有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出、外出自粛・休業要請等により、企業活動や個人消費が著しく制限され、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
このような状況のなかで当社グループは、劇場用映画の公開延期やシネコンの営業休止、イベントの中止等の対応を実施し、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底しながら、映像関連事業・興行関連事業・催事関連事業・観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきまして堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、売上高は1,076億4千8百万円、営業利益は129億9千7百万円、経常利益は187億1千6百万円となり、また、特別利益として投資有価証券売却益等を、特別損失として減損損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は72億8千4百万円となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりです。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。
[映像関連事業]
映画事業は、提携製作作品等25本を配給し、このうち「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が大ヒットし、「樹海村」がヒットしたほか、「映画プリキュアミラクルリープ~みんなとの不思議な1日~」「サイレント・トーキョー」「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本/劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」等が堅調に稼働いたしました。
ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、当社グループの連携を密にして、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて320作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「犬鳴村」に加え、「仮面ライダージオウ NEXT TIME」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」など59本、30分もの「仮面ライダーゼロワン」「ヒーリングっど♥プリキュア」など290本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など27本の計376本を製作してシェアを維持し、また「魔進戦隊キラメイジャー」「仮面ライダーゼロワン」「仮面ライダーセイバー」などキャラクターの商品化権営業も堅調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇の放映権販売、テレビ映画「相棒」シリーズ等やAmazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD事業者向けのコンテンツ販売が好調でした。また、「東映特撮ファンクラブ」における会員数の増加が売上に寄与しました。アニメ関連では、北米向け劇場上映権、北米・アジア向け映像配信権の販売が好稼働しました。
そのほか、国際営業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「騎士竜戦隊リュウソウジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権販売とともに、「アンストッパブル」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、映文連アワード2020において人権啓発作品「サラーマット ~あなたの言葉で~」が部門優秀賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は811億6千9百万円(前年度比13.5%減)、営業利益は159億6千2百万円(前年度比17.1%減)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業では、自治体による休業要請や政府が発出した緊急事態宣言を受け、4月から5月にかけ東映㈱直営館及び㈱ティ・ジョイ運営のシネコンの営業を全国的に休止しました。営業再開後は新型コロナウイルス感染症対策の一環で座席制限を行うなか、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や他社配給作品が好稼働しました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大による損失は大きく、さらに収束の兆しも見えないことから業績回復には相応の時間を要すると想定されます。なお、2020年6月24日に㈱ティ・ジョイ運営のシネコン「T・ジョイ横浜」(9スクリーン)が開業し、214スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は116億2千7百万円(前年度比46.0%減)、営業損失は12億7千1百万円(前年同期は18億1百万円の営業利益)となりました。
[催事関連事業]
催事事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、キャラクターショーや文化催事、舞台演劇等が相次いで中止を余儀なくされるなど、大変厳しい状況にありました。このようななかで「古代エジプト展」「ムーミンコミックス展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、ライブイベントや舞台演劇、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。東映太秦映画村は、前連結会計年度の3月から引き続き、6月中旬にかけて新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休業しました。10月3日に「エヴァンゲリオン京都基地」をグランドオープンしましたが、入場制限を行わざるを得ず、こちらも引き続き、厳しい状況が予想されます。
以上により、当セグメントの売上高は35億2千5百万円(前年度比56.9%減)、営業損失は7億7千2百万円(前年同期は10億5千7百万円の営業利益)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一部テナントの家賃減免、賃料改定等の対応を余儀なくされ、全体的に大変厳しい状況が続きました。特に緊急事態宣言発出後は「渋谷東映プラザ」「オズ スタジオ シティ」「新宿三丁目イーストビル」等の賃貸施設は非常に厳しい情勢下にありました。一方で、住宅、オフィス用途の賃貸物件は堅調に推移しました。ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響で、インバウンド需要が低迷する等、業界環境は非常に厳しい状況に陥っております。当連結会計年度は、客室を「ワーキングスペース」「サービスアパートメント」等として販売、また、テイクアウトやデリバリー等、新たな需要の開拓に挑戦するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は49億8千3百万円(前年度比23.1%減)、営業利益は14億7百万円(前年度比48.4%減)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、景気見通しが不透明ななか、公共投資は底堅く推移しました。民間設備投資は投資計画の見直し等があり、厳しい事業環境が続いております。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネコン関係の工事等を手掛けました。
