有価証券報告書-第24期(平成31年1月1日-令和1年10月31日)

【提出】
2020/01/29 15:49
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【項目】
135項目
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における我が国の経済は、企業収益が回復し、設備投資も底堅く推移するなど、緩やかな回復基調が続きました。その一方で、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱問題など海外経済の不透明感に加え、本年10月1日施行の消費税率引上げによる景気への影響が懸念されるなど、先行きは不透明な状況になっております。
こうしたマクロ経済動向のなか、当社の関連する学習・研修分野及び人材サービス市場は、長期的な人手不足による人材ニーズの高まりや、企業の働き方改革の推進並びに生産性の向上を背景に、引き続き成長領域であります。
IT研修事業から創業し、情報技術を取り入れた電子媒体での研修教材、そしてeラーニングシステムを提供するなど、一貫して人材育成のソリューションを提供してきた当社のサービスに対する関心も高まっています。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社のソフトウェア事業では、「第二の創業期」成長戦略を推進し、成長エンジンと位置付けてきた、ビジネス・ビデオ「QUMU」事業及びスタジオ・オクトを中心とした研修配信などの研修サービス事業はストック型のビジネスとして一定の成果を上げるに至りました。
加えて、創業事業であるLMS事業についても、大手金融機関を中心にご利用いただく「iStudy LMS」のバージョン・アップデート、中小型レンジの企業さま向けのNew LMS「SLAP」をローンチし、新規開拓を加速、既存クライアントの深耕に注力しました。また、2019年4月17日をもって、株式会社カイカ(以下、カイカ)の連結子会社となったことで、安定したサービスを提供できる新たなクラウド環境への移設に着手しました。
一方、国内企業の人事評価に先端IT技術であるAIの応用、その他にもビックデータ・IoT・ブロックチェーンといった先端IT技術の社会実装に加え、こうした専門領域を得意とする高度IT人材の不足は日本経済の中長期における課題であり、こうした社会課題の解決に資するビジネスとして「iStudy ACADEMY」、ならびに本領域のeラーニングコンテンツに対して、企業の人事担当者、スキルアップやキャリアチェンジを志向する個人からの引き合いも高まっています。
具体的には、当社の研修サービス事業において、AIコース体系・ブロックチェーンコース体系を始め、データサイエンティスト・IoT・新規事業開発・セキュリティといった各先端領域のeラーニングコンテンツを、それぞれの分野のフロントランナーをパートナーに迎え、ユニークなeラーニングコンテンツとして販売を開始いたしました。また、「iStudy ACADEMY」は、上記コンテンツの販売開始により着実に受講者を獲得しております。さらに2019年10月には、「iStudy ACADEMY」のさらなる伸長を目的に株式会社エイム・ソフト、株式会社ネクストエッジの株式を取得しシナジーを追求しております。
「HR Tech × Ed Tech の分野にて日本を代表するソリューションカンパニーを目指す」という新たなビジョンを掲げるとともに、第二の創業期としてこれまで着手してきた改革フェーズから、次なる成長ステージへと歩みを進めるべく「収益力の大幅向上」へ向け、業態のトランスフォームの加速に着手した次第です。
このように、非連続な成長に向けた改革、並びにM&Aした連結対象子会社と新たなシナジー効果の追求に経営の舵を切った最中にあるなかで、当連結会計年度の業績は、売上高は754百万円、営業損失4百万円、経常損失5百万円、親会社株主に帰属する当期純損失18百万円となりました。
なお、当期の連結財務諸表では子会社の損益計算書は合算せず、上記は単体損益計算書での売上高754百万円、営業利益37百万円、経常利益36百万円、当期純利益22百万円から、子会社取得のためのアドバイザリー費用41百万円を、子会社株式取得原価から販売費及び一般管理費に振り替えて計上した結果となります。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
当社のセグメント別の製品・サービス分類は次のとおりです。
セグメント製品・サービス
ソフトウェア事業・法人向け学習管理システム 「iStudy LMS」
・法人向けビジネスビデオ 「Qumu(クム)」
研修サービス事業・各種研修講座・サービス
・研修・eラーニングコンテンツ
・ビデオ収録・映像配信
・有料職業紹介サービス 「iStudy ACADEMY」
システムエンジニアリング事業・高度IT技術者の育成、ならびに紹介および派遣事業
・フリーランスマッチング事業

