四半期報告書-第97期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、緩やかな回復基調のなかで推移したものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の動向と政策に関する不確実性等により、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は328億2千7百万円(前年同四半期比0.4%増)、経常利益は69億6千8百万円(前年同四半期比0.2%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は30億4千2百万円(前年同四半期比13.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 映像関連事業
映画事業では、提携製作作品等13本を配給し、「うちの執事が言うことには」が堅調に推移しました。また、前連結会計年度における公開作品のうち「翔んで埼玉」(2月22日公開)が好稼働しました。
ビデオ事業では、主力の劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品に加えて、テレビ映画のDVD・ブルーレイディスク作品を販売いたしました。
テレビ事業では、「特捜9」「科捜研の女」「仮面ライダージオウ」等を制作して作品内容の充実と受注本数の確保に努め、また、キャラクターの商品化権営業も好調に推移しました。
コンテンツ事業では、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売等を行いました。アニメ関連では、前年同四半期に好調だった北米向け配信権販売の反動減の影響を受けましたが、国内においてアプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」のゲーム化権販売が好稼働しました。
以上により、当セグメントの売上高は221億1千1百万円(前年同四半期比2.4%減)、営業利益は47億8千6百万円(前年同四半期比8.5%減)となりました。
② 興行関連事業
映画興行業では、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好稼働し、205スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は57億8千7百万円(前年同四半期比15.4%増)、営業利益は6億9百万円(前年同四半期比82.2%増)となりました。
③ 催事関連事業
催事事業では、「シルバニアファミリー展」や舞台「TXT vol.1『SLANG』」、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は22億4千5百万円(前年同四半期比19.4%増)、営業利益は5億1千8百万円(前年同四半期比45.8%増)となりました。
④ 観光不動産事業
不動産賃貸業では、「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴いマーケットは好調を維持する一方、民泊の解禁など新規参入により競争が激化するなか、湯沢東映ホテルの温浴施設のリニューアルを実施するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は15億7千9百万円(前年同四半期比0.8%増)、営業利益は6億8千万円(前年同四半期比4.3%減)となりました。
⑤ 建築内装事業
建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの底堅さを維持し、設備投資も緩やかな増加傾向にあるなど、受注環境は良好な状況で推移しました。しかしながら、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況のなか、従来の顧客の確保及び新規顧客の獲得に懸命の営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は11億4百万円(前年同四半期比30.4%減)、営業利益は6千1百万円(前年同四半期は営業利益0百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間における資産合計は、2,943億2千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億6千7百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が17億8千9百万円、仕掛品が27億3千9百万円増加し、受取手形及び売掛金が59億7千8百万円、有形固定資産のその他が6億1千7百万円減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間における負債合計は、776億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億5千万円減少しました。これは主に、短期借入金が11億8千万円、1年内返済予定の長期借入金が29億6千4百万円増加し、支払手形及び買掛金が23億8千1百万円、未払法人税等が30億2千万円、長期借入金が34億7千1百万円減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間における純資産合計は、2,166億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億8千3百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が8億5千5百万円、土地再評価差額金が16億7千1百万円増加したことによるものであります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社における企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組みについて
当社は1951年の創立以来、半世紀を越えて、幅広いファンの皆様に支えられ、映画・テレビ・ビデオ・アニメー ションその他多様な映像の製作と多角的な営業により、質高く健全なエンタテインメントを提供することに努めてまいりました。
2018年4月、「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」を策定・公表いたしました。
