四半期報告書-第28期第3四半期(2023/05/01-2023/07/31)

【提出】
2023/09/14 15:31
【資料】
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【項目】
49項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う行動制限の緩和により、経済活動の正常化に向けた動きが進み、緩やかな回復傾向に向かう動きが見られる一方で、欧米を中心とした金融引締めによる世界経済の減速、資源価格の高騰や円安による物価上昇が続いており、今後の景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当社グループは中期経営計画に基づいて成長分野であるブロックチェーン領域に経営資源の投下を加速し、ブロックチェーン技術に立脚するサービスカンパニーへと事業ドメインの転換を図ることに加え、収益事業の獲得を目的としたM&A及び資本業務提携の活動を継続しております。
当社グループでは、このような外部環境下においても安定的な総合収益力を獲得すべく、成長性のあるブロックチェーンサービス事業、安定収益のシステムエンジニアリング事業の2事業が相互補完し合う運営体制を構築してまいりました。当該運営体制とは、当社が掲げる「ブロックチェーン技術の社会実装を推進し、その普及に貢献する」というミッションを実践するために、各事業の現在のサービス及び収益基盤を維持しつつ、事業横断的なクライアントやパートナーとの接点を増やし新たなパイプラインや協業体制の開拓であり、ブロックチェーンサービスの保守運用を2事業に属するエンジニアが担う体制の整備です。また、今後の収益基盤の獲得に向けて、ブロックチェーンゲームやGameFiのビジネスが広く普及することを目的として、ドバイ進出を目指すお客様の法務、会計等及び規制面から踏み込んでサポートする取り組みも進めるといった先行投資にも着手致しました。以上の取り組みの結果、大手ゲーム会社との協業によるGameFiプロジェクトへの参画により、今後、プロジェクト収益の計上が見込まれております。
一方で、市場における暗号資産のボラティリティの影響による暗号資産の評価減、連結子会社であるチューリンガムののれん償却費等のキャッシュアウトを伴わない損益項目による影響が連結損益上の負担となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高480百万円(前年同四半期比719百万円のマイナス)、EBITDA△214百万円(前年同四半期はEBITDA248百万円)、営業損失465百万円(前年同四半期は営業利益89百万円)、経常損失500百万円(前年同四半期は経常利益83百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失147百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益492百万円)となりました。
(※)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
当社グループのセグメント別の製品・サービス分類は次のとおりです。
セグメント製品・サービス
ブロックチェーンサービス事業・先端IT技術を適用するシステムの受託開発
・先端IT技術の社会実装を目的とする受託研究
・ブロックチェーン技術の基礎研究及びこれらに関する製品の製造及び販売並びに役務の提供
システムエンジニアリング事業・高度IT技術者の育成、ならびに紹介及び派遣事業
・SES事業及びシステムの受託開発事業
インキュベーション事業・経営及び各種コンサルティング事業
・投融資業

[ブロックチェーンサービス事業]
チューリンガムにおいて、ブロックチェーン技術や暗号理論を用いたR&Dをベースとしながら、ブロックチェーン開発支援や受託開発、トークンエコノミクスと言われる暗号資産をどのようにサービスやプロジェクトの中で利活用するのかというトークンのデザインやマーケットへの供給を行う際に誰にどのように分配を行っていくかといった暗号資産開発に関わる包括的なサービスを提供しています。当第3四半期連結累計期間については、前期に引き続き株式会社ネクスグループが発行する暗号資産ネクスコインの価値向上の取り組みとしてGameFiプラットフォームの構築支援を進めております。また、株式会社ドリコムとの共同事業として独自GameFiタイトルのリリースを発表いたしました。さらには新たな試みといたしまして国内で先駆けて独自ブロックチェーンを構築するサービスである「Turingum Business Chain」を発表し、現在は営業・開発を進めているなど国内での新規案件の獲得とともに新規サービスの立ち上げも行っております。
クシムインサイトにおいては、当社グループが開発に関与し納品済みである複数のプロダクトの保守運用により継続的に収益を獲得しております。これらのプロダクトは、ブロックチェーン技術を利用しているNFT(※)マーケットプレイス、株主様向け議決権行使プラットフォーム、暗号資産のレンディングサービスアプリケーション等が対象となっております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のブロックチェーンサービス事業全体における業績は、当年度において進行するプロジェクトの進捗の影響により、売上高125百万円(前年同四半期比340百万円のマイナス)、EBITDAは△37百万円(前年同四半期はEBITDA185百万円)、セグメント損失245百万円(前年同四半期はセグメント利益85百万円)となりました。
なお、クシムインサイト、チューリンガムの株式取得に伴うのれん償却額207百万円は当セグメント損失に含めております。
(※)Non-Fungible Token の略語。代替の可能性のないブロックチェーン上のトークンです。
[システムエンジニアリング事業]
