四半期報告書-第18期第2四半期(令和2年7月1日-令和2年9月30日)

【提出】
2020/11/16 16:00
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当社グループは「Bright Valueの実現~記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する~」という企業理念のもと、独自開発の人工知能(AI)エンジン「KIBIT(キビット)」及び「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」を柱とする高度な情報解析技術を駆使し、創薬支援、診断支援、金融・人事・営業支援などさまざまなフィールドで、必要かつ適切な情報に出会えるフェアな世界の実現及び社会課題の解決に貢献しております。 当第2四半期連結会計期間において、AIソリューション事業につきましては、コア事業であるライフサイエンスAI分野では、注力しているデジタルヘルス領域、ドラッグディスカバリ領域において事業化が進展しております。デジタルヘルス領域では、当社が開発している「認知症診断支援AIシステム」に関し、2020年9月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)との準備面談を終了いたしました。これにより、PMDAと治験本相談の実施が可能となり、AI医療機器としての承認・上市に向けて大きく前進いたしました。ドラッグディスカバリ領域では、創薬支援AIシステム「Amanogawa(アマノガワ)」の教育・研究機関向けアカデミックプランの利用について、東京大学大学院及び徳島大学大学院とライセンス契約を締結いたしました。今後は、アカデミックな分野においても創薬支援AIシステムの活用を広げてまいります。 また、当ライフサイエンスAI分野ではパートナー企業との提携による様々なプロジェクトを始めております。日本マイクロソフトとは高齢化による医療・介護リスクへの対応を見据え、課題解決につながるソリューションの提供に向けた協業の協議を進めました(2020年10月発表済み)。まずは日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム上で認知症診断支援AIシステムを開発し、将来的には創薬支援AIシステムもクラウドプラットフォーム上で提供することを検討しております。 今後も、当社はライフサイエンスAI分野において、EBM(Evidence-Based-Medicine。根拠に基づく医療) に欠かせない「統計学的手法」を自然言語処理に導入した「Concept Encoder」の強みを活かし、メディカルデータの活用ならびにソリューション提供の促進を実現してまいります。 更に、ビジネスインテリジェンス分野では、IT投資が堅調な金融分野において「KIBIT」製品の導入が進んでおり、大型案件のパイプラインも積み上がっております。当連結会計年度下期では確実な受注獲得に努めてまいります。 リーガルテックAI事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、eディスカバリのクロスボーダー大型案件のベンダー選定が日本本社ではなく現地の米国子会社において行われることが顕著となったことに加え、国内企業における第三者委員会調査の件数も当第2四半期連結累計期間では前年同期の半数以下になっております。このような市場環境の変化を受け、当第2四半期連結会計期間における国内の案件受注数、案件規模共に前年同期と比較し低調に推移いたしました。今後はeディスカバリの新規大型案件の獲得に向けて、営業活動を米国市場にシフトし、企業への直接アプローチに力を入れてまいります。さらに、AIを主体としたビジネスモデルへの転換を加速させるため、AIレビューツール「KIBIT Automator」の提案営業活動を米国にて強力に進めてまいります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の連結業績は、売上高が5,047,375千円(前年同期比2.8%増)となり、営業損失160,262千円(前年同期は775,819千円の営業損失)、経常損失187,020千円(前年同期は827,959千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失116,420千円(前年同期は938,462千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)と、前年同期を上回る結果となりました。
各事業の当第2四半期連結累計期間の概況は以下のとおりです。
(AIソリューション事業)
ライフサイエンスAI分野では複数の大手企業とのパートナーシップが加速し、当社のコア事業として着実に事業化が進展しており、大型案件のマイルストーンフィーを獲得するなど前年同期比で売上高の増加に大きく寄与しました。またビジネスインテリジェンス分野では、IT投資が堅調な金融分野に加えて製造分野などでもKIBIT製品の導入が進んでおり、AI製品の導入社数は237社(前年同期比1.2倍)と着実に導入を積上げております。この結果、売上高は前年同期比29.0%増加し771,892千円となりました。営業損益に関しましては、今後の更なる売上拡大に向けた人材増強を行っている事が影響し、営業損失121,848千円(前年同期は148,966千円の営業損失)となりましたが、想定の範囲内の水準で推移しております。なお、AIソリューション事業には提出会社の間接部門に係る費用212,252千円が含まれております。
サービスタイプ別の売上高の概況は下表のとおりです。
(単位:千円)
サービスタイプ別売上高
AIソリューション事業ビジネスインテリジェンス458,916
(534,172)
ライフサイエンスAI300,272
(53,850)
海外AI12,703
(10,247)
AIソリューション事業売上高 計771,892
(598,269)

