有価証券報告書-第202期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
① 概要
当期におけるわが国経済は、上期において、企業の設備投資や個人消費が堅調に推移したものの、下期には、記録的な暖冬等の影響に加え、期末にかけて世界各地で新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、厳しい状況を迎えることとなりました。
こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。
当期の売上高は、ガス事業で販売量が減少したことなどにより、前期に比べて31億円減(△0.2%)の1兆3,686億円となりました。経常利益は、ガス事業での原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響(注)やガス事業費用の減少等により、229億円増(+36.3%)の860億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、海外上流事業で減損損失を計上したものの、ガス事業での増益等により、81億円増(+24.4%)の417億円となりました。
(注) 原料価格の変動が原料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには、一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。当期は一時的な増益要因、前期は一時的な減益要因となっております。
② 売上高
売上高は、ガス事業で販売量が減少したことなどにより、前期に比べて31億円減(△0.2%)の1兆3,686億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギー・ガス事業セグメントの売上高は、原料費調整制度によって都市ガス販売単価が高めに推移したものの、ガス販売量が減少したことなどにより、前期に比べて388億円減(△3.8%)の9,737億円となりました。
ガス供給件数は、前期末に比べて4.2%減の534万5千件となり、ガス販売量は、前期に比べて7.2%減の73億6千2百万m3となりました。
ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、下期の暖冬影響や他社へのスイッチング等により、前期に比べて3.1%減の18億4千1百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、需要開発等による増加があったものの、競合影響や特定のお客さま設備の稼働が減少したことなどにより、前期に比べて8.5%減の55億2千2百万m3となりました。
家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、ガス機器・水まわりの修理等の住まいのお困りごとに対応する「住ミカタ・サービス」等の各種サービスの提供に努めました。
当期中に「エネファームtype S」の新商品を開発し、本年4月、発売いたしました。従来の機種に比べて、発電効率の向上と小型化を実現するとともに、スマートフォンの専用アプリと連動させてお使いいただけるIoTを活用した機能を拡充しております。停電時も電気と熱を供給する自立運転機能を備えた機種も用意しております。
業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、エンジニアリング力を活用し、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。
当期中に冷暖房システムの新商品「GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ」を開発し、本年4月、発売いたしました。従来の機種に比べて、エネルギー消費効率を約10%向上させるとともに、設置スペースの低減や軽量化を実現しております。
国内エネルギー・電力事業セグメントの売上高は、電力販売量が増加したことなどにより、前期に比べて11.1%増の2,048億円となりました。
低圧電気供給件数は、前期末に比べて39.9%増の132万2千件となり、電力販売量は、前期に比べて13.2%増の131億8千9百万kWhとなりました。
お客さまのライフスタイルやニーズにあわせた電気料金メニュー「スタイルプラン」に加え、お客さまの趣味や嗜好にあわせて、他の企業・団体と一緒に楽しく豊かな暮らしを応援する新たな電気料金メニュー「ウィズプラン」のラインアップを拡充するなど、電気の販売拡大に努めました。
2019年9月、兵庫県姫路市において、姫路天然ガス発電㈱による天然ガス火力発電所(発電容量約120万kW、2026年営業運転開始予定)の建設を決定し、同年12月には、大分県大分市における太陽光発電事業会社(保有発電容量約2.7万kW)の株式51%を追加取得し、同社(Daigas大分みらいソーラー㈱に商号変更)を完全子会社とするなど、電源(天然ガス火力発電・再生可能エネルギー発電)の拡大に努めました。
海外エネルギー事業セグメントの売上高は、LNG輸送収入の増加や前年度に取得した米国の天然ガス火力発電事業会社の貢献等により、前期に比べて51.3%増の612億円となりました。
2019年11月、米国テキサス州でシェールガス生産開発事業を行うSabine Oil & Gas Corporationの全株式を取得いたしました。同社は、米国テキサス州東部に約1,000k㎡の鉱区を保有しており、現在約1,200本の井戸からLNG換算で約170万トン/年相当のガスを生産しております。同社を米国エネルギー生産開発事業の推進母体と位置付け、同事業に関する当社の米国子会社の業務や資産を同社グループへ統合し、効率的かつ持続的な事業運営を推進しております。
2019年12月、米国ペンシルベニア州におけるフェアビュー天然ガス火力発電所(発電容量105万kW、事業会社の当社グループ持分50%)が完工し、商業運転を開始いたしました。また、本年3月には、米国の分散型太陽光発電開発事業への参画を決定するなど、米国における電力事業(天然ガス火力発電・再生可能エネルギー発電)の拡大に努めました。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントの売上高は、都市開発事業や情報ソリューション事業、材料ソリューション事業の販売増等により、前期に比べて4.0%増の2,194億円となりました。
