有価証券報告書-第96期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果等により、企業収益が改善傾向に向かい、設備投資が増加するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、金融資本市場の変動の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いており、当社を取り巻く事業環境におきましても、個人消費の多様化や節約志向などにより、厳しい情勢下にありました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。その結果、売上高は1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)、営業利益は229億7千万円(前年度比31.5%増)、経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となり、また、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として災害による損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円(前年度比1.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[映像関連事業]
映画事業は、劇場用映画の提携製作配給と他社作品の受託配給等を行い、「ドラゴンボール超 ブロリー」「翔んで埼玉」が大ヒットし、「孤狼の血」「終わった人」「仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」「映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」「映画プリキュアミラクルユニバース」等がヒットしました。
ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて373作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「探偵はBARにいる3」や、「仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」など83本、30分もの「仮面ライダービルド」「ワンピース」「HUGっと!プリキュア」など293本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など40本の計416本を製作して高率のシェアを維持し、また「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」「仮面ライダービルド」「仮面ライダージオウ」などキャラクターの商品化権営業も順調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇や「探偵はBARにいる3」等の放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売が順調でした。さらに、アニメ関連では、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことや、北米向け映像配信権の販売が好調だったのに加えて、国内外で「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が好稼働いたしました。
そのほか、国際事業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「宇宙戦隊キュウレンジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権営業とともに、「96時間」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、2018年教育映像祭において「切り裂かれた未来-飲酒運転の代償-」など計8作品が優秀作品賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は938億5百万円(前年度比14.5%増)、営業利益は192億9千8百万円(前年度比38.8%増)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業は、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、東映㈱直営劇場4スクリーンを含む205スクリーン体制で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は214億3千万円(前年度比4.4%増)、営業利益は18億7千6百万円(前年度比1.4%減)となりました。
[催事関連事業]
当連結会計年度は、文化催事の「長くつ下のピッピの世界展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は81億6千6百万円(前年度比4.2%減)、営業利益は11億7千9百万円(前年度比3.9%増)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、商業施設の賃貸業においては、全体的に厳しい市場環境が続いております。当連結会計年度は、引き続き「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、業界環境は空前の建設ラッシュに沸き、マーケットは好調を維持する一方で民泊の解禁など新規参入による競争激化が続いております。当連結会計年度は、福岡東映ホテル本館のリニューアルを実施するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は65億1千7百万円(前年度比1.2%増)、営業利益は29億円(前年度比1.7%増)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの高水準を維持しており、設備投資も増加していることなどから、受注環境は良好な状況で推移することが予想されます。しかしながら、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および新規顧客の獲得に懸命の営業活動をいたしました。
以上により、当セグメントの売上高は71億1千9百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は3億1千3百万円(前年度比20.5%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円となり、前期末に比べ229億9千7百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が97億3千1百万円、受取手形及び売掛金が64億3百万円、仕掛品が24億4千2百万円、投資有価証券が48億2千7百万円増加し、繰延税金資産が10億2千2百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、820億8千4百万円となり、前期末に比べ48億2千9百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が36億8千9百万円、未払法人税等が15億3千万円、流動負債のその他が34億7千3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が15億4千9百万円、長期借入金が17億5千2百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,142億8百万円となり、前期末に比べ181億6千8百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が99億1千7百万円、その他有価証券評価差額金が21億4千2百万円、非支配株主持分が59億2千5百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが200億4千9百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが62億1千5百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが56億1千9百万円減少した結果、497億3千9百万円(前年同期は417億5千2百万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、200億4千9百万円(前年同期は157億9千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益251億6千5百万円、仕入債務の増減額39億3千7百万円、利息及び配当金の受取額18億6百万円による増加と、売上債権の増減額65億1千1百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、62億1千5百万円(前年同期は117億1百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入71億3千6百万円による増加と、定期預金の預入による支出103億8千万円、有形固定資産の取得による支出24億7千4百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により支出した資金は、56億1千9百万円(前年同期は37億9千3百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出41億1百万円、配当金の支払額9億2百万円、非支配株主への配当金の支払額11億6千1百万円による減少があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の状況の分析)
