有価証券報告書-第14期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/28 14:57
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、2020年5月に当連結会計年度を初年度とし2025年3月期を最終年度とする第4次中期経営計画を策定いたしました。「より多くのはたらく人に応えられるキャリアプラットフォームへ」を中期経営目標として掲げ、「大手製造業向けワンストップ戦略」、「地域プラットフォーム戦略」及び「ソリューション戦略」を成長戦略として位置付けております。中核事業領域である大手製造業向け人材派遣において、製造エンジニア育成を強化することでその領域を拡大し、顧客工場内の全工程でのシェアをさらに高めていくこと、併せて、地域の有力企業との業務提携やM&Aによって地域の職場での安定的な雇用環境を整備し、地域を網羅したキャリアプラットフォームの構築を目指してまいります。さらに、大手企業グループ向けの人材流動化支援を行い、事業基盤のさらなる強化・拡大を図ってまいります。最終年度における目標を売上高2,000億円、EBITDA200~300億円と設定し、高い成長を通じた持続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対する各種政策の効果により、一時的な持ち直しの動きがあったものの、足元では感染再拡大、長期化の懸念が高まる等、景気の先行きに不透明感が残る状況が続きました。
当社グループを取り巻く環境といたしましては、2020年5月の緊急事態宣言解除以降、顧客工場の一時的な稼働停止等の状況は減少し、感染拡大の影響を最も受けた自動車関連分野では、大手自動車メーカーを中心とする生産活動の回復とともに人材需要が高まりました。また、半導体・電子部品分野においては、自動車向け半導体需要の増加や次世代通信規格「5G」関連需要による半導体製造装置やデバイス等の生産拡大等に対応した人材需要の回復が見られました。
当連結会計年度では、前述のとおり顧客工場で一時的な稼働停止があったことから第2四半期連結累計期間までにおいては休業等の影響が発生したものの、秋口以降、顧客企業の生産活動の回復に伴い、当社グループにおける受注環境は大きく良化する状況に転じました。主力事業であるマニュファクチャリング事業においては、顧客工場の生産活動の本格的な回復期に際して人材需要に速やかに応えるため、月間1,000名の採用を目指して全社を挙げた積極的な採用活動に取り組んでまいりました。また、中期経営計画で掲げる地域プラットフォーム戦略及びソリューション戦略の下、地域の有力な派遣事業者との提携・M&A、大手企業グループからの人材受入・事業譲受等を推し進めたこと等により、当連結会計年度において新たに9社の連結子会社が加わりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ16,358百万円増加し、52,666百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ11,183百万円増加し、32,468百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,174百万円増加し、20,198百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度は売上高115,131百万円(前年同期101,191百万円、13.8%の増収)、営業利益7,163百万円(前年同期8,040百万円、10.9%の減益)、経常利益7,191百万円(前年同期8,113百万円、11.4%の減益)、親会社株主に帰属する当期純利益4,299百万円(前年同期4,509百万円、4.6%の減益)、技術職社員数は37,012名(前年同期19,634名、17,378名の増加)となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(マニュファクチャリング事業)
マニュファクチャリング事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受けた自動車関連分野における工場の一時的な稼働停止による休業等の影響は第2四半期累計期間までに収束し、生産活動の回復とともに人材需要が高まりました。また、半導体・電子部品分野につきましても、自動車向け半導体需要の増加、次世代通信規格「5G」及びテレワーク関連需要の増加等により人材需要が堅調に推移しました。このような顧客企業における人材需要の増加に対応するため、積極的な採用活動を行い入社数が増加したこと、併せて、2020年11月に株式会社シーケルホールディングス及び株式会社シーケルを連結子会社としたことにより、技術職社員数は大幅な純増となりました。また、2020年10月よりベトナムで人材派遣事業を行うGreen Speed Co., Ltd.及びHoang Nhan Company Limitedの株式を100%所有するGreen Speed Joint Stock Companyを連結子会社としております。
これらのことから、当該事業の四半期毎の売上高は第3四半期会計期間以降、増収に転じております。一方、セグメント利益につきましては、先行投資として位置づけた採用関連費を大きく増加させたことにより減益となりました。
以上の結果、売上高69,252百万円(前年同期70,527百万円、1.8%の減収)、セグメント利益3,437百万円(前年同期5,951百万円、42.2%の減益)、技術職社員数29,956名(前年同期14,044名、15,912名の増加)となりました。このうち、上記のGreen Speed Joint Stock Company、Green Speed Co., Ltd.及びHoang Nhan Company Limitedを除く国内の結果は、売上高67,503百万円(前年同期70,527百万円、4.3%の減収)、セグメント利益3,385百万円(前年同期5,951百万円、43.1%の減益)、技術職社員数16,680名(前年同期14,044名、2,636名の増加)となりました。
(ソリューション事業)
ソリューション事業においては、一部顧客企業での新型コロナウイルス感染症の感染拡大による生産調整等の影響が一服し、電池製造に特化するUTパベック株式会社等を中心として人材需要が回復基調にあること、加えて同一労働同一賃金への対応に伴う単価上昇も相俟って、技術職社員数、売上・利益ともに大幅に増加いたしました。さらに、2020年4月に株式会社東芝のグループ会社からUT東芝株式会社、UTビジネスサービス株式会社、UTシステムプロダクツ株式会社を、2020年7月には、株式会社日立製作所のグループ会社から水戸エンジニアリングサービス株式会社を連結子会社としたことも寄与し、増収増益となりました。
以上の結果、売上高29,717百万円(前年同期13,930百万円、113.3%の増収)、セグメント利益1,309百万円(前年同期1,031百万円、27.0%の増益)、技術職社員数4,469名(前年同期2,970名、1,499名の増加)となりました。
(エンジニアリング事業)
エンジニアリング事業においては、事業戦略の見直しに伴い、2020年1月29日付で連結子会社であった株式会社Lei Hau’oliの全保有株式を売却したこと及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況下で製造オペレータからエンジニアへのキャリアチェンジを支援する社内制度「One UT」の運用が困難な1年であったこと等により、技術職社員数が減少し、減収となりました。一方で、大手製造業を中心にフィールドエンジニア、設備保全業務が堅調に推移したこと、また、事業会社再編による業務効率の改善及び新卒の育成・配属プロセスの見直しにより稼働率が改善したことを受け、大幅に増益となりました。