都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス銀座東Ⅲ」をはじめとする8物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ塚口」をはじめとする2物件の分譲マンションが竣工いたしました。
情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、データセンター・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供に努めました。
材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、石炭化学技術等を基盤として、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めました。
③ 売上原価、供給販売費及び一般管理費
売上原価は、原材料費が減少したことなどにより、前期に比べて191億円減(△1.9%)の9,619億円となりました。供給販売費及び一般管理費は、ほぼ前期並みの3,229億円となりました。
④ 営業損益
国内エネルギー・ガス事業セグメントでは、営業利益は、原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響やガス事業費用の減少等により、前期に比べて178億円増(+51.3%)の526億円となりました。
国内エネルギー・電力事業セグメントでは、営業利益は、電力販売量の増加はありましたが、夏場の低気温、料金値下げ等による販売単価の低下、発電所の計画外停止等により、前期に比べて9億円減(△9.9%)の84億円となりました。
海外エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、フリーポートプロジェクト関連費用の増加等により、前期に比べて23億円減(△44.1%)の29億円となりました。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントでは、営業利益は、材料ソリューション事業の粗利率改善等
により、前期に比べて19億円増(+11.1%)の196億円となりました。
以上の結果、営業利益は前期に比べ、158億円増(+23.3%)の837億円となりました。
⑤ 営業外損益、経常利益
営業外収益は、前期に比べて101億円増の247億円となりました。これは持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期に比べて30億円増の225億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。
この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて229億円増(+36.3%)の860億円となりました。
⑥ 特別損益
当期においては、特別利益の発生はありません。
特別損失は、前期に比べて45億円増の155億円となりました。これは当期の減損損失(注)が、前期の災害による損失及びのれん償却額(注)の計上の反動による減少を上回ったものであります。
(注) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項 e 連結損益計算書関係」の「※4 のれん償却額」「※5 減損損失」を参照。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて81億円増(+24.4%)の417億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の80.80円に対し、当期は100.50円となりました。
⑧ 収益性、成長性に関する経営指標
当社グループは、2020年度計画として、連結ROE(自己資本当期純利益率)については7.1%、連結ROA(総資産当期純利益率)については3.3%、連結EBITDA(注)については2,000億円をそれぞれ収益性、成長性の経営指標として掲げております。
当期においては、連結ROE(自己資本当期純利益率)は4.2%、連結ROA(総資産当期純利益率)は2.0%、連結EBITDA(注)は1,809億円となりました。
これらの経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。
(注) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益
(注) 1 上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。
2 本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。
⑨ 新型コロナウイルス感染症への対応及び業績に対する影響
a 新型コロナウイルス感染症への対応
当社は、社会機能の維持に不可欠なエネルギーを供給する事業者として、災害や感染症の流行等の非常事態に備え、事業継続計画を策定しております。この度の新型コロナウイルス感染症の流行に際しては、対策本部を設置し、手洗いやマスクの着用といった基本的な感染予防・拡大防止措置の徹底に加え、在宅勤務・時差勤務等の推進、出張やイベントの自粛・中止等の対策を実施する等、事業継続に努めました。新型コロナウイルス感染症の流行の状況には引き続き注視してまいります。
b 業績に対する影響
翌連結会計年度以降、当社グループの経営成績及び財政状態に以下のような影響を与える可能性があります。
国内エネルギー事業では、業務用を中心としたお客さま設備の稼働減少等によるガス販売量の減少、原料価格の低下により、業績に影響が生じる可能性があります。なお、原料価格の変動が原料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでにはタイムラグがあります。
海外エネルギー事業では、原油価格やLNG価格の低下により、上流事業における業績に影響が生じる可能性があります。
ライフ&ビジネス ソリューション事業では、事業活動の一部休止や、営業活動の自粛等により業績に影響が生じる可能性があります。
