訂正有価証券報告書-第100期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/07/11 14:06
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナを前提とした社会経済活動の正常化が進み景気の穏やかな回復が見られたものの、海外景気の下振れリスクや物価上昇等の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
このような状況のなかで当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底しながら、映像関連事業・興行関連事業・催事関連事業・観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきまして堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、売上高は1,743億5千8百万円、営業利益は363億3千9百万円、経常利益は401億7千2百万円となり、また、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として減損損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は150億2千5百万円となりました。
売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に帰属する当期純利益
(百万円)
1株当たり
当期純利益
(円)
当連結会計年度174,35836,33940,17215,0251,212.40
前連結会計年度117,53917,81023,3038,977723.31
増減率(%)48.3104.072.467.467.6

② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりです。
資産合計
(百万円)
負債合計
(百万円)
純資産合計
(百万円)
自己資本比率
(%)
1株当たり純資産
(円)
当連結会計年度末379,88996,716283,17256.017,172.50
前連結会計年度末348,56187,433261,12757.616,176.24
増減率(%)9.010.68.4-6.2

③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりです。
営業活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
投資活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
財務活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)
現金及び現金同等物の期末残高
(百万円)
当連結会計年度27,323△7,815△6,59971,315
前連結会計年度14,479△17,860△3,40357,390
増減額(百万円)12,84310,044△3,19613,924

④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。
売上高営業利益又は損失
前連結会計
年度
(百万円)
当連結会計
年度
(百万円)
増減率
(%)
前連結会計
年度
(百万円)
当連結会計
年度
(百万円)
増減率
(%)
映像関連事業89,257135,17951.419,41135,16781.2
興行関連事業14,15018,44930.4△262900-
催事関連事業4,82310,015107.6△4921,276-
観光不動産事業5,0535,96718.11,4402,16850.6
建築内装事業4,2544,74611.618348△73.7
全社・消去---△2,469△3,222-
連結計117,539174,35848.317,81036,339104.0

