四半期報告書-第27期第1四半期(令和3年11月1日-令和4年1月31日)

【提出】
2022/03/11 15:35
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、年間を通じて新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の抑制の中、推移いたしました。ワクチン接種が促進される中、経済の再開による景気回復期待から米国株が過去最高値を記録するなど株式市場が活況を帯びた一方、世界的なインフレの進行や新型コロナウイルス「オミクロン型」の急速な拡大に伴い感染再拡大の可能性等もあり、景気の先行きが懸念されます。わが国経済におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和される中でこのところ持ち直しの動きがみられましたが、2022年年始から「オミクロン型」の猛威による影響が続いており、今後も予断を許さない状況に加えて上記世界経済の影響もあり、景気は依然として厳しい状況が続くと見込まれます。
こうしたマクロ経済動向のなかではありますが、当社グループは中期経営計画(2019年10月期~2022年10月期)における「収益力の大幅向上」に向けて引き続き業態のトランスフォームを推進する方針を掲げております。当連結会計年度においても中期経営計画を羅針盤に事業を推進してまいりました。
当社グループは産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を使命とする一企業集団として、あらゆるサービスのデジタル化が進む時代に備え、引き続き、自らのビジネスモデルを変革し続けております。併せて、前会計年度に実施したライツ・オファリングによる調達資金を成長原資として、ダイナミックにケイパビリティの拡充を図ることを狙い、M&A及び資本業務提携と積極的な事業投資を進めております。
このような中、当社はWeb3.0時代の到来によるパラダイム・シフトに備え、成長分野であるブロックチェーン領域に経営資源の投下を加速し、ブロックチェーン技術に立脚するサービスカンパニーへと事業ドメインの転換を図る方針に基づいてセグメント変更を実施し、新たに「ブロックチェーンサービス事業」セグメントを新設しました。当連結会計年度におけるブロックチェーン事業は、提携企業との協力のもとNFTマーケットプレイスの開発を引き続き継続し、先進技術を用いた新たなサービスアプリケーションの提供に向けて活動しております。システムエンジニアリング事業では、他社のLMSからのリプレース案件が数件獲得、システムエンジニアの安定稼働による黒字体質の継続(稼働率目標96%の達成)、受託開発においては主にブロックチェーン技術を活用したシステムの開発実現などの成果に至りました。インキュベーション事業では、暗号資産運用を中心に90百万円超の収益獲得に至りました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高334百万円(前年同四半期比203百万円のマイナス)、EBITDA68百万円(前年同四半期は△27百万円)、営業利益44百万円(前年同四半期は営業損失51百万円)、経常利益47百万円(前年同四半期は経常損失41百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益28百万円(前年同四半期は四半期純損失36百万円)となりました。
(※)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
当社のセグメント別の製品・サービス分類は次のとおりです。
セグメント製品・サービス
ブロックチェーンサービス事業・先端IT技術を適用するシステムの受託開発
・先端IT技術の社会実装を目的とする受託研究
・ブロックチェーン技術の基礎研究
・ブロックチェーン技術に関する教育コンテンツの開発・販売
システムエンジニアリング事業・法人向け学習管理システム 「iStudy LMS」「SLAP」
・各種研修講座・eラーニングコンテンツ
・高度IT技術者の育成、ならびに紹介および派遣事業
・SES事業およびシステムの受託開発事業
インキュベーション事業・経営および各種コンサルティング事業
・投融資業

当第1四半期連結会計期間より、報告セグメント区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較をしております。
[ブロックチェーンサービス事業]