クシムソフトにおいては、SES事業及びシステムの受託開発事業を担っております。SES事業につきましては、ニーズの高いオープン系を中心としたIT技術者の採用と育成により、顧客システム開発の支援、エンジニア派遣事業を拡充しております。当第3四半期連結会計期間においては、参画中のプロジェクトでは継続した取引が続きましたが、第2四半期連結会計期間の後半から集中した中途入社エンジニアがプロジェクト参画するために発生した一時的なリードタイムにより、当第3四半期連結会計期間は目標稼働率には至りませんでした。ただし、これは一時的な目標稼働率の下回りであり、年間の稼働率は目標を達成する見込みです。今後も中途採用は継続しつつ目標稼働率を達成することで、売上及び利益向上へ寄与してまいります。
受託開発事業につきましては、引き続き開発納品後の運用保守案件を中心に、SES事業の顧客からの開発案件、システムのバージョンアップ対応等、営業活動の幅を広げて案件レコードを積み重ねております。当第3四半期においては請け負っているすべての案件において滞りなく納品が完了しております。なお、受託開発事業部の中で一部高度IT技術を用いた案件を運用保守していることで、OJTの中での高度ITエンジニアの育成にも寄与しております。
さらに当第3四半期連結会計期間において、アステリア株式会社の製品であるAsteria warpのテクニカルパートナーとなりました。それによりSES事業でのAsteria warp案件でプロジェクト参画が強化され、また受託開発事業においても同様に案件受注が実現されました。今後は中途エンジニアを採用した際に受託開発事業でのAsteria warp案件に従事し、SES事業でのAsteria warp案件において新たな顧客開拓へと繋げることで事業全体を拡大いたします。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のシステムエンジニアリング事業全体における業績は、前年度の子会社売却や事業譲渡による法人向け学習管理システムやコンテンツ・製品販売の減収等の影響を受け、売上高438百万円(前年同四半期比240百万円のマイナス)、EBITDA52百万円(前年同四半期はEBITDA81百万円)、セグメント利益10百万円(前年同四半期比13百万円のマイナス)となりました。
なお、クシムソフトの株式取得に伴うのれん償却額41百万円は当セグメント利益に含めております。
[インキュベーション事業]
暗号資産運用につきましては、グループ全体で複数の暗号資産への投資を実行した結果、152百万円超の収益獲得に至りました。一方、市場における暗号資産のボラティリティの影響を受けた結果、保有する暗号資産の評価損として241百万円を計上するに至りました。暗号資産市場はマクロ経済全体の減退による影響を受ける可能性があり、今後もその影響を注視して運用をしてまいります。
また、当社で運用している情報メディアサイト「KUSHIM HACK」では、ブロックチェーン、暗号資産、Web3.0及びNFT等にフォーカスして情報発信をしており、本メディアサイトによる広告事業収益は5百万円となりました。本メディアサイトにおける協業依頼等も増えていることから、引き続き当社グループの事業関連性の高い情報発信を行って参ります。
M&A及び資本提携による事業投資につきましては、これまでどおりM&A仲介企業やデータベースを用いたM&A仲介サービスを活用し候補となる企業のソーシングを継続するだけでなく、Web3分野でのシナジーを追求した案件選定もすることで、より間口を広げたM&A戦略を推進してまいります。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のインキュベーション事業全体における業績は、暗号資産の運用による売却益を152百万円計上した一方、評価損241百万円計上の影響による減収により、売上高△83百万円(※)(前年同四半期は131百万円)、EBITDA△83百万円(前年同四半期はEBITDA131百万円)、セグメント損失83百万円(前年同四半期はセグメント利益131百万円)となりました。
(※)暗号資産売却による収益を上回る評価損計上により、合算された売上高はマイナスとなりました。
② 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて523百万円減少し5,920百万円となりました。
流動資産の残高は前連結会計年度末に比べて157百万円増加し2,967百万円となりました。これは主に現金及び預金が289百万円増加、売掛金及び契約資産が187百万円減少、暗号資産が33百万円増加、その他が21百万円増加したことによるものであります。
固定資産の残高は前連結会計年度末に比べて680百万円減少し2,953百万円となりました。これは主に工具器具備品が62百万円増加、のれんが248百万円減少、投資有価証券が524百万円減少、繰延税金資産が29百万円増加したことによるものであります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて188百万円減少し407百万円となりました。
流動負債の残高は前連結会計年度末に比べて100百万円減少し183百万円となりました。これは主に買掛金が25百万円減少、未払法人税等が56百万円減少、その他が23百万円減少したことによるものであります。
固定負債の残高は前連結会計年度末に比べて88百万円減少し223百万円となりました。これは主に長期借入金が42百万円減少、繰延税金負債が43百万円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は前連結会計年度末に比べて334百万円減少し5,513百万円となりました。これは主に利益剰余金が147百万円減少、その他有価証券評価差額金が196百万円減少したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
セグメント間の比較可能性の確保及び実態収益を把握する観点から、経営上の目標の達成状況を判断する指標としてEBITDAを設定しております。なお、EBITDAは営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算して算出しております。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。