有価証券報告書-第53期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 13:19
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【項目】
148項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、金融緩和や各種経済政策を背景として、緩やかながら景気回復基調で推移しました。一方で、政策に対する不確実性、米中貿易摩擦など通商問題に起因する金融資本市場の変動など、経済環境は依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの属する情報サービス分野においては、企業のIT投資は堅調に推移しておりますが、一方でIT技術者は不足している状況が続いております。
このような状況の下、当社グループでは継続案件や新規案件の受注確保、人材育成及び採用活動への投資などに注力してまいりました。
この他、BPOサービスの領域拡大の観点から株式会社フォーを完全子会社化するとともに、当社グループの事業ポートフォリオの見直しと子会社の更なる成長路線の実現のために連結子会社の株式会社アイデスの株式を譲渡いたしました。
また、2018年12月14日に公表いたしましたとおり、受託業務における契約及び法令違反が判明いたしました。2019年6月19日に公表いたしました「受託業務における契約及び法令違反の概要報告および役員報酬の一部自主返上等について」により、調査結果等の全体概要をご報告しております。なお、調査の結果、本件不適切行為にかかる個人情報の流出につきましては、各再委託先及び当社のいずれからもその形跡は認められず、また、各再委託先及び当社において、個人情報を含むデータは削除されており、残存するデータも全て削除しております。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の概況については、当該会計基準を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(資産)
当連結会計年度末における資産の残高は5,910,462千円となり、52,130千円の増加となりました。
流動資産においては、12,671千円の増加となりました。これは主に、受取手形及び売掛金の減少53,605千円、仕掛品の増加54,223千円、現金及び預金の増加16,585千円によるものであります。
固定資産においては、39,459千円の増加となりました。これは主にのれんの増加45,112千円によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は1,996,505千円となり、10,343千円の増加となりました。
流動負債においては249,097千円の増加となりました。これは主に受注損失引当金の増加203,304千円、受託契約関連損失引当金の増加58,177千円によるものであります。
固定負債においては238,753千円の減少となりました。これは主に退職給付に係る負債の減少182,317千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,913,956千円となり、41,786千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加59,965千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は66.2%(前連結会計年度は66.1%)となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は9,084,205千円(前年同期比9.5%増)となり、営業利益は39,932千円(同81.6%減)、経常利益は51,175千円(同78.6%減)、当期純利益は105,421千円(同21.9%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
システム開発事業につきましては、当連結会計年度における売上高は5,124,904千円(前年同期比3.2%増)、営業損失は△18,498千円(前年同期は140,307千円の営業利益)となりました。
アウトソーシング事業につきましては、当連結会計年度における売上高は3,959,301千円(前年同期比18.9%増)、営業利益は58,431千円(前年同期比23.6%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が146,177千円(前年同期比38.7%減)となり、子会社株式売却損益△255,535千円、受注損失引当金の増減額203,304千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△149,772千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入215,191千円、借入金の返済による支出△99,996千円、配当金の支払額△45,456千円等により、当連結会計年度末は2,543,570千円となりました。その結果資金残高は、前連結会計年度末に比べ16,585千円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は132,369千円(前連結会計年度は222,023千円の資金の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益146,177千円、のれん償却額77,647千円、子会社株式売却損益△255,535千円、受注損失引当金の増減額203,304千円、受託契約関連損失引当金の増減額58,177千円、法人税等の支払額又は還付額△115,924千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は27,639千円(前連結会計年度は△71,793千円の資金の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出△30,959千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△149,772千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入215,191千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は△143,423千円(前連結会計年度は△164,173千円の資金の使用)となりました。これは主に借入金の返済による支出△99,996千円、配当金の支払額△45,456千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
システム開発事業4,574,74617.9
アウトソーシング事業2,848,63910.7
合計7,423,38615.0

(注)1.各セグメントの金額については、製造費用によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
受注高
(千円)
前年同期比
(%)
受注残高
(千円)
前年同期比
(%)
システム開発事業5,207,65210.5600,34716.0
合計5,207,65210.5600,34716.0