以上の結果、売上高16,218百万円(前年同期16,929百万円、4.2%の減収)、セグメント利益2,431百万円(前年同期1,152百万円、111.0%の増益)、技術職社員数2,587名(前年同期2,620名、33名の減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、25,266百万円(前連結会計年度末比6,851百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、6,654百万円(前年同期は3,509百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7,000百万円が計上されたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,413百万円(前年同期は805百万円の使用)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,591百万円が計上されたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、2,613百万円(前年同期は721百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,839百万円が計上されたものの、長期借入による収入5,003百万円が計上されたことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが行うマニュファクチャリング事業、ソリューション事業及びエンジニアリング事業においては、受注時の業務量をその後の顧客の要望に合わせて変更することが多いため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
マニュファクチャリング事業69,201△1.6
ソリューション事業29,711113.4
エンジニアリング事業16,218△4.2
合計115,13113.8

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は43,979百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,037百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が6,851百万円及び受取手形及び売掛金が4,420百万円増加したことによるものであります。固定資産は8,687百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,320百万円増加いたしました。これは主にのれんが2,406百万円、投資有価証券が876百万円及び繰延税金資産が198百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は52,666百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,358百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は22,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,287百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が2,517百万円、未払費用が1,753百万円、賞与引当金が824百万円、未払金が790百万円、預り金が670百万円及び未払消費税等が596百万円増加したことによるものであります。固定負債は9,904百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,896百万円増加いたしました。これは主に、長期借入金が2,421百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は32,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,183百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は20,198百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,174百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益4,299百万円及び新株予約権602百万円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は36.2%(前連結会計年度末は41.0%)となりました。
経営指標としている「グロスDEレシオ」は、利益剰余金の増加により当連結会計年度末時点で0.61となっております。
b.経営成績の分析
当連結会計年度において、当社グループのマニュファクチャリング事業を中心に新型コロナウイルス感染症の感染拡大による顧客工場の一時的な稼働停止の影響を受けたものの、その影響は限定的となりました。第3四半期会計期間以降は、顧客企業の生産活動の急回復に伴い、当社グループにおける受注状況の良化から、積極的な採用活動の取り組みをした結果、技術職社員数が大幅に増加いたしました。
併せて、地域を網羅したキャリアプラットフォームの構築を目指した地域の有力企業との業務提携やM&A、さらに大手企業グループからの人材受け入れや事業譲受を推進した結果、過去最高の売上高となりました。
これらの結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高115,131百万円(前年同期比13.8%増)、営業利益7,163百万円(前年同期比10.9%減)、経常利益7,191百万円(前年同期比11.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,299百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主幹事業であるマニュファクチャリング事業・ソリューション事業・エンジニアリング事業が属する製造業界におきましては、為替変動や国内外の景気変動の影響等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
そのほか、経営成績に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のものがあります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のものがあります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払いサイクルのギャップ及び営業活動上において必要な人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。設備投資資金としては、主に自社利用のソフトウエア等への投資であります。
所要資金は、運転資金需要が中心であるため、自己資金をベースとしつつも、M&Aを含む成長局面の需要に対しては金融機関からの借入を適時組み合わせ、必要資金を賄っております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの回収可能性)
当社グループは、のれんについて、20年以内の合理的な年数で定額法により償却を行っております。のれんの回収可能性については子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定した収益等が見込めなくなり、減損の必要性を認識した場合には、翌連結会計年度においてのれんの減損処理を行う可能性があります。