現時点では不確定要素が多く、影響額を算定することは困難でありますが、引き続き業績への影響に注視してまいります。
(注) 「⑨ 新型コロナウイルス感染症への対応及び業績に対する影響」における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて1,177億円増の1,828億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益704億円が前期に比べて183億円増加したことに加え、売上債権の減少による収入122億円が前期に比べて399億円増加したこと、たな卸資産の減少による収入40億円が前期に比べて390億円増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて280億円支出増の2,322億円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,175億円が前期に比べて374億円増加したことや、Sabine Oil & Gas Corporationの全株式取得等により、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出633億円が前期に比べて405億円増加したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて59億円収入減の792億円の収入となりました。これは、社債の発行による収入が、当期における劣後特約付社債の発行等により1,750億円の収入となり、前期に比べ1,750億円増加したものの、コマーシャル・ぺーパーの純増減額が、前期は460億円の収入であった一方で、当期は460億円の支出となり、前期に比べて920億円の収入減となったことや、長期借入金による収入441億円が前期に比べて851億円減少したことなどによるものであります。
以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期に比べて310億円増の1,468億円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューションへの成長投資を行っていきます。
② 資産・負債及び純資産
当期末の総資産は2兆1,404億円となり、前期に比べて1,107億円増加しました。これは、固定資産が海外投資案件の取得等により前期に比べて829億円増加したこと、流動資産が現預金の増加等により前期に比べて278億円増加したことなどによるものであります。
当期末の負債は1兆1,128億円となり、前期に比べて1,181億円増加しました。これは、固定負債が社債の新規発行等により1,590億円増加したことなどによるものであります。
当期末の純資産は1兆276億円となり、前期に比べて73億円減少しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期に比べて199億円増加したこと、その他の包括利益累計額が繰延ヘッジ損益やその他有価証券評価差額金の減少等により前期に比べて268億円減少したことなどによるものであります。
以上の結果、当期末の自己資本比率は46.6%となり、前期に比べて2.9ポイント減少しました。
③ 財務政策
当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度、連結自己資本比率50%程度を中長期的に維持していくことを掲げております。
当社グループはこれまで、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びGCMS(グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム)の導入によるグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率向上策やグローバル財務ガバナンスの向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクに起因する収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメント等の取組みを通じて、財務健全性の維持・向上を図ってきました。なお、当該GCMSにおいては、預入金及び借入金の相殺表示を行っており、当連結会計年度末の相殺金額は606億円であります。
当期においては、有利子負債が前期に比べて1,065億円増加したものの、連結D/E比率は0.76(劣後特約付社債考慮後(注):0.67)、連結自己資本比率は46.6%(劣後特約付社債考慮後:48.9%)となっており、財務健全性を維持しております。
今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、資金効率・資本効率のさらなる向上や財務リスクマネジメントなどに積極的に取り組んでいきます。
(注)利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)1,000億円の資本性50%を調整
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 有形固定資産、無形固定資産及び持分法適用会社に対する投資の減損
当社及び連結子会社は、有形固定資産及び無形固定資産について減損の兆候の有無の判定を行い、兆候がある場合、減損テストを実施しております。また、持分法適用会社に対する投資についても減損の兆候の有無の判定を行い、兆候がある場合、減損テストを実施しております。
回収可能価額等の算定の基礎となる、将来キャッシュ・フロー及びその現在価値を算定するための割引率を見積っております。
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による経済活動への影響やこれに関連した原油価格等のエネルギー価格の下落等により、将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが悪化し、回収可能価額等が低下した場合には減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社及び連結子会社は、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。事業計画等により、将来の発生が予測される課税所得の額及びその発生時期を見積っております。