ブロックチェーンサービス事業においては、2022年3月より当社の連結子会社となったブロックチェーンR&D企業のチューリンガム株式会社との統合プロセスを進めており、統合後の速やかな収益獲得に向けて各プロジェクトの進捗状況の確認や検証を進めております。また、以前より開発着手していたNFT(※)マーケットプレイスについては、予定どおり2022年2月にプロダクトの納品を完了しており、株主様向け議決権行使プラットフォーム、暗号資産のレンディングサービスアプリケーション、暗号資産を対象にしたAPI連携による自動トレーディングシステムに続いて、ブロックチェーン技術を用いた開発案件として当社の新たなトラックレコードとすることができました。
以上の結果、売上高5百万円(前年同四半期比18百万円のマイナス)、EBITDA△1百万円(前年同四半期は6百万円)、セグメント損失4百万円(前年同四半期はセグメント利益4百万円)となりました。
なお、クシムインサイトの株式取得に伴うのれん償却額1百万円は当セグメント利益に含めております。
※ Non-Fungible Token の略語。代替の可能性のないブロックチェーン上のトークンです。
[システムエンジニアリング事業]
クシムの法人向け学習管理システムである「iStudy LMS」及び「SLAP」は、病院や企業への新規案件の獲得及び導入により売上及び利益が増加いたしました。前期同様から進めているオンプレミスの大型案件のリプレースニーズ及びリファラル営業手法による中小企業のニーズを積極的に展開した結果、改めて導入検討する企業が増加しております。まん延防止等重点措置の発令により検討の遅延はございますが、引き続き獲得に向け邁進してまいります。
eラーニングコンテンツは、弊社が得意とする、IT基礎教育、コンプライアンス、IT資格系のコンテンツについては堅調な売上を上げております。また昨年度販売を開始しましたAI、IoT、秘密計算等の高度なIT技術に関するコンテンツは、大手SIerへの導入など順調に売上を上げるまでに至っております。今後はさらに金融系のLMS既存顧客をはじめとする大手企業への導入を加速させてまいります。
コンテンツ制作サービスについては、大手金融機関から定期的にオーダーメイドeラーニングコンテンツの制作案件を受注しており売上も堅調に推移しております。
今後もお客様の多様なニーズにお応えするべく、引き続き対応してまいります。
イーフロンティアは、同社が保有するメールマガジン会員30万人に向けて、「iStudy LMS」及び「SLAP」を販売展開しております。同社はコンシューマ向け製品を中心にeコマース販売のみならず、法人販売、店頭販売も全国的に展開しており、近年ではこの販売網を活用し、ソフトウェアのみならず、パソコン周辺機器の販売にも注力を行っております。直近では、新たにNFTマーケットプレイスで自社開発のソフトウェアの販売の準備を進めておりまして、新しいマーケットでのサービス提供を積極的に進めております。
SES事業およびシステムの受託開発事業はクシムソフトで担っており、同社ではニーズの高いオープン系を中心としたIT技術者の育成により、顧客システム開発の支援、エンジニア派遣事業を拡充しながら目標稼働率96%を掲げて年間活動しておりますが、当四半期においては目標を大きく上回り100%稼働を達成しました。業界全体としてはいまだに新型コロナウイルスの影響によるプロジェクト凍結や再開時の縮小等が続いておりますが、グループシナジーを活かし新しいマーケット開拓を積極的に続けた結果、上位スキル案件へのエンジニア参画が実現し、同時にエンジニアの市場価値の底上げに繋がる好循環が続きました。さらなる好循環として、市場価値の上がったエンジニアによって次案件へのリードタイムの短縮化も加速し部門黒字となりました。この好循環の稼働率は引き続き継続する見通しであり、さらに新規採用者においても採用月からリードタイム無く稼働している状況にあります。
受託開発も同様にグループシナジーを活かした案件獲得の中でも先端分野(AIやブロックチェーンを活用したシステム)に対する画面等の開発実現と、既存顧客から依頼を受けた追加開発においてもすべて遅滞なく納品完了しました。さらにシステムのバージョンアップ対応、新規受託開発案件の獲得等、順調に案件レコードが積み重ねており、その結果部門黒字を継続しております。また開発体制もエンジニア増員をすることで、さらなる案件拡大を引き受ける体制を整えており、順調に業績拡大しております。
なお、同社での先端分野に対するプロジェクトの関わりは、必然的にプロジェクト進行と共に高度IT技術者の育成の場としてグループ事業と業績にも寄与しております。
