有価証券報告書-第34期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/24 12:13
【資料】
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【項目】
129項目
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月24日)現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の連結業績は、
売上高53,738百万円(前連結会計年度比 10.3%増)
営業利益12,229百万円(前連結会計年度比 35.9%増)
経常利益12,574百万円(前連結会計年度比 35.4%増)
親会社株主に帰属する当期純利益9,236百万円(前連結会計年度比 45.0%増)

となりました。
当連結会計年度における経済環境をみると、不安定な世界情勢、インフレーション及び急速な円安進行の中でも、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務改革、新たなデジタルサービス開発といったITを通じた経営改革への取組みは引き続き旺盛です。また、働き方改革によるリモートワークへの対応のほか、企業全体のサプライチェーンの見直しや、ESG・SDGs関連分野におけるITの活用も加速しており、あらゆる業種や領域においてIT投資が活発化しています。
更に、個人においても、ECサイト経由での購買、動画やオンラインを活用した娯楽やスポーツ観戦、ネットサービス上での教育、自己啓発など、ITの利用が浸透しました。
このような状況下、当社においては多種多様な顧客から戦略的な案件を獲得したことに加え、大型プロジェクトが順調に進行した結果、当社グループの当連結会計年度は前期比で増収増益となりました。
各セグメントの業績(売上高・営業利益)については以下のとおりであります。
① ITコンサルティング&サービス事業
フューチャーアーキテクト株式会社(フューチャー株式会社のテクノロジー部門を含む)は、当社の中長期的な成長に資するプロジェクトである地域金融機関向け次世代バンキングシステムにおいて2行目となる金融機関への導入が決定いたしました。また、エネルギー業界におけるAI・IoT技術を活用したフルオートメーションシステムの開発、デジタルコマースを加速するアパレル業界向けの基幹システム開発、顧客のITインフラの刷新案件等、引き続き多種多様な顧客からの様々な案件を獲得、推進いたしました。これらに加え、物流業をはじめとした多くの企業向けの継続的なDX支援が順調に進行したこと、並びに品質管理の徹底を継続して行った結果、前期比で増収増益となりました。
フューチャーインスペース株式会社は、フューチャーアーキテクト株式会社との連携により安定的に保守・運用案件を受託し、また、新規開発案件の受注を積み上げたことから、前期比で増収増益となりました。
FutureOne株式会社は、オリジナルのパッケージソフトウェア「InfiniOne」の提供に際し、カスタマイズを最適化する取組みを推進するとともに、外部販売パートナー等のチャネル強化に努めた結果、前期比で増収増益となりました。
株式会社ワイ・ディ・シーは物流分野における独自のノウハウを当社グループの顧客に提供し顧客層の拡大に努めるも、SI案件の減少などにより、前期比で減収減益となりました。
株式会社ディアイティは、脆弱性診断、インシデント対応、ネットワークセキュリティソリューションなど、サイバーセキュリティ関連の受注が好調に推移しており、またサイバー攻撃に対抗する統合分析プラットフォーム「WADJET(ウジャト)」の展開も進んだことで、前期比で増収増益となりました。
この結果、本セグメントの売上高は45,593百万円(前期比16.1%増)、営業利益は12,910百万円(同44.7%増)となり、前期比で増収増益となりました。
② ビジネスイノベーション事業
株式会社YOCABITOは、冬物アパレルの売上が気候の関係により想定より伸びなかったことに加え、引き続きアウトドア用品市場の競争が激しいことから売上が想定を下回りました。また、円安や原材料費、物流費の高騰による仕入コスト等の上昇が利益を圧迫し、前期比で減収減益となりました。
コードキャンプ株式会社は、次年度において売上を見込む法人向けの受注が伸長したものの、当年度においては個人向けの受注が競合他社の参入を背景に減少しました。これにより、前期比で減収減益となりました。
東京カレンダー株式会社は、デジタルプロモーションを強化したことにより雑誌販売が大きく伸長したことに加え、「東カレデート」等のネットサービス収入が安定的に推移いたしました。一方で、2023年1月より開始する新サービス「グルカレ」に係る費用を計上したことなどから、前期比で増収減益となりました。
ライブリッツ株式会社は、プロ野球のチーム強化に向けたシステム拡張が増加したことに加え、会員管理・ECパッケージ「FastBiz」のラグビーチームなど複数チームへの導入を実施したことなどから、前期比で増収増益となりました。
この結果、本セグメントの売上高は8,274百万円(前期比13.8%減)、営業損失は272百万円(前期は営業利益413百万円)と、前期比で減収減益となりました。
(注)上記のセグメントの業績数値は、セグメント間の内部売上高又は振替高を調整前の金額で記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
当連結会計年度の財政状態の分析は、以下のとおりです。
① 資産
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ6,723百万円増加の38,835百万円、固定資産は3,349百万円減少の19,022百万円、総資産は3,374百万円増加の57,857百万円となりました。その主な要因は、投資その他の資産における投資有価証券の市場価格の低下(前連結会計年度末比△4,840百万円)があったものの、利益の増加により現金及び預金が増加(同+6,121百万円)したことや、ソフトウエアの増加(同+1,076百万円)及び受取手形、売掛金及び契約資産の増加(同+1,328百万円)等があったことによるものです。