当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円(前年度比8.4%増)となりました。これは主に、映像関連事業の資産が174億7千9百万円、建築内装事業の資産が22億1千7百万円増加したことによります。
(経営成績の状況の分析)
イ.売上高
当連結会計年度における売上高は、1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)となりました。これは主に、映像関連事業の売上が118億4千9百万円、興行関連事業の売上が8億9千6百万円増加したことによります。
ロ.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、510億6千3百万円(前年度比14.4%増)となりました。
ハ.販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、280億9千2百万円(前年度比3.4%増)となりました。これは主に、人件費が3億2千5百万円、広告宣伝費が9千2百万円、減価償却費が2億5千5百万円増加したことによります。
ニ.営業利益
当連結会計年度における営業利益は、229億7千万円(前年度比31.5%増)となりました。これは主に、映像関連事業の営業利益が53億9千9百万円増加したことによります。
ホ.経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、持分法による投資利益等により31億3千万円(前年度比26.8%減)、営業外費用は、支払利息等により1億1千8百万円(前年度比67.7%減)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となりました。
ヘ.特別損益
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益により2千9百万円、特別損失は、災害による損失等により8億4千7百万円を計上しております。
ト.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益が19億7千1百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円となり、前連結会計年度に比較して1億5百万円、1.0%の増益となりました。
当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュフローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金または借入金により調達しております。
当連結会計年度末の借入金の合計残高は125億6千2百万円であり、前連結会計年度末残高に比較して33億1百万円減少しております。引き続きグループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減を図り、グループ全体の有利子負債の削減に努めてまいります。
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果等により、企業収益が改善傾向に向かい、設備投資が増加するなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、金融資本市場の変動の影響等、依然として先行き不透明な状況が続いており、当社を取り巻く事業環境におきましても、個人消費の多様化や節約志向などにより、厳しい情勢下にありました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。その結果、売上高は1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)、営業利益は229億7千万円(前年度比31.5%増)、経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となり、また、特別利益として投資有価証券売却益を、特別損失として災害による損失等を計上いたしまして、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円(前年度比1.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
[映像関連事業]
映画事業は、劇場用映画の提携製作配給と他社作品の受託配給等を行い、「ドラゴンボール超 ブロリー」「翔んで埼玉」が大ヒットし、「孤狼の血」「終わった人」「仮面ライダービルド Be The One/快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film」「劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人」「映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」「平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」「映画プリキュアミラクルユニバース」等がヒットしました。
ビデオ事業は、セル市場・レンタル市場ともに厳しい状況が続いておりますが、劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品を主力として販売促進に努め、当連結会計年度はDVD、ブルーレイディスク合わせて373作品を発売いたしました。その結果、劇場用映画「探偵はBARにいる3」や、「仮面ライダーエグゼイド トリロジー アナザー・エンディング」をはじめとした「仮面ライダー」シリーズのDVD・ブルーレイディスク販売が売上に寄与しました。
テレビ事業は、各局間の激しい視聴率競争により番組編成の多様化が進むなか、受注市場は厳しい状況にありましたが、作品内容の充実と受注本数の確保に努め、当連結会計年度は60分もの「相棒」「科捜研の女」など83本、30分もの「仮面ライダービルド」「ワンピース」「HUGっと!プリキュア」など293本、ワイド・スペシャルもの「日曜プライム 西村京太郎トラベルミステリー」など40本の計416本を製作して高率のシェアを維持し、また「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」「仮面ライダービルド」「仮面ライダージオウ」などキャラクターの商品化権営業も順調でした。
コンテンツ事業は、劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、スマートフォンやタブレット端末向け配信サービスに映像ソフトの供給を行い、その結果、旧作テレビ時代劇や「探偵はBARにいる3」等の放映権販売、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売が順調でした。さらに、アニメ関連では、中国向け大口映像配信権の販売本数が増加したことや、北米向け映像配信権の販売が好調だったのに加えて、国内外で「ドラゴンボール」シリーズのゲーム化権販売が好稼働いたしました。
そのほか、国際事業は、劇場用映画・テレビ映画・キャラクターショー等の海外販売、「宇宙戦隊キュウレンジャー」などテレビ映画の海外向け商品化権営業とともに、「96時間」など外国映画のテレビ放映権の輸入販売を行い、順調に推移しました。教育映像事業は、教育映像の製作配給・受注製作等を行い、2018年教育映像祭において「切り裂かれた未来-飲酒運転の代償-」など計8作品が優秀作品賞を受賞しました。撮影所関連営業及びデジタルセンターは、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行いました。
以上により、当セグメントの売上高は938億5百万円(前年度比14.5%増)、営業利益は192億9千8百万円(前年度比38.8%増)となりました。
[興行関連事業]