「東映グループ企業理念」は映像製作の絶え間ない継続による『全世界で人々に愛されるエンタテインメントの創造発信』を理念としながら、「映像を中心に明日への糧となるエンタテインメントの創造発信」「キャラクターの創出と育成による日常への癒しの提供」「くつろぎと感動をもたらす非日常の場とサービスの提供」を三位一体として企業活動に従事してまいります。
映像部門につきましては、多様化するメディアに柔軟に対応する企画製作体制を構築し、東西両撮影所とデジタルセンターの一体運営や東映アニメーション新スタジオとの連携を強化して、娯楽性豊かなコンテンツの提供を図ってまいります。
さらにアニメーションや特撮ヒーロー作品などから生まれるキャラクター事業は海外展開も視野に、新規創出も検討して拡充してまいります。
また、娯楽発信の拠点としてはティ・ジョイのシネコン事業はもとより京都太秦映画村などのインフラ事業、東映チャンネルや東映特撮ファン倶楽部などの放送メディアや配信アプリ事業などにも力を入れてまいります。
「東映グループ経営ビジョン2020」はグループとして、2020年のその先も質高く健全なエンタテインメントを創造発信していく『総合コンテンツ企業』を確立するために、グループ各人が「創造力」「実現力」「行動力」の三位一体の力を発揮し、結集できる体制の構築を目指します。
イ. 創造力:コンテンツ(映像やイベント企画、キャラクター創出、顧客サービス向上のアイディアなど)を生み出すための源泉となる力
ロ. 実現力:グループで培われたノウハウやインフラを最大限に活用して、創造の種を大きく実らせる力
ハ. 行動力:生まれたコンテンツをあらゆるシーンで有効活用し、全世界へ発信していく力
3つの力を企画・製作・営業のみならず、あらゆる業務で発揮して、万人に幸福と夢の実現をもたらします。
当社グループは、今後も、上記の「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」に続く将来へ向けた取組みについて検討を重ねてまいります。
また、コーポレート・ガバナンスの充実にも取り組んで、ステークホルダーとの長期にわたる信頼関係を構築し、当社グループの持続的な成長と企業価値ひいては株主共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいる所存であります。
② 大規模買付行為(注1)に対する考え方
当社及び当社グループが培ってきたビジネスモデルは、日本の映像文化の中心的役割を果たしてきた劇場映画、テレビ映画、アニメ作品等と、それらの作品から生まれた様々なキャラクターを包含する知的財産権の集積及びそれらを生み出し幅広くビジネスとして展開するための経験や知識、技術等の集積を核とするものであります。これらの知的財産権や経験等の集積は当社グループの企業価値の源泉にほかなりませんが、必ずしもそのすべてが当社グループの資産として会計上認識されている訳ではありません。また、この知的財産権の集積が当社グループの利益に貢献する期間や貢献の度合いは、作品等によって大きく異なりますが、ユーザーへの提供技術の発達や利用形態の多様化とあいまって、十数年あるいはそれ以上の長期間にわたって貢献する作品等も存在しており、通常の商品や資産とは異なる特徴を有しております。これらの点を十分に理解することなく当社グループの企業価値を適切に評価することは極めて困難であると思料されます。
当社取締役会は、大規模買付者(注2)による大規模買付行為に際し、当社株券等を売却するか否かは、最終的には当社株券等を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。従って、当社取締役会は、大規模買付行為を一概に否定するものではありません。しかしながら、昨今の国内・国外の資本市場においては、時として、対象となる会社の経営陣との十分な協議を経ることなく、株主への十分な情報の開示もなされない段階で、大規模買付行為が行われるといった動きも見られます。当社取締役会は、このような状況を踏まえて、上記のような当社グループの知的財産権や経験等の集積と、近年の当社株券等の時価総額・資産状況の推移等を考慮した場合、当社株券等がそのような大規模買付行為の対象となる一定の可能性が存在していることは否定できないと判断しております。
そして、そのような状況に鑑み、当社取締役会は、株主の皆様が大規模買付者による大規模買付行為を評価する際、大規模買付者から一方的に提供される情報のみならず、現に当社の経営を担い当社の事業特性を十分に理解している当社取締役会の大規模買付行為に対する意見や代替案等も含めた十分な情報が、適時・適切に株主の皆様へ提供されるとともに、当社取締役会が大規模買付者に対して、当社グループの企業価値についての協議を求めることが可能になることを担保するための手立てをあらかじめ確保しておくこと及び提供された情報や代替案等を踏まえて当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な時間を確保することが、株主の皆様にとって有益であり、株主共同の利益の確保に資するものであると考えます。
(注1)「大規模買付行為」とは、株券等の保有割合を20%以上とすることを目的とした当社株券等の買付行為、又は結果として株券等の保有割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為等(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。)をいうものとします。なお、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除くこととします。
(注2)「大規模買付者」とは、大規模買付行為を行う者及び行おうとする者をいいます。
③ 買収防衛策導入の目的と基本的な枠組み
当社取締役会は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が判断するに当たり必要かつ十分な情報・時間及び当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保するために、一定の合理的な仕組みを設けることが必要であると判断しております。当社取締役会は、大規模買付行為が、このような大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)に従って行われることが、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考えております。
当社は、2007年に「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入し、その後、3年ごとに6月下旬開催の定時株主総会において内容を一部修正又は変更した上で継続することにつき承認を得ております(以下、2019年の定時株主総会において承認された対応策を「本対応策」といいます。)。
