有価証券報告書-第95期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/29 11:12
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府及び日本銀行による経済政策や金融緩和策の効果等により、企業収益や雇用・所得環境の改善が引き続き見られ、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。ただし、中国をはじめアジア新興国等の経済の先行き、政策に関する不確実性による影響、金融資本市場の変動の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いており、当社を取り巻く事業環境におきましても、個人消費の多様化や節約志向等により、厳しい情勢下にありました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。その結果、売上高は1,243億1千7百万円(前年度比3.2%減)、営業利益は174億6千9百万円(前年度比0.0%増)、経常利益は213億7千9百万円(前年度比6.7%増)となり、また、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として減損損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は107億1千万円(前年度比2.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[映像関連事業]
映画事業は、劇場用映画の提携製作配給と他社作品の受託配給等を行い、「花戦さ」「劇場版 仮面ライダーエグゼイド トゥルー・エンディング/宇宙戦隊キュウレンジャー THE MOVIE ゲース・インダベーの逆襲」「映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!」「探偵はBARにいる3」「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイド with レジェンドライダー」「北の桜守」「映画プリキュアスーパースターズ!」等がヒットしました。
ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて576作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」等79本、30分もの「仮面ライダーエグゼイド」「ワンピース」「キラキラ☆プリキュアアラモード」等301本、ワイド・スペシャルもの「日曜ワイド劇場 おかしな刑事」等47本の計427本を製作して高率のシェアを維持し、また「宇宙戦隊キュウレンジャー」「仮面ライダーエグゼイド」「仮面ライダービルド」等キャラクターの商品化権営業も順調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向けに映像ソフトの有料配信を行い、その結果、旧作テレビ時代劇や「相棒」シリーズの放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売が好調でした。さらに、アニメ関連では、中国向けの大口映像配信権の販売が好調だったのに加えて、アプリゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」が国内外で好稼働しました。
そのほか、国際事業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「手裏剣戦隊ニンニンジャー」等テレビ映画の海外向け商品化権営業とともに、「X-MEN」等外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、2017年教育映像祭において「こころを育てる映像教材集 第3巻 義足がくれたもの」「認知症と向き合う」が最優秀作品賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は819億5千6百万円(前年度比1.4%減)、営業利益は138億9千9百万円(前年度比2.3%減)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業は、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、東映㈱直営劇場4スクリーンを含む205スクリーン体制で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は205億3千3百万円(前年度比0.6%増)、営業利益は19億2百万円(前年度比4.0%減)となりました。
[催事関連事業]
当連結会計年度は、文化催事の「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売等、積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は85億2千1百万円(前年度比6.1%減)、営業利益は11億3千5百万円(前年度比7.4%増)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、商業施設の賃貸業においては、全体的に厳しい市場環境が続いております。当連結会計年度は、引き続き「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、建設ラッシュが続き、業界環境は回復基調で推移いたしました。当連結会計年度は、各ホテルとも収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開するとともに、原価・経費の改善にも努めました。また、賃借物件であった福岡東映ホテル別館を購入したことにより、賃料の削減にもつながりました。
以上により、当セグメントの売上高は64億4千万円(前年度比1.7%増)、営業利益は28億5千2百万円(前年度比7.3%増)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、公共投資を中心に底堅く推移しており、民間設備投資は企業収益の改善等を背景に回復基調を維持するなど、中期的にも建設需要は堅調に推移することが予想されます。しかしその反面、建設技能者・技術者の不足や建設コストの上昇といった問題、さらには働き方改革への対応等、依然として予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および新規顧客の獲得に懸命の営業活動をいたしました。
以上により、当セグメントの売上高は68億6千6百万円(前年度比27.4%減)、営業利益は2億5千9百万円(前年度比129.5%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、2,735億4千1百万円となり、前期末に比べ158億6千3百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が14億2千3百万円、流動資産のその他が16億5千6百万円、建物及び構築物が67億1千9百万円、土地が26億8千6百万円、投資有価証券が52億4千4百万円、投資その他の資産のその他が11億3千万円増加し、建設仮勘定が37億9千9百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債の部は、775億1百万円となり、前期末に比べ5億3千9百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が15億3千9百万円、流動負債のその他が4億7千3百万円、長期借入金が44億8百万円増加し、1年内償還予定の社債が60億円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の部は、1,960億3千9百万円となり、前期末に比べ153億2千3百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が98億1千4百万円、その他有価証券評価差額金が13億4千6百万円、非支配株主持分が37億4千8百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが157億9千9百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが117億1百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが37億9千3百万円減少した結果、417億5千2百万円(前年同期は415億8千6百万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、157億9千9百万円(前年同期は160億3千6百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益216億7千9百万円、利息及び配当金の受取額14億9千3百万円による増加と、法人税等の支払額63億5千7百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、117億1百万円(前年同期は13億6千6百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入52億7千6百万円による増加と、定期預金の預入による支出80億3千4百万円、有形固定資産の取得による支出100億5千1百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により支出した資金は、37億9千3百万円(前年同期は49億2千7百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入91億円による増加と、長期借入金の返済による支出45億6千万円、社債の償還による支出60億円、親会社による配当金の支払額9億2百万円、非支配株主への配当金の支払額10億6千3百万円による減少があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
a. 売上高
当連結会計年度における売上高は、1,243億1千7百万円(前年度比3.2%減)となりました。これは、主に映像関連事業の売上が11億7千3百万円、建築内装事業の売上が25億9千7百万円減少したことによります。
b. 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、446億2千6百万円(前年度比0.6%減)となりました。
c. 販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、271億5千7百万円(前年度比1.1%減)となりました。これは、主に人件費が3億5千2百万円増加し、広告宣伝費が1億9千5百万円、貸倒引当金繰入額が3億1千1百万円減少したことによります。
d. 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、174億6千9百万円(前年度比0.0%増)となりました。これは、主に観光不動産事業の営業利益が1億9千3百万円、建築内装事業の営業利益が1億4千6百万円増加し、映像関連事業の営業利益が3億2千1百万円減少したことによります。
e. 経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、持分法による投資利益等により42億7千7百万円(前年度比28.4%増)、営業外費用は、支払利息等により3億6千6百万円(前年度比51.0%減)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は213億7千9百万円(前年度比6.7%増)となりました。
f. 特別損益
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益により5億4千3百万円、特別損失は、減損損失等により2億4千4百万円を計上しております。
g. 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益が1億8千4百万円増加しておりますが、親会社株主に帰属する当期純利益は107億1千万円となり、前連結会計年度に比較して24億8千万円、2.3%の減益となりました。
h. 資産
当連結会計年度末における総資産は、2,735億4千1百万円(前年度比6.2%増)となりました。セグメントごとの内訳は、映像関連事業の資産が1,627億4千2百万円(前年度比8.0%増)、興行関連事業の資産が162億9千2百万円(前年度比9.5%増)、催事関連事業の資産が40億8千8百万円(前年度比7.7%減)、観光不動産事業の資産が499億7千6百万円(前年度比6.9%増)、建築内装事業の資産が64億1千4百万円(前年度比11.4%増)、各報告セグメントに配分していない全社資産等が340億2千7百万円(前年度比3.5%減)であります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
当社グループとしては、映像関連事業部門を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金または借入金により調達しております。
当連結会計年度末の借入金と社債の合計残高は158億6千3百万円であり、前連結会計年度末残高に比較して14億6千万円減少しております。引き続きグループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減を図り、グループ全体の有利子負債の削減に努めてまいります。
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。
なお、キャッシュフローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。