予測された将来の課税所得が発生しなかった場合には、計上された繰延税金資産が回収されず、税金費用が増加する可能性があります。
③ 退職給付債務の算定
当社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しており、当期末における確定給付制度債務及び確定給付費用は、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率など年金数理計算上の前提条件に基づき計上しております。
これらの前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、当社及び連結子会社の退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループにおいては、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、国内エネルギー・電力事業セグメントにおいて当社等が営む電気供給事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。
このため、以下は、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおける生産実績及び販売実績、並びに国内エネルギー・電力事業セグメントにおける販売実績について記載しております。
(1) 生産実績
(ガス)
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
(2) 受注状況
(ガス)
ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。
(3) 販売実績
(ガス)
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) ( )内数値は前期比(%)であります。
(電力)
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) ( )内数値は前期比(%)であります。
(4) 生産、受注及び販売等に関する特記事項
ガス料金(当社)
a 2019年4月1日から2019年9月30日までの適用料金
供給約款料金に対しては、ガス料金改定(2019年3月29日実施)後の下記の料金表が適用されます。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用されます。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金があります。
(a) 料金表(供給約款料金)
ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用されます。
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定します。
2 延滞利息制度
ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生します。
(b) 原料費調整(スライド)制度
原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整する仕組みであります。
2019年4月1日から2019年9月30日は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用されました。
b 2019年10月1日から2020年3月31日までの適用料金
供給約款料金に対しては、ガス料金改定(2019年10月1日実施)後の下記の料金表が適用されます。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用されます。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金があります。
(a) 料金表(供給約款料金)
ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用されます。
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定します。
2 延滞利息制度
ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生します。
(b) 原料費調整(スライド)制度
原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整する仕組みであります。
2019年10月1日から2020年3月31日は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用されました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
① 概要
当期におけるわが国経済は、上期において、企業の設備投資や個人消費が堅調に推移したものの、下期には、記録的な暖冬等の影響に加え、期末にかけて世界各地で新型コロナウイルス感染症が拡大したことにより、厳しい状況を迎えることとなりました。
こうした経営環境のもと、当社グループは、「暮らしとビジネスの“さらなる進化”のお役に立つ企業グループ」となることを目指し、積極的に事業活動を展開してまいりました。
当期の売上高は、ガス事業で販売量が減少したことなどにより、前期に比べて31億円減(△0.2%)の1兆3,686億円となりました。経常利益は、ガス事業での原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響(注)やガス事業費用の減少等により、229億円増(+36.3%)の860億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、海外上流事業で減損損失を計上したものの、ガス事業での増益等により、81億円増(+24.4%)の417億円となりました。
(注) 原料価格の変動が原料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでには、一定の時間差があるため、一時的な増減益要因となります。当期は一時的な増益要因、前期は一時的な減益要因となっております。