以上により、当セグメントの売上高は63億4千2百万円(前年度比44.0%減)、営業利益は2億8千7百万円(前年度比131.2%増)となりました。
当社グループの事業は、今後も新型コロナウイルス感染症により、一定の影響を受けることが見込まれます。映像関連事業、興行関連事業及び催事関連事業において、緊急事態宣言等の対象となる地域では、シネコンの営業休止や営業時間の短縮、イベントの中止等の対応を実施しております。また、観光不動産事業におきましても、賃貸収入の減少や長期間にわたる宿泊需要の低迷が想定されます。
このような状況のなかで当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、3,241億9千7百万円となり、前期末に比べ238億1千8百万円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が11億4千8百万円、仕掛品が23億8千7百万円、流動資産のその他が15億8千5百万円、投資有価証券が207億6千6百万円、投資その他の資産のその他が26億9千2百万円増加し、現金及び預金が31億3千4百万円、建設仮勘定が13億6千4百万円、繰延税金資産が18億8千9百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、800億6千4百万円となり、前期末に比べ29億7千5百万円増加しました。これは主に、短期借入金が91億円、長期借入金が18億4千4百万円、固定負債のその他が16億3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が25億1千4百万円、流動負債のその他が53億1千1百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,441億3千3百万円となり、前期末に比べ208億4千2百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が64億5千6百万円、その他有価証券評価差額金が102億3百万円、非支配株主持分が43億8千7百万円、自己株式が13億5千7百万円増加(純資産は減少)したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが17億6千7百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが78億1百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが54億4千1百万円増加した結果、633億6千4百万円(前年同期は636億8千万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、17億6千7百万円(前年同期は236億6千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益178億9百万円、減価償却費35億9千7百万円、利息及び配当金の受取額16億3千2百万円による増加と、持分法による投資損益42億1千4百万円、売上債権の増減額11億9千7百万円、たな卸資産の増減額23億1千3百万円、その他の流動資産の増減額11億1千2百万円、その他の流動負債の増減額46億6千9百万円、法人税等の支払額63億1百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、78億1百万円(前年同期は39億8千9百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入103億9千万円による増加と、定期預金の預入による支出106億2千6百万円、有形固定資産の取得による支出33億5千6百万円、投資有価証券の取得による支出43億3千8百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により得た資金は、54億4千1百万円(前年同期は55億7千3百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額91億円、長期借入れによる収入43億円による増加と、長期借入金の返済による支出49億6千9百万円、非支配株主への配当金の支払額16億9千万円による減少があったことによります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。また、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかりつつ、適正な手許資金の水準について検証を実施し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することが、長期安定的な株主還元に繋がると考えております。
ロ.資金調達の方法及び状況
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金又は金融機関等からの借入金により資金を調達しております。また、財務基盤をより堅固なものとするべく、グループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減をはかり、グループ全体の有利子負債の削減に努めております。
なお、当連結会計年度末における金融機関等からの借入金については、次のとおりです。
ハ.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主な内容は、営業活動に係る資金支出では、劇場用映画やテレビ映画等の製作費、DVD・ブルーレイディスクの製作費、配給収入やコンテンツ事業収入に係る配分金のほか、シネコンの運営に関わる地代家賃、劇場用映画等の広告宣伝費、人件費等の販売費及び一般管理費があります。投資活動に係る資金支出では、撮影所やシネコン等の設備改修等があります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出、外出自粛・休業要請等により、企業活動や個人消費が著しく制限され、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
このような状況のなかで当社グループは、劇場用映画の公開延期やシネコンの営業休止、イベントの中止等の対応を実施し、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底しながら、映像関連事業・興行関連事業・催事関連事業・観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきまして堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、売上高は1,076億4千8百万円、営業利益は129億9千7百万円、経常利益は187億1千6百万円となり、また、特別利益として投資有価証券売却益等を、特別損失として減損損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は72億8千4百万円となりました。
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) | 1株当たり 当期純利益 (円) | |
当連結会計年度 | 107,648 | 12,997 | 18,716 | 7,284 | 583.76 |
前連結会計年度 | 141,376 | 22,003 | 25,360 | 11,357 | 902.74 |
