有価証券報告書-第11期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 16:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
111項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府及び日本銀行の継続的な経済政策や金融政策、企業収益の改善などを背景に緩やかな回復基調がみられ、有効求人倍率は平成30年3月には1.59倍とバブル期を上回る歴史的高水準となり、企業における採用環境は厳しい状況が続いています。一方、中国をはじめとする新興国経済の不確実性の高まりや、米国新政権の政策動向や朝鮮半島情勢の懸念など、世界経済の不確実性は高く、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
当社グループを取り巻く環境といたしましては、平成27年9月に施行された改正労働者派遣法により、派遣事業者に対しては派遣社員へのキャリア形成支援や雇用安定措置を義務づけるとともに、有期雇用派遣事業などへの規制が強化された一方で、無期雇用派遣については従来3年が上限とされていた派遣期間の上限がなくなるなど、派遣社員を使用する企業への規制が緩和されました。加えて改正労働契約法により、企業が直接雇用していた契約社員から、派遣社員への切り替えの動きがみえはじめました。
当社グループの主要顧客である大手製造企業においては、引き続き労働力需要のボラティリティの高まりにより、必要とする人数も増加傾向にあります。また、電子部品業界を中心に派遣労働者を使用する企業のコンプライアンス遵守への意識が高まり、派遣事業者にも一定のコンプライアンス基準を求めるようになるなど、企業側が派遣事業者を選ぶ基準も変わりつつあります。
このような状況の下、当社グループでは全国規模での強力な採用基盤を背景として、企業の大規模な人材ニーズに対し、配属時期と人数を確約する「コミット受注」により、高単価受注と好条件求人を実現し、高い動員実績により顧客との信頼関係が強化され、さらなる受注につながる好循環を生み出しました。
また、当社の社員一人ひとりの将来と正面から向き合うキャリアコンサルティングを通じて、社員の意欲と技能を高め、「One UT」、顧客企業への転籍制度「Next UT」などにより、派遣ではたらく社員のキャリア形成を支援する取り組みを推進しており、これらの施策により派遣単価の上昇や離職率の低下などを実現しております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,565百万円増加し、29,710百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,353百万円増加し、20,762百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,212百万円増加し、8,947百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度は売上高81,751百万円(前年同期57,588百万円、42.0%の増収)、営業利益5,197百万円(前年同期3,413百万円、52.2%の増益)、経常利益5,222百万円(前年同期3,341百万円、56.3%の増益)、親会社株主に帰属する当期純利益3,534百万円(前年同期2,033百万円、73.9%の増益)、技術職社員数は18,569人(前年同期15,488名、3,081名の増加)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(マニュファクチャリング事業)
マニュファクチャリング事業においては、国内メーカーにおける大規模人数需要の拡大とコンプライアンス意識の高まりを受け、全国トップクラスの規模と高い配属実績を持つ当社グループへの受注が続いております。特に、スマートフォンや車載機器向けの半導体・電子部品分野を中心に大人数の人材派遣需要が拡大しました。
以上の結果、売上高60,911百万円(前年同期41,721百万円、46.0%の増収)、営業利益4,324百万円(前年同期2,599百万円、66.4%の増益)、技術職社員数14,781名(前年同期12,524名、2,257名の増加)となりました。

(ソリューション事業)
ソリューション事業においては、総合的な人材サービスの提案などにより大手メーカーとの関係強化を進めたことで売上高が増加しましたが、次期に向けた新規立ち上げ費用が先行的に発生したことによりセグメント利益は微 増となりました。
以上の結果、売上高10,274百万円(前年同期8,198百万円、25.3%の増収)、営業利益721百万円(前年同期703百万円、2.4%の増益)、技術職社員数2,008名(前年同期1,599名、409名の増加)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業においては、社会的なエンジニア人材不足を背景に、「One UT」や、未経験者から エンジニアを育成する体制が求職者と顧客企業の双方から評価され、採用と受注が好調に推移しました。
以上の結果、売上高10,655万円(前年同期7,688百万円、38.6%の増収)、営業利益238百万円(前年同期98百万円、142.1%の増益)、技術職社員数1,780名(前年同期1,365名、415名の増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、11,979百万円(前年同期比3,509百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、4,942百万円(前年同期は3,107百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額1,290百万円及び売上債権の増加額2,291百万円が計上されたものの、税金等調整前当期純利益5,385百万円、未払消費税等の増加額511百万円、未払費用の増加額1,475百万円及び預り金の増加額682百万円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、975百万円(前年同期は1,052百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出140百万円、無形固定資産の取得による支出231百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出471百万円及び貸付けによる支出249百万円が計上されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、519百万円(前年同期は147百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入2,200百万円があったものの、長期借入金の返済による支出2,021百万円及び自己株式の取得による支出609百万円が計上されたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが行うマニュファクチャリング事業、ソリューション事業及びエンジニアリング事業においては、受注時の業務量をその後の顧客の要望に合わせて変更することが多いため、記載を省略しております。