② 売上高
売上高は、ガス事業で販売量が減少したことなどにより、前期に比べて31億円減(△0.2%)の1兆3,686億円となりました。当社グループのセグメント別売上高の中で最も大きな割合を占める国内エネルギー・ガス事業セグメントの売上高は、原料費調整制度によって都市ガス販売単価が高めに推移したものの、ガス販売量が減少したことなどにより、前期に比べて388億円減(△3.8%)の9,737億円となりました。
ガス供給件数は、前期末に比べて4.2%減の534万5千件となり、ガス販売量は、前期に比べて7.2%減の73億6千2百万m3となりました。
ガス販売量の状況を用途別に見ると、家庭用ガス販売量は、下期の暖冬影響や他社へのスイッチング等により、前期に比べて3.1%減の18億4千1百万m3となりました。業務用等のガス販売量は、需要開発等による増加があったものの、競合影響や特定のお客さま設備の稼働が減少したことなどにより、前期に比べて8.5%減の55億2千2百万m3となりました。
家庭用のガス機器・サービスにつきましては、給湯、暖房、調理等の機器・設備に加え、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、ガス機器・水まわりの修理等の住まいのお困りごとに対応する「住ミカタ・サービス」等の各種サービスの提供に努めました。
当期中に「エネファームtype S」の新商品を開発し、本年4月、発売いたしました。従来の機種に比べて、発電効率の向上と小型化を実現するとともに、スマートフォンの専用アプリと連動させてお使いいただけるIoTを活用した機能を拡充しております。停電時も電気と熱を供給する自立運転機能を備えた機種も用意しております。
業務用のガス機器・サービスにつきましては、コージェネレーションシステム、冷暖房システム、厨房機器、ボイラ、工業炉、バーナ等の商品の開発及び販売拡大に努めるとともに、エンジニアリング力を活用し、お客さまのニーズに応じた高付加価値のソリューションの提供に努めました。
当期中に冷暖房システムの新商品「GHP XAIR(エグゼア)Ⅲ」を開発し、本年4月、発売いたしました。従来の機種に比べて、エネルギー消費効率を約10%向上させるとともに、設置スペースの低減や軽量化を実現しております。
国内エネルギー・電力事業セグメントの売上高は、電力販売量が増加したことなどにより、前期に比べて11.1%増の2,048億円となりました。
低圧電気供給件数は、前期末に比べて39.9%増の132万2千件となり、電力販売量は、前期に比べて13.2%増の131億8千9百万kWhとなりました。
お客さまのライフスタイルやニーズにあわせた電気料金メニュー「スタイルプラン」に加え、お客さまの趣味や嗜好にあわせて、他の企業・団体と一緒に楽しく豊かな暮らしを応援する新たな電気料金メニュー「ウィズプラン」のラインアップを拡充するなど、電気の販売拡大に努めました。
2019年9月、兵庫県姫路市において、姫路天然ガス発電㈱による天然ガス火力発電所(発電容量約120万kW、2026年営業運転開始予定)の建設を決定し、同年12月には、大分県大分市における太陽光発電事業会社(保有発電容量約2.7万kW)の株式51%を追加取得し、同社(Daigas大分みらいソーラー㈱に商号変更)を完全子会社とするなど、電源(天然ガス火力発電・再生可能エネルギー発電)の拡大に努めました。
海外エネルギー事業セグメントの売上高は、LNG輸送収入の増加や前年度に取得した米国の天然ガス火力発電事業会社の貢献等により、前期に比べて51.3%増の612億円となりました。
2019年11月、米国テキサス州でシェールガス生産開発事業を行うSabine Oil & Gas Corporationの全株式を取得いたしました。同社は、米国テキサス州東部に約1,000k㎡の鉱区を保有しており、現在約1,200本の井戸からLNG換算で約170万トン/年相当のガスを生産しております。同社を米国エネルギー生産開発事業の推進母体と位置付け、同事業に関する当社の米国子会社の業務や資産を同社グループへ統合し、効率的かつ持続的な事業運営を推進しております。
2019年12月、米国ペンシルベニア州におけるフェアビュー天然ガス火力発電所(発電容量105万kW、事業会社の当社グループ持分50%)が完工し、商業運転を開始いたしました。また、本年3月には、米国の分散型太陽光発電開発事業への参画を決定するなど、米国における電力事業(天然ガス火力発電・再生可能エネルギー発電)の拡大に努めました。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントの売上高は、都市開発事業や情報ソリューション事業、材料ソリューション事業の販売増等により、前期に比べて4.0%増の2,194億円となりました。
都市開発事業を展開する大阪ガス都市開発㈱は、当期中に「アーバネックス銀座東Ⅲ」をはじめとする8物件の賃貸マンションを取得し、資産の拡充に努めました。また、「シーンズ塚口」をはじめとする2物件の分譲マンションが竣工いたしました。
情報ソリューション事業を展開する㈱オージス総研は、企業情報システムのコンサルティング・設計・開発・運用や、データセンター・クラウドサービス等、総合的なITサービスの提供に努めました。
材料ソリューション事業を展開する大阪ガスケミカル㈱は、石炭化学技術等を基盤として、ファイン材料、炭素材製品、保存剤等、付加価値の高い材料等の開発及び販売拡大に努めました。
③ 売上原価、供給販売費及び一般管理費
売上原価は、原材料費が減少したことなどにより、前期に比べて191億円減(△1.9%)の9,619億円となりました。供給販売費及び一般管理費は、ほぼ前期並みの3,229億円となりました。
④ 営業損益
国内エネルギー・ガス事業セグメントでは、営業利益は、原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグによる増益影響やガス事業費用の減少等により、前期に比べて178億円増(+51.3%)の526億円となりました。
国内エネルギー・電力事業セグメントでは、営業利益は、電力販売量の増加はありましたが、夏場の低気温、料金値下げ等による販売単価の低下、発電所の計画外停止等により、前期に比べて9億円減(△9.9%)の84億円となりました。
