四半期報告書-第96期第2四半期(平成30年4月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/14 15:00
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文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、緩やかな回復基調のなかで推移したものの、海外経済の不確実性や相次いだ自然災害による影響等に留意が必要な状況が続きました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大を図るとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は647億6千4百万円(前年同四半期比2.8%増)、経常利益は122億7千4百万円(前年同四半期比4.0%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は46億7千万円(前年同四半期比23.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 映像関連事業
映画事業では、提携製作作品等15本を配給し、「劇場版 仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」が好成績を収めたのに加え、「孤狼の血」「終わった人」「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」が堅調に推移しました。また、前連結会計年度における公開作品のうち「北の桜守」(3月10日公開)及び「映画 プリキュアスーパースターズ!」(3月17日公開)も堅調に稼働いたしました。
ビデオ事業では、主力の劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品に加えて、テレビ映画のDVD・ブルーレイディスク作品を販売いたしました。
テレビ事業では、「特捜9」「警視庁・捜査一課長」等を制作して作品内容の充実と受注本数の確保に努め、また、キャラクターの商品化権営業も好調に推移しました。
コンテンツ事業では、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売等を行いました。アニメ関連では、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことや、北米向け映像配信権の販売が好調だったのに加えて、国内外で「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が好稼働いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は434億4千8百万円(前年同四半期比5.3%増)、営業利益は90億3千4百万円(前年同四半期比22.4%増)となりました。
② 興行関連事業
映画興行業では、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、205スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は106億5百万円(前年同四半期比3.9%減)、営業利益は10億7百万円(前年同四半期比17.6%減)となりました。
③ 催事関連事業
催事事業では「舞台 七つの大罪 The STAGE」や「みんな大好き!!ペット王国」、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は44億2千4百万円(前年同四半期比13.1%減)、営業利益は7億9千2百万円(前年同四半期比3.4%増)となりました。
④ 観光不動産事業
不動産賃貸業では、「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、建設ラッシュが続き、業界環境は回復基調で推移するなか、各ホテルとも収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は31億8千8百万円(前年同四半期比3.4%増)、営業利益は13億9千7百万円(前年同四半期比10.3%増)となりました。
⑤ 建築内装事業
建築内装事業では、公共投資を中心に底堅く推移しており、民間設備投資は企業収益の改善等を背景に回復基調を維持するなど、中期的にも建設需要は堅調に推移することが予想されます。しかしその反面、建設技能者・技術者の不足や建設コストの上昇等により、依然として予断を許さない経営環境が続いており、楽観はできない状況です。このような状況でありますが、従来の顧客の確保及び新規顧客の獲得に懸命の営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は30億9千7百万円(前年同四半期比22.2%増)、営業損失は6千8百万円(前年同四半期は1億1千3百万円の営業利益)となりました。
当第2四半期連結会計期間における資産合計は、2,846億3千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ113億3千7百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が52億6千7百万円、受取手形及び売掛金が18億4千4百万円、投資有価証券が56億7千3百万円増加し、流動資産のその他が12億6千4百万円減少したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間における負債合計は、779億2千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億6千6百万円増加しました。これは主に、未払法人税等が5億7千4百万円、流動負債のその他が14億3千2百万円、固定負債のその他が3億8千6百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が17億5千万円減少したことによるものであります。
当第2四半期連結会計期間における純資産合計は、2,067億1千万円となり、前連結会計年度末に比べ106億7千1百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が41億5千4百万円、その他有価証券評価差額金が37億5千6百万円、非支配株主持分が26億4千9百万円増加したことによるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローが102億4千4百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが15億3千7百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが38億7千1百万円減少した結果、463億8千5百万円(前年同四半期は419億3千1百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、102億4千4百万円(前年同四半期は70億9千1百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益119億5千6百万円、減価償却費16億6千3百万円、営業活動によるキャッシュフローのその他26億7千5百万円による増加と、売上債権の増減額19億3千4百万円、たな卸資産の増減額13億2千1百万円による減少があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、15億3千7百万円(前年同四半期は46億7千8百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入40億1千1百万円の増加と、定期預金の預入による支出46億4千6百万円、有形固定資産の取得による支出8億9千7百万円による減少があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、38億7千1百万円(前年同四半期は18億4千2百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出29億7千5百万円、非支配株主への配当金の支払額11億6千1百万円による減少があったことによります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社における企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組みについて
当社は1951年の創立以来、半世紀を越えて、幅広いファンの皆様に支えられ、映画・テレビ・ビデオ・アニメーションその他多様な映像の製作と多角的な営業により、質高く健全なエンタテインメントを提供することに努めてまいりました。
2018年4月、「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」を策定・公表いたしました。
「東映グループ企業理念」は映像製作の絶え間ない継続による『全世界で人々に愛されるエンタテインメントの創造発信』を理念としながら、「映像を中心に明日への糧となるエンタテインメントの創造発信」「キャラクターの創出と育成による日常への癒しの提供」「くつろぎと感動をもたらす非日常の場とサービスの提供」を三位一体として企業活動に従事してまいります。
映像部門につきましては、多様化するメディアに柔軟に対応する企画製作体制を構築し、東西両撮影所とデジタルセンターの一体運営や東映アニメーション新スタジオとの連携を強化して、娯楽性豊かなコンテンツの提供を図ってまいります。
