITDA | 1,606,529 | 1,710,470 | ||
(注) 上表の「減価償却費及び償却費」には、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 d. 連結キャッシュ・フロー計算書」に記載されている減価償却費及び償却費(2020年3月31日に終了した1年間675,241百万円 2021年3月31日に終了した1年間696,342百万円)に加えて、同計算書に記載されている固定資産除却損(2020年3月31日に終了した1年間25,693百万円 2021年3月31日に終了した1年間33,356百万円)が含まれています。
b.営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージン
営業利益マージンは営業利益を売上高で除して計算しています。調整後EBITDAマージンは上記a.調整後EBITDAを売上高で除して計算しています。
当社グループは、以下の業績指標を使用しています。
(a) 営業利益マージン
当社グループは、営業利益に対する影響を管理する指標として営業利益マージンを使用しています。
(b) 調整後EBITDAマージン
調整後EBITDAは上記の営業利益から減価償却費及び償却費(固定資産除却損を含む)および一時的な費用及び収益を加減算して算出されており、調整後EBITDAマージンは本業の経常的な収益性を理解するのに適した指標であると考えます。
当社グループは、上記指標が、当社グループの業績評価をより適切に行うために有用かつ必要な指標であると考えています。
営業利益マージンおよび調整後EBITDAマージンの算定は以下の通りです。
(単位:百万円)
2020年3月31日に 終了した1年間 | 2021年3月31日に 終了した1年間 | |||
売上高 | 4,861,247 | 5,205,537 | ||
営業利益 | 911,725 | 970,770 | ||
営業利益マージン | 18.8% | 18.6% | ||
調整後EBITDA | 1,606,529 | 1,710,470 | ||
調整後EBITDAマージン | 33.0% | 32.9% | ||
c.フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加算して計算される指標です。
調整後フリー・キャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フローから親会社であるソフトバンクグループ㈱等との間で行われた、一時的な取引に関連するキャッシュ・フローを除外し、端末の割賦債権流動化による資金調達額を加算し、当該返済額を減算して計算される指標です。当社グループは、調整後フリー・キャッシュ・フローが、当社グループの実質的な資金創出能力を示し、債務返済能力や事業への追加投資能力の評価を行うために有用な指標であると考えています。
財務活動によるキャッシュ・フローには、割賦債権の流動化による資金調達額および返済額が含まれています。当社グループでは、割賦債権は営業活動の中で発生するものであることから、当該債権の流動化によるキャッシュ・フローを、営業活動によるキャッシュ・フローに加減算したものが、当社グループの経常的な資金創出能力をより適切に表すと考えています。したがって、割賦債権流動化の資金調達額および返済額をフリー・キャッシュ・フローの調整項目として加減算することにより、調整後フリー・キャッシュ・フローを計算しています。
フリー・キャッシュ・フローと調整後フリー・キャッシュ・フローの調整項目および調整額は以下の通りです。
(単位:百万円)
2020年3月31日に 終了した1年間 | 2021年3月31日に 終了した1年間 | |||
営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,249,535 | 1,338,949 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)(注1) | △428,836 | △470,448 | ||
投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)(注2) | △471,309 | △40,847 | ||
フリー・キャッシュ・フロー | 349,390 | 827,654 | ||
割賦債権流動化取引:調達額(注3) | 447,684 | 381,308 | ||
割賦債権流動化取引:返済額(注3) | △417,613 | △378,118 | ||
割賦債権の流動化による影響 | 30,071 | 3,190 | ||
調整後フリー・キャッシュ・フロー | 379,461 | 830,844 | ||
(注1) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「有形固定資産及び無形資産の取得による支出」および「有形固定資産及び無形資産の売却による収入」の純額です。
(注2) 投資活動によるキャッシュ・フロー(設備支出以外)に関連するキャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる投資活動によるキャッシュ・フローの「投資の取得による支出」、「投資の売却または償還による収入」、「銀行事業の有価証券の取得による支出」、「銀行事業の有価証券の売却または償還による収入」、「子会社の支配獲得による収支(△は支出)」および「その他」の純額です。
(注3) 割賦債権流動化取引:調達額および割賦債権流動化取引:返済額に関連するキャッシュ・フローは、主として連結キャッシュ・フロー計算書に含まれる財務活動によるキャッシュ・フローの「短期有利子負債の純増減額(△は減少額)」、「有利子負債の収入」および「有利子負債の支出」に含まれています。なお、割賦債権流動化取引のうち、短期間で調達および返済を行う取引については純額表示しています。
(5) 重要な判断を要する会計方針及び見積り
IFRSに基づく連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、グループにとって最適な会計方針を採用し、一定の前提条件に基づく見積りを行う必要があります。連結財政状態計算書上の資産および負債、連結損益計算書上の収益および費用、または開示対象となる偶発負債および偶発資産などに重要な影響を与える可能性がある項目に関して、経営者は、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき見積りを行っています。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、影響の及ぶ期間とその程度を合理的に推定することはできませんが、感染拡大の収束が遅れた場合には、当社グループの将来収益およびキャッシュ・フローに影響を及ぼしその見積りに一定の不確実性が存在します。このよう状況において、本連結財務諸表作成時点で利用可能な情報・事実に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大期間とその影響のリスクや不確実性を考慮の上、合理的な金額の見積りを行っています。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる場合があります。