海外エネルギー事業セグメントでは、営業利益は、フリーポートプロジェクト関連費用の増加等により、前期に比べて23億円減(△44.1%)の29億円となりました。
ライフ&ビジネス ソリューション事業セグメントでは、営業利益は、材料ソリューション事業の粗利率改善等
により、前期に比べて19億円増(+11.1%)の196億円となりました。
以上の結果、営業利益は前期に比べ、158億円増(+23.3%)の837億円となりました。
⑤ 営業外損益、経常利益
営業外収益は、前期に比べて101億円増の247億円となりました。これは持分法による投資利益が増加したことなどによるものであります。
営業外費用は、前期に比べて30億円増の225億円となりました。これは支払利息が増加したことなどによるものであります。
この結果、営業利益に営業外損益を加えた経常利益は、前期に比べて229億円増(+36.3%)の860億円となりました。
⑥ 特別損益
当期においては、特別利益の発生はありません。
特別損失は、前期に比べて45億円増の155億円となりました。これは当期の減損損失(注)が、前期の災害による損失及びのれん償却額(注)の計上の反動による減少を上回ったものであります。
(注) 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項 e 連結損益計算書関係」の「※4 のれん償却額」「※5 減損損失」を参照。
⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べて81億円増(+24.4%)の417億円となりました。1株当たり当期純利益は、前期の80.80円に対し、当期は100.50円となりました。
⑧ 収益性、成長性に関する経営指標
当社グループは、2020年度計画として、連結ROE(自己資本当期純利益率)については7.1%、連結ROA(総資産当期純利益率)については3.3%、連結EBITDA(注)については2,000億円をそれぞれ収益性、成長性の経営指標として掲げております。
当期においては、連結ROE(自己資本当期純利益率)は4.2%、連結ROA(総資産当期純利益率)は2.0%、連結EBITDA(注)は1,809億円となりました。
これらの経営指標の推移を踏まえながら、当社グループは引き続き収益性、成長性の向上に努めます。
(注) 営業利益+減価償却費+のれん償却額+持分法投資損益
(注) 1 上記のセグメント別売上高、セグメント損益には、セグメント間の内部取引に係る金額を含んでおります。
2 本報告書では、ガス量はすべて1m3当たり45MJ(メガジュール)で表示しております。
⑨ 新型コロナウイルス感染症への対応及び業績に対する影響
a 新型コロナウイルス感染症への対応
当社は、社会機能の維持に不可欠なエネルギーを供給する事業者として、災害や感染症の流行等の非常事態に備え、事業継続計画を策定しております。この度の新型コロナウイルス感染症の流行に際しては、対策本部を設置し、手洗いやマスクの着用といった基本的な感染予防・拡大防止措置の徹底に加え、在宅勤務・時差勤務等の推進、出張やイベントの自粛・中止等の対策を実施する等、事業継続に努めました。新型コロナウイルス感染症の流行の状況には引き続き注視してまいります。
b 業績に対する影響
翌連結会計年度以降、当社グループの経営成績及び財政状態に以下のような影響を与える可能性があります。
国内エネルギー事業では、業務用を中心としたお客さま設備の稼働減少等によるガス販売量の減少、原料価格の低下により、業績に影響が生じる可能性があります。なお、原料価格の変動が原料費調整制度に基づく販売単価に反映されるまでにはタイムラグがあります。
海外エネルギー事業では、原油価格やLNG価格の低下により、上流事業における業績に影響が生じる可能性があります。
ライフ&ビジネス ソリューション事業では、事業活動の一部休止や、営業活動の自粛等により業績に影響が生じる可能性があります。
現時点では不確定要素が多く、影響額を算定することは困難でありますが、引き続き業績への影響に注視してまいります。
(注) 「⑨ 新型コロナウイルス感染症への対応及び業績に対する影響」における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(2) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前期に比べて1,177億円増の1,828億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益704億円が前期に比べて183億円増加したことに加え、売上債権の減少による収入122億円が前期に比べて399億円増加したこと、たな卸資産の減少による収入40億円が前期に比べて390億円増加したことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて280億円支出増の2,322億円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,175億円が前期に比べて374億円増加したことや、Sabine Oil & Gas Corporationの全株式取得等により、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出633億円が前期に比べて405億円増加したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて59億円収入減の792億円の収入となりました。これは、社債の発行による収入が、当期における劣後特約付社債の発行等により1,750億円の収入となり、前期に比べ1,750億円増加したものの、コマーシャル・ぺーパーの純増減額が、前期は460億円の収入であった一方で、当期は460億円の支出となり、前期に比べて920億円の収入減となったことや、長期借入金による収入441億円が前期に比べて851億円減少したことなどによるものであります。
以上の活動の結果、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期に比べて310億円増の1,468億円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、社債、借入金及び自己資金を財源としながら、ガス事業の基盤である本支供給管等の品質向上投資や、国内エネルギー、海外エネルギー、ライフ&ビジネス ソリューションへの成長投資を行っていきます。