(注)1.システム開発事業以外については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり、受注高を把握する事が困難なため、システム開発事業についてのみ記載しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
システム開発事業5,124,9043.2
アウトソーシング事業3,959,30118.9
合計9,084,2059.5

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ピー・シー・エー㈱995,94312.01,002,02611.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループでは第6次中期計画を策定し、高付加価値サービスの提供、プロフェッショナル人材の育成・確保などに取り組んでまいりました。高付加価値サービスの提供として、超高速開発ツールである楽々フレームワーク3を使用したシステム開発を提供しております。この開発ツールは導入している企業も少なく今後も受注拡大を図ってまいります。また、経験を有したプロフェッショナル人材の採用活動に引き続き力を入れております。
この他、BPOサービスの領域拡大の観点から株式会社フォーを完全子会社化するとともに、当社グループの事業ポートフォリオの見直しと子会社の更なる成長路線の実現のために連結子会社の株式会社アイデスの株式を譲渡いたしました。
また、2018年12月14日に公表いたしましたとおり、受託業務における契約及び法令違反が判明いたしました。
2019年6月19日に公表いたしました「受託業務における契約及び法令違反の概要報告および役員報酬の一部自主返上等について」により、調査結果等の全体概要をご報告しております。なお、調査の結果、本件不適切行為にかかる個人情報の流出につきましては、各再委託先及び当社のいずれからもその形跡は認められず、また、各再委託先及び当社において、個人情報を含むデータは削除されており、残存するデータも全て削除しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は9,084,205千円(前年同期比9.5%増)となり、営業利益は39,932千円(同81.6%減)、経常利益は51,175千円(同78.6%減)となりました。
また、子会社株式売却益255,535千円、受託契約関連損失143,312千円等により、税金等調整前当期純利益は146,177千円となり、法人税、住民税および事業税と法人税等調整額合計で40,755千円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は105,421千円(同21.9%減)となりました。
また、当社グループが目標とする経営指標は、売上高経常利益率8%以上であります。当連結会計年度においては、売上高経常利益率0.6%(前年同期2.9%)となりました。早期の経営指標目標の達成を目指してまいります。
なお、セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
システム開発事業につきましては、継続案件や新規案件の受注確保に注力し新規の開発案件の確保ができた一方で、連結子会社の株式会社アイデスの株式譲渡による影響、また、長期の受託開発案件にて発生していた当初計画からの遅延により受注損失等の計上がありました。
この結果、当連結会計年度における売上高は5,124,904千円(前年同期比3.2%増)、営業損失は△18,498千円(前年同期は140,307千円の営業利益)となりました。
アウトソーシング事業につきましては、連結子会社による業績寄与がありましたが、受託業務における契約及び法令違反が判明し、顧客対応による販管費等の増加の影響がありました。
この結果、当連結会計年度における売上高3,959,301千円(前年同期比18.9%増)、営業利益は58,431千円(前年同期比23.6%減)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループでは、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなっております。
キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の146,177千円、のれん償却額77,647千円、子会社株式売却損益△255,535千円、受注損失引当金の増減額203,304千円、受託契約関連損失引当金の増減額58,177千円、法人税等の支払額又は還付額△115,924千円により、営業活動から得られた資金は、132,369千円となりました。また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローはプラスとなっております。
なお、自己資本比率66.2%の指標が示すように、健全な財務体質や営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力によって、当社グループの事業展開に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えております。
④経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し実行するよう努めております。当社グループを取り巻く環境を勘案しますと低価格による競争激化や品質管理、付加価値の向上、さらには顧客情報を取り扱う為のマネージメントシステムやセキュリティ対策等、今後の収益環境も益々厳しいものとなることが予想されます。
当社グループとしましては、生産効率の向上を目指し、高品質、高付加価値のサービスを提供する事により、顧客の信頼確保に努めてまいります。