本対応策において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守した場合であっても当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうおそれがあると当社取締役会により最終的に判断される場合には、当社取締役会は、社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置として新株予約権の無償割当ての実施(以下、「対抗措置」といいます。)を決議することができるものとします。その場合には、大規模買付者及びそのグループによる権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以下に規定されます。)により割当てます。
なお、特別委員会は、勧告を行うに際し、対抗措置の発動に関して、あらかじめ株主の皆様のご意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催するべき旨の勧告を行うことができるものとし、当該勧告がなされた場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、株主意思確認総会の招集を決議することができるものとします。
さらに、上記にかかわらず、当社取締役会が、取締役の善管注意義務に照らし株主の皆様のご意思を確認することが適切であると判断した場合にも、当社取締役会は、株主意思確認総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することができるものとします。
株主意思確認総会の決議は、出席株主の皆様の議決権の過半数によって決するものとし、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが可決された場合には、当社は対抗措置を発動するものとします。他方、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが否決された場合には、当社は対抗措置を発動しないものとします。
なお、取締役会は、株主意思確認総会を開催することなく対抗措置を発動することを決議する場合には、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとします。
④ 本対応策の合理性について
イ.株主の合理的意思に依拠したものであること
本対応策の有効期間は、2019年6月27日開催の第96期定時株主総会の終結後から2022年6月開催予定の2022年3月期に関する当社の定時株主総会の終結の時までとなっており、有効期間の満了前であっても、株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によって本対応策を廃止できることとされています。
さらに、本対応策は、所定の場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで、株主総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することとしております。
また、株主総会の決議を経ることなしに、本対応策の継続や実質的な内容の変更を行うことはありません。(法令の改正・廃止等への対応のための形式的な変更で、実質的な内容の変更を伴わないものを除きます。)
以上のように、本対応策は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
ロ.独立性の高い社外者の判断の重視
本対応策において、当社取締役会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動・不発動の決議及び株主の皆様のご意思を確認するための株主総会の招集の決議については、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重することとしております。
特に、当社取締役会が株主総会の決議を経ることなく対抗措置の発動を決議する場合には、当社取締役会は、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとしております。(当社取締役会の判断のみで対抗措置を発動できる余地がないものとなっております。)
ハ.買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、本対応策は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。従って、本対応策では、対抗措置として大規模買付者等に割り当てられた新株予約権を当社が取得する場合でも、その対価として金員等の交付を行うことはありません。
ニ.デッドハンド型又はスローハンド型買収防衛策ではないこと
本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、大規模買付者は、自己が指名し、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会決議により、本対応策を廃止する可能性があります。従って、本対応策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用しておらず、また、取締役の解任決議要件の加重を行っておりませんので、本対応策は、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
ホ.特別委員会の評価期間の上限を明確にしていること
大規模買付者に対する特別委員会の評価期間は、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は最大60日間、それ以外の場合は最大90日間としております。ただし、特別委員会が、その期間内に結論に至らない場合には、30日間を限度として合理的に必要な範囲で評価期間を延長することができることとしております。
