四半期報告書-第17期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/02/12 15:57
【資料】
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【項目】
30項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、社会経済活動が制限されるなど、厳しい状況が続いております。雇用情勢の底堅さに支えられ消費者マインドや個人消費など一部に持ち直しの兆しが見られておりましたが、感染症の再拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発令により、その動きは足踏み状態にあり先行きはなお不透明となっております。
当社の事業領域であるインターネット関連市場は、第5世代移動通信システムの商用化が始まり、今後の新たな市場の創生と拡大への期待が高まっております。また、スマートフォンをはじめとするモバイル端末が生活にとって最も身近なデバイスとなるまで普及し、インターネットの利用時間やそれを介したサービス消費も増加するなど、安定的な成長と拡大が続いております。一方で、テクノロジーの進化や新たなビジネス、サービスの創出は加速しており、事業環境は目まぐるしく変化しております。
音楽やアーティスト関連の市場動向には、新型コロナウィルス感染症の影響をより大きく受けております。2020年上半期(1月から6月)の音楽ソフト(オーディオレコード及び音楽ビデオ合計)の生産金額は832億円(前年同期比27.7%減)、音楽配信の販売金額が377億円(前年同期比11.0%増)となりました(出所:一般社団法人日本レコード協会)。音楽配信はストリーミングサービスの利用が引き続き拡大しておりますが、販売延期等の影響により音楽ソフトは大きく減少いたしました。
ライブ、コンサート市場は、新型コロナウィルス感染症の影響により、多くのライブ、コンサートが中止、延期となったことから、2020年上半期(1月から6月)の市場規模が533億円(同66.1%減)となりました(出所:一般社団法人コンサートプロモーターズ協会)。足下の状況としては、第2四半期以降において、十分に感染症対策を講じた上で徐々にライブ、コンサートを再開する動きも見られ始めておりましたが、感染の再拡大により状況は不透明となっております。
音楽市場の中でも特にライブ、コンサートを筆頭とした従来からのエンタテインメントのフォーマットにおいては、新型コロナウィルス感染症の影響がより大きく見られております。その一方で、有料のライブ配信やサブスクリプション型のストリーミングが普及、拡大し、デジタルシフトが急速に進むなど事業環境は変化しており、それらを的確に捉え、競争力を維持、向上させていくことがより重要となってきております。
このような外部環境の中、当社グループでは、アーティストを中心として、タレントや声優、アニメまで幅広いジャンルにおいて、ファンクラブサイトを事業の軸としながら、電子チケットやeコマース、キャラクター、スタンプ、音楽、電子書籍といった多岐にわたるデジタルコンテンツの配信に至るまで、複合的な事業展開をしてまいりました。数多くの有力アーティストやコンテンツを保有するという優位性を生かし、それらを相互活用することでグループ全体でのシナジー効果を発揮させ、事業基盤の拡大と多様化を進めてまいりました。
加えて、事業環境の変化に対応すべくライブの動画配信へも参入し、またVRや電子チケット、ファンクラブのプラットフォーム化など今後の成長分野での新たな事業領域の開拓と収益の獲得も引き続き推進してまいりました。
また、経営資源の最適分配を行うと同時に、役割や業務内容の明確化を図り、それぞれの責任と権限において迅速な意思決定を行うことによって、さらなる事業拡大や経営人材の育成等を進め、持続的に企業価値の向上を図っていくことができる体制を構築すべく、2020年4月1日より持株会社体制へと移行いたしました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は9,185百万円(前年同期比13.3%増)、営業利益は912百万円(前年同期比57.2%増)、経常利益は956百万円(前年同期比62.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は562百万円(前年同期比69.5%増)となりました。

セグメントごとの概要は、以下のとおりであります。
1)コンテンツ+ECセグメント
①コンテンツ事業
コンテンツ事業では、主にスマートフォン向けにファンクラブサイト運営や各種デジタルコンテンツ配信、動画サービス、アプリの提供などを行っております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、引き続き新規ファンクラブ/ファンサイトの開設を進めるとともに、アーティストとファンの距離をより近づけ、ファンクラブ入会への動機づけをするためのポータルメディアとして「Fanpla」を開設するなど、収益の源泉となる新たな有料会員の確保に取り組んでまいりました。
また、アーティストの規模に関わらず、アーティストなら誰でもファンクラブを開設することのできるサービスとして、「Fanpla Kit」の提供を開始し、ファンクラブのプラットフォーム化と新規アーティストの獲得力の強化も進めてまいりました。