② 資産・負債及び純資産
当期末の総資産は2兆1,404億円となり、前期に比べて1,107億円増加しました。これは、固定資産が海外投資案件の取得等により前期に比べて829億円増加したこと、流動資産が現預金の増加等により前期に比べて278億円増加したことなどによるものであります。
当期末の負債は1兆1,128億円となり、前期に比べて1,181億円増加しました。これは、固定負債が社債の新規発行等により1,590億円増加したことなどによるものであります。
当期末の純資産は1兆276億円となり、前期に比べて73億円減少しました。これは、株主資本が利益剰余金の増加等により前期に比べて199億円増加したこと、その他の包括利益累計額が繰延ヘッジ損益やその他有価証券評価差額金の減少等により前期に比べて268億円減少したことなどによるものであります。
以上の結果、当期末の自己資本比率は46.6%となり、前期に比べて2.9ポイント減少しました。
③ 財務政策
当社グループは、2017年3月に策定した長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020「Going Forward Beyond Borders」において経営指標を定めました。財務健全性指標としては、連結D/E比率(有利子負債/自己資本)0.7程度、連結自己資本比率50%程度を中長期的に維持していくことを掲げております。
当社グループはこれまで、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びGCMS(グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム)の導入によるグループ全体の資金効率向上策、フリーキャッシュフローを活用した有利子負債の削減や自己株式取得等の投下資本効率向上策やグローバル財務ガバナンスの向上策の実施のほか、事業遂行上の様々なリスクに起因する収益変動をヘッジするための財務リスクマネジメント等の取組みを通じて、財務健全性の維持・向上を図ってきました。なお、当該GCMSにおいては、預入金及び借入金の相殺表示を行っており、当連結会計年度末の相殺金額は606億円であります。
当期においては、有利子負債が前期に比べて1,065億円増加したものの、連結D/E比率は0.76(劣後特約付社債考慮後(注):0.67)、連結自己資本比率は46.6%(劣後特約付社債考慮後:48.9%)となっており、財務健全性を維持しております。
今後も長期経営ビジョン2030・中期経営計画2020の実現に向け、資金効率・資本効率のさらなる向上や財務リスクマネジメントなどに積極的に取り組んでいきます。
(注)利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)1,000億円の資本性50%を調整
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 有形固定資産、無形固定資産及び持分法適用会社に対する投資の減損
当社及び連結子会社は、有形固定資産及び無形固定資産について減損の兆候の有無の判定を行い、兆候がある場合、減損テストを実施しております。また、持分法適用会社に対する投資についても減損の兆候の有無の判定を行い、兆候がある場合、減損テストを実施しております。
回収可能価額等の算定の基礎となる、将来キャッシュ・フロー及びその現在価値を算定するための割引率を見積っております。
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による経済活動への影響やこれに関連した原油価格等のエネルギー価格の下落等により、将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが悪化し、回収可能価額等が低下した場合には減損損失の計上が必要になる可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社及び連結子会社は、税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものに限り繰延税金資産を認識しております。事業計画等により、将来の発生が予測される課税所得の額及びその発生時期を見積っております。
予測された将来の課税所得が発生しなかった場合には、計上された繰延税金資産が回収されず、税金費用が増加する可能性があります。
③ 退職給付債務の算定
当社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度及び確定拠出制度を採用しており、当期末における確定給付制度債務及び確定給付費用は、割引率、退職率、死亡率及び長期期待運用収益率など年金数理計算上の前提条件に基づき計上しております。
これらの前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、当社及び連結子会社の退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。
(生産、受注及び販売の状況)
当社グループにおいては、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおいて当社及び名張近鉄ガス㈱等が営むガス事業が生産活動の中心となっており、販売活動では、ガス事業に加えて、国内エネルギー・電力事業セグメントにおいて当社等が営む電気供給事業の比重も高まりつつあります。また、当該セグメント以外のセグメントが生産・販売する製品やサービスは広範囲かつ多様であり、受注形態をとらないものも多くあります。
このため、以下は、国内エネルギー・ガス事業セグメントにおける生産実績及び販売実績、並びに国内エネルギー・電力事業セグメントにおける販売実績について記載しております。
(1) 生産実績
(ガス)
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
製品 | 生産量(百万m3) | 前期比(%) |
ガス | 7,497 | △8.3 |
(2) 受注状況
(ガス)
ガス販売については、その性質上受注生産は行いません。
(3) 販売実績