なお、特別委員会が大規模買付情報の追加情報を求めた場合の回答期限(当社取締役会が大規模買付情報を受領した後最大60日間)を合わせると、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は評価期間を延長した場合で最大150日間、それ以外の場合は評価期間を延長した場合で最大180日間となります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、緩やかな回復基調のなかで推移したものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の動向と政策に関する不確実性等により、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなかで当社グループは、映像関連事業におきましては、映像4部門(映画事業・ビデオ事業・テレビ事業・コンテンツ事業)の連携強化や興行関連事業・催事関連事業の積極展開等によって収益の拡大をはかるとともに、観光不動産事業・建築内装事業の各部門におきましても堅実な営業施策の遂行に努めました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は328億2千7百万円(前年同四半期比0.4%増)、経常利益は69億6千8百万円(前年同四半期比0.2%増)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は30億4千2百万円(前年同四半期比13.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 映像関連事業
映画事業では、提携製作作品等13本を配給し、「うちの執事が言うことには」が堅調に推移しました。また、前連結会計年度における公開作品のうち「翔んで埼玉」(2月22日公開)が好稼働しました。
ビデオ事業では、主力の劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品に加えて、テレビ映画のDVD・ブルーレイディスク作品を販売いたしました。
テレビ事業では、「特捜9」「科捜研の女」「仮面ライダージオウ」等を制作して作品内容の充実と受注本数の確保に努め、また、キャラクターの商品化権営業も好調に推移しました。
コンテンツ事業では、劇場用映画等の地上波・BS・CS放映権及びビデオ化権の販売に加え、VOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売等を行いました。アニメ関連では、前年同四半期に好調だった北米向け配信権販売の反動減の影響を受けましたが、国内においてアプリゲーム「ドラゴンボール レジェンズ」のゲーム化権販売が好稼働しました。
以上により、当セグメントの売上高は221億1千1百万円(前年同四半期比2.4%減)、営業利益は47億8千6百万円(前年同四半期比8.5%減)となりました。
② 興行関連事業
映画興行業では、㈱ティ・ジョイ運営のシネコンが好稼働し、205スクリーン体制(東映㈱直営館4スクリーン含む)で展開しております。
以上により、当セグメントの売上高は57億8千7百万円(前年同四半期比15.4%増)、営業利益は6億9百万円(前年同四半期比82.2%増)となりました。
③ 催事関連事業
催事事業では、「シルバニアファミリー展」や舞台「TXT vol.1『SLANG』」、人気キャラクターショーなど各種イベントの提供を行うとともに、映画関連商品の販売など積極的な営業活動を展開いたしました。また、東映太秦映画村は引き続き堅調に推移しました。
以上により、当セグメントの売上高は22億4千5百万円(前年同四半期比19.4%増)、営業利益は5億1千8百万円(前年同四半期比45.8%増)となりました。
④ 観光不動産事業
不動産賃貸業では、「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」等の賃貸施設が稼働いたしました。ホテル業においては、インバウンド需要の拡大に伴いマーケットは好調を維持する一方、民泊の解禁など新規参入により競争が激化するなか、湯沢東映ホテルの温浴施設のリニューアルを実施するなど、収益の確保に向けて積極的な営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は15億7千9百万円(前年同四半期比0.8%増)、営業利益は6億8千万円(前年同四半期比4.3%減)となりました。
⑤ 建築内装事業
建築内装事業では、公共投資は弱含みではあるものの底堅さを維持し、設備投資も緩やかな増加傾向にあるなど、受注環境は良好な状況で推移しました。しかしながら、技術労働者の不足や建築資材価格の高止まりなど、予断を許さない経営環境が続いており、楽観は出来ない状況です。このような状況のなか、従来の顧客の確保及び新規顧客の獲得に懸命の営業活動を展開いたしました。
以上により、当セグメントの売上高は11億4百万円(前年同四半期比30.4%減)、営業利益は6千1百万円(前年同四半期は営業利益0百万円)となりました。
当第1四半期連結会計期間における資産合計は、2,943億2千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億6千7百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が17億8千9百万円、仕掛品が27億3千9百万円増加し、受取手形及び売掛金が59億7千8百万円、有形固定資産のその他が6億1千7百万円減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間における負債合計は、776億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ44億5千万円減少しました。これは主に、短期借入金が11億8千万円、1年内返済予定の長期借入金が29億6千4百万円増加し、支払手形及び買掛金が23億8千1百万円、未払法人税等が30億2千万円、長期借入金が34億7千1百万円減少したことによるものであります。
当第1四半期連結会計期間における純資産合計は、2,166億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億8千3百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が8億5千5百万円、土地再評価差額金が16億7千1百万円増加したことによるものであります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社における企業価値及び株主共同の利益の確保・向上の取組みについて
当社は1951年の創立以来、半世紀を越えて、幅広いファンの皆様に支えられ、映画・テレビ・ビデオ・アニメー ションその他多様な映像の製作と多角的な営業により、質高く健全なエンタテインメントを提供することに努めてまいりました。
2018年4月、「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」を策定・公表いたしました。