増減率(%) | △23.9 | △40.9 | △26.2 | △35.9 | △35.3 |
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりです。
資産合計 (百万円) | 負債合計 (百万円) | 純資産合計 (百万円) | 自己資本比率 (%) | 1株当たり純資産 (円) | |
当連結会計年度末 | 324,197 | 80,064 | 244,133 | 58.7 | 15,338.36 |
前連結会計年度末 | 300,379 | 77,088 | 223,290 | 57.9 | 13,909.16 |
増減率(%) | 7.9 | 3.9 | 9.3 | - | 10.3 |
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりです。
営業活動による キャッシュ・フロー (百万円) | 投資活動による キャッシュ・フロー (百万円) | 財務活動による キャッシュ・フロー (百万円) | 現金及び現金同等物の期末残高 (百万円) | |
当連結会計年度 | 1,767 | △7,801 | 5,441 | 63,364 |
前連結会計年度 | 23,669 | △3,989 | △5,573 | 63,680 |
増減額(百万円) | △21,902 | △3,811 | 11,014 | △316 |
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。
売上高 | 営業利益又は損失 | |||||
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | |
映像関連事業 | 93,843 | 81,169 | △13.5 | 19,250 | 15,962 | △17.1 |
興行関連事業 | 21,547 | 11,627 | △46.0 | 1,801 | △1,271 | - |
催事関連事業 | 8,182 | 3,525 | △56.9 | 1,057 | △772 | - |
観光不動産事業 | 6,476 | 4,983 | △23.1 | 2,727 | 1,407 | △48.4 |
建築内装事業 | 11,326 | 6,342 | △44.0 | 124 | 287 | 131.2 |
全社・消去 | - | - | - | △2,956 | △2,615 | - |
連結計 | 141,376 | 107,648 | △23.9 | 22,003 | 12,997 | △40.9 |
[映像関連事業]
映画事業は、提携製作作品等25本を配給し、このうち「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が大ヒットし、「樹海村」がヒットしたほか、「映画プリキュアミラクルリープ~みんなとの不思議な1日~」「サイレント・トーキョー」「劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本/劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」等が堅調に稼働いたしました。
ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、当社グループの連携を密にして、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて320作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「犬鳴村」に加え、「仮面ライダージオウ NEXT TIME」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」など59本、30分もの「仮面ライダーゼロワン」「ヒーリングっど♥プリキュア」など290本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など27本の計376本を製作してシェアを維持し、また「魔進戦隊キラメイジャー」「仮面ライダーゼロワン」「仮面ライダーセイバー」などキャラクターの商品化権営業も堅調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇の放映権販売、テレビ映画「相棒」シリーズ等やAmazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD事業者向けのコンテンツ販売が好調でした。また、「東映特撮ファンクラブ」における会員数の増加が売上に寄与しました。アニメ関連では、北米向け劇場上映権、北米・アジア向け映像配信権の販売が好稼働しました。
そのほか、国際営業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「騎士竜戦隊リュウソウジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権販売とともに、「アンストッパブル」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、映文連アワード2020において人権啓発作品「サラーマット ~あなたの言葉で~」が部門優秀賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は811億6千9百万円(前年度比13.5%減)、営業利益は159億6千2百万円(前年度比17.1%減)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業では、自治体による休業要請や政府が発出した緊急事態宣言を受け、4月から5月にかけ東映㈱直営館及び㈱ティ・ジョイ運営のシネコンの営業を全国的に休止しました。営業再開後は新型コロナウイルス感染症対策の一環で座席制限を行うなか、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」や他社配給作品が好稼働しました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大による損失は大きく、さらに収束の兆しも見えないことから業績回復には相応の時間を要すると想定されます。なお、2020年6月24日に㈱ティ・ジョイ運営のシネコン「T・ジョイ横浜」(9スクリーン)が開業し、214スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は116億2千7百万円(前年度比46.0%減)、営業損失は12億7千1百万円(前年同期は18億1百万円の営業利益)となりました。
[催事関連事業]
催事事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、キャラクターショーや文化催事、舞台演劇等が相次いで中止を余儀なくされるなど、大変厳しい状況にありました。このようななかで「古代エジプト展」「ムーミンコミックス展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、ライブイベントや舞台演劇、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。東映太秦映画村は、前連結会計年度の3月から引き続き、6月中旬にかけて新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休業しました。10月3日に「エヴァンゲリオン京都基地」をグランドオープンしましたが、入場制限を行わざるを得ず、こちらも引き続き、厳しい状況が予想されます。