② 負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,954百万円増加の9,860百万円、固定負債は1,605百万円減少の3,169百万円、負債合計は348百万円増加の13,030百万円となりました。その主な要因は、投資有価証券の市場価格の低下に伴い繰延税金負債が減少(前連結会計年度末比△1,595百万円)したものの、その他流動負債の増加(同+1,346百万円)、未払金の増加(同+318百万円)、買掛金の増加(同+154百万円)等があったことによるものです。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ3,025百万円増加し、44,827百万円となりました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が減少(前連結会計年度末比△3,588百万円)したものの、利益剰余金(同+6,556百万円)が増加したこと等によるものです。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は以下のとおりです。
当社グループでは、企業価値の持続的な向上のためには、事業の「稼ぐ力」の指標である営業利益に最も注目し、加えて、売上高営業利益率の上昇を目標としております。
具体的には、他社との差異化を図り、成長を維持するために必要な「研究開発」、「教育・研修」及び「採用」などの戦略的投資項目には重点的に経営資源を配分しつつ、ITコンサルティング&サービス事業に関しては、売上高営業利益率20%以上を目指すとともに、ビジネスイノベーション事業に関しては、売上高営業利益率10%以上を目指すこととしています。
当連結会計年度においては、連結の営業利益は12,229百万円となり、前期比で35.9%増加しました。売上高営業利益率は、ITコンサルティング&サービス事業で28.3%(前期は22.7%)となり、ビジネスイノベーション事業は△3.3%(前期は4.3%)となりました。連結の営業利益率は、22.8%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益13,266百万円の計上や減価償却費1,201百万円による資金留保等から法人税等の支払額3,972百万円等を差し引き、営業活動によるキャッシュ・フローは全体で10,174百万円の収入(前連結会計年度は9,611百万円の収入)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
無形固定資産の取得による支出1,693百万円、投資有価証券の取得による支出989百万円等があった一方、投資有価証券の売却による収入1,432百万円があったこと等から、投資活動によるキャッシュ・フローは全体で1,009百万円の支出(前連結会計年度は1,689百万円の支出)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払額2,756百万円等により、財務活動によるキャッシュ・フローは、3,017百万円の支出(前連結会計年度は2,498百万円の支出)となりました。
④ 現金及び現金同等物の期末残高
これら営業活動、投資活動、財務活動による現金及び現金同等物の増加額は6,121百万円となり、現金及び現金同等物の期末残高は27,552百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
① 資金需要
当社グループの運転資金需要は、主に従業員の給料や賞与やパートナー会社への外注費であり、その他に採用費や研修費など人材獲得や教育に関する費用、オフィスの賃貸料及び一般管理費等があります。また、投資資金需要としては、M&Aに必要な資金、販売目的や自社利用のためのソフトウェアの制作のための資金及びAI等の最先端技術の研究開発のための資金があります。
② 財務政策
当社グループにおきましては、①の運転資金や投資資金の需要に対して、安定した営業キャッシュ・フローを反映した自己資金でまかなうことを原則としています。将来的にM&A等により大型の投資資金が必要となった場合は、財務健全性を考慮しながら借入を行うことも検討してまいります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
ITコンサルティング&サービス事業
(百万円)
22,2768.5
ビジネスイノベーション事業(百万円)5,311△10.3
その他(百万円)39685.0
合計(百万円)27,9845.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、ITコンサルティング&サービス事業については原価及びハードウェア等調達品の仕入価格、ビジネスイノベーション事業については原価及び商品仕入価格によっております。
② 受注実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)
ITコンサルティング&サービス事業47,95716.214,10621.2
ビジネスイノベーション事業2,91129.6703129.1
合計50,86816.914,80924.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.受注高には為替レート変動に伴う金額調整分を含めております。
③ 販売実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
ITコンサルティング&サービス事業
(百万円)
45,48716.2
ビジネスイノベーション事業(百万円)8,204△13.8
その他(百万円)46187.2
合計(百万円)53,73810.3

(注)金額は、セグメント間の内部売上高又は振替高を除いた外部顧客に対する売上高によっております。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。