「東映グループ企業理念」は映像製作の絶え間ない継続による『全世界で人々に愛されるエンタテインメントの創造発信』を理念としながら、「映像を中心に明日への糧となるエンタテインメントの創造発信」「キャラクターの創出と育成による日常への癒しの提供」「くつろぎと感動をもたらす非日常の場とサービスの提供」を三位一体として企業活動に従事してまいります。
映像部門につきましては、多様化するメディアに柔軟に対応する企画製作体制を構築し、東西両撮影所とデジタルセンターの一体運営や東映アニメーション新スタジオとの連携を強化して、娯楽性豊かなコンテンツの提供を図ってまいります。
さらにアニメーションや特撮ヒーロー作品などから生まれるキャラクター事業は海外展開も視野に、新規創出も検討して拡充してまいります。
また、娯楽発信の拠点としてはティ・ジョイのシネコン事業はもとより京都太秦映画村などのインフラ事業、東映チャンネルや東映特撮ファン倶楽部などの放送メディアや配信アプリ事業などにも力を入れてまいります。
「東映グループ経営ビジョン2020」はグループとして、2020年のその先も質高く健全なエンタテインメントを創造発信していく『総合コンテンツ企業』を確立するために、グループ各人が「創造力」「実現力」「行動力」の三位一体の力を発揮し、結集できる体制の構築を目指します。
イ. 創造力:コンテンツ(映像やイベント企画、キャラクター創出、顧客サービス向上のアイディアなど)を生み出すための源泉となる力
ロ. 実現力:グループで培われたノウハウやインフラを最大限に活用して、創造の種を大きく実らせる力
ハ. 行動力:生まれたコンテンツをあらゆるシーンで有効活用し、全世界へ発信していく力
3つの力を企画・製作・営業のみならず、あらゆる業務で発揮して、万人に幸福と夢の実現をもたらします。
当社グループは、今後も、上記の「東映グループ企業理念」「東映グループ経営ビジョン2020」に続く将来へ向けた取組みについて検討を重ねてまいります。
また、コーポレート・ガバナンスの充実にも取り組んで、ステークホルダーとの長期にわたる信頼関係を構築し、当社グループの持続的な成長と企業価値ひいては株主共同の利益の長期安定的な向上に努めてまいる所存であります。
② 大規模買付行為(注1)に対する考え方
当社及び当社グループが培ってきたビジネスモデルは、日本の映像文化の中心的役割を果たしてきた劇場映画、テレビ映画、アニメ作品等と、それらの作品から生まれた様々なキャラクターを包含する知的財産権の集積及びそれらを生み出し幅広くビジネスとして展開するための経験や知識、技術等の集積を核とするものであります。これらの知的財産権や経験等の集積は当社グループの企業価値の源泉にほかなりませんが、必ずしもそのすべてが当社グループの資産として会計上認識されている訳ではありません。また、この知的財産権の集積が当社グループの利益に貢献する期間や貢献の度合いは、作品等によって大きく異なりますが、ユーザーへの提供技術の発達や利用形態の多様化とあいまって、十数年あるいはそれ以上の長期間にわたって貢献する作品等も存在しており、通常の商品や資産とは異なる特徴を有しております。これらの点を十分に理解することなく当社グループの企業価値を適切に評価することは極めて困難であると思料されます。
当社取締役会は、大規模買付者(注2)による大規模買付行為に際し、当社株券等を売却するか否かは、最終的には当社株券等を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。従って、当社取締役会は、大規模買付行為を一概に否定するものではありません。しかしながら、昨今の国内・国外の資本市場においては、時として、対象となる会社の経営陣との十分な協議を経ることなく、株主への十分な情報の開示もなされない段階で、大規模買付行為が行われるといった動きも見られます。当社取締役会は、このような状況を踏まえて、上記のような当社グループの知的財産権や経験等の集積と、近年の当社株券等の時価総額・資産状況の推移等を考慮した場合、当社株券等がそのような大規模買付行為の対象となる一定の可能性が存在していることは否定できないと判断しております。
そして、そのような状況に鑑み、当社取締役会は、株主の皆様が大規模買付者による大規模買付行為を評価する際、大規模買付者から一方的に提供される情報のみならず、現に当社の経営を担い当社の事業特性を十分に理解している当社取締役会の大規模買付行為に対する意見や代替案等も含めた十分な情報が、適時・適切に株主の皆様へ提供されるとともに、当社取締役会が大規模買付者に対して、当社グループの企業価値についての協議を求めることが可能になることを担保するための手立てをあらかじめ確保しておくこと及び提供された情報や代替案等を踏まえて当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な時間を確保することが、株主の皆様にとって有益であり、株主共同の利益の確保に資するものであると考えます。
(注1)「大規模買付行為」とは、株券等の保有割合を20%以上とすることを目的とした当社株券等の買付行為、又は結果として株券等の保有割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為等(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。)をいうものとします。なお、あらかじめ当社取締役会が同意したものを除くこととします。
(注2)「大規模買付者」とは、大規模買付行為を行う者及び行おうとする者をいいます。
③ 買収防衛策導入の目的と基本的な枠組み
当社取締役会は、大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が判断するに当たり必要かつ十分な情報・時間及び当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保するために、一定の合理的な仕組みを設けることが必要であると判断しております。当社取締役会は、大規模買付行為が、このような大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)に従って行われることが、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資すると考えております。
当社は、2007年に「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を導入し、その後、3年ごとに6月下旬開催の定時株主総会において内容を一部修正又は変更した上で継続することにつき承認を得ております(以下、2019年の定時株主総会において承認された対応策を「本対応策」といいます。)。