さらにアニメーションや特撮ヒーロー作品などから生まれるキャラクター事業は海外展開も視野に、新規創出も検討して拡充してまいります。
また、娯楽発信の拠点としてはティ・ジョイのシネコン事業はもとより京都太秦映画村などのインフラ事業、東映チャンネルや東映特撮ファン倶楽部などの放送メディアや配信アプリ事業などにも力を入れてまいります。
「東映グループ経営ビジョン2020」はグループとして、2020年のその先も質高く健全なエンタテインメントを創造発信していく『総合コンテンツ企業』を確立するために、グループ各人が「創造力」「実現力」「行動力」の三位一体の力を発揮し、結集できる体制の構築を目指します。
② 大規模買付行為(注1)に対する考え方
当社は、上記のとおり企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に真摯に取り組んでおります。しかしながら、昨今、我が国の資本市場においても、時として、対象となる会社の経営陣との十分な協議や合意のプロセスを経ることなく、株主への十分な情報の開示もなされない段階で、突如として大規模買付行為を強行するといった動きが見られることは否定できません。また、大規模買付行為の中には、その目的等から判断して企業価値及び株主共同の利益を著しく毀損するおそれのあるものや、その態様等から大規模買付行為に応じることを株主の皆様に強要するおそれのあるものが含まれる可能性もあります。
もとより、大規模買付者(注2)による大規模買付行為に際し、当社株券等を売却するか否かは、最終的には当社株券等を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると当社取締役会は考えております。従って、当社取締役会は、大規模買付行為を一概に否定するものではありません。しかしながら、当社及び当社グループが培ってきたビジネスモデルは、日本の映像文化の中心的役割を果たしてきた劇場映画、テレビ映画、アニメ作品を展開することを核とするものであり、これを十分に理解することなく当社及び当社グループの企業価値を向上させることは困難であると思料されます。
そこで、当社取締役会は、株主の皆様が大規模買付者による大規模買付行為を評価する際、大規模買付者から一方的に提供される情報のみならず、現に当社の経営を担い当社の事業特性を十分に理解している当社取締役会の大規模買付行為に対する意見等も含めた十分な情報が、適時・適切に株主の皆様へ提供されることが極めて重要になるものと考えております。
(注1)「大規模買付行為」とは、株券等の保有割合を20%以上とすることを目的とした当社株券等の買付行為、又は結果として株券等の保有割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為等(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。)をいうものとします。なお、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除くこととします。
(注2)「大規模買付者」とは、大規模買付行為を行う者及び行おうとする者をいいます。
③ 買収防衛策導入の目的と基本的な枠組み
以上を踏まえ、当社取締役会は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が判断するに当たり必要かつ十分な情報・時間及び当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保するために、一定の合理的な仕組みが必要不可欠であると判断しております。当社取締役会は、大規模買付行為が、このような大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)に従って行われることが、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考えております。
当社は、2007年に「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入し、2010年、2013年及び2016年に一部変更した上で継続することを決議いたしました(以下、変更後の対応策を「本対応策」といいます。)。いずれもその年の定時株主総会において、株主の皆様からご承認をいただいております。
本対応策において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守した場合であっても当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会により最終的に判断される場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置として新株予約権の無償割当ての実施を決議することができるものとします。その場合には、大規模買付者及びそのグループによる権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以下に規定されます。)により割当てます。
なお、特別委員会は、勧告を行うに際し、対抗措置の発動に関して、あらかじめ株主の皆様のご意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催するべき旨の留保を付すことができるものとし、当該留保が付された場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、株主意思確認総会の招集に関して決議することができるものとします。
さらに、上記にかかわらず、当社取締役会が、取締役の善管注意義務に照らし株主の皆様のご意思を確認することが適切であると判断した場合にも、当社取締役会は、株主意思確認総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することができるものとします。
株主意思確認総会の決議は、出席株主の皆様の議決権の過半数によって決するものとし、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが可決された場合には、当社は対抗措置を発動するものとします。他方、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが否決された場合には、当社は対抗措置を発動しないものとします。
④ 本対応策の合理性について
本対応策は、以下のとおり、高度な合理性を有しております。
イ.買収防衛策に関する指針の要件を充足していること等
本対応策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、本対応策は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。
ロ.当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本対応策は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間、あるいは当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能にするものであり、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
ハ.株主の合理的意思に依拠したものであること
本対応策の有効期間は、2016年6月29日開催の第93期定時株主総会の終結後から2019年6月開催予定の2019年3月期に関する当社の定時株主総会の終結の時までとなっており、有効期間の満了前であっても、株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によって本対応策を廃止できることとされています。そのため、本対応策の消長及び内容は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
ニ.独立性の高い社外者の判断の重視
当社は、本対応策において、対抗措置発動等の運用に際して、当社取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う諮問機関として、特別委員会を設置しました。また、特別委員会の委員は3名以上5名以内とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外取締役、社外監査役及び社外有識者(弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者、又はこれらに準ずる者)の中から選任されるものとしております。
ホ.合理的な客観的発動要件の設定
本対応策は、あらかじめ定められた合理的な客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
ヘ.デッドハンド型又はスローハンド型買収防衛策ではないこと
本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、大規模買付者は、自己が指名し、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会決議により、本対応策を廃止する可能性があります。従って、本対応策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用しておらず、また、取締役の解任決議要件の加重を行っておりませんので、本対応策は、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。