( )は前第2四半期連結累計期間の実績
(リーガルテックAI事業)
AIレビューツール「KIBIT Automator」を活用したレビューの受注は着実に積み上がっており、さらなる販売拡大を推進した一方で、国内のeディスカバリ市場においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ベンダー選定が日本本社ではなく、現地の米国子会社にて行われることが顕著となったため案件受注数、案件規模共に低調に推移いたしました。また国内フォレンジック売上は、国内上場会社における第三者委員会調査が前年同期比で半減以下となっており、国内フォレンジック市場が一時的に縮小した影響により、売上高が減少しました。この結果、リーガルテックAI事業の売上高は4,275,482千円(前年同期比0.8%減)となりました。なお、営業損益に関しましては、eディスカバリサービスで高い利益率を見込めるAIを主体としたビジネスモデルへの転換による成果と、前期に実施した米国子会社のコスト構造の改善が継続して寄与しましたが、国内における売上高減少の影響を受け、38,414千円の営業損失(前年同期は626,852千円の営業損失)となりました。
サービスタイプ別の売上高の概況は下表のとおりです。
(単位:千円)
サービスタイプ別売上高
①eディスカバリサービスReview1,469,772
(1,230,757)
Collection, Process592,256
(687,056)
Hosting1,888,779
(2,036,941)
3,950,808
(3,954,755)
② フォレンジックサービス324,673
(356,176)
リーガルテックAI事業売上高 計4,275,482
(4,310,931)

( )は前第2四半期連結累計期間の実績

(2) 連結財政状態の分析
(資産)
総資産は、前連結会計年度末と比べて333,927千円増加し、10,795,516千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べて412,068千円減少し、4,296,206千円となりました。これは主に、売上債権の回収により現金及び預金が364,827千円増加し、受取手形及び売掛金が780,036千円減少したためであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比べて745,995千円増加し、6,499,309千円となりました。これは主に、償却によりのれんが124,179千円減少、顧客関連資産が109,568千円減少したものの、当期首より米国会計基準を適用している米国子会社において、新リース会計基準(ASC第842号)を適用したことによる使用権資産を813,586千円計上、保有株式の時価の騰貴による投資有価証券の増加306,000千円によるものであります。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末と比べて475,135千円増加し、7,626,469千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べて133,022千円減少し、5,857,156千円となりました。これは主に、新リース会計基準(ASC第842号)を適用したことにより、リース債務が364,564千円増加したものの、返済により1年内返済予定の長期借入金が237,391千円減少し、短期借入金が200,000千円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比べて608,158千円増加し、1,769,312千円となりました。これは主に、その他に含まれる長期前受金が178,552千円減少したものの、新規借入により長期借入金が95,870千円増加したことや、その他有価証券評価差額金の増加等により繰延税金負債が22,114千円増加したこと、新リース会計基準(ASC第842号)を適用したことによりリース債務が673,427千円増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末と比べて141,207千円減少し、3,169,047千円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が212,302千円増加したものの、親会社株主に帰属する四半期純損失により利益剰余金が116,420千円減少し、連結子会社であるP.C.F. FRONTEO株式会社による非支配株主からの同社自己株式の購入により資本剰余金が41,582千円減少、非支配株主持分が65,850千円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,906,433千円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は1,064,955千円(前年同期比1,423,061千円の収入の増加)となりました。これは主に、売上債権の減少741,123千円、減価償却費413,343千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は19,180千円(前年同期比472,182千円の支出の減少)となりました。これは主に、定期預金の払い戻しによる収入217,642千円、無形固定資産の取得による支出199,734千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は451,226千円(前年同期比444,789千円の支出の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入300,000千円、短期借入金の返済による支出200,000千円、長期借入金の返済による支出439,449千円に、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出97,129千円によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当社グループは、研究開発活動の内容及び金額を特定のセグメントに関連付けることができないため、一括して記載しております。
(研究開発費の金額)
当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は91,524千円であります。
(研究開発の内容)
当社は、独自開発した人工知能エンジン「KIBIT」及び「Concept Encoder」について創薬支援、診断支援、金融・人事・営業支援などさまざまなフィールドでの利便性を更に向上させるため、新たなソリューションの拡充、製品の開発を行っております。