本対応策において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合や、大規模買付ルールを遵守した場合であっても当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益を著しく損なうおそれがあると当社取締役会により最終的に判断される場合には、当社取締役会は、社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置として新株予約権の無償割当ての実施(以下、「対抗措置」といいます。)を決議することができるものとします。その場合には、大規模買付者及びそのグループによる権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該大規模買付者等以外の者から当社株式と引き換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法(会社法第277条以下に規定されます。)により割当てます。
なお、特別委員会は、勧告を行うに際し、対抗措置の発動に関して、あらかじめ株主の皆様のご意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催するべき旨の勧告を行うことができるものとし、当該勧告がなされた場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、株主意思確認総会の招集を決議することができるものとします。
さらに、上記にかかわらず、当社取締役会が、取締役の善管注意義務に照らし株主の皆様のご意思を確認することが適切であると判断した場合にも、当社取締役会は、株主意思確認総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することができるものとします。
株主意思確認総会の決議は、出席株主の皆様の議決権の過半数によって決するものとし、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが可決された場合には、当社は対抗措置を発動するものとします。他方、株主意思確認総会において対抗措置を発動することが否決された場合には、当社は対抗措置を発動しないものとします。
なお、取締役会は、株主意思確認総会を開催することなく対抗措置を発動することを決議する場合には、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとします。
④ 本対応策の合理性について
イ.株主の合理的意思に依拠したものであること
本対応策の有効期間は、2019年6月27日開催の第96期定時株主総会の終結後から2022年6月開催予定の2022年3月期に関する当社の定時株主総会の終結の時までとなっており、有効期間の満了前であっても、株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によって本対応策を廃止できることとされています。
さらに、本対応策は、所定の場合には、当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで、株主総会を招集し、対抗措置の発動又は不発動に関する株主の皆様のご意思を確認することとしております。
また、株主総会の決議を経ることなしに、本対応策の継続や実質的な内容の変更を行うことはありません。(法令の改正・廃止等への対応のための形式的な変更で、実質的な内容の変更を伴わないものを除きます。)
以上のように、本対応策は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
ロ.独立性の高い社外者の判断の重視
本対応策において、当社取締役会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動・不発動の決議及び株主の皆様のご意思を確認するための株主総会の招集の決議については、当社の業務執行を行う経営陣から独立し、当社及び当社の経営陣との間に特別の利害関係を有していない社外者で構成される特別委員会の勧告を最大限尊重することとしております。
特に、当社取締役会が株主総会の決議を経ることなく対抗措置の発動を決議する場合には、当社取締役会は、特別委員会から、株主の皆様のご意思を確認することなく対抗措置を発動すべき又は発動することが望ましい旨の勧告を取得しなければならないものとしております。(当社取締役会の判断のみで対抗措置を発動できる余地がないものとなっております。)
ハ.買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、本対応策は、企業価値研究会が2008年6月30日に公表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」の趣旨も踏まえた内容となっております。従って、本対応策では、対抗措置として大規模買付者等に割り当てられた新株予約権を当社が取得する場合でも、その対価として金員等の交付を行うことはありません。
ニ.デッドハンド型又はスローハンド型買収防衛策ではないこと
本対応策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、大規模買付者は、自己が指名し、当社株主総会で選任された取締役で構成される取締役会決議により、本対応策を廃止する可能性があります。従って、本対応策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は、期差任期制を採用しておらず、また、取締役の解任決議要件の加重を行っておりませんので、本対応策は、スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
ホ.特別委員会の評価期間の上限を明確にしていること
大規模買付者に対する特別委員会の評価期間は、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は最大60日間、それ以外の場合は最大90日間としております。ただし、特別委員会が、その期間内に結論に至らない場合には、30日間を限度として合理的に必要な範囲で評価期間を延長することができることとしております。
なお、特別委員会が大規模買付情報の追加情報を求めた場合の回答期限(当社取締役会が大規模買付情報を受領した後最大60日間)を合わせると、現金(円貨)による当社株券等の全部買付の場合は評価期間を延長した場合で最大150日間、それ以外の場合は評価期間を延長した場合で最大180日間となります。