(ガス)
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
家庭用 | 1,841 | 百万m3 | (△3.1) | ||
ガス販売量 | 業務用等 | 5,522 | 百万m3 | (△8.5) | |
計 | 7,362 | 百万m3 | (△7.2) | ||
ガス供給件数 | 5,345 | 千件 | (△4.2) |
(注) ( )内数値は前期比(%)であります。
(電力)
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
電力販売量 | 小売 | 4,617 | 百万kWh | (+33.5) | |
卸等 | 8,572 | 百万kWh | (+4.6) | ||
計 | 13,189 | 百万kWh | (+13.2) | ||
低圧電気供給件数 | 1,322 | 千件 | (+39.9) |
(注) ( )内数値は前期比(%)であります。
(4) 生産、受注及び販売等に関する特記事項
ガス料金(当社)
a 2019年4月1日から2019年9月30日までの適用料金
供給約款料金に対しては、ガス料金改定(2019年3月29日実施)後の下記の料金表が適用されます。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用されます。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金があります。
(a) 料金表(供給約款料金)
ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用されます。
月間使用量区分 | 料金表A | 料金表B | 料金表C | 料金表D | 料金表E | 料金表F | 料金表G | 料金表H | |
(月間使用量20m3まで) | (月間使用量20m3超50m3 まで) | (月間使用量50m3超100m3 まで) | (月間使用量100m3超200m3まで) | (月間使用量200m3超350m3まで) | (月間使用量350m3超500m3まで) | (月間使用量 500m3超1,000m3 まで) | (月間使用量1,000m3超) | ||
基本料金 (1ヶ月当たり)(円) | 税 込 | 745.20 | 1,340.00 | 1,606.00 | 2,037.00 | 3,443.00 | 3,765.00 | 6,855.00 | 7,175.00 |
基準単位料金 (1m3当たり)(円) | 税 込 | 171.64 | 141.90 | 136.58 | 132.27 | 125.24 | 124.32 | 118.14 | 117.82 |
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定します。
2 延滞利息制度
ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生します。
(b) 原料費調整(スライド)制度
原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整する仕組みであります。
2019年4月1日から2019年9月30日は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用されました。
検針月 | 1m3当たり調整額 (円/m3)<税込> |
2019年4月 | +0.34 |
〃 5月 | △0.18 |
〃 6月 | △1.49 |
〃 7月 | △3.24 |
〃 8月 | △5.60 |
〃 9月 | △8.23 |
b 2019年10月1日から2020年3月31日までの適用料金
供給約款料金に対しては、ガス料金改定(2019年10月1日実施)後の下記の料金表が適用されます。また、原料費調整(スライド)制度により、調整の必要がある場合は、下記の基準単位料金に代えて調整単位料金が適用されます。なお、供給約款料金以外の料金として選択約款料金及び個別の交渉に基づく大口需要家向けの料金があります。
(a) 料金表(供給約款料金)
ガス料金は基本料金及び従量料金の合計とし、各月の使用量に応じてA・B・C・D・E・F・G・Hのいずれかの料金表が適用されます。
月間使用量区分 | 料金表A | 料金表B | 料金表C | 料金表D | 料金表E | 料金表F | 料金表G | 料金表H | |
(月間使用量20m3まで) | (月間使用量20m3超50m3 まで) | (月間使用量50m3超100m3 まで) | (月間使用量100m3超200m3まで) | (月間使用量200m3超350m3まで) | (月間使用量350m3超500m3まで) | (月間使用量 500m3超1,000m3 まで) | (月間使用量1,000m3超) | ||
基本料金 (1ヶ月当たり)(円) | 税 込 | 759.00 | 1,364.81 | 1,635.74 | 2,074.72 | 3,506.75 | 3,834.72 | 6,981.94 | 7,307.87 |
基準単位料金 (1m3当たり)(円) | 税 込 | 174.81 | 144.52 | 139.10 | 134.71 | 127.55 | 126.62 | 120.32 | 120.00 |
(注) 1 基本料金は、ガスメーター1個についての料金であり、従量料金は、使用量に基準単位料金又は調整単位料金を乗じて算定します。
2 延滞利息制度
ガス料金の支払いが支払期限日(検針日の翌日から30日目)を経過した場合に、その経過日数に応じて1日当たり0.0274%(年率約10%)の率で算定した延滞利息が発生します。
(b) 原料費調整(スライド)制度
原料費調整(スライド)制度とは、LNGやLPG等の原料価格の変動に応じて、ガス料金の基準単位料金を調整する仕組みであります。
2019年10月1日から2020年3月31日は、上記(a)料金表の基準単位料金に対し、次のとおりの調整を行った調整単位料金が適用されました。
検針月 | 1m3当たり調整額 (円/m3)<税込> |
2019年10月 | △9.18 |
〃 11月 | △9.00 |
〃 12月 | △9.18 |
2020年1月 | △9.45 |
〃 2月 | △10.16 |
〃 3月 | △9.90 |