以下の各項目は、その認識および測定にあたり、経営者の重要な判断および会計上の見積りを必要とするものです。
a.企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値測定ならびに減損にかかる見積り
企業結合により取得した無形資産およびのれんは、支配獲得日における公正価値で認識しています。企業結合時の取得対価の配分に際しては、経営者の判断および見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。企業結合により識別した無形資産(顧客基盤や商標権など)およびのれんは、見積将来キャッシュ・フローや割引率、既存顧客の逓減率、対象商標権から生み出される将来売上予想やロイヤルティレート等の仮定に基づいて測定しています。企業結合により取得した無形資産およびのれんの取得価額は、当連結会計年度は10,540億円(前連結会計年度は7,301億円)です。
また、無形資産およびのれんの減損を判断する際に、資金生成単位の回収可能価額の見積りが必要となりますが、減損テストで用いる回収可能価額は、資産の耐用年数、資金生成単位により生じることが予想される見積将来キャッシュ・フロー、市場成長率見込、市場占有率見込および割引率等の仮定に基づいて測定しています。
これらの仮定は、経営者の最善の見積りによって決定されますが、将来の不確実な経済条件の変動により影響を受ける可能性があり、仮定の見直しが必要となった場合には連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
企業結合により取得した無形資産およびのれんの公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (2) 企業結合」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。無形資産およびのれんの減損に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (11) 有形固定資産、使用権資産、無形資産およびのれんの減損」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。
b.有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積り
有形固定資産および無形資産は、当社グループの総資産に対する重要な構成要素です。見積りおよび仮定は、資産の帳簿価額および減価償却費または償却費に重要な影響を及ぼす可能性があります。
資産の減価償却費は、耐用年数の見積りおよび残存価額(有形固定資産の場合)を用いて算出されます。資産の耐用年数および残存価額は、資産を取得または創出した時点で見積りを行い、その後各連結会計年度末に見直しを行います。資産の耐用年数および残存価額の変更は、連結財務諸表に対して重要な調整を必要とする可能性があります。経営者は、資産を取得または創出した時点ならびに見直し時に、同種資産に対する経験に基づき、予想される技術上の変化、除却時の見積費用、当該資産の利用可能見込期間、既存顧客の逓減率、当該資産から得られると見込まれる生産高またはこれに類似する単位数および資産の耐用年数に制約を与える契約上の取決めなどの関連する要素を勘案して、当該資産の耐用年数および残存価額を決定しています。有形固定資産の減価償却費は、当連結会計年度は1,979億円(前連結会計年度は1,424億円)であり、無形資産の償却費は、当連結会計年度は1,963億円(前連結会計年度は1,837億円)です。
有形固定資産および無形資産の帳簿価額・減価償却費または償却費に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13.有形固定資産」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 14.のれんおよび無形資産」をご参照ください。有形固定資産および無形資産の残存価額・耐用年数の見積りに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 有形固定資産、(9) 無形資産」をご参照ください。
c.金融商品の公正価値の測定方法
当社グループは、特定の金融商品の公正価値を評価する際に、市場で観察可能ではないインプットを利用する評価技法を用いています。観察可能ではないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。市場で観察可能ではないインプットを用いた金融資産の公正価値は、当連結会計年度末は4,285億円(前連結会計年度末は2,704億円)です。
金融商品の公正価値に関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 29.金融商品の公正価値 (1) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類、(2) レベル3に分類した金融商品の公正価値測定」をご参照ください。
d.契約獲得コストの償却期間の見積り
当社グループは、契約獲得コストについて、契約獲得コストに直接関連する財またはサービスが提供されると予想される期間(すなわち、契約獲得コストの償却期間)にわたって、定額法により償却しています。契約獲得コストの償却期間は、契約条件および過去の実績データなどに基づいた解約率や機種変更までの予想期間などの関連する要素を勘案して決定しています。契約獲得コストの償却期間の変更は、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。契約獲得コストに係る償却費は、当連結会計年度は1,681億円(前連結会計年度は1,885億円)です。
契約獲得コストに関連する内容については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (15) 収益 b.契約コスト」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 15.契約コスト」をご参照ください。