以上により、当セグメントの売上高は35億2千5百万円(前年度比56.9%減)、営業損失は7億7千2百万円(前年同期は10億5千7百万円の営業利益)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一部テナントの家賃減免、賃料改定等の対応を余儀なくされ、全体的に大変厳しい状況が続きました。特に緊急事態宣言発出後は「渋谷東映プラザ」「オズ スタジオ シティ」「新宿三丁目イーストビル」等の賃貸施設は非常に厳しい情勢下にありました。一方で、住宅、オフィス用途の賃貸物件は堅調に推移しました。ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響で、インバウンド需要が低迷する等、業界環境は非常に厳しい状況に陥っております。当連結会計年度は、客室を「ワーキングスペース」「サービスアパートメント」等として販売、また、テイクアウトやデリバリー等、新たな需要の開拓に挑戦するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は49億8千3百万円(前年度比23.1%減)、営業利益は14億7百万円(前年度比48.4%減)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、景気見通しが不透明ななか、公共投資は底堅く推移しました。民間設備投資は投資計画の見直し等があり、厳しい事業環境が続いております。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネコン関係の工事等を手掛けました。
以上により、当セグメントの売上高は63億4千2百万円(前年度比44.0%減)、営業利益は2億8千7百万円(前年度比131.2%増)となりました。
当社グループの事業は、今後も新型コロナウイルス感染症により、一定の影響を受けることが見込まれます。映像関連事業、興行関連事業及び催事関連事業において、緊急事態宣言等の対象となる地域では、シネコンの営業休止や営業時間の短縮、イベントの中止等の対応を実施しております。また、観光不動産事業におきましても、賃貸収入の減少や長期間にわたる宿泊需要の低迷が想定されます。
このような状況のなかで当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
② 財政状態の分析
当連結会計年度末における資産合計は、3,241億9千7百万円となり、前期末に比べ238億1千8百万円増加しました。これは主に、受取手形及び売掛金が11億4千8百万円、仕掛品が23億8千7百万円、流動資産のその他が15億8千5百万円、投資有価証券が207億6千6百万円、投資その他の資産のその他が26億9千2百万円増加し、現金及び預金が31億3千4百万円、建設仮勘定が13億6千4百万円、繰延税金資産が18億8千9百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、800億6千4百万円となり、前期末に比べ29億7千5百万円増加しました。これは主に、短期借入金が91億円、長期借入金が18億4千4百万円、固定負債のその他が16億3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が25億1千4百万円、流動負債のその他が53億1千1百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,441億3千3百万円となり、前期末に比べ208億4千2百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が64億5千6百万円、その他有価証券評価差額金が102億3百万円、非支配株主持分が43億8千7百万円、自己株式が13億5千7百万円増加(純資産は減少)したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが17億6千7百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが78億1百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが54億4千1百万円増加した結果、633億6千4百万円(前年同期は636億8千万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、17億6千7百万円(前年同期は236億6千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益178億9百万円、減価償却費35億9千7百万円、利息及び配当金の受取額16億3千2百万円による増加と、持分法による投資損益42億1千4百万円、売上債権の増減額11億9千7百万円、たな卸資産の増減額23億1千3百万円、その他の流動資産の増減額11億1千2百万円、その他の流動負債の増減額46億6千9百万円、法人税等の支払額63億1百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、78億1百万円(前年同期は39億8千9百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入103億9千万円による増加と、定期預金の預入による支出106億2千6百万円、有形固定資産の取得による支出33億5千6百万円、投資有価証券の取得による支出43億3千8百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により得た資金は、54億4千1百万円(前年同期は55億7千3百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額91億円、長期借入れによる収入43億円による増加と、長期借入金の返済による支出49億6千9百万円、非支配株主への配当金の支払額16億9千万円による減少があったことによります。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。また、資産の有効活用と収益基盤の強化をはかりつつ、適正な手許資金の水準について検証を実施し、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することが、長期安定的な株主還元に繋がると考えております。
ロ.資金調達の方法及び状況
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金又は金融機関等からの借入金により資金を調達しております。また、財務基盤をより堅固なものとするべく、グループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減をはかり、グループ全体の有利子負債の削減に努めております。
なお、当連結会計年度末における金融機関等からの借入金については、次のとおりです。
前連結会計年度末 (百万円) | 当連結会計年度末 (百万円) | 増減額 (百万円) | |
短期借入金 | 200 | 9,300 | 9,100 |
1年内返済予定の長期借入金 | 4,958 | 2,444 | △2,514 |
長期借入金 | 4,951 | 6,795 | 1,844 |
合計 | 10,110 | 18,540 | 8,430 |
ハ.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要の主な内容は、営業活動に係る資金支出では、劇場用映画やテレビ映画等の製作費、DVD・ブルーレイディスクの製作費、配給収入やコンテンツ事業収入に係る配分金のほか、シネコンの運営に関わる地代家賃、劇場用映画等の広告宣伝費、人件費等の販売費及び一般管理費があります。投資活動に係る資金支出では、撮影所やシネコン等の設備改修等があります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。