ケア・ダイナミクスは、介護事業者向けASPサービスを中心に、介護業界にIT技術を導入することで成長をしてきました。ASPサービスの「Care Online」は、介護現場における国保請求等の業務負荷軽減が出来るサービスであるため、2006年にサービスを開始以来、多くのユーザーにご利用いただいております。保守運営をクシムソフト島根事業所開発センターに移管したことで、一部外注していたメンテナンス業務を自社内で完結できるようになり、経営効率の改善を図りました。「Care Online」のLIFE(※)対応、ブラウザ対応(Chrome、Edge、Safari)、他システムとの連携ならびにオプション機能開発など、システム開発に注力し、継続して機能向上を図ってまいります。また、今期は販売網拡大に向けて、紹介パートナー企業開拓のための活動を開始しております。
以上の結果、売上高236百万円(前年同四半期比277百万円のマイナス)、EBITDA40百万円(前年同四半期比22百万円のマイナス)、セグメント利益21百万円(前年同四半期比20百万円のマイナス)となりました。
なお、クシムソフト及びケア・ダイナミクスの株式取得に伴うのれん償却額13百万円は当セグメント利益に含めております。
※ 科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence)の略称。2021年度(令和3年度)介護報酬改定において、エビデンスに基づく科学的に裏付けられた介護の実現のため、LIFEが本格稼働されました。
[インキュベーション事業]
インキュベーション事業においては、ライツ・オファリングにより発行する第8回新株予約権、及び、行使価額修正条項付株式会社クシム第9回新株予約権の行使による調達資金を充当した暗号資産運用において、複数の暗号資産への投資を実行し約90百万円超の収益獲得に至りました。なお、暗号資産市場はマクロ経済全体の減退による影響を受ける可能性があり、今後もその影響を注視して運用をしてまいります。
M&Aおよび資本提携による事業投資につきましては、M&A仲介企業やデータベースを用いたM&A仲介サービスを活用し候補となる企業のソーシングを日々継続しておりますが、事業承継やバイアウトを目指す企業の増加に伴い、譲渡金額相場が上昇傾向にあり、企業の財政状態や将来の獲得キャッシュフローに基づく想定企業価値とのギャップが大きいケースが多く、2021年9月に株式会社FLOCからの事業買収以降、成約には至っておりません。引き続き、高度ITおよびブロックチェーン領域の企業に集中してM&Aの取り組みを進めてまいります。
以上の結果、売上高92百万円(前年同四半期比92百万円のプラス)、EBITDA92百万円(前年同四半期比92百万円のプラス)、セグメント利益92百万円(前年同四半期比92百万円のプラス)となりました。
② 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて686百万円増加し4,481百万円となりました。
流動資産の残高は前連結会計年度末に比べて485百万円増加し2,447百万円となりました。これは主に現金及び預金が147百万円、売掛金及び契約資産が208百万円、暗号資産が108百万円増加したことによるものであります。
固定資産の残高は前連結会計年度末に比べて201百万円増加し2,033百万円となりました。これは主に投資有価証券が223百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて51百万円減少し676百万円となりました。
流動負債の残高は前連結会計年度末に比べて16百万円増加し299百万円となりました。これは主に未払法人税等が6百万円増加したことによるものであります。
固定負債の残高は前連結会計年度末に比べて67百万円減少し376百万円となりました。これは主に長期借入金が14百万円、繰延税金負債が53百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における純資産は前連結会計年度末に比べて738百万円増加し3,804百万円となりました。これは主に資本金が218百万円、資本剰余金が218百万円増加したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
セグメント間の比較可能性の確保及び実態収益を把握する観点から、経営上の目標の達成状況を判断する指標としてEBITDAを設定しております。なお、EBITDAは営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算して算出しております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。