[映像関連事業]
映画事業は、提携製作作品等43本を配給し、このうち、「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」が大ヒットし、「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」「レジェンド&バタフライ」「シン・仮面ライダー」等が好調な成績を収めました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分作品「相棒」「科捜研の女」など60本、30分作品「仮面ライダーリバイス」「デリシャスパーティ♡プリキュア」など324本、ワイド・スペシャル作品「西村京太郎トラベルミステリー・ファイナル」など20本の計404本を製作してシェアを維持し、また「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」「仮面ライダーリバイス」「仮面ライダーギーツ」などキャラクターの商品化権営業も好調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇やテレビ映画「相棒」シリーズ等の放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD事業者向けのコンテンツ販売が好調でした。また、「東映特撮ファンクラブ」における会員数の増加が売上に寄与しました。ビデオソフト販売においては、当社グループの連携を密にして、DVD・ブルーレイディスクあわせて318作品を発売し、「仮面ライダー」シリーズ、「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」等のDVD、ブルーレイディスク販売が好調でした。アニメ関連では、「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」の海外上映権販売や海外映像配信権販売に加え、国内外における「ワンピース」や「ドラゴンボール」シリーズ等の商品化権販売等が好調に稼働しました。国際営業は、劇場用映画・テレビ映画等の海外販売、「機界戦隊ゼンカイジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権販売とともに、「ボヘミアン・ラプソディ」「アド・アストラ」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給等を行い、2022年教育映像祭において「夕焼け」が最優秀作品賞を受賞しました。
そのほか、撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は1,351億7千9百万円(前年度比51.4%増)、営業利益は351億6千7百万円(前年度比81.2%増)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業は、「ONE PIECE FILM RED」等ヒット作の上映を背景に興行収入は好調に推移しました。なお、2022年12月4日に当社直営館である「渋谷TOEI」(2スクリーン)が閉館し、当連結会計年度末において220スクリーン体制(東映㈱直営館2スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は184億4千9百万円(前年度比30.4%増)、営業利益は9億円(前年同期は2億6千2百万円の営業損失)となりました。
[催事関連事業]
催事事業は、新型コロナウイルス感染症が落ち着きをみせるなか、ウィズコロナを目指したイベント実施を模索し、感染症対策の徹底や人数制限を行いながらの実施となるなど、依然厳しい状況が続きました。このような状況のなか「生誕50周年 THE仮面ライダー」「出版120周年 ピーターラビット展」をはじめ、様々なジャンルの展示型イベント、ライブイベントや舞台演劇、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品やオンラインサイトによるイベント商品の通信販売を行うなど積極的な営業活動を展開いたしました。東映太秦映画村においては、行動制限の緩和により入場者数に回復基調が見られました。
以上により、当セグメントの売上高は100億1千5百万円(前年度比107.6%増)、営業利益は12億7千6百万円(前年同期は4億9千2百万円の営業損失)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、商業施設を中心に賃料減免要請は一時に比べて落ち着きを取り戻しつつありますが、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、特に地方圏では全体的に厳しい状況が続きました。当連結会計年度は、引き続き「渋谷東映プラザ」「オズ スタジオ シティ」「新宿三丁目イーストビル」等の賃貸施設が稼働しました。ホテル業においては、2022年10月からの入国制限緩和によりインバウンド需要が回復し、売上高は新型コロナウイルス感染症拡大前に概ね戻りつつありますが、その一方、光熱費等の物価高の影響を受けております。このような状況のなか、価格改定やコスト管理の徹底に努めるなど営業努力を重ねました。
以上により、当セグメントの売上高は59億6千7百万円(前年度比18.1%増)、営業利益は21億6千8百万円(前年度比50.6%増)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、景気見通しが不透明ななか、民間設備投資は増加基調にあり、建設需要は堅調な動きを見せております。一方、幅広い資機材の価格が上昇し、受注や調達における対策が必要な状況にあります。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネコン関係の工事等を手掛けました。
以上により、当セグメントの売上高は47億4千6百万円(前年度比11.6%増)、営業利益は4千8百万円(前年度比73.7%減)となりました。
当社グループの主幹事業である映像関連事業におきましては、その中核を成す劇場用映画がヒットするか否かの予測が困難であり、その好不調がテレビ事業、コンテンツ事業等の映像関連事業全般に広く影響を及ぼすことから、収益の安定化が命題となっております。そのため、より一層の営業努力に邁進し、業界各社との強力な連携を図り、収益力を見極めた企画の選定に注力する一方で、不動産賃貸業にて保有する賃貸資産の有効活用等に努めることで、安定した収益確保に努めて参ります。
このような状況のなかで当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、3,798億8千9百万円となり、前期末に比べ313億2千7百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が119億8千2百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が141億7千4百万円、商品及び製品が44億9千6百万円、投資その他の資産のその他が57億3千6百万円増加し、仕掛品が51億4千9百万円減少したことによるものであります。
負債合計は、967億1千6百万円となり、前期末に比べ92億8千2百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が36億5千9百万円、未払法人税等が41億7千5百万円、流動負債のその他が29億6千1百万円、長期借入金が67億6千9百万円増加し、短期借入金が72億2千万円、1年内返済予定の長期借入金が19億3百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は、2,831億7千2百万円となり、前期末に比べ220億4千4百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が143億1千1百万円、非支配株主持分が101億8千7百万円増加し、その他有価証券評価差額金が28億3千1百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが273億2千3百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが78億1千5百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが65億9千9百万円減少した結果、713億1千5百万円(前年同期は573億9千万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、273億2千3百万円(前年同期は144億7千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益386億1千万円、減価償却費34億2千1百万円、減損損失15億3千3百万円、仕入債務の増減額22億5千9百万円、未払消費税等の増減額12億6千3百万円、その他の流動負債の増減額11億1千7百万円、利息及び配当金の受取額26億9千万円の増加と、受取利息及び受取配当金16億5千1百万円、持分法による投資損益18億8千8百万円、売上債権及び契約資産の増減額135億9千万円、法人税等の支払額70億5千9百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、78億1千5百万円(前年同期は178億6千万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入389億2千3百万円による増加と、定期預金の預入による支出409億7千1百万円、有形固定資産の取得による支出44億9千8百万円、無形固定資産の取得による支出10億3千3百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により支出した資金は、65億9千9百万円(前年同期は34億3百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入85億円による増加と、短期借入金の純増減額72億2千万円、長期借入金の返済による支出36億3千3百万円、非支配株主への配当金の支払額21億7千6百万円による減少があったことによります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。また、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかりつつ、適正な手許資金の水準について検証を実施し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することが、長期安定的な株主還元に繋がると考えております。
ロ.資金調達の方法及び状況
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金又は金融機関等からの借入金により資金を調達しております。また、財務基盤をより堅固なものとするべく、グループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減をはかり、グループ全体の有利子負債の削減に努めております。
なお、当連結会計年度末における金融機関等からの借入金については、次のとおりです。
前連結会計年度末
(百万円)
当連結会計年度末
(百万円)
増減額
(百万円)
短期借入金7,570350△7,220
1年内返済予定の長期借入金3,1331,229△1,903
長期借入金7,21713,9876,769
合計17,92015,566△2,353

ハ.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主な内容は、営業活動に係る資金支出では、劇場用映画やテレビ映画等の製作費、DVD・ブルーレイディスクの製作費、配給収入やコンテンツ事業収入に係る配分金のほか、シネコンの運営に関わる地代家賃、劇場用映画等の広告宣伝費、人件費等の販売費及び一般管理費があります。投資活動に係る資金支出では、撮影所やシネコン等の設備改修等があります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。