c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
マニュファクチャリング事業60,822,96345.9
ソリューション事業10,272,92225.3
エンジニアリング事業10,655,61838.6
合計81,751,50542.0

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりを必要といたします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6,565百万円増加し、29,710百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が3,509百万円、受取手形及び売掛金が2,367百万円、のれんが157百万円増加したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3,353百万円増加し、20,762百万円となりました。その主な要因は、社債が350百万円減少したものの、未払費用が1,491百万円、借入金が230百万円、未払法人税等が447百万円、未払消費税等が535百万円増加したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,212百万円増加し、8,947百万円となりました。その主な要因は、自己株式の取得を609百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を3,534百万円計上したことによるものであります。
b.経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループのマニュファクチャリング・ソリューション・エンジニアリング事業では、新規顧客の獲得、既存顧客のシェアアップにより、技術職社員数は引き続き大幅に増加しております。また、販売費及び一般管理費の削減など徹底したコストコントロールの実施と既存顧客に対するサービスの向上を図り、成長性と収益性の確保に努めました。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高81,751百万円(前年同期比42.0%増)、営業利益5,197百万円(前年同期比52.2%増)、経常利益5,222百万円(前年同期比56.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,534百万円(前年同期比73.9%増)となりました。

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主幹事業であるマニュファクチャリング・ソリューション・エンジニアリング事業が属する製造業界におきましては、円高や国内の景気変動の影響等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
そのほか、経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のものがあります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
a.資金需要
当社グループの資金需要は、運転資金としては、主に売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払いサイクルのギャップ及び営業活動上において必要な人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。設備投資資金としては、主に自社利用のソフトウエア等への投資であります。
b.資金管理
当社グループの所要資金は、運転資金が中心となっており、現状は基本的に銀行借入及び社債発行により必要資金を賄っております。また、不定期でありますが、他社を買収する際にも資金需要が発生し、借入れによる資金調達が発生する可能性があります。
⑥ 戦略的現状と見通し
当社グループは、モノづくりの領域で人を育て、企業の競争力強化に貢献する企業グループとして、企業と社員を顧客とするツインカスタマー戦略により、はたらく人に選ばれる会社を目指してまいりました。
その結果、平成30年3月期の技術職社員数は18,569名(前年同期15,488名、3,081名の増加)となり、過去最高の売上高、営業利益を更新しました。
今後のセグメント別の見通しは、以下のとおりであります。
マニュファクチャリング事業では、優良顧客の開拓、顧客工場内のシェア拡大、月間1,000名採用の安定化に向けた採用体制の構築を行います。また、従業員へ向けたキャリア形成支援体制の強化を行うことで、定着率の上昇、スキル向上により従業員の給与アップ、当社収益の拡大を目指してまいります。
ソリューション事業では、総合的な人材サービスの提案などにより大手メーカーとの関係強化を進めてまいりま す。また、電池製造分野での生産性向上による売上総利益率の向上を目指してまいります。
エンジニアリング事業では、エンジニア派遣事業の中核事業化に向けた取り組みとして、採用インフラの整備 や、需要が見込める市場、主に製造業のお客様企業におけるシェア拡大を目指してまいります。また、シーメンスTPPプログラムをはじめとした従業員の教育・育成メニューの提供により、マニュファクチャリング事業に次ぐ事業基盤の構築を行ってまいります。さらに、「One UT」により効率的な技術者確保を実現してまいります。
あわせて、更なる成長を加速させるため、「規模拡大」、「機能強化」、「領域拡大」をテーマに、M&Aや新規事業の立上げを図ってまいります。