[ソフトウェア事業]
ソフトウェア事業につきましては、新規顧客獲得など受注活動に注力した結果、銀行案件の受注及び案件数が順調に増加するなど好調に推移しております。また、既存顧客からのカスタマイズにおいても受注環境は堅調に推移しております。更に、中堅企業向けに開発して参りました新LMS SLAP(スラップ)は、予定通り11月末に市場導入し、複数社の内定を獲得出来ております。
以上の結果、売上高370百万円、セグメント利益16百万円となりました。
[研修サービス事業]
研修サービス事業につきましては、AIおよびブロックチェーンカテゴリを主力として、コース体系化を推進し、まずは「数学講座」や「機械学習・ディープラーニング基礎講座」、「ブロックチェーン・エンジニア養成コース」といった入門コースならびに、「IoT エンジニア養成コース」といったDX人材育成を支援するeラーニングの販売を開始しております。「iStudy Academy」においては、AI関連の人材ニーズを反映し、個人受講が増加傾向にあるのと、株式会社エイム・ソフトを子会社化したことで、より積極的なiStudy Academy事業展開の礎を整えました。
以上の結果、売上高383百万円、セグメント利益21百万円となりました。
上記のセグメントの他に、2019年9月30日をみなし取得日として株式会社エイム・ソフト及び株式会社ネクストエッジの株式を取得しましたが、同社が営んでいるシステムエンジニアリング事業は、新たに加わったセグメントであるため当連結会計年度における実績はありません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,071百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは50百万円のマイナスとなりました。これは主に、税金等調整前当期純損失5百万円、前受収益の減少33百万円、仕入債務の減少27百万円、などの資金減少要因が、売上債権の減少24百万円などの資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは117百万円のプラスとなりました。これは主に、出資していた投資ファンドの清算金による収入148百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、84百万円のプラスとなりました。これは主に、長期借入れによる収入100百万円によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績
該当事項はありません。
(2) 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年10月31日)
前年同期比
(%)
金額(千円)
ソフトウェア事業53,604
研修サービス事業18,175
合計71,779

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 仕入実績の金額は、製品仕入高、商品仕入高、製品ロイヤリティー仕入高の金額を合計しております。
(3) 受注実績
該当事項はありません。
(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年10月31日)
前年同期比
(%)
金額(千円)
ソフトウェア事業370,872
研修サービス事業383,166
合計754,039

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先当連結会計年度
金額(千円)割合(%)
株式会社ブイキューブ262,11434.7

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、会計上の見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的な見積り金額を判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、異なる可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
① 貸倒引当金
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備え、回収不能見込額を計上しております。このため、将来、取引先等の債務者の財政状態が変化した場合等には、貸倒引当金の必要額も変動する可能性があります。なお、当連結会計年度は貸倒引当金を計上しておりません。
② たな卸資産の評価
たな卸資産は、販売見込数と実際の販売数に応じて在庫を保有しておりますが、販売見込数と実販売数に大きく差異が生じたり、ベンダー主催の試験制度が突然変更になったりした場合には、評価損及び除却損を計上する可能性があります。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高の分析
売上高は、754百万円となりました。その主な要因については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益の分析
売上原価は、470百万円となりました。主な費用及び金額は、業務委託費139百万円、賃金63百万円、賃借料51百万円等であります。販売費及び一般管理費は、288百万円となりました。主な費用及び金額は、給料手当及び賞与77百万円、役員報酬25百万円、支払報酬77百万円、販売促進費及び広告宣伝費9百万円、賃借料9百万円等であります。これらの結果、営業損失は4百万円となりました。
③ 営業外損益、特別損益、当期純利益の分析
営業外収益は、1百万円となりました。主な収益及び金額は、受取利息0百万円によるものであります。営業外費用は、投資事業組合運用損2百万円などにより2百万円となりました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純損失18百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、人財教育をサポートするソリューションの提供として、学習管理システム「iStudy LMS」、ブロックチェーン、IoT等の高度IT技術を中心とした技術学習取得および資格取得のためのeラーニング学習コンテンツの製造販売、自社撮影スタジオにおける映像配信事業に努めており、以下の重点施策を遂行し、更なる事業拡大を図ってまいります。
○市場での当社グループの認知度向上
積極的広報宣伝活動と販売戦力の拡充
○高度IT分野における協業企業との技術連携による価値向上
高度IT技術の社会実装に向けたeラーニング学習コンテンツの開発強化
当社グループの学習管理システム「iStudy LMS」とのシステム連携によるソリューションの充実化
○新規市場への参入
日本国内及び海外における文教市場への参入
(5) 資本の財源及び資金の流動性について
① 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は1,858百万円となりました。
流動資産の残高は1,384百万円となりました。これは主に現金及び預金1,071百万円、売掛金201百万円等であります。
固定資産の残高は473百万円となりました。これは主に有形固定資産40百万円、無形固定資産343百万円、投資その他資産88百万円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は508百万円となりました。
流動負債の残高は355百万円となりました。これは主に前受収益117百万円、買掛金73百万円等であります。
固定負債の残高は153百万円となりました。これは主に長期借入金151百万円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は1,350百万円となりました。これは主に資本金705百万円、資本剰余金667百万円、利益剰余金△13百万円等であります。
② キャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。