映画興行業は、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好調に稼働し、東映㈱直営劇場4スクリーンを含む205スクリーン体制で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は214億3千万円(前年度比4.4%増)、営業利益は18億7千6百万円(前年度比1.4%減)となりました。
[催事関連事業]
当連結会計年度は、文化催事の「長くつ下のピッピの世界展」をはじめとして、様々なジャンルの展示型イベント、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は81億6千6百万円(前年度比4.2%減)、営業利益は11億7千9百万円(前年度比3.9%増)となりました。
[観光不動産事業]
不動産賃貸業は、賃料水準が上昇線を描く状況には至らず、商業施設の賃貸業においては、全体的に厳しい市場環境が続いております。当連結会計年度は、引き続き「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴い、業界環境は空前の建設ラッシュに沸き、マーケットは好調を維持する一方で民泊の解禁など新規参入による競争激化が続いております。当連結会計年度は、福岡東映ホテル本館のリニューアルを実施するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は65億1千7百万円(前年度比1.2%増)、営業利益は29億円(前年度比1.7%増)となりました。
[建築内装事業]
建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの高水準を維持しており、設備投資も増加していることなどから、受注環境は良好な状況で推移することが予想されます。しかしながら、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況でありますが、従来の顧客の確保および新規顧客の獲得に懸命の営業活動をいたしました。
以上により、当セグメントの売上高は71億1千9百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は3億1千3百万円(前年度比20.5%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円となり、前期末に比べ229億9千7百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が97億3千1百万円、受取手形及び売掛金が64億3百万円、仕掛品が24億4千2百万円、投資有価証券が48億2千7百万円増加し、繰延税金資産が10億2千2百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は、820億8千4百万円となり、前期末に比べ48億2千9百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が36億8千9百万円、未払法人税等が15億3千万円、流動負債のその他が34億7千3百万円増加し、1年内返済予定の長期借入金が15億4千9百万円、長期借入金が17億5千2百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は、2,142億8百万円となり、前期末に比べ181億6千8百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が99億1千7百万円、その他有価証券評価差額金が21億4千2百万円、非支配株主持分が59億2千5百万円増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが200億4千9百万円増加し、投資活動によるキャッシュ・フローが62億1千5百万円減少し、財務活動によるキャッシュ・フローが56億1千9百万円減少した結果、497億3千9百万円(前年同期は417億5千2百万円)となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動により得た資金は、200億4千9百万円(前年同期は157億9千9百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益251億6千5百万円、仕入債務の増減額39億3千7百万円、利息及び配当金の受取額18億6百万円による増加と、売上債権の増減額65億1千1百万円による減少があったことによります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動により支出した資金は、62億1千5百万円(前年同期は117億1百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入71億3千6百万円による増加と、定期預金の預入による支出103億8千万円、有形固定資産の取得による支出24億7千4百万円による減少があったことによります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動により支出した資金は、56億1千9百万円(前年同期は37億9千3百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出41億1百万円、配当金の支払額9億2百万円、非支配株主への配当金の支払額11億6千1百万円による減少があったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の状況の分析)
当連結会計年度末における資産合計は、2,962億9千2百万円(前年度比8.4%増)となりました。これは主に、映像関連事業の資産が174億7千9百万円、建築内装事業の資産が22億1千7百万円増加したことによります。
(経営成績の状況の分析)
イ.売上高
当連結会計年度における売上高は、1,370億3千8百万円(前年度比10.2%増)となりました。これは主に、映像関連事業の売上が118億4千9百万円、興行関連事業の売上が8億9千6百万円増加したことによります。
ロ.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、510億6千3百万円(前年度比14.4%増)となりました。
ハ.販売費及び一般管理費
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、280億9千2百万円(前年度比3.4%増)となりました。これは主に、人件費が3億2千5百万円、広告宣伝費が9千2百万円、減価償却費が2億5千5百万円増加したことによります。
ニ.営業利益
当連結会計年度における営業利益は、229億7千万円(前年度比31.5%増)となりました。これは主に、映像関連事業の営業利益が53億9千9百万円増加したことによります。
ホ.経常利益
当連結会計年度における営業外収益は、持分法による投資利益等により31億3千万円(前年度比26.8%減)、営業外費用は、支払利息等により1億1千8百万円(前年度比67.7%減)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は259億8千3百万円(前年度比21.5%増)となりました。
ヘ.特別損益
当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益により2千9百万円、特別損失は、災害による損失等により8億4千7百万円を計上しております。
ト.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は非支配株主に帰属する当期純利益が19億7千1百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は108億1千6百万円となり、前連結会計年度に比較して1億5百万円、1.0%の増益となりました。
当社グループとしては、映像関連事業を中心に、より一層のコンテンツ事業の強化及び効率的な活用に傾注し、また資産の有効活用に努めるとともに、不採算部門の見直し等により、今後も収益基盤の強化に取り組んでまいります。
なお、中長期的な経営戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
(キャッシュ・フローの状況の分析)
キャッシュフローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、運転資金及び通常の設備改修資金などは、内部資金または借入金により調達しております。
当連結会計年度末の借入金の合計残高は125億6千2百万円であり、前連結会計年度末残高に比較して33億1百万円減少しております。引き続きグループ内の資金の一元管理等を含め、資金調達コストの低減を図り、グループ全体の有利子負債の削減に努めてまいります。
当社グループは、財務の健全性を保ち、営業活動のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。