新型コロナウイルス感染症の影響により、音楽ライブやイベントが中止、延期となっている状況への対応といたしまして、動画配信を通じてアーティストとファンがよりインタラクティブにつながることができ、価値あるパフォーマンスをアーティストへと還元できるよう、生配信を観ながらコメントやギフティングによってアーティストの応援ができる機能を搭載した視聴専用アプリ「FanStream」と、VRでのライブ生配信や様々なVR映像コンテンツを提供する「VR MODE」の提供を開始し、ライブ配信を積極的に展開してまいりました。同時に、「FanStream」を活用しファンクラブ限定のオンラインライブなどを実施することにより、既存会員の維持にも努めてまいりました。
加えて、ファンクラブのアプリ化も進めることで、多様化する利用者ニーズへの対応と、収益獲得のための間口の拡大にも努めてまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるコンテンツ事業の売上高は7,371百万円(前年同期比10. 2%増)、セグメント利益は858百万円(前年同期比0.3%減)となりました。
②EC事業
EC事業につきましては、主に当社グループの運営するファンクラブサイト等を通じて、アーティストグッズとCD、DVD及びブルーレイといった音楽映像商品の販売を行っております。
当第3四半期連結累計期間においては、引き続き中止や延期となった音楽ライブ、イベントにて販売予定であった商品のeコマースでの取り扱いが増加したことから、収益は大きく増加いたしました。
また、アーティストの公式通販サイトの開設やファンクラブ会員限定グッズの販売なども実施してまいりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるEC事業の売上高は826百万円(前年同期比54.0%増)、セグメント利益は622百万円(前年同期比89.1%増)となりました。
2)電子チケット事業
電子チケット事業には、電子チケット及びチケットトレード、並びにそれらに付随する各種サービスからの収益により構成されております。音楽のライブはもちろんのこと、プロ野球やフィギアスケートといったスポーツ、遊園地などのレジャー施設まで幅広く電子チケットサービスを提供しております。
当第3四半期連結累計期間においては、一時は再開の動きが見られていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、ライブ、コンサートの多くが中止、延期されたことに伴い、電子チケット及びチケットトレードに関連する収益も大きく減少しております。これに対して、ライブの生配信やオンライン配信の視聴パスを販売するプラットフォーム「StreamPass」のサービスを開始し、コンテンツ事業にて実施するライブ配信と連動し、収益の確保に努めてまいりました。また、オンラインライブと連動する施策といたしましては、アーティストのサイン入りのグッズなどの商品を提供するオンラインくじ「メモコレ」の提供、販売を拡大させてまいりました。
電子チケット周辺領域のサービスといたしましては、これまでと同様にプロ野球等のカードコレクションアプリなどの提供を行うとともに、無観客での開催となったプロ野球の公式戦において、「FanStream」や「StreamPass」を活用し、試合の生配信を実施いたしました。加えて、安心安全な1on1イベントを実現するライブトークアプリとして、「Meet Pass ライブトーク」のサービスを開始するなど、コロナ禍における新たなスポーツ観戦やエンタテインメントのスタイルを提案、提供してまいりました。
今後もカードコレクションアプリのスポーツ以外への横展開や、新たな電子チケット付加サービスの開発、提供を進めることで、周辺領域でのビジネスも拡大させていくことを計画しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間におけるチケット事業の売上高は946百万円(前年同期比15.3%)、セグメント損失は129百万円(前年同期は162百万円の損失)となりました。
3)その他事業
その他事業には、上記3つのセグメントに属さない連結子会社の収益等が計上されており、主にアパレルや出版、プロダクション業務が含まれております。
引き続き当第3四半期連結累計期間におきましても、将来の収益獲得に向けた事業育成を行ってきたことから、売上高は41百万円、セグメント損失は0.4百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は12,718百万円(前連結会計年度末比19.3%増)となりました。
流動資産は8,668百万円(同11.6%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金5,421百万円(同11.3%増)、売掛金1,637百万円(同4.7%増)となっております。
固定資産は4,049百万円(同42.5%増)となりました。主な内訳は有形固定資産771百万円(同2.5%増)、のれん819百万円(同16.7%減)となっております。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末の流動負債は7,641百万円(同37.2%増)となりました。主な内訳は、買掛金3,153百万円(同12.4%増)であります。
固定負債は247百万円(同11.8%減)となりました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末の純資産は4,829百万円(同0.4%増)となりました。主な内訳は、資本金310百万円(同0.5%増)、資本剰余金3,688百万円(0.0%増)、利益剰余金981百万円(同59.6%増)であります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。また、当第3四半期連結累計期間中に生じた新たな対処すべき課題もありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。